JP2001242430A - 高分子光スイッチの製造方法 - Google Patents

高分子光スイッチの製造方法

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JP2001242430A
JP2001242430A JP2000049718A JP2000049718A JP2001242430A JP 2001242430 A JP2001242430 A JP 2001242430A JP 2000049718 A JP2000049718 A JP 2000049718A JP 2000049718 A JP2000049718 A JP 2000049718A JP 2001242430 A JP2001242430 A JP 2001242430A
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argon
gas
nitrogen
oxygen
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Kiminori Maeno
仁典 前野
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Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子材料で形成された光導波路上に金属薄
膜等からなるヒーターを密着性良く形成する方法を提供
する 【解決手段】 下部クラッド層、コア、及び上部クラッ
ド層からなる高分子光導波路を形成後、上部クラッド層
の表面に対し、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O 2)ガ
ス、窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)と酸素(O2
の混合ガス、及びアルゴン(Ar)と窒素(N2)の混
合ガスの群から選択されたいずれか一つのエッチングガ
スを用いたスパッタエッチングによる表面処理13を行
い、その後、上部クラッド層上に、薄膜のヒーターを形
成すること、を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は高分子材料を用いた光
スイッチの製造方法に関し、特に熱光学効果を利用した
光スイッチのヒーターの密着性を改善する高分子光スイ
ッチの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の高分子材料を用いた光ス
イッチとして、以下の文献に開示される技術があった。 文献1:「高分子光導波路を用いたデジタル熱光学スイ
ッチの特性」大場直樹他2名、信学技報 LQE97―
44(1997−8)、13〜17頁。 文献2:「フッ素化ポリイミドを用いた光通信システム
用部品の研究動向」小林潤也 他3名、1998年電子
情報通信学会総合大会講演論文集、SC−12−6(1
998)、325〜326頁。
【0003】上記文献1には、高分子材料としてシリコ
ーン系材料を用いて作製されたデジタル熱光学スイッチ
(以下、デジタルTOスイッチと呼ぶ)が示されてい
る。また、上記文献2には、高分子材料としてフッ素化
ポリイミドを用いて作製されたデジタルTOスイッチが
示されている。
【0004】これら文献1、2に示されたデジタルTO
スイッチは基板上に高分子材料をスピンコート法を用い
て塗布し、フォトリソグラフィーと反応性イオンエッチ
ング(RIE)を用いて光導波路を形成した後に、光導
波路に熱を加える金属薄膜のヒーターをスパッタ法など
を用いて形成し、完成する。そして、このデジタルTO
スイッチにおいては、ヒーターの加熱による熱光学効果
によりスイッチ動作を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高分子
材料で作製された光導波路上に形成した金属薄膜のヒー
ターは一般的に剥離しやすく、特にフッ素化された樹脂
では金属薄膜ヒーターがさらに剥離しやすくなつてい
る。したがつて、光スイッチの信頼性を確保するため
に、金属薄膜ヒーターの剥離防止が重要な課題となつて
いる。本発明は、上記課題を解決し、高分子材料で形成
された光導波路上に金属薄膜等からなるヒーターを密着
性良く形成する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に請求項1の発明は、下部クラッド層、コア、及び上部
