JP2001238611A - 水溶性物質を内容物とする糖衣シームレスカプセル - Google Patents

水溶性物質を内容物とする糖衣シームレスカプセル

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勝史 水谷
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昌志 西川
Kentaro Nagae
健太郎 永江
Tamiyoshi Tanabe
民義 田辺
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水溶性物質を内容物とした糖衣シームレスカ
プセルの提供。 【解決手段】 (1)水溶性物質を内容物とするシーム
レスカプセル、および(2)該シームレスカプセル上に
形成された糖衣層を含有する粒径1.0mm以上の水溶
性物質を内容物とする糖衣シームレスカプセル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は経時安定性と呈味性及び
食感に優れた水溶性物質を内容物とする糖衣シームレス
カプセルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゼラチンなどを皮膜とするカプセルを糖
衣層で被覆したものは、特開昭59−71673号公報
などに開示されている。通常、これらの糖衣カプセル
は、カプセル内容物が油溶性物質に限定されている。な
ぜならば、ゼラチン皮膜のカプセルは、水溶性物質を内
容物とすると、カプセル皮膜が溶解して、カプセルとし
ての形態を保持できないからである。
【0003】医薬品においては水溶性薬剤成分を水溶液
状態で投与することでの即効性と糖衣剤の形での優れた
携帯性及び服用性を兼ね備えた製剤が望まれており、ま
た食品においても口中で素早く呈味成分が広がる水溶液
状成分と食べ易さと食感に優れた糖衣剤とを組み合わせ
た製剤が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、経時安定性
に優れた水溶性物質を内容物として包含する糖衣シーム
レスカプセルを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)水溶性
物質を内容物とするシームレスカプセル、および(2)
該シームレスカプセル上に形成された糖衣層を含有す
る、粒径1.0mm以上の水溶性物質を内容物とする糖
衣シームレスカプセルを提供する。
【0006】本発明に用いられるシームレスカプセルの
内容物は水溶性物質を含むが、水溶性物質単独ではカプ
セルの形態を保持するのが難しいので、アルコール基剤
との混合物の形で内容物とする。アルコール基剤は、グ
リセリンまたはソルビトール液等の糖アルコール液及び
これらの混合物があげられ、基剤中の水溶性物質の含有
水分は50%以下、好ましくは30%以下である。該ア
ルコール基剤に医薬品や食品の水溶性物質を適宜溶解す
ることで所望のシームレスカプセルの内容物を得ること
ができる。
【0007】医薬品の水溶性主薬としては葛根湯エキ
ス、小柴胡湯エキス等の薬用エキス類、苦味チンキ,モ
ッコウチンキ等のチンキ類、アセトアミノフェン、塩酸
メキシレチン、アカルボース、クロモグリク酸ナトリウ
ム、プラバスタチンナトリウム等の水溶性医薬品成分が
例示できるが、水溶性であれば特にこれらに限定される
ものではなく、所望により矯味剤(例えば、甘味剤、酸
味剤、苦味抑制剤等)、pH調整剤、増粘剤、防腐剤、
色素等を添加してもよい。
【0008】食品の水溶性主剤としては梅肉エキス、羅
漢果エキス、ザクロエキス、ブルーベリーエキス、シジ
ミエキス等の動植物エキス類および酵母エキス等の微生
物エキス類、微生物産生物質、レモン果汁、リンゴ果
汁、グレープ果汁、ピーチ果汁等の果汁類、ムコ多糖等
の機能性多糖類、クロレラ、ペプチド、ポリフェノール
等が例示できるが水溶性であれば特にこれらに限定され
るものではなく、更に所望により甘味剤、酸味剤、香
料、pH調整剤、増粘剤、防腐剤、色素等を添加しても
よい。
【0009】水溶性内容物とカプセル皮膜の間には疎水
性保護層を介在させる必要がある。疎水性保護層として
用いられる物質は、一般的に硬化油脂であり、植物性硬
化油脂または動物性硬化油脂およびこれらの水添物であ
って良い。好ましくはパーム硬化油脂もしくはパーム核
硬化油脂であり、融点が35℃〜55℃、好ましくは4
0℃〜50℃のものが最適である。疎水性保護層には、
更に必要に応じて柔軟剤として天然物のレシチンまたは
化学合成品のグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂
肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、
ショ糖脂肪酸エステル、もしくはこれらの混合物の乳化
剤を硬化油脂重量に対して0.1〜10重量%、好まし
くは0.5〜5重量%を適宜添加してもよい。
【0010】シームレスカプセルの皮膜物質としてはゼ
ラチン、寒天、ペクチンまたはこれらの混合物が挙げら
れ、所望により可塑剤(例えば、ソルビト−ル、グリセ
リン等の水溶性多価アルコ−ル等)、甘味剤、酸味剤、
香料、防腐剤、色素等を添加してもよい。
【0011】糖衣層を形成する糖衣剤としては砂糖とシ
ロップを主成分とする公知の処方であり、所望により酸
