JP2001234427A - ポリオレフィン系繊維 - Google Patents

ポリオレフィン系繊維

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JP2001234427A
JP2001234427A JP2000045645A JP2000045645A JP2001234427A JP 2001234427 A JP2001234427 A JP 2001234427A JP 2000045645 A JP2000045645 A JP 2000045645A JP 2000045645 A JP2000045645 A JP 2000045645A JP 2001234427 A JP2001234427 A JP 2001234427A
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polyester
copolymer
polymer
olefin
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JP2000045645A
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Hitoshi Nakatsuka
均 中塚
Kazuhiko Tanaka
和彦 田中
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリオレフィン系繊維が本来備えている特性
を損なうことなく、染色性が改良されたポリオレフィン
系繊維を提供する。 【解決手段】 オレフィン系重合体(I)およびポリエ
ステル系共重合体(II)から主としてなる樹脂組成物に
より構成される繊維であって、ポリエステル系共重合体
(II)が、ポリエステル系樹脂から誘導されるポリエス
テルブロック(IIa)とポリエステル系樹脂と反応し得
る官能基を有する付加重合体から誘導される付加重合体
ブロック(IIb)とからなり、オレフィン系重合体
(I)の含有量:ポリエステル系共重合体(II)の含有
量の質量比が99:1〜40:60であるポリオレフィ
ン系繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィン系重合
体および特定のポリエステル系共重合体から主としてな
るポリオレフィン系繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、ポリプロピレンやポリエチレン
などのポリオレフィン系樹脂は比較的安価であり、かつ
優れた力学性能を有することから繊維用途でも広く利用
されている。しかし、染色性、耐熱性等の点で限られた
用途、特に非衣料用途にしか利用できなかった。染色性
を改良する方法に含量の練り込みなどがあるが、工程
性、品質が大きく低下する問題があった。一方、ポリエ
チレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートな
どのポリエステル系樹脂は、染色性、耐熱性などに優れ
ており、ポリプロピレン、ポリエチレン等の染色性を改
良するためのブレンドが知られているが、相溶性の悪さ
に起因する工程性の悪化、品質の低下などの問題があっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、オレ
フィン系重合体にポリエステル系共重合体を配合するこ
とにより、これらの樹脂が本来備えている特性を損なう
ことなく、染色性が改良されたポリオレフィン系繊維を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(i)オレフィン系重合体(I)およびポリエステル系
共重合体(II)から主としてなる樹脂組成物により構成
される繊維であって; (ii)ポリエステル系共重合体(II)が、ポリエステル
系樹脂から誘導されるポリエステルブロック(IIa)と
ポリエステル系樹脂と反応し得る官能基を有する付加重
合体から誘導される付加重合体ブロック(IIb)とから
なり; (iii){オレフィン系重合体(I)の含有量}:{ポ
リエステル系共重合体(II)の含有量}の比が、99:
1〜40:60(質量比)である;ことを特徴とするポ
リオレフィン系繊維である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明の繊維の一成分となるオレフィン系重合体
(I)は、後述するポリエステル系共重合体(II)と反
応し得る官能基をその分子中に持たないオレフィン系重
合体をいう。本発明で好ましく用いられるオレフィン系
重合体(I)の代表例としては、例えば、オレフィン単
独重合体[以下、オレフィン単独重合体(I-A)という
ことがある];エチレンと他のα−オレフィンとからな
りエチレンを主成分とする共重合体[以下、エチレン/
α−オレフィン共重合体(I-B)ということがある];
プロピレンと他のα−オレフィンとからなりプロピレン
を主成分とする共重合体[以下、プロピレン/α−オレ
フィン共重合体(I-C)ということがある];水添共役
ジエン共重合体[以下、水添共役ジエン共重合体(I-
D)ということがある]などを挙げることができる。
【0006】上記したオレフィン単独重合体(I-A)と
しては、具体的には低密度、中密度、高密度ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリヘキセン−
1、ポリ−3−メチル−ブテン−1、ポリ−4−メチル
−ペンテン−1などのオレフィンの単独重合体などを挙
げることができ、そのうちでも低密度、中密度、高密度
ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンが、繊維特
性(強度、弾性率)などの点から好ましく用いられる。
【0007】また、エチレン/α−オレフィン共重合体
(I-B)としては、エチレンから主としてなり、それと
炭素数3〜20のα−オレフィン(例えばプロピレン、
