JPH06207319A - カチオン染料可染性を有する制電性ポリエステル繊維 - Google Patents

カチオン染料可染性を有する制電性ポリエステル繊維

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JPH06207319A
JPH06207319A JP5001833A JP183393A JPH06207319A JP H06207319 A JPH06207319 A JP H06207319A JP 5001833 A JP5001833 A JP 5001833A JP 183393 A JP183393 A JP 183393A JP H06207319 A JPH06207319 A JP H06207319A
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JP
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glycol
polyester
polyester fiber
dyeability
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JP5001833A
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Hiroshi Fujita
寛 藤田
Toshimasa Kuroda
俊正 黒田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】アルカリ減量等に対する耐久性に優れた高度な
制電性を有し、かつ優れたカチオン染料可染性を有する
制電性ポリエステル繊維を提供すること。 【構成】ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体
とグリコールまたはそのエステル形成性誘導体との反応
により得られるポリエステル繊維であって、該ポリエス
テル繊維には、 (a) ポリオキシアルキレングリコール
またはその誘導体がポリエステルマトリックスに対して
0.5〜10重量%、 (b) 下記一般式で表されるくり
返し単位を主たる構成成分とするポリスチレンスルホン
酸塩が0.1〜10重量%、含有されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカチオン染料可染性を有
する制電性ポリエステル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは多くの優れた特性を有す
るために合成繊維として広く用いられている。しかしな
がら、ポリエステル繊維は羊毛や絹の如き天然繊維、レ
ーヨンやアセテートの如き繊維素繊維、アクリル系繊維
等に比較して疎水性であるため静電気が発生しやすく、
静電気発生に伴うほこり付着や衣服のまつわりつきが起
こるという欠点がある。
【0003】かかる欠点を改良するため、ポリエステル
繊維に制電性を付与する方法として、例えばポリエステ
ルに実質的に非相溶性のポリオキシアルキレングリコー
ル、ポリオキシアルキレングリコール・ポリアミドブロ
ック共重合体あるいはポリオキシアルキレングリコール
・ポリエステルブロック共重合体等のポリオキシアルキ
レン化合物を混合させる方法、更にこれに有機や無機の
イオン性化合物を配合する方法(例えば特公昭44−3
1828号公報、特公昭60−11944号公報、特開
昭53−80497号公報、特開昭60−39413号
公報など)、あるいはポリオキシエチレングリコールの
両末端に特定の高級オレフィンオキサイドの特定量をブ
ロック共重合したポリオキシエチレン系ポリエーテルを
混合させる方法(特開平3−182546号公報など)
が知られている。
【0004】しかしながら、カチオン染料可染型の制電
性ポリエステルを得るために、これらのポリオキシアル
キレン化合物を、スルホイソフタル酸金属化合物共重合
ポリエステルに配合した場合には、カチオン染料可染性
が損なわれるという問題があった。
【0005】さらに、ポリオキシアルキレン化合物と併
用して用いられるイオン性化合物は、有機スルホン酸ア
ルカリ金属塩、有機リン酸エステルアルカリ金属塩、有
機カルボン酸アルカリ金属塩、無機アルカリ金属塩、無
機アルカリ土類金属塩のような比較的低分子量の水溶性
化合物であるため耐水性に乏しく、従って、かかる方法
によって得られる制電性ポリエステル繊維においては、
ポリエステル繊維の風合改善のために一般に行なわれて
いるアルカリ減量処理を施した場合、その後に行なわれ
る染色工程でイオン化合物が容易に脱落して制電性が失
われるという欠点も有していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の有する問題点を克服し、アルカリ減量等に対する耐
久性に優れた高度な制電性を有し、かつ優れたカチオン
染料可染性を有する制電性ポリエステル繊維を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討した結果、ポリオキシアルキレ
ングリコールまたはその誘導体を含有せしめたポリエス
テル繊維に、ポリスチレンスルホン酸塩を配合すると
き、イオン性化合物の制電効果とカチオン染料可染性効
果の両方が発現することを究明した。
【0008】かくして本発明によれば、ポリオキシアル
キレングリコールまたはその誘導体が0.5〜10重量
%含有されてなるポリエステル繊維であって、該ポリエ
ステル繊維には、下記一般式で表されるくり返し単位を
主たる構成成分とするポリスチレンスルホン酸塩が0.
