JP2001248133A - 吸水性高分子を用いた水土嚢 - Google Patents

吸水性高分子を用いた水土嚢

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JP2001248133A JP2000171146A JP2000171146A JP2001248133A JP 2001248133 A JP2001248133 A JP 2001248133A JP 2000171146 A JP2000171146 A JP 2000171146A JP 2000171146 A JP2000171146 A JP 2000171146A JP 2001248133 A JP2001248133 A JP 2001248133A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バリケードとするための土等を確保すること
が容易でない都市部等においても、冠水等の危険箇所に
水漏れすることなく迅速かつ確実に設置することができ
ると共に、撤去を短時間で容易に行うことのできる吸水
性高分子を用いた水土嚢を提供する。 【解決手段】 全体を覆う透水性カバー11と、透水性
カバー11の内部に保持された吸水性高分子を有する吸
水体12と、吸水体12に隣接して配置され、吸水性高
分子にゲル化状態で固定された水を解放させるゲル分解
促進剤を内蔵し非透水性被膜で覆われた袋体13と、袋
体13の非透水性被膜を破断させて、内部のゲル分解促
進剤を透水性カバー11内の吸水体12に放出させる袋
体破断機構とを備えている吸水性高分子を用いた水土嚢
10。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は台風襲来時や梅雨時
の集中豪雨等に伴って発生する水害に対して好適に使用
できる吸水性高分子を用いた水土嚢に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、狭い地域内に時間当たり数10ミ
リを越えるような集中豪雨等の発生に伴って、河川や排
水溝、貯水池などの水位が急激に上昇して、周囲が冠水
したり浸水するような恐れが生じた場合には、その危険
個所に土嚢等を積んで水の侵入を阻止することが行われ
ている。例えば、特公昭37−10468号公報(以下
イ号公報という)には、防水性の布等により形成したビ
ニール製等の筒状体を川底あるいは堤防決壊箇所間等に
張設し、その内部に水を注入して、水流を阻止する方法
が開示されている。また、最近では軽量で緊急配置に便
利な吸水性高分子を用いた水土嚢が用いられている。以
下に従来の吸水性高分子を用いた水土嚢を図面を用いて
説明する。図8(a)は吸水前の水土嚢を配置した状態
の説明図であり、図8(b)は吸水後の水土嚢の状態を
示す説明図である。図8において、60は従来の吸水性
高分子を用いた水土嚢60である。従来の水土嚢60は
袋状に形成したカバーの中に吸水性高分子を配置したも
のであって、多数の水土嚢60を危険箇所に図8(a)
に示すように積み重ねて配置し、図8(b)に示すよう
に雨水等の吸水により内部の吸水性高分子を膨潤させ
て、水流の侵入を阻止させるようにしたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の技術では以下の課題を有していた。 (1)イ号公報の水土嚢では、ビニール筒等の筒内に水
を充填させるのには、消火栓やポンプ等から水を供給す
る必要があるため、予測困難な地域的集中豪雨の発生に
際しては、これらの準備が間に合わず、水が地下室や地
下街などに通じる階段や通気孔等から流れ込んで、逃げ
る余裕がなく地下室に閉じ込められた人が水死したり、
地下街の陳列された商品などが冠水したりして甚大な損
害を与えるという問題点があった。 (2)ビニール筒等の長さを長尺でかつ所定の長さに設
定してあるので、地下街の通気孔の周囲や階段入り口な
どの小規模で予測困難な箇所に、このようなビニール筒
を状況に応じて配置することは難しいという問題点があ
った。 (3)吸水性高分子を用いた従来の水土嚢では、外部か
ら供給される水が吸水性高分子中にゲル化した状態で保
持されているので、水土嚢を撤去する際に、水土嚢の袋
を破いても排水するのに自然乾燥による方法では約1月
近くもの長時間を要し、この間、交通の障害になると共
に、この後処理に多大の手間と時間を要するという問題
点があった。 (4)積み重ねて配置される多数の水土嚢60の位置を
規制する手段が設けられていないので、水を吸収させた
時に各土嚢間に隙間を生じて、この隙間から水漏れして
防水機能を十分に発揮できない場合があるという問題点
があった。
【0004】本発明は上記従来の課題を解決するもの
で、バリケードとして使用するための土等を確保するこ
とが容易でない都市部等においても、冠水の危険箇所に
水漏れすることなく確実に設置することができると共
に、撤去を短時間で容易に行うことのできる吸水性高分
子を用いた水土嚢を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は以下の構成を有している。請求項1に記載の
吸水性高分子を用いた水土嚢は、全体を覆う透水性カバ
ーと、前記透水性カバーの内部に保持された吸水性高分
子を有する吸水体と、前記吸水体に隣接して配置され、
前記吸水性高分子にゲル化状態で固定された水を解放さ
せるゲル分解促進剤を内蔵し非透水性被膜で覆われた袋
体と、前記袋体の非透水性被膜を破断させて、内部のゲ
ル分解促進剤を前記透水性カバー内の前記吸水体に放出
させる袋体破断機構とを備えて構成されている。これに
