JP2001242230A - 試料の断熱材を備えた冷却nmrプローブヘッド - Google Patents
試料の断熱材を備えた冷却nmrプローブヘッドInfo
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Abstract
勾配がかなり低減された冷却NMRプローブヘッドを提
供する。 【解決手段】 極低温に冷却可能なRF(無線周波数)
受信コイル装置(1)と、z軸方向に延在してNMR測
定により検査されるべき試料物質が入った試料チューブ
(6)を収納する室温パイプ(4)とを備えて成るNM
R(核磁気共鳴)プローブヘッドは、RF受信コイル装
置(1)と室温パイプ(4)との間に、z軸方向に延在
し、半径方向に室温パイプを囲む少なくとも一つの、好
ましくは数個の放射シールド(9)が配置され、この放
射シールド(9)は、z軸方向に配向された1つ又は幾
つかの材料から成り、RF場に対してほとんど完全な透
過性を有し、RF場に対して5%未満の、好ましくは1
%未満の吸収性を少なくとも有することを特徴とし、そ
れにより、NMR測定を損なうことなく、z軸方向の温
度勾配を簡単にかつかなり低減する。
Description
なRF(無線周波数)受信コイル装置と、z軸方向に延
在してNMR測定により検査されるべき試料物質が入っ
た試料チューブを収納する室温パイプとを備えて成るN
MR(核磁気共鳴)プローブヘッドに関する。
例えば米国特許第5,247,256から公知である。
磁場を発生させるために、磁石中に設置されるが、測定
中の受信NMR信号のSN比を向上させるために、z軸
の周りに配置され、好適な熱交換装置と熱伝導部材を用
いて動作中に、約10〜25Kの温度にまで冷却される
RF受信コイルを備えて成る。RF受信コイルは、断熱
上の理由で真空化領域に置かれ、その真空化領域は、主
として、試料チューブを収納するためにz軸の周りに円
筒状に配設される室温パイプが貫通するプローブヘッド
の、通常金属のケースによって形成される。RF信号を
試料からRF受信コイルまで通過可能とするために、さ
もなければ金属製である室温パイプは、コイルの軸方向
領域においては、ほとんどの場合ガラス製のパイプであ
るRF透過性内部パイプによって置き換えられ、この内
部パイプは空密状態で室温パイプの金属部分に接続され
る。
ら室温パイプに挿入した後、下から室温パイプを通って
流れる暖気を用いて所望の温度(通常約300K)に略
維持して試料物質の温度を制御する。しかし、これによ
って、測定用試料がNMR共鳴器の10〜25Kに冷却
されたかなり冷たい周囲を“感じ”て、熱をこの方向に
放射する。この失われた熱は、押し寄せる暖気の流れに
より連続的に補充されて、測定用試料が略所望の温度に
確実に維持されねばならない。そのため、軸方向及び半
径方向の温度勾配が、測定試料に生じ、NMR測定を大
きく損なう。
を備え、NMR測定を損なうことなくz軸方向の温度勾
配がかなり低減された冷却NMRプローブヘッドを提供
することである。
り、RF受信コイル装置と室温パイプとの間に、半径方
向に室温パイプを囲み、z軸方向に延在する少なくとも
一つの放射シールドであって、RF場に対してほとんど
完全な透過性を有し、しかし、RF場に対して5%未満
の、好ましくは1%未満の吸収性を少なくとも有するz
軸方向に配向された1以上の材料から成る放射シールド
を設けることによって、驚くほど簡単かつ有効に、達成
される。
のNMRプローブヘッドは、いわゆるフロースルーヘッ
ドを含み、当該フロースルーヘッドにおいては、試料チ
ューブが固定して設置され、検査されるべき流体が一方
側(底部側)の狭い導管を通じて導入され、他方側(頂
部側)から導出される。この種のプローブヘッドは、連
続的な流路において用いていもよく、また、(より長い
測定期間のために)フロー・アンド・ストップモードで
用いてもよい。これらのプローブヘッドは、試料の急速
な導入や、液体クロマトグラフィー分離セルにしたがっ
た重要な分析工程のために用いられる。前者は、フロー
スループローブヘッドと呼ばれ、後者は、LC-NMR
カップリングと呼ばれる。この種のプローブヘッドは、
LC(液体クロマトグラフィー、特にHPLC(高圧液
