JP2001234116A - 高耐候性カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

高耐候性カチオン電着塗料組成物

Info

Publication number
JP2001234116A
JP2001234116A JP2000046086A JP2000046086A JP2001234116A JP 2001234116 A JP2001234116 A JP 2001234116A JP 2000046086 A JP2000046086 A JP 2000046086A JP 2000046086 A JP2000046086 A JP 2000046086A JP 2001234116 A JP2001234116 A JP 2001234116A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino group
epoxy resin
electrodeposition coating
cationic electrodeposition
acrylic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000046086A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Bessho
孝治 別所
Tsuyoshi Inoue
強 井上
Mitsuo Yamada
光夫 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP2000046086A priority Critical patent/JP2001234116A/ja
Publication of JP2001234116A publication Critical patent/JP2001234116A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】中塗りおよび上塗りを施さなくても、十分な耐
食性と耐候性とを有する塗膜を形成することができるカ
チオン電着塗料を提供する。 【解決方法】中和剤を含む水性媒体中に、アミノ基含有
エポキシ樹脂とアミノ基含有アクリル樹脂とブロックポ
リイソシアネート硬化剤とを分散してなるカチオン電着
塗料組成物において、上記アミノ基含有アクリル樹脂が
上記アミノ基含有エポキシ樹脂よりも0.85以上低い
SP値を有するものであり、かつ上記ブロックポリイソ
シアネート硬化剤が2種類のブロックポリイソシアネー
トAおよびBからなり、上記ブロックポリイソシアネー
トAと上記アミノ基含有アクリル樹脂とのSP値の差が
0.24以下であり、上記ブロックポリイソシアネート
Bと上記アミノ基含有エポキシ樹脂とのSP値の差が
0.6以下であるカチオン電着塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカチオン電着塗料組
成物に関し、特に耐候性および耐食性に優れたカチオン
電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】金属基材に対しては、通常、下塗り、中
塗り、および上塗りが施されている。これを素材の保護
という観点から見てみると、一般的には、耐食性につい
ては下塗り、耐候性については上塗りがその機能を果た
しており、この下塗りとしてカチオン電着塗装が用いら
れている。
【0003】一方、資源および労力の節約のため、塗装
工程の簡略化が求められている。この傾向は、特に外観
よりも耐候性および耐食性を重視する、建設業や運送業
に用いられる機器への塗装について高い。このような分
野では、必要とする機能を有する塗膜が1回の塗装で得
られることが期待されている。
【0004】このような要求に対して、特開昭62−1
74277号公報、特開昭63−51470号公報、お
よび特開平2−160876号公報等には、エポキシ樹
脂とアクリル樹脂とをブレンドしたカチオン電着塗料組
成物が開示されている。これらによれば、金属基材側に
耐食性の優れたエポキシ樹脂層が、塗膜表面側に耐候性
の優れたアクリル樹脂層がそれぞれ形成され、1回の塗
装で耐食性と耐候性を有する電着塗膜が得られる、いわ
ゆる1コート電着塗装が可能となる。しかしながら、こ
れらカチオン電着塗料組成物の耐食性および耐候性のレ
ベルは充分なものではなく、特に、金属基材としてリン
酸鉄処理された黒皮鋼板に電着塗装した場合には、塗膜
の硬化不足のため、十分な耐食性と耐候性とを兼ね備え
ることが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、中塗
りおよび上塗りを施さなくても、十分な耐食性と耐候性
とを有する塗膜を形成することができるカチオン電着塗
料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のカチオン電着塗
料組成物は、中和剤を含む水性媒体中に、アミノ基含有
エポキシ樹脂とアミノ基含有アクリル樹脂とブロックポ
リイソシアネート硬化剤とを分散してなるカチオン電着
塗料組成物において、上記アミノ基含有アクリル樹脂が
上記アミノ基含有エポキシ樹脂よりも0.85以上低い
SP値を有するものであり、かつ上記ブロックポリイソ
シアネート硬化剤が2種類のブロックポリイソシアネー
トAおよびBからなり、上記ブロックポリイソシアネー
トAと上記アミノ基含有アクリル樹脂とのSP値の差が
0.24以下であり、上記ブロックポリイソシアネート
Bと上記アミノ基含有エポキシ樹脂とのSP値の差が
0.6以下であることを特徴とするものである。
【0007】更に本発明のカチオン電着塗料組成物で
は、上記ブロックポリイソシアネートAが、4,4’―
メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)をブロ
ック剤でブロックしたものであることが好ましい。
【0008】更に好ましくは、上記ブロックポリイソシ
アネートAのブロック剤が下記の式で示されるグリコー
ルモノエーテルである。 R1−(OR2n−OH (ここで、R1は、炭素数4以上10以下のアルキル基
であり、R2はエチレン基、又はプロピレン基であり、
nは1または2である。)
【0009】一方、上記ブロックポリイソシアネートB
が、脂環族系ポリイソシアネートをブロック剤でブロッ
クしたものであることが好ましい。
【0010】また、上記アミノ基含有アクリル樹脂と前
記ブロックポリイソシアネートAとの重量比が50/5
0〜90/10であり、上記アミノ基含有エポキシ樹脂
と上記ブロックポリイソシアネートBとの重量比が50
/50〜90/10であり、上記アミノ基含有アクリル
樹脂と上記アミノ基含有エポキシ樹脂との重量比が20
/80〜80/20であることが好ましい。
【0011】一方、本発明の電着塗膜を形成する方法
は、上記カチオン電着塗料組成物を、金属基材表面に塗
装し、電着塗膜を形成する方法である。
【0012】更に、上記金属基材が黒皮鋼板であること
が好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のカチオン電着塗料組成物
は、中和剤を含む水性媒体中にアミノ基含有エポキシ樹
脂とアミノ基含有アクリル樹脂とブロックポリイソシア
