JP2001249365A - エレクトロクロミックミラー - Google Patents

エレクトロクロミックミラー

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JP2001249365A
JP2001249365A JP2000400782A JP2000400782A JP2001249365A JP 2001249365 A JP2001249365 A JP 2001249365A JP 2000400782 A JP2000400782 A JP 2000400782A JP 2000400782 A JP2000400782 A JP 2000400782A JP 2001249365 A JP2001249365 A JP 2001249365A
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conductive layer
layer
transparent
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JP2000400782A
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Takeshi Asano
剛 朝野
Keizo Igai
慶三 猪飼
Yoshinori Nishikitani
禎範 錦谷
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Publication date
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長時間着色を継続した場合でも消え残りが発
生することなく、また素子の大きさにかかわらず応答性
に優れ、さらに透明導電性基板に比べて表面抵抗値の低
い反射性導電性基板を使用した場合でも着色初期の偏り
が生じにくいエレクトロクロミックミラーを提供する。 【解決手段】 透明導電性基板及び反射性導電性基板か
らなる二枚の導電性基板の間にイオン伝導層を設けたエ
レクトロクロミックミラーであって、前記二枚の導電性
基板のうちの少なくとも一方の導電性基板の導電面の周
辺部に当該基板の導電面側の表面抵抗よりも低い抵抗値
を示す高導電層が具備されていることを特徴とするエレ
クトロクロミックミラー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の防眩ミ
ラーとして有用なエレクトロクロミック防眩ミラー(以
下、ECミラーと略称する)に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】エレ
クトロクロミック防眩ミラー(ECミラー)は、電磁波
に対する反射率を可逆的に変化させて後方車のヘッドラ
イトの眩しさを防ぐために用いられているが、近年その
需要は大幅に伸びている。ECミラーは、一般に透明導
電性基板と反射性導電性基板の二枚の導電性基板の間に
イオン伝導層を設けた構造を有している。そして、EC
ミラーに関してはこれまでに、ビオロゲン誘導体等の有
機発色剤をイオン伝導層に含有したものが多数報告され
ている(特開平9−120088号公報、特開平7−7
0218号公報等)。しかし、これらのECミラーでは
長時間着色を継続すると、その後、消色を行った際に負
極側に消え残りが発生するという問題点があった。ま
た、素子が大きくなると、特に高温時に中心部が着色し
にくくなるという問題があった。更に例えば、反射層と
導電層を兼用した反射性導電性基板を使用した場合など
には、これらの反射性導電性基板は、通常の透明導電性
基板に比べ高い導電性を有するため、ECミラーの応答
性の向上が達成されるが、着色初期に透明導電性基板側
の電極取り出し部側から偏って着色してしまうという不
具合が発生する傾向にある。これは特に透明導電性基板
と反射性導電性基板の表面抵抗値の差が大きいほど顕著
になる。
【0003】従って、本発明の目的は、長時間着色を継
続した場合でも消え残りが発生することなく、また素子
の大きさにかかわらず応答性に優れ、さらに透明導電性
基板に比べて表面抵抗値の低い反射性導電性基板を使用
した場合でも着色初期の偏りが生じにくいエレクトロク
ロミックミラーを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らの検討の結
果、少なくとも一方の導電性基板の導電面の周辺部に該
基板の導電面側の表面抵抗よりも低い抵抗値を示す高導
電層を設けることにより、上記のような優れた性能を有
する目的のECミラーが得られることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0005】本発明は、透明導電性基板及び反射性導電
性基板からなる二枚の導電性基板の間にイオン伝導層を
設けたエレクトロクロミックミラーであって、前記二枚
の導電性基板のうちの少なくとも一方の導電性基板の導
電面の周辺部に当該導電面側の表面抵抗よりも低い抵抗
値を示す高導電層が具備されていることを特徴とするエ
レクトロクロミックミラーにある。
【0006】本発明のECミラーは、高導電層が導電性
基板の導電面側の周辺部及び/又は導電面の端面に設け
られていることが好ましい。また本発明のECミラー
は、高導電層が少なくとも透明導電性基板の導電面の周
辺部に設けられていることが好ましい。更に本発明のE
Cミラーは、高導電層が基板の導電面周縁部の近傍に線
状に形成されていることが好ましい。更に本発明のEC
ミラーは、二枚の導電性基板がシール剤を介してその周
辺部で接合されており、高導電層がシール剤によりイオ
ン伝導層と非接触状態とされていることが好ましい。更
にまた本発明のECミラーは、イオン伝導層がエレクト
ロクロミック性化合物を含有していることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のエレクトロクロ
ミックミラ(ECミラー)を詳細に説明する。本発明の
ECミラーには二枚の導電性基板が使用されている。こ
こで、導電性基板とは電極としての機能を果たす基板を
意味する。従って、本発明の導電性基板には、基板自体
