JP2001247306A - イオン性金属錯体の合成法及び精製法 - Google Patents
イオン性金属錯体の合成法及び精製法Info
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Abstract
重層キャパシタ等の電気化学ディバイス用、ポリオレフ
ィン等の重合触媒、色剤及び画像記録材料の原料また、
有機合成用触媒として利用されるイオン性金属錯体の安
価で生産性の高い合成法および精製法を提供する。 【解決手段】 一般式(1)で示される化合物をシュウ
酸とホウ酸を非水溶媒中で反応させる。 【化1】 (An+は、金属イオン、プロトン、またはオニウムイオ
ンを表し、nは、1〜3を表す。)
Description
チウムイオン電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学
ディバイス用、ポリオレフィン等の重合触媒、色剤及び
画像記録材料の原料、または有機合成用触媒等として利
用されるイオン性金属錯体の合成法およびその精製法に
関する。
来、PF6 -、BF4 -、AsF6 -のようなルイス酸とFイ
オンの結合したイオン性錯体がその溶解性、イオン解離
性という特性のため、電気化学ディバイス用支持電解
質、ポリオレフィン等の重合触媒、色剤及び画像記録材
料の原料、または有機合成用触媒等の用途に使用されて
きた。
中で、それぞれの用途に対する最適なイオン性錯体が探
索されており、その性質として安定性、耐熱性、耐加水
分解性、低毒性、リサイクル性等が求められている。こ
うした要望の中で新しいイオン性錯体としてビス(オキ
サラト)ホウ酸イオンが提案された。その合成法は特開
平9−192493号公報に記載されているようにシュ
ウ酸と三酸化二ホウ素の反応、シュウ酸とホウ酸トリメ
チルの反応、また、シュウ酸とトリメトキシボロキシン
の反応等が知られている。しかし、いずれの反応におい
ても、生成する水を連続的に分離しながら進行させるた
め、装置、操作が煩雑な上に反応時間が長いという生産
性の上での問題点を有する。しかも、反応を完全に進行
させることが困難で未反応の原料が微量に残存するた
め、応用面で悪影響を及ぼすこともある。
かかる従来技術の問題点に鑑み鋭意検討の結果、このイ
オン性金属錯体の合成法及びその精製法を見出し本発明
に到達したものである。
るイオン性金属錯体の合成において、シュウ酸とホウ酸
を非水溶媒中で反応させるイオン性金属錯体の合成法で
あり、
ン、またはオニウムイオンを表し、nは、1〜3を表
す。)、さらに該合成法において、プロトンを他のカチ
オンと交換反応させるイオン性金属錯体の合成法であ
り、用いる非水溶媒の誘電率が、2以上で、ホウ酸に対
して、2倍モル以上のシュウ酸を反応させるイオン性金
属錯体の合成法及びイオン性金属錯体中の不純物を除去
するために誘電率2〜10の非水溶媒で洗浄することを
特徴とするイオン性金属錯体の精製法を提供するもので
ある。
化合物のAn+としては、例えば、リチウムイオン、ナト
リウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、
カルシウムイオン、バリウムイオン、セシウムイオン、
銀イオン、亜鉛イオン、銅イオン、コバルトイオン、鉄
イオン、ニッケルイオン、マンガンイオン、チタンイオ
ン、鉛イオン、クロムイオン、バナジウムイオン、ルテ
ニウムイオン、イットリウムイオン、ランタノイドイオ
ン、アクチノイドイオン、テトラブチルアンモニウムイ
オン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラメチル
アンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイ
オン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイ
オン、イミダゾリウムイオン、プロトン、テトラエチル
ホスホニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオ
ン、テトラフェニルホスホニウムイオン、トリフェニル
スルホニウムイオン、トリエチルスルホニウムイオン、
等が挙げられる。
た場合、リチウムイオン、テトラアルキルアンモニウム
イオン、プロトンが好ましい。An+のカチオンの価数ま
たはアニオンの数を示すnは、カチオンの種類により必
然的に決まってくるが、1から3のカチオンを選ぶこと
がが好ましい。nが3より大きい場合、結晶格子エネル
ギーが大きくなるため、溶媒に溶解することが困難にな
る。そのため溶解度を必要とする場合は、nは小さい方
がよく、1がより好ましい。
安価なホウ酸をB源として使用するものであり、配位子
としては従来と同様のシュウ酸を原料として使用する。
これらの原料を非水溶媒中で反応させ、まず(2)式で
示した構造を有するビス(オキサラト)ホウ酸を合成す
る。
化合物を極微量でも溶解するもので、系内の化合物と反
応を起こさないものが良く、好ましくは比誘電率が、2
以上のものが良い。ここで全く溶解力のない溶媒を使用
した場合、反応が非常に遅くなるため好ましくない。わ
