JP2001247664A - ポリエステルの製造方法 - Google Patents
ポリエステルの製造方法Info
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Abstract
管の汚れを少なくし、かつポリエステルチップから成形
品を製造した際にも残留異味、異臭が少なく、ボトルの
透明性や口栓部結晶化が良好で、成形時での金型汚れを
発生させにくいポリエステルを提供すること。 【解決手段】 ポリエステルチップ及び処理水を処理槽
に供給してポリエステルチップを水処理するポリエステ
ルの製造方法において、1時間当たりのポリエステルチ
ップの供給量(トン)に対する処理水の供給量(m3)
の比を1〜100(m3/時・トン)の範囲に維持しな
がら水処理することを特徴とする。
Description
して、フィルム、シート成形用などに用いられるポリエ
ステルの製造方法に関し、さらに詳しくは、成形時に金
型汚れが発生しにくく、成形体の透明性に優れ、かつ成
形体に異味、異臭が発生しにくいポリエステルの製造方
法に関する。
容器の素材としては、充填内容物の種類およびその使用
目的に応じて種々の樹脂が採用されている。
度、耐熱性、透明性およびガスバリヤー性に優れている
ので、特にジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの飲料充
填用容器の素材として最適である。
どの成形機に供給して中空成形体用プリフォームを成形
し、このプリフォームを所定形状の金型に挿入し延伸ブ
ロー成形した後ボトルの胴部を熱処理(ヒートセット)
して中空成形容器に成形され、さらには必要に応じてボ
トルの口栓部を熱処理(口栓部結晶化)させるのが一般
的である。
三量体などのオリゴマー類が含まれており、このオリゴ
マー類が金型内面や金型のガスの排気口、排気管に付着
することによる金型汚れが発生しやすかった。
表面肌荒れや白化の原因となる。もしボトルが白化して
しまうと、そのボトルは廃棄しなければならない。この
ため金型汚れを頻繁に除去しなければならず、ボトルの
生産性が低下してしまうという問題点があった。
4441号公報にはポリエステルを水処理する方法が開
示されている。
には、処理用の水として蒸留水を用いるとコストの面か
ら不利であるため、河川からの水や地下水、排水等を簡
易処理した工業用水を用いることが一般的である。しか
しながら、工業用水を用いて水処理をした場合、しばし
ば成型時での結晶化が早過ぎ、透明性の悪いボトルにな
ってしまうという問題があった。また口栓部結晶化によ
る口栓部の収縮が規格内に納まらずにキャッピング不良
となる問題もあった。
の段階において、工業用水に含まれているナトリウムや
マグネシウム、カルシウム、珪素等の金属含有物質の含
有量が一定値より多い場合、これらの金属の酸化物や水
酸化物等の金属含有物質が処理水中に浮遊、沈殿、さら
には処理槽壁や配管壁に付着したりし、これがポリエス
テルチップに付着、浸透して、成形時での結晶化が促進
され、透明性の悪いボトルとなることがわかった。さら
には金属含有物質が配管を詰まらせたり、処理槽や配管
の洗浄を困難にさせる等の問題が生じた。特にナトリウ
ムの含有はスケ−ルの発生は起こらないものの、ナトリ
ウムイオンがチップ表面層に浸透し、このナトリウムイ
オンを核として結晶化が進むため、ボトルを白化させる
大きな要因となっていた。これらの金属含有物質の含有
量は雨の後に増加したり、季節により変動し、しばしば
非常に大きな値となることもあった。さらには、工業用
水の水源をどこの求めるかでも大きく異なるものであっ
た。
る水処理したポリエステルを得るために、工業用水をイ
オン交換処理装置によって処理をしたイオン交換水を使
用してポリエステルを水処理するが、この場合でも時に
は透明性の悪い、異味、異臭のある成形体しか得られな
い場合があった。
結果、処理槽に供給するポリエステルチップと処理水の
供給量の比が水処理によって得られるポリエステルの品
質に影響することが分かり、本発明に到達した。
問題点を解決することにあり、成形時での金型汚れを発
生させにくく、またさらにはボトルの透明性の良好で、
かつ成形体に異味、異臭が発生しにくいポリエステルを
提供することを目的としている。
め、本発明は、ポリエステルチップ及び処理水を塔型の
処理槽に供給してポリエステルチップを水処理するポリ
エステルの製造方法において、1時間当たりのポリエス
テルチップの供給量(トン)に対する処理水の供給量
(m3)の比を1〜100(m3/時・トン)の範囲に維
持しながら水処理することを特徴とする。
処理水の少なくとも一部を処理槽に戻して繰り返し使用
することができる。
を、処理槽に継続的に供給することができる。この場合
において、ポリエステルチップを、処理槽に間欠的に供
給することができる。この場合において、処理槽からの
処理水の排出と、排出した処理水の処理槽へのもどりが
継続的であることができる。
排出と、排出した処理水の処理槽への戻りが間欠的であ
ることができる。かかる本発明のポリエステルの製造方
法によれば、成形時での金型汚れを発生させにくく、ま
たさらには、ボトルの透明性の良好なポリエステルを有
利に製造することができる。
する。本発明に用いられるポリエステルは、好ましく
は、主として芳香族ジカルボン酸成分とグリコ−ル成分
とから得られる結晶性ポリエステルであり、さらに好ま
しくは、芳香族ジカルボン酸単位が酸成分の85モル%
以上含むポリエステルであり、特に好ましくは、芳香族
ジカルボン酸単位が酸成分の95モル%以上含むポリエ