を導電性材料で製造したものと、導電性を持たない基板
の片面又は両面に電極層を積層させて導電性を付与した
積層板が包含される。導電性を備えているか否かに拘ら
ず、基板自体は常温において平滑な面を有していること
が必要であるが、その面は平面であっても、曲面であっ
ても差し支えなく、応力で変形するものであっても差し
支えない。本発明で使用される二枚の導電性基板の一方
は透明導電性基板であり、他方は、電磁波、典型的には
光を反射できる反射性導電性基板である。
【0008】透明導電性基板は、通常、透明基板上に透
明電極層を積層させて製造される。ここで、透明とは可
視光領域において10〜100%の光透過率を有するこ
とを意味する。透明基板の材質は特に限定されず、例え
ば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラスであっても差
し支えなく、無色あるいは有色の透明性樹脂でもよい。
基板材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、その他のポリアミド、
ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテ
ルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
カーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート
及びポリスチレンを挙げることができる。
【0009】透明電極層としては、例えば、金、銀、ク
ロム、銅及びタングステンの金属薄膜、金属酸化物から
なる導電膜が使用できる。前記金属酸化物としては、例
えば、ITO(In23−SnO2)、酸化錫、酸化
銀、酸化亜鉛及び酸化バナジウムが挙げられる。電極層
の膜厚は、通常10〜500nm、好ましくは50〜3
00nmの範囲にあり、表面抵抗(Rsq:単位面積当
たりの抵抗)は特に制限されるものではないが、通常5
00Ω/sq以下、好ましくは50Ω/sq以下であ
り、下限は特に限定されないが、通常1Ω/sq以上、
3Ω/sq以上が望ましい。透明電極層の形成には、公
知の手段を任意に採用することができるが、電極を構成
する金属及び/又は金属酸化物等の種類により、採用す
る手段を選択するのが好ましい。通常は、真空蒸着法、
イオンプレーティング法、スパッタリング法、あるいは
ゾルゲル法が採用される。透明導電基板の可視光領域に
おける光透過率は本発明の目的から、通常50%以上、
好ましくは70%以上が望ましい。
【0010】本発明で使用可能な反射性導電性基板とし
ては、例えば、下記のような積層体あるいは板状体を挙
げることができる。 (1)導電性を持たない透明又は不透明な基板上に反射
性電極層を積層させた積層体、(2)導電性を持たない
透明基板の一方の面に透明電極層を、他方の面に反射層
を積層させた積層体、(3)導電性を持たない透明基板
上に反射層を、その反射層上に透明電極層を積層させた
積層体、(4)反射板を基板とし、これに透明電極層を
積層させた積層体、および(5)基板自体が光反射層と
電極層の両方の機能を備えた板状体。
【0011】上記反射性電極層とは、鏡面を有し、しか
も電極として電気化学的に安定な機能を発揮する薄膜を
意味する。そのような薄膜としては、例えば、金、白
金、タングステン、タンタル、レニウム、オスミウム、
イリジウム、銀、ニッケル、クロム、ロジウム又はパラ
ジウムの金属膜や、白金−パラジウム、白金−ロジウム
銀−パラジウム、銀―パラジウム−銅又はステンレスの
合金膜が挙げられる。このような鏡面を備えた薄膜の形
成には、任意の方法、例えば、真空蒸着法、イオンプレ
ーティング法又はスパッタリング法を適宜採用すること
ができる。反射性電極層を設ける基板は透明であるか、
不透明であるかを問わない。従って、反射性電極層を設
ける基板としては、先に例示した透明基板の他、透明で
ない各種のプラスチック、ガラス、木材及び石材が使用
可能である。なお、上記の反射性電極層自体が剛性を備
えていれば、基板の使用を省略することができる。上記
反射板または反射層とは、鏡面を有する基板又は薄膜を
意味し、これには、例えば、銀、クロム、アルミニウ
ム、ステンレス又はニッケル−クロムの板状体及びその
薄膜が含まれる。
【0012】本発明においては、前記の導電性基板の周
辺部の導電面に該導電面の表面抵抗値よりも低い抵抗値
を示す高導電層が設けられていることを特徴とする。上
記導電面の周辺部には、導電面側の周辺部および導電面
(層)の端面が含まれ、高導電層は少なくとも導電面に
接触した状態で設けられている。高導電層の形態は、特
に限定されないが、通常、導電面上の周縁部の近傍に線
状または帯状に形成されていることが好ましい。図1及
び図2は、基板の導電面上に設けられた本発明の高導電
層のパターンの一例を示すもので、それぞれ透明基板1
上に透明電極層2、そして本発明の高導電層3が設けら
れており、高導電層3は、図1に示すように、透明基板
1の周辺部全周にわたって設けることもできるし、図2
に示すように、部分的に切断されていてもかまわない。
また図5に示すように、高導電層3は導電性基板の導電
面の端面に設けることもできる。あるいは図6に示すよ
うに、高導電層3は導電性基板の導電面の周辺部及び該
基板の導電面の端面に亘って連続して設けることができ
るし、更に図7に示すように、高導電層3は導電性基板
の導電面の周辺部、該基板の導電面の端面、及び基板の
非導電面まで回り込むように連続して設けてもかまわな
い。
【0013】高導電層は、導電性基板よりも高い導電性
が得られるものであれば特にその材質は限定されない
が、例えば、金、銀、クロム、銅、タングステン等の金
属からなる導電膜や、これらの金属などを樹脂に分散さ
せた導電ペーストから作製した導電膜などが使用でき
る。高導電層の幅、膜厚および表面抵抗(Rsq)は、
使用する導電性基板の導電面側の表面抵抗よりも低いも
のであれば、特に制限されるものではないが、高導電層
の幅は通常0.05〜100mm、好ましくは0.1〜
20mm、さらに好ましくは0.5〜2mmの範囲にあ
り、高導電層の膜厚は通常0.2〜500μm、好まし