1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン、1−デセン、3−メチル−1−ブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、6−メチル−1−ヘプ
テン、イソオクテン、イソオクタジエン、デカジエンな
ど)の1種または2種以上との共重合体を挙げることが
できる。そのうちでも、エチレンと、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、
1−オクテン、1−デセンなどの炭素数1〜10のオレ
フィンの1種または2種以上との共重合体が好ましく用
いられる。エチレン/α−オレフィン共重合体(I-B)
におけるエチレン:α−オレフィンの質量比は、繊維特
性の点から、50:50〜98:2の範囲であるのが好
ましく、60:40〜90:10であるのがより好まし
い。また、エチレン/α−オレフィン共重合体(I-B)
は、エチレン単位およびα−オレフィン単位と共にジエ
ン単位を有していてもよく、そのような共重合体として
は、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体(EPD
M)などを挙げることができる。
【0008】また、プロピレン/α−オレフィン共重合
体(I-C)としては、プロピレン/エチレンブロック共
重合体やその他の、プロピレンと、エチレンおよび/ま
たは上記で挙げた炭素数4〜20、特に4〜10のα−
オレフィンとの共重合体を挙げることができる。
【0009】また、水添共役ジエン共重合体(I-D)と
しては、代表的には、 スチレンなどの芳香族ビニル化合物から主としてなる
重合体ブロックおよび水素添加された1,2−結合量が
30モル%未満のポリブタジエンブロックから選ばれる
少なくとも1種の重合体ブロックと、水素添加されたポ
リイソプレンブロック、水素添加された1,2−結合量
が30〜80モル%のポリブタジエンブロックおよび水
素添加されたイソプレン/ブタジエン共重合体ブロック
から選ばれる少なくとも1種の重合体ブロックからなる
ブロック共重合体;および 芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロック
と水素添加されたポリイソブチレンブロックからなるブ
ロック共重合体;を挙げることができ、これらのブロッ
ク共重合体を用いてもよい。
【0010】そして、上記のブロック共重合体の具体
例としては、ポリスチレン/ポリイソプレン/ポリスチ
レンからなるブロック共重合体の水添物;ポリスチレン
/イソプレン・ブタジエン共重合体/ポリスチレンから
なるブロック共重合体の水添物;ポリスチレン/ポリブ
タジエン/ポリスチレンからなるブロック共重合体の水
添物を挙げることができる。
【0011】本発明のポリオレフィン系繊維では、オレ
フィン系重合体(I)として、上記したオレフィン系重
合体のうちの1種類のみを使用しても、または2種以上
を併用してもよい。また、本発明の目的の妨げにならな
い範囲で、上記したオレフィン系重合体と共に他の合成
樹脂やゴムを少量使用してもよい。
【0012】また、本発明においては、オレフィン系重
合体(I)として、質量平均分子量(Mw)と数平均分
子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4以下、より好ま
しくは3.5以下のものを用いると、繊維特性の点で好
ましい。なお、本明細書でいう質量平均分子量(Mw)
と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、分子
量が既知のポリスチレンを標準物質とするゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)[GPC用装
置:WATERS社製「150C」、カラム:「Sho
dex AT−807/S」と「Shodex AT−
80MIS」(昭和電工社製)、カラム温度:140
℃、試料濃度:0.1質量%、溶媒:o−ジクロロベン
ゼン]により求めたものである。
【0013】本発明において好ましく用いられる質量平
均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw
/Mn)が4以下であるオレフィン系重合体(I)の製
造法は何ら制限されず、該比(Mw/Mn)が4以下の
市販のオレフィン系重合体をそのまま用いても、または
重合により製造して用いてもよい。何ら限定されるもの
ではないが、比(Mw/Mn)が4以下であるオレフィ
ン系重合体(I)は、例えば、重合触媒としてメタロセ
ン触媒(カミンスキー触媒またはシングルサイト触媒と
称されることもある)を使用して、溶液重合法、塊状重
合法、気相重合法などによって、通常0〜250℃の温
度で、常圧〜1000気圧(100MPa)の圧力下に
単量体を重合させることにより得ることができる。メタ
ロセン触媒としては、例えば、4価の遷移金属を含有す
るメタロセン化合物とメチルアルミノキサンおよび/ま
たは非配位性のホウ素系化合物との併用物が用いられ
る。その使用割合は、一般にメタロセン化合物1モルに
対して、メチルアルミノキサンおよび/または非配位性
のホウ素系化合物2〜1,000,000モル、好まし
くは50〜5,000モルである。
【0014】上記のメタロセン化合物としては、例え
ば、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチル
アミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリ
ス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)
チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシ
クロペンタジエニル−t−ブチルアミドジルコニウムジ
クロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジ
