JP2001242146A - 金属材料中の介在物検出方法 - Google Patents
金属材料中の介在物検出方法Info
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Abstract
属材料の清浄度の大幅な改善に対応した、迅速で精度の
高い金属材料中の介在物の検出方法を提供することを課
題とする。 【解決手段】 所定の探傷走査ピッチで検査試料中の非
金属介在物の少なくとも位置および数を検出する超音波
探傷(粗探傷)を行った後、前記粗探傷よりも探傷走査
ピッチを狭くして前記粗探傷により検出された非金属介
在物の大きさを検出する超音波探傷(精密探傷)を行
い、得られた介在物の数、位置、粒径などを検出する。
Description
物検出方法に関し、詳しくは、超音波探傷による、迅速
で信頼性の高い介在物検出方法に関する。
属材料の清浄度が大幅に改善され、20ミクロンを越え
る中型〜大型の鋼材中非金属介在物は一段と少なくな
り、かつ、大きさも小さくなっている(なお、本明細書
では「非金属介在物」のことを単に「介在物」という場
合がある)。このような中で、偶発的に、あるいはきわ
めて低い確率で発生する中型〜大型介在物(以下「中大
型介在物」という)の検出は、非常に困難になってい
る。中大型介在物で多く見られるのは、径がおよそ20
〜200μm程度のものである。
gO・Al2O3、CaO・Al2O3+MgO・Al2O3など)および窒化物
系介在物などの非金属介在物は、例えば軸受鋼や機械構
造用炭素鋼などの鋼材において疲労破壊の原因となりや
すく、依然として問題となっている。
検査方法としては、被分析対象金属材料から試験片を採
取して光学顕微鏡により試験片の表面を検査する等の方
法が一般的である。鋼材を例に取ると、従来標準的な鋼
中の介在物評価方法として採用されてきた「JIS G 0555
鋼の非金属介在物の顕微鏡試験方法」、「AMTS E45Sta
ndard Practice for Determining the Inclusion Conte
nt of Steel」、「DIN50602」、「ISO4967」などの顕微
鏡による方法は、検査試料の被検面積が、例えば100
〜200mm2/個と小さいために、中大型介在物の検
出精度が低いという問題点があった。これまで大きな体
積を検査することが要望されてきたが、適切な方法はな
かった。
解により介在物を抽出しその介在物の粒径を顕微鏡で評
価する方法やEB溶解法により金属材料を溶解し浮上し
た介在物を顕微鏡により観察する方法が提案されている
(特開平9−125199号、特開平9−125200
号)。しかし、酸溶解法は介在物が酸に溶解したり、介
在物まで溶解して介在物が小径化する場合がある。さら
に、酸溶解に時間がかかるなど、処理の迅速性に劣り、
製品の量産工程に対応することも困難であった。また、
EB溶解法は、検査試料となる数g程度の小片を溶解
し、浮上した介在物を顕微鏡により観察する方法である
が、介在物が融解、凝集したりする場合があり、これに
対する対応策が見いだされていない。
属材料、特に鋼材など大体積について検査する必要があ
る金属材料については清浄度評価方法として十分満足の
いくものではないことが指摘されていた。
技術の向上に対応し、鋼などの金属材料の清浄度の大幅
な改善に対応した、迅速で精度の高い金属材料中介在物
の検出方法を提供することを課題とする。
しては超音波探傷による測定がある。本発明者は、超音
波探傷を用いて、金属材料の清浄度評価を行うことにつ
いて研究を重ねたが、単に検査試料について超音波探傷
を行っただけではデータの精度の点で必ずしも十分では
なかった。そこで、本発明者はさらに研究を重ね、以下
の手段を採用した。すなわち、本発明の要旨とするとこ
