JP2001232790A - 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット記録装置 - Google Patents

静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェット記録装置

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JP2001232790A
JP2001232790A JP2000044304A JP2000044304A JP2001232790A JP 2001232790 A JP2001232790 A JP 2001232790A JP 2000044304 A JP2000044304 A JP 2000044304A JP 2000044304 A JP2000044304 A JP 2000044304A JP 2001232790 A JP2001232790 A JP 2001232790A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効率的な低電圧駆動を行えない。 【解決手段】 振動板42と電極53との対向面のなす
角度θが0.45°を越えない状態で非平行に配置し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド及びその
駆動方法並びにインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プ
ロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いる
インクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッ
ドであるインクジェットヘッドは、インク滴を吐出する
ノズルと、このノズルが連通する吐出室(圧力室、加圧
液室、液室、インク流路等とも称される。)と、この吐
出室内のインクを加圧するエネルギーを発生するエネル
ギー発生手段とを備えて、エネルギー発生手段を駆動す
ることで吐出室内インクを加圧してノズルからインク滴
を吐出させるものである。
【0003】従来のインクジェットヘッドとしては、例
えば、特開平6−71882号公報に記載されているよ
うに、吐出室の壁面を形成する振動板と電極とをその対
向面が平行状態になるように配置し(これにより形成さ
れるギャップを「平行ギャップ」と称する。)、振動板
と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形
させることで、吐出室内容積を変化させてインク滴を吐
出させるようにした静電型インクジェットヘッドがあ
る。
【0004】このような静電型インクジェットヘッドに
おいて、低い駆動電圧で駆動するためには、振動板と電
極との間隔(ギャップ長)を小さく設定する必要がある
が、ギャップ長が小さすぎると、振動板と電極が接触
し、破壊するなどのおそれがあり、他方、ギャップ長が
少しでも大きくなると、高い電圧が必要になるなど、安
定性に欠けるところがある。
【0005】特に、低電圧駆動を実現するためには、ギ
ャップ長を少なくとも5μm以下にすることが要求され
るが、振動板となる薄い膜の平面度、ひずみや、ギャッ
プを形成する段差(又はギャップスぺーサ)の誤差など
によってギャップ長が変動する。ここで、振動板と電極
に働く静電吸引力(静電力)はギャップ長の2乗に反比
例するので、少しの誤差が大きな力の差となって振動板
の変位力が違ってくる。
【0006】また、インク滴の吐出体積を確保するため
には、ある程度の振動板面積が必要であるが、ギャップ
長がばらついていると、一番狭いギャップ長のところが
大きな静電引力を受け、梁の強さに応じてたわむことに
なる。すなわち、ギャップ長のばらつきにより、各ノズ
ルに対応した振動板の変位する場所、及び、変位量が違
ってくることになり、インク滴吐出の不安定さが大きく
なったり、応答周波数が影響を受けることになる。
【0007】そこで、特開平9−193375号公報に
記載されているように、振動板に対して電極を傾斜させ
て配置することによって、振動板と電極の各対向面が非
平行になる状態(これにより形成されるギャップを「非
平行ギャップ」という。)にし、振動板の変位開始点を
ノズル相互間で略同じ位置にできるようにして、インク
滴の吐出速度、吐出体積のバラツキを低減するようにし
たものがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したような非平行
ギャップを有するインクジェットヘッドにあっては、振
動板は電極との間のギャップ寸法(ギャップ長さ)が短
い(間隔の狭い)ところから変位を開始するため、低い
駆動電圧で振動板を変位させることができるという利点
があるが、単に、非平行ギャップとするだけでは、いま
だ十分に効率的に低電圧で駆動できないという課題があ
る。
【0009】そこで、本発明者は、振動板と電極との間
