JP2001246636A - 混合樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた感光ドラム - Google Patents

混合樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた感光ドラム

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JP2001246636A
JP2001246636A JP2000395579A JP2000395579A JP2001246636A JP 2001246636 A JP2001246636 A JP 2001246636A JP 2000395579 A JP2000395579 A JP 2000395579A JP 2000395579 A JP2000395579 A JP 2000395579A JP 2001246636 A JP2001246636 A JP 2001246636A
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resin
mixed
mixed resin
photosensitive drum
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JP2000395579A
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Munenori Iizuka
宗紀 飯塚
Kunio Machida
邦郎 町田
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Original Assignee
Bridgestone Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カーボンブラックや補強繊維を充填した場合
でも表面平滑性に優れ感光ドラム用の基体として好適に
用いられる樹脂組成物、及び該樹脂組成物を基体として
用いた感光ドラムを提供することを目的とする。 【解決手段】 結晶化速度の異なる2種以上の樹脂を混
合した混合樹脂を含む成形材料を射出成形法により所望
の形状に成形した混合樹脂組成物において、上記2種以
上の樹脂をペレットの状態で混合し、この混合ペレット
のまま溶融させて射出成形したことを特徴とする混合樹
脂組成物、及び該組成物で成形した円筒状基体を用いた
感光ドラムを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形物表面の平滑
性に優れ、複写機,ファクシミリ,プリンター等の電子
写真装置に用いられる感光ドラムの基体として好適に用
いられる混合樹脂組成物、及び該混合樹脂組成物で形成
した基体を用いた感光ドラムに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】複写
機、ファクシミリ、プリンター等における静電記録プロ
セスでは、まず、感光ドラムの表面を一様に帯電させ、
この感光ドラム表面に光学系から映像を投射して光の当
たった部分の帯電を消去することによって静電潜像を形
成し、次いで、この静電潜像にトナーを供給してトナー
の静電的付着によりトナー像を形成し、これを紙,OH
P,印画紙等の記録媒体へと転写することにより、プリ
ントする方法が採られている。
【0003】このような静電記録プロセスに用いられる
感光ドラムとしては、図1に示した構造のものが一般に
用いられている。
【0004】即ち、良導電性を有する円筒状基体1の両
端にフランジ2a,2bを嵌合固定すると共に、該円筒
状基体1の外周面に感光層3を形成したものが一般に用
いられており、通常、この感光ドラムは、図1に示され
ているように、電子写真装置の本体aに設けられた支持
軸4,4が両フランジ2a,2bに設けられた軸孔5,
5に挿入されて回転自在に支持され、一方のフランジ2
bに形成された駆動用ギア6にモータ等の駆動源と連結
されたギア7を歯合させ、回転駆動されるようになって
いる。
【0005】この場合、上記円筒状基体1を形成する材
料としては、比較的軽量で機械加工性にも優れ、かつ良
好な導電性を有することから、アルミニウム合金が従来
から用いられている。
【0006】しかしながら、アルミニウム合金からなる
円筒状基体は、厳しい寸法精度に対する要求や所定の表
面粗さを満足するために、個々に高精度の機械加工を施
す必要があり、また両端に上記フランジ2a,2bを嵌
