JP2001254241A - パイル布帛用マルチフィラメント並びにそれからなるパイル布帛及びその製造方法 - Google Patents

パイル布帛用マルチフィラメント並びにそれからなるパイル布帛及びその製造方法

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JP2001254241A JP2000064799A JP2000064799A JP2001254241A JP 2001254241 A JP2001254241 A JP 2001254241A JP 2000064799 A JP2000064799 A JP 2000064799A JP 2000064799 A JP2000064799 A JP 2000064799A JP 2001254241 A JP2001254241 A JP 2001254241A
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multifilament
fiber
pile fabric
pile
shrinkable
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Sei Matoba
聖 的塲
Hideo Noguchi
英雄 野口
Yoshinori Koge
能範 香下
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 天然のモヘアに近似したストレート性を有す
るパイル布帛を合成繊維により製造するための新規なマ
ルチフィラメント及び天然モヘア調のパイル布帛を提供
する。 【解決手段】 合成繊維からなり、単繊維繊度が3.3
〜33dtexで140℃での乾熱収縮率が20%〜50%
の収縮性合成繊維(A)と、単繊維繊度が3.3〜33
dtexで沸水収縮率が5%以下の非収縮性合成繊維(B)
とを(A)/(B)=10〜90重量部/90〜10重
量部の比率で複合してなり、総繊度が110〜833dt
exで150回/m以下の撚りを有するマルチフィラメン
トを用いてパイルを製編し、そのパイル長を5〜100
mmに調整した後、熱処理により収縮性合成繊維(A)
を収縮させて立毛部に段差を発現させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、段差パイル布帛の
製造に用いられるマルチフィラメント並びにそれからな
るパイル布帛及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アンゴラヤギから得られる天然のモヘア
は、その立毛状態のヘア(立毛状に伸びる毛)の1本1
本が太く、かつストレートな形状を有し、構成する一群
のヘアの集合体が部分的に収束しているものや、大きな
カール形状をもったヘアが部分的に収束している外観的
な特徴を有することと、ヘアそのものは、太く見えるの
に、ごわごわせず柔かく、保温性に優れている特徴を有
するため、高級品として衣料用毛皮やテディーベアーに
代表される熊等の動物のぬいぐるみ用のパイル布帛とし
て使用されている。しかしながら、モヘアは、天然であ
るが故に素材の供給が不安定で、また高価である等の問
題がある。
【0003】このため、合成繊維を用いて、天然モヘア
の特徴を有するパイル布帛が種々検討されているが、未
だに満足するものは得られていない。例えば、編み又は
織りによってパイル布帛を製造するに際し、原料に梳毛
糸を用いた場合、梳毛糸は、クリンプが付与された単繊
維で紡績されているため、天然モヘアのようなクリンプ
が殆どないストレートな形状のヘアを得るためには、パ
イルを形成後、強力なブラッシング及びポリッシングに
よりクリンプを除去することが必要であるが、微細なク
リンプを完全に取り去ることは難しく、布帛を構成する
パイルの底部までクリンプを除去するため強力なポリッ
シングが必要であり、かつ、再現性に問題がある。
【0004】また、梳毛糸でなく、特に単繊維の太さが
11dtex前後の太いフィラメントをそのまま使用する場
合、単繊維間の絡みがなく単繊維が脱落する問題が生じ
易いため、脱落防止手段としては、工業的には、バルキ
ー加工がなされたマルチフィラメントを用いるか、又
は、マルチフィラメントと梳毛糸を合糸する手段により
単繊維間の抱絡性を確保した後、ポリッシャー加工等に
より、クリンプを除去する事によってストレート形状の
パイルを得ている。しかしこの方法でも、微細なクリン
プを除去し難く、完全にクリンプを除去することが出来
ない場合がある等の問題が生じる。また、上記のような
紡績糸(梳毛糸)やバルキー加工フィラメントではな
く、スライバーニットによるパイル形成法によりパイル
布帛を製造する方法でも、その原料となるスライバー
は、抱絡性を確保するためにクリンプを付与した繊維を
用いるため、パイル布帛とした後、クリンプを除去する
ことが必要であり、これも完全にクリンプを除けない問
題があった。従って、これら従来の方法では、パイルの
ストレート性に限界があると同時に、パイルの柔らかい
触感と腰のバランスが取れていない等の欠点があった。
【0005】更に、より獣毛感を演出するため数々の方
法が検討され、例えば特開平10−212646号公