ネート硬化剤とを分散したものである。
【0014】ここで上記のアミノ基含有エポキシ樹脂と
しては、一般的なカチオン電着塗料に使用される公知の
樹脂であり、特公昭55−34238号公報、同56−
34186号公報、同59−15929号公報に、その
詳細内容が記載されている。そのアミン基含有エポキシ
樹脂の分子量としては600〜8000であり、アミン
価としては16〜230であり、エポキシ当量としては
300〜4000であるものが、一般的に用いられてい
る。
【0015】典型的なものとして、ビスフェノール型エ
ポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し
得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキ
シ環を他の活性水素で開環し、残りのエポキシ環をカチ
オン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造さ
れる。
【0016】上記のビスフェノール型エポキシ樹脂の典
型例は、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型
エポキシ樹脂である。前者の市販品としては、エピコー
ト828(油化シェルエポキシ社製 エポキシ当量18
0〜190)、エピコート1001(同、エポキシ当量
450〜500)、エピコート1010(同、エポキシ
当量3000〜4000)などがあり、後者の市販品と
しては、エピコート807、(同、エポキシ当量17
0)などがある。
【0017】上記カチオン性基を導入し得る活性水素化
合物としては、1級アミン、2級アミンがある。その例
としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルア
ミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタ
ノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノ
ールアミンなどのほか、アミノエチルエタノールアミン
のケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの
1級アミンをブロックした2級アミンがある。このアミ
ン類は複数のものを併用してもよい。
【0018】上記エポキシ環を開環するために使用し得
る他の活性水素化合物としては、フェノール、クレゾー
ル、ノニルフェノール、ニトロフェノールなどのモノフ
ェノール類;ヘキシルアルコール、2−エチルヘキサノ
ール、ステアリルアルコール、エチレングリコールまた
はプロピレングリコールのモノブチルーまたはモノヘキ
シルエーテルなどのモノアルコール類;ステアリン酸お
よびオクチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;グリコー
ル酸、ジメチロールプロピオン酸、ヒドロキシピバリン
酸、乳酸、クエン酸などの脂肪族ヒドロキシカルボン
酸;およびメルカプトエタノールなどのメルカプトアル
カノールが挙げられる。
【0019】また、上記アミノ基含有エポキシ樹脂とし
ては、特開平5−306327号公報、特開平6−32
9755号公報、特開平7−33848号公報に開示さ
れているような、オキサゾリドン環を樹脂骨格中に含ん
でいるエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0020】そこで、上記のオキサゾリドン環を含有す
るアミノ基含有エポキシ樹脂について、さらに詳しく説
明する。
【0021】二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブ
ロックしたジイソシアネート化合物すなわちビスウレタ
ンを反応させるとオキサゾリドン環を含有する鎖延長さ
れたエポキシ樹脂が得られることは公知である。このエ
ポキシ樹脂のエポキシ環をアミンによって開環して得ら
れるアミノ基含有エポキシ樹脂はその一例である。ま
た、上記特開平7−33848号公報に開示されている
方法により、ジイソアイアネート化合物の一方のイソシ
アネート基をモノアルコールで可逆的にブロックし、他
方のイソシアネート基はヒドロキシル基含有化合物で非
可逆的にブロックした非対称ビスウレタン化合物を二官
能エポキシ樹脂に反応させると、オキサゾリドン環を含
有する変性エポキシ樹脂が得られる。このようにして得
られる変性エポキシ樹脂のエポキシ環を、アミン等のカ
チオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環すると、
カチオン性のアミノ基含有エポキシ樹脂が得られる。
【0022】一方、本発明で用いるアミノ基含有アクリ
ル樹脂は、アミノ基含有アクリルモノマー、水酸基含有
アクリルモノマーおよびその他のエチレン性不飽和モノ
マーの共重合によって得られる。さらにアミノ基含有ア
クリルモノマーの代わりにエポキシ基含有アクリルモノ
マーを水酸基含有アクリルモノマーおよびその他のエチ
レン性不飽和モノマーと共重合し、得られた共重合体の
エポキシ基をアミンで開環することにより得ることもで
きる。
【0023】上記アミノ基含有モノマーの例としては、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレ
ート等を挙げることができる。
【0024】上記水酸基含有アクリルモノマーの例は、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシ
ヘキシル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ
(メタ)アクリレート等のようなアルキレンジオールの
モノ(メタ)アクリレート類が好ましい。
【0025】また、N−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル
アミド等のような(メタ)アクリルアミド類も好まし
く、更にヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート
とε−カプロラクトンとの反応生成物またはヒドロキシ
アルキルモノ(メタ)アクリレートと六員環カーボネー
トとの反応生成物も、上記の水酸基含有アクリルモノマ
ーとして好適に使用できる。
【0026】上記のその他のエチレン性不飽和モノマー
の例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イ
ソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)
アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シク
ロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレー
ト、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、
(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、
酢酸ビニルなどである。
【0027】アミノ基含有アクリル樹脂を調製するため
の別法として、水酸基を有するアクリルモノマーおよび