くは0.5〜100μm、さらに好ましくは1〜20μ
mの範囲にあり、高導電層の表面抵抗(Rsq)は使用
する導電基板の導電面(層)の表面抵抗に対して1/2
以下であることが好ましく、より好ましくは1/5以下
であり、更に好ましくは1/10以下である。また、高
導電層の表面抵抗(Rsq)は通常0.01〜500Ω
/sqの範囲、好ましくは0.01〜50Ω/sqの範
囲であり、更に好ましくは、0.01〜5Ω/sqの範
囲である。
【0014】高導電層は、二枚の導電性基板のうちの少
なくとも一方の基板の導電面上、あるいはその端面に導
電面と接触状態で形成され、透明導電性基板側のみ,反
射性導電性基板のみ、あるいは両方の基板に形成する形
態のいずれでもよい。本発明では、少なくとも透明導電
性基板の導電面の周辺部に形成することが望ましい。ま
た導電性基板同士の表面抵抗値が互いに著しく異なる場
合、例えば、その抵抗値の差が、通常2倍以上、好まし
くは5倍以上、更に好ましくは10倍以上であり、一
方、その上限が通常200倍以下、好ましくは100倍
以下である場合は、高導電層は、表面抵抗値の高い方の
基板側に設けることが好ましい。高導電層は電解質と接
しないように形成することが好ましく、また基板のセル
化に障害にならない程度に平滑であることが望ましい。
高導電層の形成には、公知の手段を任意に採用すること
ができるが、電極を構成する材料により、採用する手段
を選択するのが好ましい。金属等からなる導電膜であれ
ば、通常は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、ス
パッタリング法、又はゾルゲル法が採用される。また、
金属などを樹脂に分散させた導電ペーストから導電膜を
作製する際には、スクリーン印刷、あるいはディスペン
サー法が採用される。
【0015】次にイオン伝導層について説明する。イオ
ン伝導層は通常室温で1×10-7S/cm以上、好まし
くは1×10-6S/cm以上、さらに好ましくは1×1
-5S/cm以上のイオン伝導度を示す。また、イオン
伝導層の厚さは、通常1μm以上、好ましくは10μm
以上であって、しかも3mm以下、好ましくは1mm以
下である。イオン伝導層としては、特に限定されるもの
ではなく、通常電解質と呼ばれている公知のものが使用
でき、例えば、液系電解質、ゲル化液系電解質あるいは
固体系電解質を用いることができる。本発明において
は、特に固体系電解質が望ましい。
【0016】液系電解質としては、例えば、溶媒に塩
類、酸類、又はアルカリ類の支持電解質を溶解したもの
を用いることができる。この場合の溶媒としては、支持
電解質を溶解できるものであれば特に限定されないが、
特に極性を示すものが好ましい。具体的には水の外、メ
タノール、エタノール、プロピレンカーボネート、エチ
レンカーボネート、ジメチルスルホキシド、ジメトキシ
エタン、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、スルホ
ラン、1,3−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、1,2−ジメトキシエタン及びテトラヒドロフラン
の有機極性溶媒が挙げられる。好ましくは、プロピレン
カーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルスルホ
キシド、ジメトキシエタン、アセトニトリル、γ−ブチ
ロラクトン、スルホラン、1,3−ジオキサン、N,N−
ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン及び
テトラヒドロフランの有機極性溶媒が挙げられる。これ
らは単独もしくは混合物として使用できる。
【0017】支持電解質としての塩類も特に限定され
ず、各種のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩の無機
イオン塩や、四級アンモニウム塩や環状四級アンモニウ
ム塩、四級ホスホニウム塩が挙げられる。具体的にはL
iClO4 、LiSCN、LiBF4 、LiAsF6
LiCF3 SO3 、LiPF6 、LiI、NaI、Na
SCN、NaClO4 、NaBF4 、NaAsF6 、K
SCN及びKClのLi、Na、Kのアルカリ金属塩;
(CH34NBF4 、(C254 NBF4、(n−
494 NBF4 、(C254 NBr、(C2
54 NClO4 及び(n−C494 NClO4
の四級アンモニウム塩および環状四級アンモニウム塩、
及びこれらの混合物が好適なものとして挙げられる。支
持電解質としての酸類も特に限定されず、無機酸、有機
酸が使用でき、これには硫酸、塩酸、リン酸類、スルホ
ン酸類及びカルボン酸類が包含される。支持電解質とし
てのアルカリ類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム及び水酸化リチウムが使用できる。
【0018】ゲル化液系電解質としては、前記液系電解
質に、さらにポリマーやゲル化剤を含有させて粘稠液と
したもの若しくはゲル状としたものが使用できる。使用
できるポリマーは特には限定されず、例えば、ポリアク
リロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化
ビニル、ポリエチレンオキサイド、ポリウレタン、ポリ
ウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポ
リアミド、ポリアクリルアミド、セルロース、ポリエス
テル、ポリプロピレンオキサイド及びナフィオンを挙げ
ることができる。使用できるゲル化剤も特には限定され
ず、例えば、オキシエチレンメタクリレート、オキシエ
チレンアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリル
アミド及び寒天を挙げることができる。なお、ゲル化液
系電解質は、ポリマーの前駆体であるモノマーやゲル化
剤の前駆体を液系電解質と混合してこれを二枚の導電性
基板を貼り合わせてなるセル内に注入した後、重合又は
ゲル化させることで対向する導電性基板の間に挟持させ
ることができる。
【0019】固体系電解質としては、室温で固体であ
