JP2001247665A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents

ポリエステルの製造方法

Info

Publication number
JP2001247665A
JP2001247665A JP2000058734A JP2000058734A JP2001247665A JP 2001247665 A JP2001247665 A JP 2001247665A JP 2000058734 A JP2000058734 A JP 2000058734A JP 2000058734 A JP2000058734 A JP 2000058734A JP 2001247665 A JP2001247665 A JP 2001247665A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
water
treatment tank
treatment
ppm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000058734A
Other languages
English (en)
Inventor
Atsushi Hara
厚 原
Yoshinao Matsui
義直 松井
Kimihiro Mizushima
公博 水島
Yoshitaka Eto
嘉孝 衛藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2000058734A priority Critical patent/JP2001247665A/ja
Publication of JP2001247665A publication Critical patent/JP2001247665A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 経済的な水処理方法により効率よくポリエス
テルチップを水処理することができ、処理時のエネルギ
ーコストを下げ、かつポリエステルチップから成形体を
製造する際に耐金型汚れ性の優れたポリエステルを製造
する方法を提供すること。 【解決手段】 ポリエステルチップを処理槽中で水処理
するポリエステルの製造方法において、平均重量が1〜
10mg/個のポリエステルチップを処理槽に供給して
水処理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空成形体をはじ
めとして、フィルム、シート成形用などに用いられるポ
リエステルの製造方法に関し、さらに詳しくは、成形時
に金型汚れが発生しにくく、かつ成形体に残留異味、異
臭が発生しにくく、成形体の結晶化コントロール性に優
れたポリエステルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、調味料、油、飲料、化粧品、洗剤
などの容器の素材として、充填内容物の種類及びその使
用目的に応じて種々の樹脂が採用されている。これらの
樹脂のうちでポリエステルは機械的強度、耐熱性、透明
性及びガスバリヤー性に優れているので、特にジュー
ス、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充填用容器の素材と
して最適である。このようなポリエステルは、射出成形
機などの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを
成形し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延
伸ブロー成形した後ボトルの胴部を熱処理(ヒートセッ
ト)して中空成形体に成形し、さらには必要に応じてボ
トルの口栓部を熱処理(口栓部結晶化)するのが一般的
である。
【0003】この場合、従来のポリエステルには、環状
三量体などのオリゴマー類が含まれており、このオリゴ
マー類が成形時に金型内面や金型のガスの排気口、排気
管に付着することによる金型汚れが発生しやすかった。
このような金型汚れは、得られる中空成形体の表面肌荒
れや白化の原因となる。もし中空成形体が白化してしま
うと、その中空成形体は廃棄しなければならない。この
ため金型汚れを頻繁に除去しなければならず、ボトルの
生産性が低下してしまうという問題点があった。また、
ポリエステルは、副生物であるアセトアルデヒドを含有
する。ポリエステル中のアセトアルデヒド含有量が多い
場合には、これから成形された容器やその他包装材料中
のアセトアルデヒド含有量も多くなり、容器などに充填
された飲料などの風味や臭いに影響を及ぼす。したがっ
て、従来よりポリエステル中のアセトアルデヒド含有量
を低減させるために種々の方策が採られてきた。
【0004】さらに、近年、ポリエチレンテレフタレー
トを中心とするポリエステル製中空成形体は、ミネラル
ウォーターやウーロン茶などの低フレーバー飲料用の容
器として使用されるようになってきた。このような飲料
の場合は、一般にこれらの飲料を熱充填したり又は充填
後加熱して殺菌されるが、飲料容器のアセトアルデヒド
含有量の低減だけではこれらの内容物の風味や臭いが改
善されないことがわかってきた。また、飲料用金属缶に
ついては、工程簡略化、衛生性、公害防止などの目的か
ら、その内面にポリエチレンテレフタレートを中心とす
るポリエステルフィルムを被覆した金属板を利用して製
缶する方法が採られるようになってきた。この場合に
も、内容物を充填後高温で加熱殺菌されるが、この際ア
セトアルデヒド含有量の低いフィルムを使用しても内容
物の風味や臭いが必ずしも改善されるものではないこと
がわかってきた。
【0005】このような問題点を解決する方法として、
特開平3−47830号にはポリエチレンテレフタレー
トを水処理する方法が提案されているが、上記従来のポ
リエステルの製造方法において、水処理効果を十分に発
揮させるためには長時間の水処理を行うことが必要であ
り、この場合、大型の処理槽が必要となるため設備費が
高額となり、また、水処理時のエネルギー消費量も多く
なるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
ポリエステルの製造方法の有する問題点を解決し、経済
的な水処理方法により効率よくポリエステルチップを水
処理することができ、処理時のエネルギーコストを下
げ、かつポリエステルチップから成形体を製造する際に
耐金型汚れ性の優れたポリエステルを製造する方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のポリエステルの製造方法は、ポリエステル
チップを処理槽中で水処理するポリエステルの製造方法
において、該チップの平均重量が1〜10mg/個であ
ることを特徴とする。
【0008】ここで、ポリエステルチップの平均重量と
は、JIS−Z−8801による呼び寸法850μmの
篩上に残った残渣についてチップ100個の重量を測定
し、1個当たりの平均重量を求めた値である。
【0009】上記の構成からなる本発明のポリエステル
の製造方法によれば、ポリエステルチップを効率よく水
処理できるため水処理時間が短縮でき、得られたポリエ
ステルを成形体、シート状物又は延伸フィルムとしたと
きにそれらに異味、異臭が残留しにくいポリエステルを
有利に製造することができる。
【0010】この場合において、水の中に存在する粒径
1〜25μmの粒子の個数(X)、該水のナトリウムの
含有量(N)、マグネシウムの含有量(M)、珪素の含
