JP2001234482A - 縫製品と着古し加工 - Google Patents

縫製品と着古し加工

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JP2001234482A
JP2001234482A JP2000047087A JP2000047087A JP2001234482A JP 2001234482 A JP2001234482 A JP 2001234482A JP 2000047087 A JP2000047087 A JP 2000047087A JP 2000047087 A JP2000047087 A JP 2000047087A JP 2001234482 A JP2001234482 A JP 2001234482A
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binder
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multifilament yarn
weight
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JP2000047087A
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English (en)
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Haruo Sakaida
晴夫 坂井田
Kazumasa Yokoyama
和正 横山
Kenji Hoko
健詞 法亢
Tadao Mito
忠雄 水戸
Kiyoshi Kano
潔 鹿野
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KISEN KK
Original Assignee
KISEN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性や引裂強度その他の物性強度に優れ
た特長を有する合成繊維製デニム地に成る耐久性に優れ
た着古し加工縫製品を得る。 【解決手段】 表面に非水溶性アクリル樹脂と水溶性樹
脂に成るバインダーの皮膜を形成した布帛を縫製する。
次に、湿潤状態で揉み処理して一部の皮膜を剥離脱落さ
せて布帛の一部を露出させる。布帛には、単糸繊度3.
3デシテックス未満の化学繊維マルチフイラメント糸を
使用する。そのバインダーの皮膜を形成する前に、化学
繊維マルチフイラメント糸を着色しておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、織物や編物(以
下、布帛と言う。)の表面にダメージを与えて中古品の
如き外観を付与した縫製品(以下、着古し加工縫製品と
言う。)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】着古し加工は、湿潤状態において揉んだ
り叩く等して布帛の表面に摩擦を与えつつ細かく屈曲さ
せる揉み処理を布帛に施して行われる。その揉み処理に
おいて、布帛にダメージを与え易くするために軽石等の
硬質粒体や漂白剤その他の繊維劣化促進剤が使用される
ことがあり、特に、軽石等の硬質粒体を使用して行う着
古し加工はストーンウオッシュ加工と称され、繊維劣化
促進剤を使用して行う着古し加工はケミカルウオッシュ
加工と称されている。木綿繊維製デニム地は、染色時に
繊維が吸湿し膨潤して染液が内部に浸透し難いので、そ
の染色は表面部分だけになり易い。又、木綿繊維は耐摩
耗性を欠くので、後染木綿繊維製デニム地をサンドペー
パーで擦るときは、内部の白生地の繊維が毛羽立って表
面に現れ易い。そして、木綿繊維の耐洗濯染色堅牢度が
低いので、漂白剤を担持させた軽石の破砕と共に木綿繊
維製デニム地織物をタンブラーに通すときは、その軽石
に触れた織物表面の一部の繊維だけが強く漂白されると
