JP2001251956A - 稲育苗用モミ殻マットの製造方法および製造プラント - Google Patents

稲育苗用モミ殻マットの製造方法および製造プラント

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JP2001251956A
JP2001251956A JP2000249230A JP2000249230A JP2001251956A JP 2001251956 A JP2001251956 A JP 2001251956A JP 2000249230 A JP2000249230 A JP 2000249230A JP 2000249230 A JP2000249230 A JP 2000249230A JP 2001251956 A JP2001251956 A JP 2001251956A
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Kenji Yodono
憲治 淀野
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YAMAGATA OKITAMA NOGYO KYODO K
YAMAGATA OKITAMA NOGYO KYODO KUMIAI
Original Assignee
YAMAGATA OKITAMA NOGYO KYODO K
YAMAGATA OKITAMA NOGYO KYODO KUMIAI
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 モミ殻を基礎原料として所要の処理を施し、
稲作従事者がそのまま使用することができる形態で所要
量を適宜供給可能にするための、稲育苗用モミ殻マット
の製造方法及びその製造プラントを提供すること。 【解決手段】 夾雑物を除去した原料モミ殻の発芽抑制
物質を分解除去し、発芽育苗に適するpHに調整する改
質処理工程と、該改質処理の施された原料モミ殻に対し
て育苗に必要な初期育成用肥料、中期育成用肥料、健苗
育成剤、良質土壌菌繁殖用剤等の少なくとも1ないし選
ばれた2以上の組み合わせからなる添加剤ならびに隣接
するモミ殻同士を結合するための結合剤を混合・攪拌す
る混合・攪拌工程と、該混合・攪拌工程を経た原料モミ
殻を、前記結合剤が軟化して周辺モミ殻同士を被着させ
るまで加熱しつつ成形して原型マットを成形する加熱・
成形工程と、該加熱・成形工程を経た原型マットを放熱
させつつその形状および寸法を所望状態に調整するマッ
ト仕上げ工程と、からなる稲育苗用モミ殻マットの製造
方法ならびにこの方法を実施するに適した各手段を備え
た稲育苗用モミ殻マットの製造プラントである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、稲育苗用としては
従来殆ど利用されていなかったモミ殻を、部分的に破砕
して、これをマット状に形成する稲育苗用モミ殻マット
の製造方法およびこの製造方法を実施するに適する稲育
苗用モミ殻マットの製造プラントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、稲の収穫後の籾擦り段階で大量に
発生するモミ殻は、そのまま地中に入れたとしても容易
に腐食せず、処理に困っていた。これは、モミ殻には元
来内包する種子部分(玄米)を保護する機能があり、自
身も変質し難い性質をもっているためである。
【0003】したがって、モミ殻は、焼却もしくは燻烝
してからでないと肥料にもならず、その処理に困る存在
であった。そのため、高温高圧蒸気に曝すことにより得
られる膨軟モミ殻(ESH:Expanded Soft Hulls の頭
文字)として利用可能に変性されていた。しかしなが
ら、それでもモミ殻の利用範囲は限られており、例えば
土に適宜割合で添加・混合して、各種作物苗床土の増量
材として部分的に利用されたり、家畜の排泄物と混合し
て堆肥化するなどしていた。
【0004】このようなモミ殻を育苗用培地として利用
しようとすると、モミ殻には稲の発芽を抑制する物質