その他のエチレン性不飽和モノマーと、グリシジル(メ
タ)アクリレートのようなエポキシ基を含有するモノマ
ーとを共重合させた後、エポキシ基に2級アミンを反応
させてもよい。エポキシ基との反応に使用し得る2級ア
ミンは、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘ
キシルアミン、モルホリン、ジエタノールアミン、N−
メチルエタノールアミン等であり、特に分子内にヒドロ
キシル基と2級アミノ基とを有するアミンが好ましい。
また、ジエチレンアミンのメチルイソブチルケトンジケ
チミン化物や2−(2−アミノエチルアミノ)エタノー
ルのメチルイソブチルケトンモノケチミン化物等も使用
できる。
【0028】重合は溶液重合法のような常法により行う
ことができる。共重合体の数平均分子量は、1000〜
50000、好ましくは2000〜20000の範囲で
あり、場合によりドデシルメルカプタンやチオグリコー
ル酸2−エチルヘキシルのような連鎖移動剤を使用して
重合度を調整する。
【0029】このようにして得られるアミノ基含有アク
リル樹脂の水酸基に対して、ハーフブロックジイソシア
ネートをウレタン結合により付加し、このようにしてし
て上記アクリル樹脂にブロックイソシアネート基を導入
することにより、自己硬化性を持たせても良い。その場
合、ジイソシアネートは、イソホロンジイソシアネート
(IPDI)、4,4’―メチレンビス(シクロヘキシ
ルイソシアネート)(水添MDI)、ノルボルナンジイ
ソシアネート(NBDI)のような脂環族ジイソシアネ
ートを使用するのが好ましい。
【0030】このようなハーフブロックジイソシアネー
トは、ジイソシアネートの一方のイソシアネート基をブ
ロックすることにより得られるが、このブロック化に
は、公知のブロック剤を用いる。ブロック剤の例は、n
−ブタノール、2−エチルヘキサノール、エチレングリ
コールモノブチルエーテル、シクロヘキサノール等のア
ルコール類;フェノール、ニトロフェノール、クレゾー
ル、ノニルフェノール等のフェノール類;ジメチルケト
オキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチ
ルケトオキシム等のオキシム類、ε―カプロラクタム等
のラクタム類などを使用できる。
【0031】上記アミノ基含有アクリル樹脂は、上記ア
ミノ基含有エポキシ樹脂より、そのSP値が0.85以
上低いことが必要であり、0.65〜2.0程度低けれ
ば、より好ましい。
【0032】このように、アミノ基含有エポキシ樹脂
と、そのアミノ基含有エポキシ樹脂よりSP値が0.8
5以上低いアミノ基含有アクリル樹脂とを併用すれば、
本発明の電着塗料組成物は、電着後焼付時にアミノ基含
有エポキシ樹脂が金属基材側に移行して防食性の層を形
成し、アミノ基含有アクリル樹脂が塗膜表面側に移行し
て耐候性の層を形成すると考えられ、その結果、その上
に上塗り塗装をしなくとも、防食性及び耐候性が優れた
塗膜を与えることになる。
【0033】ここで、説明したアクリル樹脂のSP値
は、通常、構成モノマーのホモポリマーのSP値と、モ
ノマー混合物中の各構成モノマーの重量分率に基づいて
計算によって推定することができるので、アミノ基含有
エポキシ樹脂のSP値を周知の方法により、実測で知る
ことができれば、所望のSP値を有するアミノ基含有ア
クリル樹脂を設計することが可能である。
【0034】上記SP値とは、溶解度パラメーターを言
い、文献(SUH,CLARKE,J.P.S.A−
1,5,1671〜1681(1967)には詳細に記
載されており、その測定方法は、濁度法など当業者にと
って周知の方法である。
【0035】本発明のカチオン電着塗料組成物に含まれ
る、ブロックポリイソシアネート硬化剤としては、2種
類のブロックポリイソシアネートA及びBからなるもの
であり、、上記ブロックポリイソシアネートAと上記ア
ミノ基含有アクリル樹脂とのSP値の差が0.24以下
であり、かつ上記ブロックポリイソシアネートBと上記
アミノ基含有エポキシ樹脂とのSP値の差が0.6以下
である必要がある。
【0036】上記の如く、所定のSP値に設定すること
により、ブロックポリイソシアネートAは塗膜表面側に
移行して、上記アミノ基含有アクリル樹脂の架橋剤とし
て働き、耐候性を有する硬化膜の層を形成することにな
る。これは、上記ブロックポリイソシアネートAが、上
記アミノ基含有アクリル樹脂と相溶性がよいため、その
アクリル樹脂と共に、塗膜表面に移行するためであると
考えられる。
【0037】一方、上記ブロックポリイソシアネートB
は、上述のSP値に設定することにより、上記アミノ基
含有エポキシ樹脂との相溶性が良好となるため、上記ア
ミノ基含有エポキシ樹脂とともに金属基材側に移行する
ことになり、その結果金属基材側にて、上記アミノ基含
有エポキシ樹脂の架橋剤として働き、耐食性を有する硬
化膜の層を形成することになる。
【0038】ここで、上記ブロックポリイソシアネート
Aと上記アミノ基含有アクリル樹脂とのSPの差が0.
24を超えると、上記ブロックポリイソシアネートA
を、十分に塗膜表面側に移行させることができず、その
ため上記アミノ基含有アクリル樹脂が十分に硬化するこ
とができず、耐候性を有する塗膜を得ることができな
い。また、そのSP値の差は、0.24以下であればよ
く、上記ブロックポリイソシアネートAが上記アミノ基
含有アクリル樹脂のSPの値よりも大きくても、小さく
ても、かまわない。
【0039】一方、上記ブロックポリイソシアネートB
と上記カチオン性アミノ含有エポキシ樹脂とのSPの差
が、0.6を超えると、上記ブロックポリイソシアネー
トBを上記アミノ基含有エポキシ樹脂とともに金属基材
の側に十分に移行させることができず、このため、架橋
反応が不充分となり、耐食性を有する硬化膜を得ること
ができなくなる。また、そのSP値の差は、0.6以下
であればよく、上記ブロックポリイソシアネートBが上
記アミノ基含有エポキシ樹脂のSPの値よりも大きくて
も、小さくても、かまわない。
【0040】上記ブロックポリイソシアネートAは、上
記のSP値に設定されたものであれば、特に制限され
ず、カチオン電着塗料において通常用いられている周知
のブロックイソシアネートである。ブロックポリイソシ
アネートのSP値は、ブロックされる前のポリイソシア
ネート及びブロック剤の種類によって変動するので、上
記で述べた特定のSP値になるように、このポリイソシ
アネート及びブロック剤を、適当に選択すれば良い。
【0041】上記ポリイソシアネートとしては、このカ
チオン電着分野で一般的に使用されているものであり、
上記のSP値を満たすものであれば特に制限はなく、例
えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’
―ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシ
リレンジイソシアネート(XDI)などの芳香族ジイソ
シアネート化合物;4,4’−メチレンビス(シクロヘ
キシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート
(IPDI)、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシ
アナートメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン(ノ
ボルナンジイソシアネート、NBDI)など脂環族ジイ
ソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート
(HMDI)などの脂肪族ジイソシアネート化合物また
はこれらジイソシアネート化合物の二量体、三量体およ
びトリメチロールプロパン付加物などのポリイソシアネ
ート化合物などが挙げられる。形成された電着塗膜の耐
候性の点からは、上記ポリイソシアネートの中でも、脂
環族系もしくは脂肪族系のポリイソシアネートが好まし
い。その中でも特に、硬化性と得られる塗膜の硬度の点
から、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシ
アネート)が好ましく、これを用いることにより、上記
ブロックポリイソシアネートAのSP値を、上記の所定
の範囲に容易に設定することができる。
【0042】上記のブロック剤としては、イソシアネー
ト基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加
熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものであ
り、具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノー
ル、クロロフェノールおよびエチルフェノールなどのフ
ェノール系ブロック剤;ε−カプロラクタム、δ−バレ
ロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラ
クタムなどのラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチル
およびアセチルアセトンなどの活性メチレン系ブロック
剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリ
コールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、グリ
コール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアル
コール、乳酸メチルおよび乳酸エチルなどのアルコール
系ブロック剤;ホルムアルドキシム、アセトアルドキシ
ム、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセ
チルモノオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキ
シム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメル
カプタン、t−ブチルメルカプタン、チオフェノール、
メチルチオフェノール、エチルチオフェノールなどのメ
ルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミドな
どの酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミドおよびマレ
イン酸イミドなどのイミド系ブロック剤;イミダゾー
ル、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール系ブロ
ック剤;などを挙げることができる。
【0043】上記ブロックポリイソシアネートAが、前
述の如く、ポリイソシアネートとしては4,4’−メチ
レンビス(シクロヘキシルイソシアネート)を用い、か
つ、上記で述べたSP値の範囲に設定するためには、下
記の式で示されるグリコールモノエーテルをブロック剤
として使用すればよい。 R1−(OR2n−OH (ここで、R1は、炭素数4以上10以下のアルキル基
であり、R2はエチレン基、又はプロピレン基であり、
nは1または2である。)
【0044】上記グリコールエーテルの具体例として、
ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、2−エチルヘ
キシルセロソルブ、プロピレングリコールモノブチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、
プロピレングリコール−2−エチルヘキシルエーテル、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコー
ル−2−エチルヘキシルエーテル等を挙げることができ
るが、中でも、上記で列挙したブロックポリイソシアネ
ートの大部分のものについて、そのいずれのもを使用し
ても、上記で述べたSP値の範囲に容易に設定すること
ができる点から、2−エチルヘキシルセロソルブが好ま
しい。上記グリコールモノエーテルは、ブロック剤とし
て単独で用いても良く、他の異なる上記で列挙したブロ
ック剤と併用してもよい。例えば上記のラクタム系ブロ
ック剤、オキシム系ブロック剤と併用することにより、
低温硬化性が得られる。但し、その使用量としては、ブ
ロックポリイソシアネートAのSP値が上記範囲内であ
れば構わないが、通常、ブロックポリイソシアネートA
の全ブロック剤重量の半分まで使用することが好まし
い。
【0045】上記ブロックポリイソシアネートBとして
は、上記で述べたSP値の範囲に設定されているもので
あれば、特に制限はされず、カチオン電着塗料において
通常用いられている周知のブロックイソシアネートを用
いることができる。その具体例は、上記ブロックポリイ
ソシアネートAの場合と同様のブロックイソシアネート
であり、上記で述べたSP値の範囲に設定されるよう
に、適宜イソシアネート及びブロック剤を選択すれば良
い。
【0046】上記ブロックポリイソシアネートBに使用
するイソシアネートとしては、形成された電着塗膜の耐
候性の点からは、イソホロンジイソシアネート(IPD
I)、4,4’―メチレンビス(シクロヘキシルイソシ
アネート)(水添MDI)、ノルボルナンジイソシアネ
ート(NBDI)のような脂環族系のポリイソシアネー
トが好ましい。また、そのブロックポリイソシアネート
Bに使用するブロック剤としては、低温硬化性が要求さ
れる場合は、オキシム系ブロック剤又はラクタム系ブロ
ック剤が好ましい。
【0047】本発明のカチオン電着塗料組成物は、上記
アミノ基含有アクリル樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂
及び2種類のブロックポリイソシアネートを中和剤を含
む水性媒体中に分散させることによって得られる。
【0048】その配合量としては、上記アミノ基含有ア
クリル樹脂と上記ブロックポリイソシアネートAとの重
量比が、50/50〜90/10であり、上記アミノ基
含有エポキシ樹脂と上記ブロックポリイソシアネートB
との重量比が、50/50〜90/10であることが好
ましい。上記の範囲外では、上記アミノ基含有アクリル
樹脂と上記アミノ基含有エポキシ樹脂とが、各々塗膜表
面側、金属基材側へ移行した後、得られる各層での硬化
塗膜が十分に硬化せず、この結果、耐候性および耐食性
の優れた電着塗膜を得ることができない恐れがある。
【0049】上記の2種類のブロックポリイソシアネー
トを、上記の配合比率で配合する場合、さらに上記アミ
