JP2001072480A - 断熱被覆組成物 - Google Patents

断熱被覆組成物

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JP2001072480A
JP2001072480A JP24612799A JP24612799A JP2001072480A JP 2001072480 A JP2001072480 A JP 2001072480A JP 24612799 A JP24612799 A JP 24612799A JP 24612799 A JP24612799 A JP 24612799A JP 2001072480 A JP2001072480 A JP 2001072480A
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synthetic resin
inorganic
water glass
coating composition
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Susumu Takeda
進 竹田
Kazufusa Mitani
一房 三谷
Haruka Ogawa
晴果 小川
Kozo Hayashi
宏三 林
Kyoichi Fujimoto
恭一 藤本
Hideki Kishino
英樹 岸野
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Tokiwa Electric Co Ltd
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Obayashi Corp
Hitachi Chemical Co Ltd
Tokiwa Electric Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 断熱性、耐火性、軽量等の要求特性を満たし
つつ、流動性の確保及び硬化時間の短縮化をともに図
り、断熱施工作業の効率を高める。 【解決手段】 アルカリ金属ケイ酸塩を主成分とする水
ガラスを含む水性液からなる第1液と、水ガラスの硬化
剤を含む水性液からなる第2液とからなり、無機発泡体
微粒子からなるフィラと、合成樹脂の発泡体粒子からな
る骨材とが、第1液及び第2液のいずれか少なくとも一
方に配合される。好ましくは、合成樹脂の発泡体粒子
は、独立気泡型の発泡ポリスチレン粒子からなり、その
表面は表面処理剤により親水性表面にされている。一
方、無機発泡体微粒子はシリカバルーンからなる。硬化
剤としては、ホウ酸亜鉛が使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅等における天
井、壁、床等の断熱施工材料として用いられる断熱被覆
組成物に関し、より詳しくは、吹付け又はこて塗りによ
り壁面等を断熱施工するのに適した断熱被覆組成物に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】建造物の高層化、集合住宅の増加等によ
り軽量で耐火性、断熱性等に優れた断熱施工に関する技
術が求められている。この技術の代表的なものは、発泡
ウレタン等の発泡性合成樹脂を、所定厚みとなるように
壁等の基体に吹付けて発泡被覆を形成し、さらにその上
に石こうボードを貼付ける方法である。また、セメント
モルタルにエアを混合したものを吹付けて多孔性の被覆
を形成する方法のほかに、セメントに発泡体粒子を混和
したものを吹付ける方法も知られている。発泡体粒子と
しては種々提案されており、例えば、パーライト、シラ
スバルーン等の無機発泡体、発泡スチレンビーズ、塩化
ビニリデン系樹脂の発泡粒子(特開平6−157110
号公報参照)がある。さらには、セメントペーストに対
する発泡体粒子の分散性向上、発泡体粒子の接着力向上
等を目的として、歴青物質及び表面活性剤を添加する方
法(特開昭59−30755号公報参照)、発泡体粒子
表面への水分の浸透防止、同表面の機械的強度向上等を
目的として、発泡体粒子を有機質はっ水性化合物によっ
て被覆する方法(特開昭53−88026号公報参照)
も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、施工現場で
の吹付け作業やこて塗り作業に際しては、作業の効率の
高いことが重要である。この観点からは、材料(組成
物)は適度な流動性を有して吹付けやこて塗りがしやす
く、また、施工後はできるだけ早く硬化(乾燥)するこ
とが望ましい。しかしながら、前述した従来の各種断熱
施工技術は、どちらかといえば、施工後の硬化体の要求
特性(断熱性、耐火性、軽量等)を満たすことに主眼を
おいて開発されており、作業効率向上の点では十分でな
い。
【0004】そこで、本発明の課題は、断熱性、耐火
性、軽量等の要求特性を満たしつつ、流動性の確保及び
硬化時間の短縮化をともに図り、断熱施工作業の効率を
高めることのできる新規な断熱被覆組成物を提供するこ
とである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の第1の
発明は、アルカリ金属ケイ酸塩を主成分とする水ガラス
を含む水性液からなる第1液と、その水ガラスの硬化剤
を含む水性液からなる第2液とからなり、無機発泡体微