エニル−t−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメ
チルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n
−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチル
フェニルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−t
−ブチルアミドハフニウムジクロリド、(t−ブチルア
ミド)(テトラメチルシクロペンタジエニル)−1,2
−エタンジイルチタンジクロリド、インデニルチタニウ
ムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムト
リス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムビス
(ジ−n−ブチルアミド)(ジ−n−プロピルアミド)
などを使用することができる。
【0015】本発明で用いるオレフィン系重合体(I)
のメルトインデックス(以下これを「MI」ということ
がある)は、得られる繊維の特性、繊維化工程性を良好
なものにする点から、0.1〜50g/10分の範囲内
であるのが好ましく、0.1〜30g/10分の範囲内
であるのがより好ましく、0.1〜15g/10分の範
囲内であるのがさらに好ましい。なお、本発明でいうオ
レフィン系重合体(I)のMIは、JIS K7210
に準じて、190℃、2.16kg荷重の条件下に測定
したときの値をいう。
【0016】さらに、本発明で用いるオレフィン系重合
体(I)の比重は、0.86〜0.92の範囲内である
のが好ましく、0.86〜0.90の範囲内であるのが
より好ましい。
【0017】次に、本発明で用いるポリエステル系共重
合体(II)は、ポリエステル系樹脂から誘導されるポリ
エステルブロック(IIa)とポリエステル系樹脂と反応
し得る官能基を有する付加重合体から誘導される付加重
合体ブロック(IIb)とからなっている共重合体であ
り、ポリエステル系共重合体(II)では、上記のポリエ
ステルブロック(IIa)と付加重合体ブロック(IIb)
とは、エステル結合、アミド結合、エーテル結合などの
化学結合によって結合されている。ポリエステル系共重
合体(II)は、ポリエステルブロック(IIa)と付加重
合体ブロック(IIb)とがブロック状に結合しているブ
ロック共重合体であっても、ポリエステルブロック(II
a)と付加重合体ブロック(IIb)とがグラフト状に結
合したグラフト共重合体であっても、またはブロック状
の結合形態とグラフト状の結合形態の両方が存在する共
重合体であってもよい。
【0018】ポリエステル系共重合体(II)が、ポリエ
ステルブロック(IIa)と付加重合体ブロック(IIb)
とがブロック状に結合しているブロック共重合体である
場合は、例えば、1個のポリエステルブロック(IIa)
と1個の付加重合体ブロック(IIb)が結合しているジ
ブロック共重合体、1個のポリエステルブロック(II
a)を挟んでその両側にそれぞれ1個の付加重合体ブロ
ック(IIb)が結合しているトリブロック共重合体、1
個の付加重合体ブロック(IIb)を挟んでその両側にそ
れぞれ1個のポリエステルブロック(IIa)が結合して
いるトリブロック共重合体、ポリエステルブロック(II
a)と付加重合体ブロック(IIb)が交互に合計で4個
またはそれ以上の個数で結合しているポリブロック共重
合体などを挙げることができる。
【0019】また、ポリエステル系共重合体(II)が、
ポリエステルブロック(IIa)と付加重合体ブロック
(IIb)とがグラフト状に結合したグラフト共重合体で
ある場合は、例えば、ポリエステルブロック(IIa)を
主鎖としてそれに付加重合体ブロック(IIb)が側鎖と
して1個または2個以上結合しているグラフト共重合
体、付加重合体ブロック(IIb)を主鎖としてそれにポ
リエステルブロック(IIa)が側鎖として1個または2
個以上結合しているグラフト共重合体などを挙げること
ができる。
【0020】そして上記したうちでも、ポリオレフィン
系繊維の繊維化工程性がより良好なものとなる点から、
ポリエステル系共重合体(II)が、1個のポリエステル
ブロック(IIa)と1個の付加重合体ブロック(IIb)
がブロック状に結合しているジブロック共重合体である
のが好ましい。
【0021】ポリエステル系共重合体(II)の一部を構
成しているポリエステルブロック(IIa)は、種々のポ
リエステルから形成することができ、例えばポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
エチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポ
リ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレー
ト、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、p−ヒドロキシ安
息香酸系ポリエステル、ポリアリレートなどから形成さ
れるブロックを挙げることができる。
【0022】上記したポリエステルのうちでも、ポリエ
チレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレー
トのうちの少なくとも一方を使用するのが好ましく、特
にポリブチレンテレフタレート(PBT)を用いるのが
好ましい。
【0023】またポリエステルは、全構造単位に基づい
て20モル%以下であれば必要に応じて基本構造を構成
するジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位、お
よび/または基本構造を構成するジオール単位以外の他
のジオール単位を有していてもよい。ポリエステルが含
み得る他のジカルボン酸単位の例としては、イソフタル
酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,
5−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフ
ェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’
−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフ
タル酸ナトリウムなどの芳香族ジカルボン酸;アジピン
酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸など
の脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂
環式ジカルボン酸;およびそれらのエステル形成性誘導
体(メチルエステル、エチルエステルなどの低級アルキ
ルエステル等)などから誘導されるジカルボン酸単位を
挙げることができる。ポリエステルは、上記したジカル
ボン酸単位の1種のみを有していても、または2種以上
を有していてもよい。
【0024】また、ポリエステルが含み得る他のジオー
ル単位の例としては、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロ
パンジオール、1,5−ペンタンジオールなどの炭素数
2〜10の脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノー
ル、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;ジ
エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ−
1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコールなどの分子量6000以下のポリアルキレング
リコールなどから誘導されるジオール単位を挙げること
ができる。ポリエステルは、上記のジオール単位の1種
のみを有していても、または2種以上を有していてもよ
い。
【0025】さらに、ポリエステルは、全構造単位に基
づいて1モル%以下であれば、例えばグリセリン、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリ
ット酸、ピロメリット酸などの3官能以上のモノマーか
ら誘導される構造単位を有していてもよい。
【0026】また、かかるポリエステルからなるブロッ
ク(IIa)は、本発明のポリオレフィン系繊維の品質、
染色性の点から、数平均分子量が200〜150000
であるのが好ましく、200〜50000であるのがよ
り好ましい。
【0027】また、ポリエステル系共重合体(II)の別
の一部を構成する付加重合体ブロック(IIb)は、付加
重合体からなるブロックであればいずれでもよく、その
重合形態などは特に制限されない。付加重合体ブロック
(IIb)は、単一の付加重合性モノマーからなる付加重
合体、複数の付加重合性モノマーからなるランダム共重
合体、複数の重合性モノマーからなるブロック共重合体
などのいずれの付加重合体から形成されていてもよい。
そのうちでも、ポリエステル系共重合体(II)における
付加重合体ブロック(IIb)は、芳香族ビニル化合物単
位から主としてなる重合体ブロック(a1)[以下これ
を「重合体ブロック(a1)」ということがある]およ
び水素添加された1,2−結合量が30%未満のポリブ
タジエンブロック(a2)[以下これを「水添ポリブタ
ジエンブロック(a2)」ということがある]のうちの
少なくとも1種からなる重合体ブロック(A)と、水素
添加されたポリイソプレンブロック(b1)[以下これ
を「水添ポリイソプレンブロック(b1)」ということ
がある]、水素添加された1,2−結合量が30〜80
%のポリブタジエンブロック(b2)[以下これを「水
添ポリブタジエンブロック(b2)」ということがあ
る]および水素添加されたイソプレン/ブタジエン共重
合体ブロック(b3)[以下これを「水添イソプレン/
ブタジエンブロック(b3)」ということがある]から
なる群から選ばれる少なくとも1種からなる重合体ブロ
ック(B)とからなる付加重合系ブロック共重合体(II
b1);および、芳香族ビニル化合物単位から主として
なる重合体ブロック(C)[以下これを「芳香族ビニル重
合体ブロック(C)」ということがある]とポリイソブ
チレンブロック(D)とからなる付加重合系ブロック共
重合体(IIb2);のうちの少なくとも1種から誘導さ
れる付加重合体ブロックであることが好ましい。
【0028】そして、重合体ブロック(A)と重合体ブ
ロック(B)とからなる付加重合体ブロック(IIb1)
のブロック構造の例としては、下記の一般式(1)〜
(4)で表されるものを挙げることができる。
【0029】
【化1】 [上記式中、AおよびA'はそれぞれ重合体ブロック
(A)を示し、BおよびB'はそれぞれ重合体ブロック
(B)を示し、e、f、gおよびhはそれぞれ独立して
1以上の整数を示す。]
【0030】上記の一般式(1)〜(4)で表される付
加重合体ブロック(IIb1)における反復数e、f、g
およびhはそれぞれ任意に決めることができるが、1〜
5の範囲内の整数であるのが好ましい。
【0031】そして、付加重合体ブロック(IIb1)
は、上記した一般式(1)〜(4)で表される付加重合
体ブロック(IIb1)のうちでも、上記の一般式(1)
においてe=1である式:A−Bで表される付加重合系
ジブロックまたは上記の一般式(3)においてg=1であ
る式:A−B−A’で表される付加重合系トリブロック
であるのがより好ましい。
【0032】また、付加重合体ブロック(IIb)を構成
し得る、芳香族ビニル重合体ブロック(C)とポリイソ
ブチレンブロック(D)とからなる付加重合体ブロック
(IIb2)のブロック構造の例としては、下記の一般式
(5)または(6)で表されるものを挙げることができ
る。
【0033】
【化2】 [上記式中、CおよびC’はそれぞれ芳香族ビニル重合