ろは以下の通りである。 (1)超音波探傷により金属材料中の非金属介在物を検
出する方法であって、所定の探傷走査ピッチで検査試料
中の非金属介在物の少なくとも位置および数を検出する
粗探傷を行った後、前記粗探傷よりも探傷走査ピッチを
狭くして前記粗探傷により検出された非金属介在物の大
きさを検出する精密探傷を行うことを特徴とする、金属
材料中の介在物検出方法。 (2)検査試料中の非金属介在物の位置、数を検出する
と共に非金属介在物からの反射波形情報を検出する粗探
傷を行った後、前記反射波形情報に基づき異常波形を生
じている対象を除外して、前記精密探傷を行う、前記
(1)に記載の金属材料中の介在物検出方法。 (3)基準感度校正用標準試験片に対して超音波探傷を
行い、探触子を備える超音波探傷装置の基準感度を決定
する一次感度校正と、一次感度校正の後、感度校正量を
求めるための標準試験片Aからの反射波強度と、前記標
準試験片Aと同形状の試験片Bからの反射波強度とから
感度校正量を求めて、感度校正を行う二次感度校正と、
を含む感度校正を前記粗探傷を行う前にあらかじめ行
う、前記(1)または(2)に記載の金属材料中の介在
物検出方法。 (4)焦点型高周波探触子を備えた超音波探傷装置によ
り、超音波探傷を行う、前記(1)から(3)のいずれ
かに記載の金属材料中の介在物検出方法。 (5)粗探傷を行うときの探傷走査ピッチを、精密探傷
の場合よりも大きくかつ焦点位置における探触子からの
ビーム束の直径の1/2以下とし、精密探傷を行うとき
の探傷走査ピッチを粗探傷のときよりも小さくして、超
音波探傷を行う前記(1)から(4)のいずれかに記載
の金属材料中の介在物検出方法。 (6)粗探傷における探傷走査ピッチを30〜150μ
mとする、前記(1)から(5)のいずれかに記載の金
属材料中の介在物検出方法。 (7)精密探傷における探傷走査ピッチを5〜10μm
とする、前記(1)から(6)のいずれかに記載の金属
材料中の介在物検出方法。
出方法は、粗探傷と精密探傷の2通りの超音波探傷を行
って、金属材料中に含まれる介在物を検出するものであ
り、超音波探傷により得られたデータに基づいて被分析
対象の金属材料の清浄度を評価することができる。粗探
傷は、少なくとも介在物の位置および数を検出するため
に行い、粗探傷により検出された介在物について精密探
傷を行い、精密探傷によって主に介在物の大きさを検出
(測定)する。
により被検体となる金属材料の検査試料中の介在物を検
出する。超音波探傷は、探触子から超音波(以下「ビー
ム」ということがある)が発せられ、対象物に当たり、
その反射波を検出して、その反射波強度および反射波形
情報(グラフとして出力された波形、正半波強度、負半
波強度など)に基づいて所望の情報を得るものである。
探触子による走査は、検査試料の所定の間隔をおいた複
数箇所で超音波の発射、反射波の受信を行う(この間隔
のことを「探傷走査ピッチ」または単に「走査ピッチ」
という)。
を精密探傷に比較して広くとる粗探傷と、粗探傷よりも
探傷走査ピッチを狭くする精密探傷とを行う。
試料中の介在物の少なくとも位置および数を検出する。
粗探傷における探傷走査ピッチは、検査試料の大きさ、
予想される非金属介在物の大きさなどから任意に設定す
ることができるが、少なくとも精密探傷の場合よりも大
きく設定し、好ましくは焦点位置における探触子からの
ビーム束の直径の1/2以下とする。ビーム束の直径の
1/2以下とすれば、粗探傷であっても、反射波強度が
約70%以上の領域で介在物の検出を行うことができ
る。反射波強度が70%ということは、本来その介在物
から得られる最大反射波強度100%に対し、ビームの
ずれにより70%の強度の反射波しか得られないことを
意味する。粗探傷における好ましい探傷走査ピッチは、
