JP2001255297A - バイオセンサおよびその製造方法 - Google Patents

バイオセンサおよびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 信頼性、再現精度が高く、保存安定性の良い
バイオセンサおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 絶縁基板1上に形成された一対の導電性
リード部2,3と、その導電性リード部2,3の先端に
それぞれ形成された作用電極4と対電極5と、前記両電
極の上にその両電極を橋絡するように形成された検体液
中の測定対象物と反応する反応層7とを有し、前記一対
の導電性リード部2,3を通じて得られる前記測定対象
物と反応層7との反応に基づく電流値から前記測定対象
物の含有量を計測するセンサにおいて、前記両導電性リ
ード部2,3の上方には前記両電極に接する前記反応層
7が設られておらず、前記両電極にピンホールや亀裂が
生じても反応層と7と導電性リード部2,3が直接接す
ることがないよう構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、検体液中の測定対
象物質について、迅速に定量を実施する為のバイオセン
サとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】検体液中の特定の測定対象物質を計測す
るバイオセンサとして、例えば、血液中のグルコースと
センサ中に担持されたグルコースオキシダーゼ、フェリ
シアン化カリウム等の試薬との反応により得られる電流
値を計測することにより血糖値を求めるものがある。図
2はそのような従来の血糖値測定用センサの製造工程を
示す分解図である。
【0003】ポリエチレンテレフタレートのようなフィ
ルム状の絶縁性基板1上にスクリーン印刷等により銀ペ
ーストを用いて作用極、対極から測定端子2a,3aま
での一対の導電性リード部2、3を形成する。その導電
性リード部2,3の先端部2b,3bには後ほど形成さ
れる作用電極および対電極に概略沿うような形状にして
ある。すなわち、導電性リード部2の先端部2bは四辺
形状に、導電性リード部3の先端部3bはその四辺形状
部を取り囲むような形状にしてある。そして、それぞれ
の前記先端部2a,3aと重複するようにカーボンペー
ストを用いて所定の形状の作用電極4、対電極5を形成
する。
【0004】次に、前記作用電極4、対電極5および接
続端子2a,3aを露出するように絶縁ペーストを重ね
刷りし、絶縁層6を形成する。この露出された両電極
4,5上に両電極4,5を橋絡するように、親水性高分
子としてカルボキシメチルセルロース、酵素としてグル
コースオキシダーゼ、電子受容体としてフェリシアン化
カリウムを含む反応層7を形成する。
【0005】その後、図3に示すように、接続端子2
a,3aを残して反応層7を覆うように、先端に開口を
有する検体供給溝10の形成されたスペーサー8が裏面
に張り付けられたカバーを、前記検体供給溝10の終端
部分が反応層7の上に位置するように接着する。なお、
11は前記検体供給溝10の終端部に形成された空気孔
である。
【0006】以上の構成のセンサを測定器に装着し、前
記検体供給溝10の開口へ測定すべき血液サンプルをふ
れさせると、検体供給溝10を通じて毛細管現象によ
り、反応層7へ所定量のサンプルが導入され、所定の反
応が起こるよう構成されており、その反応にともなう電
流値を接続端子2a,3aを介して測定器側で読み取
り、その電流値から前記測定対象物質であるグルコース
の含有量を測定するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のようなバイオセ
ンサの場合、作用電極4および対電極5は、銀よりなる
導電性リード部の先端部2b,3bとほぼ同形状のカー
ボン電極をスクリーン印刷により重ね刷りして形成され
ているため、カーボン印刷の印刷状態、乾燥温度、上カ
バーの貼り圧などにより、カーボン電極にピンホール、
割れが発生し、作用電極4、対電極5の下層部の導電性
リード部が表面に露出し、上記電子受容体であるフェリ
シアン化カリウムと接することにより、ブランク値の上
昇、CVの悪化が起こる。
【0008】さらに、作用電極に関しては銀の酸化電流
によるブランク値の上昇、CVの悪化が起こり、センサ
精度が悪化するという問題を有していた。また、上記問
題は高湿度環境下でさらに影響が大きくなる為、乾燥状
態での保存が不可欠であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為
に、本発明のバイオセンサは、前記両導電性リード部の
