JP2001254533A - 捩れ振動を制御した免震構造 - Google Patents
捩れ振動を制御した免震構造Info
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】 水平方向に配置した油圧シリンダを利用して
捩れ振動時に免震建物を捩れ振動方向に並進させること
により、免震建物外周部の水平変位を建物重心位置での
水平変位に近づけることが可能な免震構造を提供する。 【解決手段】 上下の構造体が形成する免震層に設置さ
れる捩れ振動制御装置1は、水平方向に配置した複数の
油圧シリンダ2と前記油圧シリンダ2を連結する配管3
とで構成され、前記油圧シリンダ2及び配管3の内部は
オイルで充満され、前記油圧シリンダ2は、捩れ振動を
生じ易い上部構造体に対して上部構造体の捩れ振動の制
御に効果的な位置に、上部構造体の捩れ振動と並進する
向きに配置され、そのシリンダ部がいずれか一方の構造
体へ取り付けられ、ロッド部が他方の構造体へ取り付け
られ、前記配管3は、前記複数の油圧シリンダ2が上部
構造体の捩れ振動と並進する向きに作動するように各油
圧シリンダ2間を相互に連結している。
捩れ振動時に免震建物を捩れ振動方向に並進させること
により、免震建物外周部の水平変位を建物重心位置での
水平変位に近づけることが可能な免震構造を提供する。 【解決手段】 上下の構造体が形成する免震層に設置さ
れる捩れ振動制御装置1は、水平方向に配置した複数の
油圧シリンダ2と前記油圧シリンダ2を連結する配管3
とで構成され、前記油圧シリンダ2及び配管3の内部は
オイルで充満され、前記油圧シリンダ2は、捩れ振動を
生じ易い上部構造体に対して上部構造体の捩れ振動の制
御に効果的な位置に、上部構造体の捩れ振動と並進する
向きに配置され、そのシリンダ部がいずれか一方の構造
体へ取り付けられ、ロッド部が他方の構造体へ取り付け
られ、前記配管3は、前記複数の油圧シリンダ2が上部
構造体の捩れ振動と並進する向きに作動するように各油
圧シリンダ2間を相互に連結している。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、捩れ振動を生じ
易い免震建物に好適に実施される捩れ振動を制御した免
震構造の技術分野に属する。 【0002】 【従来の技術】一般に、上下の構造体が形成する免震層
において、上部構造体(免震建物)に発生する捩れ振動
を制御する技術は、免震建物の柱の鉛直荷重とその直下
位置に設置される積層ゴムの剛性とを調整することによ
り行われる。しかし、柱の鉛直荷重と積層ゴムの剛性と
の比率を免震建物に用いられる全ての柱に対して完全同
一とすることは構造力学上不可能である。よって、免震
建物は前記比率のずれに起因し、ある程度の捩れ振動を
発生させている。 【0003】この捩れ振動は、免震建物の平面形状が小
さい場合は積層ゴム全体の変位に比べて小さなものであ
るためさして問題とはならない。ところが、免震建物の
平面形状が大きくなるにしたがい、特に平面が長方形状
の免震建物は、図11の点線で示したように、建物aの
外周部における捩れ振動は無視できないものとなる。例
えば、配管やラインを有するプラントや工場、発電所な
どは平面的に大きな設備を有するので捩れ振動が生じ易
く、地震等における捩れ振動を受けたときには、水平変
形を許容できない配管やラインが破損し、大きな災害や
企業運営上の被害が発生する虞がある。 【0004】そこで、近年、地震等における捩れ振動を
制御するに適した新たな免震構造が、例えば、特開平6
−66347号公報、特開平7−150809号公報
(特許第2888117号)、特開平9−41713号
公報、特開平10−37517号公報、特開平10−2
05163号公報等に種々開示されている。 【0005】 【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
各公報に開示した免震構造は、既に発生した捩れ振動を
ダンパー等の減衰装置によりいかに低減させるかに着目
した技術がほとんどで、捩れ振動発生と同時に制御する
技術は今のところ見当たらない。 【0006】なるほど、前記特開平7−150809号
公報(以下、公報という)の図2、及び前記特開平9
−41713号公報(以下、公報という)の図24に
は、シリンダを使用してロッキング振動発生と同時にロ
ッキング振動を制御する技術が開示されてはいる。この
技術は、捩れ振動とロッキング振動と課題は相違するも
のの、公知の「シリンダの直列結合による回路」を応用
して免震構造に実施している点で注目される。 【0007】しかしながら、前記技術は、シリンダ部を
鉛直方向に設けて免震建物を直接支持していることに起
因し、下記する問題がある。 I) 前記公報の図2等に開示された技術によると、
シリンダ部の変位は非常に小さく、むしろシリンダにか
かる力で制御することになる。従って、各部の剛性やオ
イルの圧縮性などが制御に大きく影響するため有効に作
動しない。 II) 前記公報の図24に開示された技術によると、
前記I)の問題点に加え、受圧面積が異なる片ロッドタ
イプのシリンダを使用しているので、例えば、図24中
のピストン99が上方へ動いた場合、油室105から出
る油の量と油室103に入る油の量は異なるので、図示
例の油圧系統ではシリンダは全く動かない。 【0008】したがって、本発明の目的は、水平方向に
配置した油圧シリンダを利用して、捩れ振動時に免震建
物を捩れ振動方向に並進させることにより、免震建物外
周部の水平変位を、図10に示したように、建物重心位
置での水平変位に近づけることが可能な、捩れ振動を制
御した免震構造を提供することにある。 【0009】本発明の次の目的は、捩れ振動制御装置内
部で発生が予想されるキャビテーションを完全に防止す
ることにより、効率的かつ恒久的に捩れ振動制御装置を
機能させることができる捩れ振動を制御した免震構造を
提供することにある。 【0010】本発明の更なる目的は、配管やラインを有
するプラント、工場、発電所など捩れ振動が生じ易い免
震建物に好適に実施でき、免震建物の災害防止や企業運
営上の被害縮小に大きく寄与する捩れ振動を制御した免
震構造を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題を解
決するための手段として、請求項1に記載した発明に係
る捩れ振動を制御した免震構造は、上下の構造体が形成
する免震層に、免震装置と共に、捩れ振動を制御する捩
れ振動制御装置を設置して成る免震構造において、前記
捩れ振動制御装置は、水平方向に配置した複数の油圧シ
リンダと前記油圧シリンダを連結する配管とで構成さ
れ、前記油圧シリンダ及び配管の内部はオイルで充満さ
れていること、前記油圧シリンダは、捩れ振動を生じ易
い上部構造体に対して、上部構造体の捩れ振動の制御に
効果的な位置に、上部構造体の捩れ振動と並進する向き
に配置され、そのシリンダ部がいずれか一方の構造体へ
取り付けられ、ロッド部が他方の構造体へ取り付けられ
ていること、前記配管は、前記複数の油圧シリンダが上
部構造体の捩れ振動と並進する向きに作動するように各
油圧シリンダ間を相互に連結していること、をそれぞれ
特徴とする。 【0012】請求項2に記載した発明は、請求項1に記
載した捩れ振動を制御した免震構造において、捩れ振動
制御装置は、ピストン速度が同じで上部構造体の捩れ振
動と並進する向きに配置された一対の両ロッドタイプの
油圧シリンダと、前記一対の油圧シリンダを相互に連結
した配管とから成る制御単位を少なくとも1単位有して
いること、前記制御単位の一対の油圧シリンダは、ピス
トンにより隔てられた前後二つの油室について、一方の
油圧シリンダの前室と他方の油圧シリンダの後室、及び
一方の油圧シリンダの後室と他方の油圧シリンダの前室
がそれぞれ配管により連結されていることを特徴とす
る。 【0013】請求項3に記載した発明は、請求項1に記
載した捩れ振動を制御した免震構造において、捩れ振動
制御装置は、ピストン速度が同じで上部構造体の捩れ振
動と並進する向きに配置された少なくとも3体の両ロッ