クラッド層からなる高分子光導波路を形成後、当該高分
子光導波路の上部クラッド層上に、スイッチ動作を行わ
せるためのヒーターを形成する高分子光スイッチの製造
方法において、前記上部クラッド層の表面に対し、アル
ゴン(Ar)ガス、酸素(O2)ガス、窒素(N2)ガ
ス、アルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガス、及び
アルゴン(Ar)と窒素(N2)の混合ガスの群から選
択されたいずれか一つのエッチングガスを用いたスパッ
タエッチングによる表面処理を行い、その後、前記上部
クラッド層上に、ヒーターを形成することを特徴とす
る。上記表面処理を行うことにより、ヒーターの密着性
が大幅に向上する。
【0007】請求項2の発明は、請求項1記載の高分子
光スイッチの製造方法において、アルゴン(Ar)と酸
素(O2)の前記混合ガス中における酸素(O2)の混合
率、またはアルゴン(Ar)と窒素(N2)の前記混合
ガス中における窒素(N2)の混合率を、20〜30%
としたことを特徴とする。これにより、ヒーターの密着
性がさらに向上する。
【0008】請求項3の発明は、請求項1または2のい
ずれかに記載の高分子光スイッチの製造方法において、
前記ヒーターとして、Ti(チタン)、Cu(銅)、A
u(金)、パーマロイの群から選択されたいずれか1種
の膜、若しくは2種以上の積層膜を用いることを特徴と
する。
【0009】請求項4の発明は、請求項3記載の高分子
光スイッチの製造方法において、前記積層膜が、Ti/
Cu積層膜、Cr/Au積層膜、及びCr/パーマロイ
積層膜の群から選択されたいずれか1つを用いることを
特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。なお、以下の実施の形態で説明に用
いる図面は、本発明が理解できる程度に、形状、大き
さ、配置関係を概略的に示しているに過ぎず、また、以
下に記載される数値等の条件や材料などは単なる一例に
過ぎないものであり、本発明はこの実施の形態の記載に
何ら限定されるものではない。
【0011】図1及び図2を参照して、本発明の第1の
実施の形態に係る高分子光スイッチの製造方法につい
て、以下に詳細に説明する。なお、ここではY分岐型光
導波路を有する高分子光スイッチの作製を例にとって説
明する。ここで、図1(A)〜(E)は、この第1の実
施の形態の製造方法における前半の製造工程を示す図で
あり、図2(A)〜(D)はこの第1の実施の形態の製
造方法における後半の製造工程を示す図である。
【0012】先ず、図1(A)に示すように、シリコン
からなる基板1上に、クラッド用材料であるフッ素化ポ
リイミド溶液(商品名:OPI―N3205、日立化成
(株)製)をスピンコート法により塗布した後、これを
350℃で1時間焼成する。この焼成により、フッ素化
ポリイミド溶液の溶媒の揮発やイミド化が生じて、フッ
素化ポリイミドからなる膜厚5μmの下部クラッド層3
が形成される。
【0013】次に、図1(B)に示すように、コア用材
料としてクラッド用材料(OPI―N3205)よりも
フッ素含有率が小さいフッ素化ポリイミド溶液(商品
名:OPI―N3405、日立化成(株)製)を用い、
下部クラッド層3の形成工程と同様にして、このフッ素
化ポリイミド溶液のスピンコート法による下部クラッド
層3上への塗布、350℃での1時間の焼成を行うこと
により、フッ素化ポリイミドからなる膜厚10μmのコ
ア層5が形成される。このコア層5は、下部クラッド層
3に比べてフッ素含有率が小さいために、下部クラッド
層3よりもその光学的屈折率が大きくなっている。
【0014】次に、図1(C)に示すように、コア層5
をパターニングして、コアのパターンの形成を行うた
め、レジストをコア層5上に塗布し、所定のマスクを用
いた露光、現像を行い、導波路のパターンに対応したレ
ジストパターン7をコア層5上に形成する。本例では、
Y分岐型光導波路のコアのパターンに対応したレジスト
パターン7を形成する。
【0015】次に、図1(D)に示すように、レジスト
パターン7をマスクとして反応性イオンエッチング装置
(以下、RIE装置という)を用いた反応性イオンエッ
チングを行って、コア層5を選択的にエッチングして、
Y分岐型光導波路に対応したコア5aのパターンを形成
した後、コア5a上に残存するレジストパターン7を剥
離液(商品名:剥離液10、東京応化工業(株)製)を
用いて除去する。ここで、コア5aのパターンの幅は1
0μmに形成した。なお、反応性イオンエッチングを行