1〜10重量%含有されていることを特徴とする、カチ
オン染料可染性を有する制電性ポリエステル繊維が提供
される。
【0009】
【化3】
【0010】(ここで、Rは水素またはメチル基、Mは
アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは
ホスホニウムのいずれか1種である。) 以下、本発明の構成要件を詳述する。本発明で用いるポ
リエステルは、芳香環を重合体の連鎖単位に有する芳香
族ポリエステルであって、テレフタル酸を主たる酸成分
とし、エチレングリコール、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコールから選ばれる少なくとも1種
のアルキレングリコールをグリコール成分とするポリエ
ステルを主たる対象とする。
【0011】また、テレフタル酸の一部を他の二官能性
芳香族カルボン酸成分で置き換えたポリエステルであっ
てもよく、グリコール成分の一部を上記以外のグリコー
ルあるいは他のジオール成分で置き換えたポリエステル
であってもよい。
【0012】ここでいう二官能性芳香族カルボン酸とし
ては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸
等をあげることができる。これらの二官能性芳香族カル
ボン酸は2種以上併用してもよい。また、グリコールと
しては、脂肪族グリコール、脂環族グリコール、あるい
は芳香族ジオールおよびそれらの混合物等を好ましくあ
げることができる。
【0013】好ましい芳香族ポリエステルとしては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレートなどの他、ポリエチレン
イソフタレート・テレフタレートなどの共重合ポリエス
テルをあげることができる。なかでも、機械的性質、成
形性などのバランスの取れたポリエチレンテレフタレー
トおよびポリブチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0014】かかる芳香族ポリエステルは任意の方法に
よって合成される。例えばポリエチレンテレフタレート
について説明すれば、テレフタル酸とエチレングリコー
ルとを直接反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如き
テレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコ
ールとをエステル交換反応させるか、またはテレフタル
酸とエチレンオキサイドを反応させるかして、テレフタ
ル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体
を生成させる第1段階、次いでその生成物を減圧下で加
熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段
階の反応によって容易に製造される。
【0015】なお、前記ポリエステルには、ポリエステ
ル本来の物性を損なわない範囲で、他の熱可塑性ポリマ
ー、例えばナイロン6等のポリアミド類、ポリエチレ
ン、ポリスチレン等のポリオレフィンなどを含有せしめ
てもよい。
【0016】本発明においては、前記の芳香族ポリエス
テルに、該芳香族ポリエステルと実質的に非反応性のポ
リオキシアルキレングリコールまたはその誘導体を含有
させる。なお、ここでいう実質的に非反応性であると
は、ポリエステルと共重合しないことをいう。
【0017】かかるポリオキシアルキレングリコールま
たはその誘導体としては、従来熱可塑性樹脂に混合して
制電性を付与することが提案されているすべてのものを
使用することができ、例えば特公昭39−5214号公
報、特公昭57−4724号公報等に記載のものが例示
される。該ポリオキシアルキレングリコールまたはその
誘導体の平均分子量は、小さすぎるとポリエステル繊維
中で充分な長さの筋状分散形態をとり難く、逆に大きす
ぎるとポリエステル中での溶融混和性が悪化して分散が
不均一となり、制電性が不良となるので、末端に水酸基
を有するときには3000〜25000、末端が水酸基
でないときには3000〜16000であることが好ま
しい。
【0018】ポリオキシアルキレングリコールまたはそ
の誘導体としてより好ましいのは、下記一般式で表わさ
れ、平均分子量が5000〜16000である非ランダ
ム共重合型ポリオキシエチレン系ポリエーテルである。
該ポリオキシエチレン系ポリエーテルは水不溶性である
ために、アルカリ減量、染色、あるいは洗濯に対して優
れた耐久性を有する。
【0019】
【化4】
【0020】(式中、Zは1〜6個の活性水素を有する
分子量300以下の有機化合物残基、R1 は炭素原子数
6以上の未置換または置換アルキレン基、R2 は水素原
子、炭素数1〜40の一価の炭化水素または炭素原子数
2〜40の一価のアシル基、kは1〜6の整数、nはk
×nが70以上となる整数、mは1以上の整数を表わ
す) また、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体
を主体とするジカルボン酸成分と、1,4−ブタンジオ
ールあるいはそのエステル形成性誘導体を主体とする低
分子量グリコール成分および分子量が400〜400
0、好ましくは600〜3500のポリアルキレンオキ
シドグリコール成分との重縮合反応によって得られるポ
リエーテルエステルブロック共重合体などを用いること
もできる。
【0021】ポリオキシアルキレングリコールまたはそ
の誘導体の含有量は、芳香族ポリエステルに対して0.
5〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
0.5重量%未満では充分な制電性が得られないし、一
方10重量%より多くしても制電性向上の効果はみられ
ず、得られるポリエステル繊維の機械的性質あるいは耐
光性などの特性が損なわれる。
【0022】ポリオキシアルキレングリコールまたはそ
の誘導体は1種のみ単独で使用しても2種以上併用して
も良い。
【0023】本発明においては、前記ポリオキシアルキ
レングリコールまたはその誘導体に併用して、下記一般
式で表されるくり返し単位を主たる構成成分とするポリ
スチレンスルホン酸塩が0.1〜10重量%配合され
る。
【0024】
【化5】
【0025】(ここで、Rは水素またはメチル基、Mは
アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは
ホスホニウムのいずれか1種である。) 前記ポリスチレンスルホン酸塩は、例えばポリスチレン
をまずジクロルエタンまたは塩化メチレン等のハロゲン
系溶剤中でクロルスルホン等のスルホン化剤によってス
ルホン化するか、スチレンスルホン酸を水中で過硫酸ア
ンモニウムもしくは過酸化水素等の水溶性重合開始剤の
存在下で重合させてポリスチレンスルホン酸とする。そ
の後ポリスチレンスルホン酸を、水酸化ナトリウム、炭
酸カルシウム、アンモニア、エチレンジアミン等の無機
または有機の塩基で中和するか、あるいはポリスチレン
スルホン酸アルカリ金属塩にハロゲン化アミン類やホス
ホニウムハライド類を反応させることにより得られる。
【0026】前記ポリスチレンスルホン酸塩の分子量は
500〜100000、好ましくは2000〜5000
0である。分子量が500未満では、アルカリ減量、染
色あるいは洗濯の際に脱落が起こりやすく、耐久性が低
下する。一方、分子量が100000を越える場合には
ポリエステルとの相溶性が不良となり、充分な制電性が
発現しない。
【0027】かかるポリスチレンスルホン酸塩の配合量
は、芳香族ポリエステルに対して0.1〜10重量%で
ある。0.1重量%未満の場合には十分な制電性を付与
することができず、一方10重量%を越える場合には、
得られる繊維の機械的性質や白度が悪化する。
【0028】本発明においては、前記ポリオキシアルキ
レングリコールまたはその誘導体およびポリスチレンス
ルホン酸塩に併用して有機金属塩を配合することも好ま
しい。好ましく用いられる有機金属塩としては、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸、トリデシルベンゼンスルホン酸
などのスルホン酸と、ナトリウム、カリウム、リチウム
等のアルカリ金属とから形成されるスルホン酸のアルカ
リ金属塩、ジステアリルリン酸ナトリウムなどのリン酸
エステルのアルカリ金属塩、その他の有機カルボン酸の
アルカリ金属塩などを例示することができる。
【0029】また、下記一般式(A)で表されるスルホ
ン酸金属塩も好ましく例示することができ、中でも、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、平均の炭素原子
数が14であるアルキルスルホン酸ナトリウム混合物、
あるいは下記(B)、(C)式で示されるスルホン酸の
金属塩が良好である。
【0030】
【化6】
【0031】(式中、R’は一価の炭化水素基、R”は
炭素原子数2〜4のアルキレン基、aは1〜100の整
数、bは2〜4の整数、MはNa、K、Li等のアルカ
リ金属を示す。)
【0032】
【化7】
【0033】
【化8】
【0034】有機金属塩の配合量は芳香族ポリエステル
に対して0.1〜2重量%が好ましい。2重量%を越え
て多く配合すると得られる繊維の白度、染色性が不良と
なる。
【0035】上記制電剤を含有する芳香族ポリエステル
には、さらに、ヒンダードフェノール系、サルファイド
系、ホスファイト系の抗酸化剤やベンゾフェノン系、ベ
ンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤などを配合すること
ができる。例えば、抗酸化剤を配合した場合には、溶融
紡糸工程での滞留などに起因するポリエーテルエステル
ブロック共重合体の熱分解に伴う制電性の低下を抑制す
ることができる。これらの抗酸化剤や紫外線吸収剤は、
あらかじめポリエーテルエステルブロック共重合体に混
合しておくと、上記効果を高めることができるので好ま
しい。なお、上記抗酸化剤は、1種のみを単独で用いて
も2種以上を混合して使用してもよく、配合量は芳香族
ポリエステルに対して0.02〜1.0重量%が好まし
い。
【0036】上記制電剤を含有するポリエステルには、
その他必要に応じ、難燃剤、蛍光増白剤、酸化チタン等
の艶消し剤、着色剤、コロイダルシリカ、乾式法シリ
カ、コロイダルアルミナ、微粒子状アルミナ、炭酸カル
シウム、リン酸カルシウム等の不活性微粒子その他の任
意の添加剤を、ポリエステルの合成開始時から紡糸工程
までの任意の段階で、それぞれ別々にまたは予め混合し
て添加してもよい。
【0037】芳香族ポリエステルの極限粘度〔η〕は
0.55以上であることが好ましい。〔η〕が0.55
未満では、紡糸口金を出た後の伸長粘度が小さすぎるた
め、ポリエーテルエステルブロック共重合体中のアルキ
レンオキシド鎖がポリエステル繊維中で充分な長さの筋
状分散形態をとり難いために制電性能が不充分となった
り、また、熱により結晶化が起こりやすく、タフネスが
劣って脆くなる傾向があるため、耐摩耗性が不充分とな
る。
【0038】本発明の制電性ポリエステルは、前記ポリ
オキシアルキレングリコールまたはその誘導体およびポ
リスチレンスルホン酸塩、さらに必要に応じて有機金属
塩や抗酸化剤等を配合したポリエステルを、従来公知の
紡糸装置を用いて紡糸することにより製造できる。この
際、紡出糸のデニールには特に限定はないが、通常約
0.1deから数deまでが適当である。また、紡糸速
度も特に限定はなく、紡糸に引き続いて延伸、仮撚加工
を施してもよい。
【0039】例えば、500〜3500m/分の速度で
溶融紡糸し、延伸、熱処理する方法、1500〜500
0m/分の速度で溶融紡糸し、延伸、仮撚加工を同時に
または続いて行なう方法、5000m/分以上の高速で
溶融紡糸し、用途によっては延伸工程省略する方法など
を採用することができる。
【0040】本発明の制電性ポリエステル繊維の断面形
状は、得られる織編物の用途等に応じ、任意の形状とす
ることができ、円形の他、三角、偏平、星形、V形等が
例示できる。
【0041】得られた繊維またはこの繊維から製造され
た織編物には、適宜の親水化後加工を施してもよい。親
水化後加工としては、例えばテレフタル酸および/また
はイソフタル酸もしくはそれらの低級アルキルエステル
と低級アルキレングリコールおよびポリアルキレングリ
コールとからなるポリエーテルエステルブロック共重合
体の水分散液で処理する方法、あるいはアクリル酸、メ
タクリル酸等の親水性モノマーをグラフト重合し、その
後これをナトリウム塩化する方法等が好ましく採用でき
る。
【0042】
【作用】本発明の制電性ポリエステル繊維は、ポリオキ
シアルキレングリコールまたはその誘導体に加えて、特
定組成のポリスチレンスルホン酸塩を制電成分として含
むため、耐久性のある充分な制電性能を有している。そ
の理由の詳細については不明であるが、ポリオキシアル
キレン化合物がポリエステルマトリックス中で均一に分
散して充分な長さの筋状分散形態をとっている上、ポリ
スチレンスルホン酸塩がポリエステル中を移行し、ポリ
オキシアルキレン化合物のイオン伝導効果を高める働き
をしているためであろうと推定される。
【0043】上記作用は、有機金属塩をポリオキシアル
キレングリコールまたはその誘導体と併用し、ポリオキ
シアルキレングリコールまたはその誘導体のポリエステ
ル繊維マトリックス中への分散性を高めることにより増
大され、制電性能がさらに向上する。
【0044】また、ポリスチレンスルホン酸塩は水不溶
性であり、アルカリ減量、染色あるいは洗濯を行なって
も剤の脱落が起こりにくく、良好な耐久性を示す。