体ブロック(C)を示し、DおよびD’はそれぞれポリ
イソブチレンブロック(D)を示し、jおよびkはそれ
ぞれ独立して1以上の整数を示す]。
【0034】上記の一般式(5)または(6)で表され
る付加重合体ブロック(IIb2)におけるjおよびkは
それぞれ任意に決めることができるが、1〜5の範囲内
の整数であるのが好ましい。そして、上記した一般式
(5)または(6)で表される付加重合体ブロック(II
b2)のうちでも、上記の一般式(5)においてj=1
である式:C−D−C’で表される付加重合系トリブロ
ックまたは上記の一般式(6)においてk=1である式:
D’−C−Dで表される付加重合系トリブロックである
のがより好ましい。
【0035】付加重合体ブロック(IIb1)を構成する
ことのある重合体ブロック(a1)、および付加重合体
ブロック(IIb2)を構成することのある芳香族ビニル
重合体ブロック(C)においては、それらの重合体ブロ
ックにおける芳香族ビニル単位を形成する芳香族ビニル
化合物として、スチレン、α−メチルスチレン、o−メ
チルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビ
ニルアントラセンなどを挙げることができ、そのうちで
も、ポリオレフィン系繊維の繊維化工程性がより良好に
なる点からスチレン、α−メチルスチレンが好ましく、
スチレンが特に好ましい。重合体ブロック(a1)およ
び芳香族ビニル重合体ブロック(C)は、1種の芳香族
ビニル化合物単位から構成されていても、または2種以
上の芳香族ビニル化合物単位から構成されていてもよ
い。
【0036】また、付加重合体ブロック(IIb2)にお
ける重合体ブロック(A)の構成ブロックとなり得る水
添ポリブタジエンブロック(a2)は、そのポリブタジ
エンブロックにおける1,2−結合量が30%未満であ
るのが好ましく、25%以下であるのがより好ましい。
それと共に、水添ポリブタジエンブロック(a2)は不
飽和結合の一部または全部、好ましくは90%以上が水
添加によって飽和結合にされているポリブタジエンブロ
ックであるのが好ましい。また、水添ポリブタジエンブ
ロック(a2)を構成するポリブタジエンでは、水素添
加前では、好ましくはその30モル%未満、より好まし
くは25モル%以下がビニルエチレン基[−CH(CH
=CH2)−CH2−;1,2−結合のブタジエン単位]
であり、残りが2−ブテン−1,4−ジイル基(−CH
2−CH=CH−CH2−;1,4−結合のブタジエン単
位)である。
【0037】そして、付加重合体ブロック(IIb1)に
おける重合体ブロック(B)の構成ブロックとなり得る
水添ポリイソプレンブロック(b1)は、イソプレンに
由来するモノマー単位から主としてなるポリイソプレン
の不飽和結合の一部または全部が水素添加されて飽和結
合になっている重合体ブロックであるのが好ましい。水
添ポリイソプレンブロック(b1)では、その水素添加
前には、イソプレンに由来する単位は、2−メチル−2
−ブテン−1,4−ジイル基[−CH2−C(CH3)=
CH−CH2−;1,4−結合のイソプレン単位]、イ
ソプロペニルエチレン基[−CH{−C(CH3)=C
2}−CH2−;3,4−結合のイソプレン単位]およ
び1−メチル−1−ビニルエチレン基[−C(CH3
(CH=CH2)−CH2−;1,2−結合のイソプレン
単位]からなる群より選ばれる少なくとも1種からなっ
ているのが好ましい。
【0038】付加重合体ブロック(IIb1)における重
合体ブロック(B)の構成ブロックとなり得る水添ポリ
ブタジエンブロック(b2)は、そのポリブタジエンブ
ロックにおける1,2−結合量が好ましくは30〜80
%、より好ましくは35〜60%であり、しかも不飽和
結合の一部または全部が水素添加によって飽和結合にな
っているポリブタジエンブロックであるのが好ましい。
水添ポリブタジエンブロック(b2)を構成するポリブ
タジエンでは、水素添加前には好ましくはその30〜8
0モル%、より好ましくは35〜60モル%がビニルエ
チレン基[−CH(CH=CH2)−CH2−;1,2−
結合のブタジエン単位]であり、好ましくは70〜20
モル%、より好ましくは65〜40モル%が2−ブテン
−1,4−ジイル基(−CH2−CH=CH−CH2−;
1,4−結合ブタジエン単位)である。
【0039】また、付加重合体ブロック(IIb1)にお
ける重合体ブロック(B)の構成ブロックとなり得る水
添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b3)
は、イソプレンに由来する単位およびブタジエンに由来
する単位から主としてなっているイソプレン/ブタジエ
ン共重合体であって、且つその不飽和結合の一部または
全部が水素添加によって飽和結合になっている共重合体
ブロックである。水添イソプレン/ブタジエン共重合体
ブロック(b3)においては、その水素添加前には、イ
ソプレンに由来する単位は、2−メチル−2−ブテン−
1,4−ジイル基、イソプロペニルエチレン基および1
−メチル−1−ビニルエチレン基からなる群より選ばれ
る少なくとも1種の基であり、またブタジエンに由来す
る単位はビニルエチレン基および/または2−ブテン−
1,4−ジイル基であるのが好ましい。そして、水素添
加前におけるイソプレン/ブタジエン共重合体ブロック
におけるそれらの基の割合は特に制限されない。また、
水添イソプレン/ブタジエン共重合体ブロック(b3)
において、ブタジエンに由来する単位とイソプレンに由
来する単位とは、ランダム状、ブロック状、テーパーブ
ロック状のいずれの配置形態になっていてもよい。
【0040】そして、付加重合体ブロック(IIb1)の
構成ブロックとなり得る水添ポリブタジエンブロック
(a2)、水添ポリイソプレンブロック(b1)、水添ポ
リブタジエンブロック(b2)および水添イソプレン/
ブタジエン共重合体ブロック(b3)では、上記したよ
うに、その炭素−炭素二重結合の一部が水素添加されて
いても、または全部が完全に水素添加されていてもよい
が、付加重合体ブロック(IIb1)において、ブタジエ
