JP2001252367A - 防火区画貫通ダクト及びその使用方法 - Google Patents

防火区画貫通ダクト及びその使用方法

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JP2001252367A
JP2001252367A JP2000066720A JP2000066720A JP2001252367A JP 2001252367 A JP2001252367 A JP 2001252367A JP 2000066720 A JP2000066720 A JP 2000066720A JP 2000066720 A JP2000066720 A JP 2000066720A JP 2001252367 A JP2001252367 A JP 2001252367A
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inorganic
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JP2000066720A
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Shohachi Shimizu
昭八 清水
Kozo Hayashi
宏三 林
Kyoichi Fujimoto
恭一 藤本
Hideki Kishino
英樹 岸野
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Tokiwa Electric Co Ltd
Mirai Industry Co Ltd
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Tokiwa Electric Co Ltd
Mirai Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間で防火区画に強固に固定でき、しかも
火災時に有害なガスを発生することのない新規な防火区
画貫通ダクト及びその使用方法を提供する。 【解決手段】 防火貫通ダクトは、ダクト本体12と、
その外面に予め形成された発泡性無機質被膜とを備え
る。発泡性無機質被膜はアルカリ珪酸塩と、硼酸亜鉛
と、未焼成バーミキュライトと、合成膨潤性雲母及び/
又は合成スメクタイトとを含む。この防火貫通ダクトを
防火区画15に形成された貫通孔17に挿通し、ダクト
本体12を加熱すると、発泡性無機質被膜が発泡して無
機発泡体14が形成され、貫通孔17とダクト本体12
との隙間が埋められる。その結果、ダクト本体12が貫
通孔17に強固に固定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物で火災が発
生した場合に、壁、床等の防火区画を貫通する設備部材
又はその周囲から火災が延焼したり拡大したりするのを
防止するために用いられる、防火区画貫通ダクト及びそ
の使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ケーブル、配管等の設備部材が
壁、床等の防火区画を貫通している建築物においては、
火災が発生した場合、設備部材又はその周囲から火災が
延焼したり拡大したりするおそれがある。そのため、設
備部材や、貫通孔と設備部材との隙間に詰められた充填
材、被覆材等が変形、破壊、脱落、焼失等することによ
り、貫通孔を通じて火炎や煙が隣の部屋に伝わるのを防
止することが重要である。そこで、従来よりこの防火区
画の耐火構造が種々提案されている。最もよく知られて
いる耐火構造は、防火区画の貫通孔にダクトを挿通及び
固定し、ダクト内に設備部材を通し、支持するというも
のである。この耐火構造では、貫通孔とダクトとの間に
隙間が生ずるため、いかにしてこの隙間を埋めてダクト
を防火区画に固定するかが問題となる。
【0003】この隙間を処理する方法の一つに、貫通孔
にダクトを挿通した後に、隙間にモルタルを詰め、乾燥
固化させるというもの(従来技術1)がある。また、別
の方法として、難燃性ゴムに有機系の熱膨脹性素材を練
り込んでなるパテを前記隙間に詰める、又はセラミック
繊維に有機系の熱膨脹性素材を埋めこんでなるマットを
前記隙間に詰めるというもの(従来技術2)がある。従
来技術2は、パテ又はマットを加熱により発泡させて隙
間を充填しようとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来技術1では、隙間に詰められたモルタルが乾くのに時
間(2〜3日)がかかり、施工作業性がよくないという
問題があった。また、貫通孔にダクトを挿通した後にモ
ルタルを詰めるため、防火区画の厚みにもよるが、貫通
孔の開口から離れた箇所までモルタルをいきわたらせる
ことが難しいという問題もあった。
【0005】一方、従来技術2では、有機系の熱膨脹性
素材が短時間で発泡し、また、発泡により隙間が埋めら
れることから、前述した従来技術1のような問題は起こ
らないものの、発泡後の強度がさほど高くないために、
ダクトを強固に防火区画に固定することが難しかった。
そのため、設備部材をダクトに通そうとして大きな引き
抜き力が加わったときに、ダクトがずれたり回転したり
するおそれがあった。また、建築物の火災時等に熱が加
わると、熱膨脹性素材が熱分解して人体に悪影響を及ぼ
すようなガスを発生するおそれもあった。
【0006】そこで、本発明の課題は、短時間で防火区