ステルである。
る芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、
2、6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニ−ル−4,
4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸
等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体等が挙げ
られる。
成するグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、
トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、
シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール等が
挙げられる。
る酸成分としては、テレフタル酸、2、6−ナフタレン
ジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニ−ル−4,4'
−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の
芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、オキシカプ
ロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン
酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、ダイマ−酸等
の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、ヘキサヒ
ドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、シクロ
ヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその
機能的誘導体などが挙げられる。
るグリコ−ル成分としては、エチレングリコ−ル、トリ
メチレングリコール、テトラメチレングリコール、ジエ
チレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族
グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのア
ルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコール、ポリ
エチレングリコ−ル、ポリブチレングリコ−ル等のポリ
アルキレングリコ−ルなどが挙げられる。
囲内で多官能化合物、例えばトリメリット酸、トリメシ
ン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、グリセリ
ン、ペンタエリスリトール、トリメチロ−ルプロパン等
を共重合してもよく、また単官能化合物、例えば安息香
酸、ナフトエ酸等を共重合させてもよい。
い一例は、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレー
トから構成されるポリエステルであり、さらに好ましく
はエチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線
状ポリエステルであり、特に好ましいのはエチレンテレ
フタレート単位を95モル%以上含む線状ポリエステ
ル、即ち、ポリエチレンテレフタレ−ト(以下、PET
と略称)である。
ましい他の一例は、主たる繰り返し単位がエチレン−
2、6−ナフタレートから構成されるポリエステルであ
り、さらに好ましくはエチレン−2、6−ナフタレート
単位を85モル%以上含む線状ポリエステルであり、特
に好ましいのは、エチレン−2、6−ナフタレート単位
を95モル%以上含む線状ポリエステル、即ち、ポリエ
チレンナフタレ−トである。
法によって製造することが出来る。即ち、PETの場合
には、テレフタール酸とエチレングリコール及び必要に
より他の共重合成分を直接反応させて水を留去しエステ
ル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、
または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及
び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコ
ールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を
行うエステル交換法により製造される。更に極限粘度を
増大させ、アセトアルデヒド含量等を低下させる為に固
相重合を行ってもよい。
行っても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。こ
れらいずれの方式においても、溶融重縮合反応は1段階
で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。
固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や
連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合
は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。