よって以下の作用が得られる。 (a)水土嚢が、透水性カバーの中に吸水性高分子を有
する吸水体を内蔵しているので、都市部等においても冠
水等の危険箇所に設置するだけで、吸水性高分子が水を
吸収してゲル化し、これらの水によって膨潤した水土嚢
同士でバリヤーを形成し、水漏れすることなく迅速かつ
確実に地下街等への水の浸入を阻止することができる。
これにより、突然の集中豪雨に迅速に対応することがで
き、市民の安全を確保し、冠水による損害を未然に防止
することができる。 (b)袋体破断機構を有しているので水土嚢の撤去時に
は、袋体内に仕込んだゲル分解促進剤を吸水体に放出さ
せ、ゲル化した状態の吸収性高分子中の水を短時間で排
出させることができる。これによって、水土嚢を容易に
取り扱うことができ、撤去作業を効率的に行うことがで
きる。 (c)水土嚢が使用前後で折り畳み可能になって、コン
パクトにまとめられ、狭いスペースでも容易に収納して
おくことができる。これによって、地価の高い都市部で
も集中豪雨に対する備えを安価に行うことができる。 (d)予め豪雨等が予測される場合には、吸水させる前
の水土嚢を危険箇所の周囲に設置しておくだけでよいの
で、軽量の水土嚢を小人数で迅速に配置することができ
る。
【0006】透水性カバーは、それ自体が透水性である
不織布や織布等の他に、ビニール等の非透水性シートに
多数の小孔を設けて通水できるようにしたもの等を適用
することができる。不織布としては、スパンボンド法、
水流交絡法等により得られるポリプロピレン、ポリエス
テル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、アクリ
ル、ポリアミド等の繊維からなるものが使用できる。織
布としては、セルロース繊維、タンパク繊維等の天然繊
維を用いたものの他に、ビスコース法レーヨン等の再生
繊維、酢酸セルロース繊維等の半合成繊維、ポリアミ
ド、ポリエステル、アクリル等の合成繊維を素材とした
ものを用いることができる。また、これらの材料とし
て、PETボトルを回収して再生したリサイクル品を用
いたり、トウモロコシを原料として得られるポリ乳酸等
を含む生分解性プラスチックを適用したりして、水土嚢
を保管、撤去する際の環境にも配慮したものとすること
ができる。吸水性高分子が、カルボキシル基、水酸基、
エーテル基、アミド基等の親水性の官能基を有する高分
子であり、純水の場合、高分子の自重の数百倍から千倍
近くを急速に吸収して、ゲル化固定する作用を有するも
のであり、澱粉にアクリル酸塩をグラフト重合させた澱
粉系、カルボキシセルロースにアクリル酸塩をグラフト
重合させたセルロース系、アクリル酸・ビニルアルコー
ル共重合体、アクリル酸重合体、アクリル酸・アクリル
アミド重合体、ポリエチレンオキサイド変性物等の合成
系のものが適用できる。なお、この吸水性高分子の使用
形態としては顆粒状、繊維状、ペレット状のものが含ま
れる。ゲル分解促進剤は、塩化カルシウム、塩化マグネ
シウム、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム等の金属塩
や、くえん酸、硫酸アンモニウム等の電離してイオンを
放出することのできる電解質が用いられ、これによっ
て、必要な時期に吸水性高分子のゲル化状態を破壊し
て、水を放出させることができる。なお、ゲル分解促進
剤は、微粉末状、粉粒体状、顆粒状等の形態のものを使
用できる。
【0007】袋体を構成する非透水性被膜の素材には、
一般の合成ゴム、合成樹脂等を用いることができるが、
これにスチレン系、オレフィン系、エステル系、ウレタ
ン系、アミド系、ふっ素系、塩化ビニル系等の熱可塑性
エラストマーを配合して用いることもできる。これによ
って、被膜に弾力性を付加することができると共に、熱
可塑性樹脂用の成形機を用いて、容易に成形することも
可能になる。なお、非透水性被膜に繊維質のものを強化
材として分散させて用いた場合には、その繊維質の配列
方向を特定方向に配向させて袋体を構成しておき、この
特定に方向に沿って袋体が裂け易いようにしておくこと
もできる。また、非透水性被膜としてPB、PP等の合
成樹脂製のフィルム等の薄いシートを用いた場合は、破
断方向に一軸延伸したシートを用いると破断方向に固定
された紐状の糸状体を引っ張るだけで容易に袋体を破断
できる。袋体破断機構には、別に用意した先端の尖った
ピック等で透水性シートの上から内部の袋体を突き刺す
形式のものや、袋体にステンレスワイヤや塩化ビニール
製やナイロン製の紐等の糸状体を取り付けておき、この
糸状体の他端を引っ張って袋体を引き裂いたり、剥がし
たりする形式のもの、あるいは袋体に貼り付けた状態の
金属線に電流を流して、金属線をジュール熱で発熱さ
せ、熱溶解性の袋体を溶断させるようなものが使用でき
る。
【0008】請求項2に記載の吸水性高分子を用いた水
土嚢は、請求項1において、前記袋体破断機構が、前記
非透水性被膜の所定箇所に一端を固定され、他端が前記
非透水性カバーに設けられた小孔から外部に引き出され
て配置される糸状体を有して構成されている。これによ
って、請求項1の作用の他、以下の作用が得られる。 (a)水土嚢から引き出された状態の糸状体を引くだけ
で、透水性カバー内の袋体を確実に破断させることがで
き、必要な時期に吸水性高分子のゲル化状態を破壊し
て、保持した水を放出させ、水土嚢の使用後の処理を迅
速に、かつ放水した水土嚢の重量が著しく軽減化するの
で、危険状態を脱した後の作業を容易に行うことができ
るようになる。 (b)水土嚢の透水性シートには糸状体を引き出すため
の小孔が設けられているので、小孔の位置を透水性カバ
ーの所定箇所に設定して、迅速に糸状体をたぐり寄せる
ことができ、水土嚢使用後の脱水、撤去作業を誰でも効