共に摩耗して毛羽立ち、その毛羽立った部分とその周り
の部分との間に色彩上のコントラストが出来、木綿繊維
製デニム地全体が着古され中古品の如き外観を呈する。
そのためと思われるが、木綿繊維製デニム地のジーンズ
縫製品には着古し加工の施されたものがよく見かけられ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、耐洗濯染
色堅牢度が低く、耐摩耗性を欠き、表面だけの染色にな
り易いので、木綿繊維製デニム地は着古し加工に適す
る。しかし、化学繊維製デニム地では、耐洗濯染色堅牢
度が高く、耐摩耗性に富み、染液が浸透して内部繊維に
至るまで均一に染色し易いので、それをサンドペーパー
で強く擦っても、その擦られた部分とその周囲の部分と
の間に色彩上のコントラストは出来ず、それに着古し加
工を施すことは困難であり、合成繊維製デニム地のジー
ンズ縫製品は殆ど見かけられない。
【0004】
【発明の目的】そこで本発明は、耐摩耗性や引裂強度そ
の他の物性強度に優れた特長を有する化学繊維製デニム
地になる耐久性に優れた着古し加工縫製品を得ることを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る着古し加工
縫製品は、着色された単糸繊度が3.3デシテックス未
満の化学繊維のマルチフイラメント糸によって構成さ
れ、非水溶性アクリル樹脂と水溶性樹脂によって構成さ
れたバインダーが全面にコーティングされた布帛によっ
て縫製されており、そのバインダーがマルチフイラメン
ト糸の内部に浸入してフイラメントの表面に一部が剥離
脱落した皮膜を形成しており、バインダーの皮膜が剥離
脱落した箇所のフイラメントが布帛の表面に露出してい
ることを第1の特徴とする。
【0006】本発明に係る着古し加工縫製品の第2の特
徴は、上記第1の特徴に加えて、バインダーが非水溶性
アクリル樹脂と水溶性樹脂と顔料によって構成されてい
ることにある。
【0007】本発明に係る着古し加工縫製品の第3の特
徴は、上記第1と第2の何れかの特徴に加えて、マルチ
フイラメント糸が50本以上のフイラメントによって構
成されていることにある。
【0008】本発明に係る着古し加工縫製品の第4の特
徴は、上記第1と第2と第3の何れかの特徴に加えて、
布帛が、ポリエステル繊維マルチフイラメント糸、又
は、ポリエステル繊維マルチフイラメント糸とトリアセ
テート繊維マルチフイラメント糸によって構成されてい
ることにある。
【0009】本発明に係る着古し加工法は、着色された
単糸繊度が3.3デシテックス未満の化学繊維のマルチ
フイラメント糸によって構成された布帛の表面に、非水
溶性アクリル樹脂と水溶性樹脂によって構成されたバイ
ンダーを塗布し乾燥してバインダーの皮膜を形成し、次
いで、その布帛を所要の形状の縫製品に縫製し、次い
で、その縫製品を湿潤状態において揉み処理し、マルチ
フイラメント糸のフイラメントの表面に形成されている
バインダーの皮膜の一部を剥離脱落させ、バインダーの
皮膜が剥離脱落した箇所のフイラメントを布帛の表面に
露出させることを第1の特徴とする。
【0010】本発明に係る着古し加工法の第2の特徴
は、上記第1の特徴に加えて、水溶性樹脂を、組成比率
が水溶性樹脂15〜25重量%に対し水85〜75重量
%であり、粘度が80〜100dPa.sの水溶性糊剤
として調製することにある。
【0011】本発明に係る着古し加工法の第3の特徴
は、上記第1と第2の何れかの特徴に加えて、バインダ
ーを、非水溶性アクリル樹脂50〜85重量%に対し水
溶性樹脂50〜15重量%となる比率をもって組成する
ことにある。
【0012】本発明に係る着古し加工法の第4の特徴
は、上記第1と第2と第3の何れかの特徴に加えて、マ
ルチフイラメント糸を50本以上のフイラメントによっ
て構成することにある。
【0013】本発明に係る着古し加工法の第5の特徴
は、上記第1と第2と第3と第4の何れかの特徴に加え
て、布帛を、ポリエステル繊維マルチフイラメント糸、
又は、ポリエステル繊維マルチフイラメント糸とトリア