ノ基含有アクリル樹脂と上記アミノ基含有エポキシ樹脂
との配合重量比は20/80〜80/20であることが
好ましい。20/80未満であると耐候性が十分に得ら
れず、80/20以上であると耐食性が十分に得られな
いおそれがある。
【0050】上記中和剤としては、例えば、塩酸、硝
酸、燐酸、蟻酸、酢酸、乳酸のような無機酸または有機
酸などであり、その使用量は、これらの成分が水に分散
できる程度であれば十分である。
【0051】本発明のカチオン電着塗料組成物は、上記
のアミノ基含有エポキシ樹脂、アミノ基含有アクリル樹
脂、2種類のブロックポリイソシアネートおよび中和剤
以外に、顔料分散ペーストを含有する。この顔料分散ペ
ーストは、電着塗料に通常用いられるもであり、顔料を
顔料分散用樹脂と共に水性媒体中に分散させて調整され
る。
【0052】上記顔料は、通常用いられる顔料であれば
特に制限はなく、例えばチタンホワイト、カーボンブラ
ックおよびベンガラのような着色顔料、カオリン、タル
ク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、マイカ、クレーおよびシリカのような体質顔料、リ
ン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カル
シウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリ
ポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデ
ン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウムおよびリン
モリブデン酸アルミニウムのような防錆顔料等が挙げら
れる。特に本発明のカチオン電着塗料は、中塗り及び上
塗りの塗装を施さない用途に用いられるため、種々の黒
色顔料が用いられる。その具体例としては、上記顔料の
内の、カーボンブラック、黒色酸化鉄、銅クロムブラッ
ク、銅鉄マンガンブラック等が好ましく用いられる。
【0053】上記顔料分散樹脂としては、一般にカチオ
ン性またはノニオン性の低分子量界面活性剤や4級アン
モニウム基および/又は3級スルホニウム基を有する変
性エポキシ樹脂等などを用いることができる。
【0054】また、上記顔料分散ペーストは、上記顔料
がカチオン電着塗料中の全樹脂固形分重量に対し、10
〜25%好ましくは、15〜20%となるように配合さ
れる。
【0055】上記顔料分散ペーストは、上記顔料分散用
樹脂および顔料を所定量混合した後、その混合物中の顔
料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルや
サンドグラインドミル等の通常の分散装置を用いて分散
させることにより得ることができる。
【0056】本発明のカチオン電着塗料組成物の調製
は、例えば以下のようにして行われる。すなわち、ま
ず、あらかじめ上記アミノ基含有アクリル樹脂とブロッ
クポリイソシアネートAとを、所定量配合して均一に混
合した後、その混合物を、中和剤を含む水性媒体中に分
散させて、アミノ基含有アクリル樹脂とブロックポリイ
ソシアネートAとの混合物のエマルション(以下アクリ
ルエマルションという)を得る。一方、これらとは別
に、上記アミノ基含有エポキシ樹脂とブロックポリイソ
シアネートBとを、同様の方法により混合してエマルシ
ョン(以下エポキシエマルションという)にする。次
に、上記で得られた、アクリルエマルション、エポキシ
エマルション及び上記顔料分散ペースト、更にイオン交
換水を所定量配合して混合し、本発明のカチオン電着塗
料を得る。
【0057】但し、上記アミノ基含有アクリル樹脂、上
記アミノ基含有エポキシ樹脂、上記ブロックポリイソシ
アネートAおよびBのエマルション製造方法は、上記の
ような方法に限定されることはなく、例えば、上記の4
成分を別々にエマルション化してもよいし、4成分すべ
てを混合した後エマルション化してもよい。
【0058】本発明のカチオン電着塗料組成物は、ジラ
ウリン酸ジブチルスズ、ジブチルスズオキサイドのよう
なスズ化合物や、それら以外の通常のウレタン開裂触媒
を含むことができる。その添加量は、カチオン電着塗料
中の全樹脂固形分重量に対し、0.1〜5.0重量%で
あることが好ましい。
【0059】また、本発明のカチオン電着塗料は、水混
和性有機溶剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤
等の常用の塗料用添加剤を含むことができる。
【0060】このようにして得られたカチオン電着塗料
は、金属基材の表面に電着塗装される。このように、上
記電着塗料が電着塗装されると、上記金属基材側に耐食
性の優れたエポキシ層が、塗膜表面側には耐候性の優れ
たアクリル樹脂層が形成され、1回のみの塗装で、耐食
性と耐候性を有する電着塗膜が得られる、いわゆる1コ
ート電着塗装が可能となる。即ち、本発明のカチオン電
着塗料組成物を用いて得られる電着塗膜は、耐食性と耐
候性の両方とも優れていることから、本発明のカチオン
電着塗料は、中塗り工程及び上塗り工程を省略して、1
回の塗装のみで金属基材の塗装を完成させる、いわゆる
1コート塗装方法に適用することができる。
【0061】本発明のカチオン電着塗料は、黒皮鋼板の
基材表面に電着塗装された場合にあっても、十分に耐食
性と耐候性の優れた塗膜を得ることができる。
【0062】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中
「%」及び「部」は、特に断らないかぎり重量基準であ
る。
【0063】製造例1 顔料分散ペーストの調製 攪拌機、冷却管、窒素注入管、温度計及び滴下ロートを
取りつけたフラスコを用意した。このフラスコにイソホ
ロンジイソシアネート222.0部を加え、メチルイソ
ブチルケトン39.1部で希釈した後ジブチルスズラウ
レート0.2部を加えた。50℃に昇温後、2−エチル
ヘキサノール131.5部を窒素をバブリングしながら
攪拌しているところに滴下ロートから2時間かけて滴下
した。適宜冷却することにより、この間の反応温度を5
0℃に維持した。その結果、2−エチルヘキサノールハ
ーフブロック化イソホロンジイソシアネートを得た。
(固形分90%)
【0064】攪拌機、冷却管、窒素注入管を備えた反応
容器にエポン828(シェル化学社製エポキシ樹脂、エ
ポキシ当量190)351.6部及びビスフェノールA
99.2部を仕込み、窒素雰囲気下130℃まで加熱
し、ベンジルジメチルアミン1.41部を添加し、17
0℃で約1時間反応させることにより、エポキシ当量4
50のビスフェノールA型エポキシ樹脂を得た。
【0065】次いで、反応溶液を140℃まで冷却した
後、上記で調整した2−エチルヘキサノールハーフブロ
ック化イソホロンジイソシアネート218.3部(固形
分196.5部)を加え、140℃に1時間保った。こ
こにジプロピレングリコールモノブチルエーテル17
2.3部を加えて希釈し、反応溶液を100℃に冷却
し、SHP−100(1−(2−ヒドロキシエチルチ
オ)−2−プロパノール、三洋化成社製)408.0部
(固形分136.0部)、ジメチロールプロピオン酸1
34.0部及び脱イオン水144.0部を加え、70〜
75℃で酸価3.0以下になるまで反応させた。この反
応により、3級スルホニウム化率70.6%の3級オニ