率的に行うことができる。糸状体としては、ステンレス
線、銅線、ニクロム線等からなる金属線ワイヤ、合成樹
脂繊維等からなる紐やつり糸等が適用できる。なお、袋
体の小孔より引き出される糸状体の端部を小孔周囲の固
定部や、小孔を塞ぐ蓋体等に結合させて構成した引き抜
き防止手段を設け、不注意な取り扱いや、流通時等での
移動の際に糸状体が誤って引き抜かれるのを防止するよ
うにしておくこともできる。
【0009】請求項3に記載の吸水性高分子を用いた水
土嚢は、請求項1又は2において、前記ゲル分解促進剤
が塩化カルシウム又は塩化マグネシウム等の電解質成分
であるように構成されている。これによって、請求項1
又は2の作用の他、以下の作用が得られる。 (a)比較的安価な電解質を用いて、吸水性高分子のゲ
ル化状態を効果的に解放して、水土嚢を短時間に容易に
撤去することができ、各部を回収して再生したり、廃棄
したりする際の利便性を向上させることができる。
【0010】請求項4に記載の吸水性高分子を用いた水
土嚢、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記吸
水体が、不織布、織布等の繊維質シートに前記吸水性高
分子を担持させ、前記繊維シートを複数積層させて形成
されて構成されている。これによって、請求項1乃至3
のいずれか1項の作用の他、以下の作用が得られる。 (a)吸水性高分子を担持させた繊維シートを積層させ
て吸水体が形成されているので、水を吸収させることに
よる膨潤方向を積層させる厚み方向に限定させることが
でき、水土嚢を積み上げる際の安定性を高めることがで
き、非常時の際の作業効率を向上させることができる。 (b)吸水させた水土嚢に形のばらつきが少なくなるの
で、積み重ねられた水土嚢間の隙間を少なくでき防水性
を高めることができる。 (c)繊維シートの素材自体を吸水性高分子からなる繊
維で構成することもできるので、水土嚢1個当たりに吸
収できる水の容量を増加させ、防水効果の高い水土嚢と
することができる。 (d)繊維シートを縫着により積層させて用いる場合に
は、縫着に用いる糸で膨潤した吸水体を保持させること
ができるので、水土嚢の形状を安定に維持させることが
でき、水土嚢間の隙間を少なくして水漏れを有効に防止
できる。
【0011】請求項5に記載の吸水性高分子を用いた水
土嚢は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記
透水性カバーがPETボトル等を回収して再生された再
生樹脂又は生分解性高分子を素材として形成されて構成
されている。これによって、請求項1乃至4のいずれか
1項の作用の他、以下の作用が得られる。 (a)透水性カバーが再生樹脂又は生分解性高分子を素
材としているので、省資源性に優れ、緊急時のみなら
ず、全地球規模の環境問題にも配慮したものとすること
ができる。 (b)特に再生樹脂を用いた場合には、資源の有効利用
を図ることができる。 (c)生分解性高分子を用いた場合には、水土嚢の使用
後に、土中などにそのまま廃棄することもできるのでそ
の後処理が容易になると共に、環境汚染などの恐れを回
避できる。ここで、再生樹脂としては、家庭等で発生す
る使用済みのPETボトルなどのプラスチック容器やポ
リアミド、ポリオレフィン等のオフスペック等の廃樹脂
を再生した樹脂であり、これを素材として、繊維状にし
たもの等が透水性カバーとして用いられる。生分解性高
分子は、自然界の微生物によって分解される高分子であ
る。生分解性高分子には、微生物により発酵合成される
3−ヒドロキシブチレートを主成分とするポリエステル
や、ペプチド結合、多糖のエーテル結合などを有した合
成高分子などが該当する。
【0012】請求項6に記載の吸水性高分子を用いた水
土嚢は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記
透水性カバーの周縁部の所定箇所に、紐状体又は固定部
材を通すための係合孔が設けられて構成されている。こ
れによって、請求項1乃至5のいずれか1項の作用の
他、以下の作用が得られる。 (a)各水土嚢には紐状体又は固定部材を係止するため
の係合孔が設けられているので、紐状体や固定部材を用
いて積み重ねて配置される多数の水土嚢の位置を規制し
て、非常時においても多数の土嚢を迅速かつ安定に配列
することができる。 (b)係合孔に固定部材を通して各水土嚢を規則的に配
列することにより、吸水して膨潤した水土嚢間の隙間が
生じ難くなり隙間からの水漏れを防止することができ
る。
【0013】請求項7に記載の吸水性高分子を用いた水
土嚢は、請求項6において、前記係合孔に、紐状体の端
部が縫製や接着又は結着手段により取り付けられて構成
されている。これによって、請求項5の作用の他、以下
の作用が得られる。 (a)各水土嚢の透水性カバーには隣接する同士を互い
に連結するための紐状体が設けられているので、特別な
道具等を用いることなく紐状体同士を結び合わせて、積
み重ねて配置される多数の水土嚢の位置を規制して、非
常時においても多数の土嚢を迅速かつ安定に配列するこ
とができる。 (b)多数配置される各水土嚢を紐状体を用いて規則的
に配列することができるので、吸水して膨潤した水土嚢
間の隙間が生じ難くなり隙間からの水漏れをさらに有効
に防止することができる。 (c)紐状体同士を水平方向のみならず上下方向にも連
結して水土嚢全体を有機的に連結して大量の水流などで
流されるのを効果的に防止できる。 (d)災害の復旧時には結ばれた紐状体同士をとき解く
だけでよく特別な道具を用いることなく容易に分解して
撤去でき、交通の障害などによる影響を最小限度に留め
ることができる。 (e)紐状体の先部又は全体を平たく形成して、この表