媒としてGe、Sb、Tiの化合物が用いられるが、特
にGe化合物またはこれとTi化合物の混合使用が好都
合である。
ニウム、結晶性二酸化ゲルマニウム粉末またはエチレン
グリコールのスラリー、結晶性二酸化ゲルマニウムを水
に加熱溶解した溶液またはこれにエチレングリコールを
添加加熱処理した溶液等が使用されるが、特に本発明で
用いるポリエステルを得るには二酸化ゲルマニウムを水
に加熱溶解した溶液、またはこれにエチレングリコール
を添加加熱した溶液を使用するのが好ましい。これらの
重縮合触媒はエステル化工程中に添加することができ
る。Ge化合物を使用する場合、その使用量はポリエス
テル樹脂中のGe残存量として10〜150ppm、好
ましくは13〜100ppm、更に好ましくは15〜7
0ppmである。
酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモン
カリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレ−
ト、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙
げられる。Sb化合物は、生成ポリマ−中のSb残存量
として50〜250ppmの範囲になるように添加す
る。
−ト、テトライソプロピルチタネ−ト、テトラ−n−プ
ロピルチタネ−ト、テトラ−n−ブチルチタネ−ト等の
テトラアルキルチタネ−トおよびそれらの部分加水分解
物、蓚酸チタニル、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チ
タニルナトリウム、蓚酸チタニルカリウム、蓚酸チタニ
ルカルシウム、蓚酸チタニルストロンチウム等の蓚酸チ
タニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩
化チタン等が挙げられる。Ti化合物は、生成ポリマ−
中のTi残存量として0.1〜10ppmの範囲になる
ように添加する。
リメチルフォスフェート等の燐酸エステル類等を使用す
るのが好ましい。これらの安定剤はテレフタル酸とエチ
レングリコールのスラリー調合槽からエステル化反応工
程中に添加することができる。P化合物は、生成ポリマ
−中のP残存量として5〜100ppmの範囲になるよ
うに添加する。
含量を制御するためにエステル化工程に塩基性化合物、
たとえば、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン
等の第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム等
の第4級アンモニウム塩等を加えることが出来る。
主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートから構成
されるポリエステルの極限粘度は0.50〜1.30デ
シリットル/グラム、好ましくは0.55〜1.20デ
シリットル/グラム、さらに好ましくは0.60〜0.
90デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が
0.50デシリットル/グラム未満では、得られた成形
体等の機械的特性が悪い。また、1.30デシリットル
/グラムを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂
温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を
及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄
色に着色する等の問題が起こる。
に、主たる繰り返し単位がエチレン−2、6−フタレー
トから構成されるポリエステルの極限粘度は0.40〜
1.00デシリットル/グラム、好ましくは0.42〜
0.95デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.
45〜0.90デシリットル/グラムの範囲である。極
限粘度が0.40デシリットル/グラム未満では、得ら
れた成形体等の機械的特性が悪い。また、1.00デシ
リットル/グラムを越える場合は、成型機等による溶融
時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性
に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成
形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
型、角型、または扁平な板状等の何れでもよく、その大
きさは、縦、横、高さがそれぞれ通常1.5〜4mmの
範囲である。例えばシリンダー型の場合は、長さは1.
5〜4mm、径は1.5〜4mm程度であるのが実用的
である。
アセトアルデヒド含量は10ppm以下、好ましくは8
ppm以下、更に好ましくは5ppm以下、ホルムアル
デヒド含量は7ppm以下、好ましくは6ppm以下、
更に好ましくは4ppm以下である。本発明で用いられ
るポリエステルのアセトアルデヒド含有量を10ppm
以下、またホルムアルデヒド含有量を7ppm以下にす
る方法は特に限定されるものではないが、例えば低分子
量のポリエステルを減圧下または不活性ガス雰囲気下に
おいて170〜230℃の温度で固相重合する方法を挙
げることが出来る。
に共重合されたジエチレングリコール量は該ポリエステ
ルを構成するグリコール成分の1.0〜5.0モル%、
好ましくは1.3〜4.5モル%、更に好ましくは1.