セテート繊維マルチフイラメント糸によって構成するこ
とにある。
【0014】
【発明の実施の形態】即ち、本発明では、化学繊維、特
にナイロン、ポリエステル、トリアセテートなどの合成
繊維マルチフイラメント糸が木綿繊維に比して耐摩耗性
に富むことに留意し、化学繊維布帛の表面をバインダー
の皮膜によって着色し、化学繊維フイラメントを摩耗す
ることなく、その皮膜を摩耗脱落させる。そうすると、
バインダーとは異なる化学繊維マルチフイラメント糸の
色彩が現れ、化学繊維マルチフイラメント糸が毛羽立た
なくても、周囲の非摩耗部分との間に色彩上のコントラ
ストが生じる。このため、表面が毛羽立った紡績糸(ス
パン)を使用せず、表面が毛羽立っていない化学繊維マ
ルチフイラメント糸を使用した布帛に対しても着古し加
工が可能になる。本発明において、布帛に化学繊維マル
チフイラメント糸を使用するのは、そのように紡績糸
(スパン)を使用しなくても着古し加工が可能であり、
紡績糸(スパン)を使用した布帛では表面が毛羽立って
いてバインダーが布帛内部に浸透し難いためである。
【0015】化学繊維マルチフイラメント糸の単糸繊度
を3.3デシテックス未満とし、その構成するフイラメ
ントの本数を50本以上にするのは、化学繊維マルチフ
イラメント糸の太さが同じでも単糸繊度が細くなるほど
糸条内部の繊維の表面積が増え、バインダーが糸条内部
に吸収され易くなり、揉み処理において剥離脱落せずに
残ったバインダーの皮膜がその後において容易には剥離
脱落せず、耐久性に富む着古し加工縫製品が得られるた
めである。その化学繊維マルチフイラメント糸を構成す
るフイラメントの数を50本以上とするのは、バインダ
ーが吸収される隙間を糸条内部に細かく出来るようにす
るためである。
【0016】バインダーを構成するアクリル樹脂や水溶
性樹脂の樹脂ポリマーとマルチフイラメント糸の繊維ポ
リマーとの光の反射率や屈折率の相異によって、揉み処
理によるバインダーの皮膜の摩耗部分と非摩耗部分との
間に色彩上のコントラストが生じる。従って、顔料をバ
インダーに必ずしも配合する必要はないが、その色彩上
のコントラストを強調したい場合には顔料を配合すれば
よい。好ましい化学繊維はポリエステル繊維とトリアセ
テート繊維である。バインダーにアクリル樹脂を用いる
のは、それらのフイラメントにバインダーがよく馴染
み、可撓性に富み耐久性のある縫製品が得られるためで
ある。水溶性樹脂をバインダーの必須成分とするのは、
縫製後の揉み処理時にバインダーの皮膜が膨潤し、水溶
性樹脂成分が溶けて流れ出し、そのとき一部非水溶性ア
クリル樹脂成分も流れ出し、バインダーの皮膜が破れて
剥離脱落し易くなるためである。
【0017】即ち、アクリル樹脂はポリエステル繊維と
トリアセテート繊維に極めて良好な接着性を示すが、そ
れ故に、水溶性樹脂を配合しない場合は、揉み処理や水
洗処理時にバインダーの皮膜が剥離脱落し難く、着古し
加工が困難になる。しかし、アクリル樹脂と共に水溶性
樹脂を配合すると、揉み処理や水洗処理時にバインダー
の皮膜が膨潤して水溶性樹脂が溶出し、そのときアクリ
ル樹脂や顔料も水溶性樹脂と共に溶出し、布帛全体が変
色して着古しの観を呈し、又、水溶性樹脂の溶出に伴っ
てバインダーの皮膜が柔軟性を帯び、バインダーに接合
されていた経糸と緯糸の間(布目)がフリーになり、布
帛全体が柔軟可撓になる。特に、縫製品では縫合箇所に
起伏がミシン糸目に沿って出来、その隆起部分が揉み処
理や水洗処理時に強く擦られ、摩耗部分と非摩耗部分と
の色彩上のコントラストがミシン糸目に沿って強調さ
れ、縫製品全体の着古し観が強まる。そして、残存する
水溶性樹脂成分によって化学繊維に吸湿性が付与される
ので、木綿繊維製縫製品の如く肌触りがよく、柔軟可撓
で着心地のよい化学繊維製の着古し加工縫製品が得られ
る。
【0018】バインダー中のアクリル樹脂と水溶性樹脂
との成分比率は、前者50〜85重量%に対し後者を5
0〜15重量%にするとよい。水溶性樹脂の配合比率が
少な過ぎれば、揉み処理や水洗処理時に、バインダーの