裏面に面ファスナーの雄部又は雌部を装着して、紐状体
同士を互いに結び合わせることなくワンタッチで水土嚢
を連結して、緊急時における作業性をさらに高めること
もできる。ここで紐状体は、5〜40cm程度の長さの
ナイロンやテトロン(登録商標)等の合成繊維や、麻等
の天然繊維等からなる紐状物である。この紐状物の端部
を透水性カバーに縫い合わせたり、接着したり、あるい
は、透水性カバーに形成された所定の係合孔に紐状物を
通して結着させることにより取り付けることができる。
なお、紐状体は非常時において容易に目視できるように
透水性カバーとは異なる色の例えば蛍光色や黄色と黒色
等のゼブラ模様等にしておくことが望ましい。これによ
り暗がり等での水土嚢の積み上げ作業を迅速かつ適正に
行うことができる。
【0014】請求項8に記載の吸水性高分子を用いた水
土嚢は、請求項1乃至7のいずれか1項において、前記
袋体及び前記吸水体の対が前記透水性カバー内に複数互
いに所定の間隔を有して配置され、又は前記袋体及び前
記吸水体の対が収納された前記透水性カバーが連接部を
介して2乃至複数連設されている。これによって、請求
項1乃至7のいずれか1項の作用の他、以下の作用が得
られる。 (a)透水性カバーを介して複数の対となる袋体と吸水
体とが相互に所定の間隔を有して連結されて配置される
ので、広い面積にわたって、膨潤した吸水体を有する水
土嚢を所定位置に維持させ、積み重ねて配置される多数
の水土嚢を型崩れさせることなく安定に配列させること
ができる。 (b)複数の吸水体と袋体の対が連結部を介して連結さ
れた状態で保持できるので、これらが散らばることがな
く、また、これらの水土嚢を折り畳んだり、巻き取るこ
ともでき、平時における水土嚢の収納を簡単にすること
ができる。 (c)吸水により膨潤した吸水体によって、隣合う吸水
体の周縁部同士が互いに重なり合って密着し、水漏れに
対する抵抗性を高めることができる。
【0015】請求項9に記載の吸水性高分子を用いた水
土嚢は、請求項1乃至8のいずれか1項において、前記
吸水性高分子が、澱粉にアクリル酸塩をグラフト重合さ
せた澱粉系、カルボキシセルロースにアクリル酸塩をグ
ラフト重合させたセルロース系、アクリル酸・ビニルア
ルコール共重合体、アクリル酸重合体、アクリル酸・ア
クリルアミド重合体、ポリエチレンオキサイド変性物等
の合成系の高分子のいずれか1又はこれらの組み合わせ
からなるように構成されている。これによって、請求項
1乃至8のいずれか1項の作用の他、以下の作用が得ら
れる。 (a)これらの材料の中から必要とする強度、価格にマ
ッチした材料を適宜選択して、安価に水土嚢を製造する
ことができる。 (b)澱粉として、グルコマンナン等の食物成分を用い
ることもできるので、吸水性に優れ、人体に無害でしか
も生物分解可能なものとして、環境を破壊する恐れのな
い材料で水土嚢を構成することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき
図面を用いて説明する。 (実施の形態1)図1は実施の形態1の吸水性高分子を
用いた水土嚢の平面図であり、図2は同水土嚢の吸水前
の状態を示す側面図であり、図3は同水土嚢の吸水後の
状態を示す側面図である。図1〜図3において、10は
集中降雨などに際して浸水を阻止するために危険箇所に
配置される実施の形態1の吸水性高分子を用いた水土
嚢、11は全体を覆うための透水性カバー、12は透水
性カバー11の内部に配置され吸水性高分子を有した吸
水体、13は吸水体12に隣接して配置され、ゲル分解
促進剤を内蔵して非透水性被膜で覆われた袋体、14は
袋体13の非透水性被膜に一端が取付けられ、内部のゲ
ル分解促進剤を透水性カバー11内の吸水体12に放出
させるための袋体破断機構を構成するステンレスワイヤ
からなる糸状体、15は糸状体14の他端を水土嚢の外
部に引き出すために開けられた小孔、16は透水性カバ
ーの周囲の側端部に設けられた複数の水土嚢10同士を
必要に応じて連結し、配列するための紐状体や固定部材
等を挿入するための係合孔である。透水性カバー11
は、ポリエステル等の合成繊維を素材とする織布から縫
製され、縦横の長さがそれぞれ200〜500mm(好
ましくは450mm)、550〜700mm(好ましく
は600mm)で、厚みが3〜10mm(好ましくは5
mm)の矩形状であり、その吸水時には、厚みが約20
〜50倍程度に膨張してもよいようになっている。袋状
に形成される透水性シート11は、例えば2枚の布地を
重ねて縫製又は接着剤を用いて形成することができる。
ここで使用する接着剤には、合成ゴム系接着剤等の他
に、熱可塑性樹脂を主成分とするホットメルト型接着
剤、エポキシ系接着剤や、シアノアクリレート系接着剤
等を用いることも可能である。また、透水性カバー11
の側端部の所定箇所を穿孔して使用するか、鳩目等で補
強した係合孔16を形成し、複数の水土嚢10を紐状体
等を介して連結できるようにしている。
【0017】吸水体12は、吸水前で厚みが約3〜10
mmであって、吸水性高分子である白色粉末状の澱粉ア
クリル酸グラフト重合体部分ナトリウム塩を、合成樹脂
からなるシート体に散布し、これらのシート体を2〜5
枚程度積層させてエンボスカレンダーなどで圧着して形
成されている。この澱粉アクリル酸グラフト重合体部分
ナトリウム塩は自重の約1000倍の水を吸収してゲル
を形成し、一旦、吸収した水は多少の圧力を加えても殆
ど放出しないなど、吸水性と保水性に優れた性質を有し
ている。袋体13は、ポリエチレンフィルム等の非透水
性被膜からなり、その内部に前記吸水性高分子の重量に
対して約1/4〜3/4の重量のゲル分解促進剤となる