粒子からなるフィラと、合成樹脂の発泡体粒子からなる
骨材とが、前記第1液及び前記第2液のいずれか少なく
とも一方に配合されてなることを特徴とする断熱被覆組
成物である。
【0006】上記第1の発明によると、無機発泡体微粒
子からなるフィラと合成樹脂の発泡体粒子からなる骨材
とが配合された第1液及び第2液は、これらが互いに混
合される前には、それぞれ液状(スラリ状を含む)をな
している。断熱施工作業(吹付け又はこて塗り)に際
し、第1液及び第2液が混合された直後にも被覆組成物
は適度な流動性を有している。そのため、施工作業は容
易に行うことができる。これに対し施工後には、バイン
ダである水ガラスは硬化剤によって硬化(ゲル化)が促
進され、速やかに組成物の流動性を低下させ、短時間で
硬化した断熱被覆を形成することができる。すなわち、
壁面等であっても、十分な厚さの断熱被覆が可能であ
る。なお、硬化の速度と時間は、硬化剤の種類や使用量
(濃度)によって調整することができる。
【0007】そして、水ガラスからなる無機バインダの
硬化により、比較的粒径の大きな骨材としての合成樹脂
の発泡体粒子が、フィラとしての無機発泡体微粒子と無
機バインダとのマトリックス中に分散した形態の硬化体
が形成される。無機発泡体微粒子も合成樹脂発泡体粒子
も内部が中実ではなく、完全又は不完全に中空状になっ
ている。すなわち、内部に空隙を有する構造となってい
る。しかも、合成樹脂発泡体粒子の空隙は無機発泡体微
粒子のそれよりも大きい。このため、硬化体中に占める
空隙の総容量は、無機発泡体微粒子のみを用いた場合
や、合成樹脂発泡体粒子のみを用いた場合に比べ多くな
る。
【0008】従って、得られた硬化体は、無機発泡体微
粒子のみを用いた場合よりも軽量となる。これは、硬化
体が、無機発泡体微粒子よりも比重の小さな合成樹脂発
泡体粒子を含んでいるからである。また、硬化体は合成
樹脂発泡体粒子のみを用いた場合よりも軽量となる。こ
れは、上述したように粒径の大きな合成樹脂発泡体粒子
間の隙間に、それよりも粒径が小さく、かつ無機バイン
ダよりも比重の小さな無機発泡体微粒子が入り込んでい
て、その隙間の一部を埋めているからである。すなわ
ち、無機バインダの一部が、それよりも軽い無機発泡体
微粒子に置き換わっているからである。
【0009】硬化体は、無機発泡体微粒子のみを用いた
場合よりも、断熱性や耐火性に優れる。これは、硬化体
中に、熱伝導率の低い空隙が存在し、しかもその空隙
が、無機発泡体微粒子のみを用いた場合よりも大きいか
らである。なお、合成樹脂発泡体粒子が無機発泡体微粒
子に比べ耐熱性の点で劣っていても、合成樹脂発泡体粒
子がそれぞれ無機バインダによって覆われていればさほ
ど問題とはならない。仮に特定の合成樹脂発泡体粒子が
熱によって溶融したとしても、それを覆っている無機バ
インダは溶融しにくい。無機バインダが残れば、もとも
と合成樹脂発泡体粒子が有していた空隙も残り、熱が他
の合成樹脂発泡体粒子に伝わりにくくなるからである。
【0010】また、硬化体は合成樹脂発泡体粒子のみを
用いた場合よりも、耐火性や断熱性に優れる。これは、
1つには上述したように無機発泡体微粒子の有する空隙
の分だけ、硬化体中の空隙の容量が多くなるためであ
り、そのほかにも無機発泡体微粒子が合成樹脂発泡体粒
子に比べ、低い熱伝導率、高い軟化開始温度及び高い融
点を有しているからである。
【0011】請求項2に記載の第2の発明は、第1の発
明の構成に加え、前記合成樹脂の発泡体粒子が、独立気
泡型の発泡ポリスチレン粒子からなる。
【0012】上記第2の発明によると、合成樹脂発泡体
粒子として、その内部が完全な中空状となった独立気泡
型の発泡ポリスチレン粒子が用いられていることから、
隣り合う合成樹脂発泡体粒子間で空隙がつながることが
ない。従って、合成樹脂発泡体粒子間において、空気等
の気体の流動がないか又はあっても非常に少ない。この
ため、非独立気泡型の合成樹脂発泡体粒子を用いた場合
に比べ熱が伝わりにくくなる。
【0013】請求項3に記載の第3の発明は、第1又は
第2の発明の構成に加え、前記合成樹脂の発泡体粒子
が、表面処理剤により親水性表面処理されたものからな
る。
【0014】上記第3の発明によると、親水性表面を有
する合成樹脂の発泡体粒子は、非常に軽量であるにもか
かわらず、無機バインダである水ガラスとよく混ざり合
い、同無機バインダ中に略均一に分散する。
【0015】請求項4に記載の第4の発明は、第1の発
明の構成に加え、前記無機発泡体微粒子がシリカバルー
ンからなる。
【0016】上記第4の発明によると、無機発泡体微粒
子として硬化体中に分散するシリカバルーンは、それ自
体比重が小さく、熱伝導率が低く、しかも優れた耐熱性
を有する。
【0017】請求項5に記載の第5の発明は、第1の発
明の構成に加え、前記水ガラスの硬化剤がホウ酸亜鉛か
らなる。
【0018】上記第5の発明によると、ホウ酸亜鉛は、
比較的少ない量で水ガラスの硬化(ゲル化)を促進する
作用を有するとともに、その適度な硬化促進作用によ
り、硬化時間と速度の調整が容易である。ホウ酸亜鉛の
硬化剤としての作用は、以下のような現象によるものと
考えられる。無機バインダである水ガラスとホウ酸亜鉛
とが混合されると、ホウ酸亜鉛の表面においては、化学
結合していたホウ酸と亜鉛とが溶解する。これらのホウ