ン単位および/またはイソプレン単位における炭素−炭
素間二重結合の50モル%以上、特に80モル%以上が
水素添加されていること(すなわち不飽和度が50モル
%以下、特に20モル%以下になっていること)が、ポ
リエステル系共重合体(II)の耐熱劣化性および耐候性
が良好となり、それを用いて得られるポリオレフィン系
繊維の繊維化工程性の悪化を防止することができる点で
好ましい。
【0041】また、付加重合体ブロック(IIb2)にお
けるポリイソブチレンブロック(D)は、イソブチレン
単位[−C(CH3)2−CH2−]から主としてなる重合
体ブロックである。
【0042】付加重合体ブロック(IIb1)における
{重合体ブロック(A)の合計含有量}:{重合体ブロ
ック(B)の合計含有量}、および付加重合体ブロック
(IIb2)における{芳香族ビニル重合体ブロック
(C)の合計含有量}:{ポリイソブチレンブロック
(D)の合計含有量}が、それぞれ1:9〜9:1(質
量比)の範囲であるのが、ポリオレフィン系繊維の繊維
化工程性を良好なものとする点から好ましく、それぞれ
が2:8〜7:3(質量比)であるのがより好ましい。
【0043】また、付加重合体ブロック(IIb1)にお
ける重合体ブロック(A)および付加重合体ブロック
(IIb2)における芳香族ビニル重合体ブロック(C)
は、それぞれその数平均分子量が2500〜50000
の範囲にあるのが好ましい。また、付加重合体ブロック
(IIb1)における重合体ブロック(B)および付加重
合体ブロック(IIb2)におけるポリイソブチレンブロ
ック(D)の数平均分子量はそれぞれ10000〜10
0000の範囲にあるのが好ましい。そして、付加重合
体ブロック(IIb1)および付加重合体ブロック(IIb
2)の数平均分子量は、それぞれ12500〜1500
00の範囲にあるのが好ましい。そして、本発明のポリ
エステル系樹脂組成物では、1種類または2種類以上の
付加重合体ブロック(IIb1)を使用しても、また1種
類または2種類以上の付加重合体ブロック(IIb2)を
使用してもよい。
【0044】そして、本発明のポリオレフィン系繊維で
用いる、ポリエステルブロック(IIa)と付加重合体ブ
ロック(IIb)とからなるポリエステル系共重合体(I
I)は、その数平均分子量が12700〜300000
の範囲であるのが好ましく、15000〜200000
の範囲であるのがより好ましい。
【0045】本発明のポリオレフィン系繊維で用いるポ
リエステル系共重合体(II)の製造法は特に制限され
ず、例えば、ポリエステル系樹脂、およびポリエステル
系樹脂と反応し得る官能基を分子中に有する付加重合体
とを溶融条件下で混練し、続いて固相重合し、その結果
得られるポリエステル系反応生成物からポリエステル系
共重合体(II)を抽出・回収することによって得ること
ができる。
【0046】その際に、ポリエステル系樹脂と付加重合
体との溶融混練は、単軸押出機、2軸押出機、ニーダ
ー、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて行
うことができる。溶融混練の条件は、使用するポリエス
テル系樹脂や付加重合体の種類、装置の種類などに応じ
て適宜選択することができるが、通常、180〜300
℃の温度で3〜15分間程度行うとよい。また、溶融混
練後の固相重合は、ポリエステル系樹脂と付加重合体と
の溶融混練により得られた樹脂を固化し、粒状化した
後、それを適当な固相重合反応装置に移し、予備処理と
して120〜180℃の温度下で乾燥や結晶化などを行
い、ついで固相重合させることにより行うことができ
る。固相重合反応は、通常、樹脂の温度をポリエステル
系樹脂の融点よりも5〜60℃程度低い温度に保ちなが
ら、不活性気流下または真空中で行うとよい。固相重合
はバッチ方式または連続方式のいずれで行ってもよく、
固相重合反応装置における滞留時間や処理温度などを適
宜調節することによって、所望の重合度および反応率と
することができる。
【0047】上記において、固相重合により得られるポ
リエステル系反応生成物からのポリエステル系共重合体
(II)の抽出・回収は、例えば、ポリエステル系反応生
成物をヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム
混合溶媒に溶解させ、その溶液をテトラヒドロフラン中
に注入して沈殿させ、沈殿物を回収してクロロホルムに
溶解させ、そのクロロホルム溶液から不溶物を濾過など
により除去した後、そのクロロホルム溶液を濃縮、乾固
してポリエステル系共重合体(II)を固形分として回収
する方法により行うことができる。
【0048】ポリエステル系共重合体(II)[ポリエス
テル系共重合体(II)を含む反応生成物]の製造に用い
る、ポリエステル系樹脂と反応し得る官能基を有する付
加重合体としては、上記した付加重合体ブロック(II
b)に官能基がついた構造を有する付加重合体が好まし
く用いられる。その場合の官能基としては、ポリエステ
ル系樹脂と反応し得る官能基であれば特に制限はなく、
例えば、水酸基、カルボキシル基、エステル基、アミド
基、アミノ基、エポキシ基、チオール基、チオエステル
基、2−オキサゾリン基などの環状イミノエーテル基、
無水コハク酸−2−イル基、無水コハク酸−2,3−ジ
イル基などの酸無水物構造を有する基などを挙げること
ができる。これらの官能基を有する付加重合体は、例え
ば、官能基を持たないモノマーと官能基を有するモノマ
ーとの共重合、活性末端を有する付加重合体への官能基
を有するモノマーの付加反応、官能基を有するモノマー
と付加重合体とのラジカル反応などにより製造すること
ができる。
【0049】ポリエステル系樹脂と反応し得る官能基を
有する付加重合体においては、その官能基は、付加重合
体の分子主鎖や分子側鎖の途中または分子末端のいずれ
に位置していてもよいが、ポリエステル系共重合体(I
I)の好ましいブロック形態である、1個のポリエステ
ルブロック(IIa)と1個の付加重合体ブロック(II
b)とが鎖状に結合したジブロック形態のポリエステル
