JP2001247764A - 高分子感温体およびそれを用いた感温素子 - Google Patents

高分子感温体およびそれを用いた感温素子

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JP2001247764A
JP2001247764A JP2000059960A JP2000059960A JP2001247764A JP 2001247764 A JP2001247764 A JP 2001247764A JP 2000059960 A JP2000059960 A JP 2000059960A JP 2000059960 A JP2000059960 A JP 2000059960A JP 2001247764 A JP2001247764 A JP 2001247764A
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polymer
insulating
moisture
temperature
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Keiko Yasui
圭子 安井
Masahiko Ito
雅彦 伊藤
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気採暖具の温度制御を行う感温素子におい
て、電気的特性、耐熱安定性、温度ヒューズ機能、耐湿
性などすべての要求を満たす高分子感温材料の提供。 【解決手段】 本発明は高分子感温体にポリアミドとポ
リアミドおよびポリエーテルの共重合体と導電性付与材
とを配合したポリアミド組成物を用い、ポリアミドと導
電性付与材で電気的特性および耐熱安定性の要求を満た
し、吸湿量の少ないポリアミドおよびポリエーテル共重
合体で高分子感温体全体の吸湿量を低下させることで、
耐湿特性、電気的特性、機械的強度、耐熱安定性、温度
ヒューズ機能、成形加工性を満たす高分子感温体を得る
ことが出来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気採暖具などの
可撓性温度センサや感温ヒータに用いる高分子感温体お
よびそれを用いた感温素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高分子材料の電気的特性の温度依存性を
利用して電気毛布や電気カーペットなどの電気採暖具の
温度制御を行うことは従来からよく知られており、高分
子材料としてはポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアミ
ド変性オレフィン樹脂混合物を用い、電気特性の温度依
存性を改善するために導電性付与材を添加する方法が特
開平9−45507号公報、特開平10−140004
号公報など他にも多くに記載されている。また、特開平
8−78137号公報にはポリエステル樹脂にポリオレ
フィンオキサイドに過塩素酸リチウムを添加したイオン
導電性固体電解質を高分子材料として用いる方法が記載
されている。
【0003】ここで温度制御を行うための高分子材料に
は、(1)電気的特性の高い温度依存性、(2)電気的
特性および機械的強度の耐熱安定性、(3)温度ヒュー
ズすなわち高温低粘度溶融性、(4)低吸湿性もしくは
吸湿時に電気的特性が変化しないなどの特性が要求され
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のポ
リアミドおよびポリアミド混合物を高分子材料として用
いた場合、電気的特性、機械的強度、耐熱安定性、温度
ヒューズ機能、成形加工性は他の高分子材料より優れて
いるが、ポリアミドは吸湿性が高く、ナイロン11やナ
イロン12などの吸湿性の少ないものでも1%程度の吸
湿率を示すため、吸湿時の電気的特性の変化が大きく、
周辺環境の湿度に影響されず正確に温度制御を行うこと
が難しいという課題があった。
【0005】吸湿の課題を解決するために、ポリエステ
ル樹脂の高温低粘度溶融性を改善した方法でもポリエス
テル樹脂が1%程度の吸湿率を示すため、正確な温度制
御を行うことは難しいという課題があり、またポリアミ
ド以外の樹脂を用いた場合には、電気的特性、機械的強
度、耐熱安定性、温度ヒューズ機能、成形加工性などの
要求が満たされないという課題があった。
【0006】また、ポリアミドの水素結合サイトである