酸及び亜鉛と、水ガラスのアルカリ金属ケイ酸塩のアル
カリ金属とが反応し、新たな化合物を形成し、これによ
ってアルカリ金属が固定化される。アルカリ金属を失っ
たケイ酸塩はゲル化して、ホウ酸亜鉛の微粉末の表面に
析出し、ガラス状の固体となる。このようにしてケイ酸
ゲルの析出が進行し、拡大したケイ酸ゲルは、隣接する
ホウ酸亜鉛の微粉末の表面に析出したケイ酸ゲルと一体
化し、全体がゲル化する。そして、このゲル化は、硬化
剤中のホウ酸亜鉛の量が少ない場合には比較的ゆっくり
進行するが、多くなるに従い速く進行する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。上述のように、本発明の断熱被覆組成物は、基本的
には、無機発泡体微粒子からなるフィラと合成樹脂の発
泡体粒子からなる骨材とが、アルカリ金属ケイ酸塩を主
成分とする水ガラスを含む水性液からなる第1液と水ガ
ラスの硬化剤を含む水性液からなる第2液とのいずれか
少なくとも一方に配合されたものからなる。
【0020】フィラとしての無機発泡体微粒子は、内部
が中実ではなく完全又は不完全に中空状になっている微
細な粒子である。この無機発泡体微粒子としては、例え
ば、シリカバルーン、シラスバルーン等のガラスバルー
ン、アルミナシリカバルーン等のセラミックバルーン、
焼成バーミキュライト、パーライト等が挙げられる。こ
れらの中でもシリカバルーンは比重が小さく、しかも耐
熱性等においても優れている。具体的には、シリカバル
ーンは50〜750μmの粒径を有し、タップ密度が
0.14〜0.23g/cm3 、粒子密度が0.7〜
0.9g/cm3 と小さく、また、熱伝導率が0.05
2kcal/mh℃と低く、さらに、軟化開始温度が900〜
1000℃、融点が1200〜1300℃と高い。
【0021】上記無機発泡体微粒子に関しては、無機バ
インダとの結合力を高めるために、予めその表面をバイ
ンダ及び硬化剤によって処理し、粘着性を高めておくこ
とが望ましい。この前処理用のバインダとしては例えば
水ガラス組成物を用い、硬化剤としては例えばホウ酸亜
鉛の水溶液を用いることができる。なお、水ガラス組成
物及び硬化剤については後で詳述する。
【0022】骨材としての合成樹脂の発泡体粒子は、内
部が中実ではなく完全又は不完全に中空状になっている
粒子であるが、前記無機発泡体微粒子よりも大きな粒径
を有している。この合成樹脂の発泡体粒子としては、ポ
リスチレン、その他のスチレン系合成樹脂、硬質ポリウ
レタン、硬質塩化ビニル、フェノール樹脂等の硬質合成
樹脂の発泡体が挙げられる。それ以外にも、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、軟質ポリウレタン等の軟質合成樹
脂の発泡体も使用可能である。これらの中でも、とりわ
けポリスチレンの発泡体粒子(以下「発泡ポリスチレン
粒子」という)は比重が小さく、しかも耐熱性等におい
ても優れている。具体的には、発泡ポリスチレン粒子は
0.5〜4.0mmの粒径を有し、タップ密度が0.0
1〜0.10g/cm3 、粒子密度が0.015〜0.
15g/cm3 と小さく、また、熱伝導率が0.038
〜0.045kcal/mh℃と低い。さらに、溶融開始温度
は約120℃である。
【0023】合成樹脂の発泡体粒子としては、粒径の異
なる複数種類の粒子を用いることが好ましい。例えば、
2種類の粒子を用いた場合、大径の粒子間に生ずる間隙
に小径の粒子を入り込ませ、粒子を最も密に充填(最密
充填)させることができる。単位体積において比重の小
さな合成樹脂の発泡体粒子の占める割合が高くなり、単
一種類(粒径)を用いた場合に比べ、効率よく軽量化を
図ることができる。
【0024】上記合成樹脂の発泡体粒子は非常に軽量で
あることから、そのままでは水との親和性に乏しく、無
機バインダとして水ガラス組成物を用いこれと混合した
場合、分離してしまうおそれがある。そこで、予め合成
樹脂の発泡体粒子の表面を表面処理剤によって親水性処
理しておくことが望ましい。この表面処理剤としては、
例えばシランカップリング剤を用いることができる。シ
ランカップリング剤は一般にX〜Si(OR)で表され
る化合物である。式中のXは有機質と反応する反応基
(アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、ク
ロル基等)及びアルキル基であり、ROは加水分解可能
なアルコキシル基(メトキシ基、エトキシ基等)であ
る。シランカップリング剤は通常、同一分子内に異なる
2種の官能基を有し、有機樹脂と無機物を結合すること
から、塗膜の物理的強度を向上させたり、無機質基材に
対する接着性を向上させたりするのに用いられている。
【0025】水ガラスは、一般式M2 O・nSiO2
表されるアルカリ金属ケイ酸塩を主成分とする、粘性の
ある水溶液であり、硬化してガラス質のシリケートポリ
マーを形成する。式中Mはアルカリ金属であり、代表的
には、ナトリウム(Na)、カリウム(K)又はリチウ
ム(Li)である。nはM2 OとSiO2 とのモル比で
あり、一般に1.6〜4.5である。アルカリ金属の種
類は無機バインダの性能を左右する要素であり、一般に
接着強さはNa>K>Liの順に小さくなり、耐水性は
Li>K>Naの順に小さくなる。
【0026】水ガラスはセラミックス、金属等に対する