ドタイプの油圧シリンダと、前記少なくとも3体の油圧
シリンダを相互に連結した配管とから成ること、前記の
各油圧シリンダはピストンにより隔てられた前後2つの
油室について、3体の場合には、第一の油圧シリンダの
前室を第二の油圧シリンダの後室と、第二の油圧シリン
ダの前室を第三の油圧シリンダの後室と、第三の油圧シ
リンダの前室を第一の油圧シリンダの後室と、それぞれ
配管によって直列に連結されているとを特徴とする。 【0014】請求項4に記載した発明は、請求項1〜3
のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造
において、油圧シリンダのシリンダ部及びロッド部はそ
れぞれ、上下の構造体へヒンジにより水平方向の回動が
自在に取り付けられていることを特徴とする。 【0015】請求項5に記載した発明は、請求項1〜4
のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造
において、捩れ振動制御装置の配管に逆止弁とアキュム
レータから成る予圧付与機構が設けられていることを特
徴とする。 【0016】請求項6に記載した発明は、請求項1〜4
のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造
において、捩れ振動制御装置の配管に、配管系統内の圧
力の最小値と最大値をリリーフ弁で制御してキャビテー
ションを防止する圧力制御回路が設けられていることを
特徴とする。 【0017】請求項7に記載した発明は、請求項6に記
載した捩れ振動を制御した免震構造において、圧力制御
回路に、同圧力制御回路の配管内の圧力を感知して一定
圧力以下になったときに油圧源を作動させる、圧力低下
検知回路が付設されていることを特徴とする。 【0018】請求項8に記載した発明は、請求項1〜7
のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造
において、捩れ振動制御装置の各配管に減衰用の絞り弁
が設けられていることを特徴とする。 【0019】請求項9に記載した発明は、請求項1〜8
のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造
において、捩れ振動制御装置の油圧源に、地震時におい
てのみ油圧が供給されるように制御するトリガー装置が
地震計と連動して設けられていることを特徴とする。 【0020】 【発明の実施の形態、及び実施例】図1〜図3は、請求
項1に記載した発明に係る捩れ振動を制御した免震構造
の実施形態を示している。この捩れ振動を制御した免震
構造は、捩れ振動を生じ易い免震建物、即ち配管やライ
ンを有するプラント、工場、発電所など平面的に大きな
設備を有する免震建物に好適に実施される。 【0021】前記捩れ振動を制御した免震構造は、上下
の構造体4、5が形成する免震層6に、免震装置(積層
ゴム)11と共に、捩れ振動を制御する捩れ振動制御装
置1を設置して成る。 【0022】前記捩れ振動制御装置1は、水平方向に配
置した複数(本実施形態では2体)の油圧シリンダ2と
前記油圧シリンダ2を連結する配管3とで構成され、前
記油圧シリンダ2及び配管3の内部はオイル20で充満
されている。 【0023】前記油圧シリンダ2、2は、捩れ振動を生
じ易い平面が長方形状の上部構造体(免震建物)4に対
して、上部構造体4の捩れ振動の制御に効果的な位置
に、上部構造体の捩れ振動と並進する向きに配置され、
そのシリンダ部2aが下方の取付け部材9を介して下部
構造体5へ溶接等の手段により取り付けられ、ロッド部
2bが上方の取付け部材10を介して上部構造体4へ溶
接等の手段により取り付けられている。 【0024】前記配管3は、前記複数の油圧シリンダ
2、2が上部構造体4の捩れ振動と並進する向きに作動
するように各油圧シリンダ2、2間を相互に連結してい
る。 【0025】なお、前記油圧シリンダ2のシリンダ部2
aを上部構造体4へ取り付け、ロッド部2bを下部構造
体5へ取り付けて実施しても良い。また、前記油圧シリ
ンダ2は、2体以上であれば良く、3体でも4体以上で
も実施できる(請求項1記載の発明)。 【0026】前記捩れ振動制御装置1は、ピストン速度
が同じで上部構造体4の捩れ振動と並進する向きに配置
された一対の両ロッドタイプの油圧シリンダ2、2と、
前記一対の油圧シリンダを相互に連結した配管3、3と
から成る制御単位21を1単位有しており、前記制御単
位21の一対の油圧シリンダ2、2は、ピストン7によ
り隔てられた前後二つの油室について、一方の油圧シリ
ンダ2の前室8aと他方の油圧シリンダ2の後室8b、
及び一方の油圧シリンダ2の後室8bと他方の油圧シリ
ンダ2の前室8aがそれぞれ配管3、3により互い違い
の交差配置に連結されている。なお、前記捩れ振動制御
装置1に係る制御単位21は、免震建物の大きさ、形状
に応じて2乃至3単位以上(後述する図7参照)設けて
実施することもできる(請求項2記載の発明)。 【0027】本実施形態の場合、前記捩れ振動制御装置
1(制御ユニット21)の一対の油圧シリンダ2、2は
それぞれ、上部構造体4の捩れ振動の制御に効果的な位
置、即ち、捩れ振動が大きく現れる上部構造体4の短辺
側に沿って1体ずつ略平行に設置して実施している。 【0028】したがって、上記構成の捩れ振動を制御し
た免震構造は、例えば、捩れ振動時に免震建物4が図2
の左側(矢印L側)へ変位した場合を、図3に基づき平
面的に見た状態で説明すると、右側油圧シリンダ2のピ
ストン7は左側油圧シリンダ2のピストン7の位置に比
べて相対的に下方になる。このとき、右側油圧シリンダ
2の後室8bと左側油圧シリンダ2の前室8aと両者を
連結する配管3に充満されているオイル20は圧縮され
る。該圧縮されたオイル20により左側油圧シリンダ2
のピストン7は下方へ動くので、前記免震建物4は全体
的に下方に並進することとなり、その結果、図9に示し
たように、建物外周部における短辺側の水平変位を建物
重心位置での水平変位に近づけることが可能となる。 【0029】逆に、免震建物4に捩れ振動が生じて図2
の右側(矢印R側)へ変位した場合を図3に基づき平面
的に見た状態で説明すると、右側油圧シリンダ2のピス
トン7は左側油室シリンダ2のピストン7の位置に比べ
て相対的に上方になる。このとき、右側油圧シリンダ2
の前室8aと左側油圧シリンダ2の後室8bと両者を連
結する配管3に含まれるオイル20は圧縮される。該圧
縮されたオイル20により左側油圧シリンダ2のピスト
ン7は上方へ動くので、前記免震建物4は全体的に上方
に並進運動することとなり、その結果、図10に示した
ように、建物外周部における短辺側の水平変位を建物重
心位置での水平変位に近づけることが可能となる。 【0030】以上のように、本発明に係る捩れ振動を制
御した免震構造によれば、免震建物4に対して捩れ振動
発生と同時に制御でき、図9と図10に示したように、
建物外周部における短辺側の水平変位を建物重心位置で
の水平変位に近づけることが可能となる。よって、免震
建物4の災害防止や企業運営上の被害縮小に大きく寄与
することができる。 【0031】図4A,Bは、前記捩れ振動制御装置1の
油圧シリンダ2におけるシリンダ部2aとロッド部2b
が、上下の構造体4、5へヒンジ12により水平方向の
回動が自在に取り付けられた実施形態を示している(請
求項4記載の発明)。この実施形態の場合、上部構造体
(免震建物)4は、前記した作用効果に加え水平平面内
に2次元的に自在に動くことができるので、フレキシブ
ルな制御が可能となる。 【0032】図5は、前記捩れ振動制御装置1の各配管
3、3に減衰用の絞り弁13、13が設けられた実施形
態を示している(請求項8記載の発明)。この絞り弁1
3、13の作用により、油圧シリンダ2のピストン7が
動くときに生じるオイル20の流れに対して減衰力を付
与することができ、捩れ変位を制御すると同時にダンパ
ー機構として働かせることもできる。 【0033】図6は、前記捩れ振動制御装置1の配管
3、3に逆止弁(チェック弁)15とアキュムレータ1