ずかでも溶解度があれば、目的のイオン性金属錯体の溶
解度が非常に大きいため、反応は速やかに進行する。例
えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ラク
トン類、ニトリル類、アミド類、スルホン類、アルコー
ル類、芳香族類等が使用でき、単一の溶媒だけでなく、
二種類以上の混合溶媒でもよい。具体例としては、プロ
ピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチル
カーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカ
ーボネート、ジメトキシエタン、アセトニトリル、プロ
ピオニトリル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、ニトロメタン、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラ
ン、γ−ブチロラクトン、トルエン、エタノール、メタ
ノール、等を挙げることができる。
でホウ酸1に対して2以上、好ましくは3以上のシュウ
酸を使用する。特にシュウ酸を3以上使用した場合は従
来法のように反応で生成してくる水を除去することな
く、反応が非常に速く完全に進行するため、装置も簡単
で、生産性も高い。シュウ酸の量が2より少ない場合
は、反応が遅くしかも途中で停止して、ホウ酸が不純物
として残存するため、生成した水の除去またはホウ酸の
除去が必要となってくるため、操作が非常に煩雑にな
る。
好ましくは0〜80℃の範囲で反応を行う。これは−8
0℃より低い温度では反応が十分に進行せず、100℃
以上では溶媒、原料の分解が起こる場合がある。また、
十分な反応速度を得て、なおかつ全く分解を起こさない
ためには0〜80℃の範囲が最適である。
ロトンであるビス(オキサラト)ホウ酸を溶媒を除去す
ることにより単離することは可能であるが、単離する前
に十分に系内の水を除去しておく必要がある。系内に水
が残存する場合、ビス(オキサラト)ホウ酸の加水分解
が起こり、ホウ酸やその他B−OHを含有する化合物が
生成する。そのため、プロトン以外のカチオンが必要な
場合は溶媒を除去する前にカチオン交換しておくことが
好ましい。プロトン以外のカチオンの場合、ビス(オキ
サラト)ホウ酸は、大量の水が存在する場合においても
加水分解することなく、溶媒を除去することが可能であ
る。このカチオンを交換する方法については特に限定す
るものではないが、目的のカチオンを有する水酸化物、
炭酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド、カルボン酸塩等
と反応させる方法や、イオン交換樹脂を使用する方法等
が例として挙げられる。
原料のシュウ酸が残存する場合があるが、シュウ酸が残
存すると最後に乾燥する際、変色が起こったり、種々の
用途に使用する際、悪影響を及ぼすことが懸念される。
そこで不純物となるシュウ酸を除去するために、本発明
では、反応溶媒を80℃以下の温度で濾過等で除去した
後に、誘電率2〜10の非水溶媒で洗浄することにより
目的物のロスを最小限にくい止め、選択的にシュウ酸を
除去できる。用いる非水溶媒は、その誘電率が2より小
さい場合は、シュウ酸が全く溶解しないため、効果がな
く、誘電率が10より大きい場合は、目的物の溶解度が
高いため、収率低下を引き起こすため好ましくない。こ
こで使用される洗浄用の溶媒として、例えば、ジエチル
エーテル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネー
ト、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、
ジメトキシメタン、2−メチルテトラヒドロフラン、
1,3−ジオキソラン、酢酸メチル、等が挙げられる。
また、単一の溶媒だけでなく、二種類以上の混合溶媒で
もよい。
が、本発明はかかる実施例により限定されるものではな
い。
で溶解した。次にホウ酸1.32gをこの溶液にゆっく
りと添加した。その後、室温で30分撹拌して完全に溶
解させた。この時点で反応の進行を11B−NMRによ
り、調べたところ、既に反応は終了して、ホウ酸はすべ
てビス(オキサラト)ホウ酸に変換されていた。こうし
て得られた反応液に0.79gの炭酸リチウムを添加し
た。炭酸ガスの発生が止まったところで、30℃、10
-1Paの減圧条件でアセトニトリルを除去し、白色の固
体が得られた。この固体を50mlのジエチルエーテル
で2回洗浄、ろ過して残った固体を100℃、10-1P
aの減圧条件で24時間乾燥することにより、ビス(オ
キサラト)ホウ酸リチウム3.74g(収率:91%)
を得た。化合物は、元素分析、IR、及びNMRにより
確認された。
Rスペクトルについて以下に示す。11 B−NMR(B(OCH3)3基準、溶媒CD3CN) −11.2ppm(s)13 C−NMR(溶媒D2O) 162.9ppm
で溶解した。次にホウ酸1.32gをこの溶液にゆっく
りと添加した。その後、室温で30分撹拌したが完全に