接着性に優れしかも不燃性であることから、無機質塗料
や無機接着剤のバインダとして、また不燃性パネルやボ
ードの製造時のバインダとして等、幅広く利用されてい
る。このような水ガラスとしては、安価で、またJIS
規格品として容易に入手可能なケイ酸ナトリウムの水ガ
ラスを特に好適に用いることができる。また、このケイ
酸ナトリウムの水ガラスに、ケイ酸リチウムの水ガラス
を混合して用いることもより好ましい。それによって硬
化後の耐水性をより高めることができる。無機バインダ
としてのこの水ガラスには、これと反応しない限りにお
いて、同様の無機ポリマーを形成するリン酸塩やシリカ
ゾルを併用してもよい。なお、水ガラスの好ましい配合
割合は20〜80重量%である。
【0027】前述した水ガラスはそのままでも乾燥によ
って硬化するが、硬化時間が比較的長く、被覆を厚く施
工した場合にはタレ等が生じる。そのため、本発明にお
いては、その硬化を促進する硬化剤が第2液として用い
られる。代表的な硬化剤は、酸化亜鉛等の多価金属の酸
化物、水酸化カルシウム等の多価金属の水酸化物、ケイ
酸カルシウム等のケイ化物、ケイ弗化ナトリウム等のケ
イ弗化物、ホウ酸カリウム等のホウ酸塩、リン酸アルミ
ニウム等のリン酸塩、あるいはリン酸と金属酸化物との
混合焼成物等である。
【0028】しかし、水ガラス硬化剤としては、特にホ
ウ酸亜鉛が有利である。ホウ酸亜鉛は、古くから塗料や
樹脂成形品の難燃剤として使用されているもので、一般
に、2ZnO・3B23 ・3.5H2 Oの組成で示され
る水和物であるが、加熱によって容易に無水和物とな
る。本発明では、ホウ酸亜鉛はこれらの水和物及び無水
和物のいずれの形態でも同等に使用することができる。
使用するホウ酸亜鉛の粒径は任意であるが、比較的小さ
い方が反応性及び分散性の点から好ましく、平均粒径1
〜100μmのものが特に好ましい。従って、ホウ酸亜
鉛としては、難燃剤として市販されているものをそのま
ま好適に用いることができる。
【0029】そして、ホウ酸亜鉛の添加量に応じ、水ガ
ラスの硬化(ゲル化)時間と水に対する溶解の程度が変
化する。一般には、ホウ酸亜鉛の添加量が少ないと硬化
時間が長くて水に可溶であるが、添加量が多くなるに従
い硬化時間が短くなり水に不溶となる傾向にある。本発
明の2液型の断熱被覆組成物においては、水ガラス10
0重量部に対して、ホウ酸亜鉛を10〜20重量部の割
合が望ましい。なお、ホウ酸亜鉛に加えて他の硬化剤を
併用することもできる。しかし、この場合には、硬化速
度の遅い硬化剤が、硬化剤としてよりはむしろ充填剤と
して用いられたり、耐食性等の改善剤として用いられる
べきである。
【0030】なお、上記断熱被覆組成物において、無機
発泡体微粒子と合成樹脂発泡体粒子は、一般に、粘性に
よって安定した分散状態が得られやすいことから、水ガ
ラスを含む第1液に配合することができる。ただし、シ
リカバルーン等の無機発泡体微粒子は水中での分散安定
性が比較的良いため、硬化剤を含む水性液である第2液
の方に配合することもできる。そして、本組成物には、
その他にも、種々の材料を配合し、或いは添加すること
ができる。例えば、施工後のタレの発生をより確実に防
止するために、チキソトロピー性を有する材料、好まし
くは無機材料、を添加することができる。チキソトロピ
ー性を有する無機材料としては、セピオライト、マイク
ロシリカバルーン、繊維状炭酸カルシウムウィスカ等が
適している。
【0031】また、上記断熱被覆組成物においては、水
ガラスの硬化により、無機発泡体微粒子及び合成樹脂の
発泡体粒子を含む硬化体が形成されるが、この硬化体の
改質を目的として、以下に示す種々の材料を併用しても
よい。その1つとして、10μm以下の粒径を有するマ
イクロシリカバルーンが挙げられる。詳しくは、上述し
た水ガラス組成物のような化学反応形のバインダでは、
溶媒が水であり、硬化反応が脱水縮合であることから、
硬化時には、溶媒水と反応副生成水の蒸発に起因する体
積収縮が見られる。この収縮はクラックや歪みを発生
し、水の蒸発は発泡や気孔を生成し、硬化体の凝集力を
低下させるおそれがある。これに対し、マイクロシリカ
バルーンは硬化体中の固体分率を高め、バインダの脱水
縮合反応にともなう収縮を抑制し(収縮止め機能を発揮
し)、クラックの発生を防止する。そのほかにも、マイ
クロシリカバルーンは、硬化体の強度向上、軽量化、平
滑性付与といった機能も発揮する。
【0032】さらに、硬化体の強度を高め、クラックの
発生を防止するために無機繊維を用いてもよい。無機繊
維としては、例えば、ガラス繊維、ロックウール繊維等
の鉱物繊維、ステンレス繊維等の金属繊維、カーボン繊
維、アルミナ繊維、アルミナシリカ繊維、チタン酸カリ
ウム繊維等のセラミック繊維、ウィスカ等の無機化合物
繊維、等が挙げられる。これらの中でも、安価である点
でガラス繊維が好適である。無機繊維の好ましい繊維長
は50μm〜15mmであり、好ましい配合割合は1〜
10重量%である。
【0033】同様の目的のために、牡蠣等の貝殻の粉状
体(以下「貝殻粉」という)、牛の骨、卵の殻等を用い
てもよい。貝殻は、一般に密に結合した結晶構造を有し
ており、そのほとんどが純粋な炭酸カルシウムからな
る。貝殻粉は、廃棄物である貝殻を洗浄等によって適度
に清浄化処理し、ロールミル、ジェット粉砕機等の粉砕
機によって粉砕して得たものである。貝殻粉は、通常の