5〜4.0モル%である。ジエチレングリコール量が
5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成
型時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデ
ヒド含量やホルムアルデヒド含量の増加量が大となり好
ましくない。またジエチレングリコ−ル含量が1.0モ
ル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くな
る。
環状3量体の含有量は0.50重量%以下、好ましくは
0.45重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%
以下である。本発明のポリエステルから耐熱性の中空成
形体等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、
環状3量体の含有量が0.50重量%以上含有する場合
には、加熱金型表面へのオリゴマー付着が急激に増加
し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
マー類が成形時に金型内面や金型のガスの排気口、排気
管等に付着することによる金型汚れや成形品の残留異
味、異臭の発生等を防止するために、前記の溶融重縮合
後または固相重合の後に水との接触処理を行なう。水と
の接触処理の方法としては、水処理槽中で水中にポリエ
ステルチップを浸ける方法が挙げられる。水処理効果を
十分に発揮させるためには長時間の水処理を行うことが
必要である。
2日間、好ましくは10分〜1日間、さらに好ましくは
30分〜10時間であり、水の温度としては20〜18
0℃、好ましくは40〜150℃、さらに好ましくは5
0〜120℃である。
に水処理する場合は、処理槽に継続的、あるいは断続的
にポリエステルのチップを受け入れ、並流又は向流で水
を連続供給して水処理させることができる。処理された
ポリエステルチップは処理槽から継続的、あるいは断続
的に抜き出す。このような水処理法の条件について種々
検討した結果、ポリエステルチップの供給量と処理水の
供給量の比が水処理後のポリエステルチップの品質、特
に、得られた成形体の異味、異臭や金型汚れに大きな影
響を及ぼすことが分かった。
及び処理水を処理槽に供給してポリエステルチップを水
処理するポリエステルの製造方法において、1時間当た
りのポリエステルチップの供給量(トン)に対する処理
水の供給量(m3)の比を1〜100(m3/時・トン)
の範囲、好ましくは2〜80(m3/時・トン)の範
囲、さらに好ましくは5〜50(m3/時・トン)の範
囲に維持しながら水処理することによって上記の問題点
を解決する。
量(トン)に対する処理水の供給量(m3)の比が1
(m3/時・トン)未満の場合は、得られたポリエステ
ルチップからの成形体は異味、異臭が発生し、食品、飲
料水等の容器などの使用に適さない場合がある。また、
処理水が流れることにより、ポリエステルチップに付着
したファイン(微粉、以下ポリエステルチップに付着し
ているものをファイン、処理水中に洗い流されたものを
微粉と便宜的に呼ぶ)を洗い流す効果が有るが、この比
が1(m 3/時・トン)未満では、この効果が薄く、フ
ァインが十分洗い流されなかったり、樹脂の一部にファ
インが引っかかるように貯まり、これらファインの影響
により、結晶化速度の安定しない樹脂となる場合があ
る。さらには、水処理後に別途ファインを洗い流した
り、強力なファイン除去装置を設置する必要が生じるな
ど、工程が煩雑になる。
ン)を超える場合は、水処理槽内でバックミキシングや
混合が起こり、処理時間の短いチップが排出されたりし
て、得られたポリエステルチップの品質が安定せず、金
型汚れがひどくなったり、成型時のアルデヒドの発生量
が多くなり問題となる。ここで、下記するように処理槽
から排出された処理水の一部を水処理に再利用する場合
は、この再利用水と新たに処理槽に導入する水の合計量
を供給水として前記の比を求める。
法が挙げられる。ポリエステルのチップを塔型の水処理
槽で連続的に水処理する場合は、処理槽に継続的、ある
いは断続的にポリエステルのチップを受け入れ、このチ
ップの流れに対して並流又は向流で水を連続供給し、処
理されたポリエステルチップは処理槽から継続的、ある
