JP2001236965A - 鉛電池用格子体の製造方法 - Google Patents

鉛電池用格子体の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生産効率を落とすことなくエキスパンド加工
装置における格子骨の目切れの問題を回避または軽減す
ることのできる鉛蓄電池用格子体の製造方法を提供す
る。 【構成】 本発明は、鉛合金シート2と、予備エキスパ
ンド加工装置3と、恒温槽4と、エキスパンド加工装置5
を準備し、予め、前記シート2の刻み幅に対する目切れ
発生の境界温度を求めておき、次いで、予備エキスパン
ド加工装置3で、製作する格子体の最大刻み幅Lmで前記
シート2を刻み、前記工程で目切れが発生しなければ、
前記シート2をエキスパンド加工装置5に送り、前記工程
で目切れが発生すれば、恒温槽4で該シート2を前記境界
温度以上に昇温した後、エキスパンド加工装置5に送
り、エキスパンド格子体を作製することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鉛電池用格子体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の鉛電池における格子体は、溶融さ
せた鉛合金を鋳型に流し鋳造する方法、あるいは鉛また
は鉛合金からなるシートを、エキスパンダーにより格子
状にエキスパンド加工する方法があった。
【0003】しかしながら、前者の方法は経験と熟練を
必要とし、また、格子形状により湯流れが不十分にな
り、鋳造不良を起こす問題があった。そのため格子体の
デザインが限定され、また生産性も劣った。また、後者
の方法は、上記問題点が解決できるが、鉛合金シートの
保管状況により抗張力にばらつきが生じるので、エキス
パンド加工の際、目切れが発生するという問題点を有し
ていた。目切れが発生すると極板の導電経路が遮断さ
れ、極板の品質を低下させ電池性能に悪影響を及ぼし
た。
【0004】このような問題点を解決するためには、エ
キスパンド加工装置のシート刻み条件を再調整する時間
を必要とするため、生産効率を上げることができなかっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】鉛合金シートは保管期
間や温度によりその硬度が変化し易いため、エキスパン
ド加工において、刻み幅を一定にしてもシートが異なれ
ば小骨が切れるいわゆる目切れが発生する場合があっ
た。そのため、従来の製造装置ではシートが円滑に流れ
にくくなり、シート交換の度に生産が止まる問題が生じ
易い。そのため、製造工程の円滑な操業が容易でない。
【0006】本発明は上記した問題に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、生産効率を落とすことなくエキ
スパンド加工装置における格子骨の目切れの問題を回避
または軽減することのできる鉛電池用格子体の製造方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の課題を
解決する為、鉛電池用極板の格子体となる鉛合金シート
2と、予備エキスパンド加工装置3と、恒温槽4と、エ
キスパンド加工装置5を準備し、予め、前記シート2の
刻み幅Lに対する該シートの目切れ発生の境界温度を求
めておき、次いで、前記予備エキスパンド加工装置3
で、製作する格子体の最大刻み幅Lmで前記シート2を刻
み、次いで、前記工程で目切れが発生しなければ、前記
シート2を前記エキスパンド加工装置5に送り格子体を作
製し、前記工程で目切れが発生すれば、前記最大刻み幅
Lmに対する境界温度以上に恒温槽4の温度を設定し、前
記シート2を該恒温槽4で前記境界温度以上に昇温した
後、前記エキスパンド加工装置5で格子体を作製するこ
とを特徴とする。
【0008】これにより、目切れを起こさない条件でシ
ートをエキスパンド加工でき、格子骨の目切れの問題が
回避または軽減され、格子体の品質を安定化できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説
明する。
【0010】図1は、本発明により製造された格子体の
一実施形態を示す要部平面図、図2は、シート刻み幅と
目切れ発生の関係を示すグラフ、図3は、本発明の一実
施例を示す説明図である。
【0011】(実施例)まず、格子体を製造する前に、
あらかじめ不特定な条件で保管された数々のシート2の
刻み幅と目切れ発生有無の関係を調査しておく。その結
果を図2に示す。
【0012】なお、図2において、刻み幅が例えば2mm
の時、境界温度20℃を境にシートの温度が高くなれ
ば、目切れが発生しなくなり、低くなれば目切れが発生
することを示す。また、刻み幅とは、図1のLを示す。
【0013】調査結果より、刻み幅Lが1〜10mmの
範囲では、境界温度がa ℃、目切れ刻み幅がbmmとした
時、関数式a≧5b+10で求められる境界温度以上で
目切れが発生しないことがわかる。よって、予備エキス
パンド加工装置3で目切れが発生した刻み幅に対して、
目切れが発生しない温度領域Aに恒温槽の温度を設定す
れば、格子骨の目切れの問題が回避または軽減される。
ただ、刻み幅Lが10mmを超えると、シート2の延性
が上昇する等の理由により格子骨の細りや目切れが多発