上方には前記両電極に接する前記反応層が設けられてい
ないことを特徴とするものであり、たとえ前記両導電性
リード部の上方の両電極ににピンホールや亀裂が生じて
もその部分の両電極に接して反応層が設けられていない
ため、フェリシアン化カリウムと導電性リード部が接す
ることはないものである。さらに、作用極においては銀
の酸化電流を防止することができ、高湿度環境下でも高
品質のバイオセンサを提供できる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、絶縁基板上に形成された一対の導電性リード部と、
その一方の導電性リード部の先端に、一部がその導電性
リード部と重複するように前記基板上に形成された作用
電極と、他方の導電性リード部の先端に、一部がその導
電性リード部と重複するように前記基板上に形成された
対電極と、前記両電極の上にその両電極を橋絡するよう
に形成された検体液中の測定対象物と反応する反応層と
を有し、前記一対の導電性リード部を通じて得られる前
記測定対象物と反応層との反応に基づく電流値から前記
測定対象物の含有量を計測するバイオセンサにおいて、
前記両導電性リード部の上方には前記両電極に接する前
記反応層が設けられていないことを特徴とするバイオセ
ンサであり、前記両導電性リード部の上方の両電極にピ
ンホールや亀裂が生じてもその部分の両電極に接して反
応層が設けられていないため、例えばフェリシアン化カ
リウムと導電性リード部が接することはないものであ
る。さらに、作用極においては銀などよりなる導電性リ
ード部の酸化電流を防止することができ、高湿度環境下
でも高品質のバイオセンサを提供できる。
【0011】本発明の請求項2に記載の発明は、絶縁基
板上に一対の導電性リード部を形成し、その一方の導電
性リード部の先端に一部がその導電性リード部と重複す
るように作用電極を、他方の導電性リード部の先端に一
部がその導電性リード部と重複するように対電極をそれ
ぞれ形成し、その両電極の前記導電性リード部上に形成
された部分を覆うよう絶縁層を形成した後、前記両電極
の上にその両電極を橋絡するように形成された検体液中
の測定対象物と反応する反応層を設けるたことを特徴と
するバイオセンサの製造方法であり、両電極の前記導電
性リード部上に形成された部分を覆うよう絶縁層を形成
した後に、前記両電極の上に反応層を設けるため、この
上の両電極にピンホールや亀裂が生じてもその部分の両
電極に接して反応層が設けられていないため、反応層と
導電性リード部が接することはないものである。
【0012】(実施の形態)以下、本発明の一実施の形
態における血糖値測定用センサについて、図1を参照し
て説明する。図1は血糖値測定用センサの製造工程を示
す分解図であり、図2に示した従来構成と同様な部位に
は同一符号を付している。
【0013】まず、従来と同様に、基板1上に導電性リ
ード部2、3を銀ペーストなどにより金属材によって形
成する。そのとき従来と異なるのは、導電性リード部
2、3の先端部2b,3bが従来のように作用電極およ
び対電極に沿った形状でなく、単に直線状に終結されて
いることである。このリード部の先端部2b,3bと一
部重複するように所定形状より大きめの作用電極4と対
電極5をカーボンを主体とするカーボンペーストを用い
て形成する。
【0014】その上に作用電極4、対電極5、接続端子
2a,3aが露出するように絶縁ペーストを重ね刷り
し、絶縁層6を形成する。この時、前記導電性リード部
の先端部2b,3b上に形成された作用電極4、対電極
5の部分は前記絶縁層6により覆われるようにする。
【0015】このように構成された両電極4、5上に水
溶性高分子(カルボキシメチルセルロース)、酵素(グ
ルコースオキシダーゼ)、電子伝達体(フェリシアン化
カリウム)を含む所定の試薬反応層7を形成させる。こ
の時、前記反応層7が広範囲に設けられ、導電性リード
部の先端部2b,3b上に形成された作用電極4、対電
極5の部分の上方に反応層7が形成されても、その部分
は前記絶縁層6により覆われているため、その部分の作
用電極4、対電極5には反応層7が接しないように構成
されている。すなわち、その部分の作用電極4、対電極
5上には実質的に反応層7が設けられていない構成とな
っている。
【0016】その後、従来と同様に検体供給溝10を有
するカバー9を接着するが、前記検体供給溝10が前記
導電性リード部の先端部2b,3b上に形成された作用
電極4、対電極5の部分の上方に位置しないように配慮
されている。
【0017】図4は温度40℃、湿度80%の過酷な状
態で保存した上記構成のセンサで精製水を測定(ブラン
ク値)した結果である。10回測定時の平均をプロット
したものであり、高温多湿の過酷な環境下においてもブ
ランク値の上昇が抑制できることを示すものである。