体クロマトグラフィー))ヘッドとも呼ばれる。この種
のプローブヘッドは、特に極低温技術の便益を受けるこ
とができ、また本発明に係るさまざまな態様の便益も受
けることができる。
を小さくするために放射シールドを用いてきたが、この
方法は、冷却NMRプローブヘッドには直接応用できな
い。なぜならば、熱放射を反射する通常金属製の放射シ
ールドは、測定試料からRF受信コイルへのRF場の伝
搬を完全に阻止するか又は少なくとも強く損なって、入
力されるNMR信号が少なくとも大きく減衰され、歪め
られあるいは完全に利用不能となるからである。
Fコイルと室温パイプとの間の真空に設けられる放射シ
ールドは、ただ単にz軸方向に配向された材料から成
る。放射シールド材の軸方向の配向によって、その限定
された感受性がNMR信号の解像度を損なうのを防止す
る。他方、当該放射シールド材の物理的性質は、ラジオ
周波数放射の領域においては、できるだけ大きな透明性
を持つべきである。ほとんどの場合、この材料特性は、
失われた熱の測定試料側への戻り反射があまり大きくな
いというそれに関連した不利を有する。
ールドがRF受信コイル装置と室温パイプとの間に半径
方向の配列で配置され、N ≧ 2、好ましくは、5 ≦
N≦ 25であることが特に好ましい。半径方向に前後
に配置される複数の本発明の放射シールドによって、下
記に詳細に示すように、熱放射の反射性を全く持たない
(即ち、「黒い」)材料の場合にも、実質的な放射バリ
ヤーの形成により測定試料からの熱損失をかなり低減す
ることが可能になる。RF受信コイル装置と室温パイプ
の真空側との間の真空において得られる空間は、極めて
限られているので、実際上、半径方向の配列として使用
可能な放射シールとの数Nは、限られている。N個の放
射シールドが半径方向において互いに最小限離れてお
り、互いに接触していないか、せいぜい、点で、あるい
は線で接触していて、熱的な「短絡」に至るであろう半
径方向の個々の放射シールド間の直接の熱伝導を防止す
るのが有利である。放射シールド間のたまにおきる接触
は、特に選ばれた材料の熱伝導性が非常に低い場合は、
大きな問題ではない。個々の接触ポイント又は線が、互
いに十分間隔が空けられている限り、半径方向に配され
た放射シールドの全体の熱伝導は、本発明の目的からは
ほとんど無視してよい。
に、RF受信コイルと測定試料間の間隔は大きくするべ
きではないので、個々の放射シールドはできるだけ薄く
するべきである。したがって、放射シールドは、半径方
向の厚さが0.1mm未満、好ましくは、50μm未満
であるべきである。
態様においては、10μm≦λ≦100μmの波長範囲
の放射を反射あるいは少なくとも吸収し、100mm>
λの波長範囲の放射に対して透過性を有する材料から、
放射シールドが構成されていることが特に好ましい。前
者の波長範囲は、測定試料と冷却されたNMRコイル間
の温度差に対応する約20K〜300Kの間の温度での
熱放射に対応する。後者の波長範囲は、3GHzより低
い周波数の放射に対応し、その場合、NMR測定に対し
て重要なRF範囲は、数MHzと約1GHz弱との間に
ある。
による損失がなく、他方上記の熱放射範囲において透過
性を有しない最適の材料は、例えば、ガラス又は石英で
ある。
シールドは、理論的には、室温パイプを同軸に囲むチュ
ーブとして構成可能である。しかし、チューブ材は、通
常厚みが大きすぎるであろう。
することもできるが、その製造及び処理は比較的困難で
ある。z軸方向に沿う箔の配向は、例えば、機械的な引
張応力を加えることにより実現することができる。
シールドが一方向織物から製造されていることが好まし
い。
向織物は、市販されている。
好ましくは、特に、直径10μm未満、及び全体の厚さ
が約30μmの繊維から製造された繊維ガラスマットか
ら成るのが好ましい。そのような繊維ガラスマットを用
いるときは、個々の円筒状の放射シールドの半径方向の
配列を設ける代わりに、室温パイプの周りにその真空側
に螺旋状に数層に繊維ガラスマットを巻くことが好適で
あろう。
シールドは、z軸方向に配向された棒材又は繊維、好ま
しくは、ガラス繊維及び/又は石英繊維から成り、半径
方向に室温パイプの軸の周囲に配置される。この種の繊
維は、直径10〜50μmのものが利用可能である。5