り、かつイオン導電性を有するものであれば特に限定さ
れず、その具体例としては、ポリエチレンオキサイド、
オキシエチレンメタクリレートのポリマー、ナフィオン
及びポリスチレンスルホン酸を挙げることができる。特
にオキシアルキレンメタクリレート系化合物、オキシア
ルキレンアクリレート系化合物またはウレタンアクリレ
ート系化合物を前駆体の主成分とし、当該前駆体を重合
することによって得られる高分子化合物を用いた高分子
固体電解質が好ましい。高分子固体電解質の一例として
は、単官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシド及
び/又は多官能アクリロイル変性ポリアルキレンオキシ
ドと、前記の有機極性溶媒と、前記支持電解質とを含む
組成物を前駆体とし、当該前駆体を固化することにより
得られる高分子固体電解質が挙げられる。
【0020】上記イオン伝導層には、エレクトロクロミ
ック性化合物が含有されていることが好ましい。エレク
トロクロミック性化合物としては、公知のものが使用で
き、電気化学的な酸化反応あるいは還元反応等によって
着色、消色、色変化などを示す物質であれば特に限定さ
れない。その具体例としては、Mo23 、Ir2
3 、NiO、V25 、WO3 、ビオロゲン、ポリチオ
フェン、ポリアニリン、ポリピロール、金属フタロシア
ニン、ピラゾリン、フェニレンジアミン、フェナジン、
フェノキサジン、フェノチアジン、テトラチアフルバレ
ン及びフェロセンやこれらの誘導体を列挙できる。以上
の化合物は、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上
を組み合わせて使用してもよい。この場合は、カソード
エレクトロクロミック性化合物とアノードエレクトロク
ロミック化合物を組み合わせて使用するこができる。
【0021】カソードエレクトロクロミック化合物とし
ては、電気化学的還元反応により吸収スペクトルの増大
を伴うものであれば特に制限されるものではなく、可逆
的な酸化還元反応を示すものであり、またアノード性エ
レクトロクロミック化合物としては、電気化学的酸化反
応により吸収スペクトルの増大を伴うものであれば特に
制限されることはなく、可逆的な酸化還元反応を示すも
のである。また、アノードエレクトロクロミック性構造
とカソードエレクトロクロミック性構造を併有する化合
物も用いることができる。ここでいうカソード性EC構
造には、例えば、ビオロゲン化合物誘導体構造、及びア
ントラキノン系化合物誘導体構造等が好ましいものとし
て含まれる。またアノード性EC構造には、例えば、ピ
ラゾリン系化合物誘導体構造、メタロセン化合物誘導体
構造、フェニレンジアミン化合物誘導体構造、ベンジジ
ン化合物誘導体構造、フェナジン化合物誘導体構造、フ
ェノキサジン化合物誘導体構造、フェノチアジン化合物
誘導体構造、及びテトラチアフルバレン誘導体構造等が
好ましいものとして含まれる。これらの化合物は、例え
ば特開2000−305116号公報に記載されてお
り、これらのものを好適なものとして用いることができ
る。
【0022】イオン伝導層におけるエレクトロクロミッ
ク性化合物の濃度は、特には制限されないが、通常その
下限値は1mM以上、好ましくは5mM以上、さらに好
ましくは10mM以上であり、上限値は200mM以
下、好ましくは100mM以下、さらに好ましくは50
mM以下である。また、イオン伝導性物質層とは別にエ
レクトロクロミック性化合物を含有するエレクトロクロ
ミック層を設ける形態でもよい。
【0023】本発明のエレクトロクロミックミラーは任
意の方法で製造することができる。例えば、使用するイ
オン伝導性物質が液系またはゲル化液系である場合は、
二枚の導電性基板を適当な間隔で対向させ、その周縁部
をシールしたセル間に、エレクトロクロミック性化合物
を含有するイオン伝導性物質を、真空注入法、大気注入
法、あるいはメニスカス法によって注入し、しかる後、
注入口を封じる方法を利用して本発明のECミラーを製
造することができる。
【0024】また、使用するイオン伝導性物質の種類に
よっては、スパッタリング法、蒸着法、あるいはゾルゲ
ル法によって一方の導電性基板上に、エレクトロクロミ
ック性化合物を含有するイオン伝導層を形成させた後、
他方の導電性基板を重ね合わせる方法、あるいはエレク
トロクロミック性化合物を含有するイオン伝導性物質を
予めフィルム状に成形し、合わせ板ガラスを製造する要
領で本発明のECミラーを製造することもできる。
【0025】使用するイオン伝導性物質が固体系である
場合、とりわけ、ウレタンアクリレートやアクリロイル
またはメタクリロイル変性アルキレンオキシドを含有す
る高分子固体電解質を使用する場合は、エレクトロクロ
ミック性化合物を含有して未固化状態にある高分子固体
電解質前駆体を、周縁部がシールされた二枚の導電性基
板からなるセル間に、真空注入法、大気注入法、あるい
はメニスカス法によって注入し、注入口を封じた後、適
当な手段で高分子固体電解質を固化させて固体電解質を
得ることにより本発明のECミラーを得ることができ
る。
【0026】二枚の導電性基板をその導電面側を対向さ
せてその周縁部をシール剤で貼り合わせてなる、イオン
伝導性物質を注入するためのセルの製造方法を更に詳述
する。なお、導電面側に本発明の高導電層が形成されて
いる場合には、この高導電層上にシール剤を塗布する。
高導電層をシール剤で被覆することによりイオン伝導層
と非接触状態、即ち実質的に隔離された態様となるため
耐久性の観点から望ましい。
【0027】本発明で用いられるシール剤は、一般的に
液晶ディスプレイ等の製造に使用されているエポキシ系
シール剤を広く用いることができる。シール剤は熱硬化
型、あるいは紫外線や可視光線による光硬化型のいずれ
であってもよい。
【0028】エポキシ系シール剤としては、例えば、ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エ
ポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹
脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、臭素含有ビ