【0045】さらに、前述のように、ポリオキシアルキ
レン化合物をスルホイソフタル酸金属化合物共重合ポリ
エステルに配合した場合にはカチオン染料可染性が損な
われ、カチオン染料可染型の制電性ポリエステルが得ら
れないという欠点があったが、ポリスチレンスルホン酸
塩はカチオン染料と錯塩を形成するので、ポリエステル
繊維にカチオン染料可染性を付与することも可能とな
る。
【0046】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体
的に説明する。なお、実施例および比較例中の部および
%はそれぞれ重量部および重量%を示す。また、得られ
た制電性ポリエステル布帛の視感染色性、摩擦帯電圧は
以下の方法で測定した。
【0047】(1) 視感染色性 筒編地を常法により精練、プリセット(180℃×1
分)した後、Cathilon Blue CD−FR
LH/Cathilon Blue CD−FBLH
(保土ヶ谷化学製)=1/1、2%owfで芒硝3g/
lおよび酢酸0.3g/lを含む染浴中で120℃で6
0分間染色後、水酸化ナトリウム1g/lおよびハイド
ロサルファイト1g/lを含む水溶液にて70℃で20
分間還元洗浄し、さらに常法によりファイナルセット
(160℃×1分)を施して染色編地を得た。該編地の
L*値(明度指数)をマクベスMS−2020(Ins
trumental Color System Li
mited製)を用いて測定した。L*値が小さい程、
視感濃度が大きく、視感染色性が優れていることを示
す。
【0048】(2) 摩擦帯電圧 染色織物(L0と称する)ならびにJIS L−101
8−77 6.36 H法に準じて洗濯50回相当分
(L50と称する)洗濯した染色織物を、10±2℃お
よび20±2℃にて40±2%RHのデシケーター中に
一昼夜以上放置して調湿したものを試験片とし、10±
2℃および20±2℃、40±2%RHの雰囲気の部屋
で、ロータリースタティックテスターを用いて、JIS
L−1094 8.2 B法に従って摩擦帯電圧を測
定した。なお、摩擦帯電圧が1.5kV以下であれば制
電効果は充分と判断される。
【0049】
【実施例1】テレフタル酸ジメチル100部、エチレン
グリコール60部、酢酸カルシウム1水塩0.06部
(テレフタル酸ジメチルに対して0.066モル%)お
よび整色剤として酢酸コバルト4水塩0.009部(テ
レフタル酸ジメチルに対して0.007モル%)をエス
テル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて1
40℃から220℃まで昇温して生成するメタノールを
系外へ留去しながらエステル交換反応させた。
【0050】エステル交換反応終了後、安定剤としてリ
ン酸トリメチル0.058部(テレフタル酸ジメチルに
対して0.080モル%)および消泡剤としてジメチル
ポリシロキサン0.024部を加えた。次いで、10分
後、三酸化アンチモン0.04部(テレフタル酸ジメチ
ルに対して0.027モル%)を添加し、同時に過剰の
エチレングリコールを追い出しながら240℃まで昇温
した後、重合缶に移した。次いで、1時間かけて760
mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間30
分かけて240℃から285℃まで昇温した。
【0051】減圧開始2時間後に、下記式で表わされ
る、平均分子量7106の水不溶性ポリオキシエチレン
系ポリエーテル(P−1と称する)2重量部を溶融状態
で、およびスルホン酸化率99%、平均分子量2000
0のポリスチレンスルホン酸ナトリウム(S−1と称す
る)2重量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
(ABSと称する)0.5重量部を50%のエチレング
リコール溶液にして減圧下に添加した。
【0052】
【化9】
【0053】引き続き、攪拌下1mmHg以下の減圧下
で更に1時間重合した時点で酸化防止剤としてサイアノ
ックス1790(アメリカンサイアナミッド社製)0.