より具体的には30〜150μmであり、特に好ましく
は30〜50μmに設定する。
含まれる介在物の位置、数が検出される。粗探傷を行う
ことにより、迅速に大体積の検査試料について検出対象
である介在物の位置、数を特定することができる。な
お、粗探傷の段階で、検査試料中の介在物径(介在物の
粒径)のおおまかな値を測定しておいてもよい。
きさを精度よく検出するために精密探傷を行う。精密探
傷は、探傷走査ピッチを粗探傷の場合よりも狭く設定し
て行い、好ましくは探傷走査ピッチを超音波ビームの半
径方向(水平方向)の減衰の影響を最小になるように設
定する。減衰の影響が最小限になるような探傷走査ピッ
チは、検出した1つの介在物の真上(反射波強度が最大
となる位置を「真上」とし、この位置を原点とする)に
探触子を移動し(真上の位置が原点、反射波強度100
%)、この探触子を前後左右に動かして求めることがで
きる。検査対象となる金属材料や探触子の種類にもよる
が、具体的には、精密探傷における探傷走査ピッチとし
て好ましくは、5〜10μmである。
の反射波強度は、その介在物から受信し得る最大の反射
波強度であることが精度の向上の点で望ましい。しか
し、探傷走査ピッチが大きすぎると、介在物に超音波ビ
ームが当たっても、本来その介在物から得られるべき最
大の反射波強度よりも小さな値しか得られない場合があ
る。探触子から発せられる超音波ビームはビームの束で
あるので幅をもっているが、ビームの中心部と外周部と
では強度に差がある。また、ビーム束が介在物の中心に
当たった場合と、周辺部に当たった場合とでは反射波強
度に差が生じる。本来得られるべき最大の反射波強度
は、超音波ビーム束の中心が介在物の真上(介在物の中
心)に当たったときに得られると考えられ、この最大値
を的確に検出することが超音波探傷により精度よく介在
物の大きさを検出することにつながる。すなわち、あら
かじめ粗探傷により検出された介在物について探傷ピッ
チを狭めた精密探傷を行うことにより、精度よく介在物
の大きさの検出を行うことができる。
の位置の違いにより、反射波強度がどのように異なるか
を示したものである。図6について見ると、介在物から
の最大反射波強度(反射波強度100%)の位置「0.
0」から探触子の中心が15μmずれると反射波強度が
6%減衰してしまうことがわかる。
らの受信し得る最大の反射波強度が得られることが望ま
しいことは上記でも説明したとおりである。超音波ビー
ムの焦点深度が介在物の深度からずれている場合にも、
反射波強度がその介在物から本来得られるべき最大値よ
り低下してしまう。したがって、精密探傷で得られた反
射波強度は、深度補正(軸方向の減衰補正)を行うこと
が好ましい。図4に、軸方向の減衰補正曲線(深度補正
曲線)の例を示す。深度補正は次の深度補正式(1)に
従って行うことができる。
数) 以上の深度補正は距離振幅補償(Distance Amplitude C
orrection)に準じて行うことができる。
など介在物以外に反射波を生じさせる原因となるものの
ことをいう。
径(その介在物の最大径、本明細書では「介在物径」と
いう場合がある)として表すことができる。具体的に
は、例えば、あらかじめ介在物の粒径と反射波強度との
検量線を作成しておいて、超音波探傷により得られた反
射波強度から介在物の粒径を算出することができる。検
量線は、例えば、超音波探傷を行って介在物からの反射
波強度を求めておき、この超音波探傷を行った検査試料
の探傷領域部を切り出し、これを酸溶解して介在物を取
り出しSEM観察により介在物径を求めることにより作
成することができる。
表される。検量線の具体例を図5に示す。図5に示され
る直線は式(2-1)として表される。
(%)
に粗探傷において少なくとも検査試料中の介在物の位
置、数を検出するが、より好ましい実施形態として、さ
