JP2001242170A - 血栓症及び/又は活性化プロテインcに対する弱い抗凝血応答に関連した遺伝性欠陥の存在をスクリーニングする方法 - Google Patents

血栓症及び/又は活性化プロテインcに対する弱い抗凝血応答に関連した遺伝性欠陥の存在をスクリーニングする方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】血栓症、及び/または活性タンパク質C(AP
C)に対する弱い抗凝血応答に関連する遺伝的欠陥の存
在をスクリーニングする。 【解決手段】核酸レベルもしくはタンパク質レベル、ま
たは両レベルにおいて第V因子及び/もしくは第Va因
子または第VIII因子及び/もしくは第VIIIa因
子の1個以上のAPC開裂及び/または結合部位に生じ
た一つ以上の突然変異を抗体を用いて検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はうっ血分野に関するものであり、
特に血栓症に係わる。より具体的には、本発明は、血栓
発現傾向、特に遺伝性の血栓発現傾向のスクリーニング
及び診断方法に関する。従って、本発明の方法は、個体
が血栓症にかかる危険を調べるために使用できる。
【0002】発明の背景 深静脈血栓症は一般的な病気である。確定されている危
険因子としては、手術して間もない状態、悪性疾患、妊
娠及び分娩、長期の不動化、並びに凝固系の主要阻害物
質のうちの一つの欠乏が挙げられる(Ref.1)。主
要阻害物質は、プロテインC、プロテインS及びアンチ
トロンビンであることが知られている。多くの患者の深
静脈血栓症の原因はまだ解明されていない。しかしなが
ら、遺伝的に静脈血栓症の傾向がある幾つかの家族に、
活性化プロテインC(APC)に対する抗凝血応答の弱
さが見られることが最近確認された(Ref.2)。
【0003】APCの抗凝血特性は、タンパク質限定分
解によって活性化補因子Va及びVIIIaを不活化す
る能力にある(Ref.3)。このような補因子Va及
びVIIIaの不活化は、重要な凝固酵素であるトロン
ビンの生成率を低下させる。この作用はin vitr
oで、正常血漿にAPCを加え、その効果を凝固検査、
例えばAPTT(activated partial
thromboplastin time)を測定す
る検査で調べることにより、視覚化できる。プロテイン
Cの活性化は、トロンビン−トロンボモジュリン複合体
を介して内皮細胞の表面で起こる(Ref.27)。ト
ロンボモジュリン(thrombomodulin)
は、トロンビンに結合することができる膜糖タンパク質
である。この結合によってトロンビンは、フィブリノー
ゲンをフィブリンに変換する能力と、血小板を活性化す
る能力とを失う。即ち、トロンビンは凝血特性を失い、
プロテインCの活性化によってそれ自体の生成も低下す
る(いわゆる負のフィードバック)。In vivo
(カルシウムの存在下)では、プロテインCの活性化
は、内皮上のトロンボモジュリンの存在にほぼ全面的に
依存する。APCはその後、APC阻害物質(PCI)
及びα1アンチトリプシンとの複合体の形成によって中
和される。これは、正常な状態では、APCが循環系中
に短時間しか存在せず、抗凝血作用が通常は局所的に発
現される状態を維持することを意味する。
【0004】APCによる補因子Va及びVIIIaの
不活化が、Ca2+、リン脂質及びAPC補因子プロテ
インSの存在下で最適に進行することは、一般的に認め
られていた(Ref.4、28、29)。しかしなが
ら、この見解はその後、精製タンパク質系ではプロテイ
ンSはAPCに対して補因子活性をほとんど示さないと
いう発見により、正当性が問われることになった(Re
f.5、Ref.6)。in vivoの観察事項(遺
伝性プロテインS欠乏の場合の血栓症の傾向)とin
vitroの観察事項(精製タンパク質系におけるプロ
テインSのAPC補因子活性の弱さ)との間のこのよう
な明らかな矛盾は、Dahlbackらの発見(Re
f.2)によって解決され得る。Dahlbackら
は、アンチトロンビン活性が正常値であり、プロテイン
C及びプロテインSも(免疫学的及び機能的に)正常値
であり、異常プラスミノーゲン、異常フィブリノーゲン
又は抗凝血性狼瘡(lupus anticoagul
ant)の徴候を示さないが、活性化プロテインCに対
する抗凝血応答が弱い患者について報告している。前記
応答は、精製ヒトAPCをin vitro添加した後
の血漿の応答(凝固時間、APTT)を調べるためにD
ahlbackが開発した新しいテスト(Ref.2)
で発見された。これらの血栓症患者の血漿に活性化プロ
テインCを加えても、APTTは予想に反して延長され
なかった。この現象に関して多数のメカニズムを想定し
た結果、APCに対する弱い抗凝血応答を誘起すると見
なされるものが一つだけあった。即ち、前記患者に欠乏
している、これまで未知のAPC補因子の存在である。
【0005】下記のメカニズムは従来、APCに対する
弱い抗凝血応答の原因として認められていなかった: 1. APCに対する自己抗体の存在、 2. APCと反応する即時型作用性プロテアーゼ阻害
物質、 3. 機能性プロテインSの欠乏、 4. 第V因子又は第VIII因子遺伝子の突然変異。
【0006】Dahlback(Ref.2,7)は、
検査した家族では、プロテインSと無関係に作用すると
されているこれまで知られていないAPC補因子の遺伝
的な欠乏が、APC耐性の原因であると想定した。Da
hlbackら(Ref.2)はまた国際特許出願第W
O93/10261号で、凝固因子を含む患者試料に活
性化プロテインCを加え、該APC添加によって左右さ
れる酵素活性を測定することにより、血栓塞栓障害を診
断する検査方法を開示した。Dahlbackらの出願
明細書には、記載の実験結果は、当該障害が、これまで
未知の1種類以上の凝固因子、又は既知の因子の未知の
相互作用に関係していることを示すものであると記述さ
れている。未知の因子は、APCによる分解に対して耐
性を示す第Va又は第VIIIa因子ではなく、APC
に対する免疫グロブリン型阻害物質でもない。また、プ
ロテインSの欠乏にも関係がない。Dahlbackら
(Ref.2)は、彼らの発明が、遺伝性又は非遺伝性
の血栓発現傾向のような血栓塞栓疾患の更に進んだ診
断、並びに妊娠、避妊ピルの使用、手術等に関連した血
栓症の危険の決定に特に有用な方法であると述べてい
る。彼らはその方法が、試料中の凝固系をそれ自体公知
のように完全に又は部分的に活性化し、活性化プロテイ
ンCと共にインキュベートし、次いで発色性基質の凝固
又は変換のような基質変換反応速度を測定することを特
徴とすると記述している。測定した変換速度は、正常血
漿試料に関して得られた値と比較される。この速度が大
きければ、試料の由来源である個体が凝固疾患にかかっ
ている可能性がある。この疾患は、プロテインSの欠
乏、又はAPCによる分解、もしくはAPCに対する免
疫グロブリン型阻害物質による分解に対して耐性の第V
a因子もしくは第VIIIa因子の産生によって発現さ
れない。前記国際特許出願でDahlbackらは更
に、該出願明細書に記載のデータは、当該患者が欠陥第
VIII/VIIIa因子を有し得ないことを示すもの
であると記述している。これは、彼らがそれより先にT
hromb.Haemostas.65,アブストラク
ト39,658(1991)で述べたこと、即ち患者の
血漿試料への活性化プロテインCの添加、及び生じた作
用の検査によって、活性化プロテインCにより分解され
ない欠陥第VIIIa因子分子が明らかにされたという
主張に反するものである。前記国際特許出願では更に、
APCによる第Va及び第VIIIa因子の阻害を直接
測定するためにアッセイが使用されている。前記国際特
許出願に記載の第Xa因子ベースの凝固アッセイを使用
すると、APCによる患者第Va因子の阻害が正常であ
ることが判明した。これは、患者血漿試料中の第Va因
子が、外部から添加したAPCにより正常に分解される
ことを示唆するものである。
【0007】Dahlbackら(Ref.2)の報告
に続いて、別のグループがこの分野での研究を開始し
た。Griffinらは、Blood,Vol.82,
nr.7,1993,1989−1993ページに、確
認可能な血液凝固異常がない25人の静脈血栓患者、及
び予め異型(heterozygous)プロテインC
又はプロテインS欠乏を有すると確認された22人の患
者について実施したAPC耐性検査の結果を記述してい
る。これらの患者に関するAPTTのAPC誘発延長
(APC induced prolongatio
n)アッセイが、35の正常被験者に関する結果と比較
された。結果は、このようなAPCへの抗凝血応答の新
しい欠陥が、驚いたことに、25人の患者の52〜64
%、即ち予め血栓発現傾向を有すると診断されなかった
患者の大半に存在することを示した。この欠陥は、22
人の異型プロテインC又はプロテインS欠乏患者のうち
20人の患者には見られなかった。これは、新しい因子
が、プロテインC又はプロテインSの欠乏に関係のない
危険因子であることを示唆するものであった。正常血漿
と2種類の著しい欠陥のある血漿(APTTのAPC誘
発延長<20秒)の各々とを混合し、APTTアッセイ
を行って、正常血漿が欠陥血漿の弱い応答を修正する能
力を評価した。結果は、Dahlbackら(Ref.
2)の結果と類似していた。これも、正常血漿が、欠陥
のある患者血漿に欠失している因子を含むことを示唆す
るものであった。前記文献には、APC存在下のAPT
T値からAPC不在下のAPTT値を差し引いた値とし
て単純に定義された正味のAPTT延長時間計算値が記
載されている。前記文献はまた、APC存在下のAPT
T対APC不在下のAPTTの比と、このパラメーター
をAPC誘発APTT延長の値と比較したという事実も
記述している。この比較は、異常患者の指標である極め
て小さいAPTT比の値と、正常被験者に関するこれら
のパラメーターとの間の優れた相関を明らかにした。従
って、APC誘発APTT延長のパラメーター、あるい
はAPC存在下対APC不在下のAPTT値の比のパラ
メーター、又はこれら二つのパラメーターを診断パラメ
ーターとして使用できると結論された。これらのパラメ
ーターの中には、この目的に関して、前記文献の別のパ
ラメーターより有用と思われるものはない。前記文献に
は更に、使用したAPC誘発APTT延長アッセイが、
Potzschら(Ref.19)によりBlood
80:267a 1992(アブストラクト)に報告さ
れている抗凝血性狼瘡患者の血漿中の内在性第VIII
因子のAPC誘発不活化を用いるアッセイを連想させる
と記載されている。この後者のアッセイに基づいて、G
riffinらの文献には、血栓症を有する抗凝血性狼
瘡患者に由来する血漿はAPCに対する応答が弱く、従
って血栓症を有する患者を血栓症のない患者から区別す
ることができると報告されている。Griffinら
は、新しい仮想のAPC補因子に対する自己抗体が、抗
凝血性狼瘡患者の血栓症の危険性に関与し得ると推測し
た。彼らは更に、新しいAPC補因子の後天的欠乏が、
血栓症の後天的危険性と関係があり得ると推測すること
に興味を引かれると述べている。
【0008】Kosterらは、Lancet,199
3年12月18日,Vol.342,1503−150
6ページで、活性化プロテインC(APC)に対する抗
凝血応答の弱さを特徴とする凝固系の異常の臨床的重要
性を調べるために、集団ベース症例対照テストをいかに
して実施したかを記述することによって、APC耐性と
血栓症との関係を更に深く検討している。家族内の研究
に基づけば、APCに対するこのような弱い応答は、常
染色体優性形質として遺伝すると思われる(Ref.