鉱物等の粉砕物のような球状の形状ではなく扁平状の粒
子形状をなし、しかもその表面に微細な突起を有してい
る。従って、貝殻粉は体積比が大きく、水中ではカチオ
ンに帯電して安定的に浮遊したスラリを形成する。ま
た、水ガラス組成物と硬化剤との反応に際しては、それ
らが貝殻粉の表面に密着した状態で硬化し、貝殻粉を相
互に接着し結合する。
【0034】また、調湿性の付与を目的として、珪藻
土、炭粉、ゼオライト、セピオライト等を用いてもよ
い。調湿性とは、室内の湿度を一定に保つ性質であり、
呼吸性、吸・放湿性とも呼ばれる性質である。珪藻土
は、珪藻という単細胞の藻類が海底や湖底に沈積し、体
内の原形質が分解し、珪酸を主体とした遺殻が集積し
て、地層を形成した珪質の堆積岩であり、一般式SiO
2 ・xH2 Oで表される。珪藻土はいずれも円形、針状
舟形等の殻(セル)の集合体からなり、微細な孔を非常
に多く有する。珪藻土は微細多孔質な構造のために密度
が小さく、熱絶縁性に富み、化学的にも侵されにくい性
質を有する。
【0035】炭粉は炭を粉砕して粉状としたものであ
り、200〜500μmの粒径を有する。炭は、周知の
ように、樹木、竹等の植物を焼くことにより形成された
もので、一種のハニカム構造をした多孔質な状態になっ
ている。すなわち、炭では、植物が有する、水や養分の
通った大小の管(管状組織)がそのまま空隙となって残
っていて比表面積が非常に大きく、この構造が吸水性、
保水性、調湿性等を発揮する。樹木としては、松、杉等
の針葉樹、ブナ、ナラ等の広葉樹を用いることができ
る。代表的な炭としては木炭がある。木炭には、一般に
白炭(しろずみ)と黒炭(くろずみ)の2種類がある。
白炭とは、表面が白い灰で覆われており、折ったときの
断面が銀白色に近い、つやのある硬い炭であり、黒炭と
は、つやのない真っ黒な外観で、折ったときの断面もま
た黒く、簡単に切断することのできる柔らかい炭であ
る。
【0036】ゼオライトは元素の周期表の1A族及び2
A族の元素、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウ
ム、カルシウム等の元素の結晶性アルミノケイ酸塩であ
って、天然に産出されるものと人工的に合成されるもの
とがある。ゼオライトの骨格構造には連通した空隙があ
り、陽イオンや水分子で占められている。そして、熱が
加えられることにより水分子が除去され、空隙が気体、
塩類、その他の物質を吸着する。天然ゼオライトとして
はモルテナイト系パウダーが代表的である。また、合成
ゼオライトとしては、シリカ源にケイ酸ナトリウム、ア
ルミ源にアルミン酸ナトリウムを用いたパウダーが代表
的である。
【0037】セピオライトは、通称、マウンテンレザー
(山皮)、マウンテンコルク、マウンテンウッドと呼ば
れている微細な繊維状の含水ケイ酸マグネシウム粘土鉱
物である。セピオライトは、レンガを交互に積み重ねた
ような三次元鎖状の結晶構造を有し、その鎖状の隙間に
は繊維の長さ方向に沿ってトンネル状の細孔が形成され
ている。
【0038】ところで、水ガラスを含む水性液からなる
第1液と、硬化剤を含む水性液からなる第2液をそれぞ
れ調製するに際して、無機発泡体微粒子や合成樹脂発泡
体粒子等の混合順序は特に限定されない。しかし、合成
樹脂発泡体粒子を表面処理剤によって表面処理する場合
には、同処理を、合成樹脂発泡体粒子を他の成分と混合
する前に行う。この処理により、合成樹脂発泡体粒子の
表面が親水化されると、同発泡体粒子が非常に軽量であ
るにもかかわらず、第1液又は第2液とよく混ざり合
い、同水性液中に均一に分散させることができる。
【0039】この断熱被覆組成物の使用(住宅等の建造
物における壁面の断熱施工作業)に際して、第1液と第
2液とを撹拌等によって混合する。そして、水ガラスと
その硬化剤とが均一に混合された被覆組成物をスプレー
ガンのタンクに注入する。混合直後には、この組成物は
適度な流動性を有している。このため、スプレーガンを
操作することによって、そのノズルから被覆組成物を噴
射し、被塗物に吹付けることができる。なお、適切な混
合がなされるのであれば、別々のタンクから圧送される
第1液と第2液を吹付け装置の内部で混合する方式であ
ってもよい。また、吹付けに代えてこて塗りをすること
もできる。なお、吹付け又はこて塗りに適した粘度は約
1500cpsである。また、スプレーガンによる吹付圧
力は10kgf/cm2 以上であることが好ましい。
【0040】ここで、被塗物としては、超軽量コンクリ
ート等からなる下地層としての躯体であったり、モルタ
ル層を介して躯体に貼付けられたハニカム構造材であっ
たりする。ハニカム構造材は多数の柱状セルの集合体で
あり、壁等の心材として用いられるものである。ハニカ
ム構造材を被塗物とした場合には、各柱状セルの内部空
間を通してモルタル層に向け断熱被覆組成物が吹付けら
れる。同組成物はモルタル層上に塗布されるとともに、
柱状セルの内部空間に充填される。また、躯体を被塗物
とした場合には、断熱被覆組成物がスプレーガンにより
同躯体に直接吹付けられる。吹付けられた断熱被覆組成
物中の水ガラス組成物は被塗物との界面で接着力を発現
する。
【0041】ここで、第1液の水ガラスは、第2液の硬
化剤によってその硬化が促進され、比較的短い時間で硬
化する。例えば、硬化剤としてホウ酸亜鉛が用いられた