合固定させるための加工を施す必要もあり、更に場合に
よっては表面の酸化などを防止するための加工を要する
場合もある。このため、製造工数が多くなって製造コス
トが高くなるという問題を有しており、アルミニウム合
金は、感光ドラムを構成する円筒状基体用の材料として
必ずしも満足し得るものではない。
【0007】また、ポリフェニレンサルファィド(PP
S)樹脂を主成分とする樹脂組成物を用いて樹脂製の円
筒状基体1を形成することも提案されており、これによ
れば、より軽量で耐薬品性、耐熱性に優れる円筒状基体
を射出成形法により比較的容易に成形することが可能で
あり、また上記フランジ2a,2bのいずれか一方を同
樹脂組成物によって円筒状基体1と一体に成形すること
が可能である。
【0008】上記PPSを主成分とする樹脂組成物を用
いて感光ドラムの円筒状基体1を成形する場合、必要な
導電性を付与するために通常カーボンブラックを20質
量%以上の割合で添加する必要があるが、カーボンブラ
ックをこのような高割合で配合したPPS樹脂組成物は
非常にもろいものとなってしまうため、通常はガラス繊
維などの補強材を添加して、円筒状基体として必要な強
度を得ることが行われる。
【0009】しかしながら、このようなPPS樹脂組成
物は、カーボンブラックが高割合で添加され、かつ補強
繊維が配合されることにより、溶融時の流動性が著しく
低下してしまう。このため、射出成形時に表面の転写性
が悪くなり、得られた円筒状基体の表面平滑性が損なわ
れ、表面に感光剤を塗布して感光層を形成する場合など
の後工程に重大な悪影響を与えるという問題点がある。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、カーボンブラックや補強繊維を充填した場合でも表
面平滑性に優れ感光ドラム用の基体として好適に用いら
れる樹脂組成物、及び該樹脂組成物で形成した基体を用
いた感光ドラムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者は、上記目的を達成するため、メタキシリレンジ
アミンとアジピン酸とから得られるポリアミド樹脂及び
ε−カプロラクタムから得られるポリアミド樹脂は、耐
熱性,耐薬品性,機械的強度に優れ、しかも他の結晶性
樹脂に比べて結晶化速度が遅いため、カーボンブラック
などの導電剤を混合して成形を行った場合に成形品表面
にスキン層を形成しやすく、このため感光ドラム用の基
体としても十分な表面平滑性を有する成形品が得られる
ことを見出し、これらポリアミド樹脂を用いた樹脂組成
物を提案している(特願平11−241247号)。
【0012】本発明者は、その後、更に検討を重ねたと
ころ、上記ポリアミド樹脂等の結晶化速度の遅い樹脂を
比較的結晶化速度の速い他のポリアミド樹脂などと混合
して射出成形することにより、感光ドラム用基体などの
成形物を得る場合、上記複数の樹脂を混合する際の混合
方法により、成形物表面の平面平滑性に優劣が生じるこ
とを知見した。そこで、より優れた表面平滑性を有する
樹脂成形物を確実に得るため、複数の樹脂を混合して射
出成形する際の樹脂混合について更に検討を進めた結
果、結晶化速度の異なる2種以上の樹脂をペレットの状
態で混合し、この混合ペレットのまま溶融させて射出成
形することにより、結晶化速度の遅い樹脂によるスキン
層を確実かつ良好に形成し得ることが見出された。
【0013】即ち、2種以上の樹脂を混合して射出成形
することにより、所望形状の混合樹脂組成物を得る場
合、通常はペレットの状態で供給される各樹脂(導電剤
や補強材は、通常いずれかのペレットに予め混練してあ
る)を2軸押出機などの混練機に投入して溶融混練する
と共に、これを押出成形して予め複数の樹脂が均一に混
練された混合樹脂ペレットとし、この混合樹脂ペレット
を射出成形に供することにより均一な混合樹脂組成物か
らなる成形品を成形することが行われるが、あえて2軸
押出機などによる予備混練を行わずに、複数種の樹脂を
ペレット状の状態でタンブラーなどの混合装置によりド
ライブレンドし、この樹脂ペレットの混合物をそのまま
射出成形機により溶融させ射出成形することにより、異
種材料同士の混合分散性が低くなり、このことが成形品
の表面状態を改質する低速度結晶性樹脂の分散性を低下
させて、かかる樹脂を不均一に存在させることとなり、
この時この樹脂が特に成形物の表面に偏在化し、表面に
この低速度結晶性樹脂のスキン層が確実かつ良好に形成
されて、表面平滑性に優れた成形品が確実に得られるこ
とを見出したものである。
【0014】従って、本発明は、結晶化速度の異なる2