のギャップ、すなわち、振動板と電極との配置関係、ギ
ャップの形状と振動板の変位、駆動電圧の関係などにつ
いて鋭意研究を重ねることで、ギャップ形状の最適化、
特に振動板と電極との対向角を最適化することでより効
率的な低電圧駆動が可能になることを見出した。
【0010】よって、本発明は効率的な低電圧駆動が可
能な液滴吐出ヘッド及びその駆動方法並びにインクジェ
ット記録装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る静電アクチュエータは、振動板と電極
の対向面が非平行であり、且つ、振動板と電極の各対向
面がなす角度が0.45°を越えない構成としたもので
ある。また、本発明に係る静電アクチュエータは、振動
板と電極の対向面が非平行であり、且つ、振動板と電極
の各対向面がなす角度が0.1°を下回らない構成とし
たものである。さらに、本発明に係る静電アクチュエー
タは、振動板と電極の対向面が非平行であり、且つ、振
動板と電極の各対向面がなす角度が0.1°〜0.45
°の範囲にある構成としたものである。
【0012】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、インク流
路の壁面を形成する振動板と電極の対向面が非平行であ
り、且つ、振動板と電極の各対向面がなす角度が0.4
5°を越えない構成としたものである。また、本発明に
係る液滴吐出ヘッドは、インク流路の壁面を形成する振
動板と電極の対向面が非平行であり、且つ、振動板と電
極の各対向面がなす角度が0.01°を下回らない構成
としたものである。また、本発明に係る液滴吐出ヘッド
は、インク流路の壁面を形成する振動板と電極の対向面
が非平行であり、且つ、振動板と電極の各対向面がなす
角度が0.01°〜0.45°の範囲にある構成とした
ものである。
【0013】ここで、振動板と電極とは振動板の短手方
向で対向面が非平行状態になっていることが好ましい。
【0014】本発明に係る液滴吐出ヘッドの駆動方法
は、上記本発明に係る液滴吐出ヘッドの駆動方法であっ
て、振動板と電極との間に印加する駆動電圧を連続的又
はステップ的に増減させて振動板を変位させる構成とし
たものである。
【0015】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インクジェットヘッドとして上記本発明に係る液滴吐出
ヘッドを搭載したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明に係るインクジ
ェット記録装置の機構部の概略斜視説明図、図2は同機
構部の側面説明図である。
【0017】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キ
ャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録
ヘッド、記録ヘッドへのインクを供給するインクカート
リッジ等で構成される印字機構部2等を収納し、装置本
体1の下方部には前方側から多数枚の用紙3を積載可能
な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)4を抜
き差し自在に装着することができ、また、用紙3を手差
しで給紙するための手差しトレイ5を開倒することがで
き、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送され
る用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像
を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙
する。
【0018】印字機構部2は、図示しない左右の側板に
横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイ
ドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で
紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ1
3にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ
(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する
本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッ
ドからなるヘッド14をインク滴吐出方向を下方に向け
て装着し、キャリッジ13の上側にはヘッド14に各色
のインクを供給するための各インクタンク(インクカー
トリッジ)15を交換可能に装着している。
【0019】ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬
送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装