有量(S)及びカルシウムの含有量(C)が下記式
(1)〜式(5)の少なくとも1つを満足する水を系外
から処理槽に導入して水処理することを特徴とする。 1 ≦X≦50000(個/10mL) (1) 0.001≦N≦ 10.0(ppm) (2) 0.001≦M≦ 2.0(ppm) (3) 0.01 ≦S≦ 10.0(ppm) (4) 0.001≦C≦ 5.0(ppm) (5)
【0011】また、この場合において、処理槽からポリ
エステルチップと共に排出する処理水中のファインを1
000ppm以下に維持して水処理することができる。
【0012】また、この場合において、ポリエステルチ
ップを、処理槽に継続的に供給することができる。
【0013】また、この場合において、ポリエステルチ
ップを、処理槽に間欠的に供給することができる。
【0014】また、この場合において、ポリエステルチ
ップの全量を処理槽に充填するとともに、水処理終了後
ポリエステルチップの全量を処理槽から排出することが
できる。
【0015】また、この場合において、処理槽から排出
された処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返
し使用することができる。
【0016】また、この場合において、処理槽からの処
理水の排出と、排出した処理水の処理槽への戻りが継続
的であることができる。
【0017】また、この場合において、処理槽からの処
理水の排出と、排出した処理水の処理槽への戻りが間欠
的であることができる。
【0018】また、この場合において、ポリエステル
が、極限粘度0.50〜1.30dL/gの、主たる繰
り返し単位がエチレンテレフタレートから構成されてな
ることができる。
【0019】さらにまた、この場合において、ポリエス
テルが、極限粘度0.40〜1.00dL/gの主たる
繰り返し単位がエチレンナフタレートから構成されてな
ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリエステルの製
造方法の実施の形態を説明する。
【0021】本発明に用いられるポリエステルは、好ま
しくは、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコール
成分とからなる繰り返し単位を有する芳香族系結晶性ポ
リエステルであり、さらに好ましくは、芳香族ジカルボ
ン酸単位が酸成分の85モル%以上であるポリエステル
であり、特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸
成分の95モル%以上であるポリエステルである。
【0022】本発明に用いられるポリエステルを構成す
る芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、
2、6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニール−4,
4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸
などの芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが
挙げられる。
【0023】また、本発明に用いられるポリエステルを
構成するグリコール成分としては、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコー
ルなどが挙げられる。
【0024】前記ポリエステル中に共重合して使用され
る酸成分としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニール−4,4'
−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸など
の芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、オキシカ
プロン酸などのオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピ
ン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマー酸
などの脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキ
サヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シ
クロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸及
びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0025】前記ポリエステル中に共重合して使用され
るグリコール成分としては、エチレングリコール、トリ
メチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエ
チレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪
族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAの
アルキレンオキサイド付加物などの芳香族グリコール、
シクロヘキサンジメタノールなどの脂環族グリコール、
ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコールなど
のポリアルキレングリコールなどが挙げられる。
【0026】さらにポリエステルが実質的に線状である
範囲内で多官能化合物、例えばトリメリット酸、トリメ
シン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンな
どを共重合してもよく、また、単官能化合物、例えば安
息香酸、ナフトエ酸などを共重合させてもよい。
【0027】本発明に用いられるポリエステルの好まし
い一例は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレー
トから構成されるポリエステルであり、さらに好ましく
はエチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線
状ポリエステルであり、特に好ましいのはエチレンテレ
フタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエステ
ル、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(以下、P
ETと略称する)である。
【0028】また、本発明に用いられるポリエステルの
好ましい他の一例は、主たる繰り返し単位がエチレン−
2,6−ナフタレートから構成されるポリエステルであ
り、さらに好ましくはエチレン−2,6−ナフタレート
単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、特
に好ましいのは、エチレン−2,6−ナフタレート単位
を95モル%以上含む線状ポリエステル、すなわち、ポ
リエチレンナフタレートである。
【0029】上記のポリエステルは、従来公知の製造方
法によって製造することができる。すなわち、PETの
場合には、テレフタール酸とエチレングリコール及び必
要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去しエ
ステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化
法又はテレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び
必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコー
ルを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行
うエステル交換法により製造される。さらに極限粘度を
増大させ、アセトアルデヒド含量などを低下させるため
に固相重合を行ってもよい。
【0030】前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で
行ってもよいし、また、連続式反応装置で行ってもよ
い。これらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は
1段階で行ってもよいし、また、多段階に分けて行って
もよい。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分
式装置や連続式装置で行うことができる。溶融重縮合と
固相重合は連続で行ってもよいし、分割して行ってもよ
い。
【0031】直接エステル化法による場合は、重縮合触
媒としてGe、Ti、Sbの化合物が用いられるが、特
にGe化合物又はこれとTi化合物の混合使用が好都合
である。
【0032】Ge化合物としては、無定形二酸化ゲルマ
ニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末又はエチレング
リコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水に
加熱溶解した溶液又はこれにエチレングリコールを添加
加熱処理した溶液などが使用されるが、特に本発明で用
いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水に
加熱溶解した溶液又はこれにエチレングリコールを添加
加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの重縮合
触媒はエステル化工程中に添加することができる。Ge
化合物を使用する場合、その使用量はポリエステル樹脂
中のGe残存量として好ましくは10〜150ppm、
より好ましくは13〜100ppm、さらに好ましくは
15〜70ppmである。
【0033】Ti化合物としては、テトラエチルチタネ
ート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プ
ロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートなど
のテトラアルキルチタネート及びそれらの部分加水分解
物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チ
タニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニ
ルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウムなどの蓚酸
チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、
塩化チタンなどが挙げられる。Ti化合物は、生成ポリ
マー中のTi残存量として好ましくは0.1〜10pp
mの範囲になるように添加する。
【0034】Sb化合物としては、三酸化アンチモン、
酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモン
カリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレー
ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモンなどが
挙げられる。Sb化合物は、生成ポリマー中のSb残存
量として50〜250ppmの範囲になるように添加す
る。また、安定剤として、燐酸、ポリ燐酸やトリメチル
フォスフェートなどの燐酸エステル類などを使用するの
が好ましい。これらの安定剤はテレフタル酸とエチレン
グリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工程中
に添加することができる。P化合物は、生成ポリマー中
のP残存量として好ましくは5〜100ppmの範囲に
なるように添加する。
【0035】また、ポリエステル中に共重合したジエチ
レングリコール(以下、DEGと略称する)含量を制御
するためにエステル化工程に塩基性化合物、例えば、ト
リエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどの第3級
アミン、水酸化テトラエチルアンモニウムなどの第4級
アンモニウム塩などを加えることができる。
【0036】本発明に用いられるポリエステル、特に、
主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成
されるポリエステルの極限粘度は好ましくは0.50〜
1.30dL/g、より好ましくは0.55〜1.20
dL/g、さらに好ましくは0.60〜0.90dL/
gの範囲である。極限粘度が0.50dL/g未満で
は、得られた成形体などの機械的特性が悪い。また、
1.30dL/gを越える場合は、成型機などによる溶
融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香
性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、
成形体が黄色に着色するなどの問題が起こる。
【0037】また、本発明に用いられるポリエステル、
特に、主たる繰り返し単位がエチレン−2,6−ナフタ
レートから構成されるポリエステルの極限粘度は好まし
くは0.40〜1.00dL/g、より好ましくは0.
42〜0.95dL/g、さらに好ましくは0.45〜
0.90dL/gの範囲である。極限粘度が0.40d
L/g未満では、得られた成形体などの機械的特性が悪
い。また、1.00dL/gを越える場合は、成形機な
どによる溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しく
なり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増
加したり、成形体が黄色に着色するなどの問題が起こ
る。
【0038】また、本発明に用いられるポリエステルの
アセトアルデヒド含量は好ましくは10ppm以下、よ
り好ましくは8ppm以下、さらに好ましくは5ppm
以下、ホルムアルデヒド含量は好ましくは7ppm以
下、より好ましくは6ppm以下、さらに好ましくは4
ppm以下である。本発明で用いられるポリエステルの
アセトアルデヒド含有量を10ppm以下、また、ホル
ムアルデヒド含有量を7ppm以下にする方法は特に限
定されるものではないが、例えば低分子量のポリエステ
ルを減圧下又は不活性ガス雰囲気下において170〜2
30℃の温度で固相重合する方法を挙げることができ
る。
【0039】また、本発明に用いられるポリエステル中
に共重合されたジエチレングリコール量は該ポリエステ
ルを構成するグリコール成分の好ましくは1.0〜5.