アミド基は導電性付与材を作用させるサイトも兼ねてい
るため、吸湿の課題を解決するためにアミド基を減らす
と、導電性付与材との作用が弱くなり、通電特性が悪く
なるという課題もあった。
【0007】このように要求されるすべての特性を満た
す高分子材料は得られておらず、本発明の目的は上記課
題を解決し、吸湿による影響が少なく高感度で安定性の
よい高分子感温体とそれを用いた感温素子を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため高分子感温体にポリアミドとポリアミドおよび
ポリエーテルの共重合体と導電性付与材とを配合したポ
リアミド組成物を用い、ポリアミドと導電性付与材で電
気的特性および耐熱安定性の要求を満たし、吸湿量の少
ないポリアミドおよびポリエーテル共重合体で高分子感
温体全体の吸湿量を低下させることで、耐湿特性、電気
的特性、機械的強度、耐熱安定性、温度ヒューズ機能、
成形加工性を満たす高分子感温体を得たものである。
【0009】
【発明の実施の形態】上記課題を解決するため請求項1
の発明は、高分子感温体にポリアミドとポリアミドおよ
びポリエーテルの共重合体と導電性付与材とを配合した
ポリアミド組成物を用い、ポリアミドと導電性付与材で
電気的特性および耐熱安定性の要求を満たし、吸湿量の
少ないポリアミドおよびポリエーテル共重合体で高分子
感温体全体の吸湿量を低下させることで、耐湿特性、電
気的特性、機械的強度、耐熱安定性、温度ヒューズ機
能、成形加工性を満たす高分子感温体を得ることが出来
る。
【0010】また、請求項2の発明は、ポリアミドにナ
イロン12、ナイロン11、ナイロン12−ナイロン4
0共重合体、Nーアルキル置換アミドなどポリアミドの
水素結合サイトであるアミド基の少ない吸湿性の低い高
分子材料を用いることで、さらに吸湿量の少ない高分子
感温体を得ることが出来、より耐湿性を高めることが出
来る。
【0011】また、請求項3の発明はポリアミドおよび
ポリエーテル共重合体のポリアミドにポリアミド12も
しくはポリアミド11などの吸湿性の低い高分子材料を
用い、ポリエーテルにポリエチレングルコールもしくは
ポリテトラメチレングルコールを用いることで、さらに
吸湿量の少ない高分子感温体を得ることが出来、より耐
湿性を高めることが出来る。
【0012】また、請求項4の発明は導電性付与材にア
ルキルフェノールーホルムアルデヒド重縮合体もしくは
オキシ安息香酸エステルーホルムアルデヒド重縮合体を
用いることで、アルキルフェノールーホルムアルデヒド
重縮合体もしくはオキシ安息香酸エステルーホルムアル
デヒド重縮合体がポリアミドの水素結合サイトであるア
ミド基に水分子の代わりに配位して吸湿性を低減させる
ととも、アミド基に作用して感温性を増大することが出
来る。
【0013】また、請求項5の発明は、導電性付与材に
よう化亜鉛および酸化亜鉛を用い、よう化亜鉛の持つイ
オンキャリア性によりインピーダンスの温度依存性を高
めるとともに、ポリアミドのアミド基に亜鉛錯体を形成
し通電安定性を高め、熱的に安定化する。しかし高温で
長時間使用した場合には、よう化亜鉛により生じたよう
素がよう素イオンとして電極に作用し、電気絶縁体であ
るよう化金属を生成し、電極間インピーダンス経時安定
性が得にくくなる。酸化亜鉛を配合することで、酸化亜
鉛がよう素イオンの受容体となりよう化金属の生成を防
止することができる。
【0014】また、請求項6の発明はポリアミドに導電
性付与材を配合した後にポリアミドおよびポリエーテル
共重合体を混合することで、ポリアミドのアミド基と導
電性付与材を作用させてからポリアミドおよびポリエー
テル共重合体を混合することでポリアミドと導電性付与
材の結合を強固にしすることができ、通電特性を向上さ
せることが出来る。
【0015】また、請求項7の発明はポリアミド組成物
にはナフチルアミンもしくはヒンダードフェノールを含
有し、ナフチルアミン、ヒンダードフェノールの抗酸化
性により耐熱安定性を高めることが出来る。
【0016】また、請求項8の発明はポリアミド組成物
に亜リン酸エステル系化合物を含有し、亜リン酸エステ
ル系化合物のもつ酸化防止性と還元防錆作用により熱劣
化性が抑制され、耐熱安定性を高めることが出来る。
【0017】また、請求項9の発明は、同芯状に設けた
一対の電極と、電極間に設けた請求項1から8のいずれ
か1項記載の高分子感温体と、電極の外側に設けた遮湿