画に強固に固定でき、しかも火災時に有害なガスを発生
することのない新規な防火区画貫通ダクト及びその使用
方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の防火区
画貫通ダクトは、防火区画に形成された貫通孔に挿通さ
れるダクト本体と、無機発泡接着剤を前記ダクト本体の
外面に塗布及び乾燥することにより形成された発泡性無
機質被膜とを備え、前記無機発泡接着剤は、アルカリ珪
酸塩と、硼酸亜鉛と、未焼成バーミキュライトと、合成
膨潤性雲母及び/又は合成スメクタイトとを含む組成物
からなるものである。
【0008】請求項2に記載の防火区画貫通ダクトは、
請求項1に記載の発明において、前記無機発泡接着剤に
おける前記アルカリ珪酸塩の濃度が、10〜500g/
リットルである。
【0009】請求項3に記載の防火区画貫通ダクトは、
請求項1又は2に記載の発明において、前記無機発泡接
着剤における前記硼酸亜鉛の配合量が、前記アルカリ珪
酸塩100重量部に対し、固形分換算で1〜20重量部
である。
【0010】請求項4に記載の防火区画貫通ダクトは、
請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明において、前
記無機発泡接着剤における前記未焼成バーミキュライト
の配合量が、前記アルカリ珪酸塩100重量部に対し、
固形分換算で1〜50重量部である。
【0011】請求項5に記載の防火区画貫通ダクトは、
請求項1〜4のいずれか1つに記載の発明において、前
記無機発泡接着剤における前記合成膨潤性雲母及び/又
は合成スメクタイトの配合量が、前記アルカリ珪酸塩1
00重量部に対し、固形分換算で1〜20重量部であ
る。
【0012】請求項7に記載の防火区画貫通ダクトの使
用方法は、アルカリ珪酸塩と、硼酸亜鉛と、未焼成バー
ミキュライトと、合成膨潤性雲母及び/又は合成スメク
タイトとを含む発泡性無機質被膜がダクト本体の外面に
形成された防火区画貫通ダクトを、防火区画に形成され
た貫通孔に挿通する第1の手順と、加熱により前記発泡
性無機質被膜を膨脹させて、前記貫通孔の壁面と前記ダ
クト本体との間の隙間を充填することにより、前記ダク
ト本体を前記貫通孔に固定する第2の手順とを備えるも
のである。
【0013】したがって、上記発明の防火区画貫通ダク
ト及びその使用方法によれば、防火区画貫通ダクトは外
面に、無機発泡接着剤が塗布及び乾燥されることにより
形成された発泡性無機質被膜を備える。無機発泡接着剤
は、アルカリ珪酸塩と、硼酸亜鉛と、未焼成バーミキュ
ライトと、合成膨潤性雲母及び/又は合成スメクタイト
とを含む組成物である。無機発泡接着剤において、アル
カリ珪酸塩、硼酸亜鉛、未焼成バーミキュライト、合成
膨潤性雲母及び/又は合成スメクタイトが上記範囲の濃
度や配合量であると、1液型の液剤とすることが容易で
あり、しかも塗布及び乾燥により所望の被膜が確実に形
成される。また、発泡性無機質被膜は、合成膨潤性雲母
及び/又は合成スメクタイトの劈開した結晶鱗片相互
が、内部に水や珪酸塩を包含しながらゲル化し、この複
合体が未焼成バーミキュライトの微粉体の周りを被覆し
た状態で固化しているものである。
【0014】防火区画貫通ダクトを防火区画に固定する
には、上記第1の手順及び第2の手順を行う。まず、第
1の手順では、防火区画貫通ダクトを防火区画に形成さ
れた貫通孔に挿通する。このとき、貫通孔の壁面と防火
区画貫通ダクトの外面との間には隙間が生ずる。
【0015】次いで、第2の手順では、発泡性無機質被
膜を加熱する。この加熱により、発泡性無機質被膜中の
未焼成バーミキュライトが膨積するとともに、合成膨潤
性雲母及び/又は合成スメクタイトの結晶鱗片間等に残
存していた水分が急激に膨脹及び蒸発し、その水分の飛
散した跡に微細な気泡が形成される。このようにして、
発泡性無機質被膜は加熱とほぼ同時に発泡し、その後短
時間で硬化して無機発泡体を形成し、貫通孔とダクト本
体との隙間を充填する。この無機発泡体は、その材料構
成から強度やダクト本体との接着性が高く、ダクト本体
を防火区画に強固に固定する。
【0016】こうして形成される無機発泡体は、有機質
を含まないことから、高い断熱性を示すとともに、万一
火災が発生しても炭化せず、所要の防火機能を発揮す
る。さらに、硼酸亜鉛が配合されることから、耐食性や
耐水性にも優れており、空気中の湿度や結露等による影
響を受けにくい。
【0017】請求項6に記載の防火区画貫通ダクトは、
請求項1〜5のいずれか1つに記載の発明において、前
記ダクト本体は、金属材料により形成されたものであ
る。
【0018】請求項8に記載の防火区画貫通ダクトの使
用方法は、請求項7に記載の発明において、前記ダクト
本体を加熱することにより、前記発泡性無機質被膜を間
接的に加熱するものである。
【0019】請求項9に記載の防火区画貫通ダクトの使
用方法は、請求項7又は8に記載の発明において、前記
発泡性無機質被膜を、200〜500℃の温度に加熱す
るものである。
【0020】したがって、上記発明の防火区画貫通ダク
ト及びその使用方法によれば、ダクト本体は金属材料に
より形成されているため、ダクト本体を加熱すると、そ
の熱はダクト本体の各部に速やかに伝播し、発泡性無機
質被膜の全体に満遍なくかつ短時間で伝達される。ま
た、発泡性無機質被膜は、200〜500℃という比較
的低温の加熱によって確実に膨脹して無機発泡体を形成
し、これにより、貫通孔とダクト本体との隙間が充填さ