0モル%、より好ましくは1.3〜4.5モル%、さら
に好ましくは1.5〜4.0モル%である。ジエチレン
グリコール量が5.0モル%を越える場合は、熱安定性
が悪くなり、成型時に分子量低下が大きくなったり、ま
た、アセトアルデヒド含量やホルムアルデヒド含量の増
加量が大となり好ましくない。また、ジエチレングリコ
ール含量が1.0モル%未満の場合は、得られた成形体
の透明性が悪くなる。
【0040】また、本発明に用いられるポリエステルの
環状三量体の含有量は好ましくは0.50重量%以下、
より好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは
0.40重量%以下である。本発明のポリエステルから
耐熱性の中空成形体などを成形する場合は加熱金型内で
熱処理を行うが、環状三量体の含有量が0.50重量%
以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマー付
着が急激に増加し、得られた中空成形体などの透明性が
非常に悪化する。
【0041】ポリエステルは、環状三量体などのオリゴ
マー類が成形時に金型内面や金型のガスの排気口、排気
管などに付着することによる金型汚れや成形体の残留異
味、異臭の発生などを防止するために、前記の溶融重縮
合後又は固相重合の後に水との接触処理を行う。水との
接触処理の方法としては、処理槽中で水中にポリエステ
ルチップを浸ける方法が挙げられる。水処理効果を十分
に発揮させるためには長時間の水処理を行うことが必要
である。この場合、大型の処理槽が必要となるため設備
費が高くなり、また、水処理時のエネルギー消費量多く
なり問題である。
【0042】水との接触処理を行う時間としては好まし
くは5分〜10時間、より好ましくは10分〜7時間、
さらに好ましくは30分〜5時間であり、水の温度とし
ては好ましくは20〜180℃、より好ましくは50〜
150℃、さらに好ましくは70〜120℃である。
【0043】本発明は、平均重量が1〜10mg/個の
ポリエステルチップを処理槽に供給して水処理すること
により上記の問題点を解決するものである。ここで、ポ
リエステルチップの平均重量とは、JIS−Z−880
1による呼び寸法850μmの篩上に残った残渣につい
てチップ100個の重量を測定し、1個当たりの平均重
量を求めた値である。平均重量は、好ましくは2〜9m
g/個、さらに好ましくは3〜8mg/個である。ま
た、チップの形状は、シリンダー型、角型又は扁平な板
状などのいずれでもよい。平均重量が1mg/個未満の
場合には、処理槽へのチップ輸送時や水処理時などにお
いて、配管や機壁などとの衝突によりファインの発生が
非常に増加し、処理槽から排出される処理水を濾過する
フィルターの寿命が非常に短くなり、また、製品として
の収率が低くなる。また、平均重量が10mg/個を越
える場合は、水処理効果を十分に発揮できず、70℃以
上の処理温度においても10時間以上の処理が必要とな
り、固定費及び変動費ともに高くなり経済性が犠牲とな
り問題である。
【0044】なお、本発明においては水処理の効果は次
のようにして確認する。すなわち、水処理後のポリエス
テルチップを乾燥し、290℃で1時間加熱溶融後の環
状三量体の増加量を測定し、その値が0.20重量%以
下、好ましくは0.10重量%以下か否かを確認する。
その増加量が0.20重量%以下であれば、成形時の金
型汚れが解消されると同時に、成形体の異味、異臭の改
善も顕著となる。
【0045】ポリエステルチップを工業的に水処理する
場合、処理に用いる水が大量であることから天然水(工
業用水)や排水を再利用して使用することが多い。通常
この天然水は、河川水、地下水などから採取したもの
で、水(液体)の形状を変えないまま、殺菌、異物除去
などの処理をしたものを言う。また、一般に工業的に用
いられる天然水には、自然界由来の、ケイ酸塩、アルミ
ノケイ酸塩などの粘土鉱物を代表とする無機粒子や細
菌、バクテリアなどや、腐敗した植物、動物に起源を有
する有機粒子を多く含有している。これらの天然水を用
いて水処理を行うと、ポリエステルチップに前記の粒子
や金属含有物質が付着、浸透して結晶核となり、このよ
うなポリエステルチップを用いた中空成形体の透明性が
非常に悪くなる。
【0046】したがって、本発明は、処理槽中に系外か
ら導入する水の中に存在する、粒径が1〜25μmの粒
子の個数をX個/10mL、該水中のナトリウムの含有
量、マグネシウムの含有量、珪素の含有量及びカルシウ
ムの含有量をそれぞれN、M、S、Cppmとしたとき
に、下記(1)〜(5)式の範囲の少なくとも1つを満
足する水を用いて水処理することにより上記問題を解決
することができるのである。 1 ≦X≦50000(個/10mL) (1) 0.001≦N≦ 10.0(ppm) (2) 0.001≦M≦ 2.0(ppm) (3) 0.01 ≦S≦ 10.0(ppm) (4) 0.001≦C≦ 5.0(ppm) (5)
【0047】処理槽に導入する水中の粒子個数、ナトリ
ウム、マグネシウム、カルシウム、珪素の含有量の少な
くとも1つを上記範囲に設定することにより、スケール
と呼ばれる酸化物や水酸化物などの金属含有物質が処理
水中に浮遊、沈殿、さらには処理槽壁や配管壁に付着し
たりし、これがポリエステルチップに付着、浸透して、
成形時での結晶化が促進され、透明性の悪い中空成形体
となることを防ぐことができる。
【0048】導入水中の粒子の個数Xは、好ましくは3
≦X≦2000(個/10mL)であり、より好ましく
は5≦X≦500(個/10mL)、さらに好ましくは
10≦X≦100(個/10mL)である。
【0049】導入水中のナトリウム含有量Nは、好まし
くは0.003≦N≦5.0(ppm)であり、より好
ましくは0.005≦N≦1.0(ppm)、さらに好
ましくは0.005≦N≦0.5(ppm)、最も好ま
しくは0.01≦N≦0.1(ppm)である。
【0050】導入水中のマグネシウム含有量Mは、好ま
しくは0.001≦M≦1.0(ppm)であり、より
好ましくは0.003≦M≦0.5(ppm)、さらに
好ましくは0.005≦M≦0.3(ppm)、最も好
ましくは0.01≦M≦0.1(ppm)である。
【0051】また、導入水中の珪素の含有量Sは、好ま
しくは0.01≦S≦2.0(ppm)であり、より好
ましくは0.03≦S≦1.0(ppm)、さらに好ま
しくは0.05≦S≦0.5(ppm)、最も好ましく
は0.01≦S≦0.3(ppm)である。
【0052】さらに、導入水中のカルシウム含有量C