らに詳細な反射波形情報を粗探傷により検出し、得られ
た反射波の受信信号のうちから異常波形(異常信号)を
生じている対象は介在物からの反射波ではないものとし
て精密探傷を行う対象から除外する形態が挙げられる。
反射波形情報とは、反射波を受信して得られる情報のこ
とであり、具体的には反射波強度、反射波形情報(グラ
フとして出力された波形、正半波強度、負半波強度な
ど)などの情報である。正半波強度とは、基準線より上
にでている反射波形の強度であり、負半波強度とは、基
準線より下にでている反射波形の強度である。
あり、このような空洞からも反射波が生じる。また、外
部から飛び込み乱反射波を反射波信号として探触子が受
信してしまう場合もある。このような検出目的としてい
る介在物以外のものから生じる反射波信号を除外するこ
とにより、粗探傷の後に続くの精密探傷で余計な対象物
について検出を行わずにすむので、検出操作をより迅速
に行うことができる。
より空洞などによる異常信号か、検出目的の介在物から
の信号かを区別することができる。波形そのものをグラ
フ化して検出しその形状をみて識別することができ、ま
た、波形を知る指標となる正半波強度または負半波強度
を検出して、数値として判別することもできる。
態、あるいは材料の特性などにより反射波強度に無視で
きない影響が生じる場合がある。例えば鋼は熱処理の状
態により影響がでやすい。そこで、超音波探傷装置が受
信する反射波を反射波強度として変換する際の感度をあ
らかじめ校正しておくことが好ましい。
(「標準試験片S」と略称する)に対して超音波探傷を
行い、探触子を備える超音波探傷装置の基準感度を決定
する一次感度校正と、一次感度校正の後、感度校正量を
求めるための標準試験片Aからの反射波強度と、前記標
準試験片Aと同形状の試験片Bからの反射波強度とから
感度校正量を求めて、感度校正を行う二次感度校正と、
を含む感度校正を前記粗探傷を行う前にあらかじめ行う
ことが好ましい。
い、超音波探傷装置の基準感度を設定する。標準試験片
Sとしては、例えば、FBH(Flat Bottom Hole,1/16
inch(0.4mm))を有する試験片が挙げられ、具体的にはA
STM E127に規定される標準試験片B−020などが例示
される。一次補正は、標準試験片Sからの反射波強度を
装置に記憶させて行うことができる。
う。二次感度校正では、標準試験片Aと被検対象金属材
料から標準試験片Aと同形状の試験片(試験片B)を用
意し、試験片Bの反射波強度を標準試験片Aに基づいて
感度校正量Yを求めて校正する。
または板底面がある試験片であり、図8にその例を示
す。標準試験片Aに用いられる材料としては、感度が高
いことから焼入焼戻処理を施した鋼が好適である。
は板底面を使用して(図8)、標準試験片Aでの測定感
度と等価な、試験片Bでの測定感度を決定する。感度校
正量は標準試験片Aでの反射波強度と試験片Bでの反射
波強度との差として求められる。あるいは、次の感度校
正式(3)により感度校正量Yを決定する。
または底面波強度 Y2:標準試験片Aにおける、人工欠陥からの反射波強
度、または底面波強度 Y1として人工欠陥からの反射波強度を用いる場合には
Y2も同一感度での人工欠陥からの反射波強度を用い、
Y1として底面波強度を用いる場合にはY2も同一感度で
の底面波強度を用いる。
%とした設定した場合の、熱処理等の異なる4種の試験
片Bに対する反射波強度の低下を示したのが図9であ
る。図9は試験片としてSUJ2を用い、4種の異なる処理
方法を施した試験片ごとに走査を行った結果を示したも
のである。「QT」は焼入焼戻処理したもの、「N」は焼
きならし処理したもの、「A」焼きなまし処理したも
の、「LA」は鍛伸処理したままのものである。図9中に
示されるB1エコーとは、探触子から発射された超音波