れる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態の防火
区画貫通ダクト及びその使用方法について、図に基づい
て説明する。
【0022】はじめに、本実施形態の防火区画貫通ダク
トが適用される防火区画について説明する。図2に示す
ように、防火区画15は、建築物の内部空間を仕切るも
のであり、例えば、壁、床、天井等が該当する。防火区
画15の所望の箇所には、設備部材16を貫通させると
ともに、その設備部材16を防火区画15から離間した
状態で支持するために、丸孔からなる貫通孔17があけ
られている。
【0023】ここで、設備部材16は、電線等のケーブ
ル、あるいはさや管、樹脂管、被膜銅管等の配管等が該
当する。また、貫通孔17は、防火区画15の施工時に
おいて、例えば次のようにして形成されたものである。
図3に示すように、一対の型枠28の間の所定箇所に、
紙によって円筒状に形成されたボイド管29がセットさ
れ、この状態で型枠28間にコンクリートが打設され
る。コンクリートの硬化後に型枠28が取り外され、ボ
イド管29が除去されると、貫通孔17を有する防火区
画15が形成される。
【0024】次に、本実施形態の防火区画貫通ダクトに
ついて説明する。防火区画貫通ダクト11は、貫通孔1
7に挿通される円筒状のダクト本体12と、そのダクト
本体12の外周面12aにおいて貫通孔17内に位置す
る箇所の全周にわたって、無機発泡接着剤を塗布及び乾
燥することにより形成された発泡性無機質被膜13とを
備えている。
【0025】ダクト本体12は、耐熱性を有し、熱伝導
率の高い材質が好ましく、例えば金属材料が用いられ
る。ダクト本体12の外周面12aには、発泡性無機質
被膜13(ひいては、発泡性無機質被膜13が膨脹して
形成される無機発泡体14)との密着性を高めるため
に、ローレット掛け等により凹凸(図示略)が形成され
ることが好ましい。また、同様の目的で、ダクト本体1
2の外周面12aが、やすり、サンドペーパー等により
粗面に形成されることも好ましい。
【0026】無機発泡接着剤は、アルカリ珪酸塩と、硼
酸亜鉛と、未焼成バーミキュライトと、合成膨潤性雲母
及び/又は合成スメクタイトとを含む組成物からなる。
以下、各成分について詳述する。
【0027】アルカリ珪酸塩としては、珪酸ナトリウ
ム、珪酸カリウム、珪酸リチウムのような珪酸のアルカ
リ金属塩、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウムのような
珪酸のアルカリ土類金属塩等を使用できる。このアルカ
リ珪酸塩の水溶液は粘性のある溶液であり、硬化してガ
ラス質の珪酸塩ポリマーを形成する。なかでも、とりわ
け低融点、低コストである点で珪酸ナトリウムを用いる
ことが好ましく、また、この珪酸ナトリウムに珪酸リチ
ウムを混合して用いることも好ましい。それによって硬
化後の耐水性をより高めることができる。
【0028】アルカリ珪酸塩の濃度としては、ダクト本
体12の外周面12aに塗布する際の塗布適性や、液剤
の安定性等を考慮すると、10〜500g/リットルで
あることが好ましく、100〜500g/リットルであ
ることがより好ましい。なお、無機発泡接着剤としての
流通過程においては、塗布に供し得る濃度よりも高い濃
度としておき、塗布に供する際に所望の濃度に希釈した
上で用いることとしても構わない。もちろん、塗布に供
し得る濃度で流通過程に乗せることも一向に差し支えな
い。
【0029】アルカリ珪酸塩の水溶液は、そのままでも
乾燥によって硬化する。しかし、その硬化に要する時間
は比較的長く、また、そのように硬化したものは、水に
溶解して耐水性が十分でないこと、炭酸ガスと反応して
炭酸ソーダ等のアルカリ炭酸塩を析出すること、等の問
題点がある。そのため、硬化剤を併用することが一般的
である。硬化剤としては種々知られているが、ここでは
硼酸亜鉛が用いられる。
【0030】硼酸亜鉛は、古くから塗料やプラスチック
成形品の難燃剤として利用されているもので、一般的に
は2ZnO・3B・3.5HOの組成で示される
水和物であるが、加熱によって容易に無水和物となる。
硼酸亜鉛は、これらの水和物及び無水和物のいずれの形
態でも同等に使用することができる。また、使用する硼
酸亜鉛の粒子径は任意であるが、比較的小さい方が反応
性及び分散性の点から好ましく、一般に平均粒子径1〜
100μmのものが特に好ましい。したがって、硼酸亜
鉛としては、難燃剤として市販されているものをそのま
ま好適に用いることができる。
【0031】硼酸亜鉛の硬化剤としての作用は、以下の
ような現象によるものと考えられる。アルカリ珪酸塩の
水溶液に硼酸亜鉛の微粉末を添加すると、化学結合して
いた硼酸と亜鉛とがその硼酸亜鉛の粒子表面において溶
解する。珪酸塩のアルカリ金属等と、溶解した硼酸及び
亜鉛とが反応して新たな化合物を形成し、これによって
アルカリ金属等が固定化される。アルカリ金属等を失っ
た珪酸塩は自己縮合して高分子化し、硼酸亜鉛の微粉末
の表面にガラス状の固体として析出する。このようにし
て珪酸塩ポリマーの析出が進行し、拡大した珪酸塩ポリ
マーは、隣接する硼酸亜鉛の微粉末の表面に析出した珪
酸塩ポリマーと一体化し、全体が高分子化する。硼酸亜
鉛の量が少ない場合は、その一体化までには至らない
が、乾燥によって全体が一体化し、ついには硬化する。
なお、硼酸亜鉛は上述のようにアルカリ金属等を固定化