は、好ましくは0.001≦C≦1.0(ppm)であ
り、より好ましくは0.003≦C≦0.5(pp
m)、さらに好ましくは0.005≦C≦0.3(pp
m)最も好ましくは0.001≦C≦0.1(ppm)
である。
【0053】なお、処理水中の粒径1μm未満の粒子に
関しては、本発明で特に規定するものではないが、透明
な樹脂や適正な結晶化速度の樹脂を得るためには、少な
い方が好ましい。粒径1μm未満の粒子数としては好ま
しくは100000個/10mL以下、より好ましくは
50000個/10mL以下、さらに好ましくは200
00個/10mL以下、特に好ましくは10000個/
10mL以下である。1μm未満の粒子を水中から除
去、コントロールする方法としてはセラミック膜、有機
膜などの膜を用いた精密濾過法や限外濾過法、などを用
いることができる。
【0054】以下に処理槽に導入する処理水の粒子数、
ナトリウム含量、マグネシウム含量、珪素含量及びカル
シウム含量を前記の範囲に抑える方法を例示するが、本
発明はこれに限定するものではない。
【0055】すなわち、処理槽に導入するまでの工程の
少なくとも1ケ所以上に、前記の粒子や金属化合物を低
減させるための適切な装置を設置する。好ましくは、自
然界の水の採取口から、前記した処理槽、処理槽から排
水した水を再度処理槽に戻す配管、ファイン除去装置な
どの水処理に必要な付帯設備を含めた処理装置に至るま
での間にこれらの物質を除去する装置を設置することが
好ましい。このような装置としては、フィルター濾過装
置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫同伴処理機
などの粒子除去装置、イオン交換装置などが挙げられ
る。
【0056】例えばフィルター濾過装置であれば、方式
としてベルトフィルター方式、バグフィルター方式、カ
ートリッジフィルター方式、遠心濾過方式などの濾過装
置が挙げられる。なかでも、連続的に行うにはベルトフ
ィルター方式の濾過装置が適している。また、ベルトフ
ィルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金
属、布などが挙げられる。また、ファインの除去と処理
水の流れを効率よく行うため、フィルターの目のサイズ
は1〜25μm、好ましくは1〜20μm、さらに好ま
しくは1〜10μmがよい。
【0057】以下に水処理を工業的に行う方法を例示す
るが、これに限定するものではない。また、処理方法は
連続方式、バッチ方式のいずれであっても差し支えない
が、工業的に行うためには連続方式の方が好ましい。
【0058】ポリエステルのチップを連続方式で水処理
する場合は、塔型の処理槽に継続的、あるいは間欠的に
ポリエステルのチップを上部より受け入れ、並流又は向
流で前記の特性を持つ処理水を連続供給して水処理させ
ることができる。処理されたポリエステルチップは処理
槽の下部から継続的又は間欠的(総称して連続的という
ことがある)に抜き出す。
【0059】ポリエステルチップをバッチ方式で水処理
をする場合は、サイロタイプの処理槽が挙げられる。す
なわち、バッチ方式でポリエステルのチップをサイロへ
受け入れ水処理を行う。あるいは回転筒型の処理槽にポ
リエステルのチップを受け入れ、回転させながら水処理
を行い水との接触をさらに効率的にすることもできる。
【0060】この場合、ポリエステルチップは全量を処
理槽内に投入、充填すると共に前記の特性を持つ処理水
を満たし、処理水は必要により継続的又は間欠的に循環
し、また、継続的又は間欠的に一部の処理水を排出して
新しい前記の特性を持つ処理水を追加供給する。水処理
後はポリエステルチップの全量を処理槽から抜き出す。
【0061】水処理の方法が連続的処理又はバッチ的処
理のいずれの場合であっても、処理槽から排出した処理
水のすべて、あるいは殆どを工業排水として排出してし
まうと、新しい水が多量に入用であるばかりでなく、排
水量増大による環境への影響が懸念される。このため、
処理槽から排出した少なくとも一部の処理水を、処理槽
へ戻して再利用することにより、新たに必要な水の量を
低減し、また、排水量増大による環境への影響を低減す
ることができ、さらには、処理槽へ返される排水がある
程度温度を保持していれば、処理水を加熱する量も小さ
くできるため、処理槽から排出された処理水は処理槽へ
戻して再利用されることが好ましい。また、水を再利用
させることで処理槽中の処理水の流量を上げることがで
き、結果としてポリエステルチップに付着したファイン
を洗い流すことができるため、ファイン除去効果も生ま
れる。
【0062】しかし、処理槽から排出される処理水に
は、処理槽にポリエステルのチップを受け入れる段階で
既にポリエステルのチップに付着しているファインや、
水処理時にポリエステルのチップ同士あるいは処理槽壁
との摩擦で発生するポリエステルのファインが含まれて
いる。したがって、処理槽から排出した処理水を再度処
理槽へ戻して再利用すると、処理槽内の処理水に含まれ
るファイン量は次第に増えていく。そのため、処理水中
に含まれているファインが処理槽壁や配管壁に付着し
て、配管を詰まらせることがある。また、処理水中に含
まれているファインが再びポリエステルのチップに付着
し、この後、水分を乾燥除去する段階でポリエステルの
チップにファインが静電効果により付着するため、乾燥
後にファイン除去を行っても除去が困難となる。そのた
め、ポリエステルの結晶性が促進されて、透明性の悪い
中空成形体となったり、また、口栓部結晶化時の結晶化
度が過大となり、口栓部の寸法が規格に入らなくなり、
口栓部のキャッピング不良となることがある。
【0063】したがって、ポリエステルチップを連続的
に水処理する方法による場合は処理槽からポリエステル
チップと共に排水する処理水中のファイン量を1000
ppm以下、好ましくは500ppm以下、さらに好ま
しくは300ppm以下に維持しながら処理槽から排出
される処理水の一部を処理槽に戻して繰り返し使用する
ことが望ましい。
【0064】また、バッチ式で水処理する方法による場
合は、水処理の終了時点でポリエステルチップとともに
排出する処理水のファイン量を1000ppm以下、好
ましくは500ppm以下、さらに好ましくは300p
pm以下にする。そして、処理槽から排出される処理水
の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用する。
処理槽内の処理水のファイン量を低減する方法としては
前記の水中の粒子除去方法を適用することができる。