種以上の樹脂を混合した混合樹脂を含む成形材料を射出
成形法により所望の形状に成形した混合樹脂組成物にお
いて、上記2種以上の樹脂をペレットの状態で混合し、
この混合ペレットのまま溶融させて射出成形したことを
特徴とする混合樹脂組成物、及び、円筒状基体の外周面
に感光層を形成してなる感光ドラムにおいて、円筒状基
体を上記本発明の混合樹脂組成物で形成したことを特徴
とする感光ドラムを提供する。
【0015】以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の混合樹脂組成物は、上記のように、結晶化速度
の異なる2種以上の樹脂を予備混練することなくペレッ
トの状態で混合し、この混合ペレットをそのまま射出成
形機に投入して溶融させ射出成形したものである。
【0016】ここで、混合する樹脂材料は、結晶化速度
が異なる樹脂同士の組み合わせであればいずれの組み合
わせでもよく、組み合わせる樹脂の結晶化速度が明確に
異なるものであれば、本発明により結晶化速度の遅い方
の樹脂によって成形物表面にスキン層を良好かつ確実に
成形することができるが、特にこのスキン層を形成する
結晶化速度の遅い樹脂としては、耐熱性,耐薬品性,機
械的強度に優れるスキン層が得られることから、メタキ
シリレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応によって
得られるポリアミド樹脂、ε−カプロラクタムの開環重
合反応によって得られるポリアミド樹脂、ポリアミド樹
脂と吸水率が0.3%以下の樹脂とをブレンドしたアロ
イ系樹脂から選ばれる少なくとも1種を好適に用いるこ
とができる。特に、感光ドラムの円筒状基体を成形する
場合には、導電性付与や機械的強度向上のために導電剤
や補強材などを十分量充填しても、これらのポリアミド
樹脂を用いることにより、優れた表面平滑性を有する成
形物を確実に得ることができる。
【0017】なお、メタキシリレンジアミンとアジピン
酸との重縮合反応によって得られるポリアミド樹脂は、
一般にナイロンMXD6と呼ばれるものであり、またε
−カプロラクタムの開環重合反応によって得られるポリ
アミド樹脂は、一般にナイロン6と称されるものであ
る。
【0018】また、本発明のポリアミド樹脂と吸水率が
0.3%以下の樹脂とをブレンドしたアロイ系樹脂は、
以下の理由から好適に使用することができる。
【0019】即ち、これまでにポリアミド樹脂をベース
とした導電性樹脂で円筒状基体を形成することが提案さ
れているが、これらポリアミド樹脂(PA)は、PA6
6やPA6などのように吸水性が高く、吸水率(AST
M−D 570に準拠)としては、PA66が約0.6
〜3%、PA6が約0.7〜1.8%と他の樹脂に比べ
て比較的高くなっている。このため製品の寸法精度保持
の面で問題が生じる場合があり、30℃〜、90%RH
〜などの高温高湿条件下においては、2〜3時間程度さ
らされた状態でも、吸水により寸法の膨張が起こる場合
がある。このため、感光体の機能に影響を与え、結果と
して画像品質に重大な影響を与える場合がある。
【0020】本発明においては、ポリアミド樹脂のよう
に吸水性の高い樹脂に対して、吸水率が0.3%以下の
樹脂をブレンドし、アロイ化したものを基材として用い
たもので、吸水率を低くし、高温高湿環境下においても
寸法変化の少ない性質を付与することができる。
【0021】上記ブレンドするポリアミド樹脂として
は、公知のものを使用でき、具体的には、ナイロンMX
D6、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイ
ロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6
12、ナイロン1212、及びこれらの共重合物などの
他のポリアミド樹脂を挙げることができ、特に制限され
るものではない。
【0022】また、上記ポリアミドに対してブレンドす
る吸水率が0.3%以下の樹脂(以下、ブレンド用樹脂
という)としては、PP(ポリプロピレン)、PPE
(ポリフェニレンエーテル)、PPS(ポリフェニレン
スルフィド)等を挙げることができ、好ましくはPP
S、PPEが、更に好ましくはPPEを挙げることがで
きる。
【0023】本発明のポリアミド樹脂と吸水率が0.3
%以下の樹脂とをブレンドしたアロイ系樹脂を得るに
は、上記ブレンド用樹脂をそのブレンド比がPA66な
どのポリアミド樹脂に対して、通常1〜70質量%、好
ましくは5〜50質量%、更に好ましくは10〜40質
量%になるように配合することにより得ることができ
る。