(モミラクトーンフェノール)が含まれており、さらに
稲の生育に適正なpH状態が得られない等の理由から、
好ましい結果が得られていない。したがって、モミ殻を
全量利用して稲の育苗培地を形成することは到底考えら
れなかった。
【0005】このような事情を考慮して、先に本願出願
人によって特願平9−113301号(特開平10−2
62451号)「発明の名称:膨軟モミ殻全量利用によ
る稲育苗人工培地」が出願されている。この特許出願
は、モミ殻に対して上述のような困難性を解消するため
の処理を施し、稲育苗に適する状態に改質する基本的技
術を開示したものである。ここで処理された稲育苗人工
培地は、物理的もしくは化学的に処理された膨軟モミ殻
粒体として、例えば袋詰めされた状態で出荷されてい
る。
【0006】このような膨軟モミ殻を処理した育苗培地
用のモミ殻粉粒体を適宜寸法の育苗箱等に敷設して育苗
床として形成することも可能ではあるが、敷設厚さや幅
・長さ等の設定作業が煩雑となる。したがって、稲作に
携わる人々個々がそのまま簡易に実施できる状態には至
っていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の事情
を踏まえ、膨軟モミ殻(ESH)を基礎原料として所要
の処理を施し、稲作従事者がそのまま使用することがで
きる稲育苗用モミ殻成形培地(マット)の形態で所要量
を適宜供給可能にするための、稲育苗用モミ殻マットの
製造方法ならびにその製造プラントを提供することを課
題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、図1の工程図
に示すように、夾雑物を除去し少なくとも部分的に破砕
された原料モミ殻の発芽抑制物質を分解除去し、発芽育
苗に適するpHに調整する改質処理工程20と、該改質
処理の施された原料モミ殻に対して育苗に必要な初期育
成用肥料、中期育成用肥料、健苗育成剤、良質土壌菌繁
殖用剤等の1ないし選ばれた2以上の組み合わせからな
る添加剤ならびに隣接するモミ殻同士を結合するための
結合剤を混合・攪拌する混合・攪拌工程30と、該混合
・攪拌工程を経た原料モミ殻を、前記結合剤が軟化して
周辺モミ殻同士を被着させるまで加熱しつつ成形して原
型マットを成形する加熱・成形工程40と、該加熱・成
形工程を経た原型マットを放熱させつつその形状および
寸法を所望状態に調整するマット仕上げ工程50と、か
らなることを特徴とする稲育苗用モミ殻マットの製造方
法である。
【0009】ここに、稲の発芽育苗に適するpHに調整
するためのpH調整処理は、混合・攪拌工程30におい
て添加剤32、結合剤34と一緒にpH調整剤を混合・
攪拌して処理することもできる。さらに、前記加熱・成
形工程40と、マット仕上げ工程50との間において、
マット表面側から多数の刺状体(スパイク)を突き刺
し、底面までは貫通しない穿孔を形成する穿孔処理工程
60を付加することができる。
【0010】また、本発明では、モミ殻の夾雑物を除去
し適宜粒度に破砕するモミ殻破砕・精製装置14ならび
にpH調整剤添加装置を備えた改質処理手段20と、原
料モミ殻に対して育苗に必要な初期および中期育成用肥
料、健苗育成剤、良質土壌菌繁殖用剤の1ないし選ばれ
た2以上の組み合わせからなる所望添加剤を添加する装
置32ならびにモミ殻同士を結合するための結合剤供給
装置34を備え、これらを一体として混合するための混
合・攪拌手段30と、原料モミ殻に適宜割合で分散配合
されている結合剤を溶融せしめるに足りる温度に加熱す
る加熱装置を備え、加熱された原料モミ殻を加圧しつつ
送り出して原型モミ殻マットを成形する加熱・成形手段
40と、該加熱・成形手段から得られた原型モミ殻マッ
トを放熱させつつその寸法を調整するマット仕上げ手段
50と、を備えることを特徴とする稲育苗用モミ殻マッ
トの製造プラントである。
【0011】また、pH調整剤添加装置を混合・攪拌手
段30に配設してpH調整剤添加装置から供給されるp
H調整剤を添加剤、結合剤と一体として混合・攪拌して
もよい。さらに前記加熱・成形手段40と、マット仕上
