JP2001232642A - タイヤ成形用金型及びその製造方法 - Google Patents

タイヤ成形用金型及びその製造方法

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JP2001232642A
JP2001232642A JP2000380998A JP2000380998A JP2001232642A JP 2001232642 A JP2001232642 A JP 2001232642A JP 2000380998 A JP2000380998 A JP 2000380998A JP 2000380998 A JP2000380998 A JP 2000380998A JP 2001232642 A JP2001232642 A JP 2001232642A
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mold
vent
tire
vent hole
piece
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JP2000380998A
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Yasuyuki Ishihara
泰之 石原
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NGK Insulators Ltd
Original Assignee
NGK Insulators Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29DPRODUCING PARTICULAR ARTICLES FROM PLASTICS OR FROM SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE
    • B29D30/00Producing pneumatic or solid tyres or parts thereof
    • B29D30/06Pneumatic tyres or parts thereof (e.g. produced by casting, moulding, compression moulding, injection moulding, centrifugal casting)
    • B29D30/0601Vulcanising tyres; Vulcanising presses for tyres
    • B29D30/0606Vulcanising moulds not integral with vulcanising presses
    • B29D2030/0607Constructional features of the moulds
    • B29D2030/0617Venting devices, e.g. vent plugs or inserts

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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Heating, Cooling, Or Curing Plastics Or The Like In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ベントホールタイプを採用しつつ、スピュー
の発生を抑制することで、外観、初期性能に優れたタイ
ヤ製品を提供することを可能ならしめるとともに、タイ
ヤ製造面では金型製造コスト、メンテナンスコストの低
減に寄与するタイヤ成形用金型及びその製造方法を提供
する。 【解決手段】 金型各部にベントホール18が形成され
てなるタイヤ成形用金型であって、ベントホール18を
蓋閉するように、ベントピース19A〜19Cが金型各
部の表面に埋設され、かつ、ベントピース19A〜19
Cに、ベントホール18に連通する孔部22若しくはス
リット21、又は溝条23及び溝条23の底部と連通す
る別のベントホール24が形成されてなることを特徴と
するタイヤ成形用金型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、鋳造により作製
されるタイヤ成形用金型に関し、更に詳しくは、成形さ
れるタイヤの外観及び初期性能を損なうことのないノン
スピュータイプのタイヤ成形用金型であって、タイヤ成