溶解しなかった。そこで60℃で5時間撹拌したが完全
に溶解しなかった。未溶解分をろ別し、分析したところ
この未溶解分はホウ酸であることを確認した。ろ液の分
析をしたところ、約2%の未反応ホウ酸が残存してい
た。こうして得られた反応液に0.79gの炭酸リチウ
ムを添加した。炭酸ガスの発生が止まったところで、未
反応炭酸リチウムをろ別して、ろ液を30℃、10-1P
aの減圧条件でアセトニトリルを除去することにより、
白色の固体が得られた。この固体を50mlのジエチル
エーテルで2回洗浄、ろ過して残った固体を100℃、
10-1Paの減圧条件で24時間乾燥することにより、
ビス(オキサラト)ホウ酸リチウム2.25g(収率:
55%)を得た。
で溶解した。次にホウ酸1.32gをこの溶液にゆっく
りと添加した。その後、室温で30分撹拌して完全に溶
解させた。この時点で反応の進行を11B−NMRによ
り、調べたところ、既に反応は終了して、ホウ酸はすべ
てビス(オキサラト)ホウ酸に変換されていた。こうし
て得られた反応液を30℃、10-1Paの減圧条件でア
セトニトリルを除去したところ、白色の固体が得られ
た。次にジエチルエーテル70mlに溶解して、0.7
9gの炭酸リチウムを添加した。徐々に炭酸ガスを発生
すると同時に結晶が析出し始めた。ガス発生が止まった
ところで、この結晶を分離して、100℃、10-1Pa
の減圧条件で24時間乾燥することにより、ビス(オキ
サラト)ホウ酸リチウム3.49g(収率:85%)を
得た。この化合物中には、5%のホウ酸が含有されてい
た。
で溶解した。次にホウ酸1.32gをこの溶液にゆっく
りと添加した。その後、室温で30分撹拌して完全に溶
解させた。この時点で反応の進行を11B−NMRによ
り、調べたところ、既に反応は終了して、ホウ酸はすべ
てビス(オキサラト)ホウ酸に変換されていた。こうし
て得られた反応液に31.31gの水酸化テトラエチル
アンモニウム水溶液を添加した。30℃、10-1Paの
減圧条件でアセトニトリルを除去し、さらに80℃、1
0-1Paの減圧条件で水も除去した。次に、30mlの
ジメチルカーボネートで2回洗浄した後、100℃、1
0-1Paの減圧条件で24時間乾燥することにより、ビ
ス(オキサラト)ホウ酸テトラエチルアンモニウム5.
81g(収率:86%)を得た。化合物は、元素分析、
IR、及びNMRにより確認された。
mlのトルエンに懸濁した状態で反応の生成水を系外に
分離しながら、還流下で6時間撹拌した。続いて冷却し
た反応混合物をろ過し、固体残さをアセトニトリルに溶
解し、2.78gの炭酸リチウムを添加した。炭酸ガス
の発生が止まったところで、30℃、10-1Paの減圧
条件でアセトニトリルを除去し、白色の固体が得られ
た。さらに100℃、10-1Paの減圧条件で乾燥した
ところ、黄色に変色し、少量の固体が昇華してきた。こ
の昇華物はシュウ酸であった。以上のようにしてビス
(オキサラト)ホウ酸リチウム9.94g(収率:66
%)を得た。この化合物中には加水分解により生じたと
推測されるホウ酸が8%含有されていた。
ン電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学ディバイス
用、ポリオレフィン等の重合触媒、色剤及び画像記録材
料の原料また、有機合成用触媒として利用されるイオン
性金属錯体の安価で生産性の高い合成法および高純度の
化合物を得るための精製法を提供できるものである。
Claims (6)
- 【請求項1】 一般式(1)で示されるイオン性金属錯
体の合成において、シュウ酸とホウ酸を非水溶媒中で反
応させることを特徴とするイオン性金属錯体の合成法。 【化1】 ただし、An+は、金属イオン、プロトン、またはオニウ
ムイオンを表し、nは、1〜3を表す。 - 【請求項2】 請求項1記載の合成法において、プロト
ンを他のカチオンと交換反応させることを特徴とするイ
オン性金属錯体の合成法。 - 【請求項3】 An+が、Liイオン、または4級アルキ
ルアンモニウムイオンであることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載のイオン性金属錯体の合成法。 - 【請求項4】 非水溶媒の誘電率が、2以上であること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のイ
オン性金属錯体の合成法。 - 【請求項5】 ホウ酸に対して、2倍モル以上のシュウ
酸を反応させることを特徴とする請求項1記載〜請求項
4のいずれかに記載のイオン性金属錯体の合成法。 - 【請求項6】 イオン性金属錯体中の不純物を除去する
ために誘電率2〜10の非水溶媒で洗浄することを特徴
とするイオン性金属錯体の精製法。
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- 2000-03-07 JP JP2000061528A patent/JP3969924B2/ja not_active Expired - Fee Related
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