μm未満の直径を有するガラス製のフィラメントも利用
可能であるが、これは多分加工するのが困難である。
ドは、個別のフィラメントよりやや高い全体的な機械的
安定性を有する繊維の束から成り、したがってより加工
しやすく、棒材に類似している。
は、空間的に支持されない状態で配置して、その端部に
おいてのみ固定してよい。
対して同軸に配置された支持パイプに、好ましくは、R
F受信コイル装置に面する室温パイプの側に取り付けて
よい。
棒材又は繊維は、接着による測定用試料からRF受信コ
イルへのRF放射の減衰を防止するために、RF放射に
対して透過性の接着剤を用いて支持パイプ又は室温パイ
プに取り付けられる。
は繊維は、室温パイプの周りに周辺方向に密集して詰め
られ、半径方向に「見た」ときの目視可能な隙間がない
ようにする。このようにして、棒材又は繊維は、各々周
辺方向に結合された放射シールドを形成する。
態様においては、測定位置の試料チューブを室温パイプ
の軸を中心にセンタリングするためにセンタリング手段
を配することが特に好ましい。冷却NMRプローブヘッ
ドの作動中に生じうる、z軸に対して半径方向に延在す
る横方向の温度勾配は、単位面積あたりの熱損失と、調
温用ガスの質量流量の逆数と、試料チューブ軸の室温パ
イプのz軸からの変位又は角偏差を含む対称係数の積と
して与えられる。この対称性は、全体の積における係数
として現れるので、室温パイプ内における測定用試料の
僅かな傾きでも調温用の流れに対してかなりの効果を有
する。したがって、提案されたセンタリング手段を用い
て、温度勾配をさらにかなり低減して、NMR信号の品
質を改善することが可能である。
においては、センタリング手段は、室温パイプと試料チ
ューブとの間に配設され、室温パイプのz軸を中心に対
称に配分された1以上のスペーサから成る。
ーブの底部の領域に、及び/又は、試料チューブに面す
る室温パイプの側の室温パイプの装入開口部の領域に配
設してもよい。あるいは、これらのスペーサは、RF受
信コイル装置の軸方向全長に亘り延在してもよい。
は、測定位置の試料チューブとは反対側を向いたその各
端部において室温パイプと剛固に接続され、その測定位
置の試料チューブに向くその各端部は、試料チューブに
向って膨れたビードを有し、その自由な脚部は、室温パ
イプに着座している、z軸方向に延在する弾性を有する
複数の細長い細片から成る。
ーサは、RF放射に対して透過性の材料から製造される
べきである。
は、約100μmの厚さとz軸を横断する約0.5mm
〜2mm、好ましくは約1mmの幅を有するシート状金
属片から成る。
好ましい態様においては、半径方向に試料チューブを囲
み、z軸方向に延在し、良好な熱伝導性を有し、RF場
に対してほとんど完全な透過性を有し、RF場に対して
5%未満、好ましくは1%未満の吸収率を少なくとも有
する調温手段が、RF受信コイル装置と試料チューブと
の間に、配置される。
こと、したがって不均一な冷却を、受信されるNMR信
号を大きく損なうことなく防止することができる。その
ような調温手段が試料チューブの周囲の加熱された空気
流に対して有する利点は、熱効率が試料チューブの全軸
長に亘り均一に作用し得るという点である。それによ
り、中心領域は、縁部領域と同じくらい良く調温され、
効果的に軸方向の温度勾配を防止する。
は、本発明に係る加熱手段がない場合、通常試料チュー
ブの下端部側から室温パイプに入り、この場所で試料チ
ューブの加熱を開始し、軸方向に上昇する間冷却されつ
づける。試料チューブの上側の領域における加熱された
空気流の温度は、したがって、常に、下側の領域よりも
低いであろうし、それにより必然的に試料チューブの上
側領域の調温効率を低下させる。その結果、常に、軸方
向の温度勾配が生じ、この温度勾配は、単位時間あたり
の空気の量を増大させることにより幾分低減できるが、
原理的に防止することが不可能である。のみならず、こ
の対応策も大いに制限されている。なぜならば、もし単
位時間あたりの空気の量が大きすぎれば、試料チューブ
を振動の影響なしに位置決めしたり、しかるべく回転さ
せたりすることは、もはや保証できなくなるからであ
る。
ては、調温手段は、1mm未満、好ましくは、50μm
未満の半径方向の厚さを有し、試料チューブをRF受信