形用金型に設置される空気抜き穴を改良することによ
り、金型製造コストを低減せしめ、かつ、メンテナンス
性を向上させたタイヤ成形用金型及びその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】 タイヤ成形用金型は、従来から鋳造に
より製作される場合が多い。これは、タイヤ成形金型
(タイヤ)のデザインが複雑で、シャープなコーナー部
や、ブレードと称する薄肉の突起物を数多く有する形状
である場合が多いことによる。
【0003】 タイヤ成形用金型には、大きく分けて2
種類の金型分割方法が存在している。その1つは、上下
一体型で円周方向に7〜11分割する方法であり、もう
1つは、円周方向には分割せずに中心軸方向(タイヤの
径方向に垂直な方向)に2分割し、上下分割型とする方
法である。
【0004】 いずれの方法により製造された金型を用
いた場合であっても、タイヤの成形は、基本的にデザイ
ンを持たないグリーンタイヤと称する未重合ゴム素材を
金型に押し付ける、所謂、コンプレッション成形により
行われる。ここで、グリーンタイヤが押し付けられたと
きに、金型に形成されている骨やブレード等の凹凸によ
り、金型とグリーンタイヤとによって閉じられた空間
(以下、このような空間を「閉塞空間」という。)が形
成されると、閉塞空間内の空気が排出されなくなり、タ
イヤ成形品に「ベア」と称される気泡欠陥が発生してし
まうこととなる。そこで、ベアの発生を防止するため
に、通常は金型に空気抜き機構が設置されている。
【0005】 このような空気抜き方法としては、従来
から、主に次の2種類の方法が採用されている。1つの
方法は、閉塞空間に連通するベントホールを金型に設
け、ベントホールと通じて閉塞空間内の空気を外部へ排
出する方法であり、ベントホールタイプと呼ばれる。別
の方法は、小ピースの金型を組み立てた際の金型相互間
に形成される隙間、又は所定箇所に設置されたスリット
状の空気抜きから閉塞空間の空気を排出する方法であ
り、ノンスピュータイプ若しくはスリットベントタイプ
と呼ばれる。この場合には、スピューは発生しないが、
通常は、バリ状のはみ出し部が形成されることとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 ここで、ベントホー
ルタイプを用いた場合には、当然にベントホールにゴム
が浸入するため、タイヤ製品にスピューと呼ばれるひげ
状の突起部が形成されることとなる。このスピューは、
タイヤ製品としての外観を損ね、また、初期走行性能を
も損なうといったデメリットを有するが、一方で、この
方法を用いた場合には、金型の製造コストが安価であ
り、金型使用時のクリーニング等のメンテナンスも容易
であるといったメリットもある。
【0007】 一方、ノンスピュータイプを用いた場合
には、タイヤ製品としての外観性に優れ、また、初期の
走行性能にも支障をきたすことはないが、金型の製造コ
ストが高く、また、金型使用時に目詰まりし易く、クリ
ーニング等のメンテナンス性には劣るという欠点があ
る。これにより、一般的に、ノンスピュータイプを用い
た場合には、タイヤ製品そのものが高価なものとなる。
【0008】 このように、これら2種類のタイヤ成形
方法には、それぞれにメリット・デメリットがあり、結
局は、用途、必要性等を考慮して使い分けられているの
が現実である。現状、タイヤの初期性能を重視したノン
スピュ−タイプを採用したいところであるが、金型製作
コスト及びタイヤ成形ランニングコストの点で問題があ
るため、ベントホールタイプの金型が多用されている。
【0009】 従って、ノンスピュータイプを採用しつ
つも、金型の製造コストを低減し、また、メンテナンス
性を向上させることが、切に望まれているが、ノンスピ
ュータイプの導入には、これらの問題に限らずに、メン
テナンスに係る他の設備導入についてもコスト増を伴う
問題がある。
【0010】 つまり、タイヤ金型は、繰り返し使用さ
れる間に油脂類等の付着により肌荒れを伴うため、通常
は、定期的にクリーニングを行う必要がある。ここで、
ベントホールタイプの金型では、一般的にガラスビー
ズ、樹脂ビーズ、ドライアイスペレット等のメディアを
高圧エアーで吹き付けるブラストによるクリーニングが
主に用いられるが、ノンスピュータイプの金型の場合で
は、金型を1ピース単位まで分解しない限り、このよう
な方法ではスリット部に入り込んだ汚れを除去すること
ができない。
【0011】 従って、ブラストによるクリーニングで
は工数がかかってしまうことから、化学洗浄やプラズマ