15部およびマークAO−412S(アデカ・アーガス
化学社製)0.15部を減圧下添加し、その後さらに2
0分間重合させて、得られたポリマーを常法によりチッ
プ化した。
【0054】得られた芳香族ポリエステルを、常法によ
り乾燥後スクリュー型押出機で溶融温度295℃で溶融
し、ギヤポンプを経て紡糸ヘッドに供給した。その後ケ
ーニクス社製の42エレメントスタティックミキサーで
混練し、ノズル径0.5φの紡糸孔を36個備えた紡糸
口金から吐出させ、油剤を付与したのち、3000m/
分の速度に設定された90℃の加熱ゴデッドローラーと
5100m/分の速度に設定された120℃の延伸加熱
ローラーを介して巻き取り、伸度38%、75de/3
6filの延伸糸を得た。
【0055】得られた延伸糸を筒編地および平織物とな
し、前記の方法により編地の視感染色性と織物の摩擦帯
電圧を測定した。結果を表1に示す。なお、表中のPA
G誘導体とはポリオキシアルキレングリコールまたはそ
の誘導体を表わす。
【0056】
【実施例2〜3】実施例1において、ポリスチレンスル
ホン酸ナトリウムとドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウムのポリエステルに対する添加量を表1に示す如く変
更した以外は実施例1と同様に実施した。結果を表1に
示す。
【0057】
【比較例1】実施例1において、テレフタル酸ジメチル
とともに5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを
全酸成分に対して2.6モル%加えてカチオン染料可染
性ポリエステルとし、ポリスチレンスルホン酸ナトリウ
ムを加えなかった以外は実施例1と同様に実施した。結
果を表1に示す。
【0058】
【実施例4〜5】実施例1において、ポリオキシエチレ
ン系ポリエーテルに代えて、平均分子量20000のポ
リエチレングリコール(P−2と称する)を用い、ポリ
エチレングリコールとポリスチレンスルホン酸ナトリウ
ムおよびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのポリ
エステルに対する添加量を表1に示す如く変更した以外
は実施例1と同様に実施した。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明の制電性ポリエステル繊維は、カ
チオン染料によって染色可能であるため、カチオン染料
特有の鮮明色が得られるとともに、耐久性のある充分な
制電性を有しており、しかもかかる優れたカチオン染料
可染性と制電性が、仮撚加工や強撚加工あるいはアルカ
リ減量、染色などの後加工処理、さらにはくり返し行わ
れる洗濯によって失われることがないという極めて有用
な効果を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D06P 3/52 F 9356−4H //(C08L 67/00 25:18 71:02)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸またはそのエステル形成性
    誘導体とグリコールまたはそのエステル形成性誘導体と
    の反応により得られるポリエステル繊維であって、該ポ
    リエステル繊維には、 (a) ポリオキシアルキレングリ
    コールまたはその誘導体がポリエステルマトリックスに
    対して0.5〜10重量%、 (b) 下記一般式で表され
    るくり返し単位を主たる構成成分とするポリスチレンス
    ルホン酸塩が0.1〜10重量%、含有されていること
    を特徴とするカチオン染料可染性を有する制電性ポリエ
    ステル繊維。 【化1】 (ここで、Rは水素またはメチル基、Mはアルカリ金
    属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはホスホニウ
    ムのいずれか1種である。)
  2. 【請求項2】ポリアルキレングリコール誘導体が、下記
    一般式で表わされ、平均分子量が5000〜16000
    の非ランダム共重合型ポリオキシエチレン系ポリエーテ
    ルである請求項1記載のカチオン染料可染性を有する制
    電性ポリエステル繊維。 【化2】 (式中、Zは1〜6個の活性水素を有する分子量300
    以下の有機化合物残基、R1 は炭素原子数6以上の未置
    換または置換アルキレン基、R2 は水素原子、炭素数1
    〜40の一価の炭化水素または炭素原子数2〜40の一
    価のアシル基、kは1〜6の整数、nはk×nが70以
    上となる整数、mは1以上の整数を表わす)
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GR1005443B (el) * 2005-09-27 2007-02-15 Αργω Αεβε Αντιμικροβιακες και βιοστατικες ιδιοτητες πολυμερικων μιγματων αλατων φωσφονιου σουλφονωμενου πολυστυρολιου με διαφορες πολυμερικες μητρες

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GR1005443B (el) * 2005-09-27 2007-02-15 Αργω Αεβε Αντιμικροβιακες και βιοστατικες ιδιοτητες πολυμερικων μιγματων αλατων φωσφονιου σουλφονωμενου πολυστυρολιου με διαφορες πολυμερικες μητρες

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