JP2001242641A - フォトレジスト剥離液組成物およびそれを用いた半導体基板処理方法 - Google Patents

フォトレジスト剥離液組成物およびそれを用いた半導体基板処理方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銅配線半導体基板に用いられる配線材料、絶
縁膜等のドライエッチング後に生じるレジスト残留物お
よびフォトレジストを除去し、かつ金属材料などに対す
る腐食性のないフォトレジスト剥離液組成物を提供す
る。 【解決手段】 ポリカルボン酸アンモニウム塩またはア
ミノポリカルボン酸アンモニウム塩の少なくともひとつ
と水溶性有機溶剤及び水を含有せしめたことを特徴とす
る、銅配線半導体基板用フォトレジスト剥離液組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォトレジスト剥離液
組成物及びそれを用いた半導体基板処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ドライエッチングは絶縁膜、配線材料等
のパターン形成に用いられる最も重要な技術である。ド
ライエッチングプロセスは、スパッタやCVD、回転塗
布法などにより成膜した材料上にフォトレジストを塗
布、露光、現像によりパターンを形成し、次いで該フォ
トレジストをマスクとして反応性ガスを用いたドライエ
ッチングにより絶縁膜や配線材料のパターンを得る。次
いで灰化処理を行い、マスクとして用いたフォトレジス
トを灰化除去後に残留したレジスト残渣を剥離液により
除去するのが常法である。
【0003】近年半導体素子の配線の微細化、応答の高
速化に伴い、配線材料として銅の導入が検討されてき
た。銅は、一般にFやClを含む反応性ガスとの反応生
成物が高沸点であるためドライエッチングが難しく、銅
配線プロセスの導入が遅れていた。
【0004】しかし、ダマシンプロセスという新しい製
造プロセスの提案により、銅配線が実用化されようとし
ている。ダマシンプロセスとは、配線パターンを絶縁膜
に溝として形成し、スパッタやメッキなどにより銅を埋
め込んだ後、不要なブランケット銅を化学的機械研磨
(CMP)などで除去し、配線パターンを形成するプロ
セスであり、ここではドライエッチング工程は必要では
ないが、下部の銅と上部の配線を結ぶスルーホールの形
成の際に用いられ、この場合には従来の絶縁膜のエッチ
ング技術で可能である。
【0005】しかし、下層配線に銅を用いた場合には、
銅が露出した際に、ドライエッチング後のフォトレジス
ト残留物(一般にサイドウォールポリマーまたは側壁保
護膜と呼ばれている)の除去に従来の技術を適用できな
い。従来のドライエッチング後のフォトレジスト残留物
の除去技術としてはフッ素化合物を含有するもの(特開
平7−201794号公報)、ヒドロキシルアミンを含
有するもの(USP5334332)、第4級アンモニ
ウム化合物を含有するもの(特開平8−262746号
公報)などが先行技術として開示されている。
【0006】しかし、これらのものは、銅に対する腐食
性が強いので銅配線半導体基板には適用することができ
ない。さらにヒドロキシルアミン等のアミン類を含有す
る剥離液は、水を混合すると解離し、アルカリ性を呈す
るためにアルミニウムや銅などの金属材料を腐食する。
その為、通常2-フルハノールのような水溶性有機溶剤
でリンスした後、水リンスを行う。そのため工程が長く
なり、スループット、コストの面からも問題があった。
また、ドライエッチング後の酸素プラズマによる灰化処
理は銅を酸化してしまうという難点がある。
【0007】灰化処理による銅の酸化を避けるために、
銅と絶縁膜との間にチッ化シリコンのような保護膜を形
成し、絶縁膜のエッチング(保護膜でエッチングを停止
する)後に酸素プラズマによりフォトレジストを除去
し、次いで保護膜をドライエッチングで除去するという
プロセスも提案されている。この方法では、銅の酸化は
避けられるが工程が長く複雑になり、製造コスト、スル
ープットの面からも不利である。従って、灰化処理を行
わず、剥離液によりレジスト残留物とフォトレジストの
両方を除去することができるプロセスが望まれている。
【0008】すなわち、本プロセスに用いる剥離液とし
ては、銅を腐食することなく、レジスト残留物とフォト
レジストをともに除去できることが要件となる。特開平
10−256210号公報には、カルボン酸と水溶性有
機溶剤と水からなる半導体回路用洗浄剤が開示されてい
るが、これは銅配線プロセスのフォトレジスト残留物に