【0024】上記ブレンドに際しては、更にポリアミド
樹脂とブレンド樹脂との相溶性を向上させて分散性を高
め、強度などの機械特性や、吸水性、耐薬品性を向上さ
せるために、両方の樹脂成分に対して親和性の高い相溶
化剤を適宜用いることができる。相溶化剤としては、例
えば、PA−PP系に対しては、マレイン酸変性ポリプ
ロピレン(マレイン酸変性PP)、PA−PPS系やP
A−PPE系に対しては、エポキシ変性ポリスチレン
(エポキシ変性PS)−ポリメチルメタクリレート(P
MMA)共重合体などを挙げることができる。
【0025】本発明のポリアミド樹脂と吸水率が0.3
%以下の樹脂とのブレンドしたアロイ系樹脂は、上述し
たように、樹脂成分として他のポリアミド樹脂を単独で
使用した成形品に比べて優れた寸法安定性を有する。こ
の点について比較した参考例を下記表に示す。下記表1
に示された吸水率と寸法変化は、50℃−95%RH環
境下の高温高湿槽に24時間放置前後の差を測定したも
ので、ポリアミド樹脂に吸水率の低い樹脂をブレンドす
ることで、成形品の高温高湿環境下での吸水率、寸法変
化が飛躍的に改善されることが認められる。
【0026】
【表1】
【0027】これらのポリアミド樹脂と組み合わせる他
の樹脂、即ち結晶化速度が速い方の樹脂は、通常、量的
にも質的にも本発明の混合樹脂組成物のベース樹脂とな
るもので、用途等に応じて適宜選定され、特に制限され
るものではないが、特にナイロン11、ナイロン12、
ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロ
ン612、ナイロン1212、及びこれらの共重合物な
どの他のポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特に
感光ドラムの円筒状基体とする場合には、これらのポリ
アミド樹脂を用いることが推奨される。
【0028】これら樹脂成分の混合割合は、用いる樹脂
の種類や得られる混合樹脂組成物の用途等に応じて適宜
選定され、特に制限されるものではないが、上記ナイロ
ンMXD6、ナイロン6、ポリアミド樹脂と吸水率が
0.3%以下の樹脂とをブレンドしたアロイ系樹脂から
選ばれる少なくとも1種と上記他のポリアミド樹脂とを
混合して感光ドラムの円筒状基体を成形する場合には、
上記他のポリアミド樹脂100質量部に対して、上記ナ
イロンMXD6、ナイロン6、ポリアミド樹脂と吸水率
が0.3%以下の樹脂とをブレンドしたアロイ系樹脂か
ら選ばれる少なくとも1種を5〜40質量部、特に10
〜25質量部程度とすることが好ましい。
【0029】本発明の混合樹脂組成物には、用途等に応
じ導電剤を添加して導電性を付与することができる。導
電剤としては、上記樹脂中に均一に分散させることが可
能なものであればいずれのものでもよく、例えばカーボ
ンブラック、グラファイト、アルミニウム,銅,ニッケ
ル等の金属粉、導電性ガラス粉などが挙げられるが、特
にカーボンブラックを用いることが好ましい。導電剤の
添加量は、特に制限されるものではないが、組成物の5
〜30質量%、特に5〜20質量%とすることが好まし
く、感光ドラムの円筒状基体とする場合には成形物の表
面抵抗値が10 6Ω/□(オーム/スクエア)以下、特
に105Ω/□以下、好ましくは104Ω/□以下である
ことが推奨される。
【0030】また、補強や増量の目的で、各種繊維等の
無機充填材を配合してもよく、無機充填材としては、カ
ーボン繊維,導電性ウィスカー,導電性ガラス繊維等の
導電性繊維やウィスカー,ガラス繊維等の非導電性繊維
などを用いることができる。この場合、上記導電性繊維
は、導電剤としても作用することができ、導電性繊維を
用いることにより、上記導電剤の使用量を減らすことが
できる。
【0031】これら無機充填材の配合量は、用いる充填
材の種類や繊維の長さ,径などに応じて適宜選定され、
特に制限されるものではないが、通常は組成物の1〜3
0質量%、より好ましくは5〜25質量%、更に好まし
くは10〜25質量%とすることが好ましい。本発明に
よれば、このような充填材の添加により、表面平滑性を
低下させることなく成形物の強度や剛性を効果的に向上
させることができる。
【0032】なお、上記混合樹脂組成物中には、それぞ
れ必要に応じて上記導電剤及び充填材の他に、ポリテト
ラフルオロエチレン(PTFE)、シリコーン、二硫化
モリブデン(MoS2)、各種金属石鹸等の公知の添加
剤を適量添加することができる。また、通常用いられる
シランカップリング剤やチタネートカップリング剤など
を用いて、導電剤や充填材に表面処理を施してもよい。