スフェノールF型エポキシ樹脂、フッ素含有ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型
エポキシ樹脂、DPPノボラック型エポキシ樹脂、トリ
スヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラフ
ェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエ
ンフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポ
キシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環型
エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂及びケイ素含
有エポキシ樹脂が挙げられる。
【0029】熱硬化型の具体例としては、エポキシ樹脂
のみで硬化するタイプや、硬化剤と混合して硬化させる
タイプが挙げられる。エポキシ樹脂のみで硬化するタイ
プには触媒系硬化剤が混ぜられているが、その種類とし
ては、例えば、ベンジルスルホニウム塩、ベンジルアン
モニウム塩、ピリジニウム塩、ベンジルホスホニウム
塩、ヒドラジニウム塩、カルボン酸エステル、スルホン
酸エステル及びアミンイミドが挙げられる。また、硬化
剤と混合して硬化するタイプの硬化剤の種類としては、
例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、メタキシ
レンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニ
レンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン及びポリ
アミドアミンのアミン系硬化剤;メチルテトラヒドロ無
水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸及び無水
メチルナジック酸の酸無水物系硬化剤;ナフトール化フ
ェノール樹脂、ジシクロペンダジエン化フェノール樹脂
及びスチレン化フェノール樹脂のフェノール系硬化剤が
挙げられる。また、熱潜在性硬化剤としては、例えば、
ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド、イミダゾ
ール系化合物及びエポキシ−アミンアダクトが挙げられ
る。
【0030】光硬化型の具体例としては、上述したエポ
キシ樹脂や、上述したエポキシ樹脂とアクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、ヘキシルアクリル酸、あるいは
桂皮酸とを反応させたエポキシ変性アクリル樹脂が挙げ
られる。エポキシ樹脂の光硬化触媒としては、例えば、
アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、
トリアリールスルホニウム塩、β−ケトスルホン、イミ
ノスルホナート及びベンゾインスルホナートが挙げられ
る。エポキシ変性アクリル樹脂の光硬化触媒としては、
例えば、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシケ
トン及びα−アミノケトンが挙げられる。
【0031】シール剤にはビーズを含有させることがで
きる。ビーズは、主として二枚の導電性基板を貼り合せ
る時に基板間の間隔(セルギャップ)を一定に保つ働き
をする。用いるビーズの粒径(平均粒子径)は通常20
0〜20μm、好ましくは150〜30μm、さらに好
ましくは100〜40μm、特に好ましくは80〜50
μmである。ビーズの材質としては、絶縁性を有するも
のである限り特に限定されることなく、例えば、石英や
青板などのガラス材、アクリル系、ポリ(プロピレンカ
ーボネート)系、ポリカーボネート系、あるいはビニル
ベンゼン系の樹脂材を用いることができる。ビーズは無
色でも着色していてもよく、また透明でも不透明でもよ
い。高導電層上にシール剤を塗布する場合、混入したビ
ーズによる高導電層の損傷や貫通を避けるために樹脂系
ビーズを用いることが好ましい。
【0032】ビーズを含有させる場合のシール剤中のビ
ーズの含有量は、シール剤中に好ましくは0.01〜1
0質量%、更に好ましくは0.05〜5質量%、特に好
ましくは0.1〜3質量%である。なお、シール剤には
アルミナやシリカなどのフィラー成分が入っていても良
い。ビーズを含む場合のエポキシ系シール剤の粘度は、
0.5〜500Pa.sの範囲にあることが好ましく、
更に好ましくは2〜300Pa.sの範囲、特に好まし
くは5〜150Pa.sの範囲である。
【0033】シール剤は、通常一方の導電性基板の面上
周縁部(本発明の高導電層が形成されている場合にはそ
の層上)の所定の位置に塗布される。勿論、二枚の導電
性基板の両方の面上周縁部(本発明の高導電層が形成さ
れている場合にはその層上)にシール剤を塗布してもよ
い。導電性基板として、導電性層が設けられた基板など
を用いる場合にはその導電層側の面上周縁部(本発明の
高導電層が形成されている場合にはその層上)にシール
剤を塗布する。なお、導電性基板にはイオン伝導性物質
を注入するために該基板のシール部分には少なくとも1
箇所開口部を設けてもよい。
【0034】二枚の導電性基板は通常上記のように共に
同じ形状のものを用いるが、このような場合、二枚の該
基板を上下の基板が互いに全く同じ位置となるように重
ね合わせて貼り合わせる場合には、導電性基板の面上周
縁部の基板の形状に沿って基板の縁から0.2〜10m
mの位置にシール剤を塗布すればよい。あるいは二枚の
導電性基板を上下の基板が互いに平行方向に少しずれた
状態で重ね合わせて貼り合わせる場合には、ずらす方向
や位置に応じてシール剤の塗布位置を調整すればよい。
【0035】シール剤は、例えば、ディスペンス方式、
あるいはスクリーン印刷方式を利用して行うことができ
る。また、シール剤の塗布幅は通常5mm以下程度とな
るように塗布することが実用面から見て一般的な範囲で
ある。
【0036】次いで、シール剤を塗布した一方の導電性