し、前方側(用紙搬送方向下流側)を従ガイドロッド1
2に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ
13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ1
7で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19と
の間にタイミングベルト20を張装し、このタイミング
ベルト20をキャリッジ13に固定している。また、記
録ヘッドとしてここでは各色のヘッド14を用いている
が、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘ
ッドでもよい。
【0020】一方、給紙カセット4にセットした用紙3
をヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット
4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリク
ションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23
と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ
24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬
送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し
角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ロー
ラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0021】そして、キャリッジ13の主走査方向の移
動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙
3を記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材
である印写受け部材29を設けている。この印写受け部
材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ
送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32
を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ロ
ーラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部
材35,36とを配設している。
【0022】また、キャリッジ13の移動方向右端側に
はヘッド14の信頼性を維持、回復するための信頼性維
持回復機構(以下「サブシステム」という。)37を配
置している。キャリッジ13は印字待機中にはこのサブ
システム37側に移動されてキャッピング手段などでヘ
ッド14をキャッピングされる。
【0023】次に、このインクジェット記録装置のヘッ
ド14を構成する液滴吐出ヘッドであるインクジェット
ヘッドの一例について図3及び図4を参照して説明す
る。なお、図3は本発明の第1実施形態に係るインクジ
ェットヘッドの長手方向の断面説明図、図4は同ヘッド
の短手方向の断面説明図である。
【0024】このインクジェットヘッドは、インク流路
基板41と、振動板42と、電極基板43と、ノズル板
44とを備え、液滴であるインク滴を吐出する複数のノ
ズル45、各ノズル45が連通する加圧室46、各加圧
室46にインク供給路を兼ねた流体抵抗部47を介して
連通する共通液室流路48などを形成している。
【0025】インク流路基板41は単結晶シリコン基板
を用いており、加圧室46及び共通液室流路48を形成
する凹部と、流体抵抗部47を形成する溝部と、ノズル
連通路49を形成する溝部とをエッチングで形成してい
る。このインク流路基板41に加圧室46の壁面の一部
をなす例えば導電性n型シリコン基板から形成した振動
板42を一体に設けている。
【0026】また、電極基板43は、n型又はp型の単
結晶シリコン基板を用いており、この単結晶シリコン基
板に熱酸化法などで酸化シリコン層43aを形成し、こ
の酸化シリコン層43aに凹部51を形成して、この凹
部51の底面に沿って振動板42に対向する電極53を
設け、振動板42と電極53との間にギャップ54を形
成し、振動板42と電極53とによって静電アクチュエ
ータを構成している。
【0027】なお、電極53表面にはSiO2膜などの酸
化膜系絶縁膜、Si34膜などの窒化膜系絶縁膜からな
る電極保護膜55を成膜しているが、振動板42の対向
面側に絶縁膜を形成することもできる。また、電極基板
43としてシリコン基板以外にも、ガラス基板、セラミ
ック基板等の絶縁物基板を用いることもできる。この場
合、前記凹部51はガラス基板、セラミック基板等の絶
縁部基板に形成する。