う際に用いるエッチングガスとしては、酸素を用いた。
【0016】次に、図1(E)に示すように、コア5a
のパターンの周囲を覆うようにして、下部クラッド層3
上に、下部クラッド層3形成工程と同様にして、下部ク
ラッド層3形成に用いたのと同じクラッド用材料である
フッ素化ポリイミド溶液(商品名:OPI―N320
5、日立化成(株)製)をスピンコート法により塗布し
た後、これを350℃で1時間焼成する。この焼成によ
り、フッ素化ポリイミドからなる膜厚15μm(但し、
下部クラッド層3表面からの厚み)の上部クラッド層9
が形成される。この上部クラッド層9の光学的屈折率
は、下部クラッド層3のそれと同様のものとなる。この
ようにして、シリコン基板1上に、下部クラッド層3、
コア5a、上部クラッド層9からなる光導波路11が形
成される。
【0017】次に、図2(A)に示すように、上部クラ
ッド層9の表面に対しエッチングガスを用いたスパッタ
エッチングによる表面処理13を行う。このエッチング
ガスとして、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O2)ガ
ス、窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)と酸素(O2
の混合ガス、及びアルゴン(Ar)と窒素(N2)の混
合ガスの群から選択されたいずれかのガスを用い、また
混合ガスについては混合比を種々変えて、この表面処理
を行った。
【0018】上記混合ガスについて、その混合比とし
て、アルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスについ
てはAr:O2=9:1、8:2、7:3、6:4、
5:5、4:6、3:7、2:8、1:9とした9種類
のガスを用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)の混合
ガスについてもAr:N2=9:1、8:2、7:3、
6:4、5:5、4:6、3:7、2:8、1:9とし
た9種類のガスを用いた。また、この表面処理を行う際
のスパッタエッチング条件としては、ガス圧3mTor
r、投入電力100W、エッチング時間30秒で行っ
た。
【0019】このように、上部クラッド層9表面を上述
の各エッチングガスでスパッタエッチングすることによ
り、後述する金属薄膜ヒーター形成後にそれぞれ試料
(高分子光スイッチ)となるものの中間構造体である2
1種類の試料中間構造体を作製した。表面処理を実施し
たこれらの21種類の試料中間構造体のそれぞれの上部
クラッド層9表面に、図示はしていないが微小な凹凸が
形成され、また上部クラッド層9表面のフッ素原子など
が一部除去されてその表面が改質される。
【0020】次に、各試料中間構造体の光導波路11上
に、それぞれ金属薄膜からなるヒーターを形成する。そ
のために、まず、図2(B)に示すように、表面処理さ
れた上部クラッド層9上に、スパッタ法を用いてヒータ
ー材料として膜厚100nmのクロム(Cr)からなる
ヒーター層15を形成する。その際のスパッタ条件とし
ては、Arガス圧3mTorr、投入電力500Wで行
った。
【0021】次に、図2(C)に示すように、ヒーター
層15をパターニングして、ヒーターのパターンの形成
を行うため、レジストをヒーター層15上に塗布し、所
定のマスクを用いた露光、現像を行い、ヒーターのパタ
ーンに対応したレジストパターン17をヒーター層15
上に形成する。
【0022】次に、図2(D)に示すように、レジスト
パターン17をマスクとしてRIE装置を用いた反応性
イオンエッチングを行って、ヒーター層15を選択的に
エッチングして、Crからなるヒーター15aのパター
ンを形成した後、ヒーター15a上に残存するレジスト
パターン17を剥離液(商品名:剥離液10、東京応化
工業(株)製)を用いて除去する。ここでも、反応性イ
オンエッチングを行う際に用いるエッチングガスとして
は、酸素を用いた。
【0023】このようにして、表面処理条件の異なる2
1種類の高分子光スイッチ20がそれぞれ試料として完
成する。図3は、これらの高分子光スイッチを模式的に
示した平面図である。当然のことながらヒーター15a
とコア5aとは図2(D)に示すように同一平面には位
置していないが、便宜上、図3に示すように上方から平
面的に見た場合、Y分岐部を含むコア5aのパターンの
両側にCrからなる金属薄膜ヒーター15aが位置する
ように配置される。図3において、Y分岐型光導波路の
コア5aは幅10μm、長さ20mm、分岐部の分岐角