げ手段50との間において、マット表面側から多数の刺
状体を突き刺し、底面までは貫通しない穿孔を形成する
穿孔処理手段60を付加することができる。なお、この
ような穿孔処理手段60は加熱ローラーの表面に刺状体
を適宜密度となるように植設したものとすることがで
き、かかる刺状体付きローラーを回転させつつ加熱・成
形された原型マットを通過せしめることにより目的を達
成することができる。
【0012】上記改質処理工程20は、膨軟モミ殻を水
槽に一定時間以上浸析しあるいは加圧ローラー間を通過
させる等の処理により行うことができ、さらに0.1〜
0.8%のクエン酸水溶液を原料モミ殻にムラなく散布
する、あるいは粉又は粒状のクエン酸を均一に混入する
ことにより行うことができる。かかる改質処理を経た原
料モミ殻のpHは4.5〜6.0が望ましく、好ましく
は5.0〜5.5程度であることが望ましい。なお、上
記pH調整処理は、混合・攪拌工程30において、クエ
ン酸水溶液または粉又は粒状のクエン酸を所望添加剤や
結合剤と一緒にムラなく混合攪拌して行うこともでき
る。
【0013】改質処理工程20を経た原料モミ殻に対し
て配合される添加剤としては、これらに限定されるもの
ではないが、硫化燐安11号等の初期育成用肥料、ロン
グM200(商標:チッ素旭肥料株式会社製)等の中期
育成用肥料、ゼオライト等のような良質土壌菌繁殖用
剤、FTEアグリエース(商標:日本フェロー株式会社
製)のような健苗育成剤などが挙げられる。なお、育苗
条件は、稲の品種や使用地域が寒冷地域か温暖地域か等
の地域性にも左右されるため、必要に応じて仕向け地に
合わせた微調整を行うことも可能である。
【0014】隣接するモミ殻同士を結合するための結合
剤は、原料モミ殻が炭化しない程度の加熱温度で少なく
とも部分的に溶融して隣接するモミ殻同士を結合してモ
ミ殻塊とし、かつ溶融しきれない部分によってより大き
なモミ殻塊を形成し、これら大きなモミ殻塊を全体とし
てマット状に形成するような性質のものが望ましい。例
えば、融点が100°C前後の低融点結合剤成分による
繊維と融点が110°C以上の高融点結合剤成分による
繊維とが混在しかつ両者が相互連係している適宜長さの
繊維状体を使用することができる。なお、加熱・成形工
程40の温度調整の面からみれば、低融点結合剤成分と
高融点結合剤成分との溶融温度の差は、10〜20°C
(K)程度であると都合がよい。
【0015】このような低融点結合剤成分と高融点結合
剤成分とが混在する繊維状体としては、高融点結合剤成
分による芯繊維の周囲を低融点結合剤成分が鞘状に包囲
する、所謂芯鞘型ポリエステル繊維がある。しかしなが
ら、繊維状体は、これに限定されるものではなく、麻や
綿等の天然繊維を心材としこれに生分解性のポリ乳酸に
よる繊維を縒り合わせたもの、天然ウール、水溶性ビニ
ロン等を適宜組み合わせて使用することができる。
【0016】上述のような混合・攪拌工程30を実施す
る手段としては、種々の装置が適用可能であり、例えば
回転ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、攪拌翼付き
のヘンシェルミキサー等を使用することができる。
【0017】加熱・成形手段40は、供給される結合剤
の配合された原料モミ殻をホッパーから一定厚さに連続
的に供給し、この原料モミ殻を熱ローラーで加熱・圧縮
して上記結合剤の低融点結合剤部分を溶融させつつ原型
マットを形成するものである。熱ローラーの加熱温度は
使用される結合剤の特性、特に低融点結合剤成分の溶融
温度を考慮して、低融点結合剤成分の溶融温度を超え高
融点結合剤成分は完全に溶融しない温度範囲に決定され
るべきである。
【0018】マット仕上げ手段50は、製品マットが育
苗完了後田植機による田植えが行われることを想定して
いるため、苗置き台にそのまま載置可能な方形状で所定
寸法に裁断され、適宜枚数、例えば10枚、15枚ある
いは20枚等の単位で適宜材質の収納容器に収められ
る。容器の材質や形状は、品質保持、袋詰め、箱詰め、
搬送、保管、販売等の取扱いの便宜、価格等を考慮して