2、7及び47)。原因不明の血栓症のために凝固ユニ
ット(coagulation unit)と称されて
いる患者の間で前記異常は約40%の罹患率を示し、血
栓発現傾向の主因であった(Ref.8及び9)。Ko
sterがLancet,1993年12月18日,V
ol.342,1503−1506ページに記述してい
る研究では、APCに対する弱い応答の臨床的重要性
が、最初の客観的に確認された深静脈血栓症の経験がな
く、内在する悪影響(underlying mali
gnancy)もない、任意に選択した70歳以下の一
連の患者について調べられている。APCに対するこれ
らの患者の血漿の感度が、対応する健康対照の感度と比
較された。活性化プロテインC(APC)に対する血漿
APTTの感度は、プロテインS活性アッセイのために
先に開発された試薬及び反応条件を用いて(Ref.1
1)、本質的にDahlbackら(Ref.2)が記
述しているように測定された。結果は、APTT(+A
PC)/APTT(−APC)の値として定義されるA
PC感度比(APC−SR)として示されている。Ko
sterらの論文には(Lancet,1993年12
月18日,Vol.342,1503−1506ペー
ジ)、プロトロンビン及び/又は第X因子の低い濃度
(<0.5u/ml)が、APC−SRを増加させると
記述されている。そのため、経口抗凝血剤で治療してい
る患者の血漿の評価に該検査を使用することはできな
い。98個の一連の試料では、Kosterらのテスト
(Lancet,1993年12月18日,Vol.3
42,1503−1506ページ)で得られたAPC−
SRと、WO93/10261号に記載のようにChr
omogenixによって開発されたテストで得られた
APC−SRとの間に良好な相関が見出された。健康対
照被験者に基づいてAPC感度比の基準範囲が算出され
た。データの対数変換及び平均値の三つの標準偏差(S
D)外の値を有する10人の被験者の除外後の正常の下
限値は、2.17(平均値−1.96 SD)であっ
た。血栓症にかかる危険と応答の度合いとの間に反比例
関係が発見された。血栓症患者の弱いAPC応答の罹患
率が21%であり、且つ血栓症の確率比(odds r
atio)が6.6であるという理由から、弱いAPC
応答は深静脈血栓症の一般的な強力危険因子とみなし得
ると結論された。さらには、APC感度比が約1.10
の被験者は同型(homozygous)又は二重異型
(double heterozygous)であり
得、APC感度比が約1.50の被験者は異常に対して
異型であり得るとさえ推論された。健康対照被験者の前
記異常の罹患率は5%であった。APC−SRの分布は
明らかに双峰であるため、Kosterらは、被験者が
正常範囲内で低すぎる値を有するのではなく、実際に異
常なAPC応答を有すると考えた。従って、血栓症にか
かる危険とAPC応答との間の関係は、単純な単一遺伝
子欠陥のモデルに従うものではないと思われた。前記異
常は健康被験者の間に広く発見されたため、Koste
rらは、プロテインC欠乏についても同様であるよう
に、欠陥自体が血栓症を起こすのに十分であるとは思え
ないと考えた(Ref.15、Ref.16)。特定の
患者における血栓症の発生には、別の原因となる因子が
必要と思われる。これは後天的因子であり得、まだ知ら
れていない遺伝子欠陥もしくは変異でもあり得る。しか
しながら、別の原因となる因子が存在すれば、弱いAP
C応答は、相対的危険性の6〜7倍の増加によって証明
されるように、血栓症を発生させる危険が高い。前記論
文には、弱いAPC応答の潜在的欠陥は、活性化プロテ
インCに対する補因子の常染色体優性遺伝性欠乏が仮想
されたとしても(Ref.7)、依然として解明されな
いままであると記述されている。弱いAPC応答は、プ
ロテインC、プロテインS又は抗トロンビンの欠乏の5
〜10倍の頻度を有すると思われる一方で、ほぼ類似の
相対的血栓症危険率を与える(Ref.17及び1
8)。これは、Kosterらによれば、前記異常に関
する総ての静脈血栓症患者の検査を価値あるものにし得
るデータである。
【0009】要約すれば、当業界では、プロテインC抗
凝血経路の欠陥が、比較的高い血栓症発生危険率に関係
していることが確認された。活性化プロテインCに対す
る弱い抗凝血応答は細部にわたって研究されてきたが、
活性化プロテインCに対する弱い抗凝血応答の原因はま
だ解明されていない。多くの仮説がたてられたが、唯一
受け入れられたのは、活性化プロテインCに対して弱い
抗凝血応答を示す患者に明らかに欠乏している未知のA
PC補因子の存在である。仮想のAPC補因子のアイデ
ンティティは不明である。また、APCに対する応答の
変化を検出するために現在使用されている検査は、既に
抗凝血剤を使用している被験者には使用できない。
【0010】発明の説明 驚くべきことに、弱い抗凝血プロテインC応答の原因で
ある同定されていない補因子のアイデンティティが判明
した。前述の認められていなかったメカニズムのうちの
一つが、実際に、血栓発現傾向のある患者の大半におけ
るプロテインC抗凝血経路の欠陥に関与していることが
判明したのである。この欠陥の原因は、発現後に、第V
因子及び/又は第Va因子(前記第V因子の活性化産
物)、又は第VIII因子及び/又は第VIIIa因子
(前記第VIII因子の活性化産物)のAPCによる不
活化の度合いの低下に関与する、第V因子又は第VII
I因子をコードする核酸物質中の突然変異の存在に結び
付けられた。従って前記欠陥は、まだ同定されていない
APC補因子の突然変異の結果ではなく、実際には、第
V因子もしくは第VIII因子の欠乏、又はより特定的
にはこれら因子の活性化産物の欠陥に起因する。
【0011】当業界で公知のように、血栓症が発生する
危険とAPC耐性の存在との間の関係は既に確認されて
おり、この種の欠陥のスクリーニングは実際に、血栓症
を起こす危険が高い患者の診断に極めて有用と思われ
る。現在では、どの因子が関係のある遺伝子欠陥を有し
ているかが分かっているため、APC耐性を調べるため
のChromogenixテスト以外の方法で集団を実
際にスクリーニングすることが可能となった。
【0012】APC耐性に関連した変異を受けた第V因
子又は第VIII因子についてスクリーニングする時
に、突然変異タンパク質の存在を調べるためにDNA技
術を使用するか又は抗体を使用することが可能になっ
た。本発明は、血栓症及び/又は活性化プロテインC
(APC)に対する弱い抗凝血応答に関連した遺伝性欠
陥の存在をスクリーニングする方法に関する。前記遺伝
性欠陥は、患者の血栓症発生の危険が高いことを示す
か、又は実際に血栓症を生起させるようなものである。
該方法は、それ自体公知の方法で第V因子又は第VII
I因子をコードする核酸物質の突然変異の存在を測定す
ることからなり、但し核酸物質発現時の前記突然変異
は、APCによる前記第V因子及び/又は第Va因子
(前記第V因子の活性化産物)、あるいは前記第VII
I因子及び/又は第VIIIa因子(前記第VIII因
子の活性化産物)の不活化の度合いの低下に関係してお
り、及び/又は、該方法は、タンパク質第V因子及び/
又は第Va因子中に存在する突然変異、及び/又はタン
パク質第VIII因子及び/又は第VIIIa因子中に
存在する突然変異を、それ自体公知の方法で、前記第V
因子及び/又は第Va因子あるいは第VIII因子及び
/又は第VIIIa因子の分析、又は前記第V因子及び
/又は前記第Va因子、及び/又は第VIII因子及び
/又は第VIIIa因子のタンパク分解フラグメントの
分析により調べることからなり、但し前記突然変異はA
PCによる前記第V因子及び/又は前記第Va因子及び
/又は第VIII因子及び/又は第VIIIa因子の不
活化の度合いの低下に相関するものである。本発明は特
に、第V因子及び/又は第VIII因子をコードする核
酸配列における突然変異が、第V及び/又は第Va因子
及び/又は第VIII及び/又は第VIIIa因子上の
APCの結合部位又は開裂部位をコードする核酸配列部
分内に存在し、該突然変異が、APCによって弱く不活
化された第V因子及び/又は第Va因子及び/又は第V
III因子及び/又は第VIIIa因子を生成させる場
合の方法に関する。第V因子、第VIII因子、第Va
因子及び第VIIIa因子中のAPCの結合及び開裂部
位は多数存在することが知られている(表1、Ref.
34、35、36、48、49、52、J.Biol.
Chem.262,11233−11238(198
7)に記載のOdegaard B及びMann K.
G.の論文、並びにBlood 82,Suppl.
1,p.58a,1993に記載のKalafatis
M.,Haley P.E.及びMann K.G.
のアブストラクト参照)。
【0013】
【表1】
【0014】結合部位は必ずしも開裂部位ではない。し
かしながら、この種の因子へのAPCの結合を弱めるあ
らゆる効果がこの種の因子のAPC耐性にも作用するこ
とはかなり明白である。なぜなら、一般的に、該因子は
APCと結合した後でなければAPCによって開裂する
ことができないからである。結合及び/又は開裂部位に
作用する突然変異は、結合部位に位置するアミノ酸の一
次アミノ酸配列中に存在し得、又はAPC結合及び/又
は開裂に対する親和性が小さい三次構造を形成させる分
子中の別の場所の突然変異に起因し得る。多数のAPC
結合及び/又は開裂部位が明らかにされているため、分
子全体ではなく、これらの位置の突然変異についてスク
リーニングを行うのが最も簡単であることは明白であ
る。多くのAPC開裂部位が第V、第Va、第VIII
及び第VIIIa因子のH鎖上に存在することが知られ
ているため、検出すべき突然変異は、H鎖上のAPC開
裂部位をコードする核酸配列部分内の位置に存在するの
が好ましい。
【0015】第V及び第VIII因子の活性化はトロン
ビン因子Xaによって生起し得、第V因子の場合はある
種のヘビ毒によっても生起し得る。当業者は、「特定因
子によって(で)活性化された(した)」という表現
を、「特定因子を介して活性化された(した)」と解釈
することもできる。その結果得られる活性化因子は、そ
れぞれの活性化方法に起因して少しだけ異なる。従っ
て、トロビンで活性化した第Va因子のAPCによる結
合及び/又は開裂を低下させる突然変異が、Xaで活性
化した第Va因子のAPCによる結合及び/又は開裂を
低下させないことは可能であり、その逆も可能である。
第V因子は次のドメイン構造A1A2/BA3C1C2
を有し、Xaで活性化した第Va因子は構造A1A2/
B’A3C1C2を有し、トロビンで活性化した第Va
因子は構造A1A2/A3C1C2を有する。三次構造
の相違はおそらく、異なる方法で活性化された時に生じ
るこれら因子のL鎖の構造変化に起因する。本明細書に
記載の実施例では、活性化がXaを介して開始され、ト
ロビンを介して活性化された第Va因子のAPC不活化
に作用しなかった時には、説明されている特定の突然変
異が実際に、第Va因子のAPC不活化のみを抑制した
ことが明らかにされている。この特定の突然変異は、第
V因子のH鎖上に存在していたため、トロビンを介して
活性化した第Va因子及びXaを介して活性化した第V
a因子の両方に存在するが、おそらくは、二つの形態の
活性化因子Vの三次構造の相違のためにこれら二つの形
態の活性化因子内で同じ作用を発揮することはない。
【0016】通常は、APCによる不活化は活性化第V
因子又は活性化第VIII因子上で生起するため、本発
明の方法は、好ましくは、第Va因子及び第VIIIa
因子上のAPCに対する結合親和性の低下及び/又はA
PCによる開裂の低下を引き起こす突然変異の検出に適
用される。一般的には、第Va因子及び第VIIIa因
子に存在する突然変異は、これらの活性化産物の由来源
である第V因子又は第VIII因子上にも存在する。従
って、第V因子又は第VIII因子をコードする核酸配
列を分析すれば、活性化因子Va又はVIIIaにも存
在し得る突然変異が検出されることになる。従って、本
発明の方法による分析は、第V及び第VIII因子の核
酸レベル、例えばDNA及び/又はmRNAレベル、並
びに第Va、第VIIIa、第V及び第VIII因子の
うちのいずれか、又はこれらの因子に由来するフラグメ
ント上のタンパク質レベルで実施することができる。
【0017】第Va因子DNAは、HepG2細胞(R
ef.20)及びヒト胎児肝臓(Ref.21及び2
2)からクローニングされた。第V因子の完全アミノ酸
配列は既知であり(Ref.20、23)、第V因子遺
伝子の構造も解明されている(Ref.23)。She
nらは(The Journal of Immuno
logy,Vol.150,2992−3001,N
o.7,1993年4月1日)、どのようにしてヒト第
V因子の細胞供給源を発見したかを記述している。彼ら
は、逆転写とそれに次ぐポリメラーゼ連鎖反応(RT−
PCR)とを用いて、ヒトリンパ球内の第V因子mRN
Aを同定した。PCRで得られた結果は、T細胞 cD
NAライブラリーからの第V因子cDNAの独立クロー
ニングによって確認された。第V因子cDNAの配列
は、肝臓第V因子mRNAとほぼ同じであった。第V因
子タンパク質の連結領域の一部をコードする限定された
長さのmRNAが、6個のヌクレオチド置換に基づくヌ
クレオチド多形性を有することが判明した。Shenら
は、増幅後に誘導された14個の独立クローン内に存在
する増幅F7/F8第V因子cDNAフラグメントが、
6個のヌクレオチドベース置換を有すると記述してい
る。2個の置換は、それぞれ位置2209及び2236
でのチミンからシトシン及びシトシンからチミンへの置
換であり、これらはサイレント(silent)突然変
異であった。4個の置換は、位置2302でやはりサイ
レント突然変異を生起させるグアニンからアデニンベー
スの置換、並びに位置2573でのアルギニンからリシ
ンへのアミノ酸変化、位置2595でのアルギニンから
ヒスチジンへのアミノ酸変化、位置2773でのグルタ
ミン酸からリシンへのアミノ酸変化であった。これらの
推定上のアミノ酸変化は、前記論文で、第V因子機能に
重大に作用しない保存的置換であると記述されている。
クローンのうちの半分(14個のうち7個)は更に、位
置2290でアデニンからグアニンへの置換を示した。
これは、EcoRI部位を消滅させる別のサイレント置
換であった。これらの突然変異の中には、APC結合又
は開裂に対する親和性の低下に関与しているものはなか
った。
【0018】Shenらの論文には、第V因子mRNA
を、例えばポリメラーゼ連鎖反応を生起させるのに十分
な量で、ヒトリンパ球から回収できると記述されてい
る。この情報に基づいて、当業者は、本発明の方法を実
施するのに十分な量の核酸をヒトから容易に回収でき
る。Shenらの論文には、ヒト第V因子核酸の核酸増
幅に使用できるオリゴヌクレオチドが多数紹介されてい
る。
【0019】Bruce Odegaard及びMan
nは(TheJournal ofBiologica
l Chemistry,Vol.262,No.2
3,1987年8月15日,pp.11233−112
38)、第V及び第Va因子の両方について、トロンビ
ンによる第V因子の開裂が、M=94,000のH鎖
(D鎖)及びM=74,000のL鎖(E鎖)を形成
させると記述している。各鎖自体は、活性化プロテイン
C及び第Xa因子によるタンパク質分解を受け易い。活
性化プロテインC又は第Xa因子によるE鎖の開裂は、
二つの主要フラグメント、M=30,000及びM
=48,000を与える。彼らはまた、活性化プロテイ
ンC及び第Xa因子がE鎖を同じ位置で開裂すると記述
している。D鎖の活性化プロテインC開裂では、二つの
産生物M=70,000及びM =24,000が得
られる。M=70,000フラグメントは、無傷D鎖
と同じNH2末端配列を有するが、M=24,000
フラグメントはそうではない。彼らは、活性化プロテイ
ンCによるD鎖の開裂が第Va因子の部分的不活化の原
因であることを明らかにした。L鎖の開裂はより遅いた
め、第Va因子の不活化がそのH鎖の開裂に関係がある
という証拠は、Ref.10、12、13、14及び4
8にも示されている。
【0020】Odegaard及びMannは、第Va
因子と第VIIIa因子との間に大きな類似性があるこ
とも明らかにした。第VIIIa因子は、タンパ分解に
よって活性が調節される凝固カスケード(clotti