基板と他方の導電性基板とを互いに対向させて(導電層
が設けられた基板ではその導電面側)重ね合わせ、二枚
の該基板を貼り合わせる。二枚の導電性基板の重ね合わ
せは、一方(下)の基板上に同じ位置となるように他方
(上)の基板を乗せて二枚の導電性基板を所定の間隔で
重ね合わせる場合や一方(下)の基板上に他方(上)の
基板をずらして乗せ、所定の間隔で二枚の導電性基板を
重ね合わせる場合があるが、目的のミラーに応じて調整
される。
【0037】貼り合わせは、シール剤を硬化させること
により行う。シール剤の硬化条件は、用いるシール剤、
基板などの種類により適宜選択される。例えば、熱硬化
型シール剤を用いた場合、加熱温度は通常80〜200
℃、好ましくは100〜180℃の範囲であり、硬化時
間は通常1分〜3時間、好ましくは10分〜2時間程度
である。また、光硬化型シール剤を用いた場合、光源と
しては高圧水銀灯、蛍光灯、あるいはキセノン灯等が挙
げられる。また光照射量も特に制限はないが、通常10
0〜50000mJ/cm2、好ましくは1000〜2
0000mJ/cm2程度である。また、一方の基板に
シール剤を塗布したのち、他方の基板と貼り合わせる前
に、加熱等によりシール剤をプレキュアさせたのち、貼
り合わせてもよい。プレキュアとはシール剤が硬化途中
であり、他方の基板と貼り合わせた際に押しつぶされて
基板になじみ、その後の硬化で十分な接着力を発現する
状態にあることをいう。シール剤を硬化させる際には、
基板同士を加圧した状態で行ってもよい。
【0038】基板同士を貼り合わせる際の基板配置は、
実質的に平行とするものであり、基板間の間隔、即ちセ
ルギャップは特に限定されないが、通常20〜200μ
m、好ましくは30〜150μm、さらに好ましくは4
0〜100μmである。なお、セルギャップはシール剤
に含有させるビーズの粒径を選択することにより容易に
調整することができる。また、セルギャップの調整のた
めに、周縁部に任意形状のスぺーサーを配してもよい。
【0039】上記の工程により、エレクトロクロミック
ミラー用セルを製造することができいる。上記のように
製造したセルに電源系を接続することによりエレクトロ
クロミックミラーが得られる。電源系としては特に限定
されなく、公知のものを広く用いることができる。な
お、電源系の接続部位は、特に限定されなく、例えば導
電性基板上の導電面に接続してもよく、また導電面上に
形成されている高導電層に接続してもよい。
【0040】本発明のエレクトロクロミックミラーの基
本構成を添付の図面を用いて説明する。図3に示すエレ
クトロクロミックミラーは、一方の面に透明電極層2を
積層させた透明導電性基板1の該透明電極層上の周辺部
に高導電層3を設けた基板と、一方の面に反射性電極層
5を積層させた透明又は不透明な反射性導電性基板6の
該反射性電極層上の周辺部に高導電層3を設けた基板と
の間に、エレクトロクロミック性化合物が分散してなる
イオン伝導層4を挟持させた構造を有している。反射性
電極層5が透明電極層2の表面抵抗値に比べて十分低い
表面抵抗値を有している場合は、該反射性電極層上の周
辺部の高電極層3は設けなくても良い。
【0041】図4に示すエレクトロクロミックミラー
は、一方の面に透明電極層2を積層させた透明導電性基
板1の該透明電極層2上の周辺部に高導電層3を設けた
透明基板1と、一方の面に透明電極層2を、他方の面に
反射層8をそれぞれ積層させた反射性導電性基板の該透
明電極層2上の周辺部に高導電層3を設けた透明基板1
とを、両基板の透明電極層を適宜な間隔で対向させた基
板間にエレクトロクロミック性化合物が分散してなるイ
オン伝導層4を挟持させた構造である。
【0042】図3および図4に示すエレクトロクロミッ
クミラーは、任意の方法で製造することができる。例え
ば、図3に示す構成のエレクトロクロミックミラーの場
合、透明基板1上に透明電極層2を形成し、さらにその
透明電極層上に高導電層3を形成する(積層板A)。別
に、透明あるいは不透明な基板6上に反射性電極層5を
形成し、さらにその反射性電極層上に高導電層3を形成
して積層板を得る(積層板B)。続いて、積層板Aと積
層板Bを対向させ、注入口を除いた周囲をシール剤でシ
ールし、注入口付きのセルを作成する。そして、イオン
伝導層形成物質を注入し、またはこの後所望により硬化
させ、イオン伝導層4を形成することによりECミラー
を得ることができる。
【0043】前記積層板AとBを対向させる際、間隔を
一定に確保するために、例えば、スペーサーを用いるこ
とができる。スペーサーとしては特に限定されないが、
石英や青板、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、
鉛ガラスなどのガラス、アクリル系や、ポリカーボネー
ト系やビニルベンゼン系のポリマー等で構成されるビー
ズまたはシートを用いることができる。スペーサーは、
片方の導電性基板上に散布したり、対向する導電性基板
の間隙に挿入したり、導電性基板の電極上に樹脂等の絶
縁物で構成される突起状物を形成する方法等より設ける
ことができる。前記シール剤を塗布した導電性基板上に
前記スペーサーを散布する場合には、シール剤上にもス
ペーサーが散布されるため、シール剤にビーズを混入し
なくてもセルギャップを維持することができる。
【0044】また、他のミラーの製造方法としては、透
明基板1上に透明電極層2、高導電層3、及びイオン伝
導層4を記載順に順次形成して積層体を得る(積層体
A’)。別に、基板6上に反射性電極層5、及び高導電
層3を記載順に順次形成して積層体を得る(積層体
B’)。次いで、積層体A’のイオン伝導層と、積層体
B’の反射性電極層とが密着するように両積層体を対向
させ、周囲をシール剤7でシールする方法が挙げられ
る。
【0045】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれらになんら制限されるものでは
ない。
【0046】[実施例1]10Ω/sqのITOが被覆さ
れた透明ガラス基板と、基板に2Ω/sqのパラジウム
薄膜の付いた積層板の導電層面の周辺部に高導電層を形
成した高反射性電極を有する導電性基板とを用意した。
高導電層は、金を含有した導電性ペーストを用いて、幅