クリーニングといった特殊なクリーニング方法が取られ
る場合が多い。しかしながら、これらの方法も、対応時
間が長く必要となったり、設備導入に多大なコストを要
したりするといった問題を内在する。つまり、ノンスピ
ュータイプのタイヤを生産する際には、大幅な金型コス
ト、金型維持コストを覚悟して対応しなければならない
という問題が存在している。
【0012】 本発明は、上述した従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、
基本的にはベントホールタイプを採用しつつ、スピュー
の発生を抑制することで、外観、初期性能に優れたタイ
ヤ製品を提供することを可能ならしめ、また、タイヤ製
造面では金型製造コスト、メンテナンスコストの低減に
寄与するタイヤ成形用金型及びその製造方法を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、金型各部にベントホールが形成されてなるタイヤ成
形用金型であって、前記ベントホールを蓋閉するよう
に、ベントピースが前記金型各部の表面に埋設され、か
つ、前記ベントピースに、前記ベントホールに連通する
孔部若しくはスリット、又は溝条及び前記溝条の底部と
連通する別のベントホールが形成されてなることを特徴
とするタイヤ成形用金型、が提供される。
【0014】 本発明のタイヤ成形用金型において、ベ
ントピースに形成されたスリット又は溝条は、複数の直
線及び/又は曲線を組合わせた形状を有してなるものが
好ましい。このように構成することによって、後で詳述
するように、ゴムバリの曲げ剛性を向上させることがで
き、ゴムバリ千切れ現象によるベントホールの目詰まり
を有効に防止することができる。
【0015】 本発明のタイヤ成形用金型において、ベ
ントピースにスリット或いは溝条が形成されたものを用
いる場合には、その幅は、0.01mm〜0.05mm
とすることが好ましい。一方、孔部が形成されている場
合には、その外径は、0.01mmφ〜0.05mmφ
の範囲とすることが好ましい。また、ベントピースの形
状は、タイヤ金型デザイン、換言すればタイヤの溝デザ
インに準じて、任意の形状に設定することが好ましい。
【0016】 また、ベントホールの内壁に、金属製又
は樹脂製の中空円筒体を着脱自在に嵌合してなるものと
することが好ましい。このように構成することによっ
て、後で詳述するように、目詰まりしたベントホールの
クリーニングを簡易化することができる。
【0017】 また、本発明によれば、金型各部にベン
トホールが形成され、前記ベントホールに連通する開口
部が形成されたベントピースが、前記ベントホールを蓋
閉するように前記金型各部の表面に埋設された、鋳造に
より作製されるタイヤ成形用金型の製造方法であって、
マスターモデルの所定位置に、開口部が形成されていな
いベントピース原型を配設した状態として、反転型であ
るゴム型を作製した後、鋳型に反転させ、再び反転させ
て金型を得、前記金型に形成された前記ベントピース原
型跡にベントホールを形成した後に前記ベントホールを
開口部が形成されたベントピースにより蓋閉することを
特徴とするタイヤ成形用金型の製造方法、が提供され
る。
【0018】 ここで、金型に形成されるベントホール
は、鋳型におけるベントピース原型跡にピンを固定した
状態において金型の鋳造を行い、得られた金型からピン
を抜き取ることによっても行うことができる。
【0019】 また、固定されたピンに、金型とは異質
の材料からなる筒状の固定用部材を挿通して、鋳型に当
接させた状態で金型の鋳造を行い、得られた金型から前
記ピンを抜き取ることによりベントホールを形成すると
ともに、固定用部材を金型内に鋳包み、この固定用部材
にベントピースを溶接、固定することが好ましい。この
ように構成することによって、後で詳述するように、金
型本体とベントピースとの材質が異なる場合であって
も、固定用部材を介することによってベントピースを金
型本体に容易に固定することができる。
【0020】 また、ベントピースに形成される開口部
は、孔若しくはスリット、又は溝条及び前記溝条に連通
する孔であることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態につ
いて、図面を参照しながら説明するが、本発明は以下の
実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を
逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適