【0028】また、電極53は、反応性スパッタ法、C
VD法などによって形成できるチタン、タングステン、
タルタン等の金属とその窒化物、化合物等の高融点金
属、好ましくは窒化チタン、或いはP型又はN型の不純
物原子を含むシリコンからなり、好ましくはシート抵抗
が500Ω以下、より好ましくは200Ω以下のもので
ある。
【0029】ここで、振動板42と電極53の対向面は
振動板長手方向で非平行状態としている。すなわち、電
極基板43の凹部51は底面を振動板長手方向でノズル
45側に向かって低くなるように傾斜させて形成し、こ
の凹部51底面に電極53を形成することによって、振
動板42の対向面に対して電極53の対向面を傾斜させ
て非平行状態で対向させている。
【0030】したがって、振動板42と電極53との実
効的な間隔(電極保護膜55表面と振動板42との間
隔:実効ギャップ長)は、「0」からノズル45側に向
かって漸次増加するように変化する。なお、振動板42
と電極53との対向面がなす角度(対向角という。)θ
については後述する。
【0031】ノズル板44は金属、樹脂、金属と樹脂の
複層構造体、ガラス板などで形成し、ノズル連通路49
を介して加圧室46に連通する複数のノズル45を形成
している。また、インク流路基板41には共通液室流路
48にインクカートリッジ15からインクを供給するた
めのインク供給穴56を有する連結部材57を接合して
いる。さらに、振動板42と電極53との間に駆動波形
を印加する駆動回路58を備えている。
【0032】このように構成したインクジェットヘッド
において、振動板42を共通電極とし、電極53を個別
電極として、振動板42と電極53との間に駆動波形を
印加することにより、振動板42と電極53との間に静
電力が発生して、振動板42が電極53側に変形変位
し、この状態から振動板42と電極53との間の電荷を
放電させることにより、振動板42が復帰変形して加圧
室46内のインクが加圧されてノズル45からインク滴
が吐出される。
【0033】この場合、振動板42には電極53との間
の実効的なギャップ長(保護膜56の厚みを除く長さ)
が短い部分、このヘッドでは振動板42と電極53とは
保護膜56を介して接触している(実効ギャップ長=
0)ので、この部分から変位を開始し、それに伴なって
漸次振動板42と電極53とのギャップ長が短くなる。
したがって、振動板42の変位開始位置のバラツキが低
減するとともに、駆動電圧を低電圧化することができ
る。
【0034】そこで、振動板42と電極53とがなす対
向角θについて図5以降をも参照して説明する。まず、
電圧の印加によって振動板42に作用する静電吸引力
(静電力)はギャップ長さLの2乗に反比例することが
知られている。そこで、振動板42と電極53のなす角
度(対向角)θによって静電吸引力がどのように変化す
るかを検討した結果、対向角θ=0.45°前後を境に
静電吸引力の変化率∂F/∂θが大きく異なることを見
出した。
【0035】すなわち、対向角θが0.45°を越える
場合には、対向角θを変化させても静電吸引力に大きな
差異はなく、θが0.45°以下の領域においては、θ
を減少させると静電吸引力が急峻に増大することが分か
った。このことより、振動板42と電極53を対向角
0.45°を越える角度で非平行状態に配置しても、駆
動電圧の低電圧化には大きく寄与しない。
【0036】上述したヘッド構成において、振動板42
と電極53の対向角θが0.25°の場合には対向角θ
が1°の場合と比較して、同一の液室容積変化量を得る
のに要する振動板変位を与えるための印加電圧が1/1
5程度に低下する。また、対向角θを0.1°にした場
合には対向角θが1°の場合の1/100前後にまで低
下する。一方、対向角θが5°の場合には対向角θが1
°の場合より3倍程度印加電圧を高くしなければならな
い。これより、対向角θと印加電圧の関係が線形でない
ことが理解される。
【0037】図5は、静電吸引力と対向角θの関係を求
めた結果であり、対向角θが「0」に近づくと静電吸引
力(実線で示す)は無限大に発散する傾向を示してい
る。対向角θが「0」という状態は振動板42と電極5
3の間隔がゼロで平行に張り付いている状態である。こ
の状態においては静電吸引力は無限大に発散することか
ら同図の結果が妥当であることが理解される。
【0038】そこで、さらに同図に対向角変化量Δθに
対する静電吸引力(a.u)の変化量を微分値として示
している(点線で示す。)。この解析結果によると、対
向角θが0.45°近傍から微係数が増大し始めている
ことが分かる。したがって、対向角θが0.45°より
大きい領域では振動板42と電極53の対向角θを変え
ても静電吸引力に大きな差異がみられないのに対し、対
向角θを0.45°以下にすると顕著な変化が表われる
という特性があることが分かる。
【0039】したがって、振動板42と電極53とは対
向面がなす角度(対向角)θが0.45°を越えない範
囲で非平行状態に配置することにより、より効率的な低
電圧駆動化を図ることができる。