【0065】ここで、ファイン量は、処理槽の処理水中
の排出口からJIS−Z−8801による呼び寸法85
0μm篩を通過した処理水を1000mL採取し、この
処理水を岩城硝子社製1G1ガラスフィルターで濾過し
て得た残渣を100℃で2時間乾燥し室温下で冷却後、
重量を測定して算出することによって求めたものであ
る。
【0066】また、ポリエステルチップは、ポリエステ
ル製造中に生成したアセトアルデヒドやホルムアルデヒ
ドなどのアルデヒド化合物、原料であるグリコール、反
応生成物である芳香族ジカルボン酸とグリコールとから
なるモノマーや芳香族ジカルボン酸とグリコールとから
なるダイマーなどの低分子化合物を含んでおり、水処理
時にこれらのアルデヒド化合物、グリコール、芳香族ジ
カルボン酸とグリコールとからなるモノマーやダイマー
などの低分子化合物が処理水中に溶出する。
【0067】ポリエステルチップ中にこれらの低分子化
合物が多くなると、水処理乾燥後のチップ中への低分子
化合物の含有量も多くなり、このようなポリエステルチ
ップを用いて成形した中空成形体を容器として食品を充
填した場合、内容物の風味や香りが非常に悪くなる。ま
た、水処理装置の処理槽や配管の汚れも激しくなる。水
処理を連続方式で行う場合は処理槽からポリエステルチ
ップと共に排出する処理水中の該ポリエステルに由来す
るグリコールの含有量及び芳香族ジカルボン酸とグリコ
ールとからなるモノマーの含有量をそれぞれ好ましくは
100ppm以下に維持し、また、水処理をバッチ方式
で行う場合は水処理終了時の処理槽中の処理水の該ポリ
エステルに由来するグリコールの含有量及び芳香族ジカ
ルボン酸とグリコールとからなるモノマーの含有量をそ
れぞれ好ましくは100ppm以下に維持することによ
って上記の問題点を解決することができる。
【0068】ポリエステルに由来するグリコール及び芳
香族ジカルボン酸とグリコールとからなるモノマーを除
去する方法としては、蒸留装置による蒸留処理、活性炭
吸着処理、水中への不活性気体のバブリング処理、加熱
脱気処理など、公知の方法が挙げられる。また、循環水
に新しいイオン交換水などを追加する方法も挙げられ
る。
【0069】水処理したポリエステルチップは振動篩
機、シモンカーターなどの水切り装置で水切りし、乾燥
工程へ移送する。当然のことながら水切り装置でポリエ
ステルチップと分離された水はフィルター式濾過装置、
遠心分離器などのファイン除去の装置へ送られ、再度水
処理に用いることができる。
【0070】また、容器や包装体の内容物が、風味や臭
いが非常に厳しく管理されるミネラルウォーターなどの
場合は、水処理したポリエステルチップを加熱した新し
いイオン交換水で洗浄してチップ表面に付着している芳
香族ジカルボン酸とグリコールとからなるモノマーなど
を落とし、乾燥工程へ移送することもできる。洗浄後の
イオン交換水は前記の処理槽に戻して再度使用される。
【0071】ポリエステルチップの乾燥は通常用いられ
るポリエステルチップの乾燥処理を用いることができ
る。連続方式で乾燥する方法としては上部からポリエス
テルチップを供給し、下部から乾燥ガスを通気するとと
もにポリエステルチップを排出するホッパー型の通気乾
燥機が通常使用される。乾燥ガス量を減らし、効率的に
乾燥する方法としては回転ディスク型加熱方式の連続乾
燥機が選ばれ、少量の乾燥ガスを通気しながら、回転デ
ィスクや外部ジャケットに加熱蒸気、加熱媒体などを供
給した粒状ポリエステルチップを間接的に乾燥すること
ができる。
【0072】ポリエステルチップをバッチ方式で乾燥す
る乾燥機としてはダブルコーン型回転乾燥機が用いら
れ、真空下であるいは真空下少量の乾燥ガスを通気しな
がら乾燥することができる。あるいは大気圧下で乾燥ガ
スを通気しながら乾燥してもよい。乾燥ガスとしては大
気空気でも差し支えないが、ポリエステルの加水分解や
熱酸化分解による分子量低下を防止する点からは乾燥窒
素、除湿空気が好ましい。
【0073】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以
下に説明する。
【0074】(1)ポリエステルの極限粘度(IV) 1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール
(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求
めた。
【0075】(2)密度 硝酸カルシウム/水混合溶液の密度勾配管を用い30℃
で測定した。
【0076】(3)ポリエステルの環状三量体の含有量 試料をヘキサフルオロイソプロパノール/クロロフォル
ム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈
する。これにメタノールを加えてポリマーを沈殿させた
後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムア
ミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテ
レフタレート単位から構成される環状三量体を定量し
た。
【0077】(4)ヘイズ(霞度%) 中空成形体の胴部(肉厚約0.40mm)より試料を切
り取り、東洋製作所社製ヘイズメーターで測定
【0078】(5)ポリエステルの溶融時の環状三量体
増加量(△CT量) 乾燥したポリエステルチップ3gをガラス製試験管に入
れ、窒素雰囲気下で290℃のオイルバスに60分浸漬
させ溶融させる。溶融時の環状三量体増加量は、次式に
より求める。 溶融時の環状三量体増加量(重量%)=溶融後の環状三量
体含有量(重量%)−溶融前の環状三量体含有量(重量%)
【0079】(6)ポリエステルチップの平均重量 JIS−Z−8801による呼び寸法850μmの篩上
に残った残渣についてチップ100個の重量を測定し、
1個当たりの平均重量を求める。
【0080】(7)金型汚れの評価 ポリエステルを脱湿空気を用いた乾燥機で乾燥し、名機
製作所社製M−150C(DM)射出成型機により樹脂
温度295℃でプリフォームを成形した。このプリフォ
ームの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化
させた後、コーポプラスト社製LB−01延伸ブロー成
形機を用いて二軸延伸ブロー成形し、引き続き約155
℃に設定した金型内で10秒間熱固定し、500mLの
中空成形体(胴部は円形)を得た。同様の条件で連続的に
延伸ブロー成形し、目視で判断して成形体の透明性が損