コイル装置の軸方向領域において半径方向に囲み、波長
範囲100nm≦λ≦100μmにおける放射を少なく
とも部分的に吸収し、波長範囲λ>100mmにおける
放射に対して透過性を有する材料で形成された層を備え
て成る。
るNMRプローブヘッドは、加熱手段を備えることが好
ましい。
段は、この層に波長範囲100nm≦λ≦100μmの
放射、特に熱放射を照射する装置を備え、この装置は、
RF受信コイル装置に面する室温パイプの側部に配置さ
れることが好ましい。
な多くの材料が、所望の波長範囲において、吸収を行う
ので、上記照射を用いた加熱は特別な放射吸収層を必要
としない。
プを囲んでよい。あるいは、この層は、周辺方向に互い
に離隔して配置された軸方向に延在する細片として室温
パイプの周囲に配してもよい。
有し、電圧の印加により加熱可能であることが特に好ま
しい。
更なる態様においては、調温手段は、各々出線及び帰線
導体を備えて成り、良好な伝導特性を有する、薄い、特
に層状の材料の1以上の加熱コイルから成る。各加熱コ
イルの出線及び帰線導体は、互いに電気的に一端で接続
され、他端で電流源から加熱電流を供給されることが可
能である。
の出線及び帰線導体は、電流が流れている間の外乱性磁
場の発生をできるだけ少なくするために、互いにできる
だけ小さな間隔でバイファイラ巻き状に配置される。
層又は絶縁細片により互いに電気的に絶縁されて重ねて
配置された2つの長手の細片から成るのが有利である。
コイルの出線及び帰線は、異なる磁気的感受性を有する
材料であって、各加熱コイル全体が外部に向かって磁気
的に補償されるように選択される材料から製造されるこ
とが好ましい。
イプの周囲に螺旋状に配置されるように幾何学的に設計
することができる。
8個のz軸と平行に延在する加熱コイルを、室温パイプ
のz軸の周りに周辺方向に互いに離隔させて配すること
も可能である。
が、加熱コイルがRF受信コイル装置と最小限度で結合
されるような向きであることである。
ば銅)を有する加熱コイルが好ましく、その場合、導体
は、四角形(正方形でもよい)又は円形の断面(一般
に、10μmx10μm以下の大きさ)を有する。結果
として全体として非常に小さい表面を覆うので、室温パ
イプは、RF場に対して良好な透過性を維持し、RF損
失も、加熱導体の表面が小さいことと良好な電気的(し
たがってRF)伝導性の両方により非常に低い。
は、電流源と加熱コイルとの間にローパスフィルタを設
けて信号ひずみや残留減衰量を最小化してもよい。
イルとの間に、共鳴周波数がNMR測定に関連するもっ
とも感受性の高いRF周波数である並列共振回路を設け
ることも好ましい。そのような除波回路も、外乱信号の
RF受信コイルへの伝達を防止し、加熱コイルを介して
のRF信号の不要な結合による消失(coupling-out)を
最小化することができる。
おける更なる外乱をできるだけ小さく保つために、加熱
コイルに交流を供給するのが有利である。角周波数は、
それにより、発生する側波帯がすべて観察されるNMR
スペクトル窓の外部にあるように選択される。
及び図面から抽出することができる。上述の及びこれか
ら述べる特徴は、本発明にしたがい、個別に又はまとめ
て、いかなる任意の組み合わせにおいても用いることが
可能である。図示し、説明した態様は、網羅的な列挙と
しててではなく、むしろ本発明を説明するための例示と
しての性格を有すると理解されるべきである。
の実施の形態により、より詳細に説明する。
ッドは、軸方向に延在する室温パイプ4の周囲にz軸を
中心に対称的に配されたRF受信コイル装置1を備えて
成る。室温パイプ4は、NMR測定により検査されるべ
き試料物質7を入れた試料チューブ6を収納する役目を
果たす。
着されるが、この熱伝導体2は、RF受信コイル装置1
を極低温、通常は、T1≒25Kに冷却する役目を果た
す。
ローブヘッドのケーシング3に接続されるが、その中心
部は、RF場に対して透過性の内部パイプ5(主として
ガラス製)から成る。試料チューブ6は、室温パイプ4
内部に軸方向に突出し、ガス流8により測定中所望の温
度に維持される。ガス流は、室温T2≒300Kに略調
温される。
信コイル装置1と室温パイプ4との間に、室温パイプ4
を半径方向に囲み、z軸方向に延在する幾つかの放射シ