0.8mm、厚さ10μmでスクリーン印刷にて図1の
パターンのように導電層面の周辺部に形成した。120
℃、1時間の焼成後の高導電層の表面抵抗は0.8Ω/
sqであった。
【0047】積層板のパラジウム層周辺部にガラスビー
ズ(平均粒子径約120μm)を混練したエポキシ系接
着剤をディスペンサーで線状に塗布し、さらに導電面上
にガラスビーズ(平均粒子径約120μm)を3個/c
2の散布密度で散布し、この上にITOの透明電極を
ITO面とパラジウム薄膜面同士が向かい合うように重
ね合わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付き
セルを作製した。作製したセルのセルギャップは約12
5μmであった。
【0048】他方で、プロピレンカーボネート5.0
g、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベン
ゾトリアゾール(CIBA−GEIGY社製、TINU
VINP)0.03gの混合溶液に、テトラフルオロホ
ウ酸テトラブチルアンモニウムを0.5M、下記式で表
されるカソード性エレクトロクロミック性化合物を50
mM、及びアノード性エレクトロクロミック性化合物を
30mMの濃度になるように添加し、均一溶液を得た。
【0049】(カソード性エレクトロクロミック性化合
物)
【化1】 (Ph=フェニル基)
【0050】(アノード性エレクトロクロミック性化合
物)
【化2】
【0051】この溶液を真空注入により上記セルに注入
し、注入口をエポキシ系封止剤で封止し、エレクトロク
ロミック素子を得た。このようにして図3に示す構成の
エレクトロクロミックミラーを得た。
【0052】このミラーは組み立てた時点では着色して
おらず、反射率は約70%であった。また、電圧を印可
すると応答性に優れ、良好なエレクトロクロミック特性
を示した。すなわち、1.3Vの電圧を印可すると着色
し、3秒で反射率約7%となった。また、着色初期の着
色の偏りも見られなかった。また同じ電圧で2時間着色
を継続した後、消色をおこなったが、消え残りなどは発
生しなかった。また10秒毎に着消色を繰り返したが、
約200時間経過後も消え残りなどが発生することはな
かった。
【0053】[実施例2]10Ω/sqのITOが被覆さ
れた透明ガラス基板と、同じITO基板の導電層面とは
反対の面にアルミニウムの反射膜および反射膜の保護膜
の付いた導電性基板の導電層面の周辺部に高導電層を設
けた基板を用意した。高導電層は、銀を含有した導電性
ペーストを用いて、電解質前駆体溶液の注入口の部分を
除いて、幅1mm、厚さ10μmでスクリーン印刷にて
図2のパターンのように導電層面の周辺部に形成した。
150℃、30分間の焼成後の表面抵抗は0.5Ω/s
qであった。
【0054】反射層付き導電性基板の導電面周辺にガラ
スビーズ(平均粒子径約53〜63μm)を混練したエ
ポキシ系接着剤をディスペンサーで線状に塗布し、更に
導電面上にアクリルビーズ(平均粒子径約73〜63μ
m)を4個/cm2の散布密度で散布し、この上にITO
の透明電極をITO面同士が向かい合うように重ね合わ
せ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付きセルを
作製した。作製したセルのセルギャップは約54μmで
あった。
【0055】他方で、メトキシポリエチレングリコール
モノメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、M4
0GN)[オキシエチレンユニット数4]1.0g、ポ
リエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工
業株式会社製、4G)[オキシエチレンユニット数4]
0.02g、プロピレンカーボネート4.0g、2,
4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオ
キシド0.02g、2−(5−メチル−2−ヒドロキシ
フェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA−GEIGY
社製、TINUVIN P)0.03gの混合溶液に、
テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウムを0.
5M、及び下記式で表される化合物を100mMの濃度
になるように添加し、均一溶液を得た。
【0056】
【化3】
【0057】この溶液を真空注入により上記セルに注入
し、注入口をエポキシ系封止剤で封止した後、透明基板
側から蛍光灯の光を当ててセル内の溶液を硬化させ、エ
レクトロクロミック素子を得た。このようにして図4に
示す構成のエレクトロクロミックミラーを得た。
【0058】このミラーは組み立てた時点では着色して
おらず、反射率は約70%であった。また、電圧を印可
すると応答性に優れ、良好なエレクトロクロミック特性
を示した。すなわち、1.3Vの電圧を印可すると着色
し、約3秒で反射率約8%となった。また、同じ電圧で
2時間着色を継続した後、消色をおこなったが、消え残
りなどは発生しなかった。また10秒毎に着消色を繰り
返したが、約200時間経過後も消え残りなどが発生す
ることはなかった。
【0059】[実施例3]60Ω/sqのITOが被覆さ
れた透明ガラス基板の導電層面の周辺部に銀を含有した
導電性ペーストを用いて、幅1mm、厚さ25μmでス
クリーン印刷にて図1のパターンのように高導電層を形
成した。150℃、1時間焼成後の高導電層の表面抵抗
は0.05Ω/sqであった。また別のガラス基板に1
0nmの厚みのITO薄膜と0.7Ω/sqの銀―パラ
ジウム合金薄膜の付いた反射性導電性基板を作製した。
反射層付き導電性基板の導電面周辺にエポキシ系接着剤
をディスペンサーで線状に塗布し、更に導電面上にアク
リルビーズ(平均粒子約73〜63μm)を4個/cm2
の散布密度で散布した。この反射性導電性基板上にIT
Oの透明電極をITO面同士が向かい合うように重ね合
わせ、加圧しながら接着剤を硬化させ、注入口付きセル
を作製した。作製したセルのセルギャップは約54μm