6から成る予圧付与機構14が設けられた実施形態を示
している(請求項5記載の発明)。 【0034】前記捩れ振動制御装置1は、基本的に、い
わゆる「正圧」となった油圧系統が中心となって捩れ振
動を制御するのであるが、油圧配管の剛性やオイル20
の圧縮性などにより正圧になっていない側の系統では
「負圧」によるキャビテーションが生じる虞がある。こ
の「負圧」によるキャビテーションを回避し油圧系統を
安定に作動させるために油圧系統内に予圧を与えておく
必要がある。さらに、この予圧以下の圧力になった場合
にも、すぐに負圧になる現象を防止する必要がある。こ
れを可能とするために、前記配管3、3に逆止弁15と
アキュムレータ16から成る予圧付与機構14を設け
た。 【0035】具体的に、前記逆止弁15は、配管3、3
内の予圧以上の高圧を維持する。図6中の符号Aから圧
力を与えることにより、配管3、3内に同じ予圧が与え
られ油圧シリンダ2、2のピストン7、7をバランスさ
せながら予圧を与える。また、アキュムレータ16内に
も同じ予圧が蓄積され更に予備のオイル20が貯蔵され
ている。こうすることにより、仮に、いずれかの配管3
の中の圧力が予圧より下がったとしても、アキュムレー
タ16内のオイル20がなくならない限り配管系統に負
圧は生じず、よって、キャビテーションを発生させるこ
となく円滑に油圧シリンダ2、2を作動させることがで
きる。 【0036】ところで、図12は、捩れ振動制御装置1
の配管3に、配管系統内の圧力の最小値と最大値をリリ
ーフ弁18、19で制御してキャビテーションを防止す
る圧力制御回路が設けられた実施形態を示している(請
求項6記載の発明)。この圧力制御回路は、図6に基づ
いて説明した前記予圧付与機構14によるキャビテーシ
ョン防止機能を飛躍的に向上させたものである。と云う
のも、前記予圧付与機構14は、時々発生する負圧によ
るキャビテーションは防止できるが、負圧が多発した場
合には、アキュムレータ16から油圧シリンダ2、2を
繋ぐ配管3内に送られるオイル20の量が非常に多くな
り、配管3内の圧力を高めてしまい、オイル20の圧力
伝達機能を達成できず、キャビテーション防止機能とし
て万全とは云えないからである。 【0037】図12中、回路Xは、油圧源から供給する
圧力より配管3内の圧力が小さくなった部分に油圧源か
らの供給圧力を繋げるチェック弁機構群22、及び配管
3を過大圧力から守る最大圧を規定するリリーフ弁18
とから構成されている。回路Yは、配管3の低圧側を常
にリリーフ弁19に繋いである。これにより最小圧を回
路Yにおける設定圧力で規定でき、もって、負圧が多発
した場合にもキャビテーションを完全に防止することが
できるのである。 【0038】図13は、減衰力を付与する絞り弁23の
両側に前記回路X、Yを配置し、絞り弁23によって発
生する負圧が絞り弁23のいずれの側で生じても対応で
きるようにした圧力制御回路を示している。この絞り弁
23、23の作用により、油圧シリンダ2のピストン7
が動くときに生じるオイル20の流れに対して減衰力を
付与することができ、捩れ変位を制御すると同時にダン
パー機構として働かせることもできる。更に、負圧が多
発した場合にキャビテーションを完全に防止することが
できる。 【0039】ところで、図12及び図13に基づいて説
明した圧力制御回路は、このままでは常時油圧を供給し
続けないと最低圧を回路内に保つことが出来ない。しか
しながら、前記圧力制御回路はすべて免震構造としての
油圧回路であるために地震時以外に作動する必要はな
く、地震時においてのみ油圧が供給されるようにすれば
足りる。この点に鑑み、図14は、図13に示した圧力
制御回路に、配管3内の圧力を感知して一定圧力以下に
なったときに油圧源を作動させる、圧力低下検知圧力ス
イッチ24とアキュムレータ25等から成る圧力低下検
知回路Gが付設された捩れ振動制御装置の実施形態を示
している(請求項7記載の発明)。この捩れ振動制御装
置によれば、常時油圧を供給し続けなくても最低圧を回
路内に保つことができる。 【0040】その他、図示は省略するが、捩れ振動制御
装置の油圧源に、地震時においてのみ油圧が供給される
ように制御するトリガー装置を地震計と連動して設けて
実施しても略同様の作用効果を奏する(請求項9記載の
発明)。 【0041】図7は、平面形状が大きくしかも複雑な免
震建物24に実施される前記捩れ振動を制御した免震構
造を示している。前記平面形状が大きくしかも複雑な免
震建物24に適用する場合、前記捩れ振動制御装置1の
制御単位21を複数単位設置した免震構造が好適に実施
される。ここで、前記免震建物24の任意の部位を符号
〜で示す。また、油圧シリンダ2の軸方向をY、該
軸方向Yに対し直交方向をXとする。 【0042】図示例で実施される捩れ振動制御装置31
は、前記制御単位21を、上部構造体24の捩れ振動の
制御に効果的な位置に、上部構造体の捩れ振動と並進す
る向きに計4単位、すなわち前記油圧シリンダ2を計8
体、配管3を8本設置して実施している。 【0043】図示例のような、平面形状が大きくしかも
複雑な免震建物24は、建物各部の水平変位は捩れ振動
ばかりでなく免震建物24の平面内の撓みにより複雑な
動きとなる。よって、免震建物24の〜の部位はそ
れぞれY方向の動きが異なってくる。これを強制するた
めに、〜、〜、〜の部位にそれぞれ前記制
御ユニット21を設置することより、上部構造体のか
らまでの動きと、からまでの動きを同一方向に強
制している。更に、からまでの部位とからまで
の部位ではX方向の動きが異なってくるため、両者の間
に更に前記制御単位21を設置している。 【0044】前記のように制御単位21を設置すること
により、免震建物24の全体の動きをXとYの並進運動
のみとし、捩れ振動や平面的な撓みも制御できるのであ
る。なお、前記捩れ振動制御装置31における制御単位
21の個数は勿論これに限定されない。免震建物の大き
さ、複雑さに応じた個数の制御単位21が、捩れ振動や
撓みに効果的な部位に、免震建物が並進する向きで設置
される。 【0045】図8は、図7に示した免震建物24の〜
の部位にそれぞれ設置した5体の油圧シリンダ2を5
本の配管により直列に連結して成る捩れ振動制御装置1
7の実施形態を示している。 【0046】前記捩れ振動制御装置17は、ピストン速
度が同じで上部構造体24の捩れ振動と並進する向きに
配置される少なくとも3体(本実施形態では5体)の両
ロッドタイプの油圧シリンダ2と、前記少なくとも3体
の油圧シリンダ2を相互に連結した配管3とから成り、
前記の各油圧シリンダ2はピストン7により隔てられた
前後2つの油室について、第一の油圧シリンダ2の前室
を第二の油圧シリンダの後室と、第二の油圧シリンダ2
の前室を第三の油圧シリンダ2の後室と、第三の油圧シ
リンダ2の前室を第四の油圧シリンダ2の後室と、第四
の油圧シリンダ2の前室を第五の油圧シリンダ2の後室
と、第五の油圧シリンダ2の前室を第一の油圧シリンダ
の後室と、それぞれ配管3によって直列に連結されてい
る(請求項3記載の発明)。 【0047】前記捩れ振動を制御した免震構造による
と、免震建物24に捩れ振動が生じた場合、前記免震建
物4が、図2の左側又は右側へ変位した場合を図3に基
づき平面的に見た状態で説明したと同様に、圧縮又は膨
張したオイル作用により、前記免震建物24は、全体的
に上下左右に並進することとなり、その結果、図7に示
した実施形態と略同様に捩れや平面的な撓みも制御でき
るのである。 【0048】また、前記捩れ振動制御装置17は前記捩
れ振動制御装置1(制御単位21)と同様に、前記捩れ
振動制御装置17の油圧シリンダ2におけるシリンダ部
2aとロッド部2bが、上下の構造体へヒンジ12によ
り水平方向回動自在に設けて実施できる(請求項4記載
の発明)。また、各配管3に減衰用の絞り弁13を設け
て実施することもでき(請求項8記載の発明)、配管3
に逆止弁15とアキュムレータ16から成る予圧付与機
構14を設けて実施することもできる(請求項5記載の
発明)。更に、図12に示したように、前記捩れ振動制
御装置17の配管3に配管系統内の圧力の最小値と最大