塩化カルシウムの乾燥粉末が入れられている。非透水性
被膜には図示するように太さが0.05〜0.2mm程
度のステンレスワイヤ14の一端が取付けられ、小孔1
5から引き出された他端側を引くことにより、袋体13
を破断させ、内部のゲル分解促進剤を周囲に放出させる
ことができるようになっている。なお、袋体13をそれ
ぞれ種類の異なる2枚の非透水性被膜の周縁部を上下に
接着剤を介して接着して構成することもできる。この場
合は、ステンレスワイヤ14等の糸状体を介して上側の
非透水性被膜の部分を引っ張った時に、上側と下側の非
透水性被膜の接着面から剥がれ易くなり、袋体を確実か
つ、容易に破断できる。
【0018】以上のように構成された実施の形態1の吸
水性高分子を用いた水土嚢10について、以下その使用
方法を説明する。まず、水位の上昇が予想される危険箇
所に水土嚢10を図8に示すように配置する。この際、
予め各水土嚢10間を各係合孔16に紐状体等を介して
連結しておくと、連結された両端部側の水土嚢を左右に
引っ張って配列するだけで、各水土嚢を適正に配置で
き、非常時でも迅速に作業を行うことができる。こうし
て、水を透水性シート11で覆われた水土嚢10に直接
供給したり、雨水が水土嚢10に侵入して、吸水性高分
子中に吸収されて吸水体12が膨潤して、多数の水土嚢
が厚み方向に上昇して、図8に示すように水に対するバ
リヤーが形成され、地下施設等への水の浸入を効果的に
防止することができる。周囲の水位が下がって危険状態
を脱した時には、各水土嚢10に取り付けられたステン
レスワイヤ14の端部を引くことにより内部の袋体を破
るようにする。これによって、ゲル分解促進剤である塩
化カルシウムが水土嚢10内の水に溶解して、ゲル化さ
れた吸水性高分子中の水が解放され、放置した状態でも
約半日〜1日程度の短時間で、水土嚢10内の保有水を
流し出すことができるので、積み上げられた水土嚢10
を簡単に撤去することができる。
【0019】実施の形態1の吸水性高分子を用いた水土
嚢10は以上のように構成されているので、以下の作用
を有する。 (a)水土嚢10が、透水性カバー11の中に吸水性高
分子を有する吸水体を内蔵しているので、冠水等の危険
箇所に設置するだけで、吸水性高分子が水を吸収してゲ
ル化して、膨潤した水土嚢10同士でバリヤーを形成
し、水漏れすることなく迅速かつ確実に地下街等への水
の浸入を阻止することができる。 (b)袋体破断機構を有しているので水土嚢10の撤去
時には、袋体13内に仕込んだゲル分解促進剤を吸水体
12に放出させ、ゲル化した状態の吸収性高分子中の水
を短時間で排出させることができる。これによって、水
土嚢10を容易に取り扱うことができ、撤去作業を効率
的に行うことができる。 (c)水土嚢10から引き出された状態の糸状体14を
引くだけで、透水性カバー内の袋体13を確実に破断さ
せることができ、必要な時期に吸水性高分子のゲル化状
態を壊して、保持した水を放出させ、水土嚢10の使用
後の処理を容易に行うことができるようになる。 (d)小孔15の位置を透水性カバー11の所定箇所に
設定して、迅速に糸状体14をたぐり寄せて、水土嚢使
用後の脱水作業を効率的に行うことができる。 (e)吸水性高分子を担持させた繊維シートを積層させ
て吸水体12が形成されているので、水を吸収させるこ
とによる膨潤方向を積層させる厚み方向に限定させるこ
とができ、水土嚢10を積み上げる際の安定性を高める
ことができ、非常時の際の作業効率を向上させることが
できる。 (f)各水土嚢10には紐状体又は固定部材を係止する
ための係合孔16が設けられているので、紐状体や固定
部材を用いて積み重ねて配置される多数の水土嚢10の
位置を連結、規制して、多数の水土嚢10を迅速かつ安
定に配列することができる。
【0020】(実施の形態2)図4は実施の形態2の吸
水性高分子を用いた水土嚢の吸水後の状態を示す側面図
である。図4において、20は実施の形態2の吸水性高
分子を用いた水土嚢、21は先端が鋭利に形成された袋
体破断機構を構成するピックである。なお、前記実施の
形態1と同様の機能を有するものについては、同一の符
号を付してその説明を省略する。本実施の形態2におい
ては、ピック21を吸水して膨潤状態にある水土嚢20
を突き刺して、中のゲル分解促進剤の入った袋体13を
破断するようにしている。これによって、袋体13に周
囲の水が浸入し、内部のゲル分解促進剤が周囲に放出さ
れて、ゲル化状態にある吸水性高分子に含まれる水を流
し出すことができる。
【0021】実施の形態2の吸水性高分子を用いた水土
嚢20は以上のように構成されているので、以下の作用
を有する。 (a)水土嚢20が、袋体破断機構としてピック21を
有するので、ピック21を非透水性カバー11の上から
突き刺すだけで、容易に中の袋体を破断することがで
き、大量の水土嚢を使用した後の処理を迅速に行うこと
ができる。 (b)水土嚢20が幾層にも積み重ねられることによ
り、袋体13には周囲から圧力が付加されており、ピッ
ク21の先端で突くことにより袋体13を破裂させ効果
的にゲル分解促進剤あるいはその水溶液を水土嚢20の
内部に分散、浸透させることができる。
【0022】(実施の形態3)図5は実施の形態3の吸
水性高分子を用いた水土嚢の吸水後の状態を示す側面図
である。図5において、30は実施の形態3の吸水性高
分子を用いた水土嚢、31は接着剤を用いて吸水体12
に固定配置される、ゲル分解促進剤を内蔵した非透水性
被膜からなる袋体、32は袋体31の上下面を巻き回す
ように配置された糸状体である。なお、前記実施の形態
1と同様の機能を有するものについては、同一の符号を
付してその説明を省略する。本実施の形態3の吸水性高