ng cascade)の別の補因子である。第VII
Ia及び第Va因子は多くの類似した構造的及び機能的
特性を有する。どちらもトロンビン又は第Xa因子によ
る開裂を介して大きなプロコファクターから産生され、
どちらもほぼ同じ大きさを有し、H鎖とL鎖とからな
る。どちらももタンパク分解複合体の活性に大きく寄与
する一方で、それ自体はタンパク分解活性を発揮しな
い。また、どちらもも活性化プロテインCにより不活化
される。この共通の特徴の根底には、一次構造の明らか
な相同もある(Ref.24,25及び26)。Ode
gaardらはまた、第V因子と第VIII因子との間
の更に大きな配列相同を同定した。彼らは特に、開裂が
生起する第V因子分子内の位置に十分妥当に対応する第
VIII因子分子内の位置で、ウシ第V因子とヒト第V
III因子との間に配列相同セグメントが明らかに存在
すると記述している。ヒト第V因子について(実施例1
で)我々が明らかにした作用は、特定の面における第V
因子と第VIII因子との同等性に起因して、第VII
I及び/又は第VIIIa因子についても付随的に期待
できる。Odegaard及びMannは更に、APC
による第Va因子の開裂後にH鎖が残らない場合でも、
残留補因子活性が残ると記述している。これは、第Va
因子の不活化が、単一結合の単なる開裂より複雑な事象
であることを意味する。これは、第V因子分子のAPC
結合及び/又は開裂部位の突然変異が、実際にAPCに
よる不活化に対する親和性を低下させるのに十分である
という本明細書の実施例の説明を更に驚くべきものとす
るものである。第VIII因子の場合は、APC開裂部
位はArg 562、Arg 336及びArg 74
0にあると想定され(Ref.49)、APC結合部位
は残基2009−2018上でA3ドメイン内に存在す
ると想定された(Ref.35、36)(表1も参照の
こと)。
【0021】本発明の方法は、第V因子及び/又は第V
a因子又は第VIII因子及び/又は第VIIIa因子
のAPC開裂及び/又は結合部位のうちの一つ以上にお
いて、核酸もしくはタンパク質のいずれかのレベル又は
両方のレベルで、一つ以上の突然変異を検出するために
適用される。特に、タンパク質のH鎖上、又はH鎖をコ
ードする核酸上に位置するAPC結合及び/又は開裂部
位が関連部位とみなされる。 Kalafatisらは
(Blood 82,Suppl.1,p.58A,1
993)、膜結合ヒト第Va因子が、Arg 506及
びArg 306でのH鎖の開裂後に、活性化プロテイ
ンCによって不活化されることを明らかにした。彼ら
は、ヒト第Va因子のH鎖の開裂パターンが、PCPS
小胞の存在又は不在に依存すると記述している。膜表面
の不在下、又はPCのみからなるリン脂質小胞の存在下
では、開裂の結果として、残基1−506からなるフラ
グメントと残基507で始まるフラグメントとが得ら
れ、後者のフラグメントはCOOH末端でAPCにより
更に開裂される。これと対照的に、PCPS小胞の存在
下では、活性の完全な喪失は、M=75,000フラ
グメントの開裂、並びにM=40,000及びM
30,000フラグメントの出現に関係している。M
=30,000フラグメントは残基307〜506に対
応する。これは、Arg 306でのAPCによる開裂
を示すものである。APCと共にインキュベートした後
は、PCPS小胞の存在下でも不在下でも、補因子のL
鎖の開裂は観察されない。このようにして、補因子がP
CPSに結合した時に特定のAPC開裂部位が明らかに
される。膜の存在は、APCによるヒト第Va因子の完
全不活化にとって必須であり、Arg 506での開裂
は補因子を部分的に不活化するだけであり、Arg 3
06での開裂はアニオン脂質依存性であって、ヒト第V
a因子の完全不活化に必要とされる。APCによるウシ
第Va因子の不活化に関しても類似のデータが最近発表
された(Ref.48)。このように、当業界の現状か
ら、ヒト第Va因子にはAPCによる潜在的開裂部位が
少なくとも二つ存在することが明らかである。Kala
fatisらは更に、ヒト第V因子のリシン994に別
のAPC開裂部位を検出した(Ref.52)。従っ
て、本発明の方法は、核酸もしくはタンパク質のレベル
で、又はこれら両方のレベルで、第V及び/又は第Va
因子内のこれらのAPC開裂部位のうちの一つ以上にお
ける突然変異を検出するために適用される。APC開裂
部位は、H鎖上のArg 506及びArg 306に
位置する。アミノ酸Arg 679及びLys 994
にも別の部位が存在することが判明した。
【0022】以上の説明に鑑みて、本発明の方法、即ち
血栓症及び/又は活性化プロテインC(APC)に対す
る弱い抗凝血応答に関連した遺伝性欠陥、即ち患者の血
栓症発生の危険が高いことを示すか又は実際に血栓症を
発生させる遺伝性欠陥の存在をスクリーニングする方法
であって、それ自体公知の方法で、第V因子をコードす
る核酸物質の突然変異、即ち核酸物質の発現時に前記第
V因子及び/又は第Va因子のAPCによる不活化の度
合いの低下に関与する突然変異の存在を調べることから
なる本発明の方法は、第V因子がXaで活性化した第V
因子に由来するものである場合に特に有利である。
【0023】本発明の方法は特に、血漿因子Vの配列の
アミノ酸506に対応する位置に変化したアミノ酸を含
む突然変異アミノ酸配列を有するヒト第V又は第Va因
子をコードする核酸配列内の突然変異を検出するために
適用される(Ref.21)。特に、前記突然変異が、
アミノ酸アルギニンを血漿因子Vの配列のアミノ酸50
6でアミノ酸グルタミンにより置換させた突然変異であ
る場合に適用される。特に、アミノ酸506に対応する
アミノ酸のコドンの第二ヌクレオチド、ヌクレオチドG
が突然変異を起こした場合がこれに相当する。ヌクレオ
チドGが、血漿因子Vの配列のアミノ酸506に対応す
るアミノ酸のコドンの第二ヌクレオチドに対応する位置
でAに突然変異した場合が特にそうである。
【0024】実施例で明らかにされるように、本発明
は、被験者が第V因子及び/又は第Va因子又は第VI
II因子及び/又は第VIIIa因子における突然変異
に対して同型であるか又は異型であるかを調べる方法に
も関する。この方法は、APCに対する抗凝血応答に欠
陥が存在するかどうかを調べるそれ自体公知の方法を実
施し、次いで、欠陥の診断に有用であることが知られて
いるパラメーターの値、例えば(APTT+APC)/
(APTT−APC)の値を算出し、得られた値を、正
常な個体又は同型もしくは異型であることがわかってい
る個体に由来する試料について同じ方法で得た値と比較
し、それによって被験者がAPCに対する抗凝血応答の
欠陥に関して同型であるか又は異型であるかを確認する
ことからなり、特に実施例1に記載の具体例、並びに、
最も特定的にはAPC結合及び/開裂部位の突然変異に
起因してAPCに対する抗凝血応答を変化させる第V、
第Va、第VIII及び/又は第VIIIa因子の別の
突然変異に関する任意の同等の具体例では、第V因子及
び/又は第Va因子、又は第VIII因子及び/又は第
VIIIa因子における突然変異の存在及び任意にその
種類を決定するための任意の公知の方法と組合わせて使
用される。
【0025】本発明の方法は、核酸標的増幅反応の実施
により突然変異を検出することによって達成できる。こ
のような標的増幅反応は当業者によく知られている。突
然変異が存在し得る特定長さの核酸の5’及び3’末端
に隣接する種々の長さの核酸を認識しこれにハイブリダ
イズする特異的プライマーを一つ以上使用する必要があ
る。前記ハイブリダイゼーションは、突然変異が存在し
得る特定長さの核酸の増幅に十分な程度まで実施され
る。要求されるハイブリダイゼーションのストリンジェ
ンシーも、核酸標的増幅の当業者にはよく知られてい
る。当業界で一般的に行われている標的増幅反応は多数
あり、NASBA(Nucleic Acid Seq
ence Based Amplification、
核酸配列ベースの増幅)、PCR(ポリメラーゼ連鎖反
応)、LCR(リガーゼ連鎖反応)及びPCR(Rep
air Chain Reaction、修復連鎖反
応)が挙げられる。PCR標的増幅方法の場合は、市販
のAmplicor(登録商標)反応キットを使用し得
る。突然変異が存在し得る特定長さの核酸を認識しこれ
にハイブリダイズするのに十分な特異性を有するプライ
マーを使用することも可能である。別の増幅方法は、C
hironによって商業的に開発されたような分枝鎖増
幅からなり、この場合は標的ではなくプローブが増幅さ
れる。
【0026】核酸の増幅後は、突然変異の存在及び任意
に種類を検出するためのそれ自体公知の方法による増幅
核酸分析を本発明の方法で実施する。
【0027】核酸物質を増幅せずに突然変異を決定する
ことも可能である。核酸上の突然変異の存在を調べるた
めに標的増幅反応が開発される前に使用されていた当業
者に公知の方法は多数存在し、これらの方法は総て本発
明の方法の種々の具体例で使用できる。例えば、正常〜
ストリンジェントのハイブリダイゼーション条件、例え
ばブロッティング方法を使用し、次いで単離した核酸の
分析をそれ自体公知の方法で実施して突然変異の存在及
び任意に種類を検出する場合には、分析すべき因子をコ
ードする核酸配列の少なくとも一部分にハイブリダイズ
するのに十分な特異性を有する少なくとも一つの核酸配
列に対するハイブリダイゼーション反応によって、決定
すべき突然変異を検出することができる。
【0028】突然変異の存在及び任意に種類の検出は、
このようにして単離した核酸を例えばサンガー配列反応
を用いて配列分析にかけ、それによって核酸配列を確認
し、次いでこの配列決定の結果を非突然変異因子の既知
の配列と比較することにより実施できる。単離した核酸
配列を更に別のハイブリダイゼーション検査にかけるこ
とも可能である。この別のハイブリダイゼーション検査
は、突然変異の存在及び任意に種類を検出するために、
突然変異を含む核酸物質のフラグメントに少なくともハ
イブリダイズするのに十分な長さ及び特異性を有する対
応する相補配列を含む、適当な長さの核酸配列を用いて
実施する。最初のハイブリダイゼーションステップは、
因子が突然変異を起こしているか否かに関係なく、因子
をコードする核酸を単離するだけであり、第二のハイブ
リダイゼーションステップは、単離核酸物質上の突然変
異の存在の有無を決定するために、確認したいと思う実
際の突然変異核酸配列の相補配列に、単離した配列を実
際にハイブリダイズさせることからなる。この後者のハ
イブリダイゼーション反応は、信頼できる結果を得るた
めにストリンジェント条件下で実施する必要があり、そ
の他のハイブリダイゼーションステップは、正常〜スト
リンジェント条件下で実施し得る。以上、特定核酸上の
突然変異の存在を調べるための従来の方法を二つ説明し
たが、当業者には明らかなように、多くの公知の方法が
使用可能である。分子生物学に関する種々の標準的文献
には、この種の方法が広く記述されている。例えば、S
ambrook,J.,Fritsch,E.F.Ma
niatis,T.,Molecular Cloni
ng:a Laboratory Manual(Co
ld SpringHarbor Laborator
y Press,Cold Spring Harbo
r,New York,1989)参照。
【0029】本発明のスクリーニング方法で得た増幅核
酸物質は、その後、配列決定反応を用いるか、又は増幅
反応にかけられなかった単離核酸物質の分析について前
述したように、突然変異の存在及び任意に種類を検出す
るために突然変異を含む核酸物質のフラグメントに少な
くともハイブリダイズするのに十分な長さ及び特異性を
有する対応する相補配列へのハイブリダイゼーションを
用いる分析検査を使用することによって分析することも
可能である。
【0030】特に、第V因子の突然変異の存在を分析す
る場合は、単離した及び/又は増幅した核酸物質を、配
列表の配列番号12及び13の配列から選択した適当な
長さの核酸物質に対するハイブリダイゼーション検査に
かけ得る。例えば、ハイブリダイゼーションに極めて適
しているプライマー又は核酸配列は、ヒト第V因子をコ
ードする核酸配列のイントロン10の少なくとも一部
分、又はストリンジェント条件下でイントロン10の前
記部分にハイブリダイズすることができる誘導体を含
む。このような誘導体は、イントロン10の対応する部
分に対して90%以上の相同を有するのが好ましい。ヒ
ト第V因子の核酸配列は既知であり、ヒト第V因子をコ
ードする核酸配列は配列表の配列番号1に示されてい
る。該配列はRef.21から誘導される。イントロン
10の少なくとも一部分を含むハイブリダイゼーション
用核酸配列を使用すれば、第V因子をコードする核酸内
に存在する突然変異、特にAPC結合及び/又は開裂部
位をコードする核酸の突然変異を単離し及び/又は増幅
し及び/又はその後検出することがかなり簡単になる。
これは、H鎖上に位置する突然変異を検出するのに特に
適している(配列番号10、14参照)。また、ハイブ
リダイゼーション及び/又は増幅用の核酸配列のプライ
マーは、配列表の配列番号2〜11の配列から選択でき
る。前述のように、当業界では他の多くのオリゴヌクレ
オチドプライマーが知られている。これらのプライマー
は、第V及び/又は第Va因子をコードする核酸を単離
するために、増幅の目的又はハイブリダイゼーション反
応に使用することも可能である。正常因子をコードする
配列は突然変異因子の配列と同様に既知であるため、当
業者は、本発明の方法でスクリーニングする突然変異の
単離及び/又は増幅及び/又は存在及び種類の決定に最
も適したオリゴヌクレオチド配列を選択することができ
る。
【0031】本発明の方法では、特に分析すべき核酸を
標的増幅にかけた場合には、単離した及び/又は増幅し
た及び/又はハイブリダイズした核酸物質を配列分析に
かけ、次いで配列を対応する非突然変異因子の核酸配列
と比較する。増幅又は単離した及び/又はハイブリダイ
ズした核酸物質を、制限フラグメント分析によって分析
することも可能である。特に、突然変異を起こした第V
因子に関する実施例で説明する突然変異の場合には、使
用できる酵素はMnl Iである。制限フラグメント分
析に使用できる制限酵素は当然、検出すべき突然変異の
種類とその位置とに依存する。当業者は、別の新しいス
テップを用いずに、過度の負担がかからないルーチンの
実験だけで、前記酵素を選択できる。
【0032】前述のように、本発明の方法は、タンパク
質をコードする核酸配列ではなくタンパク質を分析する
ことによって実施することもできる。これは特に、タン
パク質の突然変異が、第Vもしくは第Va因子上にAP
C結合及び/又は開裂部位を与えるアミノ酸配列部分内
に存在し、APCによってあまり不活化されない第V因
子及び/又は第Va因子の形成を引き起こすか、又は第
VIIIもしくは第VIIIa因子上にAPC結合及び
/又は開裂部位を与える核酸配列部分内に存在し、AP
Cによってあまり不活化されない第VIII因子及び/
又は第VIIIa因子の形成を引き起こす場合の、本発
明の有用な具体例である。
【0033】前述のように、第V、第Va、第VIII
又は第VIIIa因子上にAPC開裂部位を与えるアミ
ノ酸配列部分内の突然変異の存在は、APCによる不活
化に対する突然変異因子の耐性を明らかに変える突然変
異であり、従ってこのような突然変異の検出は本発明の
方法の好ましい具体例である。当業界で既に明らかにさ
れているように、第Va又は第VIIIa因子の不活化
は通常、APCが因子のH鎖を開裂した時にその結果と
して生起する。従って、突然変異因子の開裂度を変える
ことになるような開裂部位における突然変異の検出は、
本発明の好ましい具体例である。タンパク質を突然変異
に関して分析する時は、開裂部位自体の一次アミノ酸配
列が関係するだけでなく、タンパク質の三次構造も、結
合及び/又は開裂部位と直接関係のない一次配列のどこ
かの突然変異に起因して変形し得る。周知のように、タ
ンパク質の実際の結合部位又は開裂部位から遠く離れて
位置する突然変異は、タンパク質の三次構造に大きく作
用し得、それによって、前記タンパク質への結合、この
場合はAPCによる結合を抹消又は低下させ得る。従っ
て、本発明の方法は、APCによる開裂及び/又は結合
部位の一次核酸配列における突然変異の検出だけでな
く、APCによる因子の結合及び/又は開裂を低下させ
る変化した三次構造を有する突然変異因子の発生を引き