なわれるまでの成形回数で金型汚れを評価した。また、
ヘイズ測定用試料としては、5000回連続成形後の中
空成形体の胴部を供した。
【0081】(8)水中の金属含有量(ppm) 処理槽への導入水を採取し、島津製作所社製誘導結合プ
ラズマ発光分析装置で測定した。
【0082】(9)水中の粒子の粒子径及び粒子数測定 光遮光式の粒子測定器パシフィックサイエンティフィッ
クカンパニー社製HIAC/ROYCO.カウンター4
100型、サンプラー3000型を用いて測定した。
【0083】(10)処理水中のファイン量(ppm) 処理槽の処理水中の排出口からJIS−Z−8801に
よる呼び寸法850μmの篩を通過した処理水を100
0mL採取し、さらに岩城硝子社製1G1ガラスフィル
ターで濾過し、得られた残渣を100℃で2時間乾燥し
室温下で冷却後、重量を測定して算出した。
【0084】(実施例1)ISP社製のGAFフィルタ
ーバッグPE−1P2S(ポリエステルフェルト、濾過
精度1μm)を用いた水中の粒子除去装置(9)を設置
し、この装置(9)を経由したイオン交換水の導入口
(8)、処理槽上部の原料チップ供給口(1)、処理槽
の処理水上限レベルに位置するオーバーフロー排出口
(2)、処理槽下部のポリエステルチップと処理水の混
合物の排出口(3)、オーバーフロー排出口(2)から
排出された処理水と、処理槽下部の排出口から排出され
たポリエステルチップの水切り装置(4)を経由した処
理水が、濾材が紙の30μmの連続式フィルターである
ファイン除去装置(5)を経由して再び処理槽へ送られ
る配管(6)、これらのファイン除去済み処理水の導入
口(7)及びファイン除去済み処理水中のアセトアルデ
ヒドやグリコールなどを吸着処理させる吸着塔(10)
を備えた内容量500リットルの塔型の、図1に示す処
理槽を使用してポリエチレンテレフタレート(以下、P
ETと略称)チップを水処理した。極限粘度が0.74
dL/gであり、密度が1.431g/cm3、DEG
含有量が2.5モル%、環状三量体含量が0.29重量
%であり、平均重量が8.1mg/個のPETチップ
(Ge残存量は50ppm、P残存量は31ppm)を
処理水温度80℃にコントロールされた処理槽へ50k
g/時間の速度で処理槽上部の供給口(1)から連続投
入し、水処理時間3時間で処理槽下部の排出口(3)か
らPETチップを50kg/時間の速度で処理水と共に
連続的に抜き出しながら水処理を行った。導入口(8)
より導入するイオン交換水の粒子数は約2500個/1
0mLであった。水処理されたPETチップの溶融時の
環状三量体増加量(△CT)は0.05%と問題なかっ
た。前記(7)の方法で得られた中空成形体のヘイズは
0.6%と透明性に優れ、また、金型汚れまでの成形回
数は12000回と問題なかった。その他の特性値を表
1に示す。
【0085】(比較例1)平均重量が25.5mg/個
のPETチップ(極限粘度=0.74dL/g、密度=
1.429g/cm3、DEG含有量が2.4モル%、
環状三量体含量が0.31重量%、Ge残存量は58p
pm、P残存量は32ppm)を使用する以外は実施例
1と同様にして水処理を実施した。水処理されたPET
チップの溶融時の環状三量体増加量(△CT)は0.4
5%と高かった。また、前記(7)の方法で得られた中
空成形体のヘイズは10.5%と悪く、また、金型汚れ
までの成形回数は3500回と低かった。その他の特性
値を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】本発明のポリエステルの製造方法によれ
ば、経済的な水処理方法により効率よくポリエステルチ
ップを水処理でき、処理時のエネルギーコストを下げ、
かつポリエステルチップから成形体を製造する際に耐金
型汚れ性の優れたポリエステルを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステルの製造方法に用いる装置
の概略図である。
【符号の説明】 1 原料チップ供給口 2 オーバーフロー排出口 3 ポリエステルチップと処理水との排出口 4 水切り装置 5 ファイン除去装置 6 配管 7 処理水導入口 8 イオン交換水導入口 9 粒子除去装置 10 吸着塔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 衛藤 嘉孝 滋賀県滋賀郡志賀町高城248番の20 Fターム(参考) 4F201 AA24 AA26 AC01 AM30 AR12 AR13 AR17 BA02 BC01 BC07 BC09 BC12 BC15 BC19 BL50 BQ04 BQ05 BQ21 BQ53 BQ60 4J029 AA01 AA03 AB04 AB07 AD01 AE01 BA03 CB06A CC06A KH05 KH08 KJ08 LB05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルチップを処理槽中で水処理
    するポリエステルの製造方法において、平均重量が1〜
    10mg/個のポリエステルチップを処理槽に供給して
    水処理することを特徴とするポリエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 水の中に存在する粒径1〜25μmの粒
    子の個数(X)、該水のナトリウムの含有量(N)、マ
    グネシウムの含有量(M)、珪素の含有量(S)及びカ
    ルシウムの含有量(C)が下記式(1)〜式(5)の少
    なくとも1つを満足する水を系外から処理槽に導入して
    水処理することを特徴とする請求項1記載のポリエステ
    ルの製造方法。 1 ≦X≦50000(個/10mL) (1) 0.001≦N≦ 10.0(ppm) (2) 0.001≦M≦ 2.0(ppm) (3) 0.01 ≦S≦ 10.0(ppm) (4) 0.001≦C≦ 5.0(ppm) (5)
  3. 【請求項3】 処理槽からポリエステルチップと共に排
    出する処理水中のファインを1000ppm以下に維持
    して水処理することを特徴とする請求項1又は2記載の
    ポリエステルの製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリエステルチップを、処理槽に継続的
    に供給することを特徴とする請求項1、2又は3記載の
    ポリエステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 ポリエステルチップを、処理槽に間欠的