いは断続的に抜き出して水処理させることができる。ま
た、ポリエステルチップを処理槽内で移動でき,且つ処
理槽外へ順次移動出来る搬送装置を設けた水槽タイプの
処理槽に継続的、あるいは断続的にポリエステルのチッ
プを受け入れ、このチップの流れに対して並流又は向流
で水を連続供給し、処理されたポリエステルチップを搬
出装置で処理槽から継続的、あるいは断続的に抜き出し
て水処理させることもできる。
場合、処理に用いる水が大量であることから天然水(工
業用水)や排水を再利用して使用することが多い。通常
この天然水は、河川水、地下水などから採取したもの
で、水(液体)の形状を変えないまま、殺菌、異物除去
等の処理をしたものを言う。また、一般的に工業用に用
いられる天然水には、自然界由来の、ケイ酸塩、アルミ
ノケイ酸塩等の粘土鉱物を代表とする無機粒子や細菌、
バクテリア等や、腐敗した植物、動物に起源を有する有
機粒子や有機化合物等を多く含有している。これらの無
機粒子は、ナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪
素等の金属含有物質から構成されている。
排出した処理水のすべて、あるいは殆どを工業排水とし
てしまうと、新しい水が多量に入用であるばかりでな
く、排水量増大による環境への影響が懸念される。即
ち、処理槽から排出した少なくとも一部の処理水を、水
処理槽へ戻して再利用することにより、必要な水量を低
減し、また排水量増大による環境への影響を低減するこ
とが出来、さらには水処理槽へ返される排水がある程度
温度を保持していれば、処理水の加熱量も小さく出来る
ため、処理層から排出された処理水は水処理層へ戻して
再利用されることが好ましい。また、水を再利用させる
ことで、大型の水の加熱装置を用いずとも無理なく、1
時間当たりのポリエステルチップの供給量(トン)に対
する処理水の供給量(m3)の比を規定の範囲に維持す
ることができる。また、規定範囲内でも、処理層中の処
理水の流量をより上げることができ、結果としてポリエ
ステルチップに付着したファインを洗い流すことができ
るため、ファイン除去効果も生まれる。経済的な観点か
ら、処理槽から排出した水の80%以上、より好ましく
は90%以上を再利用することが好ましい。
水の中に存在する粒径が1〜25μmの粒子の個数を
X、ナトリウムの含有量をN、マグネシウムの含有量を
M、カルシウムの含有量Cを、珪素の含有量をSとした
場合、下記(1)〜(5)の少なくとも一つを満足させ
て水処理を行う。 1≦ X ≦ 50000 (個/10ml) (1) 0.001 ≦ N ≦ 1.0 (ppm) (2) 0.001 ≦ M ≦ 0.5 (ppm) (3) 0.001 ≦ C ≦ 0.5 (ppm) (4) 0.01 ≦ S ≦ 2.0 (ppm) (5) 水処理槽に導入する水中の粒子個数、ナトリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、珪素の含有量のいずれかを上記
範囲に設定することにより、スケールと呼ばれる酸化物
や水酸化物等の金属含有物質が処理水中に浮遊、沈殿、
さらには処理槽壁や配管壁に付着したりし、これがポリ
エステルチップに付着、浸透して、成形時での結晶化が
促進され、透明性の悪いボトルとなることを防ぐことが
できる。
の粒子を1〜50000個/10ml含む水を得る方法
を例示する。水中の粒子数を50000個/10ml以
下にする方法としては、工業用水等の自然水を処理槽に
供給するまでの工程の少なくとも1ヶ所以上に粒子を除
去する装置を設置する。好ましくは自然界の水の採取口
から、前記した処理槽、処理槽から排水した水を再度処
理槽に戻す配管、ファイン除去装置等、水処理に必要な
付帯設備を含めた処理装置に至るまでの間に粒子を除去
する装置を設置し、処理装置に供給する水中の、粒径1
〜25μmの粒子の含有量を1〜50000個/10m
lにすることが好ましい。粒子を除去する装置としては
フィルター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離
器、泡沫同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター
濾過装置であれば、方式としてベルトフィルター方式、
バグフィルター方式、カートリッジフィルター方式、遠