値をリリーフ弁19、18で制御してキャビテーション
を防止する圧力制御回路を設けて実施することもでき
(請求項6記載の発明)、前記圧力制御回路の配管3内
の圧力を感知して一定圧力以下になったときに油圧源を
作動させる、圧力低下検知回路Gを付設して実施するこ
ともできる(請求項7記載の発明)。もちろん、捩れ振
動制御装置17の油圧源に、地震時においてのみ油圧が
供給されるように制御するトリガー装置を地震計と連動
して設けて実施することもできる(請求項9記載の発
明)。 【0049】以上に各実施形態を図面に基づいて説明し
たが、本発明は、これら実施形態の限りではなく、その
技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に
行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むこと
を念のため言及する。 【0050】 【本発明が奏する効果】請求項1〜9に記載した発明に
係る捩れ振動を制御した免震構造によれば、1) 水平方向に配置した油圧シリンダを利用して、捩
れ振動時に免震建物を捩れ振動方向に並進させることに
より、免震建物外周部の水平変位を建物重心位置での水
平変位に近づけることができるので、配管やラインを有
するプラント、工場、発電所など捩れ振動が生じ易い免
震建物に好適に実施でき、免震建物の災害防止や企業運
営上の被害縮小に大きく寄与することができる。また、
平面形状が大きくしかも複雑な建物、即ち、捩れ振動だ
けでなく平面内の撓みにより複雑な動きとなる建物に対
しても好適に実施することができる。2) また、 捩れ振動制御装置の油圧シリンダをヒンジ
により構造体へ固定することにより、捩れ振動をフレキ
シブルに制御することができる。捩れ振動制御装置の配
管に減衰用の絞り弁を設けることによりダンパー機構と
して作用させることもできる。捩れ振動制御装置の配管
に逆止弁とアキュムレータから成る予圧付与機構を設け
て実施することにより、捩れ振動を恒久的に安定して制
御することもできる。3) 更に、捩れ振動制御装置に、負圧によるキャビテ
ーションの発生を完全に防止する圧力制御回路等を付設
することにより、効率的かつ恒久的に捩れ振動制御装置
を機能させることができる捩れ振動を制御した免震構造
を提供することができる。
易い免震建物に好適に実施される捩れ振動を制御した免
震構造の技術分野に属する。 【0002】 【従来の技術】一般に、上下の構造体が形成する免震層
において、上部構造体(免震建物)に発生する捩れ振動
を制御する技術は、免震建物の柱の鉛直荷重とその直下
位置に設置される積層ゴムの剛性とを調整することによ
り行われる。しかし、柱の鉛直荷重と積層ゴムの剛性と
の比率を免震建物に用いられる全ての柱に対して完全同
一とすることは構造力学上不可能である。よって、免震
建物は前記比率のずれに起因し、ある程度の捩れ振動を
発生させている。 【0003】この捩れ振動は、免震建物の平面形状が小
さい場合は積層ゴム全体の変位に比べて小さなものであ
るためさして問題とはならない。ところが、免震建物の
平面形状が大きくなるにしたがい、特に平面が長方形状
の免震建物は、図11の点線で示したように、建物aの
外周部における捩れ振動は無視できないものとなる。例
えば、配管やラインを有するプラントや工場、発電所な
どは平面的に大きな設備を有するので捩れ振動が生じ易
く、地震等における捩れ振動を受けたときには、水平変
形を許容できない配管やラインが破損し、大きな災害や
企業運営上の被害が発生する虞がある。 【0004】そこで、近年、地震等における捩れ振動を
制御するに適した新たな免震構造が、例えば、特開平6
−66347号公報、特開平7−150809号公報
(特許第2888117号)、特開平9−41713号
公報、特開平10−37517号公報、特開平10−2
05163号公報等に種々開示されている。 【0005】 【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
各公報に開示した免震構造は、既に発生した捩れ振動を
ダンパー等の減衰装置によりいかに低減させるかに着目
した技術がほとんどで、捩れ振動発生と同時に制御する
技術は今のところ見当たらない。 【0006】なるほど、前記特開平7−150809号
公報(以下、公報という)の図2、及び前記特開平9
−41713号公報(以下、公報という)の図24に
は、シリンダを使用してロッキング振動発生と同時にロ
ッキング振動を制御する技術が開示されてはいる。この
技術は、捩れ振動とロッキング振動と課題は相違するも
のの、公知の「シリンダの直列結合による回路」を応用
して免震構造に実施している点で注目される。 【0007】しかしながら、前記技術は、シリンダ部を
鉛直方向に設けて免震建物を直接支持していることに起
因し、下記する問題がある。 I) 前記公報の図2等に開示された技術によると、
シリンダ部の変位は非常に小さく、むしろシリンダにか
かる力で制御することになる。従って、各部の剛性やオ
イルの圧縮性などが制御に大きく影響するため有効に作
動しない。 II) 前記公報の図24に開示された技術によると、
前記I)の問題点に加え、受圧面積が異なる片ロッドタ
イプのシリンダを使用しているので、例えば、図24中
のピストン99が上方へ動いた場合、油室105から出
る油の量と油室103に入る油の量は異なるので、図示
例の油圧系統ではシリンダは全く動かない。 【0008】したがって、本発明の目的は、水平方向に
配置した油圧シリンダを利用して、捩れ振動時に免震建
物を捩れ振動方向に並進させることにより、免震建物外
周部の水平変位を、図10に示したように、建物重心位
置での水平変位に近づけることが可能な、捩れ振動を制
御した免震構造を提供することにある。 【0009】本発明の次の目的は、捩れ振動制御装置内
部で発生が予想されるキャビテーションを完全に防止す
ることにより、効率的かつ恒久的に捩れ振動制御装置を
機能させることができる捩れ振動を制御した免震構造を
提供することにある。 【0010】本発明の更なる目的は、配管やラインを有
するプラント、工場、発電所など捩れ振動が生じ易い免
震建物に好適に実施でき、免震建物の災害防止や企業運
営上の被害縮小に大きく寄与する捩れ振動を制御した免
震構造を提供することにある。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記従来技術の課題を解
決するための手段として、請求項1に記載した発明に係
る捩れ振動を制御した免震構造は、上下の構造体が形成
する免震層に、免震装置と共に、捩れ振動を制御する捩
れ振動制御装置を設置して成る免震構造において、前記
捩れ振動制御装置は、水平方向に配置した複数の油圧シ
リンダと前記油圧シリンダを連結する配管とで構成さ
れ、前記油圧シリンダ及び配管の内部はオイルで充満さ
れていること、前記油圧シリンダは、捩れ振動を生じ易
い上部構造体に対して、上部構造体の捩れ振動の制御に
効果的な位置に、上部構造体の捩れ振動と並進する向き
に配置され、そのシリンダ部がいずれか一方の構造体へ
取り付けられ、ロッド部が他方の構造体へ取り付けられ
ていること、前記配管は、前記複数の油圧シリンダが上
部構造体の捩れ振動と並進する向きに作動するように各
油圧シリンダ間を相互に連結していること、をそれぞれ
特徴とする。 【0012】請求項2に記載した発明は、請求項1に記
載した捩れ振動を制御した免震構造において、捩れ振動
制御装置は、ピストン速度が同じで上部構造体の捩れ振
動と並進する向きに配置された一対の両ロッドタイプの
油圧シリンダと、前記一対の油圧シリンダを相互に連結
した配管とから成る制御単位を少なくとも1単位有して
いること、前記制御単位の一対の油圧シリンダは、ピス
トンにより隔てられた前後二つの油室について、一方の
油圧シリンダの前室と他方の油圧シリンダの後室、及び
一方の油圧シリンダの後室と他方の油圧シリンダの前室
がそれぞれ配管により連結されていることを特徴とす
る。 【0013】請求項3に記載した発明は、請求項1に記