    に供給することを特徴とする請求項1、2又は3記載の
    ポリエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 ポリエステルチップの全量を処理槽に充
    填するとともに、水処理終了後ポリエステルチップの全
    量を処理槽から排出することを特徴とする請求項1又は
    2記載のポリエステルの製造方法。
  7. 【請求項7】 処理槽から排出された処理水の少なくと
    も一部を処理槽に戻して繰り返し使用することを特徴と
    する請求項1、2、3、4、5又は6記載のポリエステ
    ルの製造方法。
  8. 【請求項8】 処理槽からの処理水の排出と、排出した
    処理水の処理槽への戻りが継続的であることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のポリエス
    テルの製造方法。
  9. 【請求項9】 処理槽からの処理水の排出と、排出した
    処理水の処理槽への戻りが間欠的であることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のポリエス
    テルの製造方法。
  10. 【請求項10】 ポリエステルが、極限粘度0.50〜
    1.30dL/gの、主たる繰り返し単位がエチレンテ
    レフタレートから構成されてなることを特徴とする請求
    項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のポリエ
    ステルの製造方法。
  11. 【請求項11】 ポリエステルが、極限粘度0.40〜
    1.00dL/gの主たる繰り返し単位がエチレンナフ
    タレートから構成されてなることを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載のポリエス
    テルの製造方法。
JP2000058734A 2000-03-03 2000-03-03 ポリエステルの製造方法 Pending JP2001247665A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000058734A JP2001247665A (ja) 2000-03-03 2000-03-03 ポリエステルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000058734A JP2001247665A (ja) 2000-03-03 2000-03-03 ポリエステルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001247665A true JP2001247665A (ja) 2001-09-11

Family

ID=18579282

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000058734A Pending JP2001247665A (ja) 2000-03-03 2000-03-03 ポリエステルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001247665A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3489504B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3407701B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3521815B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3630223B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3444301B2 (ja) ポリエステルチップ
JP3095166B1 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3399885B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3075406B1 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3386432B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP2001081171A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2001247665A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2001106777A (ja) ポリエステルの製造方法
JP3654421B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3637955B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3052939B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP2001233953A (ja) ポリエステル樹脂の製造方法
JP3430458B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3666637B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3646862B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3695640B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3377089B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3063767B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP3377088B2 (ja) ポリエステルの製造方法
JP2001247667A (ja) ポリエステルの製造方法
JP2002105188A (ja) ポリエステルの製造方法