性絶縁外被層を備えた構成とし、電極間に通電し高分子
感温体のインピーダンスを測定することで、温度を制御
することが出来る。周辺環境中の水分子は遮湿性絶縁外
被層で通過を阻止され、高分子感温体の吸湿を防止する
ことが出来る。
【0018】また、請求項10の発明は遮湿性絶縁外被
層をポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ンテレフタレート、共重合フッ素樹脂、ふっ化ビニル、
ふっ化ビニリデンなどの遮湿性の高い絶縁材料で構成す
ることで、1つの層で高分子感温体の吸湿防止と感温素
子の絶縁を行うことが出来、従来の製造工程を大幅に変
更する必要がなくなる。
【0019】また、請求項11の発明は遮湿性絶縁外被
層は絶縁材の表面を撥水剤で被覆した構成とすること
で、絶縁材表面の撥水剤が水分子の進入を防止し、高分
子感温体の吸湿を防止することが出来るとともに、従来
の感温素子の絶縁材を用いることもでき、製造工程を大
幅に変更する必要がなくなる。
【0020】また、請求項12の発明は遮湿性絶縁外被
層は絶縁材に撥水剤を練り込んだ構成とすることで、絶
縁材に練り込んだ撥水剤が水分子の進入を防止し、高分
子感温体の吸湿を防止することが出来るとともに、耐湿
安定性を高めることが出来る。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0022】(実施例1)実施例1の高分子感温体のポ
リアミド組成物はポリアミドとポリアミドおよびポリエ
ーテルの共重合体の混合物100重量部に、ポリアミド
を50ないし80重量%、ポリアミドおよびポリエーテ
ルの共重合体を50ないし20重量%配合し、導電性付
与材を配合したポリアミド組成物を用いる。
【0023】ポリアミドおよびポリエーテル共重合体
は、50重量%より多いと組成物の温度ヒューズ機能お
よび通電安定性を損ない、20重量%より少ないと湿度
に対する耐湿性の効果が低くなる。
【0024】ポリアミドのアミド基に導電性付与材が作
用して、静電容量、電気抵抗値、インピーダンスなどの
電気的特性の温度依存性が増加し、ポリアミドおよびポ
リエーテルの共重合体を配合することで、ポリアミド組
成物中のポリアミドの水素結合サイトであるアミド基を
減らすことが出来るため、吸湿による影響が少なく高感
度で安定性のよい温度検知を行うことが出来、耐湿特
性、電気的特性、機械的強度、耐熱安定性、温度ヒュー
ズ機能、成形加工性を満たす高分子感温体を得ることが
出来る。
【0025】(実施例2)つぎに実施例2について説明
する。実施例2において実施例1と異なる点はポリアミ
ドに吸湿性の低いナイロンを用いた点である。
【0026】ポリアミドとして、ナイロン12、ナイロ
ン11、ナイロン12−ナイロン40共重合体、N−ア
ルキル置換アミドなどポリアミドの水素結合サイトであ
るアミド基の少ない吸湿性の低い高分子材料を用いるこ
とで、さらに吸湿量の少ない高分子感温体を得ることが
出来、より耐湿性を高めることが出来る。
【0027】(実施例3)つぎに実施例3について説明
する。実施例3において実施例1および実施例2と異な
る点は、ポリアミドおよびポリエーテル共重合体のポリ
アミドにポリアミド12もしくはポリアミド11などの
吸湿性の低い高分子材料を用い、ポリエーテルにポリエ
チレングルコールもしくはポリテトラメチレングルコー
ルを用いることで、さらに吸湿量の少ない高分子感温体
を得ることが出来、より耐湿性を高めることが出来る。
【0028】(実施例4)つぎに実施例4について説明
する。実施例4において実施例1から実施例3と異なる
点は、導電性付与材にアルキルフェノール−ホルムアル
デヒド重縮合体もしくはオキシ安息香酸エステルーホル
ムアルデヒド重縮合体を用いた点である。
【0029】導電性付与材としては、アルキルフェノー
ル−ホルムアルデヒド重縮合体もしくはオキシ安息香酸
エステル−ホルムアルデヒド重縮合体として、p−オキ
シ安息香酸オクチルエステルーアルデヒド重縮合体、p
−オキシ安息香酸イソステアリルエステル−ホルムアル
デヒド重縮合体、p−オキシ安息香酸アルキルエステ
ル、p−ドデシルフェノール−アルデヒド重縮合体、p
−クロロフェノール−アルデヒド重縮合体、p−ヒドロ
キシ安息香酸アルキルエステルのホルムアルデヒド重縮
合体を用いることができる。導電性付与材はポリアミド
とポリアミドおよびポリエーテル共重合体の混合物10
0重量部に対して、5ないし30重量部配合されるもの