報、特開平11−152661号公報、特開平10−1
68704号公報に開示された如く、収縮性合成繊維と
非収縮性合成繊維の複合体を使用し、長短2層構造布帛
を得ることによって、触感や風合いを改良する方法等が
検討されている。しかし、これらの方法では、モヘアを
イメージさせるための重要要素である、パイルの腰を有
しつつ一見太い繊維でありながら軟らかな触感を有する
という特徴を付与するには十分とは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、合成
繊維を用いて、天然のモヘアに近似したストレート性を
有し、かつより自然なパイル布帛を合成繊維により製造
するための新規なマルチフィラメント、及びそれから天
然モヘア調のパイル布帛を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係るパイル布帛用マルチフィラメントは、
合成繊維からなるマルチフィラメントであって、単繊維
繊度が3.3〜33dtexで140℃における乾熱収縮率
が20%〜50%である収縮性合成繊維(A)と、単繊
維繊度が3.3〜33dtexで沸水収縮率が5%以下であ
る非収縮性合成繊維(B)とを、(A)/(B)=10
〜90重量部/90〜10重量部の比率で複合してな
り、総繊度が110〜833dtexで、150回/m以下
の撚りを有するというものである。
【0008】上記本発明のマルチフィラメントは、前記
収縮性合成繊維(A)からなり総繊度が11〜750dt
exで150回/m以下の撚りを有する収縮性マルチフィ
ラメントと、前記非収縮性合成繊維(B)からなり総繊
度が11〜750dtexの非収縮性マルチフィラメントと
を合糸してなるものであってもよい。
【0009】本発明のマルチフィラメントにおいては、
前記合成繊維(A)及び/又は(B)の50重量%以上
が偏平断面繊維であり、該偏平断面繊維の繊維断面にお
ける長軸の長さLと短軸の長さWとの比L/Wで表され
る偏平率が2〜25の範囲であることが好ましい。ま
た、前記マルチフィラメントには、収束性能を有する油
剤を付着させることも有効であり、更に、マルチフィラ
メントが実質的に撚りを有しない無撚フィラメントとす
ることもできる。また、前記合成繊維(A)及び(B)
は、アクリル系合成繊維からなることがより好ましい。
【0010】次に、本発明に係るパイル布帛は、上記の
ような本発明のマルチフィラメントを製編してなるもの
であり、立毛部に長毛と短毛の段差を有し、長毛が実質
的にクリンプを有しないパイルとすることができる。
【0011】更に、本発明に係るパイル布帛の製造方法
は、上記のような本発明のマルチフィラメントを製編し
てパイル長を5〜100mmに調整した後、熱処理によ
り収縮性合成繊維(A)を収縮させることによって立毛
部に長毛と短毛との段差を発現させることを特徴とす
る。
【0012】上記のような本発明で得られるパイル布帛
を用いて、種々のパイル製品とすることができ、特に衣
料、玩具(ぬいぐるみ)、インテリア、産業用資材用と
して好適に用いられる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のマルチフィラメントは、単繊維繊度が3.3〜
33dtexで140℃における乾熱収縮率が20%〜50
%である収縮性合成繊維(A)と、単繊維繊度が3.3
〜33dtexで沸水収縮率が5%以下である非収縮性合成
繊維(B)とからなるものである。前記合成繊維(A)
及び(B)の単繊維繊度が3.3dtex未満であると、製
造されるパイルの感触が柔らかすぎて腰がない傾向とな
り、逆に33dtexを超えると、パイルの感触は硬くなる
傾向にある。
【0014】本発明においては、上記収縮性合成繊維
(A)と非収縮性合成繊維(B)とを複合してパイルの
原料となるマルチフィラメントとしてもよいし、上記収
縮性合成繊維(A)を単独でマルチフィラメントとした
収縮性マルチフィラメントと、非収縮性合成繊維(B)
を単独でマルチフィラメントとした非収縮性マルチフィ
ラメントとを合撚糸して複合してもよい。いずれも場合
でも、最終的なマルチフィラメントの総繊度(合撚糸の
場合はそれぞれのマルチフィラメントの合計)が110
〜833dtexの範囲であるのが好ましい。前記収縮性合
成繊維(A)と、非収縮性合成繊維(B)との複合後の
マルチフィラメントの総繊度が110dtex未満である
と、パイル布帛としたときに仕上がり目付けが小さくな
るためパイルの下地が露出し、商品性が低下する傾向が
ある。逆に複合後のマルチフィラメントの総繊度が83
3dtexを超えると、その仕上がり目付けが大きくなり、
布帛の重量が重くなると同時にパイルの触感が硬くな
る。複合後のマルチフィラメントの総繊度の好ましい範
囲は、繊維の素材に応じて選択すべきであるが、パイル
の感触の点からは、170〜670dtexの範囲がより好
ましい。
【0015】また、前記収縮性合成繊維(A)と非収縮
性合成繊維(B)とを複合する比率は、(A)/(B)
=10〜90重量部/90〜10重量部の範囲である。
従って、収縮性マルチフィラメントと非収縮性マルチフ
ィラメントとを合撚糸することで収縮性合成繊維(A)
と非収縮性合成繊維(B)とを複合する場合には、合撚
糸する前の各マルチフィラメント単独の総繊度は11〜