場合には、硬化に際し、ホウ酸亜鉛が次のように作用す
るものと考えられる。アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液
(pH=12)にホウ酸亜鉛の微粉末が添加されると、
化学結合していたホウ酸と亜鉛とが、その粒子表面にお
いて溶解する。この溶解したホウ酸及び亜鉛とケイ酸塩
のアルカリ金属とが反応し、新たな化合物を形成し、こ
れによってアルカリ金属が固定化される。アルカリ金属
を失ったケイ酸塩はゲル化して、ホウ酸亜鉛の微粉末の
表面に析出し、ガラス状の固体となる。このようにして
ケイ酸ゲルの析出が進行し、拡大したケイ酸ゲルは、隣
接するホウ酸亜鉛の微粉末の表面に析出したケイ酸ゲル
と一体化し、全体がゲル化する。そして、このゲル化の
速度は、硬化剤の水溶液中に多く含まれたホウ酸亜鉛に
よって速められる。
【0042】前記のようにして水ガラス組成物である無
機バインダが硬化すると、比較的粒径の大きな合成樹脂
の発泡体粒子が無機バインダ中に分散し、それらの発泡
体粒子間の隙間に、同粒子よりも粒径の小さな無機発泡
体微粒子が入り込んだ状態の硬化体が得られる。無機発
泡体微粒子も合成樹脂発泡体粒子も内部が中実ではな
く、完全又は不完全に中空状になっている、すなわち、
内部に空隙を有している。しかも、合成樹脂発泡体粒子
の空隙は無機発泡体微粒子のそれよりも大きい。このた
め、硬化体中に占める空隙の総容量は、無機発泡体微粒
子のみを用いた場合や、合成樹脂発泡体粒子のみを用い
た場合に比べ多くなる。
【0043】従って、得られた硬化体は、無機発泡体微
粒子のみを用いた場合よりも軽量となる。これは、無機
発泡体微粒子の一部が、それよりも比重の小さな合成樹
脂発泡体粒子に置き換わるからである。また、硬化体は
合成樹脂発泡体粒子のみを用いた場合よりも軽量であ
る。これは、上述したように粒径の大きな合成樹脂発泡
体粒子間の隙間に、それよりも粒径が小さく、かつ無機
バインダよりも比重の小さな無機発泡体微粒子が入り込
んでいて、その隙間の一部を埋めているからである。す
なわち、無機バインダの一部がそれよりも軽い無機発泡
体微粒子に置き換わっているからである。
【0044】また、水ガラスの硬化に際し脱水縮合反応
が起こり、硬化体が結晶水を実質的に含まず、微細な多
くの孔を有していることも硬化体の軽量化に寄与してい
る。この点は、無機バインダとしてセメント等の水和形
を用いた場合と大きく異なる。水和形無機バインダを用
いた場合、硬化の際に水を取込んでゆくことから、施工
時に加えた水がそのまま残り、その分重量が増加する。
これに対し、水ガラス組成物からなる無機バインダを用
いた場合には、施工時に加えた水は乾燥時に蒸発するた
め、水を取込むことによる重量増は実質上ない。
【0045】硬化体は、無機発泡体微粒子のみを用いた
場合よりも、断熱性や耐火性に優れる。これは、硬化体
中に、無機材料や合成樹脂材料よりも熱伝導率の低い空
隙が存在し、しかもその空隙の総容量が、無機発泡体微
粒子のみを用いた場合よりも多いからである。なお、合
成樹脂発泡体粒子が無機発泡体微粒子に比べ耐熱性の点
で劣っていても、合成樹脂発泡体粒子がそれぞれ水ガラ
ス組成物の硬化物によって覆われていればさほど問題と
はならない。仮に特定の合成樹脂発泡体粒子が熱によっ
て溶融したとしても、それを覆っている無機バインダは
溶融しにくい。無機バインダが残れば、もともと合成樹
脂発泡体粒子が有していた空隙も残り、熱を他の合成樹
脂発泡体粒子に伝わりにくくするからである。また、溶
融した合成樹脂発泡体粒子の周りの無機バインダが残れ
ば、硬化体は初期の外形形状を維持する。
【0046】また、硬化体は合成樹脂発泡体粒子のみを
用いた場合よりも、耐火性や断熱性に優れる。これは、
1つには上述したように無機発泡体微粒子の有する空隙
の分だけ、硬化体中の空隙の量が多くなるためであり、
そのほかにも無機発泡体微粒子が合成樹脂発泡体粒子に
比べ、低い熱伝導率、高い軟化開始温度及び高い融点を
有しているからである。
【0047】合成樹脂発泡体粒子として、その内部が完
全な中空状となった独立気泡型を用いた場合には、耐火
性や断熱性をさらに高める上で有効である。独立気泡型
を用いた場合には、隣り合う合成樹脂発泡体粒子間で空
隙がつながることがない。従って、合成樹脂発泡体粒子
間において、空気等の気体の流動がないか又はあっても
非常に少ない。このため、非独立気泡型の合成樹脂発泡
体粒子を用いた場合に比べ熱が伝わりにくくなるからで
ある。
【0048】硬化体において無機発泡体微粒子及び合成
樹脂発泡体粒子以外の部分が無機材料によって形成され
ていることも、硬化体が優れた耐熱性等を発揮する要因
となっている。さらに、硬化体は使用可能な温度範囲が
広く、強度が高い。0℃以下であっても硬化体にクラッ
クが発生しにくく、100℃を越えても硬化体が分解し
ない。これは、低温下で氷結したり、高温下で蒸発した
りする水(結晶水)が硬化体中に実質的に含まれないか
らである。
【0049】無機発泡体微粒子及び合成樹脂の発泡体粒
子のほかに他の材料が加えられた場合には、その材料の
種類に応じて硬化体に種々の性質が付与され、又は改質
される。マイクロシリカバルーンの添加により硬化時の
収縮が抑えられ、クラックの発生が防止されるとともに
平滑性が付与される。無機繊維、貝殻粉等の添加によ