【0040】次に、振動板42と電極53の対向面がな
す角度(対向角)θの下限値について説明する。振動板
42と電極53の対向角θが小さい程、低電圧駆動には
有利であるが、対向角θを小さくしていくと、所望のイ
ンク滴量を噴射させるのに要する液室(加圧室)の容積
変化量ΔVを確保するためには、加圧室の長さを長くし
なければならず、加圧室の長さが長くなれば、必然的に
ヘッドが大型化する。
【0041】そこで、インク滴吐出に必要な加圧室46
の容積変化量をΔV、振動板42の長手方向の長さ(長
手長)をL、短手方向の長さ(短手幅)をW、振動板4
2と電板53の間隔の最大値(最大ギャップ長)をTm
ax、振動板42と電極53の対向角をθとして、これ
らのパラメータの関係についてみると、たとえば、ヘッ
ドの密度を150dpiとし、短手幅(液室幅)Wを13
0μm程度と考え、ヘッドの小型化のため振動板長手長
Lを1mm<L<3mmとすると、容積変化量ΔVを確
保するために、必要となる最大ギャップ長Tmaxは、
略0.4μm<Tmax<1.2μmとなるが、このと
きの対向角θは、略0.008°<θ<0.07°とな
り、対向角θが上記上限値以下に収まることが分かる。
【0042】以上の関係をまとめると図6に示すように
なる。なお、同図は、容積変化量ΔVが一定(ΔV=7
7.5pl、液室幅(振動板短手長)W=130μm)
の条件におけるギャップ高さ(ギャップ長)と振動板長
さ、テーパ角の関係を示す線図であり、実線は振動板長
さ、破線はテーパ角を示している。
【0043】ここで、振動板42と電極53を非平行に
対向配置した構成を作製する場合、ギャップ54をエッ
チングで加工するとき、±50Å程度の加工誤差がある
ことを考慮すると、最大ギャップ長Tmaxが小さくな
る程、±50Åの加工誤差によって生じる対向角θの誤
差率は大きくなる。ギャップ最大値Tmaxの作製誤差
±50Åに対する対向角θの作製誤差率は、図7に示す
ような関係にある。したがって、対向角θの設計基準値
を0.01°以上とすることで、作製誤差を±1%以内
に収めることができ、歩留まりが向上することが分か
る。
【0044】これらより、対向角θを略0.01°≦θ
≦0.45°の範囲に設定することによって、効率的な
低電圧駆動化を図れるとともに作製上の歩留まりを向上
することができる。
【0045】次に、駆動回路58から与えるヘッドの振
動板42と電極53との間に与える駆動波形について図
8をも参照して説明する。加圧室46にインクを供給す
る過程T1において、同図に破線で示す駆動波形のよう
に印加電圧量を急峻に与える場合と、同図に実線で示す
駆動波形のように印加電圧量を緩やかに与える場合とで
は、後者の方が加圧室46の圧力の減衰が緩やかにな
り、ノズル45から加圧室46内に空気が吸い込まれ、
加圧室46内に気泡として残留する確率が低くなる。
【0046】また、同図に実線で示す駆動波形のよう
に、振動板42が復元している過程T2において再度電
圧を印加して振動板42を吸引させて、ノズル45近傍
のインクメニスカス面を引き戻した後、再度印加電圧を
急峻にゼロにして振動板42を復元させると、引き戻さ
れていくインクメニスカス面に再度圧力が加わって、微
小なインクドロップが形成される。
【0047】そこで、電極53に印加する駆動波形の電
圧を連続的ないしステップ状に増減させることによっ
て、振動板42に与える静電吸引力を変化させることが
できる。例えば、上述したように液滴噴射後に急速に振
動板42を吸引するとノズル45から空気を吸い込み、
これが加圧室46内で気泡となって残留し、その後の噴
射特性に致命的な影響を与えることがあるが、駆動波形
の電圧を連続的(ないしステップ的)に増加し、減少す
ることにより、噴射後の振動板吸引速度を調整できるの
で、気泡引き込みの問題を回避することができるように
なる。
【0048】また、ノズル端のメニスカス面を持ち上げ
た後、一端引き込み、再度持ち上げることによって吐出
液量を少なくすることができるが、この場合には加圧、
減圧のタイミング制御が必要となる。駆動波形を連続な
いしステップ的に増減することにより、吐出滴量を制御
し、微小ドットを形成させることができる。
【0049】次に、本発明に係る他の実施形態について
図9を参照して説明する。この実施形態は、振動板短手
方向(ノズル列方向)で振動板と電極とを非平行状態に
配置したものである。
【0050】すなわち、電極基板43の酸化シリコン膜
43aには振動板短手方向で傾斜した底面を有する凹部
51を形成し、この凹部51の底面に電極53を形成し
て電極保護膜55で表面を保護している。これにより、
振動板42と電極53とは振動板短手方向で非平行状態
に配置される。このように構成することによって、応答
時間を短縮することができて印字速度を向上することで
きる。
【0051】つまり、振動板の長さ(振動板長手方向長
さ)をL、振動板短手方向幅をW、振動板厚さをTと
し、ヘッドのノズル列は振動板短手方向幅Wの方向に一
致する構成において、幅Wはノズル間距離の規定条件と
なり、ノズル密度を高密度化して高密度の画像を記録す