750dtexの範囲内となる。本発明においては、前記収
縮性合成繊維(A)と非収縮性合成繊維(B)とを複合
してパイルを形成した後、熱処理によって収縮性合成繊
維(A)が収縮して非収縮性合成繊維(B)に比べて短
い短毛部となり、長毛部としての非収縮性合成繊維
(B)との間に段差を発現することから、収縮性合成繊
維(A)の比率が高い場合には、パイル全体としてもス
トレート性が乏しくなる傾向にある。
【0016】本発明で用いる合成繊維(A)及び(B)
の繊維断面形状は、特に制限はないが、パイル布帛にし
た場合、丸断面であると触ったときの腰の触感が硬くな
るため、偏平断面が好ましい。このような観点から、収
縮性合成繊維(A)及び/又は非収縮性合成繊維(B)
の50重量%以上が偏平断面繊維であり、その偏平率が
2〜25の範囲であることがより好ましい。マルチフィ
ラメントを構成する合成繊維(A)、(B)の単繊維繊
度が22dtex以上の太い繊維の場合には、低偏平率の繊
維を用いるとパイル布帛にしたときにパイルの腰が強く
なりすぎるので、このような太い繊維の場合には偏平率
が6以上の高偏平形状であることが好ましいが、偏平率
を極度に上げすぎるとあまりにも腰がなくなると同時に
見た目にかなり太くなるため、偏平率は25以下とする
ことが好ましい。逆に、マルチフィラメントを構成する
合成繊維(A)、(B)が繊維単糸繊度が11dtex以下
の細い繊維である場合には、断面形状が高偏平率のもの
を用いると、パイルにしたときの腰が極めて弱くなるこ
とから、偏平率が5以下の低偏平形状であることが好ま
しいが、偏平率を下げすぎると逆に腰が強くなりすぎる
ために偏平率は2〜5であることが好ましい。従って、
マルチフィラメント全体としては、繊維断面の偏平率は
2〜25の範囲であるのが好ましい。尚、マルチフィラ
メント中の全ての繊維断面が偏平である必要はないが、
マルチフィラメント中に前記範囲の偏平率の断面形状を
有する合成繊維が50重量%以上存在しているのが好ま
しい。
【0017】次に、前記マルチフィラメントに撚りを施
す方法としては、例えばイタリー式撚糸機等を用いたア
ップツイスター方式や、一般に使用される合糸撚糸、合
撚糸などのダブルツイスター方式などを採用する事がで
きるが、これらに限定されるものではない。本発明のマ
ルチフィラメントの撚り回数としては、製編工程でのフ
ィラメントの一部分離防止や、製品の毛抜け防止をする
ことを目的として150回/m以下の弱撚糸を行ったも
のが好ましい。撚糸回数が150回/mを超えると、撚
糸によって生じる微細なクリンプが仕上げ後もパイルに
残り、触感及び外観上好ましくない。尚、パイルのスト
レート性をより強調するためには、実質的に撚りを有し
ない無撚フィラメントが好ましい。ここで、実質的に撚
りを有しないとは、撚りが全くない場合だけではなく、
人為的な加撚を施していない状態を含む概念である。
【0018】また本発明においては、収束性能を有する
油剤を付着させることもでき、特にパイルを構成する合
成繊維のストレート性とパイル形成時の加工性の両立を
達成することができる。この時の収束油剤の種類として
は特に限定はなく、一般的に市販されている、繊維の収
束性を向上させる糸条用油剤であればよく、例えば非イ
オン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン系、ア
ルキルエーテル系、ポリエーテル系、ポリオキシエチレ
ン系、エチレンオキサイドコポリマー系等の油剤が挙げ
られ、アニオン系活性剤としては、脂肪属カルボン酸
系、アミノ酸型石鹸系等の油剤が挙げられ、疎水性油剤
としては、流動パラフィン系等の油剤が挙げられる。こ
れら油剤の付着量としては、油剤の種類に応じて選択す
べきであるが、例えば、流動パラフィン系の油剤MYB
−39S(松本油脂製薬株式会社製)を使用した場合、
0.25%〜2.5%(対フィラメント重量比)が好ま
しい。尚、前記のような収束油剤付与により収束性を向
上させたものは、パイル布帛とした時のパイルの分離性
の面から撚りの回数を80回/m以下とするのがより好
ましい。
【0019】本発明のパイル布帛用マルチフィラメント
の合成繊維(A)、(B)の素材は特に限定はないが、
一般にパイル用原綿として用いられるアクリル繊維、ア
クリル系繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等を
用いるのが好ましく、その中でもアクリル系繊維が、そ
の繊維自体が獣毛ライクな外観、触感を有しており、本
発明のパイル布帛の素材として特に優れている。前記ア
クリル系合成繊維とは、アクリロニトリルを30重量%
以上含有している重合体を原料とする繊維であり、アク
リロニトリル単独重合体の他にこれと共重合しうるビニ
ル系単量体を用いて共重合しても良い。共重合しうるビ
ニル系単量体としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、
臭化ビニル、臭化ビニリデン、アクリル酸エステル、メ
タクリル酸エステル、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、またはそれらのモノ、またはジアルキル置換体、ア
クリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、スチレンスルホ
ン酸、メタクリルスルホン酸、メタクロイルオキシベン
ゼンスルホン酸、メタクロイルオキシプロピレンスルホ
ン酸、またはこれらの金属塩類、及びアンモニウムやア
ミン塩類、グリシジルアクリレート、グリシジルメタク
リレート、アクリルグリシジルエーテル、メタリルグリ
シジルエーテル等がある。この中でも、塩化ビニル、塩
化ビニリデンが好ましい。また、難燃性が必要となる場
合にも塩化ビニル、塩化ビニリデンとの共重合体が好ま
しい。
【0020】上記のような重合体を、乾式、湿式等の公
知の方法で紡糸し目的の繊維を得る上で、必要に応じて
耐光性等に効果のある安定剤等を添加しても良く、光沢
の調整のために種々の添加剤を適量加えても差し支えな
い。更に、着色繊維とするために、適宜顔料、染料等を
使用してもよく、高難燃性を要求される場合には、パイ
ルの触感を損なわない範囲で適宜難燃剤を添加しても良
い。
【0021】また、偏平断面形状の繊維を得るにあたっ
ては、紡糸用ノズルは、湿式紡糸法の場合には、円形又
は楕円形状の孔形状のものを使用すればよく、凝固浴で
の条件を適宜調整することにより、目的とする偏平断面
形状の繊維が得られる。また、乾式紡糸の場合には、目
的とする繊維断面形状に近い孔形状のノズルを使用する
ことが好ましい。また、繊維断面の割れを防止するため
に、例えば特開昭58−215744号公報に記載され
たゴム状物質を1〜20重量%を前記紡糸原液に添加し
てもよい。
【0022】本発明においては、上記のようなマルチフ
ィラメントを製編し、熱処理することにより、立毛部に
おいて、長毛と短毛の段差を有し、長毛が実質的にクリ
ンプを有しないパイル布帛とすることができる。具体的
には、上記のマルチフィラメントを例えば丸編み機等を
用いて製編し、得られた布帛を公知の方法でシャーリン
グ等を行ってパイル長を5〜100mmに調整した後、
熱処理により収縮性合成繊維(A)を収縮させることに
よって、立毛部に段差を発現させることができる。前記
段差パイル布帛を得る際の熱処理温度としては、アクリ
ル系繊維の場合、150℃以下で処理する事が好まし
く、これより高い温度で処理した場合、繊維が熱硬化す
る事により極めて悪い触感となる。逆に低い熱処理温度
とした場合、収縮不良を起こす。言わば、ひずみを残し
た状態となって、段差パイル布帛を得る事が出来ない。
このようなことから、熱処理温度は120℃〜150℃
が好ましい。尚、前記熱処理とは、パイル布帛を製造す
る際に最初に熱を受ける工程、例えばパイル布帛の裏面
にアクリル系樹脂等でコーティングを行った後に乾燥さ
せる工程等で、乾熱又はスチームを含む湿熱で100〜
140℃前後で3〜10分間程度滞留させて加熱する場
合を含む。
【0023】本発明のパイル布帛は、パイル長(パイル
布帛の基布から立毛部の先端部までの長さ)が5〜10
0mmの範囲であって、基布から立毛部の先端方向へ向
かって2mmを超えた部分が実質的にクリンプを有しな
いパイルであるのが好ましいが、合成繊維の偏平率が5
以下で且つ単糸繊度が11dtex以下と低い場合は、その
パイル長が短いほどストレート性に優れ、同時に腰があ
るものとなることから、パイル長は10〜40mmがよ
り好ましい。逆に、偏平率が6以上と高いもので且つ単
糸繊度が22dtex以上と高いものは、そのパイル長は長
いほどストレート性に優れ、同時に腰のあるものとなる
ことから、パイル長は50〜100mmがより好まし
い。
【0024】上記のようなマルチフィラメントを用いて
パイル布帛を製造する場合においては、公知の編み機を
用いることができ、例えば、横編み組織とする場合は、
丸編み機を使用し、また経編み組織とする場合は、ラッ
シェル編み機やトリコット編み機等の公知の編み機を用
いることができるが、これらに限定されるものではな
い。またダブルステッチ編みを採用する場合は、公知の
丸編み機を使用して行うことができる。
【0025】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。尚、実施例の記載に先立ち、使用した繊維の特性
の測定法や得られたパイルの評価法について説明する。
【0026】(乾熱収縮率)乾熱収縮率は、収縮前のマ
ルチフィラメントを総繊度が1660dtexとなるように
束ね、上端を固定して吊し、下端に15g(9mg/dt
ex)の荷重をかけ、上下5cmの部分に目印を付け、上
目印と下目印の間を20cm(S0)とする。これを1
40℃の均熱風乾燥機の中に上端部だけを固定して自重
により吊り下げ、20分間熱処理した後、上記と同じよ
うに吊り下げて荷重をかけ、上目印と下目印の間の長さ
(SW)を測定し、下式(I)により求める。収縮率
(%)=〔(S0−SW)/S0〕×100・・・(I)
【0027】(沸水収縮率)沸水収縮率は、上記の乾熱
収縮率の場合と同様に上目印と下目印の間を20cm
(S0)としたマルチフィラメントを98℃〜100℃
の沸騰水中に上記と同様に荷重をかけて30分間浸漬し
た後、上記の乾熱収縮率の場合と同様に上目印と下目印
の間の長さ(SW)を測定し、上記式(I)により求め
る。