度0.5°であり、金属薄膜ヒーター15aは幅100
μm、コア5aとの平行部の長さ8mmに設定されてい
る。
【0024】このようにして作製された本発明の第1の
実施の形態の高分子光スイッチの各試料における金属薄
膜ヒーターの密着性試験を行った。このヒーターの密着
性試験は、JIS C5025に規定される、Z/AD
サイクルテストに従つて、本発明による試料と比較用試
料とで密着力の比較を行つた。
【0025】この比較を行うための比較試料として、前
述の第1の実施の形態の各工程の内、図2(A)で説明
した上部クラッド層9の表面処理工程は実施せず、それ
以外の工程のみを用いて形成した比較用試料としての高
分子光スイッチを作製した。
【0026】この密着性試験の手順につき説明すれば、
図4(A)に示す温度条件と図4(B)に示す湿度条件
との2つの条件下に試料を保持し、1サイクルが40時
間の試験を複数回に亙つて行った。評価は、ヒーター表
面を顕微鏡で観察して、膜のクラックの有無、剥離の有
無を確認することにより行った。この密着性試験の結果
は次の通りであった。 (1)まず、比較用試料は1サイクルで膜の剥離が確認
された。 (2)一方、本発明の第1の実施の形態による各試料に
ついては、以下の表1にその結果を示す。
【0027】
【表1】
【0028】上記の表1において、試料番号1は表面処
理をアルゴン(Ar)ガスのみで行った試料、試料番号
11は表面処理を酸素(O2)ガスのみで行った試料、
試料番号21は表面処理を窒素(N2)ガスのみで行っ
た試料、試料番号2〜10は表面処理をアルゴン(A
r)と酸素(O2)の混合ガスで行った試料、試料番号
12〜20は表面処理をアルゴン(Ar)と窒素
(N2)の混合ガスで行った試料である。
【0029】この表1に示す試料番号1〜21の試料の
密着性試験結果から明らかなように、上部クラッド層9
の表面に、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O2)ガス、
窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)と酸素(O2)の混
合ガス、及びアルゴン(Ar)と窒素(N2)の混合ガ
スの群から選択されたいずれかのエッチングガスを用い
たスパッタエッチングによる表面処理を行うことによ
り、剥離またはクラックが発生するサイクルが3サイク
ル以上となり、いずれの試料も、1サイクルでヒーター
の膜が剥離した比較試料に比べて、大幅に密着性が向上
していることが確認できた。特に酸素(O2)又は窒素
(N2)の混合率を20〜30%とした上記各混合ガス
を用いた場合には、試料番号3、4、13、14の試料
の密着性試験結果から明らかなように、剥離またはクラ
ックが発生するサイクルが5サイクル以上となり、さら
に一段と密着性が向上することが確認できた。
【0030】このように、上部クラッド層表面を上述の
各エッチングガスでスパッタエッチングするという簡単
なプロセスを適用することにより、上部クラッド層表面
に微小な凹凸が形成され、また上部クラッド層表面のフ
ッ素原子などが一部除去されて表面が改質されること
で、Crからなる金属薄膜ヒーターの上部クラッド層へ
の密着力が大幅に向上する。
【0031】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。この第2の実施の形態に係る高分子光スイッ
チの製造方法において、前述の第1の実施の形態の高分
子光スイッチの製造方法と異なる点は、ヒーター材料と
してTi(チタン)、Cu(銅)、Au(金)、パーマ
ロイ(ニッケル80、鉄20)、Ti/Cu、Cr/A
u、及びCr/パーマロイの群から選択されたいずれか
1つを用いた点である。それ以外の点については、前述
の第1の実施の形態と同様の製造工程、同様の材料を用
いて、この第2の実施の形態に係る高分子光スイッチを
作製している。
【0032】ここで、Ti/CuはTi膜上にCu膜を
積層した積層膜を示し、同様にCr/AuはCr膜上に
Au膜を積層した積層膜、Cr/パーマロイはCr膜上
にパーマロイ膜を積層した積層膜を、それぞれ示してい
る。これらの積層膜を用いる場合、その膜厚は各層50
nm、全体で100nmとした。また、Ti、Cu、A
u、パーマロイを用いる場合は、その膜厚は100nm
とした。また、いずれの材料を用いた場合も、そのヒー
ターの平面形状は前述の第1の実施の形態と同様の図3
に示す平面形状としている。
【0033】以下に、この第2の実施の形態の製造工程