る場合、一般的に幅Wは長さLよりも短く形成される。
【0052】そこで、このような場合において、静電吸
引力によって振動板42を屈曲変形させる過程におい
て、振動板42と電極53とを振動板長さL方向に非平
行に対向配置した場合と、振動板短手方向幅W方向に非
平行に配置した場合とでは、電圧印加を開始すると、振
動板42はギャップ間距離の短い方から順に対向電極5
3側に吸引されていくので、振動板42の屈曲変位の完
了に要する時間は、後者の方が短くなり、これにより、
応答周波数を上げることができるのである。また、振動
板42の復元速度も同様に速くすることができる。例え
ば、振動板42の長さLを1mm、幅Wを130μmと
した場合、電圧を印加してから振動板の当接変位が完了
する迄の時間はおよそ1/8に短縮される。
【0053】このように振動板42の応答周波数を高く
できることにより、インクの噴射間隔を短くすることが
でき、印字速度の高速化を図れる。上述の構成において
も、振動板の変形によって発生する容積変化量と加工誤
差に関する考察から、対向角θの範囲を略0.01°≦
θ≦0.45°の範囲に設定することが好ましい。
【0054】なお、上記各実施形態においては、振動板
と電極の平面形状を矩形とした例で説明したが、平面形
状を台形、三角形とすることもできる。また、本発明を
液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッドに適用した
例で説明しているが、振動板と電極とを用いるその他の
静電型アクチュエータにも同様に適用することができ
る。さらに、上記実施形態では振動板と液室とを振動板
/液室基板として同一部材から形成しているが、振動板
と液室形成部材とを別部材で形成して接合することもで
きる。
【0055】また、上記実施形態においては、ノズルは
振動板の変位方向と直交する方向にインク滴が吐出する
ように形成したエッジシュータ方式のインクジェットヘ
ッドに適用しているが、ノズルを振動板の変位方向にイ
ンク滴が吐出するように形成したサイドシュータ方式の
インクジェットヘッドにも同様に適用することができ
る。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る静電
アクチュエータによれば、振動板と電極の対向面が非平
行であり、且つ、振動板と電極の各対向面がなす角度が
0.45°を越えないので、効率的に低電圧駆動を行う
ことができる。また、本発明に係る静電アクチュエータ
は、振動板と電極の対向面が非平行であり、且つ、振動
板と電極の各対向面がなす角度が0.1°を下回らない
構成としたので、低電圧駆動を行うアクチュエータを歩
留まり良く製作することができる。さらに、本発明に係
る静電アクチュエータは、振動板と電極の対向面が非平
行であり、且つ、振動板と電極の各対向面がなす角度が
0.1°〜0.45°の範囲にある構成としたので、効
率的な低電圧駆動を行うアクチュエータを歩留まり良く
製作することができる。
【0057】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、イ
ンク流路の壁面を形成する振動板と電極の対向面が非平
行であり、且つ、振動板と電極の各対向面がなす角度が
0.45°を越えない構成としたので、効率的に低電圧
駆動を行うことができる。また、本発明に係る液滴吐出
ヘッドは、インク流路の壁面を形成する振動板と電極の
対向面が非平行であり、且つ、振動板と電極の各対向面
がなす角度が0.01°を下回らない構成としたので、
低電圧駆動を行えるヘッドを歩留まり良く製作できる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、インク流路の壁
面を形成する振動板と電極の対向面が非平行であり、且
つ、振動板と電極の各対向面がなす角度が0.01°〜
0.45°の範囲にある構成としたので、効率的な低電
圧駆動を行うヘッドを歩留まり良く製作することができ
る。
【0058】ここで、振動板と電極とは振動板の短手方
向で対向面が非平行状態になるように配置することで、
振動板の周波数応答特性が向上し、高周波駆動が可能に
なる。
【0059】本発明に係る液滴吐出ヘッドの駆動方法に
よれば、上記本発明に係る液滴吐出ヘッドの駆動方法で
あって、振動板と電極との間に印加する駆動電圧を連続
的又はステップ的に増減させて振動板を変位させる構成
としたので、吐出滴量と吐出速度を制御することが可能
になる。
【0060】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、上記液滴吐出ヘッドからなるインクジェットヘッ
ドを搭載したので、低電圧駆動で、高速印字が可能な記
録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の機構部
の概略斜視説明図
【図2】同記録装置の側断面説明図
【図3】本発明に係るインクジェットヘッドの長手方向
の断面説明図
【図4】同ヘッドの短手方向の断面説明図