載した捩れ振動を制御した免震構造において、捩れ振動
制御装置は、ピストン速度が同じで上部構造体の捩れ振
動と並進する向きに配置された少なくとも3体の両ロッ
ドタイプの油圧シリンダと、前記少なくとも3体の油圧
シリンダを相互に連結した配管とから成ること、前記の
各油圧シリンダはピストンにより隔てられた前後2つの
油室について、3体の場合には、第一の油圧シリンダの
前室を第二の油圧シリンダの後室と、第二の油圧シリン
ダの前室を第三の油圧シリンダの後室と、第三の油圧シ
リンダの前室を第一の油圧シリンダの後室と、それぞれ
配管によって直列に連結されているとを特徴とする。 【0014】請求項4に記載した発明は、請求項1〜3
のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造
において、油圧シリンダのシリンダ部及びロッド部はそ
れぞれ、上下の構造体へヒンジにより水平方向の回動が
自在に取り付けられていることを特徴とする。 【0015】請求項5に記載した発明は、請求項1〜4
のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造
において、捩れ振動制御装置の配管に逆止弁とアキュム
レータから成る予圧付与機構が設けられていることを特
徴とする。 【0016】請求項6に記載した発明は、請求項1〜4
のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造
において、捩れ振動制御装置の配管に、配管系統内の圧
力の最小値と最大値をリリーフ弁で制御してキャビテー
ションを防止する圧力制御回路が設けられていることを
特徴とする。 【0017】請求項7に記載した発明は、請求項6に記
載した捩れ振動を制御した免震構造において、圧力制御
回路に、同圧力制御回路の配管内の圧力を感知して一定
圧力以下になったときに油圧源を作動させる、圧力低下
検知回路が付設されていることを特徴とする。 【0018】請求項8に記載した発明は、請求項1〜7
のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造
において、捩れ振動制御装置の各配管に減衰用の絞り弁
が設けられていることを特徴とする。 【0019】請求項9に記載した発明は、請求項1〜8
のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造
において、捩れ振動制御装置の油圧源に、地震時におい
てのみ油圧が供給されるように制御するトリガー装置が
地震計と連動して設けられていることを特徴とする。 【0020】 【発明の実施の形態、及び実施例】図1〜図3は、請求
項1に記載した発明に係る捩れ振動を制御した免震構造
の実施形態を示している。この捩れ振動を制御した免震
構造は、捩れ振動を生じ易い免震建物、即ち配管やライ
ンを有するプラント、工場、発電所など平面的に大きな
設備を有する免震建物に好適に実施される。 【0021】前記捩れ振動を制御した免震構造は、上下
の構造体4、5が形成する免震層6に、免震装置(積層
ゴム)11と共に、捩れ振動を制御する捩れ振動制御装
置1を設置して成る。 【0022】前記捩れ振動制御装置1は、水平方向に配
置した複数(本実施形態では2体)の油圧シリンダ2と
前記油圧シリンダ2を連結する配管3とで構成され、前
記油圧シリンダ2及び配管3の内部はオイル20で充満
されている。 【0023】前記油圧シリンダ2、2は、捩れ振動を生
じ易い平面が長方形状の上部構造体(免震建物)4に対
して、上部構造体4の捩れ振動の制御に効果的な位置
に、上部構造体の捩れ振動と並進する向きに配置され、
そのシリンダ部2aが下方の取付け部材9を介して下部
構造体5へ溶接等の手段により取り付けられ、ロッド部
2bが上方の取付け部材10を介して上部構造体4へ溶
接等の手段により取り付けられている。 【0024】前記配管3は、前記複数の油圧シリンダ
2、2が上部構造体4の捩れ振動と並進する向きに作動
するように各油圧シリンダ2、2間を相互に連結してい
る。 【0025】なお、前記油圧シリンダ2のシリンダ部2
aを上部構造体4へ取り付け、ロッド部2bを下部構造
体5へ取り付けて実施しても良い。また、前記油圧シリ
ンダ2は、2体以上であれば良く、3体でも4体以上で
も実施できる(請求項1記載の発明)。 【0026】前記捩れ振動制御装置1は、ピストン速度
が同じで上部構造体4の捩れ振動と並進する向きに配置
された一対の両ロッドタイプの油圧シリンダ2、2と、
前記一対の油圧シリンダを相互に連結した配管3、3と
から成る制御単位21を1単位有しており、前記制御単
位21の一対の油圧シリンダ2、2は、ピストン7によ
り隔てられた前後二つの油室について、一方の油圧シリ
ンダ2の前室8aと他方の油圧シリンダ2の後室8b、
及び一方の油圧シリンダ2の後室8bと他方の油圧シリ
ンダ2の前室8aがそれぞれ配管3、3により互い違い
の交差配置に連結されている。なお、前記捩れ振動制御
装置1に係る制御単位21は、免震建物の大きさ、形状
に応じて2乃至3単位以上(後述する図7参照)設けて
実施することもできる(請求項2記載の発明)。 【0027】本実施形態の場合、前記捩れ振動制御装置
1(制御ユニット21)の一対の油圧シリンダ2、2は
それぞれ、上部構造体4の捩れ振動の制御に効果的な位
置、即ち、捩れ振動が大きく現れる上部構造体4の短辺
側に沿って1体ずつ略平行に設置して実施している。 【0028】したがって、上記構成の捩れ振動を制御し
た免震構造は、例えば、捩れ振動時に免震建物4が図2
の左側(矢印L側)へ変位した場合を、図3に基づき平
面的に見た状態で説明すると、右側油圧シリンダ2のピ
ストン7は左側油圧シリンダ2のピストン7の位置に比
べて相対的に下方になる。このとき、右側油圧シリンダ
2の後室8bと左側油圧シリンダ2の前室8aと両者を
連結する配管3に充満されているオイル20は圧縮され
る。該圧縮されたオイル20により左側油圧シリンダ2
のピストン7は下方へ動くので、前記免震建物4は全体
的に下方に並進することとなり、その結果、図9に示し
たように、建物外周部における短辺側の水平変位を建物
重心位置での水平変位に近づけることが可能となる。 【0029】逆に、免震建物4に捩れ振動が生じて図2
の右側(矢印R側)へ変位した場合を図3に基づき平面
的に見た状態で説明すると、右側油圧シリンダ2のピス
トン7は左側油室シリンダ2のピストン7の位置に比べ
て相対的に上方になる。このとき、右側油圧シリンダ2
の前室8aと左側油圧シリンダ2の後室8bと両者を連
結する配管3に含まれるオイル20は圧縮される。該圧
縮されたオイル20により左側油圧シリンダ2のピスト
ン7は上方へ動くので、前記免震建物4は全体的に上方
に並進運動することとなり、その結果、図10に示した
ように、建物外周部における短辺側の水平変位を建物重
心位置での水平変位に近づけることが可能となる。 【0030】以上のように、本発明に係る捩れ振動を制
御した免震構造によれば、免震建物4に対して捩れ振動
発生と同時に制御でき、図9と図10に示したように、
建物外周部における短辺側の水平変位を建物重心位置で
の水平変位に近づけることが可能となる。よって、免震
建物4の災害防止や企業運営上の被害縮小に大きく寄与
することができる。 【0031】図4A,Bは、前記捩れ振動制御装置1の
油圧シリンダ2におけるシリンダ部2aとロッド部2b
が、上下の構造体4、5へヒンジ12により水平方向の
回動が自在に取り付けられた実施形態を示している(請
求項4記載の発明)。この実施形態の場合、上部構造体
(免震建物)4は、前記した作用効果に加え水平平面内
に2次元的に自在に動くことができるので、フレキシブ
ルな制御が可能となる。 【0032】図5は、前記捩れ振動制御装置1の各配管
3、3に減衰用の絞り弁13、13が設けられた実施形
態を示している(請求項8記載の発明)。この絞り弁1
3、13の作用により、油圧シリンダ2のピストン7が
動くときに生じるオイル20の流れに対して減衰力を付
与することができ、捩れ変位を制御すると同時にダンパ