ールド9が配置されている。放射シールド9は、z軸方
向に配向され、RF場に対してほとんど完全な透過性を
有する材料で作られている。放射シールド9は、図2に
明瞭に示されるように、半径方向に互いに分離され、互
いに接触してないか、せいぜい点接触あるいは線接触す
る程度である。それらは、0.1mm未満、好ましく
は、50μm未満の半径方向厚さを有する。放射シール
ド9は、好ましくは、ガラス又は石英から製造される。
向を得るために、放射シールド9は、一方向箔、一方向
織物、特に繊維ガラスマット、又は軸方向に延びる棒材
もしくは繊維、好ましくはガラスもしくは石英繊維又は
繊維束から形成してよい。
状態で配置してその端部でのみ取り付けるようにしてよ
く、あるいは、実施の形態のように室温パイプ4に取り
付けてもよい。
面を示し、放射性の熱流Qは、試料チューブ6から半径
方向にRF受信コイル装置1の方に通る。なぜならば、
受信コイル装置1は、約25Kの極低温に維持され、試
料チューブ6は、下方から供給される調温された空気流
8を用いて略室温に維持されるべきであるからである。
試料チューブ6からの熱放射は、調温流8により供給さ
れる熱を考慮に入れると、図3の右側に模式的に示すよ
うに、試料チューブ6内で軸方向の温度依存性を有する
ことになる。
ばしば、記録されるNMRスペクトルに好ましくない劣
化をもたらす。化学シフトの温度依存性のため、線幅が
大きくなり、2つの物質の同時シミング(shimming)を
妨げることがある。この効果は、水の場合特に顕著であ
る。
流効果も生じうる。その結果としての変動は、シミング
及びNMR実験の最中の安定性をかなり損なうことがあ
る。z軸方向の温度勾配に加えて、もし、試料チューブ
6が室温パイプ4の中央に正確に位置決めされなけれ
ば、図4aの水平断面図に模式的に示すように、横方向
の勾配も発生し得る。
れ抵抗の結果として生じる互いに異なる質量流量によ
り、いずれの側にも異なる長手方向勾配が生じ、横方向
温度勾配をもたらすが、これは、図4bに示すように頂
部に行くほどはっきりする。示された3つの温度依存性
のうち、中央のものは、対称的な場合を示す。
されるように、通常液体である試料物質7中における対
流の形成を促進する。z軸方向の関連する温度依存性を
図5bに示す。右側(=R)の温度依存性はそのため左
側(=L)の温度依存性かなり相違することがある。
中心部5を良好な熱伝導性を有する材料から製造し、そ
れによって横方向の温度勾配(x−y方向)をかなり低
減することである。しかし、無視できるほど小さいRF
放射吸収性を有し、また、必要な高い熱伝導性も示す材
料のみが使用可能である。具体例は、サファイヤであ
る。
導性(実線)での室温パイプ4、特に内部パイプ5の場
合の状況を示す。z軸に沿う温度依存性は、それによっ
てほとんど影響されることはありえない(その2つの極
値の平均であること以外)。
温度依存性のみが改善可能である。図7に示す室温パイ
プ4の良好な熱伝導性の内部についてのz軸方向の温度
依存性の模式図に示されるように室温パイプ4に単に熱
伝導対策を施すだけではリニアな温度勾配を除去するこ
とはできない。
信コイル装置1間の熱放射の流れを調べるために、図8
aに温度T1の表面F1と温度T2の対向する面F2間の放
射性能を模式的に示す。表面F1から表面F2への放射パ
ワーは、 Q12=AxσxT1 4xε であり、反対方向への放射パワーは、 Q21=AxσxT2 4xε である。
は、比熱流(約5.77x10-8W/m2K4)であり、
εは、放射係数であって、0と1の間である。衝突する
放射を反射できない2つの完全に黒い物体の場合、ε=
1である。
ワーQ2は、 Q2=Q21−Q12=Axσx(T2 4−T1 4) である。
持たない黒い放射シールドF3をその2つの表面F1及び
F2の間に導入する場合、図8bに示すように平衡化温
度T 3が放射場によりそこに生じる。
れると、両面間の熱流は、相違離隔度Δ(T4)に比例
する。このことは、単に2つの表面がある図8aに示さ
れた場合についての図9aと両面の間に1つの放射シー
ルドを置いた図8bの場合についての図9bに示され
る。放射シールドF3の温度T3の平衡条件としては、表