宜、設計の変更、改良等が加えられることが理解される
べきである。
【0022】 はじめに、本発明のタイヤ成形用金型の
好適な製造方法について説明することとする。図1は、
タイヤ成形用金型(以下、「金型」という。)を製造す
るに当たって使用されるマスターモデル(原型)1の1
パーツの一部分を示した斜視図である。このようなマス
ターモデル1は、従来から使用されており、本発明にお
いても用いられる。マスターモデル1の外側面における
溝形状、デザインは、タイヤ製品における溝形状、デザ
インと同等である。金型の製造に当たっては、通常、こ
のマスターモデル形状の鋳型を必要数複製し、これを円
環状に組み立てて用いる。
【0023】 図2は、マスターモデル1を用いた場合
の金型の製造工程を示した説明図である。但し、図2に
おけるマスターモデル10は、図1のマスターモデル1
の断面を簡略化して記している。最初に、用意したマス
ターモデル10の凸部表面11の所定の位置にベントピ
ース原型12を配設する(図2(a))。
【0024】 ここで、「所定の位置」とは、製造され
た金型を用いてタイヤ製品を成形する際、グリーンタイ
ヤを金型に押し付けたときに閉塞空間が形成される領域
内であって、金型にベントホールを形成すべき位置に対
応する位置をいう。閉塞空間は、金型の凹部に形成され
ることとなるから、マスターモデル10においては、そ
の凸部表面11にあっても、特に、溝部13の近傍が
「所定の位置」に該当する場合が殆どである。
【0025】 後述するように、本発明においては、製
造される金型に好ましくは厚み方向に貫通するスリット
が形成されたベントピースが埋設されるが、ベントピー
ス原型12とは、このベントピースにスリット等を形成
する以前の板状体(板状片)を指す。従って、ベントピ
ース原型12は、ベントピースと同じ材質からなるもの
が一般的に用いられる。
【0026】 なお、ベントピース原型12は、ベント
ピースの埋設がぐらつきがない程度で、しかも容易とな
るように、ベントピースよりも若干大きめとすることが
好ましい。また、ベントピース原型12が、マスターモ
デル10の凸部表面11上であって曲面の部分に配設さ
れる場合には、ベントピース原型12を、配設位置の表
面形状に十分になじませることが好ましい(図2
(b))。
【0027】 次に、ベントピース原型12が配設され
たマスターモデル10を用いて、反転型であるゴム型1
4を製造する(図2(c))。これは、マスターモデル
10から直接には金型を鋳造することが困難であること
による。従って、続いて、ゴム型14の反転型である鋳
型15を製造する(図2(d))。鋳型15は、ゴム型
14を変形させたり痛めたりすることない材料であっ
て、金型に用いる金属材料の鋳造が容易に行える材料、
例えば、石膏やセラミックを用いて好適に製造される。
【0028】 鋳型15を用いて、その反転型である金
型16を鋳造により製造することができる(図2
(e))。得られた金型16には、ベントピース原型1
2の跡である凹部17が形成される。凹部17には、ベ
ントホールを形成する必要があるので、例えば、ドリル
等を用いた機械加工により、凹部17の底面から金型外
部へ向けて外気と連通するようにベントホール18を形
成することができる(図2(f))。
【0029】 ベントホール18の孔径は、ベントピー
スの固定を容易とするために凹部17の底部の一部が残
るようにベントピース原型12の外径よりも小さく、か
つ、配設するベントピースに形成された後述する各種の
開口部と少なくとも連通する程度に大きく形成する必要
がある。
【0030】 ベントホール18が形成された凹部17
に、ベントピース19を固定し、ベントホール18を蓋
閉する。ベントピース19の固定には、叩き込みや金型
16の熱膨張収縮を利用した機械的なカシメにより、簡
単に行うことができる。また、接着剤を用いてもよい。
更に、抵抗溶接やパーカッション溶接等によりより強固
に固定することも可能である。
【0031】 ベントピース19は、タイヤを成形する
際に形成される閉塞空間とベントホール18との間に位
置し、当然に金型16の表面の一部を形成する部材であ
ると共に、開口部を有し、開口部を通じて閉塞空間に残
留する空気をベントホール18へ導き、タイヤ製品への
「ベア(気泡欠陥)」の発生を抑制する機能を有する。
【0032】 ここで、ベントピース19に形成する開
口部が、例えば、ベントホール18と同等の大きな径を
有する場合には、従来と同様にスピューの発生を引き起
こし、好ましいものではない。従って、本発明において
は、ベントピース18に形成される開口部としては、孔