について説明する。まず、下部クラッド層3の形成工程
(図1(A)参照)、コア層5の形成工程(図1(B)
参照)、コアのパターンに対応したレジストパターン7
の形成工程(図1(C)参照)、コア5aのパターンの
形成及びレジストパターン7除去工程(図1(D)参
照)、上部クラッド層9の形成工程(図1(E)参照)
については、それぞれの工程に対応する前述の第1の実
施の形態で説明した各工程と同様にして行う。
【0034】次に、前述の第1の実施の形態と同様にし
て、上部クラッド層9の表面に対しエッチングガスを用
いたスパッタエッチングによる表面処理13の工程(図
2(A)参照)を実施する。この第2の実施の形態にお
いても、エッチングガスとしては、アルゴン(Ar)ガ
ス、酸素(O2)ガス、窒素(N2)ガス、アルゴン(A
r)と酸素(O2)の混合ガス、及びアルゴン(Ar)
と窒素(N2)の混合ガスの群から選択されたいずれか
のガスを用い、また混合ガスについては混合比を種々変
えて、この表面処理を行った。
【0035】上記混合ガスについて、その混合比とし
て、アルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスについ
てはAr:O2=9:1、8:2、7:3とした3種類
のガスを用い、アルゴン(Ar)と窒素(N2)の混合
ガスについてもAr:N2=9:1、8:2、7:3と
した3種類のガスを用いた。また、この表面処理を行う
際のスパッタエッチング条件としては、ガス圧3mTo
rr、投入電力100W、エッチング時間30秒で行っ
た。
【0036】このように、上部クラッド層9表面を上述
の各エッチングガスでスパッタエッチングすることによ
り、後述する金属薄膜ヒーター形成後にそれぞれ試料
(高分子光スイッチ)となるものの中間構造体である9
種類の第1試料中間構造体を作製した。表面処理を実施
したこれらの9種類の第1試料中間構造体のそれぞれの
上部クラッド層9表面に、図示はしていないが微小な凹
凸が形成され、また上部クラッド層9表面のフッ素原子
などが一部除去されてその表面が改質される。
【0037】次に、上記9種類の第1試料中間構造体の
各々に対し、それぞれの光導波路11上に、それぞれ金
属薄膜からなるヒーターを形成するために、前述の第1
の実施の形態と同様にして、表面処理された上部クラッ
ド層9上に、スパッタ法を用いて膜厚100nmの金属
薄膜からなるヒーター層15を形成する工程(図2
(B)参照)を実施する。
【0038】前述したように、第1の実施の形態と異な
るのは、ここで用いるヒーター材料の種類である。この
第2の実施の形態においては、このヒーター材料とし
て、Ti(チタン)、Cu(銅)、Au(金)、パーマ
ロイ(ニッケル80、鉄20)、Ti/Cu、Cr/A
u、及びCr/パーマロイの群から選択されたいずれか
1つを用いている。このヒーター層を形成する際のスパ
ッタ条件としては、Arガス圧3mTorr、投入電力
500Wで行った。なお、この第2の実施の形態におい
ては、上部クラッド層9の表面処理のガスを異ならせた
上記9種類の第1試料中間構造体の各々に対し、それぞ
れヒーター材料として7種類用いてヒーター層を形成す
るために、63種類の第2試料中間構造体が作製され
る。
【0039】続いて、上記63種類の第2試料中間構造
体の各々に対し、ヒーター15aのパターンに対応した
レジストパターン17の形成工程(図2(C)参照)、
ヒーター15aのパターン形成及びレジストパターン1
7除去工程(図2(D)参照)を行う。これらの各工程
については、それぞれの工程に対応する前述の第1の実
施の形態で説明した各工程と同様にして行う。このよう
にして、光導波路11上にヒーター15aが形成された
第2の実施の形態による高分子光スイッチとして、63
種類の試料が作製される。
【0040】次に、これら63種類の試料(高分子光ス
イッチ)に対し、第1の実施の形態と同様の方法で密着
性試験を実施した。この密着性試験により評価した結果
を次の表2〜表8に示す。以下の各表において、表2は
ヒーター材料としてTiを用いた場合、表3はヒーター
材料としてCuを用いた場合、表4はヒーター材料とし
てAuを用いた場合、表5はヒーター材料としてパーマ
ロイを用いた場合、表6はヒーター材料としてTi/C
uの積層膜を用いた場合、表7はヒーター材料としてC
r/Auの積層膜を用いた場合、表8はヒーター材料と
してCr/パーマロイの積層膜を用いた場合の、それぞ
れの密着性試験の結果を示す。
【0041】また、以下の表2〜表8において、試料番