分子を用いた水土嚢30は、袋体破断機構として袋体3
1に巻き回された糸状体32を有しているので、小孔1
5から引き出された糸状体32の端部を引くことによ
り、糸状体32が袋体31を巻き取るようにして、糸状
体32の折曲げ部分が袋体の側部に食い込むことで確実
に切断される。これによって、ゲル分解促進剤が効果的
に放出されて、ゲル化状態にある吸水性高分子に含まれ
る水を流し出すことができるという作用を有する。な
お、この場合、袋体31は切断方向に一軸延伸されたP
E等の合成樹脂製のフィルムが用いられる。
【0023】(実施の形態4)図6は実施の形態4の吸
水性高分子を用いた水土嚢の吸水後の状態を示す側面図
である。図6において、40は実施の形態4の吸水性高
分子を用いた水土嚢、41、42は吸水性高分子を担持
させた2枚の吸水体、43は吸水体41、42の間に接
着されて固定配置される非透水性被膜で覆われた袋体、
44は袋体43の面に沿って貼り付けられた袋体破断機
構を構成する金属線である。本実施の形態4の吸水性高
分子を用いた水土嚢40は、袋体破断機構として袋体4
3の非透水性被膜に密着固定された金属線44を有して
いるので、これに電流を流してジュール熱により発熱さ
せて袋体43を破断させたり、あるいは機械的に金属線
44の両端のいずれかを引くことにより袋体43を裂い
て中のゲル分解促進剤を周囲に配置された吸水体41、
42に接触させることができる。
【0024】(実施の形態5)図7は実施の形態5の吸
水性高分子を用いた水土嚢の平面図である。図7におい
て、50は実施の形態5の吸水性高分子を用いた水土
嚢、51は全体を覆うための透水性カバー、52は透水
性カバー51の中に設けられた袋体13と吸水体12の
対を複数対隣接させた状態で配列するた連結部である。
なお、連結部52は上下の透水性カバーを縫製又は接着
などの手段により帯状に接合させて形成されている。な
お、前記実施の形態1と同様の機能を有するものについ
ては、同一の符号を付してその説明を省略する。実施の
形態5の吸水性高分子を用いた水土嚢50は、袋体13
及び吸水体12が一枚の透水性カバー51を介して連結
されているので、これらの水土嚢50を多数積み上げて
水に対するバリヤーを形成させる際に、非常時に際して
特別な道具類を使用することなく隣接する水土嚢50の
集合体を安定化させると共に、吸水体間の隙間が所定範
囲に規制され、確実に水漏れを防止できる。
【0025】(実施の形態6)図9は実施の形態6の吸
水性高分子を用いた水土嚢の平面図である。図9におい
て、60a〜60dは実施の形態6の吸水性高分子を用
いた水土嚢、61は水土嚢60a〜60dの透水性カバ
ー、62は透水性カバー61の四隅及び辺の中間部にそ
れぞれ形成された係合孔63にその端部が結着された
り、接着固定されたりする紐状体、64は紐状体62が
結び付けられる地面に打ち付けられた杭などの固定部で
ある。袋状に形成される透水性カバー61内には、澱粉
系やセルロース系等の吸水性高分子を有する吸水体と、
ゲル分解促進剤を内蔵し非透水性被膜で覆われた袋体
と、袋体の非透水性被膜を破断させて、内部のゲル分解
促進剤を透水性カバー内の吸水体に放出させる袋体破断
機構とが備えられている。透水性カバー61は、例えば
PETボトル等を回収して再生した再生樹脂やトウモロ
コシ等でつくられる生分解性プラスチックからなる合成
繊維を素材とした織布や不織布等で縫製され、縦横の長
さがそれぞれ200〜500mm、550〜700mm
で、厚みが3〜10mmの矩形状であり、その吸水時に
は、厚みが約10〜150倍程度に膨張してもよいよう
になっている。紐状体62は、例えば太さが1〜5mm
であるポリエステルやナイロンなどの水に濡れても強度
の劣化しない合成繊維を用いることができ、この紐状体
62の端部を、略矩形状等に形成される透水性カバー6
1の四隅や辺の中間部などに図9に示すように結びつけ
るか又は縫製や、接着などの手段で取り付けられてい
る。このような紐状体62は、図示するように隣接する
水平方向の水土嚢60a〜60dを互いに連結するだけ
でなく、上下方向間の水土嚢同士を連結することもで
き、これによって、積み上げられる多数の水土嚢同士を
有機的に構成して、全体の安定性と水流に対する抵抗性
を強固にすることができる。また、水土嚢60a〜60
d間の隙間が水流による抵抗や積層作業等で必要以上に
拡がるのが規制され、これによる漏水を効果的に防止す
ることができる。また、紐状体62を平たく帯状に形成
して、その面に面状ファスナーなどを配置して、ワンタ
ッチで水土嚢同士を締結できるようにしてもよい。さら
に透水性カバー61の周縁部の所定個所、例えばその四
隅や辺の中間部等に係合孔63を形成し、これに紐状体
62の端部側を結びつけて取り付け、紐状体62の他端
側の一部又は全部をループ状にしておくこともできる。
この場合は、紐状体6の一部や透水性カバー61にフッ
クを設けて、これに他方の紐状体62のループ状の部分
を掛けることにより両者を締結することができる。ま
た、地面などに設けられた杭などの固定部64等に結び
つけるようにしてもよい。
【0026】
【発明の効果】本発明の吸水性高分子を用いた水土嚢に
よれば、以下のような優れた効果が得られる。
【0027】請求項1に記載の発明によれば、これによ
って以下の効果が得られる。 (a)水土嚢が、透水性カバーの中に吸水性高分子を有
する吸水体を内蔵しているので、土等を確保することが
容易でない都市部においても冠水等の危険箇所に設置す
るだけで、吸水性高分子が水を吸収してゲル化し、これ
らの水によって膨潤した水土嚢同士でバリヤーを形成
し、水漏れすることなく迅速かつ確実に地下街等への水
の浸入を阻止することができる。これにより、突然の集