系共重合体(II)を形成するためには、付加重合体の末
端に官能基を有しているのが好ましい。また、付加重合
体における官能基の含有量は、平均して1分子当たり
0.5個以上であることが好ましく、0.7個以上であ
るのがより好ましい。
【0050】本発明のポリオレフィン系繊維を構成する
樹脂組成物においては、{オレフィン系重合体(I)の
含有量}:{ポリエステル系共重合体(II)の含有量}
の比が、99:1〜40:60(質量比)であることが
必要であり、99:1〜50:50(質量比)であるの
が好ましい。オレフィン系重合体(I)の含有量が、9
9質量%よりも多い場合または40質量%よりも少ない
場合には、ポリオレフィン系繊維の繊維化工程性、染色
性が向上しない。
【0051】そして、本発明のポリオレフィン系繊維中
では、オレフィン系重合体(I)からなるマトリックス
中に、ポリエステル系共重合体(II)が粒子状で存在し
ている形態をとっていてもよく、その場合には、平均粒
径1μm以下、より好ましくは0.01〜0.8μmの
微粒子状でオレフィン系重合体(I)のマトリックス中
に分散している形態にすると、繊維化工程性、染色性の
改善効果が一層高くなる。
【0052】本発明のポリオレフィン系繊維は、必要に
応じて、酸化防止剤、熱分解防止剤、紫外線吸収剤、結
晶化核剤、結晶化促進剤、着色剤、難燃剤、可塑剤、帯
電防止剤、加水分解防止剤、上記以外のポリマー(例え
ばポリスチレン、ABS、ポリカーボネート、ポリジメ
チルシロキサン等の有機ポリシロキサンなど)などの1
種または2種以上を含有していてもよい。
【0053】本発明のポリオレフィン系樹脂組成物の調
製法は特に制限されず、オレフィン系重合体(I)およ
びポリエステル系共重合体(II)を均一に混合させ得る
方法であればいずれでもよく、通常、前記2種類の重合
体を必要に応じて他の成分と共に溶融混練することによ
って製造することができる。溶融混練は、単軸押出機、
二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練
機を使用して行うことができ、その際に使用する装置の
種類や溶融混練条件などは特に限定されないが、概ね1
80〜300℃の範囲の温度で1〜30分間混練するこ
とにより、本発明の繊維を構成するポリオレフィン系樹
脂組成物を得ることができる。
【0054】本発明のポリオレフィン系繊維の製造にお
いては、公知の溶融紡糸装置を用いることができる。す
なわち、溶融押出し機でポリオレフィン系樹脂組成物の
ペレットを溶融混練し、溶融ポリマー流を紡糸等に導き
ギヤポンプで計量し、紡糸ノズルから吐出させた糸条を
巻き取ることで得られる。紡糸ノズルから吐出された糸
条は延伸せずにそのまま高速で巻き取るか必要に応じて
延伸される。延伸は破断伸度(HDmax)×0.55〜0.9倍の延
伸倍率でガラス転移点(Tg)以上の温度で延伸される。
延伸倍率がHDmax×0.55未満では十分な強度を有する繊
維が安定して得られず、HDmax×0.9を越えると断糸しや
すくなる。延伸は紡糸ノズルから吐出された後に一旦巻
き取ってから延伸する場合と、延伸に引き続いて施され
る場合があるが、本発明においてはいずれでもよい。延
伸は通常熱延伸され、熱風、熱板、熱ローラー、水浴等
のいずれを用いて行ってもよい。また、引取り速度は、
一旦巻き取ってから延伸処理を行う場合、紡糸直結延伸
の一工程で紡糸延伸して巻き取る場合、延伸を行わずに
高速でそのまま巻き取る場合で異なるが、大凡500m
/分〜6000m/分の範囲で引き取る。500m/分未
満で紡糸できないことはないが、生産性の点からは意味
が少ない。一方、6000m/分を超えるような超高速
では、繊維の断糸が起こりやすい。また、本発明の繊維
断面形状は特に限定されず、通常の溶融紡糸の手法を用
いてノズルの形状により真円状にも中空にも異型断面に
もできる。繊維化や製織化での工程通過性の点からは真
円が好ましい。
【0055】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はそれにより限定されない。以下の実施例
および比較例において、繊維の強度、伸度、染色性、工
程性の評価は次のようにして行った。 繊維強度、伸度:JISL1013に準拠して測定し
た。 紡糸工程性:100Kg紡糸した際の毛羽・断糸の発生
状況で評価した。 ○:毛羽・断糸の発生なく良好 △:断糸はなく、毛羽の発生が僅かに認められる ×:断糸が発生 染色性:筒編地について下記の条件で染色したときの染
着率を求めた。 Foron Navy S2GL 2%owf ディスパーTL 1g/l 酢酸(50%) 1cc/l 浴比 1:50 120℃×40分 軽量感:得られた繊維を経糸及び緯糸として平織物を製
織し評価した。 ○:優れている △:やや不良 ×:不良
【0056】以下の実施例、比較例では、オレフィン系
重合体(I)、ポリエステル系樹脂(I)、ポリエステ
ル系共重合体(II)として下記のものを使用した。
【0057】[オレフィン系重合体(I)] オレフィン系重合体(I-1):ポリプロピレン(株式
会社グランドポリマー製「J704」) オレフィン系重合体(I-2):ポリプロピレン(株式
会社グランドポリマー製「J705」)
【0058】[ポリエステル系共重合体(II)]PBT
(株式会社クラレ製「S1000F」;極限粘度[η]
=0.85)と、1分子当たり0.8個の割合で水酸基
を片末端に有するポリスチレンブロック/1,3−ブタ
ジエン・イソプレン水添共重合体ブロック/ポリスチレ
ンブロックよりなるトリブロック共重合体(以下「水添
SBIS−OH」ということがある)を、1:1のモル
比で反応させて得られるジブロック共重合体
【0059】《製造例1》[ポリエステル系共重合体
(II)の製造] (1) 予備乾燥したPBT(株式会社クラレ製「S1
000F」)50質量部および上記した水添SBIS−
OHの50質量部を予備混合した後、二軸押出機(株式
会社日本製鋼所製「TEX44C」)に供給して250
℃で溶融混練して押し出した後、冷却、切断してペレッ