決定されるべきであるが、プラスチック袋、紙袋または
紙箱、段ボール箱等を使用することができる。なお、資
源の無駄を省くため、回収および繰り返し使用可能な容
器とすることも可能である。
【0019】加熱・成形手段40は、上述のように原型
マットを形成するものであるが、使用される結合剤の種
類、加熱温度、加圧力等の影響を受け成形マット、特に
表面が硬くなりすぎることがある。成形マットが硬くな
りすぎると、播種前の散水時における吸水性が悪くな
り、播種の際に種籾の均一な分散を妨げる傾向がある。
かかる状態を緩和するために、加熱・成形手段40と、
放熱・形状および寸法調整(裁断)手段50との間、ま
たは放熱・形状および寸法調整(裁断)手段50の後
に、穿孔処理手段60を付加することができる。
【0020】このような穿孔処理手段60としては、ロ
ーラー表面に原型マット厚さよりも短い刺状体(スパイ
ク)を適宜密度で植設した刺状体付きローラーを利用す
ることができる。このような刺状体付きローラーを回転
させておき、その下方を加熱・成形マットを通過させる
ことにより、適宜密度で穿孔する。加熱・成形マットが
完全に放熱・固化する以前にかかる穿孔処理を施すこと
により、マット表面側の固化を緩和し、柔軟性を得るこ
とができる。なお、刺状体付きローラーに加熱体を内蔵
せしめた加熱ローラーとすることにより、穿孔状態を長
く保持する効果を高めることができる。なお、このロー
ラーを通過させることにより製品マットを均平化する
(均一の厚さに処理する)ことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、添付図を参照しつつ本発明
の好適な実施の形態について開示する。図1は、本発明
にかかる稲育苗用モミ殻マットの製造方法において原料
モミ殻から製品モミ殻マットを得るまでの主な工程なら
びに本発明にかかる稲育苗用モミ殻マットの製造プラン
トにおける主な装置を説明するために図解したものであ
る。
【0022】原料モミ殻は、軽量であるものの嵩が大き
いものであり、長距離輸送することは得策ではない。し
たがって、近隣のカントリーエレベータ等からの大量排
出モミ殻が受入れサイロ10に貯蔵される。受入れサイ
ロ10に貯蔵された原料モミ殻は、バケットコンベア、
スクリューコンベア、空気配管輸送装置等の粉流体輸送
に適するものとして知られている搬送装置(図示してい
ない)を介して受入れホッパー12に適量ずつ移送され
る。
【0023】受入れホッパー12に投入された原料モミ
殻は、モミ殻精製装置14において未熟籾、シイナ、他
種植物の種子等の夾雑物が除去され、さらに所望粒度と
なるように破砕されて引き続く改質処理工程20に付さ
れる。この改質処理工程20では、膨軟処理されている
原料モミ殻から発芽抑制物質を除去し、さらに育苗に適
するpH5.0〜5.5程度となるように調整する処理
がなされる。
【0024】発芽抑制物質を除去する方法には、しかる
べき期間水に晒して溶脱する湿式法、モミ殻に物理的衝
撃を与えつつ破潰することにより分解除去する乾式法が
ある。これらいずれであってもよいが、引き続く工程に
移送される原料モミ殻の含有水分が所定範囲に調整され
るものであることが望ましい。
【0025】また、原料モミ殻を一定量のクエン酸水溶
液で調湿することにより、発芽抑制物質の影響が軽減さ
れると共に膨軟モミ殻のpH(酸度)が適正に調整され
る。この場合のpH値は、4〜6程度が好ましく、より
好ましくは5.0〜5.5の範囲である。
【0026】このような改質処理が施された原料モミ殻
は、混合・攪拌工程30に付される。この混合・攪拌工
程30では、原料モミ殻に対して、育苗に必要とされる
成分を含む添加剤類32と、原料モミ殻同士を結合して
マット状に成形するための結合剤34とが添加混合さ
れ、均一分布となるように混合される。この場合、添加
剤や結合剤の嵩や比重によって分布状態が異なるため、
例えば粉末状体の少量添加剤では水溶液として散布した
り、特に粒状体や繊維状体等にあっては添加順序を考慮
する等の配慮が必要となる。