で、5重量部より少ないと効果が低く、30重量部より
多いと組成物の性質を著しく損なう。
【0030】アルキルフェノール−ホルムアルデヒド重
縮合体もしくはオキシ安息香酸エステル−ホルムアルデ
ヒド重縮合体はポリアミドと相溶性がよく、ポリアミド
の水素結合サイトであるアミド基に水分子の代わりに配
位して吸湿性を低減させるととも、アミド基に作用して
感温性を増大することが出来る。
【0031】(実施例5)つぎに実施例5について説明
する。実施例5において実施例1から4と異なる点は導
電性付与材によう化亜鉛、酸化亜鉛および金属不活性化
剤を用いたことである。
【0032】導電性付与材として、熱安定性の高いよう
化亜鉛をポリアミドとポリアミドおよびポリエーテル共
重合体混合物100重量部に対し0.01ないし30重
量部配合した。よう化亜鉛は0.01重量部より少ない
と増感性および通電安定効果が低く、30重量部より多
いと組成物の物理的性質を著しく損なう。
【0033】また高温度で長時間使用した場合によう化
亜鉛より生じるよう素イオンの受容体として粒子径が
0.1ないし0.5μmの酸化亜鉛粉末をポリアミドと
ポリアミドおよびポリエーテル共重合体混合物100重
量部に対し0.01ないし30重量部配合した。酸化亜
鉛は0.01重量部より少ないと増感性および通電安定
効果が低く、30重量部より多いと組成物の物理的性質
を著しく損なう。
【0034】電極とポリアミド組成物の界面安定化剤と
しての金属不活性化剤としては、デカメチレンジカルボ
ン酸ジサリチロイドヒドラジンやN,N’−ビス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオニル]ヒドラジンや1,2,3ベンゾトリアゾ
ールまたはその誘導体として1ーヒドロキシメチルベン
ゾトリアゾールや1,2−ジカルボキシエチルベンゾト
リアゾールを用いた。
【0035】よう化亜鉛はよう化亜鉛の持つイオンキャ
リア性によりインピーダンスの温度依存性を高めるとと
もに、ポリアミドのアミド基に亜鉛錯体を形成し通電安
定性を高め、熱的に安定化する。しかし高温で長時間使
用した場合には、よう化亜鉛により生じたよう素がよう
素イオンとして電極に作用し、電気絶縁体であるよう化
金属を生成し、電極間インピーダンス経時安定性が得に
くくなる。酸化亜鉛を配合することで、酸化亜鉛がよう
素イオンの受容体となりよう化金属の生成を防止するこ
とができ、さらに酸化亜鉛はよう化亜鉛を生成し通電安
定性を向上させる。また、金属不活性化剤を配合するこ
とで、電極とポリアミド組成物との界面の電気抵抗値を
安定化させることが出来る。
【0036】(実施例6)つぎに実施例6について説明
する。実施例6において実施例1から実施例5と異なる
点は、ポリアミドに導電性付与材を配合した後にポリア
ミドおよびポリエーテル共重合体を混合することであ
る。
【0037】ポリアミドに導電性付与材を配合し、ポリ
アミドのアミド基と導電性付与材を作用させてからポリ
アミドおよびポリエーテル共重合体を混合することで導
電性付与材のアミド基との結合作用を強固にすることが
でき、通電安定性性を向上させることが出来る。
【0038】(実施例7)つぎに実施例7について説明
する。実施例7において実施例1から6と異なる点はポ
リアミド組成物にナフチルアミンもしくはヒンダードフ
ェノールを配合したことである。
【0039】ヒンダードフェノールとしてトリエチレン
グリコール−ビス[3−(3−t−ブチルー5−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]またはペ
ンタエリスリチルーテトラキス[3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
などとナフチルアミンが用いられヒンダードフェノール
やナフチルアミンの恒酸化性により耐熱安定性を高める
ことが出来る。
【0040】(実施例8)つぎに実施例8について説明
する。実施例8において実施例1から7と異なる点はポ
リアミド組成物に亜リン酸エステル系化合物を配合した
ことである。
【0041】亜リン酸エステル系化合物としては、分子
量が高く不揮発性に優れ、リン酸濃度が適当なテトラフ
ェニルジプロピレングリコールホスファイトやテトラフ
ェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテト
ラフォスファイト、および水添ビスフェノールA・ペン
タエリスリトールフォスファイトポリマーが用いられ
る。亜リン酸エステル系化合物のもつ酸化防止性と還元
防錆作用により熱劣化性が抑制され、耐熱安定性を高め
ることが出来る。
【0042】高分子感温体評価のため、実施例4から6
のポリアミド組成物を配合し、押し出し機により混練し
た後、加熱プレスで70mm×70mm、厚さ0.8mmのシ
ートに成形し、その両面に銀塗布電極を設けて作成した
試料を用いて、インピーダンスの温度依存性、耐湿性、
半波通電安定性を測定した結果を(表1)に示す。
【0043】インピーダンスの温度依存性は40ないし
80℃のサーミスタB定数で、半波通電安定性は100
℃における初期のインピーダンスと80℃で50vの半
波通電を200時間行った後のインピーダンスの温度差
ΔTzで表した。耐湿性は45℃における初期インピー
ダンスと45℃、95RH%で72時間放置後のインピ
ーダンスの温度差ΔTwで表した。
【0044】
【表1】
【0045】(実施例9)図1は本発明の実施例9の感
温素子の構成図である。図1において1は1500デニ
ールのポリエステル芯線、2、4は銅、アルミニウム、
金、白金、パラジウム、銀、錫、半田、ニッケル、ステ
ンレス、チタン、インジウムなどの巻き線電極線、3は
電極線2と4の間に配設された高分子感温体、5は遮湿
性絶縁外被層である。
【0046】つぎに動作作用について説明する。高分子
感温体3は温度によって静電容量、電気抵抗値、インピ
ーダンスなどの電気的特性が変化するため、電極2電極
4間に通電し高分子感温体3の電気的特性を測定するこ
とで温度を検知し、電気毛布、電気カーペットなどの電
気採暖具の温度制御を行うことが出来る。周辺環境中の
水分子は遮湿性絶縁外被層5によって通過を阻止され高
分子感温体3の吸湿を防止することが出来るため、高分
子感温体3には電気的特性、機械的強度、耐熱安定性、
温度ヒューズ機能、成形加工性の要求が満たされるナイ
ロン6、ナイロン11、ナイロン12などの高分子材料
を用いることが出来、周辺環境の影響を受けず高感度で
安定性の良い温度制御を行うことが出来る。
【0047】(実施例10)つぎに実施例10について
説明する。実施例10において実施例9と異なる点は遮
湿性絶縁外被層を遮湿性の高い絶縁材料で構成したこと
である。
【0048】遮湿性絶縁外被層5は塩化ビニリデン、ポ
リプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、共重合フ
ッ素樹脂、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどの遮湿
性の高い絶縁材料で構成されている。従来から絶縁層と
して用いられている塩化ビニル絶縁材の水蒸気透過量は
ASTME96〜66(37.8℃)による測定による
と、2g・mー2・24hー1・mmー1(厚さ)以上であるの
に対し塩化ビニリデン絶縁材の水蒸気透過量は0.1〜
0.3g・mー2・24hー1・mmー1、ポリプロピレン絶縁
材で0.14g・mー2・24hー1・mmー1、フッ化ビニル
絶縁材は0.01〜0.02g・mー2・24hー1・mmー1
と非常に小さく、遮湿性絶縁外被層5を塩化ビニリデ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、共
重合フッ素樹脂、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなど
の遮湿性の高い絶縁材料で構成することで、1つの層で
高分子感温体の吸湿防止と感温素子の絶縁を行うことが
出来、従来の製造工程を大幅に変更することなく、高感
度で安定性の良い温度制御を行うことが出来る感温素子
を得ることが出来る。
【0049】(実施例11)つぎに実施例11について
説明する。実施例11において実施例9、10と異なる
点は遮湿性絶縁外被層は絶縁材の表面に撥水剤を被覆し
た構成としたことである。
【0050】遮湿性絶縁外被層5は塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレー
トなどの絶縁材の表面に高級脂肪酸誘導体やシリコーン
樹脂などの撥水剤で被覆した構成とすることで、絶縁材
表面の撥水剤が水分子の進入を防止し、高分子感温体の
吸湿を防止することが出来るとともに、従来の感温素子
の絶縁材を用いることもでき、製造工程を大幅に変更す