【0018】(表1)は血中グルコース濃度42〜60
0mg/dlにおける20回測定時のセンサ精度を比較
したものである。センサ精度とは血液を毛細管内に吸引
させた後、約25秒間試薬と血液中のグルコースとの反
応を促進させた後、作用電極の接続端子2aと対電極の
接続端子3a間に0.5Vの電圧を印加し、その5秒後
に得られた電流値のバラツキ精度であり、本実施例セン
サの測定バラツキが従来センサに対し大幅に縮小軽減さ
れた事を示すものである。
【0019】
【表1】
【0020】図4および(表1)の結果から明らかなよ
うに、本実施例センサを用いる事で保存安定性に優れ
た、バラツキの少ない高感度なバイオセンサを実現する
ことができる。なお、前記実施の形態では、血糖値測定
用センサを例に挙げたが、同様な構成よりなるコレステ
ロール、乳酸などの測定用センサにも同様な効果が得ら
れるものである。
【0021】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、作用電極
や対電極にピンホールや亀裂が生じたとしても、電子受
容体である、例えばフェリシアン化カリウムと導電性リ
ード部分に接することなく、さらに作用極においては銀
などの金属よりなるのリード部の酸化電流を完全に防止
することができ、高湿度環境下でも保存安定性に優れ
た、高品質のバイオセンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における血糖値測定セン
サの製造工程を示す分解図
【図2】本発明の一実施の形態における血糖値測定セン
サと従来の血糖値測定センサの全血精度(CV値)の比
較を示す図
【図3】従来の血糖値測定センサの製造工程を示す分解
【図4】従来の血糖値測定センサの分解斜視図
【符号の説明】
1 基板 2,3 導電性リード 2a,3a 接続端子 2b,3b 先端部 4 作用電極 5 対電極 6 絶縁層 7 反応層 8 スペーサー 9 カバー 10 検体供給溝 11 空気孔

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に形成された一対の導電性リ
    ード部と、その一方の導電性リード部の先端に、一部が
    その導電性リード部と重複するように前記基板上に形成
    された作用電極と、他方の導電性リード部の先端に、一
    部がその導電性リード部と重複するように前記基板上に
    形成された対電極と、前記両電極の上にその両電極を橋
    絡するように形成された検体液中の測定対象物と反応す
    る反応層とを有し、前記一対の導電性リード部を通じて
    得られる前記測定対象物と反応層との反応に基づく電流
    値から前記測定対象物の含有量を計測するバイオセンサ
    において、前記両導電性リード部の上方には前記両電極
    に接する前記反応層が設けられていないことを特徴とす
    るバイオセンサ。
  2. 【請求項2】 前記導電性リード部は金属により形成さ
    れ、作用電極と対電極はカーボンを主体とした材料によ
    り形成されていることを特徴とする請求項1記載のバイ
    オセンサ。
  3. 【請求項3】 前記反応層部は、先端に開口を有し、そ
    の開口に付着された検体液を前記反応層まで導く検体供
    給溝を有するカバーにより覆われており、前記検体供給
    溝の下方には前記導電性リード部が位置していないこと
    を特徴とする請求項1記載のバイオセンサ。
  4. 【請求項4】 前記反応層が少なくとも酵素と電子受容
    体を含むことを特徴とする請求項1記載のバイオセン
    サ。
  5. 【請求項5】 絶縁基板上に一対の導電性リード部を形
    成し、その一方の導電性リード部の先端に一部がその導
    電性リード部と重複するように作用電極を、他方の導電
    性リード部の先端に一部がその導電性リード部と重複す
    るように対電極をそれぞれ形成し、その両電極の前記導
    電性リード部上に形成された部分を覆うよう絶縁層を形
    成した後、前記両電極の上にその両電極を橋絡するよう
    に形成された検体液中の測定対象物と反応する反応層を
    設けるたことを特徴とするバイオセンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記導電性リード部は金属を主体とした
    ペーストにより形成され、作用電極と対電極はカーボン
    を主体としたペーストにより形成することを特徴とする
    請求項5記載のバイオセンサの製造方法。
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