ー機構として働かせることもできる。 【0033】図6は、前記捩れ振動制御装置1の配管
3、3に逆止弁(チェック弁)15とアキュムレータ1
6から成る予圧付与機構14が設けられた実施形態を示
している(請求項5記載の発明)。 【0034】前記捩れ振動制御装置1は、基本的に、い
わゆる「正圧」となった油圧系統が中心となって捩れ振
動を制御するのであるが、油圧配管の剛性やオイル20
の圧縮性などにより正圧になっていない側の系統では
「負圧」によるキャビテーションが生じる虞がある。こ
の「負圧」によるキャビテーションを回避し油圧系統を
安定に作動させるために油圧系統内に予圧を与えておく
必要がある。さらに、この予圧以下の圧力になった場合
にも、すぐに負圧になる現象を防止する必要がある。こ
れを可能とするために、前記配管3、3に逆止弁15と
アキュムレータ16から成る予圧付与機構14を設け
た。 【0035】具体的に、前記逆止弁15は、配管3、3
内の予圧以上の高圧を維持する。図6中の符号Aから圧
力を与えることにより、配管3、3内に同じ予圧が与え
られ油圧シリンダ2、2のピストン7、7をバランスさ
せながら予圧を与える。また、アキュムレータ16内に
も同じ予圧が蓄積され更に予備のオイル20が貯蔵され
ている。こうすることにより、仮に、いずれかの配管3
の中の圧力が予圧より下がったとしても、アキュムレー
タ16内のオイル20がなくならない限り配管系統に負
圧は生じず、よって、キャビテーションを発生させるこ
となく円滑に油圧シリンダ2、2を作動させることがで
きる。 【0036】ところで、図12は、捩れ振動制御装置1
の配管3に、配管系統内の圧力の最小値と最大値をリリ
ーフ弁18、19で制御してキャビテーションを防止す
る圧力制御回路が設けられた実施形態を示している(請
求項6記載の発明)。この圧力制御回路は、図6に基づ
いて説明した前記予圧付与機構14によるキャビテーシ
ョン防止機能を飛躍的に向上させたものである。と云う
のも、前記予圧付与機構14は、時々発生する負圧によ
るキャビテーションは防止できるが、負圧が多発した場
合には、アキュムレータ16から油圧シリンダ2、2を
繋ぐ配管3内に送られるオイル20の量が非常に多くな
り、配管3内の圧力を高めてしまい、オイル20の圧力
伝達機能を達成できず、キャビテーション防止機能とし
て万全とは云えないからである。 【0037】図12中、回路Xは、油圧源から供給する
圧力より配管3内の圧力が小さくなった部分に油圧源か
らの供給圧力を繋げるチェック弁機構群22、及び配管
3を過大圧力から守る最大圧を規定するリリーフ弁18
とから構成されている。回路Yは、配管3の低圧側を常
にリリーフ弁19に繋いである。これにより最小圧を回
路Yにおける設定圧力で規定でき、もって、負圧が多発
した場合にもキャビテーションを完全に防止することが
できるのである。 【0038】図13は、減衰力を付与する絞り弁23の
両側に前記回路X、Yを配置し、絞り弁23によって発
生する負圧が絞り弁23のいずれの側で生じても対応で
きるようにした圧力制御回路を示している。この絞り弁
23、23の作用により、油圧シリンダ2のピストン7
が動くときに生じるオイル20の流れに対して減衰力を
付与することができ、捩れ変位を制御すると同時にダン
パー機構として働かせることもできる。更に、負圧が多
発した場合にキャビテーションを完全に防止することが
できる。 【0039】ところで、図12及び図13に基づいて説
明した圧力制御回路は、このままでは常時油圧を供給し
続けないと最低圧を回路内に保つことが出来ない。しか
しながら、前記圧力制御回路はすべて免震構造としての
油圧回路であるために地震時以外に作動する必要はな
く、地震時においてのみ油圧が供給されるようにすれば
足りる。この点に鑑み、図14は、図13に示した圧力
制御回路に、配管3内の圧力を感知して一定圧力以下に
なったときに油圧源を作動させる、圧力低下検知圧力ス
イッチ24とアキュムレータ25等から成る圧力低下検
知回路Gが付設された捩れ振動制御装置の実施形態を示
している(請求項7記載の発明)。この捩れ振動制御装
置によれば、常時油圧を供給し続けなくても最低圧を回
路内に保つことができる。 【0040】その他、図示は省略するが、捩れ振動制御
装置の油圧源に、地震時においてのみ油圧が供給される
ように制御するトリガー装置を地震計と連動して設けて
実施しても略同様の作用効果を奏する(請求項9記載の
発明)。 【0041】図7は、平面形状が大きくしかも複雑な免
震建物24に実施される前記捩れ振動を制御した免震構
造を示している。前記平面形状が大きくしかも複雑な免
震建物24に適用する場合、前記捩れ振動制御装置1の
制御単位21を複数単位設置した免震構造が好適に実施
される。ここで、前記免震建物24の任意の部位を符号
〜で示す。また、油圧シリンダ2の軸方向をY、該
軸方向Yに対し直交方向をXとする。 【0042】図示例で実施される捩れ振動制御装置31
は、前記制御単位21を、上部構造体24の捩れ振動の
制御に効果的な位置に、上部構造体の捩れ振動と並進す
る向きに計4単位、すなわち前記油圧シリンダ2を計8
体、配管3を8本設置して実施している。 【0043】図示例のような、平面形状が大きくしかも
複雑な免震建物24は、建物各部の水平変位は捩れ振動
ばかりでなく免震建物24の平面内の撓みにより複雑な
動きとなる。よって、免震建物24の〜の部位はそ
れぞれY方向の動きが異なってくる。これを強制するた
めに、〜、〜、〜の部位にそれぞれ前記制
御ユニット21を設置することより、上部構造体のか
らまでの動きと、からまでの動きを同一方向に強
制している。更に、からまでの部位とからまで
の部位ではX方向の動きが異なってくるため、両者の間
に更に前記制御単位21を設置している。 【0044】前記のように制御単位21を設置すること
により、免震建物24の全体の動きをXとYの並進運動
のみとし、捩れ振動や平面的な撓みも制御できるのであ
る。なお、前記捩れ振動制御装置31における制御単位
21の個数は勿論これに限定されない。免震建物の大き
さ、複雑さに応じた個数の制御単位21が、捩れ振動や
撓みに効果的な部位に、免震建物が並進する向きで設置
される。 【0045】図8は、図7に示した免震建物24の〜
の部位にそれぞれ設置した5体の油圧シリンダ2を5
本の配管により直列に連結して成る捩れ振動制御装置1
7の実施形態を示している。 【0046】前記捩れ振動制御装置17は、ピストン速
度が同じで上部構造体24の捩れ振動と並進する向きに
配置される少なくとも3体(本実施形態では5体)の両
ロッドタイプの油圧シリンダ2と、前記少なくとも3体
の油圧シリンダ2を相互に連結した配管3とから成り、
前記の各油圧シリンダ2はピストン7により隔てられた
前後2つの油室について、第一の油圧シリンダ2の前室
を第二の油圧シリンダの後室と、第二の油圧シリンダ2
の前室を第三の油圧シリンダ2の後室と、第三の油圧シ
リンダ2の前室を第四の油圧シリンダ2の後室と、第四
の油圧シリンダ2の前室を第五の油圧シリンダ2の後室
と、第五の油圧シリンダ2の前室を第一の油圧シリンダ
の後室と、それぞれ配管3によって直列に連結されてい
る(請求項3記載の発明)。 【0047】前記捩れ振動を制御した免震構造による
と、免震建物24に捩れ振動が生じた場合、前記免震建
物4が、図2の左側又は右側へ変位した場合を図3に基
づき平面的に見た状態で説明したと同様に、圧縮又は膨
張したオイル作用により、前記免震建物24は、全体的
に上下左右に並進することとなり、その結果、図7に示
した実施形態と略同様に捩れや平面的な撓みも制御でき
るのである。 【0048】また、前記捩れ振動制御装置17は前記捩
れ振動制御装置1(制御単位21)と同様に、前記捩れ
振動制御装置17の油圧シリンダ2におけるシリンダ部
2aとロッド部2bが、上下の構造体へヒンジ12によ
り水平方向回動自在に設けて実施できる(請求項4記載
の発明)。また、各配管3に減衰用の絞り弁13を設け
て実施することもでき(請求項8記載の発明)、配管3
に逆止弁15とアキュムレータ16から成る予圧付与機