ウム基含有エポキシ樹脂を得た。これをジプロピレング
リコールモノブチルエーテル324.8部及びイオン交
換水1204.8部で希釈し、エポキシ系3級オニウム
塩型顔料分散用樹脂を得た。(樹脂固形分30%)
【0066】得られたエポキシ系3級オニウム塩型顔料
分散用樹脂(樹脂固形分30%)180部、MA−10
0(カーボンブラック、三菱化成社製)9部、硫酸バリ
ウムB−30(堺化学工業社製)76部、KFボウセイ
PM−303W(リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛系
無機顔料、キクチカラー社製)15部、ジブチルスズオ
キサイド8部およびイオン交換水36部を混合し、サン
ドグラインドミルで粒度10μm以下まで粉砕して顔料
分散ペーストを調製した。
【0067】製造例2 アミノ基含有エポキシ樹脂の調製 攪拌機、冷却管、窒素注入管、温度計を備えた反応容器
にエポキシ当量が950のエポトートYD―014(ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂、東都化成社製)950
部を入れ、メチルイソブチルケトン237.5部と共に
100℃に加熱し完全に溶解させた。次いで、N−メチ
ルエタノールアミン60部、ジエチレントリアミンのメ
チルイソブチルケチミン73%メチルイソブチルケトン
溶液73部を添加した。この混合物を120℃で1時間
保温し、SP値11.4のアミノ基含有エポキシ樹脂の
溶液を得た。
【0068】製造例3 アミノ基含有アクリル樹脂の調製 還流冷却機、攪拌機、滴下ロート及び窒素注入管を備え
たフラスコに、メチルイソブチルケトン49部を仕込
み、窒素雰囲気下115℃に加熱保持した。これにヒド
ロキシエチルメタアクリレート25.52部、ジメチル
アミノエチルメタアクリレート20.00部、2−エチ
ルヘキシルメタアクリレート53.65部、n−ブチル
メタアクリレート0.84部及びt−ブチルパーオクト
エート5部の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了
後3時間さらに115℃で反応後、冷却し、SP値1
0.08のアミノ基含有アクリル樹脂を得た。
【0069】製造例4 ブロックポリイソシアネートAの調製(1) 攪拌機、冷却管、窒素注入管及び温度計を備えた反応容
器に4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシア
ネート)131部を入れ、メチルイソブチルケトン3
3.6部を加えて希釈した後、ジブチルスズジラウレー
ト0.2部を加えた。その後50℃に昇温し、2−エチ
ルヘキシルセロソルブ174部を樹脂温度が80℃を超
えないように加えた。赤外線吸収スペクトルによりイソ
シアネート基の吸収が実質上消滅するまで70℃で1時
間保持し、その後、メチルイソブチルケトン38.9部
を加えて希釈してブロックポリイソシアネートAの溶液
(1)を得た。このブロックポリイソシアネートAのS
P値は9.88であった。
【0070】製造例5 ブロックポリイソシアネートAの調製(2) 攪拌機、冷却管、窒素注入管及び温度計を備えた反応容
器に4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシア
ネート)131部を入れ、メチルイソブチルケトン3
1.9部を加えて希釈した後、ジブチルスズジラウレー
ト0.2部を加えた。その後50℃に昇温し、ε−カプ
ロラクタム28.3部および2−エチルヘキシルセロソ
ルブ130.5部を樹脂温度が70℃を超えないように
加えた。赤外線吸収スペクトルによりイソシアネート基
の吸収が実質上消滅するまで70℃で1時間保持し、そ
の後、メチルイソブチルケトン36.7部を加えて希釈
してブロックポリイソシアネートAの溶液(2)を得
た。このブロックポリイソシアネートAのSP値は1
0.19であった。
【0071】製造例6 ブロックポリイソシアネートBの調製 攪拌機、冷却管、窒素注入管及び温度計を備えた反応容
器にイソホロンジイソシアネート222部を入れ、メチ
ルイソブチルケトン56部を加えて希釈した後、ジブチ
ルスズジラウレート0.2部を加えた。その後50℃に
昇温し、メチルエチルケトオキシム174部を樹脂温度
が70℃を超えないように加えた。赤外線吸収スペクト
ルによりイソシアネート基の吸収が実質上消滅するまで
70℃で1時間保持し、その後、メチルイソブチルケト
ン41部とブチルセロソルブ1.5部とを加えて希釈し
てブロックポリイソシアネートBの溶液を得た。このブ
ロックポリイソシアネートBのSP値は12.0であっ
た。
【0072】製造例7 ブロックポリイソシアネートCの調製 攪拌機、冷却機、窒素注入管及び温度計を備えた反応容
器に、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体1
99.1部を入れ、メチルイソブチルケトン31.6部
を加えて希釈した後、ジブチルスズジラウレート0.2
部を加えた。その後40℃に昇温しメチルエチルケトオ
キシム87.0部を樹脂温度が70℃を超えないように
加えた。赤外線スペクトルによりイソシアネート基の吸
収が実質上消滅するまで、70℃で1時間保持し、その
後メチルイソブチルケトン38.7部、ブチルセロソル
ブ1.1部を加えて希釈して、ブロックイソシアネート
Cの溶液を得た。このブロックイソシアネートCのSP
値は、11.3であった。
【0073】実施例1 製造例2で調製されたアミノ基含有エポキシ樹脂の溶液
33.7部と製造例6のブロックポリイソシアネートB
の溶液7.2部とを仕込んで混合し、窒素雰囲気下60
℃で30分間保持し、酢酸0.8部を加えて十分攪拌し
ながらイオン交換水47.4部を徐々に加えてアミノ基
含有エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネートBとを
含むエマルションを得た。(固形分36%)
【0074】これとは別に、製造例3で調製されたアミ
ノ基含有アクリル樹脂の溶液112部と製造例4で調製
されたブロックポリイソシアネートAの溶液(1)41
部とを仕込んで混合し、窒素雰囲気下60℃で30分間
保持し、酢酸2部を加えて十分攪拌しながらイオン交換
水235部を徐々に加えて、アミノ基含有アクリル樹脂
とブロックポリイソシアネートAとを含むエマルション
を得た。(固形分28%)
【0075】上記で得られた、アミノ基含有エポキシ樹
脂とブロックポリイソシアネートBとを含むエマルショ
ンを346部、アミノ基含有アクリル樹脂とブロックポ
リイソシアネートAとを含むエマルションを520部及
び製造例1で調製した顔料ペースト180部とを混合
し、得られた混合物にイオン交換水を加えて固形分20
%のカチオン電着塗料組成物を得た。
【0076】上記で得られたカチオン電着塗料組成物を
用いて、リン酸鉄処理のされた黒皮鋼板に電着塗装を施
し、160℃で10分焼付を行い膜厚20μmの硬化塗
膜を得た。この得られた硬化塗膜について、鉛筆硬度、
ラビング試験、耐食試験、耐候性試験を行った。その結
果を表1に示す。なお、表中のMIBKはメチルイソブ
チルケトンを表す。
【0077】
【表1】
【0078】実施例2 ブロックポリイソシアネートAとして、製造例5で調製
されたブロックポリイソシアネートAの溶液(2)を用