面F2と表面F3との間の正味の熱流Q’23と放射シール
ドF3と表面F1との間の正味の熱流Q’31が等しいこと
である。
F3を介在させることにより、温度差Δ(T2 4−T3 4)=
Δ(T3 4−T1 4)が図9aの温度差Δ(T2 4−T1 4)の
値の半分になった。なぜならば Q’23=Q’31=0.5xQ21 であるからである。
に対して半径方向に前後して配置されたN個の放射シー
ルドについて一般化した状況を示す。
立つ: Q2N=(N+1)-1xQ21 このことは、N個の黒い放射シールドが用いられた場
合、表面F2よって発散される正味の放射パワーは、
(N+1)-1に低減されることを意味する。
測定の適用のための基本的な必要条件が満たされること
を前提とする。即ち、静磁場B0の均質性が損なわれて
はならないことである。z軸方向に変化する磁気的特性
を有するすべての磁気的対象物は、B0場の潜在的外乱
の原因となる。
有する物質の使用と関連するが、図10aに模式的に示
されている。磁気擾乱は、ある空間領域中の均一な磁場
の磁力線のゆがみを引き起こす。
示し、図中、放射シールド9は、B 0場に沿ってz軸方
向に延び、それにより測定試料7の決定的な領域におけ
る磁化率χ>0にも関わらず、磁場の外乱を引き起こさ
ない。
ローブヘッドの好適な実施の形態を示し、図示された実
施の形態においてはz軸の周りに対称的に配置された4
つのスペーサ10を有するセンタリング手段を備えて成
る。室温パイプ4内において試料チューブ6に対して施
された適切なセンタリングは、対流を防止し、したがっ
て上述のように、試料物質7内における温度勾配の形成
を防止する。
イプ5の軸方向領域において調温手段を有する本発明の
NMRプローブヘッドの縦断面略図とz軸に沿う関連す
る温度依存性を示す。調温手段11は、例えば、加熱手
段19用いた内部パイプ5の領域における室温パイプ4
上の対応する面の電熱及び/又は放射熱により実現する
ことができる。図の右側に示すz軸に沿う温度依存性
は、調温手段がない場合(実線)と調節された調温手段
を有する場合(破線)の状況を示し、後者の場合、全z軸
に亘りほとんど一定の温度が観察できる。
極低温に冷却可能なRF(無線周波数)受信コイル装置
(1)と、z軸方向に延在してNMR測定により検査さ
れるべき試料物質が入った試料チューブ(6)を収納す
る室温パイプ(4)とを備えて成るNMR(核磁気共
鳴)プローブヘッドにおいて、前記RF受信コイル装置
(1)と前記室温パイプ(4)との間に、z軸方向に延
在し、半径方向に前記室温パイプ(4)を囲む少なくと
も一つの放射シールド(9)であって、RF場に対して
ほとんど完全な透過性を有し、又はRF場に対して5%
未満の、好ましくは1%未満の吸収性を少なくとも示す
z軸方向に配向された1以上の材料から製造された放射
シールド(9)を配置するようにしたので、NMR測定
を損なうことなく、z軸方向の温度勾配をかなり低減す
ることができる。
コイル装置の領域における、z軸に沿う縦断面略図であ
る。
コイル装置の軸領域における、水平断面略図である。
来技術の冷却NMRプローブヘッドの縦断面略図であ
る。
試料チューブを有する装置の水平断面略図であり、図4
bは、図4aに係る装置に関連したz軸方向の温度分布
を示す略図である。
た試料チューブと測定試料内に示される対流とともに示
す縦断面略図であり、図5bは、図5aの装置の左右の
側のz軸方向の関連する温度依存性を示す略図である。
れ、RF受信コイルの領域にある室温パイプの内側が良
好な熱伝導性を有する場合の、z軸方向の調温ガスへの
温度依存性を示す略図である。
合の、z軸方向の温度依存性を示す略図である。
面との間の放射による熱の流れを表した略図であり、図
8bは、図8aに対応し、しかし、上記2つの表面間に
温度T3の1つの放射シールドを有する場合の略図であ
る。
間の熱の流れを示す図であり、図9bは、T4縮尺上で
の図8bに係る装置の状況を示す図であり、図9cは、
図9bに対応し、しかし、1つではなく、4つの介在放
射シールドを有する場合の図である。
より生じる磁気的外乱を表した略図であり、図10b
は、図10aに対応し、しかし、磁場に沿うz軸方向に
延びる対象を有する場合の略図である。
明の装置の縦断面略図であり、図11bは、図11aに