る必要がなくなる。
【0051】(実施例12)つぎに実施例12について
説明する。実施例12において実施例9から11と異な
る点は遮湿性絶縁外被層は絶縁材に撥水剤を練り込んだ
構成としたことである。
【0052】遮湿性絶縁外被層5は塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレー
トなどの絶縁材に高級脂肪酸誘導体やシリコーン樹脂な
どの撥水剤を練り込んだ構成とすることで、絶縁材に練
り込んだ撥水剤が水分子の進入を防止し、高分子感温体
の吸湿を防止することが出来るとともに、耐湿安定性を
高めることが出来る。
【0053】感温素子の評価のために、高分子感温体3
としてナイロン12(70重量部)、ポリアミドポリエ
ーテル共重合物(30重量部)、pヒドロキシヒドロキ
シ安息香酸アルキルエステルのホルムアルデヒド重縮合
体(15重量部)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニ
ル]ヒドラジン(0.5重量部)、テトラフェニルジプ
ロピレングリコールホスファイト(1重量部)、ペンタ
エリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](1
重量部)よりなるポリアミド組成物を用い図1に示す感
温素子を作成した。遮湿性絶縁外被層5にはポリ塩化ビ
ニリデンを用いた。
【0054】インピーダンスの温度依存性は40ないし
80℃のサーミスタB定数で、耐熱安定性は100℃に
おける空気加熱老化試験をダンベル試験片で行い降伏点
強度半減する時間で評価し、さらに100℃における初
期のインピーダンスと80℃で50vの半波通電を10
00時間行った後のインピーダンスの温度差ΔTzで表
した。耐湿性は45℃における初期インピーダンスと4
5℃、95RH%で72時間放置後のインピーダンスの
温度差ΔTwで表した。これらの結果を、比較のために
遮湿性絶縁外被層をポリ塩化ビニルで構成したものにつ
いても(表2)に示す。
【0055】
【表2】
【0056】以上のように本発明によれば、インピーダ
ンスの温度依存性、耐熱安定性を低下させることなく、
耐湿性を高めた感温素子を得ることが出来る。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明は、
高分子感温体にポリアミドとポリアミドおよびポリエー
テルの共重合体と導電性付与材とを配合したポリアミド
組成物を用いることで、ポリアミドと導電性付与材で電
気的特性および耐熱安定性の要求を満たし、吸湿量の少
ないポリアミドおよびポリエーテル共重合体で高分子感
温体全体の吸湿量を低下させることで、耐湿特性、電気
的特性、機械的強度、耐熱安定性、温度ヒューズ機能、
成形加工性を満たす高分子感温体を得ることが出来る。
【0058】また、請求項2および3の発明は高分子感
温体そのものの吸湿率を低下させることで、より耐湿性
を高めることが出来る。
【0059】また、請求項4の発明は導電性付与材にア
ルキルフェノールーホルムアルデヒド重縮合体もしくは
オキシ安息香酸エステルーホルムアルデヒド重縮合体を
用いることで、吸湿性を低減させるととも、感温性を増
大することが出来る。
【0060】また、請求項5の発明は、導電性付与材に
よう化亜鉛、酸化亜鉛を用いることで、電気的特性を安
定化させることが出来る。
【0061】また、請求項6の発明はポリアミドのアミ
ド基と導電性付与材を作用させてからポリアミドおよび
ポリエーテル共重合体を混合することで導電性付与材の
結合作用を強固にすることができ、通電特性を向上させ
ることが出来る。
【0062】また、請求項7の発明はナフチルアミンも
しくはヒンダードフェノールを配合することで、耐熱安
定性を高めることが出来る。
【0063】また、請求項8の発明は亜リン酸エステル
系化合物を配合することで、耐熱安定性を高めることが
出来る。
【0064】また、請求項9の発明は、遮湿性絶縁外被
層により周辺環境中の水分子の通過を阻止することで、
高分子感温体の吸湿を防止することができるため、感温
体の高分子材料としては電気的特性、機械的強度、耐熱
安定性、温度ヒューズ機能、成形加工性の要求が満たさ
れる高分子材料を使用することが出来、周辺環境の影響
を受けず高感度で安定性のよい温度制御を行う感温素子
を得ることが出来る。
【0065】また、請求項10の発明は遮湿性絶縁外被