皮膜全体が膨潤し難く、水溶性樹脂成分が溶出し難くな
るためである。一方、水溶性樹脂の配合比率が多過ぎる
ときは、着古し加工縫製品の使用時の洗濯によってバイ
ンダーの皮膜が剥離脱落し、耐久性が損なわれることに
なる。
【0019】揉み処理や水洗処理時に、バインダーの皮
膜全体が膨潤して水溶性樹脂成分が溶出し易くするに
は、水溶性樹脂を、組成比率が水溶性樹脂15〜25重
量%に対し水85〜75重量%であり、粘度が80〜1
00dPa.sになる水溶性糊剤に調製して使用すると
よい。そのように調製し得る水溶性樹脂としては、天然
ガム(アラビアガム、トラガントガム、ローカストビー
ンガム)、澱粉(小麦粉、米粉、玉蜀黍粉、芋粉)、海
草類(アルギン酸ソーダ、テミナリン、寒天)、動物性
糊剤(卵蛋白、血液蛋白)、エーテル型セルローズ誘導
体(メチルセルロース、エチルセルロース、ハイドロオ
キシセルロース)、エステル型セルローズ誘導体(アセ
チル繊維素)、エーテル型加工澱粉(カルボキシメチル
澱粉、カルボキシエチル澱粉、ハイドロオキシエチル澱
粉)、エステル型加工澱粉(エセチル澱粉、リン酸エス
テル)、バイショウ澱粉(デキストリン、ブリテッシュ
ガム)、アルファ澱粉、加工天然ガム(加工ローカス
ト、グアールガム、タマリンドガム)、ビニル誘導体
(ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル)等が使用さ
れ、それらを数種類混合して使用することが推奨され
る。アクリル樹脂には、メチル・アクリル酸エステル、
エチル・アクリル酸エステル、ブチル・アクリル酸エス
テル、2・エチルヘキシル・アクリル酸エステル、及
び、これらのアクリル酸エステルと酢酸ビニル、アクリ
ルニトリル、又は、メタクリレートとの共重合体のエマ
ルジョンが用いられる。
【0020】布帛を構成する化学繊維マルチフイラメン
ト糸の着色は、顔料を配合した繊維ポリマーの紡糸によ
る原着、製織前の染色による先染め、製織後の染色によ
る後染めの何れでもよい。即ち、バインダーの皮膜の摩
耗箇所に、バインダーの皮膜とは色彩の異なる化学繊維
フイラメントが現れるようにすればよい。
【0021】
【実施例1】単糸繊度2.2デシテックスのトリアセテ
ート繊維フイラメント15本と単糸繊度2.2デシテッ
クスのポリエステル繊維フイラメント60本から成る総
デシテックスが165デシテックスのマルチフイラメン
ト糸(165de/75fil)を経糸と緯糸に用いて
織成され、染色された目付147g/m2 の織物の片面
に、水性加工顔料1重量部、アクリル樹脂エマルジョン
(アクリル系ポリマー固形分;22重量%)37重量
部、加工天然ゴム系水溶性糊剤(樹脂固形分;14重量
%)59重量部、ポリヒドロキシアクリル酸(漂白安定
剤)3重量部によって粘度80dPa.sに調製された
バインダーを、乾燥塗布重量にして8g/m2 塗布し、
乾燥してバインダーによる着色を施した。次いで、この
織物を裁断し縫製してジーンズ製品を縫製した後、タン
ブラーに通して揉み処理と洗濯・水洗処理をし、乾燥し
て縫製品に仕上げた。揉み処理と洗濯・水洗処理後の縫
製品の目付は148.0g/m2 で、バインダーの皮膜
の剥離脱落率は88重量%であった。
【0022】
【実施例2】前記実施例1に使用した織物の片面に、水
性加工顔料1重量部、アクリル樹脂エマルジョン(アク
リル系ポリマー固形分;22重量%)75重量部、加工
天然ゴム系水溶性糊剤(樹脂固形分;14重量%)21
重量部、ポリヒドロキシアクリル酸(漂白安定剤)3重
量部によって粘度80dPa.sに調製されたバインダ
ーを、乾燥塗布重量にして8g/m2 塗布し、乾燥して
バインダーによる着色を施した。次いで、前記実施例1
と同様に、その織物によってジーンズ製品を縫製した
後、タンブラーに通して揉み処理と洗濯・水洗処理を
し、乾燥して縫製品に仕上げた。揉み処理と洗濯・水洗
処理後の縫製品の目付は144.0g/m2で、バイン
ダーの皮膜の剥離脱落率は38重量%であった。