することから、アルカリ珪酸塩の硬化作用とともに、そ
の硬化体を安定化して水に不溶とする、耐水性の改善剤
としての作用も有している。
【0032】無機発泡接着剤における硼酸亜鉛の配合量
としては、アルカリ珪酸塩100重量部に対し、固形分
換算で1〜20重量部であることが好ましい。ここで、
配合量が1重量部未満の場合、形成される無機発泡体1
4は耐水性が不十分であり、水に溶解して硬度が低下
し、その形態を維持できなくなる。また、配合量が20
重量部を超えると、生成する珪酸塩ポリマーが水に不溶
となり、無機発泡接着剤を1液型の液剤とすることが困
難となる。
【0033】未焼成バーミキュライトは、カンラン岩が
熱水変化して生じた鉱物であり、高温に加熱すると層間
が広がって膨積する特徴を有している。未焼成バーミキ
ュライトの配合量としては、アルカリ珪酸塩100重量
部に対し、固形分換算で1〜50重量部であることが好
ましく、同10〜40重量部であることがより好まし
い。ここで、配合量が1重量部未満の場合、形成される
無機発泡体14の厚みが不十分であり、配合量が50重
量部を超えると、バインダー不足でダクト本体12との
接着性が不十分となって、脱落等の不具合が発生しやす
くなる。
【0034】合成膨潤性雲母は、固相反応によって合成
された微粉ナトリウム・フッ素雲母であり、コロイド形
成能、フィルム形成能、イオン交換能が大きく、MB吸
着量が大きいため、層間に無機・有機物をインターカレ
ートして複合体を形成する特性を有する。この合成膨潤
性雲母をアルカリ珪酸塩の水溶液に分散すると、その層
間に水分子を配位して膨潤し、層間のナトリウムイオン
等の陽イオンが水中に溶解して、微細に劈開し始める。
このため、合成膨潤性雲母の結晶は層間部分が陰イオン
に帯電し、鱗片の反対側の面が陽イオンに帯電する。こ
の状態で、アルカリ珪酸塩のナトリウムイオン等の陽イ
オンが合成膨潤性雲母の陰イオンに帯電している層間に
電気的に吸引されて複合化する。すなわち、本実施形態
においては、合成膨潤性雲母の有する特異な吸着能力及
びイオン交換能によるコロイド形成能、複合体形成能を
利用している。
【0035】以上のような特性は、合成スメクタイトも
有している。スメクタイトは、粘土鉱物の一種であり、
水及びその他の溶媒で膨潤し、粒子径が非常に小さいた
め分散してゾル・ゲルを形成する。また、吸着能、イオ
ン交換能を有し、無機物あるいは有機物と層間化合物を
形成するなど物理的・化学的に特異な性質を示すことか
ら古くから注目されている粘土鉱物である。合成スメク
タイトは、ベントナイトからの水熱合成法による精製に
よって得ることができ、粘性、吸着性、イオン交換性等
の特性を有する。その結晶構造は雲母に類似し、層状で
あるため配向して薄膜を形成しやすく、同じく層間に金
属多核水酸化イオン、金属錯イオン、荷電ゾル等をイン
ターカレートする。したがって、合成膨潤性雲母の代わ
りに、同様の特性を有する合成スメクタイトを使用する
こともできる。なお、本実施形態では、合成膨潤性雲母
及び合成スメクタイトのどちらか一方を含有させていれ
ばよいが、双方含有させることも可能である。
【0036】合成膨潤性雲母及び/又は合成スメクタイ
トの配合量としては、アルカリ珪酸塩100重量部に対
し、固形分換算で1〜20重量部であることが好まし
く、同10〜15重量部であることがより好ましい。こ
こで、配合量が1重量部未満の場合、未焼成バーミキュ
ライトの膨積により形成される発泡粒子の被覆層の厚み
が不十分となり、その発泡粒子の破裂が起こりやすくな
る。一方、配合量が20重量部を超えると、珪酸塩バイ
ンダーの量が相対的に不足することによって、ダクト本
体12と発泡粒子との接着性が不十分となり、脱落等の
不具合が発生しやすくなる。
【0037】無機発泡接着剤は、上記各成分を所望の濃
度となるようにそれぞれ量り取り、これらを混合して溶
解又は分散することにより調製される。具体的には、ま
ず、アルカリ珪酸塩に水を添加し、次に硼酸亜鉛を添加
して溶解する。その後、未焼成バーミキュライトと、合
成雲母及び/又は合成スメクタイトとを添加して、十分
に混合し分散することにより、目的とする無機発泡接着
剤が得られる。
【0038】このようにして調製された無機発泡接着剤
では、アルカリ珪酸塩のアルカリ金属等が硼酸亜鉛によ
り固定化され、珪酸塩ポリマーを生成して水に溶解して
いる。また、その水溶液には、未焼成バーミキュライト
の微粉体と、合成膨潤性雲母及び/又は合成スメクタイ
トが膨潤して劈開した微細な結晶鱗片とが、略均一に分
散した状態で混合されている。
【0039】なお、本実施形態の効果を損なわない範囲
において、その他の成分を添加することも可能である。
その他の成分としては、具体的には、例えば、強度や耐
熱性の向上を目的とするセピオライトやロックウール等
の繊維状鉱物、各種金属粉及びその酸化物、等が挙げら
れる。その場合は、かかる成分の特性に応じて、添加時
期や方法を適宜設定すればよい。
【0040】発泡性無機質被膜13は、上記無機発泡接
着剤をダクト本体12の外周面12aに塗布及び乾燥す
ることにより形成される。具体的には、まず、無機発泡
接着剤をダクト本体12の外周面12aに塗布する。そ
の方法は特に限定されるものではなく、例えば、刷毛塗
り法、スプレー法、ロールコート法、浸漬法、フローコ
ート法等の公知のいずれの方法も採用することができ
る。次いで、塗布した無機発泡接着剤を乾燥する。その
方法は自然乾燥でも加熱乾燥でもよく、例えば、塗布面