係る装置の水平断面図である。
縦断面略図をz軸方向の関連する温度依存性とともに示
す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 極低温に冷却可能なRF(無線周波数)
受信コイル装置(1)と、z軸方向に延在してNMR測
定により検査されるべき試料物質が入った試料チューブ
(6)を収納する室温パイプ(4)とを備えて成るNM
R(核磁気共鳴)プローブヘッドにおいて、 前記RF受信コイル装置(1)と前記室温パイプ(4)
との間に、z軸方向に延在し、半径方向に前記室温パイ
プ(4)を囲む少なくとも一つの放射シールド(9)で
あって、RF場に対してほとんど完全な透過性を有し、
又はRF場に対して5%未満の、好ましくは1%未満の
吸収性を少なくとも示すz軸方向に配向された1以上の
材料から製造された放射シールド(9)を配置すること
を特徴とするNMRプローブヘッド。 - 【請求項2】 N個の放射シールド(9)が前記RF受
信コイル装置(1)と前記室温パイプ(4)との間に半
径方向の配列で配置され、N ≧ 2、好ましくは、5
≦ N ≦ 25であり、前記N個の放射シールド(9)
は、半径方向において互いに離間しており、互いに接触
していないか、せいぜい、点で、あるいは線で接触して
いることを特徴とする請求項1記載のNMRプローブヘ
ッド。 - 【請求項3】 前記放射シールド(9)が、10μm≦
λ≦100μmの波長範囲の放射を吸収あるいは反射
し、100mm>λの波長範囲の放射に対して透過性を
有する材料から成ることを特徴とする請求項1又は2記
載のNMRプローブヘッド。 - 【請求項4】 前記放射シールド(9)は、z軸方向に
配向された、一方向箔、一方向織物、棒材又は繊維、好
ましくはガラス繊維及び/又は石英繊維から製造され、
半径方向に前記室温パイプ(4)の軸の周囲に配置され
ていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に
記載のNMRプローブヘッド。 - 【請求項5】 測定位置の前記試料チューブ(6)を前
記室温パイプ(4)の軸を中心にセンタリングするため
に、センタリング手段を設け、当該センタリング手段
は、前記室温パイプ(4)と前記試料チューブ(6)と
の間に配設され、前記室温パイプ(4)のz軸を中心に
対称的に配分された1以上のスペーサ(10)から成る
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の
NMRプローブヘッド。 - 【請求項6】 前記RF受信コイル装置(1)と前記試
料チューブ(6)との間に、z軸方向に延在し、半径方
向に試料チューブ(6)を囲み、好ましくは、高い熱伝
導性を有し、RF場に対してほとんど完全な透過性を有
するか、又はRF場に対して5%未満、好ましくは1%
未満の吸収率を少なくとも示す調温手段(11)が配置
されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの
項に記載のNMRプローブヘッド。 - 【請求項7】 前記調温手段は、前記試料チューブ
(6)を前記RF受信コイル装置(1)の軸方向領域に
おいて半径方向に囲み、1mm未満、好ましくは、50
μm未満の半径方向の厚さを有し、波長範囲100nm
≦λ≦100μmにおける放射を少なくとも部分的に吸
収し、波長範囲λ>100mmにおける放射に対して透
過性を有する材料で形成された層を備えて成ることを特
徴とする請求項6に記載のNMRプローブヘッド。 - 【請求項8】 前記調温手段(11)は、各々出線及び
帰線導体を備えて成り、良好な導電性を有する、薄い、
特に層状の材料の1以上の加熱コイルから成り、前記加
熱コイルの前記出線及び帰線導体は、互いに電気的に一
端で接続され、他端で電流源から加熱電流を供給され得
ることを特徴とする請求項6又は7に記載のNMRプロ
ーブヘッド。 - 【請求項9】 前記加熱コイルは、前記RF受信コイル
と最小限度で結合されるように空間的に配向されている
ことを特徴とする請求項8記載のNMRプローブヘッ
ド。
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