心濾過方式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に
行うにはベルトフィルター方式、遠心濾過方式、バグフ
ィルター方式の濾過装置が適している。またベルトフィ
ルター方式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金
属、布等が挙げられる。また粒子の除去と処理水の流れ
を効率良く行なうため、フィルターの目のサイズは5〜
100μm、好ましくは10〜70μm、さらに好まし
くは15〜40μmがよい。
シウム、カルシウム、珪素を低減させるために、処理槽
に工業用水が送られるまでの工程で少なくとも1ヶ所以
上にナトリウムやマグネシウム、カルシウム、珪素を除
去する装置を設置する。また、粒子状になった二酸化珪
素やアルミノ珪酸塩等の粘土鉱物を除去するためにはフ
ィルターを設置する。ナトリウムやマグネシウム、カル
シウム、珪素を除去する装置としては、イオン交換装
置、限外濾過装置などが挙げられる。
水には、処理槽にポリエステルチップを受け入れる段階
で既にポリエステルチップに付着しているファインや、
水処理時にポリエステルチップ同士あるいは処理槽壁と
の摩擦で発生するポリエステルのファインが含まれてい
る。従って、処理槽から排出した処理水を再度処理槽へ
戻して再利用すると、処理槽内の処理水に含まれるファ
イン量は次第に増えていく。そのため、処理水中に含ま
れているファインが処理槽壁や配管壁に付着して、配管
を詰まらせることがある。また処理水中に含まれている
ファインが再びポリエステルチップに付着し、この後、
水分を乾燥除去する段階でポリエステルチップにファイ
ンが静電効果により付着するため、ポリエステルのファ
イン含有量が非常に多くなる。
ァインには結晶化促進効果があるが、水処理工程を経た
ポリエステルチップから前記のような工程で発生したフ
ァインの結晶化促進効果は非常に高いことが判明した。
このようなファインによりポリエステルの結晶性が促進
されて、得られたボトルの透明性は悪くなり、またボト
ル口栓部結晶化時の結晶化度が過大となって口栓部の寸
法が規格に入らなくなり、そのため口栓部のキャッピン
グ不良、したがって内容物の漏れの原因になる。
ポリエステルチップと共に排水する処理水の微粉量を1
000ppm以下、好ましくは500ppm以下、さら
に好ましくは300ppm以下に維持しながら処理槽か
ら排出される処理水の一部を処理槽に戻して繰り返し使
用するのが望ましい。
ために、処理槽から排出した処理水が再び処理槽に返さ
れるまでの工程で少なくとも1ヶ所以上に微粉を除去す
る装置を設置する。微粉を除去する装置としてはフィル
ター濾過装置、膜濾過装置、沈殿槽、遠心分離器、泡沫
同伴処理機等が挙げられる。例えばフィルター濾過装置
であれば、方式としてベルトフィルター方式、バグフィ
ルター方式、カートリッジフィルター方式、遠心濾過方
式等の濾過装置が挙げられる。中でも連続的に行うには
ベルトフィルター方式、遠心濾過方式、バグフィルター
方式の濾過装置が適している。またベルトフィルター方
式の濾過装置であれば濾材としては、紙、金属、布等が
挙げられる。またファインの除去と処理水の流れを効率
良く行なうため、フィルターの目のサイズは5〜100
μm、好ましくは10〜70μm、さらに好ましくは1
5〜40μmがよい。
らチップと共に排出され、次いで濾過等の処理を行った
あと再利用される処理水と一緒にして処理槽へ供給する
ことも可能である。
機、シモンカーターなどの水切り装置で水切りし、乾燥
工程へ移送する。当然のことながら水切り装置でポリエ
ステルチップと分離された水は前記のファイン除去の装
置へ送られ、再度水処理に用いることが好ましい。
るポリエステルチップの乾燥処理を用いることができ
る。連続的に乾燥する方法としては上部よりポリエステ
ルチップを供給し、下部より乾燥ガスを通気するホッパ
ー型の通気乾燥機が通常使用される。乾燥ガス量を減ら
し、効率的に乾燥する方法としては回転ディスク型加熱
方式の連続乾燥機が選ばれ、少量の乾燥ガスを通気しな
がら、回転ディスクや外部ジャケットに加熱蒸気、加熱
媒体などを供給した粒状ポリエステルチップを間接的に
乾燥することができる。
ルコーン型回転乾燥機が用いられ、真空下であるいは真
空下少量の乾燥ガスを通気しながら乾燥することができ
る。あるいは大気圧下で乾燥ガスを通気しながら乾燥し