【0023】
【実施例3】前記実施例1に使用した織物の片面に、水
性加工顔料1重量部、アクリル樹脂エマルジョン(アク
リル系ポリマー固形分;22重量%)90重量部、加工
天然ゴム系水溶性糊剤(樹脂固形分;14重量%)6重
量部、ポリヒドロキシアクリル酸(漂白安定剤)3重量
部によって粘度80dPa.sに調製されたバインダー
を、乾燥塗布重量にして8g/m2 塗布し、乾燥してバ
インダーによる着色を施した。次いで、前記実施例1と
同様に、その織物によってジーンズ製品を縫製した後、
タンブラーに通して揉み処理と洗濯・水洗処理をし、乾
燥して縫製品に仕上げた。揉み処理と洗濯・水洗処理後
の縫製品の目付は153.0g/m2 で、バインダーの
皮膜の剥離脱落率は25重量%であった。
【0024】
【比較例1】前記実施例1に使用した織物の片面に、水
性加工顔料1重量部、加工天然ゴム系水溶性糊剤(樹脂
固形分;14重量%)96重量部、ポリヒドロキシアク
リル酸(漂白安定剤)3重量部によって粘度80dP
a.sに調製されたバインダーを、乾燥塗布重量にして
8g/m2 塗布し、乾燥してバインダーによる着色を施
した。次いで、前記実施例1と同様に、その織物によっ
てジーンズ製品を縫製した後、タンブラーに通して揉み
処理と洗濯・水洗処理をし、乾燥して縫製品に仕上げ
た。揉み処理と洗濯・水洗処理後の縫製品の目付は14
7.1g/m2 で、バインダーの皮膜の剥離脱落率は9
9重量%であった。
【0025】
【比較例2】前記実施例1に使用した織物の片面に、水
性加工顔料1重量部、アクリル樹脂エマルジョン(アク
リル系ポリマー固形分;22重量%)96重量部、ポリ
ヒドロキシアクリル酸(漂白安定剤)3重量部によって
粘度80dPa.sに調製されたバインダーを、乾燥塗
布重量にして8g/m2 塗布し、乾燥してバインダーに
よる着色を施した。次いで、前記実施例1と同様に、そ
の織物によってジーンズ製品を縫製した後、タンブラー
に通して揉み処理と洗濯・水洗処理をし、乾燥して縫製
品に仕上げた。揉み処理と洗濯・水洗処理後の縫製品の
目付は154.6g/m2 で、バインダーの皮膜の剥離
脱落率は5重量%であった。
【0026】上記実施例の縫製過程ではバインダーの皮
膜がサイジング剤の如く作用して効率的に裁断・縫製す
ることが出来た。実施例1において得られた縫製品は、
実施例2において得られた縫製品に比較し、風合いは柔
らかいが、その後繰り返し洗濯するときバインダーの皮
膜の剥離脱落が見られた。実施例2において得られた縫
製品は、織物地全体にバインダーの皮膜の剥離脱落斑が
あり、特に、ミシン糸目に沿った縫合箇所の剥離脱落斑
が顕著に現れ、全体として着古し観を呈した。実施例3
において得られた縫製品は、実施例2において得られた
縫製品に比較し、風合いが若干粗硬であった。比較例1
において得られた縫製品は、バインダーの皮膜が殆ど剥
離脱落し、僅かに残存する水性加工顔料によって薄く着
色されているが、全体として堅牢度の低い染色物との印
象を与え、格別着古し加工縫製品としての美観は認めら
れなかった。比較例2において得られた縫製品は、バイ
ンダーの皮膜が殆ど剥離脱落せず、全体が粗硬で着古し
加工縫製品としての美観は認められなかった。次表は、
実施例と比較例において得られた縫製品の外観と風合と
耐久性についての比較評価表であり、○印は良好、△印
は普通、×印は不良との評価結果を示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明(請求項1)によると、布帛を構
成する糸条が単糸繊度3.3デシテックス未満のマルチ
フイラメント糸であり、布帛の表面が毛羽立っておら
ず、バインダーが内部に浸透し易く、揉み処理後に残存
する水溶性樹脂成分によって吸湿性が付与され、バイン
ダーの樹脂ポリマーとマルチフイラメント糸の繊維ポリ
マーとの光の反射率や屈折率の相異によって摩耗部分と
非摩耗部分との間に色彩上のコントラストが生じ、表面
が平滑なマルチフイラメント糸によって構成されていて