【0028】(外観性) 評価方法:官能テストによる。 評価基準:以下の5段階評価。 5:獣毛感に溢れるモヘアに極めて類似した外観。 4:獣毛ライクでややモヘアに類似した外観。 3:特徴なし。 2:獣毛ライクではあるがモヘアに類似していない外
観。 1:獣毛感のない合成繊維的外観。
【0029】(パイル加工性)評価方法:ダブルステッ
チ組織メリヤス丸編み時のトラブル発生回数。編み速度
13rpmで生地目付けが約500g/m2で生産した
ときの6時間あたりのトラブル発生回数。 評価基準:以下の5段階評価。 5:0回。 4:1〜3回。 3:4〜6回。 2:7〜10回。 1:10回以上。
【0030】(ソフト感) 評価方法:官能テストによる。 評価基準:以下の5段階評価。 5:ソフト感が非常に良好。 4:ソフト感が良好。 3:特徴無し。 2:ややソフト過ぎる、またはやや硬過ぎる。 1:ソフト過ぎ(腰が無い)、または硬過ぎる。
【0031】(パイルの光沢) 評価方法:官能テストによる。 評価基準:以下の5段階評価。 5:獣毛感あふれる光沢。 4:やや獣毛感がある光沢 3:特徴なし。 2:ややギラギラした光沢、またはやや光沢が無い。 1:極めてギラギラした光沢、または全く光沢が無い。
【0032】(パイル立毛部の腰) 評価方法:官能テストによる。 評価基準:以下の5段階評価 5:非常に腰がある。 4:良好な腰がある。 3:特徴なし。 2:やや腰がない。 1:全く腰がない。
【0033】(総合評価) 評価基準:以下の5段階評価。 5:非常に優れている。 4:優れる。 3:普通。 2:やや劣る。 1:劣る。
【0034】(実施例1)アクリロニトリル49.5重
量%、塩化ビニル50重量%、スチレンスルホン酸ソー
ダ0.5重量%からなる共重合体樹脂をアセトンに溶解
して29.5重量%の紡糸原液を調製した。該紡糸原液
をアセトン可溶型カチオン染料にて予め着色した後、円
形ノズル(φ0.18mm、孔数50個)を用いて、1
0重量%のアセトン水溶液中に高速で湿式紡糸した。得
られたゲル状繊維は50℃〜60℃の温水中で、2.5
倍の高速延伸し、更に若干の緩和状態下で20秒以上滞
留する60℃〜65℃の温水浴で脱溶媒した後、一般に
市販されている収束性油剤である高分子非イオン界面活
性剤ウーポールU(松本油脂製薬株式会社製)98重量
%と柔軟仕上げ剤であるゾンテスIB(松本油脂製薬株
式会社製)2重量%からなる混合油剤を繊維重量に対し
て2.0%付着させ、150℃の乾燥を行い、更に3.
0倍の熱延伸を行った後、更に1.2倍の延伸熱処理を
施し急速に冷却し、マルチフィラメントを得た。このマ
ルチフィラメントの単繊維繊度は11dtex、総繊度は5
50dtexであり、その140℃乾熱収縮率は39%の収
縮性マルチフィラメントであった。また、この収縮性マ
ルチフィラメントの繊維断面形状を走査電子顕微鏡を用
いて観察したところ、マルチフィラメント中に68重量
%の偏平断面繊維が存在し、該偏平断面繊維の偏平率は
平均で3.8であった。この収縮性マルチフィラメント
と下記「非収縮性繊維の製造例1」で得られた非収縮性
マルチフィラメントとを複合(合糸)したマルチフィラ
メントを得た。複合したマルチフィラメントを、ダブル
ステッチ組織に設定した丸編み機(韓国の盛昌機械製の
メリヤス編み機を用い、コース数;26Course/inch、
ゲージ数;14G、引抜;30mmの条件で使用。)を
用いて、ポリエステルマルチフィラメント[単繊維繊度
3.3dtex、フィラメント数50f、総繊度165dte
x]とアクリル1/30番手の引き揃えの地糸を用い、
パイル布帛を編成し、パイル裏面にアクリル酸エステル
系樹脂を塗布し、ピンテンター乾燥機を用いて140℃
で5分間乾燥させた。その後、ポリッシャー加工機にて
120℃で1回、100℃で1回加工してパイル方向を
整え、表面羽毛をシャーリング加工機で剪毛し、非収縮
性合成繊維からなる長毛と収縮した収縮性合成繊維から
なる短毛とが、ガードヘアとダウンヘアを構成した段差
パイル布帛を得た。該パイル布帛のダウンヘア部のパイ
ル長は平均9.1mmでガードヘア部のパイル長は平均
14.5mmであった。このパイル布帛をぬいぐるみの
スキンとして使用したところ、自然な落ち着きのある光
沢を有し、更にその風合いはベトツキ感がなく、獣毛ラ
イクな触感を有しつつ、しかも腰があり、嵩高性に優れ
たストレートパイル布帛(ボア)が得られた。
【0035】(非収縮性繊維の製造例1)アクリロニト
リル49.5重量%、塩化ビニル50重量%、スチレン
スルホン酸ソーダ0.5重量%からなる共重合体樹脂を
アセトンに溶解して29.5重量%の紡糸原液を調製し
た。該紡糸原液をアセトン可溶型カチオン染料にて予め
着色した後、円形ノズル(φ0.18mm、孔数25
個)を用いて、10重量%のアセトン水溶液中に高速で
湿式紡糸した。得られたゲル状繊維は50〜65℃の温
水浴中で脱溶媒した後、一般に市販されている収束性油
剤である高分子非イオン界面活性剤ウーポールU(松本
油脂製薬株式会社製)98重量%と柔軟仕上げ剤である
ゾンテスIB(松本油脂製薬株式会社製)2重量%から
なる混合油剤を繊維重量に対して2.0%付着させ、1
50℃の乾燥を行い、更に3.0倍の熱延伸を行った
後、12%の緩和熱処理を施し、マルチフィラメントを
得た。このマルチフィラメントの単繊維繊度は11dte
x、総繊度は275dtexであり、その沸水収縮率は4.