【0027】なお、上記稲の発芽育苗に適するpHに調
整するためのpH調整処理は、混合・攪拌工程30にお
いて添加剤32、結合剤34と共にpH調整剤を均一に
混合・攪拌して同時処理することができる。この場合、
pH調整剤添加装置を混合・攪拌手段30に付属させて
pH調整剤を添加剤、結合剤と一体として混合・攪拌す
ることができる。ここでのpH調整処理は、クエン酸水
溶液をムラなく散布することにより行うことができ、ま
た粉又は粒状のクエン酸をムラなく混合攪拌することに
より行うこともできる。
【0028】育苗に必要な成分である添加剤としては、
初期育成用肥料、中期育成用肥料、健苗育成剤、良質土
壌菌繁殖用剤等が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。例えば、使用地域の特徴、殊に植え付け圃
場の土質や気温等に相応しい早苗を育成することを考慮
して適宜成分を含む添加剤を1種または複数種組み合わ
せて加えることも可能である。また、それぞれの配合割
合についても同様に変更することができる。
【0029】原料モミ殻同士を結合してマット状に形成
するための結合剤は、周囲のモミ殻間を相互につなぎ合
わせて、あたかも葡萄の房状のモミ殻塊とする芯となる
成分とこれらをより大きな連係体とする繊維状成分とを
併有するものが望ましい。これは、モミ殻そのものは脆
弱であるため、隣接するモミ殻同士を個々に接合したと
してもモミ殻自体が割れてしまうことにより大きな塊に
はなり難いため、それぞれを塊状に結合する芯となるも
のが必要となり、さらにこれら小塊をさらに結合してよ
り大きな塊とする機能が要求されることによる。
【0030】このような結合機能を発揮する素材とし
て、所定温度以下で溶融する物質と、これよりも高い温
度で溶融する物質とからなる複合繊維を挙げることがで
きる。例えば、100°C前後で溶融するポリエステル
(ポリエチレンテレフタレート)成分とこれよりも少な
くとも10°C以上高い溶融温度を有する繊維成分を絡
み合わせたものや、高融点成分の芯材に対して低融点成
分を鞘状に被着せしめた芯鞘形ポリエステル繊維を用い
ることができる。このような芯鞘形ポリエステル繊維を
原料モミ殻1.5〜2.8重量%程度添加して加熱しつ
つ加圧してモミ殻同士を結合し、さらにモミ殻マットを
形成することができる。
【0031】本発明で使用する結合材の形状は、繊維状
体のみに限定されるものではなく、例えば網状体、目を
荒くした不織布、繊維状体を内包する接着剤塊等を利用
することができる。また、素材としては水溶性ビニロ
ン、ポリ乳酸、天然ウール等が考えられるが、これらに
限定されるものではない。
【0032】図2はモミ殻の結合状態を模式的に図示し
たものであり、モミ殻1を第1の結合剤として機能する
低融点繊維状物質(点線表示曲線)2によって結合し、
さらにこれら同士を第2の結合剤として機能する高融点
繊維状物質(実線表示曲線)3によって相互連係させて
結合し、一体化している。このような異なる融点を有す
る2種類の結合剤(結合剤1および結合剤2)による結
合状態であれば、マット状体は十分な柔軟性を保持して
おり、苗床形成の前後はもとより、植え付け前の作業性
にも支障を与えず都合がよい。
【0033】原料モミ殻に対して所定割合で添加剤およ
び結合剤が添加・混合された原料は、加熱・成形工程4
0に付される。この加熱・成形工程40における加熱温
度は、結合剤における低温溶融成分が溶融し、高温溶融
成分は完全には溶融しない温度に設定される。このよう
な加熱は、引き続く加圧ローラーにヒーターを内蔵せし
めて行うこともできるが、これら原材料収納容器を加熱
するように構成することもできる。
【0034】さらに、このような加熱処理は、ヒーター
内蔵の加熱・加圧ローラーを異温度または等温度とする
多段式ローラーとして構成し、さらに収納容器の加熱と
を併用してもよい。また、熱源は電熱ヒーターが利用で
きることはもとより、誘電加熱装置、蒸気熱源とし、あ
るいは複数の熱源を適宜組み合わせて利用することも可
能である。加圧ローラーはモミ殻マットを均一の厚さに
処理するものである。