であった。このセルに実施例2と同様のエレクトロクロ
ミック溶液を注入し、実施例2と同様にエレクトロクロ
ミックミラーを作製した。このミラーは組み立てが時点
では着色しておらず、反射率は約75%であった。また
電圧を印可すると応答性に優れ、良好なエレクトロクロ
ミック特性を示した。即ち、1.3Vの電圧を印可する
と着色し、1.5秒で反射率約7%となった。また着色
初期の着色の偏りも見られなかった。また同じ電圧で2
時間着色を継続した後、消色を行ったが、消え残りなど
は発生しなかった。また10秒毎に着消色を繰り返した
が、約200時間経過後も消え残りなどが発生すること
はなかった。
【0060】[比較例1]導電性基板の導電層面に高導電
層を設けなかった以外は実施例2と同様の構成でエレク
トロクロミックミラーを作製した。このミラーを1.3
Vの電圧で2時間着色を継続した後、消色をおこなう
と、負極側に消え残りが発生した。
【0061】[比較例2]導電性基板の導電層面に高導電
層を設けなかった以外は実施例3と同様の構成でエレク
トロクロミックミラーを作製した。このミラーに1.3
Vの電圧を印可すると、ITO基板側の電極取り出し側
から偏って着色した。またこのミラーを1.3Vの電圧
で2時間着色を継続した後、消色をおこなうと、負極側
に消え残りが発生した。
【0062】[比較例3]10Ω/sqのITOが被覆さ
れた透明ガラス基板2枚を用意し、一方の基板のITO
の面上に約500nmの酸化タングステンを真空蒸着法
により成膜した。また、もう一方の基板の導電層面とは
反対の面にアルミニウムの反射膜及び反射保護膜を形成
した。反射層付きITO基板のITO面周辺にガラスビ
ーズ(平均粒子径約53〜63μm)を混練したエポキ
シ系接着剤をディスペンサーで線状に塗布し、この上に
酸化タングステン膜付きのITO基板を酸化タングステ
ン面とITO面が向かい合うように重ね合わせ、加圧し
ながら接着剤を硬化させ、注入口付きセルを作製した。
作製したセルのセルギャップは約54μmであった。他
方で、プロピレンカーボネートに2−(5−メチル−2
−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(CIBA
−GEIGY社製、TINUVIN P)を30mM、
過塩素酸リチウムを0.1M、フェロセンを50mMの
濃度になるように添加し、均一溶液を得た。この溶液を
真空注入により上記セルに注入し、注入口をエポキシ系
封止剤で封止し、エレクトロクロミックミラーを得た。
このミラーは組み立てた時点では着色しておらず、反射
率は約68%であった。また、1.5Vの電圧を印可す
ると着色し、反射率約12%となった。また同じ電圧で
2時間着色を継続した後、消色を行ったが、消え残りな
どは発生しなかった。
【0063】
【発明の効果】本発明のECミラーは、長時間着色を継
続しても消え斑などが生じることなく、応答性に優れ、
繰り返し駆動耐性にも優れたものである。また、透明導
電性基板に比べて表面抵抗値の低い反射性導電性基板を
使用した場合などの導電性基板同士の表面抵抗が互いに
異なる場合でも本発明の高導電層を設けることで着色初
期の偏りが生じにくいECミラーを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】基板の導電面上に設けられた本発明の高導電層
のパターンの一例を示すもので、(a)は、その正面図
であり、(b)は、その断面図である。
【図2】基板の導電面上に設けられた本発明の高導電層
のパターンの別の一例を示す正面図である。
【図3】高導電層が基板の導電面上に設けられた本発明
のエレクトロクロミックミラーの構成の一例を示す断面
図である。
【図4】高導電層が基板の導電面上に設けられた本発明
のエレクトロクロミックミラーの構成の別の一例を示す
断面図である。
【図5】高導電層が基板の導電面の端面に設けられた本
発明のエレクトロクロミックミラーの構成の一例を示す
断面図である。
【図6】高導電層が基板の導電面上及びその端面に連続
して設けられた本発明のエレクトロクロミックミラーの
構成の一例を示す断面図である。
【図7】高導電層が基板の導電面上及びその端面及び非
導電面に連続して設けられた本発明のエレクトロクロミ
ックミラーの構成の別の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 2 透明電極層 3 高導電層 4 イオン伝導層 5 反射性電極層 6 透明又は不透明な基板 7 シール剤 8 反射層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明導電性基板及び反射性導電性基板か
    らなる二枚の導電性基板の間にイオン伝導層を設けたエ
    レクトロクロミックミラーであって、前記二枚の導電性
    基板のうちの少なくとも一方の導電性基板の導電面の周
    辺部に当該基板の導電面側の表面抵抗よりも低い抵抗値
    を示す高導電層が具備されていることを特徴とするエレ
    クトロクロミックミラー。
  2. 【請求項2】 高導電層が、導電性基板の導電面側の周
    辺部及び/又は導電面の端面に設けられていることを特
    徴とする請求項1に記載のエレクトロクロミックミラ
    ー。
  3. 【請求項3】 高導電層が、少なくとも透明導電性基板
    の導電面の周辺部に設けられていることを特徴とする請
    求項1に記載のエレクトロクロミックミラー。
  4. 【請求項4】 高導電層が、基板の導電面周縁部の近傍
    に線状に形成されていることを特徴とする請求項1に記
    載のエレクトロクロミックミラー。
  5. 【請求項5】 二枚の導電性基板が、シール剤を介して
    その周辺部で接合されており、高導電層がシール剤によ
    りイオン伝導層と非接触状態とされていることを特徴と
    する請求項1に記載のエレクトロクロミックミラー。
  6. 【請求項6】 イオン伝導層が、エレクトロクロミック
    性化合物を含有していることを特徴とする請求項1に記
    載のエレクトロクロミックミラー。
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