【図5】振動板と電極の対向角θと静電吸引力の変化の
説明に供する線図
【図6】ギャップ高さと振動板長さ及びテーパ角の関係
の説明に供する線図
【図7】ギャップ最大値と対向角の作製誤差率の関係の
説明に供する線図
【図8】駆動波形の異なる例の説明に供する説明図
【図9】本発明の他の実施形態に係るインクジェットヘ
ッドの短手方向の断面説明図
【符号の説明】
13…キャリッジ、14…ヘッド、41…インク流路基
板、42…振動板、43…電極基板、43a…酸化シリ
コン層、44…ノズル板、45…ノズル、46…圧力
室、47…流体抵抗部、48…共通液室流路、51…凹
部、53…電極、54…ギャップ、55…保護膜。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動板と、この振動板に対向する電極と
    を備えた静電アクチュエータにおいて、前記振動板と電
    極の対向面が非平行であり、且つ、前記振動板と電極の
    各対向面がなす角度が0.45°を越えないことを特徴
    とする静電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 振動板と、この振動板に対向する電極と
    を備えた静電アクチュエータにおいて、前記振動板と電
    極の対向面が非平行であり、且つ、前記振動板と電極の
    各対向面がなす角度が0.1°を下回らないことを特徴
    とする静電アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 振動板と、この振動板に対向する電極と
    を備えた静電アクチュエータにおいて、前記振動板と電
    極の対向面が非平行であり、且つ、前記振動板と電極の
    各対向面がなす角度が0.1°〜0.45°の範囲にあ
    ることを特徴とする静電アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 液滴を吐出するノズルと、このノズルが
    連通するインク流路と、このインク流路の壁面を形成す
    る振動板と、この振動板に対向する電極とを備え、前記
    振動板と電極との間の静電力で振動板を変位させて前記
    ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前
    記振動板と電極の対向面が非平行であり、且つ、前記振
    動板と電極の各対向面がなす角度が0.45°を越えな
    いことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 液滴を吐出するノズルと、このノズルが
    連通するインク流路と、このインク流路の壁面を形成す
    る振動板と、この振動板に対向する電極とを備え、前記
    振動板と電極との間の静電力で振動板を変位させて前記
    ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前
    記振動板と電極の対向面が非平行であり、且つ、前記振
    動板と電極の各対向面がなす角度が0.01°を下回ら
    ないことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 液滴を吐出するノズルと、このノズルが
    連通するインク流路と、このインク流路の壁面を形成す
    る振動板と、この振動板に対向する電極とを備え、前記
    振動板と電極との間の静電力で振動板を変位させて前記
    ノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前
    記振動板と電極の対向面が非平行であり、且つ、前記振
    動板と電極の各対向面がなす角度が0.01°〜0.4
    5°の範囲にあることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項4乃至6のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドにおいて、前記振動板と前記電極とは前記振
    動板の短手方向で対向面が非平行状態になっていること
    を特徴とする液滴吐出ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項4乃至7のいずれかに記載の液滴
    吐出ヘッドの駆動方法において、前記振動板と電極との
    間に印加する駆動電圧を連続的又はステップ的に増減さ
    せて前記振動板を変位させることを特徴とする液滴吐出
    ヘッドの駆動方法。
  9. 【請求項9】 インクジェットヘッドを搭載したインク
    ジェット記録装置において、前記インクジェットヘッド
    が前記請求項4乃至7のいずれかの液滴吐出ヘッドであ
    ることを特徴とするインクジェット記録装置。
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