が欠陥または板底面にあたって生じる最初のエコーのこ
とである。図9に示されるように、鍛伸しただけの試験
片ではおよそ55〜65%程度にまで低下することが認
められる。したがって、これらの反射波強度を、標準試
験片Aと等価となるように、すなわち100%として検
出されるように校正することが望ましい。この場合、感
度校正量は、標準試験片Aでの反射波強度と試験片Bで
の反射波強度との差をデシベル(dB)に換算した量と
して求めることができる。図9から明らかなように、熱
処理の違いにより、標準試験片Aとの反射波強度の差は
異なる傾向にあるので、上記の一次・二次感度校正は、
熱処理などの処理の違う材料ごとに行われることが好ま
しい。
を行うことにより、被検対象金属材料の材料特性による
測定精度の低下を抑制することができる。
片を切り出して作製したものなどを用いることができ
る。検査試料の数、大きさは、超音波探傷による走査を
行うべき被検金属材料の体積、超音波探傷装置などから
適宜定めることができる。好ましい形態としては次のよ
うなものが例示される。検査試料の大きさは、走査面積
が10〜10000mm2程度、検査深さが0.5〜5
0mm程度とすることができる程度の大きさに設定する
ことが好ましい。また、検査試料の数は、データの統計
的処理の観点からすると、上記の大きさの検査試料を3
0個(または30箇所)以上用いることが好ましい。検
査試料の数には特に上限があるわけではないが、処理労
力の煩雑さや統計的な精度向上などの観点からすると、
60個程度用いれば通常十分である。また、鋼などの金
属材料においては、一般的に鋳造のままではミクロの空
洞が無数にあり、超音波探傷により走査すると無数の乱
反射、ノイズが発生し検査が困難となる場合がある。そ
こで、検査試料をあらかじめ圧延しておくことにより空
洞部分が圧着され、乱反射などによる弊害を抑制するこ
とができる。
が、超音波探傷を行う装置、探触子は様々な種類が既に
市販されており、本発明ではこれらのものを用いること
ができる。好ましい探触子としては、焦点型高周波探触
子などが挙げられる。フラット型探触子の検出能は1/
2波長といわれているが、焦点型探触子では1/4波長
であり、焦点型探触子は本発明の介在物検出方法が好適
に用いられる10〜200μm程度の介在物の検出によ
り好適である。探触子周波数は20〜125MHz程度
が好ましい。
概略を例示する。図2に示される超音波探傷装置ではマ
イクロプロセッサを備えたPCが備えられており、マイ
クロプロセッサには図1に示すフローチャートに沿った
演算処理を行うプログラムが組み込まれる。このような
PCを超音波探傷装置に設けられることにより、大量の
データ処理を迅速に行うことができる。
介在物についてのデータに基づいて清浄度の評価を行う
ことができる。粗探傷、精密探傷により得られるデータ
とは、介在物の数、位置、大きさなどであり、例えばこ
れらのデータに基いて粒度分布をヒストグラムとして表
して清浄度の評価を行うことができる。また、得られた
実測データから例えば極値統計法などの統計的手法を用
いて、被検対象金属材料中の最大介在物径を推定したデ
ータを得ることもできる。
じめ所定性状を備えている金属材料について本発明の方
法によりデータを得ておいて、このデータと別の検査試
料のデータを比較したり、また望まれる性状データと検
査試料のデータとを比較することにより行うことができ
る。
l合金、Ti合金、Cr合金、Fe合金(鋼を含む)、
Co合金、Ni合金、Cu合金、Zn合金、Ag合金、
Au合金、などの各種金属材料に広く適用することがで
き、好適にされるものとしてはFe合金、Ni合金など
が挙げられる。より具体的には、好適なものとして、気
泡を抑えたり、介在物のもととなる酸素の含有量を下げ