起こす突然変異の検出にも適用される。
【0034】第V及び第VIII因子は互いに異なるメ
カニズムで活性化でき、その結果得られる因子はどちら
もその由来源である因子とは異なる三次構造を有するこ
とが知られているため、第V因子又は第VIII因子の
突然変異が前記分子のAPC結合及び/又は開裂部位に
は影響し得ず、活性化因子のそれに影響し得ることは明
らかであり、その逆も明らかである。それにもかかわら
ず、活性化第V又は第VIII因子の結合及び/又は開
裂の変化に関与する一次アミノ酸配列の突然変異は、第
V又は第VIII因子上にも存在する。特異的抗体の使
用によって突然変異タンパク質の検出を行う場合は、突
然変異の存在及び任意に種類を検出するために、突然変
異を含む活性化因子に対して特異的な抗体を使用するこ
とが可能である。あるいは、分析すべきタンパク質をタ
ンパク分解によって開裂し、それによって、第V及び/
又は第Va因子又は第VIII及び/又は第VIIIa
因子の一次アミノ酸配列における突然変異に対して特異
的な抗体の使用を可能にする線状又は部分的線状構造を
得ることも可能である。従って、該突然変異検出方法は
活性化因子の分析に限定する必要はなく、実際、まだ活
性化されていない第V因子又は第VIII因子について
も実施できる。
【0035】突然変異がAPC結合及び/又は開裂部位
に存在する時は、第V、第Va、第VIII、第VII
Ia因子をAPCで処理し、次いでフラグメントを公知
の方法で分析すれば、因子が正常な場合とは異なるフラ
グメントが明らかにされる筈である。
【0036】例えば、第V因子の場合は、アミノ酸50
6の突然変異がその位置でのAPCの開裂及び/又は結
合を阻止する。従って、活性化APCでの処理の結果、
部位306、679及び994で開裂が生起し、一つの
フラグメントaa307−aa679と、配列1−30
6、680−994及び995−末端を含む三つの別の
フラグメントとが得られる。所期のフラグメントは30
7−679である。正常第V因子はこのフラグメントを
含まず、aa506の活性開裂部位に起因して、別の二
つのフラグメント、即ちaa307−506及びaa5
07−679を含む。従って、aa307−aa679
の検出は、アミノ酸506における突然変異APC部位
の存在を示す。
【0037】極めてエレガントな検査は、第V因子をA
PC処理後に二つの抗体の存在にかける操作を含み得
る。このようなAPC処理は血清の調製中に自然に生起
する。この検査では一方の抗体がアミノ酸506の上流
のタンパク質の部位に対して特異的であり、前記部位
が、aa506の上流の最も隣接した開裂部位、aa3
06の下流に位置する。もう一方の抗体は、アミノ酸5
06の下流のタンパク質の部位に対して特異的であり、
前記部位は、aa506の下流の最も隣接したAPC開
裂部位、aa679の上流に位置する。該検査は、両方
の抗体によって検出されるフラグメントの検出を含む。
この種の検査はサンドイッチ・イムノアッセイであり得
る。好ましくは、一方の抗体を固定するか又は固定し
得、他方の抗体に、イムノアッセイの当業者に公知の方
法で検出可能マーカーを具備する。この種の検査におけ
る、フラグメント307−506の一部分を特異的に認
識する抗体の使用は、本発明の範囲内に含まれる。フラ
グメント507−679の一部分を特異的に認識する抗
体自体、及び前述のような検査における該抗体の使用
も、本発明の範囲に含まれる。抗体はモノクローナル抗
体が好ましい。一方の抗体がフラグメント1−306の
一部分に対して特異的であり、他方の抗体がフラグメン
ト307−506の一部分に対して特異的である二つの
抗体を用いて、類似の方法で、Arg306に位置する
APC開裂部位の突然変異を検出するために適当な検査
を実施し得る。この種の検査における、フラグメント3
07−506の一部分を特異的に認識する抗体の使用
は、本発明の範囲に含まれる。フラグメント1−306
の一部分を特異的に認識する抗体自体、及び前述のよう
な検査における該抗体の使用も本発明の範囲に含まれ
る。アミノ酸679に位置するAPC開裂部位の突然変
異の検出にも、前述と類似の方法で検査を実施し得る。
この突然変異の場合は、フラグメント507−679の
一部分に対して特異的な抗体が一つ必要とされると共
に、アミノ酸680の下流のフラグメントの一部分に対
して特異的な抗体が一つ必要とされる。この種の検査に
おける、フラグメント507−679の一部分を特異的
に認識する抗体の使用は、本発明の範囲に含まれる。フ
ラグメント507−569の一部分を特異的に認識する
抗体及びフラグメント570−994の一部分を特異的
に認識する抗体、並びに前記と類似の検査におけるこれ
らの抗体のうちの一つ以上の使用も、本発明の範囲に含
まれる。リシン994のAPC開裂部位における突然変
異を検出するための検査も同様に説明し得る。フラグメ
ント994−末端及び680−994は関連フラグメン
トであり、これらのフラグメントを認識することができ
る抗体も関連がある。
【0038】一般的には、第V、第Va、第VIII又
は第VIIIa因子の突然変異に関する検査は、それ自
体公知の方法によるイムノアッセイで二つの抗体を使用
して、特定のAPC開裂部位でのAPCによる開裂を低
下又は阻止する突然変異の存在又は不在を検出すること
からなり得る。この場合、一方の抗体は前記APC開裂
部位の上流のフラグメントを認識し、もう一方の抗体は
前記APC開裂部位の下流のフラグメントを認識し、い
ずれかの抗体が認識する因子の部分と、突然変異の存在
又は不在の決定が行われるべき特定のAPC開裂部位と
の間に別のAPC開裂部位は存在しない。この突然変異
検出原理に基づく種々の具体例は、イムノアッセイの当
業者には明らかであろう。例えば、更に別の一つ以上の
プロテアーゼをAPCと組合わせて使用し得ることは明
らかであろう。前記APCは、使用する試料の種類に応
じて、試料に加えるべきもの、又は試料中に既に存在し
ているものである。前述の更に別の一つ以上のプロテア
ーゼは、因子上の検出すべき活性APC開裂部位が存在
しない場合には、不活性APC開裂部位を含むタンパク
分解フラグメントに両抗体が結合することになり、検出
すべき活性APC開裂部位が存在する場合には、どちら
の抗体もタンパク分解フラグメントに結合できないよう
にタンパク分解フラグメントが形成されることになる。
これは、分析すべきAPC開裂部位の上流及び下流で因
子の開裂を引き起こす一つ以上のプロテアーゼを選択す
ることにより最も簡単に達成できる。二つの抗体のうち
の一方は、決定すべきAPC開裂部位の上流、且つAP
C開裂部位の上流でプロテアーゼが開裂する位置の下流
のフラグメントの一部分を認識し、二つの抗体のうちの
もう一方は、決定すべきAPC開裂部位の下流、且つA
PC開裂部位の下流でプロテアーゼが開裂する位置の上
流のフラグメントの一部分を認識し、前記一つ以上のプ
ロテアーゼは、その開裂部位が、決定すべきAPC開裂
部位と、非突然変異因子上に存在するような隣接APC
開裂部位との間に位置するように、因子を開裂する。更
に別の具体例では、突然変異APC開裂部位の開裂を行
うことはできるが非突然変異APC開裂部位の開裂を行
うことはできない、又はその逆のプロテアーゼを、AP
Cの代わりに使用し得る。決定すべき突然変異の種類が
確認されれば、当業者は、適当なプロテアーゼに関し
て、プロテアーゼについて知られている認識部位をスク
リーニングするためのルーチンの実験を行いさえすれば
よい。
【0039】突然変異の検出の別の可能性は、もっと以
前から使用されているアミノ酸配列分析技術にある。非
突然変異因子のアミノ酸配列がわかれば、分析すべき因
子のアミノ酸配列を決定して、その配列を対応する非突
然変異因子の既知の配列と比較することは比較的簡単で
ある。しかしながら、突然変異の存在についてタンパク
質を分析するための簡単で効果的な方法は、抗体の使
用、例えばELISAもしくはRIA、又は当業者に公
知の他の種々の免疫学的検査の使用である。
【0040】第V因子及び第VIII因子の活性化形態
が、ある特定のメカニズムによって活性化されたもので
ある場合には、APC結合及び/又は開裂の低下のみを
示すことも可能である。これは、第V因子に関して実施
例1で明らかにする。実施例1では、トロンビンを用い
て活性化した活性化形態がAPCの結合及び/又は開裂
能力の変化を示さないのに対し、第Xa因子で活性化し
た活性化形態はAPCによる結合及び/又は開裂の低下
を示す。しかしながら、前述のように、突然変異の影響
が活性化形態のうちの一つで生起するだけであるかどう
かに関係なく、第V因子、トロンビンで活性化した第V
a因子、又はXaで活性化した第Va因子のいずれかに
突然変異の存在を検出することは、もちろん可能であ
る。
【0041】実施例1で説明するように、原因不明の血
栓発現傾向を示す患者の大部分に代表的に見られる、第
V因子の特異的突然変異が検出された。これは、血漿因
子Vのアミノ酸配列のアミノ酸506に対応する位置の
アミノ酸の突然変異であった(Ref.21に開示)。
従って、アミノ酸506の突然変異を決定することがで
きる方法は、本発明の好ましい具体例を構成する。一般
的に、検出すべき突然変異が、特に第V(a)因子及び
/又は第VIII(a)因子のH鎖上で、APC開裂部
位に位置するアルギニンアミノ酸の変化を含む場合の方
法は、適切に実施し得る本発明の方法の具体例である。
【0042】突然変異を検出するためには、突然変異タ
ンパク質第V因子及び/又は第Va因子に結合すること
ができるか、又は突然変異タンパク質第V因子及び/又
は第Va因子の線状タンパク分解フラグメントに結合す
ることができる特異的抗体を使用し得る。前記抗体は、
非突然変異タンパク質又は非突然変異タンパク質の対応
するタンパク分解フラグメントに対する結合親和性が低
い。抗体を用いて行う方法は、タンパク質第VIII及
び/又は第VIIIa因子、並びに前記突然変異タンパ
ク質第VIII及び/又は第VIIIa因子の線状タン
パク分解フラグメントにも使用し得る。
【0043】別の方法として、タンパク質第V及び/又
は第Va因子、又はタンパク質の第VIII及び/又は
第VIIIa因子に結合することができる抗体を使用す
ることも可能である。前記タンパク質はAPCによる不
活化の度合いの低下を示さず、前記抗体は、APCによ
る不活化の度合いの低下を示す突然変異タンパク質を産
生させる突然変異を含む、対応する因子及び/又は該因
子のタンパク分解フラグメントに対する結合親和性が低
い。この場合は、単離タンパク質又はタンパク分解フラ
グメントに対する抗体の非結合が突然変異の存在を示す
ことになるようなテストを開発し得る。本発明は、前述
のような抗体を使用して実施する方法に関するだけでな
く、抗体自体にも関する。
【0044】本発明の方法では、最初に、正常血漿標準
と比較したAPC添加時の凝固時間の変化について試料
をスクリーニングし、次いで、試料が示すAPC耐性が
標準と比べて変化していると診断された場合には、第V
因子又は第VIII因子をコードする核酸配列の分析、
及び/又は第V、第Va、第VIIIもしくは第VII
Ia因子のアミノ酸配列の分析、及び/又は第V、第V
a、第VIIIもしくは第VIIIa因子自体の分析を
行う。試料を、特異的突然変異の存在に関する分析、例
えば後述の実施例で説明する第V因子の突然変異に関す
る分析に直接かけることも可能である。使用する方法
は、事例の状況と、検査の対象とに依存する。例えば、
大きな集団をスクリーニングする場合は、コストが最も
低い方法を使用するのが好ましい。検出すべき突然変異
が抗体を用いて決定するのが困難な時もあり、その場合
は好ましくは核酸配列又は制限フラグメント分析を使用
し得る。また、制限フラグメント検査に使用すべき酵素
が廉価であればこのような検査の実施は極めて簡単であ
り、実施コストが低く、明らかに適したものと言える。
従って本発明は、試料が、正常第V因子及び/又は第V
III因子及び/又は第VIIIa因子及び/又は第V
a因子を含む試料と比べて、APCによる結合及び/又
は開裂の変化を示すかどうかを決定し、次いで前述の方
法で前記変化を引き起こす突然変異を更に分析する検査
の使用にも関する。
【0045】本発明の別の目的は、被験者の同型又は異
型である第V、第Va、第VIII又は第VIIIa因
子の突然変異を検出することにある。これは、Kost
erらによりLancet,1993年12月18日,
Vol.34に記述されているような、被験者がAPC
耐性を示すかどうかを調べるための検査プロトコルを用
いて実施し得る。基本的には、Kosterは、33m
M CaCl2と25mMトリス(pH7.5)と50
mM NaClと0.05%オボアルブミンとを含む試
薬(APTT−APC)50μl、又は2.0μg/m
lのヒトAPC及び0.6%グリセロールも含む前記試
薬(APTT+APC)50μlで凝血塊の形成を開始
させる前に、50μlのAPTT試薬(Cephote
st(登録商標)、バッチ103029)と共に37℃
で360秒間インキュベートした50μlの非希釈血漿
の使用について記述している。彼はその結果を、APT
T(+APC)及びAPTT(−APC)の比であると
定義されるAPC感度比(APC sensitivi
ty ratio)(APC−SR)として表した。こ
れらの条件下では、正常血漿のAPC−SRが示され
る。プロトロンビン及び/又は第X因子の濃度が減少す
ると(<0.5U/ml)、APC−SRは増加する。
従ってこの方法は、経口抗凝血剤で治療している患者の
評価には使用できない。Kosterは更に、このテス
トによって、彼が得た結果と、前文で述べたChrom
ogenixアッセイを使用して得られた結果との間
に、良好な相関(Pearson相関係数0.54)が
存在することが判明したと記述している。驚くべきこと
に、我々は、Kosterテストが、被験者が第V因子
の突然変異について同型であるか又は異型であるかを調
べるために適用した場合には、異型のほぼ半分を検出で
きないChromogenixテストより遥かに良く異
常を検出することを発見した。第14図はKoster
テスト、第11図はChromogenixテストを示
している。我々は、Kosterの方法及び市販のCh
romogenixテストを用いて、1691 GG
(正常)又は1691 AG(異型)であると遺伝子型
決定された(genotyped)個体の無作為抽出試
料の検査を2回実施した。Chromogenixテス
トでは、正常被験者及び異型被験者で得られた感度比の
間に大きな重複が存在しており、そのため異型の50%
以上がChromogenixテストではAPC耐性で
あると同定できなかった。そこで我々は、被験者が、A
PC耐性を引き起こす第V因子突然変異に関して異常で
あるか又は正常であるかを決定するのに適した別のテス
トを発見した。Kosterテストは従来、被験者がA
PC耐性一般について正常であるか又は異常であるかを
決定するのに有用であると見なされていただけである
が、我々は、該テストが実際には、APC耐性につなが
る第V因子突然変異を検出し、それもChromoge
nixテストより遥かに大きい信頼度で検出することを
発見した。われわれのテストでは0.84以下の値が異
常であり、正常被験者と同型被験者との間に重複は生じ
ない。これは、Chromogenixテストと比べて
大きな改善である。我々はこの改善が、Chromog
enixテストの場合と異なる活性化剤の使用、そして
より重要なことに、異なるカルシウム濃度の使用に起因
すると考える。この改善されたテストでは、25mMC
aCl2以上の試料中カルシウム濃度を適用する。好ま
しくは、45mM以下、より好ましくは30〜40m
M、特に31〜35mMとする。このより高い濃度はお
そらく、試料中のクエン酸塩をChromogenix
配合の場合より十分に中和する。別の改良点は、Cep
hotest試薬を活性化剤として使用することにあ
る。この方法はまたChromogenixテストと類
似しており、該テストをかなり改善したものとみなすべ
きものである。APC感度比について得られた値を正規
化した場合は(実施例1参照)、特に第V因子突然変異
に関して、0.84未満の値がAPC耐性に関して異常
であることを表し、0.84を超える値がAPC耐性に
関して正常であることを表す。同型決定の場合は、0.
50未満の値が記録されなければならない。異型は0.