トを製造した。このペレットをガス導入口、排気口、真
空連結器などを有する固相重合装置に移して、窒素ガス
の導入下に120℃で約4時間処理して乾燥および結晶
化を行った。その後、固相重合装置の内圧を約0.2m
mHg(26.7Pa)まで減圧すると共に200℃まで
昇温して固相重合反応を開始した。約20時間の固相重
合反応の後に、窒素ガスを供給して系を常圧に戻した。
固相重合により得られた反応生成物を、ヘキサフルオロ
イソプロパノール/クロロホルム(1/1容)の混合溶
媒に溶解させ、その溶液をテトラヒドロフラン中に注入
して沈殿を生成させ、その沈殿物を回収した。それによ
り得られた沈殿物を、クロロホルム中で加熱還流した後
に濾別し、クロロホルム溶液を濃縮、乾固することによ
って、PBTから誘導されたブロックと、水添SBIS
−OHから誘導されたブロックとからなるジブロック共
重合体を単離した。
【0060】実施例1〜3 下記の表1に示すオレフィン系重合体(I)およびポリ
エステル系共重合体(II)(参考例1で製造したPBT
/水添SBIS)を表1に示す割合で予備混合した後、
二軸押出機(株式会社日本製鋼所製「TEX44C」)
に供給してシリンダー温度250℃の条件下に溶融混練
して押し出し、冷却、切断してペレットを製造した。上
記で得られたペレットを溶融押し出し機を用いて240
℃で溶融混練し、溶融したポリマー流を紡糸頭に導き、
ギヤポンプで計量し、孔径0.25mm、ホール数24
のノズルから吐出させ800m/分の速度で6時間巻き
取った(せん断速度8,200sec-1、ドラフト5
2)。得られた紡糸原糸をホットローラー温度100
℃、ホットプレート温度140℃で2倍(HDmax×0.7に
相当)にローラープレート延伸し、83dtex/24
fの延伸糸を得た。得られた延伸糸の断面形状は均一な
真円状であった。得られた繊維の物性、染色性、その時
の紡糸工程性、軽量感を表1に示した。
【0061】
【表1】
【0062】比較例1〜3 比較例1は、オレフィン系樹脂(I−1)のみを用い、比
較例2ではオレフィン系樹脂(I−2)のみを用い、比較
例3では、オレフィン系樹脂(I−1)とポリエステル系
共重合体(I)との組成割合が30:70である樹脂組
成物を用いて、それぞれ実施例1と同様にして繊維化及
び各評価を行なった。その結果表1に示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/08 C08L 23/08 23/12 23/12 23/16 23/16 67/00 67/00 D01F 6/92 307 D01F 6/92 307D Fターム(参考) 4J002 BB03W BB05W BB12W BB14W BB15W BB17W BN17X BP01W BP01X CA00X CF00X GK01 4J031 AA38 AA49 AB01 AC03 AD01 AF14 4L035 BB31 BB89 BB91 DD01 EE20 HH01 LA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)オレフィン系重合体(I)および
    ポリエステル系共重合体(II)から主としてなる樹脂組
    成物により構成される繊維であって; (ii)ポリエステル系共重合体(II)が、ポリエステル
    系樹脂から誘導されるポリエステルブロック(IIa)と
    ポリエステル系樹脂と反応し得る官能基を有する付加重
    合体から誘導される付加重合体ブロック(IIb)とから
    なり; (iii){オレフィン系重合体(I)の含有量}:{ポ
    リエステル系共重合体(II)の含有量}の比が、99:
    1〜40:60(質量比)である;ことを特徴とするポ
    リオレフィン系繊維。
  2. 【請求項2】 ポリエステル系共重合体(II)を構成す
    る付加重合体ブロック(IIb)が、 芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロッ
    ク(a1)および水素添加された1,2−結合量が30
    %未満のポリブタジエンブロック(a2)のうちの少な
    くとも1種からなる重合体ブロック(A)と、水素添加
    されたポリイソプレンブロック(b1)、水素添加され
    た1,2−結合量が30〜80%のポリブタジエンブロ
    ック(b2)および水素添加されたイソプレン/ブタジ
    エン共重合体ブロック(b3)からなる群から選ばれる
    少なくとも1種からなる重合体ブロック(B)とからな
    る付加重合系ブロック共重合体(IIb1);および、 芳香族ビニル化合物単位から主としてなる重合体ブロッ
    ク(C)とポリイソブチレンブロック(D)とからなる付
    加重合系ブロック共重合体(IIb2);のうちの少なく
    とも1種から誘導される付加重合体ブロックである請求
    項1のポリオレフィン系繊維。
  3. 【請求項3】 オレフィン系重合体(I)の質量平均分
    子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/M
    n)が4以下である請求項1または2のポリオレフィン
    系繊維。
  4. 【請求項4】 オレフィン系重合体(I)が、ポリエチ
    レン、ポリプロピレン、エチレン/α−オレフィン共重
    合体および水素添加された共役ジエン共重合体のうちの
    少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項のポ
    リオレフィン系繊維。
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JP2012530808A (ja) * 2009-06-19 2012-12-06 ポリワン コーポレイション 酸素を捕捉するターポリマー

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