てもよい。乾燥ガスとしては大気空気でも差し支えない
が、ポリエステルの加水分解や熱酸化分解による分子量
低下を防止する点からは乾燥窒素、除湿空気が好まし
い。
要に応じて他の添加剤、例えば、公知の紫外線吸収剤、
外部より添加する滑剤や反応中に内部析出させた滑剤、
離型剤、核剤、安定剤、帯電防止剤、顔料などの各種の
添加剤を配合してもよい。
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、本明細書中における主な特性値の測定法を以
下に説明する。
(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求
めた。
測定した。
ム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加えて希釈
する。これにメタノールを加えてポリマ−を沈殿させた
後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムア
ミドで定容とし、液体クロマトグラフ法よりエチレンテ
レフタレ−ト単位から構成される環状3量体を定量し
た。
法1.7mmの金網を張った篩(直径30cm)の上に
乗せ、上から0.1%のカチオン系界面活性剤(アルキ
ルトリメチルアンモニウムクロライド)水溶液を2L/
分の流量でシャワ−状にかけながら、全振幅幅約7c
m、60往復/1分で1分間篩った。この操作を繰り返
し、樹脂を合計10〜30kg篩った。篩い落とされた
ファインは界面活性剤水溶液と共に岩城硝子社製1G1
ガラスフィルタ−(細孔100〜120μm)で濾過し
て集め、イオン交換水で洗った。これをガラスフィルタ
−ごと乾燥器内で100℃で2時間乾燥後、冷却して秤
量した。再度、イオン交換水で洗浄、乾燥の同一操作を
繰り返し、恒量になったことを確認し、この重量からガ
ラスフィルタ−の重量を引き、ファイン重量を求めた。
ファイン含有量は、ファイン量/篩にかけた全樹脂量重
量、である。
切り取り、日本電色(株)製ヘイズメ−タ−で測定。
機製作所製M−150C(DM)射出成形機によりボト
ルの予備成形体を成形した。射出成形温度は295℃と
した。次にこの予備成形体を遠赤外線ヒーター方式の自
家製口栓部結晶化装置で口栓部を結晶化した。次にこの
予備成形体をCOPOPLAST社製のLB−01E成
形機で縦方法に約2.5倍、周方向に約5倍の倍率に二
軸延伸ブローし、引き続き約155℃に設定した金型内
で10秒間熱固定し、容量が2000ccの容器(胴部
肉厚0.45mm)を成形した。同様の条件で連続的に
延伸ブロー成形し、目視で判断して容器の透明性が損な
われるまでの成形回数で金型汚れを評価した。また、ヘ
イズ測定用試料としては、5000回連続成形後の容器
の胴部を供した。
室温へ冷却し室温で1ヶ月間放置し、開栓後風味、臭い
等の試験を行った。比較用のブランクとして、蒸留水を
使用。官能試験は10人のパネラーにより次の基準によ
り実施し、平均値で比較した。 (評価基準) 0:異味、臭いを感じない 1:ブランクとの差をわずかに感じる 2:ブランクとの差を感じる 3:ブランクとのかなりの差を感じる 4:ブランクとの非常に大きな差を感じる
のフィルターを通過した処理水を1000cc採取し、
岩城硝子社製1G1ガラスフィルターで濾過後、100
℃で2時間乾燥し室温下で冷却後、重量を測定して算出
する。
クカンパニー社製HIAC/ROYCO.カウンター4
100型、サンプラー3000型を用いて測定した。
ーバッグPE−1P2S(ポリエステルフェルト、濾過
精度1μm)である水中の粒子除去装置(10)を設置
し、この装置(10)を経由したイオン交換水の導入口
(8)、処理槽上部の原料チップ供給口(1)、処理槽
の処理水上限レベルに位置するオーバーフロー排出口
(2)、処理槽下部のポリエステルチップと処理水の混
合物の排出口(3)、オーバーフロー排出口から排出さ
れた処理水と、処理槽下部の排出口から排出されたポリ
エステルチップの水切り装置(4)を経由した処理水
が、濾材が紙の30μmの連続式フィルターであるファ
イン除去装置(5)を経由して再び水処理槽へ送られる
配管(6)、これらのファイン除去済み処理水の導入口
(7)を備えた内容量500リットルの塔型の、図1に
示す処理槽を使用してポリエチレンテレフタレート(以