した。よって、温度制御により目切れを防止するには、
シート2の刻み幅1が10mm以下のものに限定するの
が好ましい。
【0014】次に、本発明の鉛電池用格子体の製造方法
について図を参照して説明する。
【0015】製造開始時、鉛電池用の格子体となるシー
ト2をコイル状に巻いた巻回体1を用意する。このシー
ト2は鉛を主成分とする合金であり、厚みが1〜3m
m、組成は重量%でCaが0.07〜0.10%、Sn
が0.10〜1.5%、残部実質的にPbである。この
シート2を、図3の矢印方向に移送し、予備エキスパン
ド加工装置3により、作製する格子体の最大刻み幅Lm
(図1参照)、例えば8mmに刻む。この時、このシート2
に目切れが発生しなければ、シートを予備エキスパンド
加工装置3から外し、エキスパンド加工装置5に送り、
格子体を作製する。また、目切れが発生すれば、シート
を予備エキスパンド加工装置から取り外した後、図1よ
り刻み幅8mmのときの境界温度50℃を読みとり、恒温
槽4を50℃以上にして、前記シート2をこの恒温槽4
内を通過させて、シートの温度を50℃以上にしてから
エキスパンド加工装置5に送り格子体を作製する。
【0016】このように、予備エキスパンド加工装置3
で目切れが発生したときのみ図1の関係より目切れが発
生しない領域Aのシート温度にしてエキスパンド加工す
る。こうすると、どのようなシートであれ、目切れが発
生しない。なお、予備エキスパンド加工装置で目切れが
発生しなければ、エキスパンド加工装置でも目切れが発
生しないので、シートの温度を上げる必要がない。
【0017】予備エキスパンド加工装置3およびエキス
パンド加工装置5は、図示はしないが、シート2に多数
個の刻みを入れる刻込部と、刻みを入れたシート2を引
っ張って網状体とする引張部とをもつ。また、予備エキ
スパンド加工装置3とエキスパンド加工装置5との間に
は恒温槽4を配置しておく。恒温槽4は、図示はしない
が、シート2の温度を測定するための温度センサを備え
ている。
【0018】シート2の温度は図2の温度領域Aの範囲
で適宜調整できるが、高温域での延性の上昇による格子
骨の細りや、設備費用の低減、温度コントロールを容易
にする上で15〜60℃の範囲に設定するのが好まし
い。
【0019】本実施例では製造条件は次のようにでき
る。即ち、シート2の厚みが1〜3mm、シート2の走
行速度が3〜25m/minにできる。ただこの値に限
定されるものではない。また前述したように鉛合金シー
ト2は温度によりその硬度が変化し易いので、温度調整
により目切れの問題を容易に回避または軽減できる。よ
って、製造工程における操業条件の安定化が図られ、電
極のバラツキ防止にも有利であり、高品質の極板を得る
のに有利である。さらに、目切れのない格子体は、極板
全面にわたって鉛合金格子体の親骨および子骨との結合
を確実に行うことができるので、導電経路が遮断される
ことがなくなり、格子体品質の安定化を図ることができ
る。その結果極板の品質を向上させ、以って高品質の鉛
電池を供給するのに有利な鉛電池用正極板の製造方法を
提供することができる。
【0020】したがって本実施例で製造した鉛電池の格
子体を用いた鉛電池は、充放電サイクル性能や、充電性
が一層良好である。また不良率も低減されるため、コス
ト低減にも有利である。また、恒温槽で温度調整されて
いるので、従来のようにエキスパンド加工装置5で調整
する必要がない。
【0021】
【発明の効果】以上のように、本発明の請求項1によれ
ば、生産効率を殆ど落とすことなくエキスパンド格子体
製造装置における目切れの問題を回避できる。また、請
求項2によれば、確実に目切れの発生を予防できると共
に、恒温槽の温度設定が容易なので、その効果が顕著で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造された格子体を示す要部平面
図である。
【図2】シートの刻み幅と目切れ発生の境界温度の関係
を示すグラフである。
【図3】本発明の説明図である
【符号の説明】
L 刻み幅 Lm 最大刻み幅 1 巻回体 2 シート 3 予備エキスパンド加工装置 4 恒温槽 5 エキスパンド加工装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛合金シートと、予備エキスパンド加工
    装置と、恒温槽とエキスパンド加工装置を準備し、予
    め、前記シートの刻み幅に対する目切れ発生の境界温度
    を求めておき、 次いで、前記予備エキスパンド加工装置で、製作する格
    子体の最大刻み幅で前記シートを刻み、 次いで、前記工程で目切れが発生しなければ、前記シー
    トを前記エキスパンド加工装置に送り格子体を作製し、
    前記工程で目切れが発生すれば、前記最大刻み幅に対す
    る境界温度以上に恒温槽の温度を設定し、前記シートを
    該恒温槽で昇温した後、前記エキスパンド加工装置で格
    子体を作製することを特徴とする、 鉛電池用格子体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記格子体の最大刻み幅が10mm以下で
    あることを特徴とする請求項1記載の鉛電池用格子体の
    製造装置。
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