り、硬化体の強度が高められる。珪藻土、炭粉等の添加
により調湿性が付与される。なお、これらは無機材料か
らなる(貝殻粉等も実質的に炭酸カルシウムからなる無
機物である)ので、これらの添加により耐熱性、耐火
性、断熱性等が損なわれることはない。
【0050】また、無機バインダとして水ガラス組成物
を用いていることから、硬化体には脱水縮合反応にとも
ない微細な孔ができている。これらの細孔は、上述した
珪藻土等による調湿機能を長期にわたって発揮させ続け
る。すなわち、細孔がある分、吸湿・放湿に関わる箇所
の表面積が広くなる。この点は、無機バインダとしてセ
メント等の水和形の無機バインダを用いた場合と異な
る。水和形の無機バインダの場合、硬化体は細孔を有し
ない中実体となり、珪藻土等が吸・放湿機能を発揮する
箇所が少ない。
【0051】加えて、水ガラス組成物からなる無機バイ
ンダはそれ自体粘着性を有しており、フィラ及び骨材を
配合したときから初期接着性に優れた特性を発揮する。
無機バインダ、フィラ及び骨材からなるスラリにおいて
も、施工上必要な初期接着性とチキソトロピー性とを、
特別な添加剤を用いなくても保持する。
【0052】従って、上述したように吹付けやこて塗り
により施工される本発明の断熱被覆組成物は、住宅等の
建造物における天井、壁、床、間仕切り、扉等の断熱施
工材料として好適である。さらに、貝殻粉等を用いるこ
とにより、上述したような硬化体の改質にとどまらず、
これらの材料の有効利用を図ることができる。すなわ
ち、例えば牡蠣は、その身の部分に比較して大きな殻を
有し、その殻が廃棄物として多量に生ずる。この殻は硬
く、なかには鋭利な凹凸を有するものもあるため、飼料
等として利用することができず、また、漁網を損傷する
等のために海に投棄することもできず、その処理に困窮
している。これに対し、上記のように粉砕して粉末状に
したうえで用いることにより、廃棄物としての貝殻を有
効利用でき、廃棄物処理問題の解決に資することができ
る。加えて、貝殻粉は安価であるため、これを用いたこ
とによるコストの上昇は最小限ですむ。
【0053】
【実施例】(第1実施例)第1実施例の断熱被覆組成物
は、無機発泡体微粒子(フィラ)、合成樹脂の発泡体粒
子(骨材)、水ガラス(無機バインダ)、硬化剤、各種
改質材及び粘度調整剤からなる。無機発泡体微粒子は、
シリカバルーン(株式会社シラックスウ製商品名:SILA
X PB-09L(粒径150μm))からなる。合成樹脂発
泡体粒子は、2種類の発泡ポリスチレン粒子(日立化成
工業株式会社製 商品名:HB−S(粒径0.7mm)
及びSSB−TX5(粒径3.0mm))と、その表面
処理剤としてのシラン系水溶液(株式会社常盤電機製
商品名:HK29)とからなる。水ガラスは、ケイ酸ソ
ーダJIS3号70重量部と、ケイ酸リチウム30重量
部とからなる。改質材は、マイクロシリカバルーン(株
式会社シラックスウ製 商品名:SILAX MS101(粒径1
0μm)と、ロックウール繊維(愛知産業製商品名:R
S470)とからなる。粘度調整剤は炭酸カルシウム
(丸尾カルシュウム株式会社製 商品名:MC−K)か
らなる。以上は第1液の材料成分であり、第2液は水ガ
ラスの硬化剤としてのホウ酸亜鉛(水沢化学株式会社製
商品名:アルカネックスFRC-500)とこれを分散する
水とからなる。本実施例の断熱被覆組成物を調製する各
材料組成及び成分の詳細を下記表1に示す(ただし、配
合は相対量を示す)。
【0054】
【表1】
【0055】上記各材料を用い、以下の順で2液型の断
熱被覆組成物を調合した。まず2種類の発泡ポリスチレ
ン粒子(HB−S、SSB−TX5)を、120rpm
の回転速度で3分間撹拌して混合し、次にこれにシラン
系水溶液を添加し120rpmの回転速度で3分間撹拌
した。続いて、前記の表面処理後の発泡ポリスチレン粒
子にマイクロシリカバルーンを添加して120rpmの
回転速度で3分間撹拌し、これにシリカバルーンを添加
して120rpmの回転速度で3分間撹拌して混合物A
を調製した。なお、上記の各撹拌にはプラネタリミキサ
を用いた。
【0056】また別に、水ガラスにロックウール繊維を
添加して、前記プラネタリミキサにより240rpmの
回転速度で30分間撹拌し、混合液Bを調製した。そし
て、前記混合物Aに混合液Bを投入し、ミキサにより7
00rpmの回転速度で2分間撹拌し、その後、炭酸カ
ルシウムを投入し、ミキサにより700rpmの回転速
度で1分間撹拌した。、水にホウ酸亜鉛を添加し、ミキ
サにより700rpmの回転速度で1分間撹拌した。こ
うして、水ガラスをバインダとして含む第1液を調製し
た。なお、この第1液自体は、密封した容器に保管すれ
ば、少なくとも1ヶ月は安定であることが確認された。
【0057】他方、水にホウ酸亜鉛を添加し、ミキサに
より700rpmの回転速度で1分間撹拌して、ホウ酸
亜鉛の微粉末の水性分散液からなる第2液を調製した。
そして、断熱被覆の形成に際し、上記の第1液にこの第
2液を投入し、ミキサにより700rpmの回転速度で
1分間撹拌した。これによって、水ガラスと硬化剤とが
混合され、その硬化が始まった。その後、硬化反応があ
る程度進み、粘度が約1500cpsとなったところで、
常温下で断熱被覆組成物を被塗物(躯体の垂直面)にこ
てで塗布した。断熱被覆組成物は被塗物に付着した後、