対し除去性を示さないため、銅配線半導体基板には使用
することができない。特開平11−316464号公報
は、本発明者らの出願に係るものであるが、ポリカルボ
ン酸又はそのアンモニウム塩の水溶液を用い、有機溶剤
を含まないことを特徴としているが、この剥離液は同公
報に係る出願が出願された当時の技術水準から見て、主
としてアルミ配線を対象としたものであり、ドライエッ
チング後のフォトレジストは、酸素プラズマにより灰化
除去されることが必須であって、これを同時に除去する
必要もなかった。当時、銅配線を実デバイスに導入する
技術は実用にほど遠く、同公報ではこの剥離液を銅配線
半導体基板に適用することも、またそれによる効果につ
いても全く検討されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、半導
体製造における絶縁膜や配線材料、キャパシタ、電極材
料のドライエッチング後のフォトレジスト残留物及びフ
ォトレジストの除去性に優れ、かつ銅の腐食性がなく、
さらに直接水リンス可能な半導体基板用剥離液組成物及
びその使用方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、銅配線基
板上に形成したスルーホールのフォトレジスト残留物お
よびフォトレジストの除去について鋭意研究する中で、
ポリカルボン酸のアンモニウム塩またはアミノポリカル
ボン酸のアンモニウム塩の少なくともひとつと、水溶性
有機溶剤を含有せしめた水溶液が、フォトレジスト残留
物及びフォトレジストの除去性に優れ、かつ銅に対する
腐食性がなく、さらに直接水リンス可能であることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、ポリカルボン酸アン
モニウム塩またはポリアミノカルボン酸アンモニウム塩
の少なくともひとつと水溶性有機溶剤及び水を含有せし
めたことを特徴とする、銅配線半導体基板用フォトレジ
スト剥離液組成物に関する。また本発明は、ポリカルボ
ン酸アンモニウム塩が、脂肪族ポリカルボン酸のアンモ
ニウム塩である、前記フォトレジスト剥離液組成物に関
する。本発明はまた、ポリカルボン酸アンモニウム塩
が、シュウ酸アンモニウム、マロン酸アンモニウム、コ
ハク酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウム、リンゴ
酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、クエン酸二アン
モニウム、クエン酸三アンモニウムからなる群から少な
くともひとつが選択される、前記フォトレジスト剥離液
組成物に関する。
【0012】さらに本発明は、ポリアミノカルボン酸の
アンモニウム塩が、エチレンジアミン四酢酸(EDT
A)、トランス-1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸
(CyDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチ
レントリアミン五酢酸(DTPA)、N-(2-ヒドロキ
シエチル)-N,N',N’-エチレンジアミン三酢酸(E
DTA−OH)のアンモニウム塩からなる群から少なく
ともひとつが選択される、前記フォトレジスト剥離液組
成物に関する。本発明はさらに、水溶性有機溶剤が、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレング
リコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、
N−メチル−2−ピロリジノン、ジエチレングリコール
ジメチルエーテル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリ
ジノンからなる群から少なくともひとつが選択される、
前記フォトレジスト剥離液組成物に関する。
【0013】銅配線半導体基板用である、前記フォトレ
ジスト剥離液組成物に関する。また本発明は、銅の防食
剤を含有せしめたことを特徴とする、前記フォトレジス
ト剥離液組成物に関する。本発明はまた、銅の防食剤が
芳香族カルボン酸類であることを特徴とする、前記フォ
トレジスト剥離液組成物に関する。
【0014】さらに本発明は、銅配線半導体基板の処理
方法であって、銅配線を形成した基板上にシリコン酸化
膜を形成した後、フォトレジストを塗布、露光、現像に
より形成したレジストパターンをマスクとして、絶縁膜