を遠赤外線ヒーター等で予備加熱することにより、その
乾燥時間を短縮することができる。
【0041】この被膜の形成過程において、塗布された
無機発泡接着剤は、合成膨潤性雲母及び/又は合成スメ
クタイトの結晶鱗片相互が、内部に珪酸塩ポリマーや水
を包含しながら、濃縮によってゲル化する。このとき、
劈開した合成膨潤性雲母及び/又は合成スメクタイトの
結晶鱗片は、層間が陰イオン、反対部分が陽イオンに帯
電しているので、相互が静電気的に引き寄せられ、結晶
鱗片の平面部と端面部とがランダムに当接してカードハ
ウス状に組み立てられた構造で結合し、ゲル化する。さ
らに水分が蒸発すると、このゲル化した複合体が未焼成
バーミキュライトの微粉体に接近し、その周囲に被覆を
形成しながら乾燥する。このようにして、ダクト本体1
2の外周面12aに発泡性無機質被膜13が形成され
る。
【0042】なお、この発泡性無機質被膜13は、塗布
する無機発泡接着剤の濃度、及び塗り重ねの回数を適宜
調節することにより、所望の厚さに形成させることが可
能である。
【0043】次に、本実施形態の防火区画貫通ダクトの
使用方法について説明する。
【0044】図4に示すように、まず、第1の手順とし
て、防火区画貫通ダクト11を貫通孔17に挿通し、発
泡性無機質被膜13の形成された箇所を貫通孔17の壁
面に対応させる。そして、第2の手順として、ダクト本
体12の内部にトーチ19等の加熱手段の先端部分を挿
入し、そのトーチ19からの火炎によりダクト本体12
を加熱する。火炎による熱はダクト本体12の各部に速
やかに伝播し、これにより、発泡性無機質被膜13の全
体が満遍なくかつ短時間で加熱される。
【0045】このとき、発泡性無機質被膜13の加熱温
度は、200〜500℃程度が好ましく、250〜40
0℃であることがより好ましい。ここで、温度が200
℃未満であると、発泡性無機質被膜13中の未焼成バー
ミキュライトが十分に膨積しない場合がある。一方、温
度が500℃を超えると、ダクト本体12の変質や形成
された無機発泡体14の崩壊を引き起こす場合があり、
また、エネルギーコストが高くなる。
【0046】発泡性無機質被膜13が加熱されると、発
泡性無機質被膜13中の未焼成バーミキュライトの微粉
体が、その層間を数十倍に広げて膨積する。それと同時
に、未焼成バーミキュライトの微粉体の周囲を固めてい
た合成膨潤性雲母等による被覆では、その内部に包含さ
れた珪酸塩ポリマーの加熱に伴う軟化によって合成膨潤
性雲母及び/又は合成スメクタイトの結晶鱗片間がずら
される。そして、未焼成バーミキュライトの膨積に伴っ
てより薄い膜へと変形しながら、膨積したバーミキュラ
イトの周囲に被覆を形成し直す。それによって、膨積し
たバーミキュライトを内部に取り込んだ独立気泡の発泡
粒子が形成される。形成された発泡粒子同士は、バイン
ダーとして作用する珪酸塩ポリマー等によって結合さ
れ、ダクト本体12等との接着性が確保される。
【0047】また、このとき、合成膨潤性雲母及び/又
は合成スメクタイトの層間の結晶水や、ゲル化した複合
体に包含されていた水分が、加熱によって完全に蒸発し
て急激に膨脹し、その水分の飛散した跡に連続的に連な
る微細な空隙が形成される。
【0048】このようにして、発泡性無機質被膜13は
加熱とほぼ同時に発泡し、加熱を止めた後は、珪酸塩ポ
リマー等のバインダーが数十分後に硬化して、図5に示
すように、無機発泡体14を形成する。この無機発泡体
14によって、貫通孔17の壁面とダクト本体12との
隙間は確実に充填され、その結果、ダクト本体12が防
火区画15に固定される。
【0049】その後、図1に示すように、ダクト本体1
2内にケーブル等の設備部材16を通す。そして、ダク
ト本体12の内部空間の両端部分に、パテ等の難燃性材
料からなる耐火充填材18を充填する。難燃性材料とし
ては、例えば、クロロプレンゴムに水ガラス(含水珪酸
ナトリウム)を含有させたものが用いられる。この耐火
充填材18により、設備部材16がダクト本体12の内
周面12bから離間した位置において、同ダクト本体1
2に支持される。
【0050】上述のようにして防火区画15に施工され
た本実施形態の防火区画貫通ダクトは、建築物において
火災が発生した場合に、防火区画15を貫通する設備部
材16又はその周囲から火災が延焼したり拡大したりす
るのを防止するものであるが、その他にも、以下に示す
特徴を有する。
【0051】・防火区画貫通ダクト11は、ダクト本体
12と発泡性無機質被膜13という少ない部品点数から
なり、しかも、発泡性無機質被膜13がダクト本体12
の外周面12aに形成されるという簡単な構造なので、
取り扱いが容易であり、コスト低減を図るうえでも有利
である。また、ダクト本体12を防火区画15に固定す
る際には、ダクト本体12を貫通孔17に挿通し、加熱
するだけで済むため、従来技術1のように、モルタル等
を隙間に詰める作業は不要であり、作業効率を向上させ
ることができる。
【0052】・発泡性無機質被膜13は加熱とほぼ同時
に発泡し、その後短時間で硬化する。これは、1つに
は、その材料構成による。すなわち、アルカリ珪酸塩
と、硼酸亜鉛と、未焼成バーミキュライトと、合成膨潤
性雲母及び/又は合成スメクタイトとを含む組成物から
なり、これが確実に発泡し硬化するからでる。その他に
は、ダクト本体12が熱伝導率の高い材料である金属材
料によって形成されていることによる。すなわち、トー
チ19等の加熱手段による熱が、ダクト本体12を通じ