いる以外は、実施例1と同様にカチオン電着塗料を作成
し、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0079】実施例3および4 製造例5で調整されたブロックポリイソシアネートAの
溶液(2)を用いて、その配合重量が、アミノ基含有ア
クリル樹脂中に20%および25%となるように、ブロ
ックポリイソシアネートAとアミノ基含有アクリル樹脂
のエマルションを調製する以外は、実施例1と同様にし
てカチオン性電着塗料を作成し、同様の試験を行った。
その結果を表1に示す。
【0080】比較例 製造例7で調製されたブロックポリイソシアネートを、
ブロックポリイソシアネートAの代わりに用いること以
外は、実施例1と同様にしてカチオン性電着塗料を作成
し、同様の試験を行った。その結果を表1に示す。
【0081】試験方法 <鉛筆硬度>所定の硬度の鉛筆を用いて塗膜面を引っか
き、傷ができなければ、更に高い硬度の鉛筆を用いて、
同様の試験を行った。傷ができる直前に用いた鉛筆の硬
度表示を、その塗膜の鉛筆硬度とした。
【0082】<ラビング試験>メチルイソブチルケトン
またはアセトンを染み込ませたガーゼで、塗膜表面を2
0回こすって、その後の塗膜の外観変化を、以下の基準
で評価した。尚,3以上が合格レベルである。 塗膜面はまったく変化無し 5 塗膜面の色が少し変化 4 塗膜面の一部が少し溶解 3 塗膜面の一部がさらに溶解 2 金属素地が露出 1
【0083】<耐塩水噴霧性試験>電着塗装した塗膜に
小型カッター(例えば、NTカッター)を用いて、交差
する対角線状に、素地に達するクロスカットを入れた。
JIS Z2371に規定する塩水噴霧試験器に240
時間入れ、クロスカット部の錆(ふくれ)幅を測定し
た。
【0084】<耐候性試験>電着塗装した黒皮鋼板をサ
ンシャインウエザオメーター(JIS B 7753
サンシャインカーボンアーク燈式耐候性試験機に規定さ
れるもの)に取りつけ、400時間照射した。その後電
着塗膜表面の60°グロスを測定し、初期60°グロス
に対するグロス保持率を求めた。
【0085】上記実施例及び比較例の結果から明らかな
ように、上記ブロックイソシアネートAおよびBを、所
定のSP値の関係に設定することにより、鉛筆硬度やラ
ビング試験データから、十分に硬化した塗膜が得られて
いることが確認され、耐塩水噴霧試験からは、耐食性
が、そしてサンシャインウエザオメータによる、400
時間照射後のグロス変化データからは、耐候性が、とも
に優れていることが確認された。
【0086】
【発明の効果】本発明のカチオン電着塗料は、特定のS
P値の関係を有するアミノ基含有エポキシ樹脂とアミノ
基含有アクリル樹脂と2種類のブロックポリイソシアネ
ート硬化剤とを含んでいるため、金属基材に電着塗装し
た場合、一方のブロックイソシアネートは、エポキシ樹
脂と共に金属基材側に移行し、耐食性の優れたエポキシ
樹脂硬化膜層が形成され、もう一方のブロックイソシア
ネートは、アクリル樹脂と共に塗膜表面側に移行し、耐
候性の優れたアクリル樹脂硬化膜層が形成することがで
きる。よって、中塗りおよび上塗りの塗装を施さず、い
わゆる1コート塗装を行っても、従来の2コートや3コ
ートと同様に、耐食性と耐候性とを兼ね備えた電着塗膜
を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 163/00 C09D 163/00 Fターム(参考) 4D075 BB89X CA32 CA33 EA06 EA10 EB22 EB33 EC37 4J038 CG001 CG002 CG141 CG142 CH201 CH202 DB151 DB152 DB281 DB282 DG302 GA09 MA08 NA03 PA04 PC02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中和剤を含む水性媒体中に、アミノ基含有
    エポキシ樹脂とアミノ基含有アクリル樹脂とブロックポ
    リイソシアネート硬化剤とを分散してなるカチオン電着
    塗料組成物において、前記アミノ基含有アクリル樹脂が
    前記アミノ基含有エポキシ樹脂よりも0.85以上低い
    SP値を有するものであり、かつ前記ブロックポリイソ
    シアネート硬化剤が2種類のブロックポリイソシアネー
    トAおよびBからなり、前記ブロックポリイソシアネー
    トAと前記アミノ基含有アクリル樹脂とのSP値の差が
    0.24以下であり、前記ブロックポリイソシアネート
    Bと前記アミノ基含有エポキシ樹脂とのSP値の差が
    0.6以下であることを特徴とするカチオン電着塗料組
    成物。
  2. 【請求項2】前記ブロックポリイソシアネートAが、
    4,4’―メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネー
    ト)をブロック剤でブロックしたものである請求項1記
    載のカチオン電着塗料組成物。
  3. 【請求項3】前記ブロックポリイソシアネートAのブロ
    ック剤が下記の式で示されるグリコールモノエーテルで
    ある請求項2記載のカチオン電着塗料組成物。 R1−(OR2n−OH (ここで、R1は、炭素数4
    以上10以下のアルキル基であり、R2はエチレン基、
    又はプロピレン基であり、nは1または2である。)
  4. 【請求項4】前記ブロックポリイソシアネートBが、脂
    環族系ポリイソシアネートをブロック剤でブロックした
    ものである請求項1乃至3の一つに記載のカチオン電着
    塗料組成物。
  5. 【請求項5】前記アミノ基含有アクリル樹脂と前記ブロ
    ックポリイソシアネートAとの重量比が50/50〜9
    0/10であり、前記アミノ基含有エポキシ樹脂と前記
    ブロックポリイソシアネートBとの重量比が50/50
    〜90/10であり、前記アミノ基含有アクリル樹脂と
    前記アミノ基含有エポキシ樹脂との重量比が20/80
    〜80/20である請求項1乃至4の一つに記載のカチ
    オン電着塗料組成物。
  6. 【請求項6】請求項1から5の一つに記載のカチオン電
    着塗料組成物を、金属基材表面に塗装し、電着塗膜を形
    成する方法。
  7. 【請求項7】前記金属基材が黒皮鋼板である、請求項6
    記載の電着塗膜を形成する方法。
JP2000046086A 2000-02-23 2000-02-23 高耐候性カチオン電着塗料組成物 Pending JP2001234116A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000046086A JP2001234116A (ja) 2000-02-23 2000-02-23 高耐候性カチオン電着塗料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000046086A JP2001234116A (ja) 2000-02-23 2000-02-23 高耐候性カチオン電着塗料組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001234116A true JP2001234116A (ja) 2001-08-28