もザラツキがあり、木綿繊維製縫製品の如く柔軟可撓で
着心地がよく肌触りのよい着古し加工縫製品が得られ
る。
【0029】本発明(請求項2)によると、顔料によっ
て摩耗部分と非摩耗部分との間の色彩上のコントラスト
が強調され、着古し加工前の布帛の色彩が同じでも、顔
料によって異色に着色されたカラフルな着古し加工縫製
品の品揃えをすることが出来る。
【0030】本発明(請求項3)によると、マルチフイ
ラメント糸が、50本以上のフイラメントによって構成
されていて糸条内部にバインダーが吸着し易く、揉み処
理において剥離脱落せずに残ったバインダーの皮膜がそ
の後において容易には剥離脱落せず、耐久性に富む着古
し加工縫製品が得られる。
【0031】本発明(請求項4)によると、布帛を構成
する繊維が木綿繊維に比して耐洗濯染色堅牢度、耐摩耗
性、引裂強度等の物性強度において優れたポリエステル
繊維やトリアセテート繊維であり、耐久性に富む着古し
加工縫製品が得られる。
【0032】本発明(請求項5)によると、布帛を構成
する糸条が単糸繊度3.3デシテックス未満のマルチフ
イラメント糸であり、布帛の表面が毛羽立っておらず、
バインダーが内部に浸透し易く、その水溶性樹脂成分が
バインダーの皮膜を膨潤して溶出すると共に非水溶性樹
脂成分の溶出を促し、それらが溶出することで着古し加
工が可能になる一方、揉み処理後に残存する水溶性樹脂
成分が化学繊維に吸湿性を付与し、非水溶性樹脂成分が
化学繊維に強固に固着して耐久性を付与し、木綿繊維製
品と同等の風合を有し、耐洗濯染色堅牢度、耐摩耗性、
引裂強度等の物性強度において木綿繊維製品よりも優れ
た着古し加工縫製品が得られる。
【0033】本発明(請求項6)によると、水溶性樹脂
が、その水溶性樹脂15〜25重量%に対し水85〜7
5重量%となる比率をもって調製した水溶性糊剤が80
〜100dPa.sの粘度を示すので、非水溶性樹脂と
同等の固形分配合比率をもってバインダーに配合するこ
とが出来、揉み処理時にバインダーの皮膜の膨潤と非水
溶性樹脂成分の溶出を促すので、着古し加工を効率的に
行うことが出来る。
【0034】本発明(請求項7)によると、非水溶性ア
クリル樹脂50〜85重量%に対し水溶性樹脂50〜1
5重量%となる比率をもってバインダーが組成されてお
り、揉み処理時に水溶性樹脂成分が完全に溶出すること
なく、その残存する水溶性樹脂成分によって化学繊維に
吸湿性が付与され、着心地がよく肌触りのよい着古し加
工縫製品を得ることが出来る。
【0035】本発明(請求項8)によると、マルチフイ
ラメント糸が、50本以上のフイラメントによって構成
されていて糸条内部にバインダーが吸着し易く、揉み処
理において剥離脱落せずに残ったバインダーの皮膜がそ
の後において容易には剥離脱落せず、耐久性に富む着古
し加工縫製品が得られる。
【0036】本発明(請求項9)によると、布帛を構成
する繊維が木綿繊維に比して耐洗濯染色堅牢度、耐摩耗
性、引裂強度等の物性強度において優れたポリエステル
繊維やトリアセテート繊維であり、それらの繊維が非水
溶性アクリル樹脂に良好な接着性を示すので、耐久性に
富む着古し加工縫製品を得ることが出来る。上記の通
り、本発明によると、木綿繊維製と同等の風合いと着古
し観を有し、耐洗濯染色堅牢度、耐摩耗性、引裂強度そ
の他の物性強度において木綿繊維製に比して優れた合成
繊維製着古し加工縫製品を得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06P 3/52 D06P 3/52 // D06M 101:06 D06M 101:06 101:32 101:32 (72)発明者 法亢 健詞 岐阜県岐阜市本荘熊野前1941番地の1 岐 セン株式会社内 (72)発明者 水戸 忠雄 岐阜県岐阜市本荘熊野前1941番地の1 岐 セン株式会社内 (72)発明者 鹿野 潔 岐阜県岐阜市本荘熊野前1941番地の1 岐 セン株式会社内 Fターム(参考) 3B154 AA07 AA12 AB03 AB31 BA17 BA19 BA23 BA37 BD01 BD04 BD18 BF07 BF12 BF15 DA06 DA09 DA13 DA15 4H057 AA01 AA02 BA81 CA36 CB08 CC02 DA01 DA17 DA27 DA31 DA34 EA12 GA03 GA19 HA17 HA24 JA13 JA90 JB03 4L033 AA02 AA07 AB01 AC15 CA09 CA18 CA69