構14を設けて実施することもできる(請求項5記載の
発明)。更に、図12に示したように、前記捩れ振動制
御装置17の配管3に配管系統内の圧力の最小値と最大
値をリリーフ弁19、18で制御してキャビテーション
を防止する圧力制御回路を設けて実施することもでき
(請求項6記載の発明)、前記圧力制御回路の配管3内
の圧力を感知して一定圧力以下になったときに油圧源を
作動させる、圧力低下検知回路Gを付設して実施するこ
ともできる(請求項7記載の発明)。もちろん、捩れ振
動制御装置17の油圧源に、地震時においてのみ油圧が
供給されるように制御するトリガー装置を地震計と連動
して設けて実施することもできる(請求項9記載の発
明)。 【0049】以上に各実施形態を図面に基づいて説明し
たが、本発明は、これら実施形態の限りではなく、その
技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に
行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むこと
を念のため言及する。 【0050】 【本発明が奏する効果】請求項1〜9に記載した発明に
係る捩れ振動を制御した免震構造によれば、1) 水平方向に配置した油圧シリンダを利用して、捩
れ振動時に免震建物を捩れ振動方向に並進させることに
より、免震建物外周部の水平変位を建物重心位置での水
平変位に近づけることができるので、配管やラインを有
するプラント、工場、発電所など捩れ振動が生じ易い免
震建物に好適に実施でき、免震建物の災害防止や企業運
営上の被害縮小に大きく寄与することができる。また、
平面形状が大きくしかも複雑な建物、即ち、捩れ振動だ
けでなく平面内の撓みにより複雑な動きとなる建物に対
しても好適に実施することができる。2) また、 捩れ振動制御装置の油圧シリンダをヒンジ
により構造体へ固定することにより、捩れ振動をフレキ
シブルに制御することができる。捩れ振動制御装置の配
管に減衰用の絞り弁を設けることによりダンパー機構と
して作用させることもできる。捩れ振動制御装置の配管
に逆止弁とアキュムレータから成る予圧付与機構を設け
て実施することにより、捩れ振動を恒久的に安定して制
御することもできる。3) 更に、捩れ振動制御装置に、負圧によるキャビテ
ーションの発生を完全に防止する圧力制御回路等を付設
することにより、効率的かつ恒久的に捩れ振動制御装置
を機能させることができる捩れ振動を制御した免震構造
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免震
構造を簡略的に示した平面図である。 【図2】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免震
構造を示した立面図である。 【図3】捩れ振動制御装置を示した平面図である。 【図4】Aは、捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示
した立面図であり、Bは同平面図である。 【図5】捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示した平
面図である。 【図6】捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示した平
面図である。 【図7】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免震
構造の異なる実施形態に示した平面図である。 【図8】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免震
構造の異なる実施形態に示した平面図である。 【図9】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免震
構造による免震建物の並進状態を簡略的に示した平面図
である。 【図10】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免
震構造による免震建物の並進状態を簡略的に示した平面
図である。 【図11】従来技術による免震建物の捩れ変位を簡略的
に示した平面図である。 【図12】捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示した
JIS規格による記号回路図である。 【図13】捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示した
JIS規格による記号回路図である。 【図14】捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示した
JIS規格による記号回路図である。 【符号の説明】 1、17、31 捩れ振動制御装置 2 油圧シリンダ 3 配管 4、24 上部構造体(免震建物) 5 下部構造体 6 免震層 7 ピストン 8a、8b 油室 9、10 取付け部材 11 免震装置(積層ゴム) 12 ヒンジ 13 絞り弁 14 予圧付与機構 15 逆止弁(チェック弁) 16、25 アキュムレータ18、19 リリーフ弁 20 オイル 21 制御単位22 チェック弁機構群 23 絞り弁 24 圧力低下検知圧力スイッチ
構造を簡略的に示した平面図である。 【図2】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免震
構造を示した立面図である。 【図3】捩れ振動制御装置を示した平面図である。 【図4】Aは、捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示
した立面図であり、Bは同平面図である。 【図5】捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示した平
面図である。 【図6】捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示した平
面図である。 【図7】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免震
構造の異なる実施形態に示した平面図である。 【図8】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免震
構造の異なる実施形態に示した平面図である。 【図9】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免震
構造による免震建物の並進状態を簡略的に示した平面図
である。 【図10】本発明に係る捩れ振動制御装置を利用した免
震構造による免震建物の並進状態を簡略的に示した平面
図である。 【図11】従来技術による免震建物の捩れ変位を簡略的
に示した平面図である。 【図12】捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示した
JIS規格による記号回路図である。 【図13】捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示した
JIS規格による記号回路図である。 【図14】捩れ振動制御装置の異なる実施形態を示した
JIS規格による記号回路図である。 【符号の説明】 1、17、31 捩れ振動制御装置 2 油圧シリンダ 3 配管 4、24 上部構造体(免震建物) 5 下部構造体 6 免震層 7 ピストン 8a、8b 油室 9、10 取付け部材 11 免震装置(積層ゴム) 12 ヒンジ 13 絞り弁 14 予圧付与機構 15 逆止弁(チェック弁) 16、25 アキュムレータ18、19 リリーフ弁 20 オイル 21 制御単位22 チェック弁機構群 23 絞り弁 24 圧力低下検知圧力スイッチ
フロントページの続き
(72)発明者 濱口 弘樹
千葉県印西市大塚一丁目5番地1 株式会
社竹中工務店技術研究所内
(72)発明者 星野 春夫
千葉県印西市大塚一丁目5番地1 株式会
社竹中工務店技術研究所内
(72)発明者 山本 雅史