Family

ID=18568568

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000046086A Pending JP2001234116A (ja) 2000-02-23 2000-02-23 高耐候性カチオン電着塗料組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001234116A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004076024A (ja) * 2002-08-09 2004-03-11 Nippon Paint Co Ltd アルミニウム系基材の処理方法及び製品
JP2005232397A (ja) * 2004-02-23 2005-09-02 Kansai Paint Co Ltd カチオン電着塗料及び塗膜形成方法
JP2006501046A (ja) * 2002-02-13 2006-01-12 ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド 基材上に多層複合コーティングを形成するためのコーティングラインおよびプロセス
US7077941B2 (en) 2002-03-08 2006-07-18 Kansai Paint Co.,Ltd. Multi-layer electrodeposition coating film-forming method and coating product formed by the same
JP2006342303A (ja) * 2005-06-10 2006-12-21 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料用ハジキ防止剤およびこれを含む塗料組成物
JP2014091742A (ja) * 2012-10-31 2014-05-19 Shinto Paint Co Ltd カチオン性電着塗料組成物
CN104140753A (zh) * 2014-08-05 2014-11-12 浩力森涂料(上海)有限公司 一种既可ed涂装又可喷涂的水性涂料及其制备方法
US8945365B2 (en) 2012-07-13 2015-02-03 Ppg Industries Ohio, Inc. Electrodepositable coating compositions exhibiting resistance to cratering

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006501046A (ja) * 2002-02-13 2006-01-12 ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド 基材上に多層複合コーティングを形成するためのコーティングラインおよびプロセス
JP4775929B2 (ja) * 2002-02-13 2011-09-21 ピーピージー インダストリーズ オハイオ,インコーポレイテッド 基材上に多層複合コーティングを形成するためのコーティングラインおよびプロセス
US7077941B2 (en) 2002-03-08 2006-07-18 Kansai Paint Co.,Ltd. Multi-layer electrodeposition coating film-forming method and coating product formed by the same
JP2004076024A (ja) * 2002-08-09 2004-03-11 Nippon Paint Co Ltd アルミニウム系基材の処理方法及び製品
JP2005232397A (ja) * 2004-02-23 2005-09-02 Kansai Paint Co Ltd カチオン電着塗料及び塗膜形成方法
JP2006342303A (ja) * 2005-06-10 2006-12-21 Nippon Paint Co Ltd カチオン電着塗料用ハジキ防止剤およびこれを含む塗料組成物
US8945365B2 (en) 2012-07-13 2015-02-03 Ppg Industries Ohio, Inc. Electrodepositable coating compositions exhibiting resistance to cratering
JP2014091742A (ja) * 2012-10-31 2014-05-19 Shinto Paint Co Ltd カチオン性電着塗料組成物
CN104140753A (zh) * 2014-08-05 2014-11-12 浩力森涂料(上海)有限公司 一种既可ed涂装又可喷涂的水性涂料及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6608463B2 (ja) カチオン電着塗料組成物の製造方法
JP2002294165A (ja) カチオン電着塗料用ハジキ防止方法及びハジキ防止剤
JP2000355673A (ja) カチオン電着塗料組成物
US6136895A (en) Cationic electrocoating composition
JP2013203966A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP3593621B2 (ja) 複層塗膜形成カチオン電着塗料組成物
JP2001213938A (ja) アミノポリエーテル変性エポキシおよびこれを含有するカチオン電着塗料組成物
JP2001234116A (ja) 高耐候性カチオン電着塗料組成物
JP4430759B2 (ja) アミノポリエーテル変性エポキシ樹脂およびこれを含有するカチオン電着塗料組成物
JP2002201410A (ja) 二層分離型カチオン電着塗料組成物
JP4823402B2 (ja) カチオン電着塗料組成物
US5360839A (en) Cathodic electrodeposition paint
JP4035836B2 (ja) 艶消しカチオン電着塗料組成物
JP2002294141A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP3507113B2 (ja) 電着塗料用顔料分散樹脂およびこれを含有する顔料分散ペースト
JP2002201408A (ja) 水性塗料用樹脂、その製造方法、及び水性塗料組成物
JP3834595B2 (ja) 電着塗料および導電性の支持体の塗装法
JP3425203B2 (ja) 電着塗料用顔料分散樹脂組成物およびこれを含有する顔料分散ペースト
JPH11286631A (ja) カチオン電着塗料組成物
JPH10204338A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP2001288598A (ja) カチオン電着塗装方法
JPH10204337A (ja) カチオン電着塗料組成物
JP3814738B2 (ja) 高耐食性電着塗膜被覆物
JP3447821B2 (ja) カチオン電着塗料組成物
JP2001294816A (ja) 無鉛性カチオン電着塗料組成物及びその電着塗装方法