下、PETと略称)チップを水処理した。極限粘度が
0.74デシリットル/グラムであり、密度が1.41
0グラム/cm3、環状3量体含量が0.30重量%で
あるPETチップを処理水温度95℃にコントロールさ
れた水処理槽へ50kg/時間の速度で処理槽上部の供
給口(1)から連続投入し、水処理時間5時間で水処理
槽下部の排出口(3)からPETチップを50kg/時
間の速度で処理水と共に連続的に抜出しながら水処理を
行った。導入されるイオン交換水および微粉が除去され
たリサイクル処理水の合計供給量は0.75(m3/
時、イオン交換水/リサイクル水=4/96重量
比))、1時間当たりのポリエステルチップの供給量
(トン)に対する処理水の供給量(m3)の比は15
(m3/時・トン)である。また、上記処理装置のイオ
ン交換水の導入口(8)で採取した水中の粒径1μm〜
25μmの粒子数は約1000個/10cc、処理槽よ
り排出された処理水中の微粉量は約50ppmであっ
た。水処理されたPETのファイン含有量は約5ppm
で、(6)の方法で得られたポリエステル容器のヘイズ
は0.8%と良好であった。また、金型汚れまでの成形
回数は15000回と問題がなかった。官能試験の結果
は0.7と良好で、本発明の製造方法によると内容物の
味覚に影響を与えない中空成形容器、フィルム、シート
等用のPETチップを製造可能であることが分かる。
チップの供給量(トン)に対する処理槽へ供給する処理
水の合計量(m3)の比を0.3(m3/時・トン)に変
更する以外は実施例1と同様にして水処理を行った。イ
オン交換水の導入口(8)で採取した水中の粒径1μm
〜25μmの粒子数は約1600個/10cc、処理槽
より排出された処理水中の微粉量は約50ppmであっ
た。水処理されたPETのファイン含有量は約5ppm
であった。実施例1と同一方法で得た容器のヘイズは
1.0%、金型汚れまでの成形回数は15000回と問
題なかったが、官能試験結果は3.9と非常に悪かっ
た。
チップの供給量(トン)に対する処理槽へ供給する処理
水の合計量(m3)の比を140(m3/時・トン)に変
更する以外は実施例1と同様にして水処理を行った。イ
オン交換水の導入口(8)で採取した水中の粒径1μm
〜25μmの粒子数は約1600個/10cc、処理槽
より排出された処理水中の微粉量は約50ppmであっ
た。水処理されたPETのファイン含有量は約5ppm
であった。実施例1と同一方法で得た容器のヘイズは
1.2%であったが、金型汚れまでの成形回数は400
0回と低かった。また、官能試験結果は、3.0と悪か
った。
プを水処理するポリエステルの製造方法であって、ポリ
エステルチップの処理量に対する処理水の供給量を適正
な範囲に保って水処理するため、、水処理槽や配管の汚
れを少なくし、さらには成形時での金型汚れを発生させ
にくく、またさらにはポリエステルチップから成形品を
製造した際にも残留異味、異臭が少なく、透明性に優れ
たボトルとなるポリエステルが得られる。
置の概略図。
Claims (6)
- 【請求項1】 ポリエステルチップ及び処理水を処理槽
に供給してポリエステルチップを水処理するポリエステ
ルの製造方法において、1時間当たりのポリエステルチ
ップの供給量(トン)に対する処理水の供給量(m3)
の比を1〜100(m3/時・トン)の範囲に維持しな
がら水処理することを特徴とするポリエステルの製造方
法。 - 【請求項2】 処理槽から排出された処理水の少なくと
も一部を処理槽に戻して繰り返し使用することを特徴と
する請求項1に記載のポリエステルの製造方法。 - 【請求項3】 ポリエステルチップを、処理槽に継続的
に供給することを特徴とする請求項1または2記載のポ
リエステルの製造方法。 - 【請求項4】 ポリエステルチップを、処理槽に間欠的
に供給することを特徴とする請求項1または2記載のポ
リエステルの製造方法。 - 【請求項5】 処理槽からの処理水の排出と、排出した
処理水の処理槽への戻りが継続的であることを特徴とす
る請求項1から4いすれかに記載のポリエステルの製造
方法。 - 【請求項6】 処理槽からの処理水の排出と、排出した
処理水の処理槽への戻りが間欠的であることを特徴とす
る請求項1から4のいずれかに記載のポリエステルの製
造方法。
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