【0035】加熱・成形工程40を経て成形された原型
モミ殻マットは、例えば縦28cm、横58cm、厚さ
約1.5〜2.5cm程度の育苗箱や田植え機の苗置き
台に適合する形状に裁断するようなマット仕上げ工程5
0によって整えられ、出荷に便宜な状態に包装される。
包装は、整形された製品としてのモミ殻マットを検査、
輸送、集積保管、並びに使用場所までの搬送等に便宜な
ように配慮したもので、例えばプラスチック袋、紙箱、
紙袋等に収納するものである。
【0036】図3は、製品としての稲育苗用モミ殻マッ
ト5を積み重ねた状態を部分的に図示したもので、5〜
20枚程度の単位で1包装とする。さらに、保管、輸送
等の便宜を考慮し、その間過度の外圧や圧迫を受けない
ように、適宜単位で段ボール、木箱、プラスチックコン
テナ等に収納することが望ましい。
【0037】図4は、図1の製造工程ならびに製造プラ
ントにおいて、加熱・成形工程40とマット仕上げ工程
50との間に、マット表面側に適宜密度で穿孔処理を施
す穿孔処理工程60を付加した実施例を示すものであ
る。この穿孔処理を行うのは、加熱・成形されたマット
の表面が硬くなりすぎ、散水しても水玉となって溌水す
る傾向があることを考慮したものである。かかる状態を
改善するためには、マット表面に界面活性剤を噴霧する
方法もあるが、時間経過とともに効果が薄れ、したがっ
て吸水し難くなる。またマット表面の圧接面の平面性か
ら播種ムラが生じがちである。そこで、モミ殻マットに
対して物理的改質である穿孔処理を行い、表面の柔軟性
を確保すると共に穿孔の効果により、かかる状態を緩和
することができる。
【0038】このような穿孔処理工程60を実施するた
めに、例えば図5に示すように、ローラー62の表面に
刺状体(スパイク)64を適宜密度となるように植設し
た刺状体付きローラーを利用することができる。この場
合、刺状体64は、加熱・成形されるマットの厚さより
も数mm程度短いものとしてマットを貫通しない長さの
ものが好ましい。なお、かかる穿孔処理を行う際に、刺
状体64による突き刺し処理部付近に対して界面活性剤
を噴霧し、界面活性剤が刺状体64によって内部に浸透
せしめられるように構成してもよい。
【0039】このような穿孔処理工程60は、使用され
る結合剤の種類にもよるが、一般的に加熱・成形マット
が完全に冷却されない段階で処理することが望ましい。
また、刺状体付きローラー62を加熱体を内蔵するもの
とすることにより、穿孔部がその形状をより長く保持さ
れるようなものとすることも考慮すべきである。
【0040】
【発明の効果】本発明にかかる稲育苗用モミ殻マットの
製造方法およびこの製造方法を実施するための製造プラ
ントによれば、膨軟モミ殻を全量利用した稲育苗用モミ
殻マットが有利かつ大量に製造される。
【0041】このような稲育苗用モミ殻マットは、稲作
地帯において大量に発生して元来廃棄物となり処分に苦
慮していたモミ殻を活用し、従来の山土利用の場合より
も軽量かつ取扱い容易な苗床を形成することができ、良
好な苗床用土が得難い地方にとっては、特に大きな福音
となるであろうことが期待される。また、就農者の高齢
化や労働力不足の現況下において、軽量かつ取扱い容易
な育苗マットの果たす役割は大きいものがある。
【0042】また、このような稲育苗用モミ殻マット
は、吸水性、保水性、通気性に優れるため育苗に適し栽
培管理が容易であること、さらに軽量であるために育苗
床の形成時はもとより、育苗後の運搬取扱い等に関して
も土を利用した場合に比して作業者に対する負担も少な
くなり、作業効率の大幅な向上が期待できるものであ
る。特に、製造工程においてマットの表面側から適宜密
度の穿孔処理をしておくことによりマットの柔軟性が増
して吸水性が大幅に改善され、播種作業も容易となる。
本発明にかかる製造方法およびこれを実施する製造プラ
ントでは、このようなモミ殻利用稲育苗用マットを大量
かつ均質に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる稲育苗用モミ殻マットの製造方
法の工程及び製造プラントの説明図である。