て発泡性無機質被膜13に効率よく短時間で伝達される
からである。このため、モルタルを用いる従来技術1に
比べ、施工時間(貫通孔にダクト本体を挿通してから、
設備部材が固定されるまでの期間)が短くなり、作業効
率を向上させることができる。
【0053】・発泡性無機質被膜13が、加熱により発
泡して3〜5倍に体積膨張し、無機発泡体14となる。
このため、発泡性無機質被膜13が薄くても、ダクト本
体12と貫通孔17の壁面との隙間が埋め尽くされ、少
ない材料で隙間を充填することができるだけでなく、防
火区画貫通ダクト11がコンパクトとなり、保管、運搬
等のコスト低減を図ることができる。
【0054】・発泡性無機質被膜13は、加熱により、
貫通孔17とダクト本体12との隙間の形状に合わせて
膨張する。このため、貫通孔17の壁面及びダクト本体
12の外周面12aが複雑な形状をなしていても、隙間
を無機発泡体14によって確実に埋め尽くすことができ
る。したがって、貫通孔17の開口部からモルタルを詰
める従来技術1とは異なり、作業者の技量によらず、ダ
クト本体12を防火区画15に簡単に固定することがで
きる。
【0055】・ダクト本体12の外周面12aにおい
て、貫通孔17の壁面に対応する箇所に発泡性無機質被
膜13が形成されているため、加熱により、貫通孔17
の全長にわたって無機発泡体14が形成される。したが
って、モルタルを用いる従来技術1とは異なり、防火区
画15の厚みにかかわらず、しかも、作業者の技量によ
らず、貫通孔17の開口部から離れた箇所の隙間も確実
に充填することができる。
【0056】・発泡性無機質被膜13がダクト本体12
の外周面12aの全周にわたって形成されているため、
加熱により、ダクト本体12の周囲にほぼ同時に無機発
泡体14が形成される。この無機発泡体14によって、
ダクト本体12が貫通孔17のほぼ中央に自動的に配置
される。したがって、ダクト本体12が貫通孔17の中
央に位置するように保持しなくても済み、施工作業を容
易なものとすることができる。
【0057】・ダクト本体12と貫通孔17との隙間に
充填される無機発泡体14は、その材料構成から強度が
高く、ダクト本体12を防火区画15に強固に固定す
る。このため、従来技術2とは異なり、ダクト本体12
の引き抜き強度が高くなり、設備部材16を通す際など
にもダクト本体12がずれたり、回転したり、抜け落ち
たりしにくい。
【0058】・ダクト本体12が金属製であることに加
え、無機発泡体14全体が無機質材料からなり、可燃性
の有機質を含まないことから、施工後の防火区画貫通ダ
クトは高い断熱性を示す。また、建築物に万が一火災が
発生しても炭化せず、所要の防火機能を発揮して、貫通
孔17やダクト本体12が延焼や煙の経路となりにく
い。さらに、火災時に人体に悪影響を及ぼすようなガス
や刺激臭が発生しない。
【0059】・無機発泡体14には、アルカリ珪酸塩の
硬化剤として硼酸亜鉛が配合されていることから、耐食
性や耐水性に優れており、空気中の湿気や結露等によっ
ても劣化せず、施工後から長期間安定してその機能を維
持することができる。
【0060】なお、本発明は以下に示す別の実施形態に
よっても具体化することができる。
【0061】(1)ダクト本体の断面形状は、楕円形、
多角形等の非円形であってもよい。例えば、図6(a)
に示すように、防火区画貫通ダクト21は、角パイプ状
のダクト本体22と、その外面に形成された発泡性無機
質被膜23とを備えたものであってもよい。この場合、
同じく角形の貫通孔27を、型枠及び角ボイド等を用い
て形成することにより、ダクト本体22をその貫通孔2
7に挿通し、その後は、前記実施形態と同様の手順にし
たがって、ダクト本体22と貫通孔27との間の隙間を
充填することにより、ダクト本体22を防火区画25に
固定することができる。
【0062】また、ダクト本体がこのような形状を備え
る場合は、図6(b)に示すように、複数のダクト本体
22を連結して、これらを一つの貫通孔27に施工する
ことも可能である。この場合、ダクト本体22の外面の
うち貫通孔27に対応する面にのみ、発泡性無機質被膜
23を形成しておけばよい。
【0063】(2)ダクト本体において発泡性無機質被
膜が形成される箇所とは別の箇所に、ダクト本体を防火
区画に固定するための固定部材を設けてもよい。例え
ば、図7に示すように、ダクト本体32の外面にL字形
のアングル38を予め取り付けておき、このアングル3
8を介してアンカーボルト39等で防火区画35に固定
してもよい。その後は、前記実施形態と同様の手順にし
たがって、ダクト本体32と貫通孔37との間の隙間を
充填することにより、壁のように垂直に設置された防火
区画のみならず、床や天井のように水平に設置された防
火区画においても、より安定してダクト本体を固定する
ことができる。
【0064】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
する。
【0065】(1)無機発泡接着剤の調製 本実施例で使用される無機発泡接着剤は、珪酸ナトリウ
ムJIS3号(富士化学(株)製 固形分38.3%)、
珪酸リチウム(日産化学工業(株)製 商品名:リチウム
45 固形分45%)、硼酸亜鉛(水澤化学工業(株)製
商品名:FRC−100)、未焼成バーミキュライト
(昭和鉱業(株)製 商品名:バーミキュライトC)、合
成膨潤性雲母(コープケミカル(株)製 商品名:ME−
100)、セピオライト(昭和鉱業(株)製 商品名:ミ