5%であった。また、該マルチフィラメントの断面形状
を走査電子顕微鏡を用いて観察したところ、マルチフィ
ラメント中に68重量%の偏平断面繊維が存在し、その
繊維断面の長軸の長さLと短軸の長さWとの比(L/
W)で表される繊維断面の偏平率は平均で3.6であっ
た。
【0036】(実施例2)アクリロニトリル93重量
%、酢酸ビニル6重量%、メタリルスルホン酸1重量%
からなる共重合体樹脂を、ジメチルアセトアミドに溶解
して26.5重量%の紡糸原液を調製した。該原液を円
形ノズル(φ0.20mm、孔数36個)を用いて、ジ
メチルアセトアミド75重量%、水25重量%で20℃
の水溶液中に高速で湿式紡糸した。得られたゲル状繊維
は温水中で洗浄した後、沸騰水で3.5倍の一次延伸し
た。その後、脂肪酸エステル系の油剤であるウーポール
PA−1(松本油脂製薬株式会社製)95重量%と第4
級アンモニウム塩系油剤であるゾンテスTL(松本油脂
製薬株式会社製)5重量%からなる混合油剤を繊維重量
に対して0.75%付着させ、得られた糸条を十分乾燥
した後、乾熱で更に2倍の二次延伸と1.1倍の三次延
伸熱処理を施した後に急速冷却し、マルチフィラメント
を得た。このマルチフィラメントの単繊維繊度は11dt
ex、総繊度は396dtexであり、その140℃乾熱収縮
率は34%の収縮性マルチフィラメントであった。ま
た、この収縮性マルチフィラメントの繊維断面形状を走
査電子顕微鏡を用いて観察したところ、マルチフィラメ
ント中に78重量%の偏平断面繊維が存在し、該偏平断
面繊維の偏平率は平均で3.0であった。この収縮性マ
ルチフィラメントと非収縮性繊維の製造例1で得られた
非収縮性マルチフィラメントとを複合したマルチフィラ
メントを得た。複合したマルチフィラメントを、ダブル
ステッチ組織に設定した丸編み機(韓国の盛昌機械製メ
リヤス丸編み機を用い、コース数;26Course/inch、
ゲージ数;14G、引抜;30mmの条件で使用。)を
用いて、ポリエステルマルチフィラメント[単繊維繊度
3.3dtex、フィラメント数50f、総繊度165dte
x]とアクリル1/30番手の引き揃えの地糸を用い、
パイル布帛を編成し、パイル裏面にアクリル酸エステル
系樹脂を塗布し、ピンテンター乾燥機を用いて145℃
で5分間乾燥させた。その後、ポリッシャー加工機にて
120℃で1回、100℃で1回加工してパイル方向を
整え、表面羽毛をシャーリング加工機で剪毛し、非収縮
性合成繊維からなる長毛と収縮した収縮性合成繊維から
なる短毛とが、ガードヘアとダウンヘアを構成した段差
パイルを得た。該パイル布帛のダウンヘア部のパイル長
は平均9.9mmでガードヘア部のパイル長は14.5
mmであった。このパイル布帛(ボア)をぬいぐるみの
スキンとして使用したところ、ストレート性に優れ、自
然な落ち着きのある光沢を有し、更にその風合いはベト
ツキ感がなく、獣毛ライクな触感を有しつつ、しかも腰
があり、嵩高性に優れたストレートパイル布帛が得られ
た。
【0037】(実施例3)アクリロニトリル49.5重
量%、塩化ビニル50重量%、スチレンスルホン酸ソー
ダ0.5重量%からなる共重合体樹脂をアセトンに溶解
して29.5重量%の紡糸原液を調製した。該紡糸原液
をアセトン可溶型カチオン染料にて予め着色した後、円
形ノズル(φ0.15mm、孔数25個)を用いて、1
0重量%のアセトン水溶液中に高速で湿式紡糸した。得
られたゲル状繊維は50℃〜60℃の温水中で、2.5
倍の高速延伸し、更に若干の緩和状態下で20秒以上滞
留する60℃〜65℃の温水浴で脱溶媒した後、柔軟仕
上げ剤である、ポリアミンポリアミド系のニューソフト
BN(北広ケミカル株式会社製)を繊維重量に対して
1.0%付着させ、150℃の乾燥を行い、更に3.4
倍の二次熱延伸を行った後、1.1倍の三次熱延伸処理
を施し急速冷却し、マルチフィラメントを得た。このマ
ルチフィラメントの単繊維繊度は6.6dtex、総繊度は
165dtexであり、140℃乾熱収縮率は37%の収縮
性マルチフィラメントであった。また、この収縮性マル
チフィラメントの繊維断面形状を走査電子顕微鏡を用い