をドライエッチングした後、前記フォトレジスト剥離液
組成物を用いて、ドライエッチングにより生成したレジ
スト残留物及びフォトレジストを除去することを特徴と
する、前記方法に関する。また、本発明は、剥離液の使
用後に、有機溶剤でリンスすることなく、直接水リンス
することを特徴とする、前記方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて述べる。剥離液に用いられるポリカルボン酸のアン
モニウム塩とは、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のよ
うなジカルボン酸類;酒石酸、リンゴ酸などのようなヒ
ドロキシル基を持つジカルボン酸;クエン酸のようなヒ
ドロキシル基を持つトリカルボン酸;フタル酸やトリメ
リット酸のような芳香族ポリカルボン酸のアンモニウム
塩等を意味し、ポリアミノカルボン酸類とは、具体的に
はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランス-1,2
-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)、ニト
リロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸
(DTPA)、N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N',
N’-エチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)等の
化合物アミンのポリ酢酸塩を意味し、これらのアンモニ
ウム塩が使用される。
【0016】これらの遊離のポリカルボン酸は、塩酸な
どの無機酸類と異なり金属に対する腐食性がほとんどな
く、さらににカルボキシル基を2つ以上持つためにキレ
ート作用により金属の腐食防止作用を持つ。またこれを
アンモニウム塩とすることによりレジスト残留物を除去
する能力が付与される。ポリカルボン酸又はポリアミノ
カルボン酸のアンモニウム塩の濃度は、剥離能力と結晶
の析出等を考慮して決定されるが、好ましくは0.1〜
5質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%である。
【0017】水溶性かつレジストの除去性に優れた有機
溶剤としては、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2
−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジ
ノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、γ−ブチロラクトン等のような非プロ
トン性極性溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレン
グリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリ
コールモノエチルエーテルアセテート等のような多価ア
ルコールの誘導体;テトラヒドロフラン、ジオキサン、
トリオキサンなどのような環状エーテル;シクロへキサ
ノン等のようなケトン類等が挙げられるが、特に好まし
くはジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリジ
ノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノエチルエーテルである。これらの
有機溶剤の濃度は、フォトレジストの除去性、アンモニ
ウム塩の溶解性等を考慮して決定されるが、好ましくは
50〜80質量%である。
【0018】本発明の剥離液には、所望により銅の防食
剤を添加することもできる。銅の防食剤としては、例え
ばトリアゾール誘導体、チアゾール誘導体、アミノピリ
ジン誘導体、チオ尿素誘導体、オキサゾリジノン誘導
体、N−アシルアミノ酸類、芳香族カルボン酸類などが
挙げられるが、好ましくは芳香族カルボン酸類が特に効
果的であり、とりわけ5−スルホサリチル酸、無水トリ
メリット酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸が特に有効
であった。腐食防止剤の濃度は、腐食防止剤としての機
能、レジスト残留物の除去能力等を考慮して決定される
が、好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.