味剤、香料、色素等を添加してもよい。また、シュガー
レスで低カロリー処方とする場合は還元麦芽糖水飴、ソ
ルビトール、エリスリトール等の糖アルコールや還元パ
ラチノースおよびこれらの混合物を基剤とし、所望によ
り酸味剤、香料、色素等を添加してもよい。
【0012】糖衣層はカプセル重量に対して100%〜
300%が好ましいが、必ずしもこれらに限定されるも
のではない。
【0013】糖衣後の製品は、経時安定性の面から水分
活性を0.3〜0.7、好ましくは0.5〜0.6にな
るまで温風乾燥もしくは真空乾燥することが望ましい。
【0014】本発明の糖衣シームレスカプセルは図1に
示す如き、断面を有する。図1において、1は糖衣層、
2はシームレスカプセル皮膜、3は疎水性保護層を示
し、4は水溶液状内容物である。
【0015】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【実施例1】ソルビトール液(固形分濃度70%)と食
用濃グリセリンを重量比3:1で混合したアルコール基
剤80重量%に梅肉エキス(30%含水物)20重量%
を加えて40℃で加熱溶解して糖衣のセンターカプセル
の内容物である水溶液状物を調製し、該水溶液状物を融
点50℃のパーム硬化油脂の保護層膜とゼラチンを基剤
とした外皮膜との二層膜で被覆してシ−ムレスカプセル
を製造した。
【0016】シームレスカプセルの製造方法は同芯三重
ノズルを用いて内側ノズルから内容物液、中間ノズルか
ら硬化油脂、外側ノズルからは皮膜剤液の順に三層ジェ
ットとし、10℃に冷却した植物油中に同時に射出する
ことより、粒径5mmの三層構造シ−ムレスカプセルを
得た。
【0017】更に該シ−ムレスカプセルを通気乾燥によ
り乾燥し、表面に還元麦芽糖水飴の糖蜜と粉末を用いて
公知の方法で厚さ1mmのコーティングを施し、水分活
性が0.6になるまで40℃の温風で乾燥して本発明の
製品を得た。
【0018】本品を室温4ケ月間での噛み心地と40
℃、20%RH、8週間での重量残存率を測定して経時
的な保存安定性を評価した。その結果を表1および表2
に示す。
【0019】
【比較例1】梅肉エキス(30%含水物)20重量%に
精製水80重量%を加えて水溶液状内容物を調製し、保
護層に融点50℃のパーム硬化油脂を用いて実施例1と
同様の方法で水溶液状物を内包する糖衣シームレスカプ
セルを製造した。
【0020】本品を室温4ケ月間での噛み心地と40
℃、20%RH、8週間での重量残存率を測定して経時
的な保存安定性を評価した。その結果を表1および表2
に示す。
【0021】
【表1】水溶液状物を内包した糖衣シームレスカプセル
の噛み心地測定結果(室温、4ケ月間) 表1の結果から明らかなように、本発明の製品は経時保
存安定性に優れる。
【0022】
【表2】水溶性物質を内包した糖衣シームレスカプセル
の経時的重量残存率測定結果(40℃、20%RH、8
週間) 表2の結果から明らかなように、本発明の製品は経時保
存安定性に優れる。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、水溶性物質を内包した
長期間保存安定性に優れた糖衣シームレスカプセルを提
供することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水溶性物質を内包した糖衣シームレ
スカプセル(四層構造)の模式的な断面図を示す。
【符号の説明】
1…糖衣層、2…カプセル皮膜、3…疎水性保護層、4
…水溶液状内容物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 昌志 大阪府大阪市中央区玉造1丁目1番30号 森下仁丹株式会社内 (72)発明者 永江 健太郎 大阪府大阪市中央区玉造1丁目1番30号 森下仁丹株式会社内 (72)発明者 田辺 民義 大阪府大阪市中央区玉造1丁目1番30号 森下仁丹株式会社内 Fターム(参考) 4B035 LC05 LE07 LE12 LG05 LG12 LG15 LG19 LG22 LG25 LK03 LK04 LP32 4C076 AA57 BB01 DD38 DD67 EE42 EE53 FF36 FF52

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)水溶性物質を内容物とするシーム
    レスカプセル、および(2)該シームレスカプセル上に
    形成された糖衣層を含有する、粒径1.0mm以上の水
    溶性物質を内容物とする糖衣シームレスカプセル。
  2. 【請求項2】 前記シームレスカプセルが水溶性物質と
    カプセル皮膜との間に疎水性保護層が介在する請求項1
    記載の糖衣シームレスカプセル。
  3. 【請求項3】 前記疎水性保護層が融点35℃〜55℃
    の硬化油脂である請求項2記載の糖衣シームレスカプセ
    ル。
  4. 【請求項4】 前記内容物が、アルコール性基剤および
    水溶性物質の混合物であり、アルコール性基剤がグリセ
    リンと糖アルコールとの混合物であって、糖アルコール
    重量に対するグリセリン重量が50重量%以下である請
    求項1記載の糖衣シームレスカプセル。
  5. 【請求項5】 前記水溶性物質が医薬または食品である
    請求項1記載の糖衣シームレスカプセル。
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