中豪雨に迅速に対応することができ、市民の安全を確保
し冠水による損害を未然に防止することができる。 (b)袋体破断機構を有しているので水土嚢の撤去時に
は、袋体内に仕込んだゲル分解促進剤を吸水体に放出さ
せ、ゲル化した状態の吸収性高分子中の水を短時間で排
出させることができる。これによって、容易に水土嚢を
取り扱うことができ、撤去作業を効率的に行うことがで
きる。 (c)水土嚢が使用前後で折り畳み可能になって、コン
パクトにまとめられ、狭いスペースでも容易に収納して
おくことができる。これによって、地価の高い都市部で
も集中豪雨に対する備えを安価に行うことができる。 (d)予め豪雨等が予測される場合には、吸水させる前
の水土嚢を危険箇所の周囲に設置しておくだけでよいの
で、軽量の水土嚢を小人数で迅速に配置することができ
る。
【0028】請求項2に記載の発明によれば、これによ
って、請求項1の効果の他、以下の効果が得られる。 (a)水土嚢から引き出された状態の糸状体を引くだけ
で、透水性カバー内の袋体を確実に破断させることがで
き、必要な時期に吸水性高分子のゲル化状態を破壊し
て、保持した水を放出させ、水土嚢の使用後の処理を迅
速に、かつ放水した水土嚢の重量が著しく軽減化するの
で、後処理を容易に行うことができるようになる。 (b)糸状体を引き出すための小孔を有しているので、
小孔の位置を透水性カバーの所定箇所に設定して、迅速
に糸状体をたぐり寄せることができ、水土嚢使用後の脱
水作業を誰でも効率的に行うことができる。
【0029】請求項3に記載の発明によれば、これによ
って、請求項1又は2の効果の他、以下の効果が得られ
る。 (a)比較的安価な電解質を用いて、吸水性高分子のゲ
ル化状態を効果的に解放して、水土嚢を短時間に容易に
撤去することができ、各部を回収して再生したり、廃棄
する際の利便性を向上させることができる。
【0030】請求項4に記載の発明によれば、これによ
って、請求項1乃至3のいずれか1項の効果の他、以下
の効果が得られる。 (a)吸水性高分子を担持させた繊維シートを積層させ
て吸水体が形成されているので、水を吸収させることに
よる膨潤方向を積層させる厚み方向に限定させることが
でき、水土嚢を積み上げる際の安定性を高めることがで
き、非常時における作業効率を向上させることができ
る。 (b)吸水させた水土嚢に形のばらつきが少なくなるの
で、積み重ねられた水土嚢間の隙間を少なくでき防水性
を高めることができる。 (c)繊維シートの素材自を吸水性高分子からなる繊維
で構成することもできるので、水土嚢1個当たりに吸収
できる水の容量を増加させ、防水効果の高い水土嚢とす
ることができる。 (d)繊維シートを縫着により積層させて用いる場合に
は、縫着に用いる糸で膨潤した吸水体を保持させること
ができるので、水土嚢の形状を安定に維持させることが
でき、水土嚢間の隙間を少なくして水漏れを有効に防止
できる。
【0031】請求項5に記載の発明によれば、これによ
って、請求項1乃至4のいずれか1項の効果の他、以下
の効果が得られる。 (a)透水性カバーが再生樹脂又は生分解性高分子を素
材としているので、省資源性に優れ、緊急時のみなら
ず、全地球規模の環境問題にも配慮したものとすること
ができる。 (b)特に再生樹脂を用いた場合には、資源の有効利用
を図ることができる。 (c)生分解性高分子を用いた場合には、水土嚢の使用
後に、土中などに廃棄できるのでその後処理が容易にな
ると共に、環境汚染などの恐れがない。
【0032】請求項6に記載の発明によれば、これによ
って、請求項1乃至5のいずれか1項の効果の他、以下
の効果が得られる。 (a)各水土嚢には紐状体又は固定部材を係止するため
の係合孔が設けられているので、紐状体や固定部材を用
いて積み重ねて配置される多数の水土嚢の位置を規制し
て、非常時においても多数の土嚢を迅速かつ効果的に配
列することができる。 (b)係合孔に固定部材を通して各水土嚢を規則的に配
列することにより、吸水して膨潤した水土嚢間の隙間が
生じ難くなり隙間からの水漏れを防止することができ
る。
【0033】請求項7に記載の発明によれば、これによ
って、請求項6の効果の他、以下の効果が得られる。 (a)各水土嚢の透水性カバーには隣接する同士を互い
に連結するための紐状体が設けられているので、特別な
道具等を用いることなく紐状体同士を結び合わせて、積
み重ねて配置される多数の水土嚢の位置を規制して、非
常時においても多数の土嚢を迅速かつ安定に配列するこ
とができる。 (b)多数配置される各水土嚢を紐状体を用いて規則的
に配列することができるので、吸水して膨潤した水土嚢
間の隙間が生じ難くなり隙間からの水漏れをさらに有効
に防止することができる。 (c)紐状体同士を水平方向のみならず上下方向にも連
結して水土嚢全体を有機的に連結して大量の水流などで
流されるのを効果的に防止できる。 (d)災害の復旧時には結ばれた紐状体同士をとき解く
だけでよく特別な道具を用いることなく容易に分解して
撤去でき、交通の障害などによる影響を最小限度に留め
ることができる。 (e)紐状体の先部又は全体を平たく形成して、この表
裏面に面ファスナーの雄部又は雌部を装着して、紐状体
同士を互いに結び合わせることなくワンタッチで水土嚢
を連結して、緊急時における作業性をさらに高めること
もできる。
【0034】請求項8に記載の発明によれば、これによ
って、請求項1乃至7のいずれか1項の効果の他、以下
の効果が得られる。 (a)透水性カバーを介して複数の対となる袋体と吸水
体とが相互に所定の間隔を有して連結されて配置される
ので、広い面積にわたって、膨潤した吸水体を有する水
土嚢を所定位置に維持させ、積み重ねて配置される多数