号22、31、40、49、58、67、76は表面処
理をアルゴン(Ar)ガスのみで行った試料、試料番号
26、35、44、53、62、71、80は表面処理
を酸素(O2)ガスのみで行った試料、試料番号30、
39、48、57、66、75、84は表面処理を窒素
(N2)ガスのみで行った試料、試料番号23〜25、
32〜34、41〜43、50〜52、59〜61、6
8〜70、77〜79は表面処理をアルゴン(Ar)と
酸素(O2)の混合ガスで行った試料、試料番号27〜
29、36〜38、45〜47、54〜56、63〜6
5、72〜74、81〜83は表面処理をアルゴン(A
r)と窒素(N2)の混合ガスで行った試料である。
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
【表5】
【0046】
【表6】
【0047】
【表7】
【0048】
【表8】
【0049】上記の表2〜表8に示す試料番号22〜8
4の試料の密着性試験結果から明らかなように、上部ク
ラッド層9の表面に、アルゴン(Ar)ガス、酸素(O
2)ガス、窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)と酸素
(O2)の混合ガス、及びアルゴン(Ar)と窒素
(N2)の混合ガスの群から選択されたいずれかのエッ
チングガスを用いたスパッタエッチングによる表面処理
を行うことにより、またヒーター材料として、Ti(チ
タン)、Cu(銅)、Au(金)、パーマロイ(ニッケ
ル80、鉄20)、Ti/Cu、Cr/Au、及びCr
/パーマロイの群から選択されたいずれか1つを用いる
ことにより、大多数の試料において剥離が発生するサイ
クルが3サイクル以上(一部2サイクルの場合もある)
となり、いずれの試料も、1サイクルでヒーターの膜が
剥離した比較試料(前述の第1の実施の形態の説明中に
記載)に比べて、大幅に密着性が向上していることが確
認できた。
【0050】また、いずれのヒーター材料を用いた場合
も、酸素(O2)又は窒素(N2)の混合率を20〜30
%とした上記各混合ガスを用いた場合には、アルゴン
(Ar)ガス、酸素(O2)ガス、窒素(N2)ガスの内
のいずれかを単独で用いた場合と比べ、同等かそれ以上
に密着性が向上することが判明した。その中でも特に、
ヒーター材料として、Ti、Ti/Cu、Cr/Au、
Cr/パーマロイの内のいずれかを用いた場合は、密着
性が非常に良好なものとなった。
【0051】このように、上部クラッド層表面を上述の
各エッチングガスでスパッタエッチングするという簡単
なプロセスを適用することにより、上部クラッド層表面
に微小な凹凸が形成され、また上部クラッド層表面のフ
ッ素原子などが一部除去されて表面が改質されること
で、金属薄膜ヒーターの上部クラッド層への密着力が大
幅に向上した。また金属薄膜ヒーターの材料として、T
i(チタン)、Cu(銅)、Au(金)、パーマロイ
(ニッケル80、鉄20)、Ti/Cu、Cr/Au、
及びCr/パーマロイのいずれも密着性の点から見て好
適なものであった。なお、パーマロイとしては、上記組
成(ニッケル80、鉄20)のものに限られず、その他
の組成のものも用い得る。また、積層膜構造のヒーター
については、上記した組み合わせ以外の、Cr、Ti、
Cu、Au、パーマロイのいずれか2種以上を適宜組み
合わせた積層構造とすることも当然可能である。
【0052】また、上述した以外に、他のヒーターとし
て使用可能な導電性金属や導電性酸化膜などの材料にお
いても密着力の向上が期待できる。また、Ti/Cu、
Cr/Au、Cr/パーマロイなどの2層積層膜構造の
ヒーターにおいても密着力の向上がみられることから、
他のヒーターとして使用可能な導電性金属や導電性酸化
膜などの材料を複数層積層したヒーターの積層膜化にお
いても本発明の方法は適用可能である。
【0053】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の高
分子光スイッチの製造方法によれば、アルゴン(Ar)
ガス、酸素(O2)ガス、窒素(N2)ガス、アルゴン
(Ar)と酸素(O2)の混合ガス、及びアルゴン(A
r)と窒素(N2)の混合ガスの群から選択されたいず
れか一つのエッチングガスを用いて、上部クラッド表面
を少量スパッタエッチングする表面処理を行うことで、
その後に形成されるCr、Ti、Cu、Au、パーマロ
イ、Ti/Cu、Cr/Au、或いはCr/パーマロイ
などからなる薄膜ヒーターの密着力を大幅に向上できる