50〜0.70の値を示す。しかしながら、この改善さ
れた方法は、抗凝血剤で治療した患者には適用できな
い。
【0046】この実施例では、検出された突然変異が、
第V因子のアミノ酸506のコドンにおけるG→A突然
変異であった。突然変異の発生頻度及びこれに関連した
血栓症発生の危険度の高さは、被験者が同型であるか又
は異型であるかの決定が、親から子孫への突然変異因子
の遺伝に関する危険性を評価する時に大きな問題となる
ことを意味する。実施例2で、我々は、第V因子におけ
る突然変異の存在、特にG→A突然変異が、実際に、血
栓症を発生させる危険因子であることを説明する。ま
た、初めて心筋梗塞にかかった患者の6%が1691
G−A突然変異のキャリヤーであるという先に観察され
た事実は、この突然変異が動脈血栓症の弱い危険因子
(相対危険度1.5〜2.0)であることを意味し得
る。心臓発作の危険の増加が適時に検出されれば、被験
者は生活様式を調整し、このような発作を防ぐように注
意することができる。静脈血栓症に関して重要なこと
は、前文で既に説明した。
【0047】本発明は、ここで説明する全ての具体例で
本発明の方法を実施するのに必要な要素を含むキットに
も関する。これには例えば、前述の特異的抗体のうちの
一つ以上、特にAPC開裂及び/又は結合部位を認識す
る前述の抗体対を含み、及び/又は前述のような標的増
幅反応及び/又はハイブリダイゼーション反応のための
一つ以上のプローブ又はプライマーもしくはプライマー
対を含む検査キットが含まれる。本発明は特定的には、
第V因子及び/又は第Va因子のアミノ酸506をコー
ドする核酸配列の突然変異を含む核酸配列を増幅するた
めの一つ以上のプライマーを含むキットに関する。この
キットは、一つの特定の突然変異又は複数の突然変異を
検出するためのプライマー及び/又は抗体を含み得る。
該キットは、好ましくは、特定集団に多く見られるAP
Cによる結合及び/又は開裂の低下及び/又は抹消を引
き起こす主要突然変異の検出に必要な構成要素を含む。
【0048】
【実施例】実施例1 血栓症を有する無作為抽出した一連の患者の21%(L
ancet,1993年12月18日,Vol.34
2,pp.1503−1506,Kosterら)、及
び個人的に又は家族に血栓症の病歴がある選択した患者
の約50%(Ref.8及びBlood,Vol.8
2,No.7(1993年10月1日):pp.198
9−1993,J.H.Griffinら)の血漿中
で、APCに対する弱い抗凝血結応答(「APC耐性」
(Ref.2))が最近発見された。我々はこの実施例
で、APC耐性の表現型が、APCによる不活化に対し
て耐性である第V因子分子−FV(Q506)又はFV
Leiden−の合成を予告する第V因子遺伝子の単
一点突然変異(1691,G→A)に関する異型性又は
同型性に関連していることを明らかにする。オランダ集
団における突然変異の対立遺伝子頻度は約2%であり、
血栓症の全ての既知の遺伝性危険因子(プロテインC−
(ref.17)、プロテインS−(Ref.30)、
アンチトロンビンIII(Ref.31)欠失)の頻度
の合計の10倍以上に達する(Ref.32)。
【0049】明らかに健康な個体の5%がAPCに対し
て弱い抗凝血応答を示し、このAPC耐性が深静脈血栓
症発生危険度の7倍の増加(Lancet,1993年
12月18日,Vol.342,pp.1503−15
06,T.Kosterら)に関係しているという我々
の発見に促されて、我々はこの表現型の分子的基礎を調
べた。
【0050】APCに対する血漿の応答度は、二つのA
PTT、即ちAPCの存在下で測定したAPTT、及び
APCの不在下で測定したAPTTの比として測定され
る(Lancet,1993年12月18日,Vol.
342,pp.1503−1506,T.Koster
ら、Blood,Vol.82,No.7(1993年
10月1日);pp.1989−1993,J.H.G
riffinら、及びRef.2)。標準化のために、
前記比(APC感度比又はAPC−SR)を、基準血漿
について得られた比(n−APC−SR)に合わせて正
規化する。APC耐性はn−APC−SR<0.84
(外れ値を除外した後の健康対照100の平均n−AP
C−SRから1.96SDを差し引いた値)によって定
義される。
【0051】14人の関係の無いAPC耐性患者の親の
分析の結果、同型及び異型をn−APC−SRに基づい
て同定できるAPC耐性(又はAPC補因子II欠失
(Ref.2))の家族的形態の概念が得られた(図1
の説明文参照)。混合実験により、この概念の別の裏付
けが得られた(図1)。即ち、1倍容の正常血漿を、同
型APC補因子II欠失(n−APC−SR 0.3
8)であると分類された患者の血漿1倍容に加えると、
n−APC−SRが0.57になった。これは、前記欠
失に関して異型であると分類された患者の血漿中で発見
された比(平均n−APC−SR 0.58)と同じで
ある。同型APC補因子II欠失(平均n−APC−S
R 0.40)であると分類された4人の関係の無い患
者の血漿を混合しても前記比は修正されなかった。これ
は、4人の患者全員が同じ血漿タンパク質を欠失又は欠
乏していることを意味する(Ref.2及びBloo
d,Vol.82,No.7(1993年10月1
日):pp.1989−1993,J.H.Griff
inら参照)。
【0052】APC補因子II活性が既知の凝血タンパ
ク質のうちの一つの機能的特徴である可能性を調べるた
めに、APC補因子IIレベルを、単一タンパク質が欠
乏している一連の血漿中で測定した(図2)。これらの
血漿はいずれも、第V因子欠乏血漿(<5%)を除い
て、正常なAPC補因子IIレベル(60〜155%)
を有していた。第V因子欠乏血漿に種々の量の単離ヒト
第V因子を加えると、第V因子凝血活性及びAPC補因
子II活性の両方が導入された。
【0053】第V因子がAPC補因子IIの候補である
ことの独立した裏付けが、APC耐性を有する大家族の
連鎖研究から得られた(図3)。
【0054】第V因子遺伝子(F5)のヒト遺伝子座を
染色体1(1q21−25)についてマッピングした
(Ref.33)。便利な(PCR可能な)多形性F5
マーカーについての報告は存在しない。しかしながら、
公表されている第V因子cDNA及びゲノム配列の多様
性(Ref.20−23及びThe Journalo
f Immunology,Vol.150,2992
−3001,No.7,1993年4月1日,N.L.
L.Shenら)は、我々が第V因子遺伝子の二つの新
しい多形性を同定する助けになった。残念ながら、前記
APC耐性家族では、これらの多形性のどちらも情報を
与えるものではなかった。そこで我々は、この家族の1
q21−25領域(図4参照)の幾つかの遺伝子座に関
するマイクロサテライト(microsatellit
e)・マーカーの分離(segregation)を検
査した。図5の表は、これらのマーカーとAPC耐性の
表現型との間の関係に関する二つ組ロドスコア(pai
rwise lodscore)を示している。かなり
肯定的な結果は、F5遺伝子座から4cM以内に位置す
る遺伝子座D1S61(θ=0.00でZmax 7.
27)に関してだけ得られた。
【0055】この時点で我々は、APC耐性が第V因子
遺伝子の欠陥に関係があるという証拠が、関連突然変異
の調査を開始するのに十分なだけそろっていると考え
た。我々は調査の焦点を、推定上のAPC結合部位(残
基1865−1874)(Ref.35、36)及び推
定上のAPC開裂部位(Arg−506)(Ref.2
1及びThe Journal of Biologi
cal Chemistry,Vol.262,No.
23,1987年8月15日,pp.11233−11
238,Bruce Odegaard及びKenne
th Mann)をそれぞれ含む第V因子の二つの領域
に絞った。
【0056】第一のアプローチとして、末梢血液リンパ
球から単離した第V因子遺伝子の異所転写体(ecto
pic transcript)を用いて第一鎖cDN
Aを合成し、次いでAPC結合及び開裂部位をコードす
る二つの領域を増幅した。PCRフラグメントの直接的
配列決定の結果、APC補因子IIの同型接合欠失とし
て分類された二人の関係の無い患者の両方が、169
1,G→Aトランジションに対して同型接合であること
が判明した(図6)。この突然変異は、Gln(CA
A)(FA(Q506)又はFV Leiden)によ
るArg−506(CGA)の置換を予測させるもので
ある。1691 Aを包囲する225bp、及び推定上
のAPC結合部位をコードする領域を包囲する275b
pに、別の配列異常は観察されなかった(図7)。
【0057】Arg−506の後の開裂がAPCによる
ヒト第Va因子の不活化のきっかけであれば、位置50
6へのGlnの導入が抑制性(inhibitory)
開裂を防止することが予測される。凝固プロセスの間
に、血漿因子Vはまず第Xa因子によって活性化され
(105/220kDaヘテロダイマーの形成(Re
f.37))、次いで更にトロンビンによってプロセス
される(105/74kDaヘテロダイマーの形成(R
ef.38))(Ref.39)。興味深いことに、我
々はGlnによるArg−506の置換が、第V因子の
Xa活性化形態のAPCによる不活化のみを阻止し(図
8)トロンビン活性化形態の不活化は阻止しないことを
発見した(データ示さず)。
【0058】二人の関係の無いAPC耐性患者が同じ突
然変異に対して同型接合であるという観察事実は、この
変化がAPC耐性患者の大半に存在することを示唆す
る。この可能性を調べるために、ゲノムDNAを169
1 G→Aトランジションの存在についてスクリーニン
グするテストを設計した。前記突然変異は、イントロン
10の開始点から11nt51のエクソン10に存在
し、イントロン10のヌクレオチドは最初の8個のみが
公表されているため(Ref.23)、半ネスト型(h
emi−nested)逆PCR(Ref.40)によ
って、より長いイントロン10配列を形成した(配列1
4も参照)。この情報に基づいて、遺伝子型決定に使用
し得る二つの重複ゲノムフラグメントを増幅するための
プライマーを設計した。
【0059】MnlIでの267bpフラグメントの消
化を使用して、正常(1691 G)又は突然変異対立
遺伝子の存在を明らかにし、この正常又は突然変異対立
遺伝子に対して特異的なオリゴヌクレオチドと222b
pフラグメントとのハイブリダイゼーションを用いて、
1691 Aを正に同定した。このアプローチを用い
て、我々はまず図3の家系の構成員を総て調べた。この
家系の一部について、図10に示すように、1691,
G→Aトランジションに関する異型接合性のAPC耐性
(n−APC−SR<0.84)を用いた完全な同時分
離(cosegregation)が明らかにされた。
更に、経口抗凝血剤で治療したためにn−APC−SR
が得られない4人の患者(II.6、II.8、II.
14、III.22)は、異型接合性であることが判明
した。
【0060】最初の客観的に確認された深静脈血栓を経
験したことがある301人の患者と、年齢及び性別が適
合した301の集団対照とについて先に行われた検査で
は、64人のAPC耐性血栓症患者が同定された(La
ncet,1993年12月18日,Vol.342,
pp.1503−1506,T.Kosterら)。こ
れら64の患者と、対応する64の対照とを、G→Aト
ランジションの存在についてスクリーニングした。12
8の個体のうち70がn−APC−SR<0.84を示
した(64の患者及び6の対照)。そのうち56の個体
が突然変異を有しており(53の患者及び3の対照)、
患者のうち6人の突然変異が両方の対立遺伝子にあり
(平均n−APC−SR 0.43;範囲0.41−
0.44)、他の50が一つの対立遺伝子にあった(平
均n−APC−SR 0.57;範囲0.50−0.6
7)。残りの14のAPC耐性個体は突然変異を有して
おらず、わずかに減少したn−APC−SRを有してい
ただけであった(平均n−APC−SR 0.78;範
囲0.70−0.83)。58の非APC耐性個体はい
ずれも突然変異を有していなかった(平均n−APC−
SR 0.99;範囲0.83−1.19)。また、n
−APC−SR>0.84の100人の血栓症患者の中
に突然変異のキャリヤーはいなかったが、予想した通
り、対応する100の適合対照のうち3は突然変異のキ
ャリヤーであった。この3つは(n−APC−SRがそ
れぞれ0.57、0.58及び0.59)、n−APC
−SR<0.84を有する唯一の対照であった。
【0061】我々のデータは、n−APC−SR<0.
84の個体の80%、及びn−APC−SR<0.70
の個体の100%が、1691,G→Aトランジション
に関して異型又は同型接合であり、また逆にすべての突
然変異キャリヤーがn−APC−SR<0.7を有する
ことを示すものである。オランダ集団における突然変異
対立遺伝子の比較的高い頻度(約2%)と、APC耐性
が深静脈血栓症の一般的な強力危険因子であるという我
々の発見(Lancet,1993年12月18日,V
ol.342,T.Kosterら)とを組合わせるて
考えると、この遺伝性の第V因子欠乏は現在のところ最
も一般的な遺伝性凝血障害ということになる。
【0062】図1及び図2 血漿中のAPC補因子II濃度の測定 図1. 血漿中のAPC補因子II活性のアッセイに関
する検量線 APC補因子IIは、APC耐性を有する個体に欠失又
は欠乏している、APCの想定上の新しい補因子である
(Ref.2)。APC補因子IIが欠乏している同型
接合患者の血漿(APC補因子II 0%)中の正常血
漿(APC補因子II 100%)希釈物中で、n−A
PC−SRを測定した。図1の曲線は、9回の異なる実
験の結果である。APC補因子II欠乏同型又は異型接
合の分類は、APC耐性を有する14のプロバンド(p
roband)(n−APC−SR<0.84)に関す
る親分析の結果に基づく。2個のプロバンド(n−AP
C−SR 0.38/0/41)では両親がAPC耐性
を有しており(平均n−APC−SR 0.55)、1
1個のプロバンド(平均n−APC−SR 0.57)
では、親の一方がAPC耐性である(平均n−APC−
SR 0.59)のに対し他方がAPC耐性ではなく
(平均n−APC−SR 0.96)、1個のプロバン
ド(n−APC−SR 0.74)では両親ともAPC
耐性ではなかった(n−APC−SR 0.96/0.
99)。我々は、個体のn−APC−SRに基づいて、
個体をAPC補因子II欠乏に関し同型又は異型接合で
あると分類できると考える(同型:平均0.40、n=
2;異型:平均0.58、範囲0.51−0.67、n
=26)。
【0063】図2. 単一凝固因子が欠乏している(<
5%)血漿中のAPC補因子II活性レベル 血漿は、先天性欠乏を有する患者に由来するもの(a、
g、f、m、g、r、s、t)、又はイムノデプリーシ
ョン(immunodepletion)によって製造
したもの(b、c、d、e、j、h、i、k、l、p)
である。血漿は、第II因子欠乏(a)、第VII因子
欠乏(b)、第IX因子欠乏(c)、第X因子欠乏
(d)、第XI因子欠乏(e)、第XII因子欠乏
(j)、第XIII因子欠乏(g)、プロテインC欠乏
(l)、プロテインS欠乏(i)、β2−糖タンパク質
欠乏(j)、抗トロンビン欠乏(k)、第V因子欠乏
(l,m)、第VIII因子欠乏(p,q)又はvon
Willebrand因子欠乏(r、s、t)であっ
た。第V因子欠乏血漿(m)に精製ヒト第V因子(Se
rbio,Gennevilliers,Franc
e)を二つの異なる濃度、54%(n)及び90%
(o)で加え、20mMクエン酸ナトリウム、150m
M NaCl、4mM CaCl2に対して透析し、A
PC補因子II活性について検査した。
【0064】方法:二つのAPTT測定、即ちAPCの
存在下での測定及び不在下での測定の結果に基づき、既
述の方法と全く同じ方法(Lancet,1993年1
2月18日,Vol.342,T.Kosterら)で
APC−SRを計算した。検査試料のAPC−SRを、
プールしてあった正常血漿のAPC−SRで割り算し
て、n−APC−SRを計算した。図1に示すような検
量線で、APC補因子II欠乏血漿中の検査血漿の二つ
の異なる希釈物(1:1、3:4)のn−APC−SR
を読み取ることにより、APC補因子II活性を測定し
た。
【0065】図3〜図5. APC耐性を有する家族の
連鎖分析 図3. APC耐性(又はAPC補因子II欠乏)を有
する家族の家系
【0066】
【化1】 図4. 染色体lのq21−25領域の統合的遺伝連鎖
地図 遺伝子座APOA2、D1S104、D1S61、AT
3、LAMB及びF13Bの相対位置を、NIH/CE
PH Collaborative Mapping
Group連鎖地図(Ref.41)から誘導した。隣
接遺伝子座間の遺伝距離はcMで示す。F5及びD1S
61遺伝子座のマーカーの情報を提供する三つのCEP
H家族におけるこれら2個のマーカーの分離を調べたと
ころ、F5遺伝子座は、この地図上で、D1S61遺伝
子座から4cM以内に位置していた(55の減数分裂
で、これら二つの遺伝子座の間に組換えは観察されなか
った:θ=0.00でZmax16.6)。
【0067】図5. 染色体1マーカーでのAPC耐性
の二つ組ロドスコア 図3の家系の検査できる個体総てを分析した。遺伝子座
ApoA2、D1S104、D1S61、LAMB及び
F13Bのマーカーのオリゴヌクレオチド配列はゲノム
データバンクから入手できる。プライマーはオランダプ
ライマーベースから得た。AT3遺伝子座の三つの異な
る多形性マーカーは、この家族の情報を提供するもので
はなかった。Dr.J.Ottから入手したLINKA
GEパッケージバージョン5.3からのMLINKプロ
グラムを用いて、2点連鎖分析(two point
linkageanalysis)を実施した。性別平
均ロドスコアを示す。
【0068】方法:ApoA2、D1S104、D1S
61、LAMB及びF13Bのマイクロサテライト・マ
ーカーをPCRで増幅した。条件:50mM NaC
l、10mMトリス−HCl(pH9.6)、10mM
MgCl2、0.01%BSA、200μM dGT
P、dATP及びdTTP、20μM dCTP、0.