て観察したところ、マルチフィラメント中に82重量%
の偏平断面繊維が存在し、該偏平断面繊維の偏平率は平
均で2.3であった。この収縮性マルチフィラメントと
非収縮性繊維の製造例1で得られた非収縮性マルチフィ
ラメントとを複合(合糸)した後、イタリー式撚糸機を
用いて80回/m(S撚り)の撚糸を施した。該複合し
たマルチフィラメントをダブルステッチ組織に設定した
丸編み機(韓国の盛昌機械製メリヤス丸編み機を用い、
コース数;26Course/inch、ゲージ数;14G、引
抜;30mmの条件で使用。)を用いて、ポリエステル
マルチフィラメント[単繊維繊度3.3dtex、フィラメ
ント数50f、総繊度165dtex]とアクリル1/30
番手の引き揃えの地糸を用い、パイル布帛を編成し、パ
イル裏面にアクリル酸エステル系樹脂を塗布し、ピンテ
ンター乾燥機を用いて140℃で5分間乾燥させた。そ
の後、ポリッシャー加工機にて120℃で1回、100
℃で1回加工してパイル方向を整え、表面羽毛をシャー
リング加工機で剪毛し、非収縮性繊維からなる長毛と収
縮した収縮性繊維からなる短毛とが、ガードヘアとダウ
ンヘアを構成した段差パイル布帛を得た。該パイル布帛
のダウンヘア部のパイル長は平均9.4mmでガードヘ
ア部のパイル長は14.5mmであった。このパイル布
帛(ボア)をぬいぐるみのスキンとして使用したとこ
ろ、自然な落ち着きのある光沢を有し、特殊な外観形状
を構成し、更にその風合いはベトツキ感がなく、獣毛ラ
イクな触感を有しつつ、しかも腰があり、嵩高性に優れ
たストレートパイル布帛であった。
【0038】(実施例4)アクリロニトリル49.5重
量%、塩化ビニル50重量%、スチレンスルホン酸ソー
ダ0.5重量%からなる共重合体樹脂をアセトンに溶解
して29.5重量%の紡糸原液を調製した。該紡糸原液
をアセトン可溶型カチオン染料にて予め着色した後、偏
平ノズル(φ0.18mm、孔数15個)を用いて、1
0重量%のアセトン水溶液中に高速で湿式紡糸した。得
られたゲル状繊維は、50℃〜60℃の温水中で2.5
倍の高速延伸し、更に若干の緩和状態下で20秒以上滞
留する60℃〜65℃の温水浴で脱溶媒したのち、一般
に市販されている柔軟仕上げ剤であるポリアミンポリア
ミド系のニューソフトBN(北広ケミカル株式会社製)
を繊維重量に対して1.0%付着させ、150℃の乾燥
を行い、更に3.4倍の二次熱延伸を行った後、1.1
倍の三次熱延伸処理を施し、急速冷却後の巻き取り工程
前で収束性油剤である流動パラフィン系油剤MYB−3
9S(松本油脂製薬株式会社製)を繊維重量に対して
1.5%付着させ、マルチフィラメントを得た。このマ
ルチフィラメントの単繊維繊度は22dtex、総繊度は5
50dtexであり、140℃乾熱収縮率は36%の収縮性
マルチフィラメントであった。また、この収縮性マルチ
フィラメントの繊維断面形状を走査電子顕微鏡を用いて
観察したところ、マルチフィラメント中に68重量%の
偏平断面繊維が存在し、該偏平断面繊維の偏平率は平均
で6.5であった。この収縮性マルチフィラメントと非
収縮性繊維の製造例1で得られた非収縮性マルチフィラ
メントを複合(合糸)したマルチフィラメントを得た。
該複合したマルチフィラメントを、ダブルステッチ組織
に設定した丸編み機(韓国の盛昌機械製メリヤス丸編み
機を用い、コース数;26Course/inch、ゲージ数;1
4G、引抜;30mmの条件で使用。)を用いて、ポリ
エステルマルチフィラメント[単繊維繊度3.3dtex、
フィラメント数50f、総繊度165dtex]とアクリル
1/30番手の引き揃えの地糸を用い、パイル布帛を編
成し、パイル裏面にアクリル酸エステル系樹脂を塗布
し、ピンテンター乾燥機を用いて140℃で5分間乾燥
させた。その後、ポリッシャー加工機にて120℃で1
回、100℃で1回加工してパイル方向を整え、表面羽
毛をシャーリング加工機で剪毛し、非収縮性合成繊維か
らなる長毛と収縮した収縮性合成繊維からなる短毛と
が、ガードヘアとダウンヘアを構成した段差パイルを得
た。該パイル布帛のダウンヘア部のパイル長は平均9.