タレやたるみを発生することなくすぐに乾燥硬化した。
その結果、厚みが約30mmで、微細な孔を多数有する
フィラとの硬化体からなる断熱被覆が形成された。
【0058】この硬化体の物性を測定したところ、みか
け比重が約0.3と軽く、熱伝導率が0.05kcal/mh
℃と低かった。また、硬化体の防火性能を確認するため
に、同硬化体から、縦40mm、横40mm、厚み50
mmの試験体を作製し、約750℃に保たれた炉の中に
この試験体を20分間放置し、乾燥炉内の温度変化を測
定したところ、830℃であった。そのほかにも硬化体
は1000℃での耐火性を示し、さらに5時間の沸騰水
試験によっても異常が認められず、良好な耐水性も示し
た。
【0059】(第2実施例)第2実施例の断熱被覆組成
物は、第1実施例の組成に加え、第1液にさらに珪藻土
(株式会社ビーエルエム製 商品名:BLパウダー)が
配合されている。BLパウダーは、白色・赤色・灰色の
3種の珪藻土及びその他の土や石粉に、セメント系や石
灰系の固化剤及び細骨材を混合した微細な粒子である。
断熱被覆組成物の各組成及び成分の詳細を下記表2に示
す。
【0060】
【表2】
【0061】前記第1実施例と同様の順序で上記各材料
成分を撹拌により混合した。そして、炭酸カルシウムの
投入及び撹拌の後に、さらに珪藻土を投入し、ミキサに
より700rpmの回転速度で1分間撹拌し、断熱被覆
組成物の第1液を調製した。その後、第1液と第2液と
を混合して、第1実施例と同様の条件でこて塗りにより
被塗物に塗布した。断熱被覆組成物は被塗物への付着
後、タレやたるみを発生することなくすぐに乾燥硬化し
た。得られた硬化体は第1実施例と同程度のみかけ比
重、熱伝導率及び耐火性を示した。
【0062】また、住宅の模型を用い、その壁に硬化体
を組込み、屋外の気温及び湿度を測定するとともに、屋
内の気温及び湿度を測定してみた。屋外では、気温が上
がると湿度が下がり、気温が下がると湿度が上がるが、
室内では、外気温の変化とは関係なく湿度が略一定の値
に保たれた。
【0063】
【発明の効果】以上のように、第1の発明によれば、断
熱性、耐火性、軽量等の要求特性を満たしつつ、流動性
の確保及び硬化時間の短縮化をともに図り、断熱施工作
業の効率を高めることができる。
【0064】第2の発明によれば、第1の発明の効果に
加え、より一層断熱性及び耐火性を高めることができ
る。
【0065】第3の発明によれば、第1又は第2の発明
の効果に加え、合成樹脂の発泡体粒子が無機バインダに
略均一に分散した状態の硬化体を得ることができる。
【0066】第4の発明によれば、第1の発明の効果に
加え、断熱性及び耐火性の向上と軽量化とをより確実な
ものとすることができる。
【0067】第5の発明によれば、比較的硬化促進作用
の高いホウ酸亜鉛の添加量を調整することにより、水ガ
ラスの硬化時間を簡単に調整できる。このため、第1の
発明の効果に加え、硬化時間の短縮を一層確実なものと
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹田 進 千葉県市原市五井南海岸14番地 日立化成 工業株式会社五井工場内 (72)発明者 三谷 一房 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 小川 晴果 東京都清瀬市下清戸4丁目640番地 株式 会社大林組技術研究所内 (72)発明者 林 宏三 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内 (72)発明者 藤本 恭一 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内 (72)発明者 岸野 英樹 岐阜県各務原市金属団地65番地 株式会社 常盤電機内 Fターム(参考) 4G019 LA03 LB01 LB04 LD01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルカリ金属ケイ酸塩を主成分とする水
    ガラスを含む水性液からなる第1液と、 前記水ガラスの硬化剤を含む水性液からなる第2液とか
    らなり、 無機発泡体微粒子からなるフィラと、 合成樹脂の発泡体粒子からなる骨材と が、前記第1液及び前記第2液のいずれか少なくとも一
    方に配合されてなることことを特徴とする断熱被覆組成
    物。
  2. 【請求項2】 前記合成樹脂の発泡体粒子は、独立気泡
    型の発泡ポリスチレン粒子からなることを特徴とする請
    求項1に記載の断熱被覆組成物。
  3. 【請求項3】 前記合成樹脂の発泡体粒子は、表面処理
    剤により親水性表面処理されたものからなることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の断熱被覆組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記無機発泡体微粒子は、シリカバルー
    ンからなることを特徴とする請求項1に記載の断熱被覆
    組成物。
  5. 【請求項5】 前記水ガラスの硬化剤は、ホウ酸亜鉛か
    らなることを特徴とする請求項1に記載の断熱被覆組成
    物。
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