層を遮湿性の高い絶縁材料で構成することで、1つの層
で高分子感温体の吸湿防止と感温素子の絶縁を行うこと
が出来、従来の製造工程を大幅に変更する必要がなく、
高感度で安定性の良い温度制御を行うことが出来る感温
素子を得ることが出来る。
【0066】また、請求項11の発明は絶縁材表面の撥
水剤が水分子の進入を防止し、高分子感温体の吸湿を防
止することが出来るとともに、従来の感温素子の絶縁材
を用いることもでき、製造工程を大幅に変更する必要が
なくなる。
【0067】また、請求項12の発明は絶縁材に撥水剤
を練り込んだ構成とすることで、耐湿安定性を高めるこ
とが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における感温素子の一例を示す構成図
【符号の説明】
1 ポリエステル芯線 2、4 電極線 3 高分子感温体 5 遮湿性絶縁外被層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 61/06 C08L 61/06 77/12 77/12 C09K 3/00 C09K 3/00 E // H05B 3/56 H05B 3/56 B Fターム(参考) 3K092 QA01 QA03 QA04 RB11 RB21 RB30 RD12 RE02 TT37 TT39 VV19 VV40 4J002 CC04Y CC07Y CH05X CL01W CL01X CL02W CL02X CL09X CQ01Z DD086 DE106 EJ017 EJ037 EN067 EW068 FD06Z FD067 FD068 FD11Y FD116 GQ00 GQ02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミドとポリアミドおよびポリエーテ
    ルの共重合体および導電性付与材を配合したポリアミド
    組成物を有する高分子感温体。
  2. 【請求項2】ポリアミドはナイロン12、ナイロン1
    1、ナイロン12−ナイロン40共重合体、N−アルキ
    ル置換アミドのすくなくとも1種以上とする請求項1記
    載の高分子感温体。
  3. 【請求項3】ポリアミドおよびポリエーテル共重合体は
    ポリアミド12もしくはポリアミド11からなるポリア
    ミドと、ポリエチレングルコールもしくはポリテトラメ
    チレングルコールからなるポリエーテルの共重合体とす
    る請求項1ないし2記載の高分子感温体。
  4. 【請求項4】導電性付与材はアルキルフェノール−ホル
    ムアルデヒド重縮合体もしくはオキシ安息香酸エステル
    −ホルムアルデヒド重縮合体とする請求項1から3のい
    ずれか1項記載の高分子感温体。
  5. 【請求項5】導電性付与材はよう化亜鉛および酸化亜鉛
    とする請求項1から3のいずれか1項記載の高分子感温
    体。
  6. 【請求項6】ポリアミドに導電性付与材を配合した後に
    ポリアミドおよびポリエーテル共重合体を混合すること
    を特徴とした請求項1から5のいずれか1項記載の高分
    子感温体。
  7. 【請求項7】ポリアミド組成物はナフチルアミンもしく
    はヒンダードフェノールを含有する請求項1から6のい
    ずれか1項記載の高分子感温体。
  8. 【請求項8】ポリアミド組成物が亜リン酸エステル系化
    合物を含有する請求項1から7のいずれか1項記載の高
    分子感温体。
  9. 【請求項9】同芯状に設けた一対の電極と、前記電極間
    に設けた請求項1から8のいずれか1項記載の高分子感
    温体と、前記電極の外側に設けた遮湿性絶縁外被層から
    なる感温素子。
  10. 【請求項10】遮湿性絶縁外被層は少なくともポリ塩化
    ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレ
    ート、共重合フッ素樹脂、ふっ化ビニル、ふっ化ビニリ
    デンなどの遮湿性の高い絶縁材料からなる請求項9記載
    の感温素子。
  11. 【請求項11】遮湿性絶縁外被層は絶縁材の表面に撥水
    剤を被覆した構成とした請求項9記載の感温素子。
  12. 【請求項12】遮湿性絶縁外被層は絶縁材に撥水剤を練
    り込んだ請求項9記載の感温素子。
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