千葉県印西市大塚一丁目5番地1 株式会
社竹中工務店技術研究所内
Fターム(参考) 3J048 AA02 AD02 BA08 BE03 EA38
3J069 AA56 DD11 DD19 EE01
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】上下の構造体が形成する免震層に、免震装
置と共に、捩れ振動を制御する捩れ振動制御装置を設置
して成る免震構造において、 前記捩れ振動制御装置は、水平方向に配置した複数の油
圧シリンダと前記油圧シリンダを連結する配管とで構成
され、前記油圧シリンダ及び配管の内部はオイルで充満
されていること、 前記油圧シリンダは、捩れ振動を生じ易い上部構造体に
対して、上部構造体の捩れ振動の制御に効果的な位置
に、上部構造体の捩れ振動と並進する向きに配置され、
そのシリンダ部がいずれか一方の構造体へ取り付けら
れ、ロッド部が他方の構造体へ取り付けられているこ
と、 前記配管は、前記複数の油圧シリンダが上部構造体の捩
れ振動と並進する向きに作動するように各油圧シリンダ
間を相互に連結していること、をそれぞれ特徴とする捩
れ振動を制御した免震構造。 【請求項2】捩れ振動制御装置は、ピストン速度が同じ
で上部構造体の捩れ振動と並進する向きに配置された一
対の両ロッドタイプの油圧シリンダと、前記一対の油圧
シリンダを相互に連結した配管とから成る制御単位を少
なくとも1単位有していること、 前記制御単位の一対の油圧シリンダは、ピストンにより
隔てられた前後二つの油室について、一方の油圧シリン
ダの前室と他方の油圧シリンダの後室、及び一方の油圧
シリンダの後室と他方の油圧シリンダの前室がそれぞれ
配管により連結されていることを特徴とする、請求項1
に記載した捩れ振動を制御した免震構造。 【請求項3】捩れ振動制御装置は、ピストン速度が同じ
で上部構造体の捩れ振動と並進する向きに配置された少
なくとも3体の両ロッドタイプの油圧シリンダと、前記
少なくとも3体の油圧シリンダを相互に連結した配管と
から成ること、 前記の各油圧シリンダはピストンにより隔てられた前後
2つの油室について、3体の場合には、第一の油圧シリ
ンダの前室を第二の油圧シリンダの後室と、第二の油圧
シリンダの前室を第三の油圧シリンダの後室と、第三の
油圧シリンダの前室を第一の油圧シリンダの後室と、そ
れぞれ配管によって直列に連結されていることを特徴と
する、請求項1に記載した捩れ振動を制御した免震構
造。 【請求項4】油圧シリンダのシリンダ部及びロッド部は
それぞれ、上下の構造体へヒンジにより水平方向の回動
が自在に取り付けられていることを特徴とする、請求項
1〜3のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免
震構造。 【請求項5】捩れ振動制御装置の配管に逆止弁とアキュ
ムレータから成る予圧付与機構が設けられていることを
特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載した捩
れ振動を制御した免震構造。 【請求項6】捩れ振動制御装置の配管に、配管系統内の
圧力の最小値と最大値をリリーフ弁で制御してキャビテ
ーションを防止する圧力制御回路が設けられていること
を特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載した
捩れ振動を制御した免震構造。 【請求項7】圧力制御回路に、同圧力制御回路の配管内
の圧力を感知して一定圧力以下になったときに油圧源を
作動させる、圧力低下検知回路が付設されていることを
特徴とする、請求項6に記載した捩れ振動を制御した免
震構造。 【請求項8】 捩れ振動制御装置の各配管に減衰用の絞り
弁が設けられていることを特徴とする、請求項1〜7の
いずれか1項に記載した捩れ振動を制御した免震構造。 【請求項9】捩れ振動制御装置の油圧源に、地震時にお
いてのみ油圧が供給されるように制御するトリガー装置
が地震計と連動して設けられていることを特徴とする、
請求項1〜8のいずれか1項に記載した捩れ振動を制御
した免震構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000351587A JP2001254533A (ja) | 2000-01-07 | 2000-11-17 | 捩れ振動を制御した免震構造 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000-1915 | 2000-01-07 | ||
JP2000001915 | 2000-01-07 | ||
JP2000351587A JP2001254533A (ja) | 2000-01-07 | 2000-11-17 | 捩れ振動を制御した免震構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001254533A true JP2001254533A (ja) | 2001-09-21 |
Family
ID=26583264
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000351587A Pending JP2001254533A (ja) | 2000-01-07 | 2000-11-17 | 捩れ振動を制御した免震構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001254533A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5337320B1 (ja) * | 2013-04-30 | 2013-11-06 | 株式会社免制震ディバイス | 振動抑制装置 |
JP2015098875A (ja) * | 2013-11-18 | 2015-05-28 | 鹿島建設株式会社 | エネルギ変換型アクティブ絶対制震システム |
JP2016008620A (ja) * | 2014-06-23 | 2016-01-18 | 株式会社免制震ディバイス | 振動抑制装置 |
JP2019173787A (ja) * | 2018-03-27 | 2019-10-10 | 三菱重工業株式会社 | レール支持装置、ロボット作業システム |
JP2020094680A (ja) * | 2018-12-10 | 2020-06-18 | 株式会社免制震ディバイス | 圧力モータを用いたダンパ |
-
2000
- 2000-11-17 JP JP2000351587A patent/JP2001254533A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5337320B1 (ja) * | 2013-04-30 | 2013-11-06 | 株式会社免制震ディバイス | 振動抑制装置 |
JP2015098875A (ja) * | 2013-11-18 | 2015-05-28 | 鹿島建設株式会社 | エネルギ変換型アクティブ絶対制震システム |
JP2016008620A (ja) * | 2014-06-23 | 2016-01-18 | 株式会社免制震ディバイス | 振動抑制装置 |
JP2019173787A (ja) * | 2018-03-27 | 2019-10-10 | 三菱重工業株式会社 | レール支持装置、ロボット作業システム |
JP7016746B2 (ja) | 2018-03-27 | 2022-02-07 | 三菱重工業株式会社 | レール支持装置、ロボット作業システム |
JP2020094680A (ja) * | 2018-12-10 | 2020-06-18 | 株式会社免制震ディバイス | 圧力モータを用いたダンパ |
JP7150404B2 (ja) | 2018-12-10 | 2022-10-11 | 株式会社免制震ディバイス | 圧力モータを用いたダンパ |
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