の水土嚢を型崩れさせることなく安定に配列させること
ができる。 (b)複数の吸水体と袋体の対が連結部を介して連結さ
れた状態で保持できるので、これらが散らばることがな
く、また、これらの水土嚢を折り畳んだり、巻き取るこ
ともでき、平時における水土嚢の収納を簡単にすること
ができる。 (c)吸水により膨潤した吸水体によって、隣合う吸水
体の周縁部同士が互いに重なり合って密着し、水漏れに
対する抵抗性を高めることができる。
【0035】請求項9に記載の発明によれば、これによ
って、請求項1乃至8のいずれか1項の効果の他、以下
の効果が得られる。 (a)多種の材料の中から必要とする強度、価格にマッ
チした材料を適宜選択して、安価に水土嚢を製造するこ
とができる。 (b)澱粉として、グルコマンナン等の食物成分を用い
ることもできうるので、吸水性に優れ、人体に無害でし
かも生物分解可能なものとして、環境を破壊する恐れの
ない材料で水土嚢を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の吸水性高分子を用いた水土嚢の
平面図
【図2】同水土嚢の吸水前の状態を示す側面図
【図3】同水土嚢の吸水後の状態を示す側面図
【図4】実施の形態2の吸水性高分子を用いた水土嚢の
吸水状態を示す側面図
【図5】実施の形態3の吸水性高分子を用いた水土嚢の
吸水状態を示す側面図
【図6】実施の形態4の吸水性高分子を用いた水土嚢の
吸水状態を示す側面図
【図7】実施の形態5の吸水性高分子を用いた水土嚢の
平面図
【図8】水土嚢の使用方法の説明図である。
【図9】実施の形態6の吸水性高分子を用いた水土嚢の
平面図
【符号の説明】
10 水土嚢 11 透水性カバー 12 吸水体 13 袋体 14 ステンレスワイヤ(糸状体) 15 小孔 16 係合孔 20 水土嚢 21 ピック 30 水土嚢 31 袋体 32 糸状体 40 水土嚢 41 吸水体 42 吸水体 43 袋体 44 金属線(糸状体) 50 水土嚢 51 透水性カバー 52 連結部 60 水土嚢 60a〜60d 水土嚢 61 透水性カバー 62 紐状体 63 係合孔 64 固定部

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全体を覆う透水性カバーと、前記透水性カ
    バーの内部に保持された吸水性高分子を有する吸水体
    と、前記吸水体に隣接して配置され、前記吸水性高分子
    にゲル化状態で固定された水を解放させるゲル分解促進
    剤を内蔵し非透水性被膜で覆われた袋体と、前記袋体の
    非透水性被膜を破断させて、内部のゲル分解促進剤を前
    記透水性カバー内の前記吸水体に放出させる袋体破断機
    構とを備えていることを特徴とする吸水性高分子を用い
    た水土嚢。
  2. 【請求項2】前記袋体破断機構が、前記非透水性被膜の
    所定箇所に一端を固定され、他端が前記非透水性カバー
    に設けられた小孔から外部に引き出されて配置される糸
    状体を有していることを特徴とする請求項1に記載の吸
    水性高分子を用いた水土嚢。
  3. 【請求項3】前記ゲル分解促進剤が塩化カルシウム又は
    塩化マグネシウム等の電解質成分であることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の吸水性高分子を用いた水土
    嚢。
  4. 【請求項4】前記吸水体が、不織布、織布等の繊維質シ
    ートに前記吸水性高分子を担持させ、前記繊維シートを
    複数積層させて形成されていることを特徴とする請求項
    1乃至3のいずれか1項に記載の吸水性高分子を用いた
    水土嚢。
  5. 【請求項5】前記透水性カバーがPETボトル等を回収
    して再生された再生樹脂又は生分解性高分子を素材とし
    て形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のい
    ずれか1項に記載の吸水性高分子を用いた水土嚢。
  6. 【請求項6】前記透水性カバーの周縁部の所定箇所に、
    紐状体又は固定部材を通すための係合孔が設けられてい
    ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記
    載の吸水性高分子を用いた水土嚢。
  7. 【請求項7】前記係合孔に、紐状体の端部が縫製や接着
    又は結着手段により取り付けられていることを特徴とす
    る請求項6に記載の吸水性高分子を用いた水土嚢。
  8. 【請求項8】前記袋体及び前記吸水体の対が前記透水性
    カバー内に複数互いに所定の間隔を有して配置され、又
    は前記袋体及び前記吸水体の対が収納された前記透水性
    カバーが連接部を介して2乃至複数連設されていること
    を特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の吸
    水性高分子を用いた水土嚢。
  9. 【請求項9】前記吸水性高分子が、澱粉にアクリル酸塩
    をグラフト重合させた澱粉系、カルボキシセルロースに
    アクリル酸塩をグラフト重合させたセルロース系、アク
    リル酸・ビニルアルコール共重合体、アクリル酸重合
    体、アクリル酸・アクリルアミド重合体、ポリエチレン
    オキサイド変性物等の合成系の高分子のいずれか1又は
    これらの組み合わせからなることを特徴とする請求項1
    乃至8のいずれか1項に記載の吸水性高分子を用いた水
    土嚢。
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