7μCi α32P dCTP、0.43U Taqポ
リメラーゼ(Cetus,Emeryville,C
A,USA)、50ngの各プライマー及び30ngの
ゲノムDNA。最終延伸(elongation)ステ
ップを10分間にして、94℃(1’)、55℃
(2’)、72℃(1’)で27サイクル実施した。P
CR生成物を6%変性用ポリアクリルアミド配列ゲル上
で分離し、その後ゲルを乾燥し、X線フィルムに暴露し
た。
【0069】F5多形性:第V因子遺伝子のエクソン1
3からの636bpフラグメント(Ref.23)を、
配列表のプライマー番号2(PR−766、nt225
3−2272(Ref.21))及び番号3(PR−7
68、nt2870−2899(Ref.21))を用
いてPCRで増幅した。PCR条件については図10及
び第11図の説明文を参照されたい。Hinf Iで制
限すると、nt 2298のC/T二形性(C:0.6
8;T:0.32)と、nt2411の稀なA/G二形
性(A:0.98;G:0.02)とが検出される。こ
れらのマーカーのうち、図3の家系で情報提供するもの
はない。
【0070】図6〜図8. APC補因子II欠乏同型
接合患者の第V因子遺伝子突然変異の同定 図6. APC補因子II同型接合欠乏として分類され
た患者のヌクレオチド置換を示すオートラジオグラム cDNA PCRフラグメント(ヒト第V因子のアミノ
酸417〜572をコードする(Ref.21))の非
コード鎖のヌクレオチド配列の一部を、一人の患者
(P)及び一人の非APC耐性対照(C)に関して示
す。矢印は、GlnによるArg 506の置換を予告
する1691,G→Aトランジションの位置を示す。
【0071】図7. 第V因子分子の簡単な説明図 ヒト第V因子は、数種類の内部反復を含む330kDa
糖タンパク質である(Ref.21)。第Xa因子での
活性化は、105/220kDaヘテロダイマー(A1
A2/B’A3C1C2)(Ref.38)の形成につ
ながり、トロンビンでの活性化は105/74kDaヘ
テロダイマー(A1A2/A3C1C2)(Ref.3
7)の形成につながる。APCは第Va因子のA3領域
に結合し(Ref.35、36)、Arg−505後の
A2領域内での開裂によってウシ第Va因子を阻害する
(The Journal of Biologica
lChemistry,Vol.262,No.23,
1987年8月15日,pp.11233−1123
8,Bruce Odegaard及びKenneth
Mann)。
【0072】ヒト(Arg−506)及びウシ(Arg
−505)第Va因子の推定上の(Ref.43)AP
C開裂部位を包囲するアミノ酸配列を示す。APC耐性
患者では、Arg−506がGlnで置換されている。
【0073】図8. APCによる不活化に対する第X
a因子活性化第V因子(Q506)の耐性 第V因子(R506)又は第V因子(Q506)を含
む、Al(OH)3吸着しフィブリノーゲン欠失した血
漿(2時間、37℃;0.3U/ml−1アーブン)
を、20mMCaCl2及び20μM PS/PC(2
5/75)の存在下で、第Xa因子(2 nM)で処理
した。8分後、第V因子の活性化が終了した時点で、
1.9nMのAPC又は緩衝液を加えた。様々な時間間
隔で、10μlの試料をストップ緩衝液(50mMトリ
ス−HCl、pH7.9、180mMNaCl、0.5
mg/ml−1OVA、5mM CaCl2)中で1/
100に希釈し、Pietersらの方法(Ref.4
4)を用いて、第Va因子活性について直接アッセイし
た。0.70U/ml−1FV(R506)(0.64
μMトロンビン分−1)又は0.49U/ml−1FV
(Q506)(0.20μMトロンビン分−1)の完全
な活性化後に測定した第Va因子活性は、任意に100
%とみなされる; ○,−APC; ●,+APC。
【0074】方法: cDNA合成:同意した患者及び非APC耐性対照のク
エン酸含有血液10mlのリンパ球フラクションからR
NAを単離した(Ref.45)。1μgのRNAを鋳
型として使用し、スーパースクリプト・キット(BR
L,Bethesda,Md,U.S.A.)を用い
て、混合ランダムヘキサマーの存在下で第一鎖cDNA
を合成した。cDNAフラグメントの増幅。プライマー
配列4(PR−764,nt 1421−1440(R
ef.21))及び配列5(PR−856,nt 18
67−1891(Ref.21))は、推定上のAPC
開裂部位を含む残基417〜572をコードする領域を
増幅し、プライマー配列6(PR−849 nt 56
08−5627(Ref.21))及び配列7(PR−
848,nt 6040−6063(Ref.21))
は、APC結合領域を含むアミノ酸残基1812〜19
63をコードする領域を増幅する。PCR条件は、図9
及び図10の説明文に記載の通りである。PCRフラグ
メントをゲル化温度が極めて低いアガロース上で精製
し、PCR反応と同じプライマーを用いて前述のように
直接配列決定した(Ref.42)。APC結合領域の
配列決定を補助するために、更にもう一つのプライマー
を合成した:配列8(PR−847,nt 5905−
5927(Ref.21))。
【0075】図9及び図10. APC耐性と第V因子
の1691A対立遺伝子の存在との関係 図9. 1691AのAPC耐性による同時分離 上部は家系(図3)における個体の位置を示し、可能で
あればn−APC−SRも示す(II6は経口抗凝血剤
治療に関する)。中間部は、267bp PCRフラグ
メントのMnl I消化の結果を示す。下部は、222
bpフラグメントと、1691A対立遺伝子(PR 1
005)に特異的なビオチニル化オリゴヌクレオチドと
のドットブロットハイブリダイゼーションの結果を示
す。 図10. n−APC−SR<0.84の64人の血栓
症患者及び対応する64の対照の222bp PCRフ
ラグメントと、1691A対立遺伝子(PR 100
5)に特異的なビオチニル化オリゴヌクレオチドとのド
ットブロットハイブリダイゼーション。
【0076】総ての患者(P)及び対照(C)は、十分
な説明を受けた上で同意を与えてくれた。スラッシュは
この実験で失敗したPCR反応の位置を示す。
【0077】方法:1691G/Aを含むゲノムフラグ
メントの増幅。Mnl−I消化のために、配列9(PR
−6967;nt 1581−1602(Ref.2
1))を5’プライマーとして使用し、且つ配列10
(PR−990;イントロン10のnt127〜−14
6)を3’プライマーとして使用して、267bpフラ
グメントを増幅した。ドットブロットハイブリダイゼー
ションのために、配列11(PR−6966、nt16
26−1647(Ref.21))を5’プライマーと
して使用し、PR−990(配列10)を3’プライマ
ーとして使用して、222bpフラグメントを増幅し
た。条件:54mM トリス−HCl(pH8.8)、
5.4mM MgCl2、5.4μM EDTA、1
3.3mM(NH4)2SO4、8% DMSO、8m
Mβ−メルカプトエタノール、0.4mg/ml−1
BSA、0.8mMの各ヌクレオシドトリホスフェー
ト、400ngの各プライマー、200〜500ng
DNA及び2UTaqポリメラーゼ(Cetus,Em
eryville,CA,USA)を含む混合物125
μlを、91℃(40”)、55℃(40”)及び71
℃(2’)のサイクルに36回かけた。267bpフラ
グメント(7−10μl)を0.4U Mnl I(B
iolabs,Cambridge,Ma,USA)で
消化した。1691Gフラグメントは67、37及び1
63bpのフラグメントを与え、1691Aフラグメン
トは67及び200bpのフラグメントを与える。22
2bpフラグメント(約100ng)を、1691Gを
検出するためのビオチニル化配列特異的オリゴヌクレオ
チド配列12(PR1006;nt 1682−169
9(Ref.21))、及び1691Aを検出するため
の配列13(PR1005)とのドットブロットハイブ
リダイゼーションに使用した。手順は全く前述通りであ
る(Ref.46)。ハイブリダイゼーション後、スト
リンジェンシー洗浄を、PR−1006で53℃、PR
−1005で52℃で実施した。
【0078】実施例2 我々は、凝固因子V(第V因子Leiden)異常の突
然変異に関して異型及び同型接合の個体における静脈血
栓症発生の危険度を調べた。我々は、最初の客観的に確
認された深静脈血栓症を有する70歳以下の471人の
患者、及び474人の健康な対照の、第V因子Leid
en遺伝子型を決定した。我々は、血栓症患者の中に8
5の異型接合個体及び7の同型接合個体を発見し、対照
被験者の中に14の異型接合個体を発見した。
【0079】異型接合個体の場合は相対危険度が7倍増
加したのに対し、同型接合個体の場合は80倍増加し
た。これらの個体は遥かに若い年齢で(32歳対44
歳)血栓症を経験していた。同型接合個体は主に女性で
あり、殆どが血液型Aであった。
【0080】血栓症発生の危険は年齢と共に増加するた
め、絶対危険度差は、異型接合個体及び同型接合個体の
両方について、年齢のより高い患者で極めて顕著であ
る。同型接合個体の場合は、絶対危険度が数%/年にな
る。これは、第V因子Leidenに関して同型接合の
個体の大半が、一生のうち少なくとも一回は血栓症を経
験することを意味する。
【0081】突然変異第V因子遺伝子は対立遺伝子の頻
度が高いため、同型接合キャリヤーは、別の種類の遺伝
性血栓発現傾向の場合のように極端に稀ではない。同型
接合状態が異型接合状態より大きい危険度を与えるかど
うかはこれまで知られていなかった。我々は、血栓症発
生危険度と、第V因子Leidenに関して同型接合で
ある患者の臨床的特徴とを調べた。これらは、深静脈血
栓症に関する大規模症例対照検査(large cas
e control study)で確認された(Th
e Leiden Thrombophilia St
udy:LETS)(KosterT.ら,Venou
s thrombosis due to poor
anticoagulant response to
activated protein C:Leid
en Thrombophilia Study.La
ncet 1993;342:1503−1506)。
【0082】方法 試験計画 LETSの計画の詳細については以前に開示されている
(T. Koster等, “Venous thro
mbosis due to poor antico
agulant responser to acti
vated protein C: Leiden T
hrombophilia Study,” Lanc
et 342, pp.1503−1506, 199
3)。本発明者は70歳未満の続発患者を考慮下に置
き、既知の悪性障害の不在下に客観的に確認された最初
の深静脈血栓症のエピソード後に前記患者をライデン、
アムステルダム及びロッテルダムのAnticoagu
lation Clinicに、抗凝血治療の外来監視
のために委託した。患者は急性血栓症事象後少なくとも
6ヵ月(6〜19ヵ月)診療した。適格患者の90%が
試験への参加を希望した。474人の血栓症患者に加え
て、本発明者は474人の対照被験者も用意し、これら
の被験者は静脈性血栓塞栓症の履歴を有せず、既知の悪
性障害に罹患しておらず、性別が同じであり、かつ年齢
もほぼ同じ(±5歳)であった。
【0083】データ収集及び研究室分析 全被験者に、指標日付、即ち血栓症事象の日付以前の特
定期間内に限定した過去における後天性危険状況の存在
についての質問を含む標準的な質問票に回答させた。本
発明者が“後天性危険状況”と看做したのは、いずれも
指標日付の前年に有った手術、手術を行なわない入院、
または自宅での長期不動化(2週間以上)、及び指標日
付時点での妊娠である。
【0084】前腕前部静脈から血液を、0.106mm
ol/lのクエン酸三ナトリウムを収容したSarst
edt Monovette(登録商標)管内に採取し
た。白血球から高分子DNAを単離し、4℃で貯蔵し
た。突然変異体第V因子−ライデン遺伝子(1691;
G→Aトランジション)の存在を既述のように確認し
た。この方法によって本発明者は、各患者に関し、当該
患者がホモ接合性正常(GG)であるか、第V因子ライ
デン突然変異に関してヘテロ接合性(AG)であるか、
それとも前記異常のホモ接合性保有者(AA)であるか
を確定した。技術者には常に、試料の立場、即ち試料が
患者と対照被験者とのいずれに由来するかを知らせなか
った。DNA分析用の細胞は471人の患者及び474
人の対照から入手可能であった。
【0085】分析及び統計処理 患者(cases)及び対照における第V因子ライデン
突然変異のヘテロ接合性及びホモ接合性保有者の頻度
を、単純な交叉作表によって比較した。ヘテロ接合状態
に関連する危険の分析では性別及び年齢は、常染色体遺
伝異常に肯定的に作用すると予測されないので交絡(c
onfounding)変数であるとは考えられなかっ
たため、ヘテロ接合状態に関する相対的危険度の推定値
は非整合暴露オッズ比の計算によって求めた。95%信
頼区間をWoolfに従って設定した(B. Wool
f, “On estimating the rel
ation between blood group
and disease,” Ann. Hum.