【図2】本発明にかかる稲育苗用モミ殻マットのモミ殻
の結合状態の模式説明図である。
【図3】本発明にかかる稲育苗用モミ殻マットの最終製
品を重ね合わせた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる稲育苗用モミ殻マットの製造方
法の工程及び製造プラントの他の実施例の説明図であ
る。
【図5】図4に示す実施例における穿孔形成手段の構成
例を示す模式説明図である。
【符号の説明】
1 モミ殻 2 低温溶融成分繊維(第1の結合剤) 3 高温溶融成分繊維(第2の結合剤) 5 稲育苗用モミ殻マット 10 モミ殻受入れサイロ 12 ホッパ 14 モミ殻精製装置 20 改質処理工程(改質処理手段) 30 混合・攪拌工程(混合・攪拌手段) 32 添加剤 34 結合剤 40 加熱・成形工程(加熱・成形手段) 50 マット仕上げ工程(マット仕上げ手段) 60 穿孔処理工程(穿孔処理手段) 62 ローラー 64 刺状体(スパイク)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 夾雑物を除去した原料モミ殻の発芽抑制
    物質を分解除去し、発芽育苗に適するpHに調整する改
    質処理工程と、該改質処理の施された原料モミ殻に対し
    て育苗に必要な初期育成用肥料、中期育成用肥料、健苗
    育成剤、良質土壌菌繁殖用剤等の1ないし選ばれた2以
    上の組み合わせからなる添加剤ならびに隣接するモミ殻
    同士を結合するための結合剤を混合・攪拌する混合・攪
    拌工程と、該混合・攪拌工程を経た原料モミ殻を、前記
    結合剤が軟化して周辺モミ殻同士を被着させるまで加熱
    しつつ成形して原型マットを成形する加熱・成形工程
    と、該加熱・成形工程を経た原型マットを放熱させつつ
    その形状および寸法を所望状態に調整するマット仕上げ
    工程と、からなることを特徴とする稲育苗用モミ殻マッ
    トの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記マット仕上げ工程の前後いずれかに
    おいて、多数の刺状体を植設した穿孔処理手段によりマ
    ット表面側から穿孔を形成する穿孔処理工程を付加した
    ことを特徴とする、請求項1記載の稲育苗用モミ殻マッ
    トの製造方法。
  3. 【請求項3】 モミ殻精製装置ならびにpH調整剤添加
    装置を備えた改質処理手段と、原料モミ殻に対して育苗
    に必要な初期育成用肥料、中期育成用肥料、健苗育成
    剤、良質土壌菌繁殖用剤の1ないし選ばれた2以上の組
    み合わせからなる所望添加剤を添加する装置並びにモミ
    殻同士を結合するための結合剤供給装置を備え、原料モ
    ミ殻、添加剤および結合剤を一体化して混合するための
    混合・攪拌手段と、原料モミ殻に適宜割合で分散配合さ
    れている結合剤を少なくとも部分的に溶融せしめるに足
    りる温度で加熱する加熱装置を備え、加熱された原料モ
    ミ殻を加圧しつつ送り出して原型モミ殻マットを成形す
    る加熱・成形手段と、該加熱・成形手段から得られた原
    型モミ殻マットを所定寸法に形成するマット仕上げ手段
    と、を備えることを特徴とする稲育苗用モミ殻マットの
    製造プラント。
  4. 【請求項4】 前記原型モミ殻マットの表面側から穿孔
    形成処理を行うために、前記加熱・成形手段と前記マッ
    ト仕上げ手段との間にローラー表面に多数の刺状体を植
    設した穿孔処理手段を備えることを特徴とする請求項3
    記載の稲育苗用モミ殻マットの製造プラント。
  5. 【請求項5】 前記穿孔処理手段としての刺状体を植設
    したローラーが加熱体を内蔵している加熱体内蔵穿孔処
    理手段であることを特徴とする請求項4記載の稲育苗用
    モミ殻マットの製造プラント。
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