という特有の効果を有する。
【0054】特に、酸素(O2)又は窒素(N2)の混合
率を20〜30%とした上記各混合ガス(アルゴン(A
r)と酸素(O2)の混合ガス、或いはアルゴン(A
r)と窒素(N2)の混合ガス)を用いた場合には、ア
ルゴン(Ar)ガス、酸素(O2)ガス、窒素(N2)ガ
スの内のいずれかを単独で用いた場合と比べ、同等かそ
れ以上に密着性が向上するという効果を有し、その中で
も特に、ヒーター材料として、Ti、Ti/Cu、Cr
/Au、Cr/パーマロイの内のいずれかを用いた場合
は、さらに密着性が良好なものとなるという特有の効果
を有する。
【0055】このように、本発明によれば、簡単なプロ
セスでヒーターの密着性の改善を図ることができ、高い
信頼性を有する高分子光スイッチを、歩留まり良く、良
好に、しかも安価に作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施の形態に係る高分子光スイッチ
の製造方法における前半の製造工程を示す図である。
【図2】本発明の各実施の形態に係る高分子光スイッチ
の製造方法における後半の製造工程を示す図である。
【図3】本発明の各実施の形態に係る高分子光スイッチ
の平面図である。
【図4】密着性試験の際の温度条件及び湿度条件を示す
図である。、
【符号の説明】
1 シリコン基板 3 下部クラッド層 5 コア層 5a コア(パターン) 7 レジストパターン 9 上部クラッド層 11 光導波路 13 表面処理 15 ヒーター層 15a ヒーター(パターン) 17 レジストパターン 20 光スイッチ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部クラッド層、コア、及び上部クラッ
    ド層からなる高分子光導波路を形成後、当該高分子光導
    波路の上部クラッド層上に、スイッチ動作を行わせるた
    めのヒーターを形成する高分子光スイッチの製造方法に
    おいて、 前記上部クラッド層の表面に対し、アルゴン(Ar)ガ
    ス、酸素(O2)ガス、窒素(N2)ガス、アルゴン(A
    r)と酸素(O2)の混合ガス、及びアルゴン(Ar)
    と窒素(N2)の混合ガスの群から選択されたいずれか
    一つのエッチングガスを用いたスパッタエッチングによ
    る表面処理を行い、 その後、前記上部クラッド層上に、ヒーターを形成する
    こと、を特徴とする高分子光スイッチの製造方法。
  2. 【請求項2】アルゴン(Ar)と酸素(O2)の前記混
    合ガス中における酸素(O2)の混合率、またはアルゴ
    ン(Ar)と窒素(N2)の前記混合ガス中における窒
    素(N2)の混合率を、20〜30%としたことを特徴
    とする請求項1記載の高分子光スイッチの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記ヒーターとして、Ti(チタン)、
    Cu(銅)、Au(金)、パーマロイの群から選択され
    たいずれか1種の膜、若しくは2種以上の積層膜を用い
    ることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載
    の高分子光スイッチの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記積層膜が、Ti/Cu積層膜、Cr
    /Au積層膜、及びCr/パーマロイ積層膜の群から選
    択されたいずれか1つを用いることを特徴とする請求項
    3記載の高分子光スイッチの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7283690B2 (en) 2002-07-02 2007-10-16 Omron Corporation Optical waveguide device, method of manufacturing the same, and optical communication equipment
JP2017028117A (ja) * 2015-07-23 2017-02-02 株式会社東芝 半導体装置の製造方法、半導体装置
DE102021112251A1 (de) 2020-12-29 2022-06-30 Interherence GmbH Opto-elektronischer Chip

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