るため脱酸することを意図してアルミを添加したアルミ
キルド鋼などの鋼種、合金が挙げられ、さらに具体的に
はAl≧0.005wt%含有の高清浄度アルミキルド
鋼などにも好適に適用することができる。
例を示しより詳細に説明する。ただし、本発明の介在物
検出方法は以下の実施例に限定されるものではない。
した高炭素クロム軸受鋼の丸棒状鋼片を被検対象金属と
して用いた。この丸棒状鋼片を角65に鍛伸し、T断面
試験片を切り出した。各試験片をフライス加工して厚さ
10mmに加工し、さらに平面研磨して検査試料とし
た。
傷には、焦点型高周波探触子(50MHz)を備えた超音
波探傷装置を用いた。焦点位置は1.5mm、ゲートは
1.0〜2.0mmに設定した。
B−020標準試験片の、φ0.4mm、深さ0.76
mmの平底穴(φ0.4FBH)について超音波探傷を
行い位置を特定し、そのφ0.4FBHに超音波ビーム
の焦点を合わせたときに得られる最大反射波強度を10
0%となるように超音波探傷装置を設定した。このよう
に設定することにより反射波強度のリニアー性を最大に
することができると考えられる。
金属材料から標準試験片と同形状の試験片(試験片B)
を用意し、焦点を欠陥(試験片の底面)に合わせた状態
で、試験片Bの欠陥(試験片の底面)の反射波強度を標
準試験片Aの欠陥(試験片の底面)の反射波強度に一致
させる感度校正量Yを求め、超音波探傷装置に設定し
た。感度校正量Yは、焦点深度にある板底面を使用し
て、標準試験片Aでの反射波の測定感度と、試験片Bで
の測定感度とが同じになるようにする校正量として求め
られる。具体的には、高炭素クロム軸受鋼の焼入焼戻材
(ベース)と鍛伸角材(被検対象金属材料)とから厚さ
1.5mmの板を作製底面に焦点を合わせて、鍛伸丸材
での底面波強度が焼入焼戻材での底面強度と等しくなる
ように測定感度を校正した。
高炭素クロム軸受鋼の丸棒状鋼片から、上記<検査試料
の作製>で説明した方法と同様にして、フライス加工で
厚さ10mmの試験片としたものを、焼入焼戻し、平面
研磨して試験片を作製した。
い、介在物からの反射波強度を求めた。さらに、酸溶解
法により介在物径を求めた。すなわち、この超音波探傷
を行った試験片の探傷領域部を切り出し、これらを酸溶
解して介在物を取り出しSEM観察により介在物径を求
めた。
による介在物径をそれぞれ大きいものから小さいものの
順にならべて、超音波探傷による反射波強度と、酸溶解
法により測定された介在物径とを対応させて、検量線を
作成した。検量線を図5に示す。図5に示される直線は
式(2-1)として表される。 Y=0.34X+11.85 ・・・・・(2-1) ただし、Y:介在物径(μm) X:補正後反射波強度(%) 相関係数r=0.96 <検査試料の超音波探傷>上記<検査試料の作製>で説
明した方法と同様にして、焼入焼戻材の試験片を30個
作製した。
て、探傷面積65×65mm、探傷走査ピッチ0.03
mmで粗探傷を行った。粗探傷により得られた反射波の
信号から、反射波の強度として正半波強度(P)、負半
波強度(N)および波形を記録し、介在物の位置と数を
特定した。粗探傷により得られたデータを表2に示す。
れる異常値を示したものを識別した(欠陥No12)。 MURAI値=P/(P+N) ・・・・・(4) 空洞からの反射波についてのMURAI値は0.6〜0.7
との報告があり、また表面エコーからの飛び込みでは
0.7以上となる場合があるため、MURAI値が0.6以
上を異常値と判断した。
各介在物について精密探傷を行った。精密探傷は探傷面
積1×1mm、探傷走査ピッチを0.005mmとして
行った。
で得られた反射波強度を補正した。 f≒1−6×d2(探触子:50MHz時) ・・・・・(1-1) ただし、f:補正係数 d:欠陥深度と焦点深度のずれ(mm)(|d|≦0.