6mmでガードヘア部のパイル長は14.5mmであっ
た。このパイル布帛(ボア)を、ぬいぐるみのスキンと
して使用したところ、自然な落ち着きのある光沢を有
し、更にその風合いはベトツキ感がなく、獣毛ライクな
触感を有しつつ、しかも腰があり、嵩高性に優れたモヘ
アの代替となり得るものとなった。
【0039】(比較例1)アクリロニトリル49.5重
量%、塩化ビニル50重量%、スチレンスルホン酸ソー
ダ0.5重量%からなる共重合体樹脂をアセトンに溶解
して29.5重量%の紡糸原液を調製した。該紡糸原液
をアセトン可溶型カチオン染料にて予め着色した後、円
形ノズル(φ0.35mm、孔数25個)を用いて、1
0重量%のアセトン水溶液中に高速で湿式紡糸した。得
られたゲル状繊維は50℃〜60℃の温水中で、2.5
倍の高速延伸し、更に若干の緩和状態下で20秒以上滞
留する60℃〜65℃の温水浴で脱溶媒した後、流動パ
ラフィン系油剤MYB−39S(松本油脂製薬株式会社
製)を繊維重量に対して1.5%付着させ、150℃の
乾燥を行い、更に3.4倍の熱延伸を行った後、12%
の緩和熱処理を施し、マルチフィラメントを得た。この
マルチフィラメントの単繊維繊度は36dtex、総繊度は
900dtexであり、140℃乾熱収縮率は5%未満の非
収縮性マルチフィラメントであった。また、この非収縮
性マルチフィラメントの繊維断面形状を走査電子顕微鏡
を用いて観察したところ、マルチフィラメント中に68
重量%の偏平断面繊維が存在し、該偏平断面繊維の偏平
率は平均で2.8であった。この非収縮性マルチフィラ
メントだけを使用し、ダブルステッチ組織に設定した丸
編み機(韓国の盛昌機械製メリヤス丸編み機を用い、コ
ース数;26Course/inch、ゲージ数;14G、引抜;
30mmの条件で使用。)を用いて、ポリエステルマル
チフィラメント「単繊維繊度3.3dtex、フィラメント
数50f、総繊度165dtex]とアクリル1/30番手
の引き揃えの地糸を用い、パイル布帛を編成し、パイル
裏面にアクリル酸エステル系樹脂を塗布し、ピンテンタ
ー乾燥機を用いて140℃で5分間乾燥させた。その
後、ポリッシャー加工機にて120℃で1回、100℃
で1回加工してパイル方向を整え、表面羽毛をシャーリ
ング加工機で剪毛し、パイル長が15mmでダブルステ
ッチ組織のパイル布帛を得た。得られたパイル布帛の立
毛部分はポリッシャー仕上げをしない状態でも立毛仕上
げを行った如くストレートであるが、このパイル布帛を
ぬいぐるみのスキンとして使用したところ、その触感は
硬く、極めて腰の強いものとなった。
【0040】以上の実施例1〜4及び比較例1の結果を
下記の表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】上記のように、本発明によれば、衣料、
玩具(ぬいぐるみ)をはじめとするストレートパイル布
帛としての好ましい光沢を有し、風合いはベトツキ感が
なく、獣毛ライクな触感を有し、しかも腰があり、嵩高
性に優れたパイル布帛を得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // D06M 101:28 D06M 101:28 Fターム(参考) 4L002 AA08 AB00 AB02 AC02 AC07 BB04 DA00 EA08 FA00 FA06 4L033 AA05 AB01 AB03 AB04 AC09 AC15 BA01 BA85 BA99 CA55 CA57 CA70 4L036 MA04 MA24 MA33 PA21 PA46 RA05 4L048 AA16 AA37 AA50 AB07 AB09 AB11 AB13 AB16 AC11 BA23 CA17 DA00 DA01 DA24 EB05

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成繊維からなるマルチフィラメントで
    あって、単繊維繊度が3.3〜33dtexで140℃にお
    ける乾熱収縮率が20%〜50%である収縮性合成繊維
    (A)と、単繊維繊度が3.3〜33dtexで沸水収縮率
    が5%以下である非収縮性合成繊維(B)とを、(A)
    /(B)=10〜90重量部/90〜10重量部の比率
    で複合してなり、総繊度が110〜833dtexで150
    回/m以下の撚りを有するパイル布帛用マルチフィラメ
    ント。
  2. 【請求項2】 前記収縮性合成繊維(A)からなり総繊
    度が11〜750dtexで150回/m以下の撚りを有す
    る収縮性マルチフィラメントと、前記非収縮性合成繊維
    (B)からなり総繊度が11〜750dtexの非収縮性マ
    ルチフィラメントとを合糸してなる請求項1記載のパイ
    ル布帛用マルチフィラメント。
  3. 【請求項3】 前記合成繊維(A)及び/又は(B)の
    50重量%以上が偏平断面繊維であり、該偏平断面繊維
    の繊維断面の長軸の長さLと短軸の長さWとの比L/W
    で表される偏平率が2〜25の範囲である請求項1又は
    2に記載のパイル布帛用マルチフィラメント。
  4. 【請求項4】 収束性能を有する油剤を付着させてなる
    請求項1〜3のいずれかに記載のパイル布帛用マルチフ
    ィラメント。
  5. 【請求項5】 実質的に撚りを有しない無撚フィラメン
    トである請求項1〜4のいずれかに記載のパイル布帛用
    マルチフィラメント。
  6. 【請求項6】 前記合成繊維(A)及び(B)がアクリ
    ル系合成繊維である請求項1〜5のいずれかに記載のパ
    イル布帛用マルチフィラメント。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のマルチ
    フィラメントを製編してなるパイル布帛。
  8. 【請求項8】 立毛部に長毛と短毛の段差を有し、長毛
    が実質的にクリンプを有しない請求項7に記載のパイル
    布帛。
  9. 【請求項9】 請求項1〜6のいずれかに記載のマルチ
    フィラメントを製編してパイル長を5〜100mmに調
    整した後、熱処理により収縮性合成繊維(A)を収縮さ
    せることによって立毛部に段差を発現させることを特徴
    とするパイル布帛の製造方法。
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