ルコンPS2)及び水からなる。この無機発泡接着剤を
調製する各材料組成を下記表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】上記各材料の配合方法は、以下の通りであ
る。まず、珪酸ソーダ、珪酸リチウム及び水を混合し、
さらに硼酸亜鉛を添加して溶解した。その後、合成膨潤
性雲母、バーミキュライト及びセピオライトを同時に投
入し、ミキサーにて高速撹拌した。温度が25℃を超え
ないように冷却を行いながら、60分間撹拌混合するこ
とにより、防火区画貫通ダクトの作製に供する無機発泡
接着剤が得られた。
【0068】(2)防火区画貫通ダクトの作製 本実施例の防火区画貫通ダクトを、金属製の丸パイプ
(外径:113mm,長さ:200mm,厚さ:3.5
mm)のダクト本体と、上記無機発泡接着剤とを用いて
作製した。まず、無機発泡接着剤の密着性向上のため
に、ダクト本体の外周面の塗布面を脱脂処理し、100
番の金属用サンドペーパーで表面を粗くした。次に、常
温に保った無機発泡接着剤を、1kg/m(Wet)
を目安に刷毛で全周にわたって均等に塗布した。そし
て、遠赤外線ヒーターでタックが付かない程度の加熱を
施して予備乾燥を行った。この塗布及び乾燥の工程を3
回繰り返し、ダクト本体の外周面の幅100mmにわた
って約1mmの膜厚の発泡性無機質被膜を形成させるこ
とにより、本実施例の防火区画貫通ダクトを得た。
【0069】(3)防火区画貫通ダクトの施工 本実施例の防火区画貫通ダクトを、コンクリート製の壁
(厚さ100mm)に形成された円形の貫通孔(内径:
約115mm)に固定して施工した。まず、防火区画貫
通ダクトを貫通孔に挿通し、発泡性無機質被膜が形成さ
れた箇所を貫通孔の壁面に対応させた。そして、ダクト
本体をトーチで内側より加熱して発泡性無機質被膜を膨
脹させ、貫通孔とダクト本体との隙間を充填することに
より、ダクト本体を固定した。
【0070】以上のようにして防火区画に固定された本
実施例の防火区画貫通ダクトは、さらに、所要のケーブ
ル施工工事を行うことにより、そのケーブルを貫通支持
するとともに、その周囲から火災の延焼や拡大を防止す
る構造とすることができた。
【0071】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、貫通孔
の壁面と、その貫通孔に挿通されるダクト本体との間の
隙間を確実に埋めるとともに、貫通孔にダクト本体を強
固に固定することができる。また、発泡性無機質被膜が
膨脹して形成される無機発泡体は、無機質材料からなる
ため、防火区画貫通ダクトが設置された建築物に万一火
災が発生しても、炭化せず所要の防火機能を維持する。
さらに、無機発泡体は耐食性や耐水性を備えており、長
期間安定してその機能を維持する。
【0072】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
に記載の発明の効果に加え、無機発泡接着剤を、流通、
保管及び塗布に適した濃度に調製することができる。
【0073】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は2に記載の発明の効果に加え、発泡性無機質被膜の
膨脹により形成される無機発泡体に、十分な耐水性を付
与することができる。また、無機発泡接着剤を1液型に
調製することができる。
【0074】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
〜3のいずれか1つに記載の発明の効果に加え、無機発
泡体の形成に際し、発泡性無機質被膜を十分に発泡して
膨脹させるとともに、無機発泡体とダクト本体との接着
性を確保することができる。
【0075】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
〜4のいずれか1つに記載の発明の効果に加え、十分な
強度を有する無機発泡体を形成することができるととも
に、無機発泡体とダクト本体との接着性を確保すること
ができる。
【0076】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
〜5のいずれか1つに記載の発明の効果に加え、加熱に
よる熱を発泡性無機質被膜に効率良く伝達し、発泡性無
機質被膜を効率良く膨脹させることができる。
【0077】請求項7に記載の発明によれば、ダクト本
体を短時間で容易に固定することができるため、作業効
率が向上し、施工コストの低減を図ることができる。
【0078】請求項8に記載の発明によれば、請求項7
に記載の発明の効果に加え、発泡性無機質被膜を均等に
加熱し、発泡性無機質被膜を均等に膨脹させることがで
きる。
【0079】請求項9に記載の発明によれば、請求項7
又は8に記載の発明の効果に加え、比較的低温の加熱
で、発泡性無機質被膜を確実に膨脹させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である防火区画貫通ダクト
を施工した状態を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態である防火区画貫通ダクト
と、その防火区画貫通ダクトが適用される防火区画及び
設備部材とを示す断面図である。
【図3】ボイド管を設置して防火区画に貫通孔を形成し
た状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態である防火区画貫通ダクト