3) あらかじめ求めておいた反射波強度と介在物径との関係
を示す検量線(図5)により、補正後反射波強度から介
在物径を算出した。精密探傷の結果を表3に示す。
ていることが識別できたが、本実施例では確認のため欠
陥No12についても精密探傷を行った。その結果、精
密探傷を行った場合にも異常値を示すことが確認され
た。したがって、粗探傷で異常値を示したものは、精密
探傷の対象から除外することができることが明らかにな
った。
チを変化させて、反射波強度(%)のばらつきを調べ
た。反射波強度(%)とは、検出目的の介在物からの最
大反射波に対して、実測の反射波強度がどの程度減衰し
てしまっているかを示すものである。
査ピッチで探傷し、反射波強度を記録した。最小ピッチ
(0.005mm)での最大反射波強度を100%とし
た。同様の調査を複数の介在物に対して行った。
おり、走査ピッチが大きくなるほど反射波強度(%)の
ばらつきが大きくなることがわかる。すなわち、走査ピ
ッチを大きくすると、検出目的の介在物から本来得られ
る最大反射波強度を受信できない場合が多くなり、精度
が低下することがわかる。
介在物を短時間で検査し、迅速に金属材料中の介在物を
検出することができる。本発明の方法は、鋼などの金属
材料の量産工程にも対応し得る迅速な方法であって精度
の信頼性が高いものである。
ートを示す図である。
に示す図である。
る。
図である。
る。
は欠陥波用試験片、(B)は底面波用試験片である。
欠陥波、底面波の強度の比較を示す図である。
す図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 超音波探傷により金属材料中の非金属介
在物を検出する方法であって、所定の探傷走査ピッチで
検査試料中の非金属介在物の少なくとも位置および数を
検出する粗探傷を行った後、前記粗探傷よりも探傷走査
ピッチを狭くして前記粗探傷により検出された非金属介
在物の大きさを検出する精密探傷を行うことを特徴とす
る、金属材料中の介在物検出方法。 - 【請求項2】 検査試料中の非金属介在物の位置、数を
検出すると共に非金属介在物からの反射波形情報を検出
する粗探傷を行った後、前記反射波形情報に基づき異常
波形を生じている対象を除外して、前記精密探傷を行
う、請求項1に記載の金属材料中の介在物検出方法。 - 【請求項3】 基準感度校正用標準試験片に対して超音
波探傷を行い、探触子を備える超音波探傷装置の基準感
度を決定する一次感度校正と、一次感度校正の後、感度
校正量を求めるための標準試験片Aからの反射波強度
と、前記標準試験片Aと同形状の試験片Bからの反射波
強度とから感度校正量を求めて、感度校正を行う二次感
度校正と、を含む感度校正を前記粗探傷を行う前にあら
かじめ行う、請求項1または2に記載の金属材料中の介
在物検出方法。 - 【請求項4】 焦点型高周波探触子を備えた超音波探傷
装置により、超音波探傷を行う、請求項1から3のいず
れかに記載の金属材料中の介在物検出方法。 - 【請求項5】 粗探傷を行うときの探傷走査ピッチを、
精密探傷の場合よりも大きくかつ焦点位置における探触
子からのビーム束の直径の1/2以下とし、精密探傷を
行うときの探傷走査ピッチを粗探傷のときよりも小さく
して、超音波探傷を行う請求項1から4のいずれかに記
載の金属材料中の介在物検出方法。 - 【請求項6】 粗探傷における探傷走査ピッチを30〜
150μmとする、請求項1から5のいずれかに記載の
金属材料中の介在物検出方法。 - 【請求項7】 精密探傷における探傷走査ピッチを5〜
10μmとする、請求項1から6のいずれかに記載の金
属材料中の介在物検出方法。
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JP2000053993A JP4362194B2 (ja) | 2000-02-29 | 2000-02-29 | 金属材料中の介在物検出方法 |
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
JP2004037242A (ja) * | 2002-07-03 | 2004-02-05 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 超音波探傷による鋼の介在物検査方法 |
JP2004045095A (ja) * | 2002-07-09 | 2004-02-12 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 水浸超音波探傷法による鋼の清浄度評価方法 |
JP2004177168A (ja) * | 2002-11-25 | 2004-06-24 | Sanyo Special Steel Co Ltd | 水浸超音波探傷による鋼中介在物検出評価方法 |
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2000
- 2000-02-29 JP JP2000053993A patent/JP4362194B2/ja not_active Expired - Fee Related
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