Genet. 19, pp.251−253, 19
55)。
【0086】ホモ接合状態に関連する危険度は上述の標
準的な方式では推定できなかったが、これは対照中にホ
モ接合性個体が見出されなかったからである。従って、
(対照における)Hardy−Weinberg平衡の
仮定下に対照母集団内のホモ接合性個体の予測数を計算
し、その後オッズ比を標準的な方式で推定した。ホモ接
合状態に関する(log)オッズ比の分散を、Wool
fの方法を改良した方法によって推定した。欄の内容
a、b、c及びdを有する2行2列の表の各欄をPoi
sson分布の実現と看做せば、log(OR)の分散
は1/a+1/b+1/c+1/dとなる(B. Wo
olf, “On estimatingthe re
lation between bloodgroup
anddisease,” Ann. Hum. G
enet. 19, pp.251−253,195
5)。遺伝子型GG及びAAを有する個体数を患者では
計数し、対照に関してはHardy−Weinberg
平衡から算出し、必要な二次変換を行なうと、log
(OR)の分散は1/AA(患者)+1/GG(患者)
+4/A(対照)+4/A(対照)+4/G(対照)と
なり、その際AA及びGGは遺伝子型(個体)の数であ
り、A及びGは対立遺伝子の数である。
【0087】様々な遺伝子型及び年齢における血栓症の
絶対的危険度を、まずHardy−Weinberg平
衡の仮定下に(自治体当局提供の情報から得た)原母集
団の人年数を分割することによって計算した。分割した
人年によって患者を各サブグループ(遺伝子型、年齢)
に分け、それによって絶対的危険度の推定値を得た。そ
の後、これらの粗い出現率データを対数変換後に、三つ
の年齢群(0〜29歳の25歳群、30〜49歳の40
歳群及び50〜69歳の60歳群)と、各層の患者数に
関して加重したヘテロ接合状態(0,1)及びホモ接合
状態(0,1)に関する指示変数とを有する加重最小2
乗回帰モデルへとモデル化した。層特定的な出現率をま
ず推定し、その後加重最小2乗回帰によって平滑化する
[“最終平滑化”(S. Greenland, “M
ultivariate estimation of
exposure−specific incide
nce from case−control stu
dies,” J. Chron. Dis.34
pp.445−453, 1981)]この方法はGr
izzle等が開示している(J. E. Grizz
le, C. F.Starmer及びG. G.Ko
ch, “Analysis of categori
cal data by linear model
s,” Biometrics 25, pp.489
−504, 1969)。Poisson分布では患者
数の分散は患者数に等しいので、この方法はPoiss
on回帰モデルを作成するのとほとんど同じである。P
oisson回帰モデルは、ホモ接合状態(及びヘテロ
接合状態)に関する出現率比が当該対数(出現率)に関
して年齢層間で一定であるという仮定の下に、特にホモ
接合状態に関してより安定な推定値をもたらす。このモ
デルは log(I)=α+β1*年齢+β2*AG(0,1)
+β3*AA(0,1) と表記でき、この式は後に、(係数の真数として)絶対
的危険度及び相対的危険度の推定値の計算に用い得る。
【0088】結果 471人の患者のうち、欠陥に関してヘテロ接合性であ
ったのは85人(18%)、ホモ接合性であったのは7
人(1.5%)であり、その他の379人(80%)は
第V因子ライデン突然変異を有しなかった。対照では4
74人のうちの14人(2.9%)がヘテロ接合性で、
他の460人は総て正常であった。対照中にホモ接合性
個体は存在しなかった。
【0089】ホモ接合性個体は他の患者より甚だしく若
年で血栓症に罹患し、その血栓症罹患平均年齢はヘテロ
接合性患者の44歳、及び突然変異を有しない患者の4
6歳に対して32歳であった(表2)。
【0090】ホモ接合性患者における深静脈血栓症の臨
床経過は平凡であった。全員が脚の深静脈血栓症に罹患
した。4人はヘパリン化のために短期間入院し、3人は
外来患者としてクマリン誘導体のみでの治療を受けた。
7人の患者のうちで顕性動脈疾患(心筋梗塞、卒中また
は末梢動脈疾患)の履歴を有するものは皆無であった
(表3)。
【0091】7人のホモ接合性患者のうち6人(86
%)は女性であり、これに対してヘテロ接合性個体では
46人(54%)、突然変異を有しない個体では217
人(57%)が女性であった。また、上記7人の患者の
うちの6人は血液型がA型であったが、他の464人の
患者のうちでA型は249人(54%)であった。45
歳以下である5人のホモ接合性女性患者のうち、3人は
血栓症事象の時点で経口避妊薬を用いており、このこと
はいずれにせよ現在通常の使用に類似していた。非O型
の血液型、及び経口避妊薬の使用はそれ自体が静脈血栓
症の危険因子であるので、上記の数字はこれらの危険因
子とホモ接合性第V因子ライデンとの、複合的な性質を
有する相互作用を示唆している。
【0092】7人のホモ接合性患者のうちの2人(29
%)には、事象の前年に血栓症の素因は存在しなかった
(1人は血栓症となる45日前に股関節部の手術を受
け、1人は血栓症事象の60日前に出産後一晩入院し
た)。85人のヘテロ接合性個体のうちの25人(29
%)の患者、及び379人の正常な患者のうちの131
人(35%)に後天性危険因子が存在した。
【0093】過去の危険状況(手術、妊娠、入院)が血
栓症を招かなかった例は、第V因子ライデン突然変異に
関してホモ接合性である患者ではその他の患者における
ほど頻繁に生起しなかった。それでも、7人のホモ接合
性患者のうち5人は過去に、後に血栓症をもたらさない
危険状況に遭遇していた(2人が手術を受け、4人が5
人の子供を出産)。
【0094】上記7人の患者を、最初の血栓症事象後長
期経口避妊を行なわせずに平均2年間追跡した。1人の
患者は再発性血栓症に罹患した(1回/13.4年;
年率7.4%)。両親14人のうちの3人が静脈血栓症
の履歴を有したが、これは予測の約5倍である。
【0095】Hardy−Weinberg平衡下に正
常個体:ヘテロ接合性個体:ホモ接合性個体の相対的頻
度はp2:2pg:q2となり、その際pは正常遺伝子
の、またqは異常遺伝子の対立遺伝子頻度である。p
2:2pgが460/474:14/474であったの
で、第V因子ライデンの対立遺伝子頻度(q)は0.0
15となる。p=0.985及びq=0.015という
対立遺伝子頻度は、非選択個体474人中での459.
9人(GG)、14.0人(AG)及び0.107人
(AA)という分布に合致する。
【0096】対照474人中のホモ接合性個体の予測数
(q2)が0.107人であることから、ホモ接合性状
態に関するオッズ比は(7/379)/(0.107/
460)=79となる。即ち、ホモ接合性個体にとって
の血栓症の危険度は正常個体の約80倍である(CI9
5: 22〜289)。
【0097】表4に三つの年齢群に関して、0.015
の対立遺伝子頻度を用いて各年齢群におけるホモ接合性
対照の予測数を計算した場合のオッズ比を示す。ホモ接
合性個体における高い血栓症の相対的危険度は年齢と共
に低下することが明らかである。このことは、ヘテロ接
合性個体の相対的危険度が年齢を越えて多かれ少なかれ
一定であることと対照的である。
【0098】続いて、異なる年齢群及び遺伝子型におけ
る絶対的危険度(出現率)を、Hardy−Weinb
erg平衡の仮定下での原母集団における年齢分布に関
するデータを用いて計算した。表4に示したように、出
現率は遺伝子型GGを有する最低年齢群での毎年10,
000人当たり僅か0.55人という値から、より高い
年齢群のヘテロ接合性個体に関する毎年10,000人
当たり16.3人という値まで上昇する。総ての年齢群
においてホモ接合性個体に関する危険度の方がヘテロ接
合性個体に関する危険度よりはるかに高いことも、表4
に示した数値から明らかである(毎年10,000人当
たり78〜176人)。しかし、これらの出現率推定値
は三つの年齢群に分けた僅か7人の個体に基づくもので
あるので不安定であり、かつ最高年齢群では意外にも低
下している。本発明者が用いた回帰モデルはこれらの推
定値を平滑化し、なぜなら該モデルは相対的危険度が年
齢群を越えて一定であると仮定するからである。図12
に示したように、このモデルは正常個体及びヘテロ接合
性個体には良く適合する(係数: 定数 −10.0
6; 年齢 0.0293; AG 1.96; AA
4.52)。ホモ接合性個体に関する平滑化された出
現率推定値は今や、30歳未満での10,000人年当
たり82人から50〜69歳での10,000患者年当
たり227人へと上昇する(図13)。これらの推定値
は、ほとんどのホモ接合性患者がその人生において少な
くとも一つの血栓症事象を経験することを意味する。
【0099】検討 抗APC性は、突然変異体第V因子遺伝子に関する対立
遺伝子頻度が約1.5%である一般的な異常である。こ
のことは、母集団の3%がヘテロ接合性であり、ホモ接
合性個体は出生10,000人当たり約2人と予測可能
であることを意味する。
【0100】この試験において本発明者は、ホモ接合性
個体の血栓症の危険度が高く、しかもヘテロ接合性個体
の危険度を甚だしく上回ることを示す。この結論は、ホ
モ接合性個体がその最初の血栓症事象を若年時に経験し
ていることによって支持される。
【0101】ホモ接合性第V因子ライデンがもたらす血
栓症の危険度がホモ接合性タンパク質Cまたはタンパク
質S欠乏がもたらす血栓症の危険度に全く近似しないこ
とは明らかであり、これらの異常は新生児電撃性紫斑病
を誘発する(H. E.Branson等, “Inh
erited protein C deficien
cy and coumarin−responsiv
e chronicrelapsing purpur
a fulminans ina newborn i
nfant,” Lancet ii, p.116
5, 1983; C. Mahasadana等,
“Neonatal purpurafulminan
s associated with homozyg
ousprotein S deficiency,”
Lancet 335,pp.61−62, 199
0)。ホモ接合性第V因子ライデンを有する個体は全員
最初の血栓症事象前に成人に達しており、1人は中年後
期にすら達していた。ほとんどのホモ接合性個体は過去
に、血栓症をもたらさない危険状況を経験しており、そ
のような危険状況(妊娠、産褥)のほとんどに関して抗
凝血性予防法は示されていない。このことは、抗APC
性をホモ接合性タンパク質C欠乏におけるような定性的
欠陥(タンパク質C活性の不在)ではなく、定量的欠陥
(第Va因子の不活性化速度の低下)と看做すべきであ
ることを示している。
【0102】この試験で目立った発見は、ホモ接合性患
者において女性が優勢であることであった。それらの女
性の間では経口避妊薬が他の患者間でと同様に頻繁に用
いられていたので、経口避妊薬の使用が抗APC性との
相乗作用によって一定の役割を果たしたと考えられる。
ピルの使用及び抗APC性はいずれも一般的であるの
で、特にヘテロ接合性保有者(全女性の3%)に関して
は上記の関連性を更に別の試験によって調べるべきであ
る。
【0103】ヘテロ接合性個体に関する相対的危険度
は、異なる年齢群同士の間で一定であると考えられる。
このような観察は、年齢と共に上昇する背景出現率に照
らして理解しければならない。上記の事態は、図12及
び図13に示したように、血栓症の絶対的危険度、また
は抗APC性によって助長される絶対的危険度がより高
齢のヘテロ接合性個体にとってより重大となることを意
味する。
【0104】毎年10,000人当たり約2人という、
本発明者の得た総合的な出現率推定値は、1,000人
年当たり約0.5〜1人の通常の推定値より小さいとい
うことが留意され得る(H. E. Branson
等, “Inheritedprotein C de
ficiency and coumarin−res
ponsive chronic relapsing
purpura fulminans in a n
ewborn infant,” Lancet i
, p.1165, 1983;T. Koste
r, “Moreobjectivediagnose
s of venous thromboemboli
sm,” Neth. J. Med. 38, p
p.246−248, 1991)。このことは、本発
明者の試験での年齢制限(70歳未満)、確認済みの血
栓症への限定、悪性障害に罹患した患者の除外、及び最
初の血栓症事象への限定によりきわめて容易に説明され
る。
【0105】ホモ接合性患者は80倍大きい血栓症の危
険度を有し、その結果総合的な出現率は毎年約1%とな
る。より高い年齢群において観察された出現率低下は、
最初の血栓症事象を未だ経験していない当該年代の個体
が母集団内にほとんど存在しないことによって説明でき
る。この出現率低下はまた、ホモ接合性患者が少数(即
ち、最高年齢群には1人のみ)であることの結果でもあ
った。いずれの場合も、加重回帰モデルから再算出した
出現率値が最良の危険度推定値であると考えられ、この
値は50歳以上の患者では毎年2%より高くなる。
【0106】本発明者は、ホモ接合性第V因子ライデン
によって惹起される抗APC性が深静脈血栓症の危険度
を高めると結論付ける。深静脈血栓症は成人期前には出
現しないと考えられ、更には妊娠及び産褥などの危険状
況において必ず出現するともかぎらない。とはいえ本発
明者は、ホモ接合性患者は危険状況下では、抗凝血剤を
用いる短期予防を受けるべきであると確信する。しか
し、第V因子ライデン突然変異に関してホモ接合性であ
る個体において持続的な予防を行なうことはかならずし
も必要でない。
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】図12及び図13 年齢に基づき求めた、第V因子ライデン遺伝子型に関す
る粗な(図12)、及び平滑化した(図13)出現率推
定値。
【0111】(図中)最下方の線は遺伝子型GGに関す
る推定値を示し、上方の線は遺伝子型AGに関する推定
値を示す。図13には遺伝子型AA(ホモ接合性の第V
因子ライデン)に関する推定値も示す。粗な出現率は記
号+で示し、平滑化した出現率は記号□で示す。10,
000人年当たりの平滑化した出現率は、GGに関して
は0.9(0〜20歳)、1.4(30〜49歳)及び
2.5(50〜69歳); AGに関しては6.3(0
〜29歳)、9.8(30〜49歳)及び17.6(5
0〜69歳); AAに関しては81.5(0〜29
歳)、126.5(30〜49歳)及び227.3(5
0〜69歳)であった。
【0112】実施例3 プラスミド及びin vitro RNA 1人の健康なヒト(ホモ接合性野生型)並びに2人の患
者ID90及びID137(いずれもホモ接合性突然変
異体)のPBMCから単離したRNAを、オランダ国ラ
イデンの鬱血及び血栓症研究センター(Hemosta
tisandThrombosis Research
Centre)から入手した。506位のアミノ酸に
存在する突然変異を包含する297ntの断片を、制限
酵素EcoRI及びCsp451を用いてベクターpG
30中でクローニングした。得られたプラスミドを、野
生型クローンはpG30/FVwt、突然変異体クロー
ンはpG30/FVmutとそれぞれ名付けた。
【0113】適正配列のクローニングを配列分析によっ
て確認し、その後プラスミドを、in vitro
NA合成のためにCsCl濃度勾配によって精製した。
ソースとしてプラスミドpG30/FVwtを用いて系
制御プラスミド(pG30/FV E2)を、プローブ
配列(21nt)の欠失及びE2配列(144nt)の
挿入によって構築した。上記3種のプラスミドを、標準
的なプロトコルにおいてT7 RNAポリメラーゼを用
いるin vitro RNA転写に用いた。プラスミ
ドをBamH1で直線状とし、T7 RNAPでの転写
後にこれらのプラスミドから、297ntのwt及びm
utクローン並びに420ntの系制御クローンとそれ
ぞれに続く700ntのベクター配列とから成るRNA
が得られ、従ってin vitro RNAの全長は約
1kbであった。in vitro転写後、RNAをD
NアーゼIで処理し、Tip 100カラム(Qiag
en)プロトコルを用いて精製し、分光光度計で定量し
た。適当な連続稀釈を水で行ない、in vitro
RNAを−70℃で貯蔵した。
【0114】プライマー及びプローブ NASBA増幅プライマー、及びELGA及びECL検
出用の検出プローブの配列を表5に示す。
【0115】
【表5】
【0116】P1は第V因子コーディング配列のエキソ
ン10に位置し、P2配列はエキソン11に位置する。
その結果、このプライマーセットは、スプライシングに
よりイントロン10配列が取り出されるmRNA配列し
か増幅し得ない。ELGAまたはECLにおいてより良
く機能することから、2種の一般的(generic)
プローブが用いられる。しかし、ELGAとECLとの
両方のために一方の一般的プローブを選択することが可
能であるべきである。増幅プライマーは20%アクリル
アミド、7M尿素スラブゲル上で精製した。溶離及びE
tOHからの析出後、プライマーを500μlのH2O
に溶解させ、濃度を分光光度計(OD260)によって
測定した。
【0117】ビオチンオリゴを合成機で製造し、これを
EtOHから析出させ、かつH2Oに溶解させて用い
た。NH2−オリゴへのHRPラベルの結合を標準的な
プロトコルに従って実現し、プローブは更に精製するこ
となく用い(一般的ELGAプローブ)、またはスラブ
ゲル上で精製した(野生型及び突然変異体特異的ELG
Aプローブ)。ECLオリゴを合成し、更に精製するこ
となく用いた。
【0118】核酸の単離 核酸の単離は総て、Boom等が述べている方法(J.