を貫通孔に挿通した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態である防火区画貫通ダクト
を防火区画に固定した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態である防火区画貫通ダク
トを貫通孔に挿通した状態を示す部分斜視図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態である防火区画貫
通ダクトを貫通孔に挿通した状態を示す部分斜視図であ
る。
【符号の説明】
11,21,31 防火区画貫通ダクト 12,22,32 ダクト本体 13,23,33 発泡性無機質被膜 14 無機発泡体 15,25,35 防火区画 17,27,37 貫通孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16L 5/02 H02G 3/22 B H02G 3/22 F16L 5/02 F (72)発明者 林 宏三 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内 (72)発明者 藤本 恭一 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内 (72)発明者 岸野 英樹 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内 Fターム(参考) 2E001 DE01 DE03 DE04 FA03 FA11 FA14 FA34 GA03 GA06 GA07 GA65 GA82 GA86 HA04 HB01 HF12 JA17 JA18 JA25 LA04 4H028 AA02 AA05 AA06 AA08 AA10 AB03 BA03 4J040 AA011 HA291 HA311 HA321 HA351 JA10 JB02 LA08 MA02 MA06 MB06 NA12 5G363 AA05 BA01 BA07 CA06 CA20 CB12

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防火区画に形成された貫通孔に挿通され
    るダクト本体と、 無機発泡接着剤を前記ダクト本体の外面に塗布及び乾燥
    することにより形成された発泡性無機質被膜とを備える
    防火区画貫通ダクトであって、 前記無機発泡接着剤は、アルカリ珪酸塩と、硼酸亜鉛
    と、未焼成バーミキュライトと、合成膨潤性雲母及び/
    又は合成スメクタイトとを含む組成物からなることを特
    徴とする防火区画貫通ダクト。
  2. 【請求項2】 前記無機発泡接着剤における前記アルカ
    リ珪酸塩の濃度が、10〜500g/リットルであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の防火区画貫通ダクト。
  3. 【請求項3】 前記無機発泡接着剤における前記硼酸亜
    鉛の配合量が、前記アルカリ珪酸塩100重量部に対
    し、固形分換算で1〜20重量部であることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の防火区画貫通ダクト。
  4. 【請求項4】 前記無機発泡接着剤における前記未焼成
    バーミキュライトの配合量が、前記アルカリ珪酸塩10
    0重量部に対し、固形分換算で1〜50重量部であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の防
    火区画貫通ダクト。
  5. 【請求項5】 前記無機発泡接着剤における前記合成膨
    潤性雲母及び/又は合成スメクタイトの配合量が、前記
    アルカリ珪酸塩100重量部に対し、固形分換算で1〜
    20重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか1つに記載の防火区画貫通ダクト。
  6. 【請求項6】 前記ダクト本体は、金属材料により形成
    されたものであることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れか1つに記載の防火区画貫通ダクト。
  7. 【請求項7】 アルカリ珪酸塩と、硼酸亜鉛と、未焼成
    バーミキュライトと、合成膨潤性雲母及び/又は合成ス
    メクタイトとを含む発泡性無機質被膜がダクト本体の外
    面に形成された防火区画貫通ダクトを、防火区画に形成
    された貫通孔に挿通する第1の手順と、 加熱により前記発泡性無機質被膜を膨脹させて、前記貫
    通孔の壁面と前記ダクト本体との間の隙間を充填するこ
    とにより、前記ダクト本体を前記貫通孔に固定する第2
    の手順とを備えることを特徴とする防火区画貫通ダクト
    の使用方法。
  8. 【請求項8】 前記ダクト本体を加熱することにより、
    前記発泡性無機質被膜を間接的に加熱することを特徴と
    する請求項7に記載の防火区画貫通ダクトの使用方法。
  9. 【請求項9】 前記発泡性無機質被膜を、200〜50
    0℃の温度に加熱することを特徴とする請求項7又は8
    に記載の防火区画貫通ダクトの使用方法。
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