5〜3質量%である。
【0019】本発明の剥離液には、フォトレジストに対
する溶解性、基板材料に対する濡れ性を向上させるため
に界面活性剤を添加してもよい。このような目的にはド
デシルベンゼンスルホン酸のような炭化水素系のアニオ
ン型の界面活性剤;パーフルオロアルキルスルホン酸の
ようなフッ素系のアニオン型の界面活性剤;ポリオキシ
エチレンアルキルフェニルエーテルやエチレンオキシド
−プロピレンオキシドブロックコポリマーのような炭化
水素系のノニオン型の界面活性剤;パーフルオロアルキ
ルエチレンオキシド付加物のようなフッ素系のノニオン
型の界面活性剤を使用することができる。
【0020】
【実施例】以下に実施例を比較例と共に示し、本発明を
詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【0021】(剥離液評価:銅スルーホール)シリコン
酸化膜を形成したシリコンウェハ上に銅膜を形成した
後、さらにシリコン酸化膜を形成した。フォトレジスト
をマスクとして酸化膜をドライエッチングしてスルーホ
ールを形成した。この試料を表1の組成を有する本発明
の剥離液及び表2に示す従来使用されている剥離液を使
用し、種々の温度で10分間の処理を行い、リンスして
乾燥後、電子顕微鏡によりフォトレジスト残留物及びフ
ォトレジストの除去性及び銅に対する腐食性を調べた。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】 実施例および比較例の評価結果を表3に示す。レジスト
除去性の左側はレジスト残留物、右側はフォトレジスト
そのものの除去性を示す。
【0024】
【表3】
【0025】剥離液105のような従来のフォトレジス
ト剥離液では、レジスト残留物は除去できず、銅の腐食
の発生も見られた。シュウ酸のような脂肪族多価カルボ
ン酸は銅を腐食しないものの、レジスト残留物を除去す
ることができなかった。それに対して実施例に示すよう
に本発明による剥離液は良好な除去性を示し、また、腐
食性も見られないか、またはあっても僅かであった。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカルボン酸アンモニウム塩またはポ
    リアミノカルボン酸アンモニウム塩の少なくともひとつ
    と、水溶性有機溶剤及び水を含有せしめたことを特徴と
    する、フォトレジスト剥離液組成物。
  2. 【請求項2】 ポリカルボン酸アンモニウム塩が、脂肪
    族ポリカルボン酸のアンモニウム塩である、請求項1に
    記載のフォトレジスト剥離液組成物。
  3. 【請求項3】 ポリカルボン酸アンモニウム塩が、シュ
    ウ酸アンモニウム、マロン酸アンモニウム、コハク酸ア
    ンモニウム、マレイン酸アンモニウム、リンゴ酸アンモ
    ニウム、酒石酸アンモニウム、クエン酸二アンモニウ
    ム、クエン酸三アンモニウムからなる群から少なくとも
    ひとつが選択される、請求項1に記載のフォトレジスト
    剥離液組成物。
  4. 【請求項4】 ポリアミノカルボン酸のアンモニウム塩
    が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランス-
    1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)、ニ
    トリロトリ酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢
    酸(DTPA)、N-(2-ヒドロキシエチル)-N,N',
    N’-エチレンジアミン三酢酸(EDTA−OH)のア
    ンモニウム塩からなる群から少なくともひとつが選択さ
    れる、請求項1に記載のフォトレジスト剥離液組成物。
  5. 【請求項5】 水溶性有機溶剤が、プロピレングリコー
    ルモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチ
    ルエーテル、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−
    ピロリジノン、ジエチレングリコールジメチルエーテ
    ル、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる
    群から少なくともひとつが選択される、請求項1〜4の
    いずれかに記載のフォトレジスト剥離液組成物。
  6. 【請求項6】 銅配線半導体基板用である、請求項1〜
    5のいずれかに記載のフォトレジスト剥離液組成物。
  7. 【請求項7】 銅の防食剤を含有せしめたことを特徴と
    する、請求項1〜6のいずれかに記載のフォトレジスト
    剥離液組成物。
  8. 【請求項8】 銅の防食剤が、芳香族カルボン酸類であ
    ることを特徴とする、請求項7に記載のフォトレジスト
    剥離液組成物。
  9. 【請求項9】 銅配線半導体基板の処理方法であって、
    銅配線を形成した基板上にシリコン酸化膜を形成した
    後、フォトレジストを塗布、露光、現像により形成した
    レジストパターンをマスクとして、絶縁膜をドライエッ
    チングした後、請求項1〜8のいずれかに記載のフォト
    レジスト剥離液組成物を用いてドライエッチングにより
    生成したレジスト残留物及びフォトレジストを除去する
    ことを特徴とする、前記方法。
  10. 【請求項10】 剥離液の使用後に、有機溶剤でリンス
    することなく、直接水リンスすることを特徴とする、請
    求項9に記載の方法。
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