Clin. Microbiol. 28, pp.
495−503, 1990)を用いて行なった。10
0μlの全血から核酸を抽出し(臨床試料参照)、溶離
を100μlのH2Oで行ない、典型的には5μlの溶
出液をNASBA増幅のためのインプットとして用い
た。残りの溶出液は−70℃で貯蔵した。
【0119】NASBA増幅 NASBA増幅を次のように行なった。5μlのRNA
に、10μlの2.5倍NRG緩衝液(1倍緩衝液中で
の最終濃度: pH8.5のトリス 40mM; KC
l 70mM; 各dNTP 1mM; ATP/CT
P/UTP 2mM; GTP 1.5mM; ITP
0.5mM; MgCl2 12mM)と、6.25
μlの4倍プライマー混合物(1倍緩衝液中での最終濃
度: DMSO 15% v/v; P1 0.2μ
M; P2 0.2μM)と、1.75μlのH2Oと
から成る18μlのプレミックス溶液を添加した。試料
を65℃で5分間インキュベートし、続いて41℃で5
分間インキュベートした。41℃において可能なかぎり
多くを管から取り出し、2μlの酵素混合物(8単位の
AMV−RT、40単位のT7RNAP、0.1単位の
大腸菌RNアーゼH、2.6μgのBSA、1.5Mの
ソルビトール)を添加し、その後穏やかに混合し(即ち
タッピングし)、41℃で90分間インキュベートし
た。
【0120】ELGA検出 ELGA検出のために、一般的プローブ、野生型プロー
ブ及び突然変異体プローブをそれぞれ含有する3種のプ
ローブ溶液を用いた。野生型及び突然変異体HRP標識
プローブの特異性を高めるべく、これらの標識プローブ
を該プローブと対を成す非標識プローブと混合した(表
6参照)。
【0121】
【表6】
【0122】増幅後、1μlの増幅物を4μlの適当な
プローブ混合物[5μl中の最終濃度: SSC、BF
B、XCFF 1倍; グリセロール及び適当なプロー
ブ(表5参照) 5% v/v]に添加し、混合し、4
5℃で15分間インキュベートした。その後、アクリル
アミドゲル(5%アクリル/ビスアクリル、0.04%
デキストラン硫酸、NASBA elfo緩衝液=25
mMトリス、25mMホウ酸、500μM EDTA;
pH8.3)上で2.5μlの試料を、0.5倍NA
SBA elfo緩衝液に加え150Vで泳動させて分
析した。電気泳動後、標準的なTMB/UP基質溶液
(比1:1で混合)を用いてゲルを約6分間染色した。
普通、ゲルを50%メタノール(O/N)中で固定し、
2枚の透明な箔の間で空気乾燥させた。
【0123】ECL検出 ECLでも3種のプローブ溶液を用いて増幅物を検出し
た(表7参照)。
【0124】
【表7】 ハイブリダイゼーション反応開始のため、10μlのE
CL混合物(0.1%w/v BSA、12.5倍SS
C、2×1012分子のECL一般的プローブ)と、1
0μlのビーズ混合物(0.1% w/v BSA、1
倍PBS、2μlの適当なビーズ溶液及び適当な非標識
プローブ)と、5μlの(水での)21倍稀釈増幅物と
を混合し、ストーブにおいて常に振盪しつつ45℃で3
0分間インキュベートした。その後、300μlのEC
Lアッセイ緩衝液を添加し、管をECLシグナル読み取
りのためECL装置に設置した。
【0125】結果 感度 第V因子mRNAのNASBA増幅に用いたプライマー
は、野生型及び突然変異体配列に関して長さ182nt
の増幅物をもたらした。プライマーを系制御(SC)
n vitro RNAの増幅に用いると、長さ305
ntの増幅物が得られる。in vitroで生じた野
生型、突然変異体及びSC RNAの連続稀釈物を用い
て、増幅の感度を調べた(表8)。
【0126】
【表8】 3種のインプットRNAのいずれにおいても、分析感度
は100分子以上である。10分子のインプットとの反
応が陽性である場合も有り、このことは感度が実際は1
0分子と100分子との間であることを示している。
【0127】実施例4 用いた方法は実施例3に述べたものと同じである。核酸
の単離において野生型または突然変異体RNAが存在す
る場合に当該RNAと競合しないように添加するべきS
C RNAの量を決定するべく、幾つかのSC RNA
量を分析した。前記量のSC RNAを、試料を加えず
に、また100μlの全血を加えて単離し、かつ対照と
してSC RNAの連続稀釈物を直接増幅した。増幅後
のELGA分析の結果を表9に示す。明らかに、核酸を
単離する間に何等かの核酸損失が生じる(Aシリーズの
インプット3の行とCシリーズのインプット3の行とを
比較されたい)。
【0128】Aシリーズ(表9)から、溶解緩衝液に加
えるべきSCRNAの最少量は1×105分子であると
いう結論を得ることができる。この量のSC RNA
は、100μlの全血から単離した野生型または突然変
異体RNAの増幅を抑制しない。実際のところ、SC
RNAは上記の10倍量で用いても、100μlの全血
から単離した野生型または突然変異体RNAに対して抑
制性でない(表9のBシリーズ)。更に行なった実験で
は、適当であれば常に、核酸単離前に105分子のSC
RNAを溶解緩衝液に添加した。
【0129】
【表9】
【0130】実施例5 用いた方法は実施例3に述べたものと同じである。Gか
らAへの単一塩基突然変異という、第V因子mRNAの
突然変異の性格に起因して、野生型プローブは突然変異
体増幅物に関して甚だしいバックグラウンドシグナルを
発生し、かつこの逆も成り立つということが予測され
る。このことはELGA検出とECL検出との両方に該
当する。複雑なハイブリダイゼーションプロトコルを回
避するためには、標識したプローブを該プローブと対を
成す非標識プローブと混合して、非相同増幅物に関する
バックグラウンドハイブリダイゼーションを抑制する。
表10に、ELGA検出によって調べた、プローブ混合
物での野生型及び突然変異体増幅物の特異的検出の結果
を示す。
【0131】
【表10】
【0132】HRP標識野生型プローブの場合、バック
グラウンドを十分低下させるには250倍過剰な非標識
突然変異体プローブを添加するべきであることは明らか
である。HRP標識突然変異体プローブを用いる場合は
100倍過剰な非標識野生型プローブを添加すれば、バ
ックグラウンドを許容可能なレベルまで低下させるのに
十分である。ECL検出を用いて、多かれ少なかれ同様
の実験を行なった。ECL法では非標識プローブは、磁
性ビーズ上の特異的ビオチニル化捕捉プローブと競合す
るはずである。異なる過剰倍率の非標識プローブ比率を
用いて行なったECL検出の結果を表11に示す。
【0133】
【表11】
【0134】後でECL検出を行なうためには、ビーズ
上のビオチニル化プローブが野生型プローブである場合
は10倍過剰な非標識突然変異体プローブを、またビー
ズ上のビオチニル化プローブが突然変異体プローブであ
る場合は4倍過剰な非標識野生型プローブを共に用いる
べきであることが判明した。ELGA及びECL検出を
行なう場合に添加しなければならない非標識プローブ量
同士の相違はハイブリダイゼーション方式に関連するに
違いない。ECL方式では特異的プローブを磁性ビーズ
に結合させ、従って該プローブのハイブリダイゼーショ
ン反応は液中プローブに比べて遅い。その結果、標識し
ない液中プローブは比較的僅かに過剰な量で添加しなけ
ればならない。ELGAでは2種の液中プローブ間で競
合が起こり、それによって比較的多量の非標識プローブ
を添加しなければならなくなる。
【0135】
【参考文献】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】血漿中のAPC補因子II濃度の測定であり、
血漿中のAPC補因子II活性のアッセイに関する検量
線を示す。
【図2】血漿中のAPC補因子II濃度の測定であり、
単一凝固因子が欠乏している(<5%)血漿中のAPC
補因子II活性レベルを示す。
【図3】APC耐性を有する家族の連鎖分析のAPC耐
性(又はAPC補因子II欠乏)を有する家族の家系を
示す。
【図4】APC耐性を有する家族の連鎖分析の染色体l
のq21−25領域の統合的遺伝連鎖地図を示す。
【図5】APC耐性を有する家族の連鎖分析の染色体1
マーカーでのAPC耐性の二つ組ロドスコアを示す。
【図6】APC補因子II同型接合欠乏として分類され
た患者のヌクレオチド置換を示すオートラジオグラムで
ある。
【図7】第V因子分子の簡単な説明図である。
【図8】APCによる不活化に対する第Xa因子活性化
第V因子(Q506)の耐性を示す。
【図9】1691AのAPC耐性による同時分離を示
す。
【図10】n−APC−SR<0.84の64人の血栓
症患者及び対応する64の対照の222bp PCRフ
ラグメントと、1691A対立遺伝子(PR 100
5)に特異的なビオチニル化オリゴヌクレオチドとのド
ットブロットハイブリダイゼーション。
【図11】1691GGと1691GAの関係を示す。
【図12】年齢に基づき求めた第V因子ライデン遺伝子
型に関する粗な出現率推定値を示す。
【図13】年齢に基づき求めた第V因子ライデン遺伝子
型に関する平滑化した出現率推定値を示す。
【図14】1691GGと1691GAの関係を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12P 21/08 C12N 15/00 X C12Q 1/68 ZNAA

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血栓症の高危険率を示唆し、又は実際に
    患者において血栓症を誘発することを特徴とする、血栓
    症及び活性化プロテインC(APC)に対する低抗凝血
    応答性に関する遺伝的欠陥の存在をスクリーニングする
    方法であり、蛋白質第V因子及び/又は第Va因子中に
    存在する突然変異の存在を検出することを含み、該突然
    変異がアミノ酸配列の506位のアミノ酸アルギニンが
    グルタミンに変異している突然変異を含むことを特徴と
    する前記方法。
  2. 【請求項2】 突然変異蛋白質第V因子及び/若しくは
    第Va因子又はその蛋白分解断片に結合し得る一方、非
    突然変異蛋白質又はその断片に対してはより低い親和性
    を有する抗体を用いること、又は、非突然変異蛋白質第
    V因子及び/若しくは第Va因子又はそれらの蛋白分解
    断片に結合し得る一方、突然変異蛋白質又はその蛋白分
    解断片に対してはより低い親和性を有する抗体を用いる
    ことにより、前記突然変異を検出することを特徴とする
    請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 試験するサンプルをAPC単独で又は1
    以上のプロテアーゼと組合わせて処理し、このことによ
    りサンプル中に存在する第V因子又は第Va因子のいず
    れをも、突然変異が存在しない場合には306、506
    及び679位で確実に切断し、突然変異が存在する場合
    には306及び679位で切断し、得られたサンプルを
    第V因子又は第Va因子のアミノ酸第306〜506位
    断片上の部位を特異的に認識し得る一の抗体と第V因子
    又は第Va因子のアミノ酸第507〜679位断片上の
    部位を特異的に認識し得る他の抗体から成る2つの抗体
    と接触させることを特徴とし、更に、サンプル中の蛋白
    分解断片への両抗体の結合をイムノアッセイで確認し、
    突然変異の指標である該結合を検出することを含む請求
    項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 試験するサンプルをプロテアーゼの処理
    にかけ、突然変異の指標である抗体の結合を検出する請
    求項3に記載の方法であり、該プロテアーゼが506位
    の突然変異したAPC切断部位を切断し得ず、一方、該
    プロテアーゼが506位の非突然変異APC切断部位を
    切断し得ることを特徴とする前記方法。
  5. 【請求項5】 試験するサンプルをプロテアーゼの処理
    にかけ、正常第V因子の指標である抗体の結合を検出す
    る請求項3に記載の方法であり、該プロテアーゼが50
    6位の突然変異したAPC切断部位を切断し得、一方、
    該プロテアーゼが506位の非突然変異APC切断部位
    を切断し得ないことを特徴とし、非突然変異APC切断
    部位を切断し得るプロテアーゼを含まないサンプルにの
    み適用され得る前記方法。
  6. 【請求項6】 506位のアミノ酸アルギニンがグルタ
    ミンに突然変異しており、非突然変異第V因子及び/又
    は第Va因子に比較し、APCによる不活性化程度の減
    弱を示すことを特徴とする突然変異蛋白質第V因子及び
    /又は第Va因子に結合し得る抗体、又は該突然変異を
    含む突然変異蛋白質第V因子及び/又は第Va因子の蛋
    白分解断片に結合し得る抗体であって、該突然変異蛋白
    質又はその対応する蛋白分解断片に比較し、非突然変異
    蛋白質又は非突然変異蛋白質の対応する蛋白分解断片に
    対してより低い親和性を有することを特徴とする前記抗
    体。
  7. 【請求項7】 蛋白質第V因子及び/若しくは第Va因
    子並びに/又は該蛋白質の蛋白分解断片のいずれかに結
    合し得る抗体であり、該蛋白質がAPCによる不活性化
    程度の減弱を示さず、該抗体が、突然変異が第506位
    のアミノ酸アルギニンのグルタミンへの変換を含む突然
    変異蛋白質第V因子及び/若しくは第Va因子、並びに
    /又は該突然変異を含むそれらの蛋白分解断片に対しよ
    り低い親和性を有し、該突然変異によりAPCによる不
    活性化程度が減弱されることを特徴とする前記抗体。
  8. 【請求項8】 第V因子及び/又は第Va因子のアミノ
    酸第306〜506位断片上の部位を特異的に認識し得
    る請求項3に記載の方法において使用するための抗体。
  9. 【請求項9】 第V因子及び/又は第Va因子のアミノ
    酸第507〜679位断片上の部位を特異的に認識し得
    る請求項3に記載の方法において使用するための抗体。
  10. 【請求項10】 ‐第506位のアミノ酸アルギニンが
    グルタミンに突然変異している蛋白質第V因子及び/又
    は第Va因子に結合し得る1以上の抗体であって、非突
    然変異蛋白質第V因子及び/又は第Va因子に対しより
    低い結合親和性を有する抗体、又は非突然変異蛋白質第
    V因子及び/又は第Va因子に結合し得る1以上の抗体
    であって、突然変異蛋白質第V因子及び/又は第Va因
    子に対しより低い結合親和性を有する抗体、及び ‐抗体の結合反応を検出するためのその他の試薬を含む
    ことを特徴とする請求項2に記載の方法において使用す
    るためのキット。
  11. 【請求項11】 ‐非突然変異APC切断部位を切断し
    得るが、突然変異APC切断部位を切断し得ない1以上
    のプロテアーゼ、又は突然変異APC切断部位を切断し
    得るが、非突然変異APC切断部位を切断し得ない1以
    上のプロテアーゼ、 ‐第V因子及び/又は第Va因子のアミノ酸第306〜
    506位断片上の部位を特異的に認識し得る抗体、及び ‐第V因子及び/又は第Va因子のアミノ酸第507〜
    679位断片上の部位を特異的に認識し得る抗体を含む
    ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の方
    法において使用するためのキット。
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