【0033】本発明の混合樹脂組成物は、上記ベース樹
脂とスキン層を形成する上記結晶化速度の遅い樹脂とを
それぞれがペレットの状態で混合し、この混合ペレット
を直接射出成形機に投入して溶融させ射出成形するもの
である。この場合、ペレットの混合はタンブラーなどの
ドライブレンド可能な公知の混合機を用いて行うことが
できる。また、上記導電剤や補強材などの充填材を配合
する場合には、特に制限されるものではないが、いずれ
かのペレット中に予め混練しておくことが好ましく、特
にベース樹脂のペレット中に混練しておくことが好まし
い。また、射出成形を行う際の成形温度や射出圧力など
の成形条件は、用いる樹脂成分に応じた通常の条件とす
ることができる。
【0034】本発明の混合樹脂組成物は、種々の用途に
使用可能であり、特に制限されるものではないが、表面
に上記スキン層が形成され、導電剤,補強材などを添加
しても平滑な表面が得られることから、優れた耐薬品
性,機械的強度,表面平滑性などが求められる感光ドラ
ムの円筒状基体として特に好ましく用いられる。
【0035】本発明の感光ドラムは、例えば、図1に示
された感光ドラムのように、円筒状基体1の外周面に感
光層3を形成したものであり、本発明ではその円筒状基
体1を上記本発明の混合樹脂組成物で成形する。この場
合、通常は上記導電剤の添加により適度な導電性が付与
され、また補強のため上記無機充填剤が配合される。
【0036】ここで、図1の感光ドラムでは、円筒状基
体1の両端面に別体に形成したフランジ2a,2bを嵌
着固定しているが、本発明では、フランジ2a,2bの
少なくとも一方を上記本発明の導電性樹脂組成物を用い
て円筒状基体1と一体に成形することもできる。この場
合、本発明の混合樹脂組成物は、補強用の無機充填材を
添加することにより、強度,剛性に優れた成形物を得る
ことができるので、フランジと共に、駆動用ギア6を本
発明の混合樹脂組成物で一体に成形することもできる。
【0037】上記円筒状基体1の外周面は、特に制限さ
れるものではないが、その表面粗さを中心線平均粗さR
aで0.8μm以下、特に0.2μm以下、最大高さR
maxで1.6μm以下、特に0.8μm以下、10点
平均粗さRzで1.6μm以下、特に0.8μm以下と
することが好ましく、これらRa,Rmax,Rzが大
きすぎると、円筒状基体1表面の凹凸が感光層3上に現
れて、これが画像不良の原因となる場合がある。なお、
上記本発明の混合樹脂組成物を用いることにより、補強
用の無機充填材を添加した場合でも、このような表面粗
さを容易に達成することができるものである。
【0038】この円筒状基体1の外周面に形成される感
光層3は、公知の材料,組成により形成することがで
き、またその層構成も公知の構成とすることができる。
【0039】なお、感光ドラムの構成は、図1に示され
たものに限定されるものではなく、例えば両フランジ2
a,2bに、軸孔5ではなく、外方へと突出する軸体
(支持軸)を突設し、この軸体を用いて電子写真装置の
本体に回転可能に取り付けることもできる。更に、各フ
ランジ2a,2bの形状や感光ドラムの回転駆動方法な
ど、その他の構成についても本発明の要旨を逸脱しない
限り適宜変更することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例,比較例を示し、本発明をより
具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限される
ものではない。
【0041】〔実施例、比較例1〜3〕下記組成のペレ
ット状のベースポリマーとペレット状の樹脂材料Aとを
タンブラーでドライブレンドした混合ペレット、及び上
記ベースポリマーと樹脂材料Aとを2軸押出機により均
一混練し、押出成形して得られた単一ペレットをそれぞ
れ調製した。それぞれ射出成形機のホッパーに投入して
外径30mm,長さ275mm,周壁の厚さ2mmの感
光ドラム用円筒状基体を成形した。なお、いずれも同一
の金型を用いた。また、ここでいう「ドライブレンド」
及び「均一混練」とは下記の操作をいう。
【0042】ベースポリマー ナイロン66(三菱エンプラ製「ノバミッド」)73質
量% C/B(ライオン製「ケッチェンブラック」)12質量
% チタン酸カリウムウィスカ繊維(大塚化学製「デントー
ル」)15質量%
【0043】樹脂材料A ナイロンMXD6、三菱エンプラ製「レニー」
【0044】ドライブレンド 同サイズの異種ペレットをタンブラー(混合機)(容量
約200リットル)を用いて、毎分約50回転で15分
程度混合した。なお、このように混合されたペレット