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色された単糸繊度が3.3デシテック
    ス未満の化学繊維のマルチフイラメント糸によって構成
    され、非水溶性アクリル樹脂と水溶性樹脂によって構成
    されたバインダーが全面にコーティングされた布帛によ
    って縫製されており、そのバインダーがマルチフイラメ
    ント糸の内部に浸入してフイラメントの表面に一部が剥
    離脱落した皮膜を形成しており、バインダーの皮膜が剥
    離脱落した箇所のフイラメントが布帛の表面に露出して
    いることを特徴とする着古し加工縫製品。
  2. 【請求項2】 前掲請求項1に記載のバインダーが、非
    水溶性アクリル樹脂と水溶性樹脂と顔料によって構成さ
    れていることを特徴とする前掲請求項1に記載の着古し
    加工縫製品。
  3. 【請求項3】 前掲請求項1に記載のマルチフイラメン
    ト糸が、50本以上のフイラメントによって構成されて
    いることを特徴とする前掲請求項1に記載の着古し加工
    縫製品。
  4. 【請求項4】 前掲請求項1に記載の布帛が、ポリエス
    テル繊維マルチフイラメント糸、又は、ポリエステル繊
    維マルチフイラメント糸とトリアセテート繊維マルチフ
    イラメント糸によって構成されていることを特徴とする
    前掲請求項1に記載の着古し加工縫製品。
  5. 【請求項5】 着色された単糸繊度が3.3デシテック
    ス未満の化学繊維のマルチフイラメント糸によって構成
    された布帛の表面に、非水溶性アクリル樹脂と水溶性樹
    脂によって構成されたバインダーを塗布し乾燥してバイ
    ンダーの皮膜を形成し、次いで、その布帛を所要の形状
    の縫製品に縫製し、次いで、その縫製品を湿潤状態にお
    いて揉み処理し、マルチフイラメント糸のフイラメント
    の表面に形成されているバインダーの皮膜の一部を剥離
    脱落させ、バインダーの皮膜が剥離脱落した箇所のフイ
    ラメントを布帛の表面に露出させることを特徴とする化
    学繊維製縫製品の着古し加工法。
  6. 【請求項6】 前掲請求項5に記載の水溶性樹脂が、そ
    の水溶性樹脂15〜25重量%に対し水85〜75重量
    %となる比率をもって調製した水溶性糊剤が80〜10
    0dPa.sの粘度を示すものであることを特徴とする
    前掲請求項5に記載の化学繊維製縫製品の着古し加工
    法。
  7. 【請求項7】 前掲請求項5に記載のバインダーを、非
    水溶性アクリル樹脂50〜85重量%に対し水溶性樹脂
    50〜15重量%となる比率をもって組成することを特
    徴とする前掲請求項5に記載の化学繊維製縫製品の着古
    し加工法。
  8. 【請求項8】 前掲請求項5に記載のマルチフイラメン
    ト糸を、50本以上のフイラメントによって構成するこ
    とを特徴とする前掲請求項5に記載の化学繊維製縫製品
    の着古し加工法。
  9. 【請求項9】 前掲請求項5に記載の布帛を、ポリエス
    テル繊維マルチフイラメント糸、又は、ポリエステル繊
    維マルチフイラメント糸とトリアセテート繊維マルチフ
    イラメント糸によって構成することを特徴とする前掲請
    求項5に記載の化学繊維製縫製品の着古し加工法。
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