は、成形機投入後に溶融され、この溶融状態で成形機の
スクリューによりブレンドされて、射出成形した。
【0045】均一混練 通常のコンパウンドの作成に使用される方法で、2軸押
出機であらかじめ2種以上の樹脂(ペレット又は粉
体)、充填材等を投入し、1種類の混合体のペレットを
作成した。これを成形機のホッパに投入し、成形を行な
った。ペレットの種類が1種類であるため、異種材料の
ドライブレンドに対して、均一混練と呼ぶことにする。
【0046】得られた各円筒状基体の表面の中心線平均
粗さRa、最大高さRmaxをそれぞれ測定し、表面粗
さを評価した。なお、いずれの測定も表面粗さ形状測定
機「サーフコン」(東京精密社製)を用いて、JIS
B0601に準じて行った。結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表2の結果より、本発明のドライブレンド
された混合ペレットを用いて成形した感光ドラム用の円
筒状基体は、比較例の均一混練された単一ペレットを使
用したものに比べ、表面平滑性に優れたものであること
が確認された。
【0049】
【発明の効果】本発明の混合樹脂組成物によれば、カー
ボンブラックや補強繊維を充填した場合でも表面平滑性
に優れ、特に感光ドラム用の基体の形成材料として好適
に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】感光ドラムの一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 円筒状基体 2a,2b フランジ 3 感光層 4 支持軸 5 軸孔 6 駆動用ギア
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 77/06 C08L 77/06 101/00 101/00 G03G 5/10 G03G 5/10 A // B29K 77:00 B29K 77:00 B29L 23:00 B29L 23:00 31:34 31:34

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶化速度の異なる2種以上の樹脂を混
    合した混合樹脂を含む成形材料を射出成形法により所望
    の形状に成形した混合樹脂組成物において、上記2種以
    上の樹脂をペレットの状態で混合し、この混合ペレット
    のまま溶融させて射出成形したことを特徴とする混合樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 メタキシリレンジアミンとアジピン酸と
    から得られるポリアミド樹脂、ε−カプロラクタムから
    得られるポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂と吸水率が
    0.3%以下の樹脂とをブレンドしたアロイ系樹脂から
    選ばれる少なくとも1種を他の樹脂と混合した混合樹脂
    を樹脂成分として含有する請求項1記載の混合樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 混合樹脂組成物が導電剤を混合分散させ
    たものである請求項1又は2記載の混合樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 導電剤としてカーボンブラックを含有す
    る請求項3記載の混合樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 補強用無機充填材を含有する請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の混合樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 円筒状基体の外周面に感光層を形成して
    なる感光ドラムにおいて、上記円筒状基体を請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の混合樹脂組成物で形成したこ
    とを特徴とする感光ドラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101301203B1 (ko) 2012-11-12 2013-08-29 (주)창림이엔지 열 전도성 및 전기 전도성을 갖는 고분자 화합물의 제조 방법

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