若しくはスリット、又は溝条及び溝条の底部と連通する
別のベントホールといった形態が採用されるが、以下の
ような制限がある。
【0033】 図3は、ベントピース19の種々の実施
の形態を示す平面図及び断面図である。ベントピース1
9Aでは、複数のスリット21がベントホール18の外
径に一致する円内に形成されている。また、ベントピー
ス19Bでは、複数の孔部22がベントホール18の外
径に一致する円内に形成されている。更に、ベントピー
ス19Cにおいては、一表面には溝条23が形成されて
おり、溝条23の底部と連通するように、ベントピース
19Cの厚み方向に、ベントホール18と連通する別の
ベントホール24が、凹部として設けられている。
【0034】 これらベントピース19A〜19Cに形
成されるスリット21、溝条23については、その幅を
0.01mm〜0.05mmの範囲とすることが好まし
い。このような細い形状とすることで、閉塞空間の空気
を外部に排出すると共に、タイヤ成形の原料部材である
グリーンタイヤがベントホール18へ圧入されることを
抑制することが可能となる。同様に、孔部22の直径
は、0.01mmφ〜0.05mmφの範囲とすること
が好ましい。
【0035】 このようなスリット21等(スリット2
1、孔部22、溝条23を指す。以下、同様とする。)
の形成は、好適には、レーザ加工、例えば、YAG第4
次高調波レーザ、エキシマレーザ、CO2レーザ等を用
いることにより行われる。このようなレーザ加工を用い
た場合、所定のスリット21等の幅を得るためには、ス
リット21等が形成される部分のベントピース19の肉
厚は、スリット21等の幅の3倍〜10倍程度の厚みと
される。
【0036】 なお、スリット21等の形成に当たっ
て、幅又は外径が0.01mm未満の場合には、タイヤ
成形時に十分な空気抜きの効果を維持することができ
ず、また、目詰まりが起こり易くなる問題がある。ま
た、現状のレーザ加工の限界でもある。従って、今後、
レーザ加工技術が更に発達した場合には、目詰まりが起
こり難い限りにおいて、より幅を狭くすることも可能と
考えられる。一方、0.05mmを超えると、ノンスピ
ュー特性を発揮できない。
【0037】 つまり、ベントピース19A〜19Cを
用いた場合であっても、勿論、スリット21等には微小
深さほど成形原料部材のゴムが圧入されることとなる
が、スリット21等について上述した形状を維持する限
りにおいては、タイヤ製品の外観を損なうことはなく、
また、初期性能をも損なうことがない程度の痕跡に止め
られる。このように、本発明によれば、基本的にベント
ホールタイプの金型を用いることにより、金型の製造コ
ストの上昇を極力抑えることが可能となり、しかも、ス
ピューの発生を抑制した高品質のタイヤを得ることが可
能となる。
【0038】 なお、図4(a)に示すように、ベント
ピース19が直線状のスリット21が密に隣接したもの
の場合、タイヤ成形時に、グリーンタイヤがスリットか
ら流出することにより形成されることのあるゴムバリが
千切れ易くなることがある。すなわち、スリット21に
形成されたゴムバリ35は、真っ直ぐ下方に成長する
(図4(b))とは限らず、片方に湾曲する場合があ
り、隣接するゴムバリ35の下方先端が松葉状に接触、
融着し(図4(c))、金型16から成形品37を脱型
するときにスリット21を通り抜けることができずに成
形品37から千切れてスリット21内に残ってしまう
(図4(d))ことがあり、ゴムバリ35が残った状態
で次の成形が開始されると、先のゴムバリ35aは、後
のゴムバリ35bによって押出されベントホール18に
落下する(後のゴムバリ35bと融着する場合もある)
(図4(e)、(f))、このことを繰り返すことによ
ってベントホール18内にゴムバリ35からなる目詰ま
り物質38が堆積し、ベントホールの目詰まりを発生さ
せる(図4(g))、ことがある。
【0039】 このことに対しては、図5(a)〜
(g)に示すように、ベントピースのスリット又は溝条
の形状を、複数の直線及び/又は曲線を組合わせたもの
(19D〜19J)とすることによって、形成されるゴ
ムバリの断面係数を増大させて曲げ剛性を高め湾曲を防
止することが好ましい。
【0040】 本発明は、上述の利点のみならず、メン
テナンスの面でも、従来のノンスピュータイプと比較す
ると、多くの利点を有する。利点の第1点は、スリット
等が形成されている部分の肉厚を薄くすることができる
ので、空気の流通抵抗が極めて小さく、従って、繰り返
しタイヤ成形を行っても、目詰まりが発生し難いことで
ある。第2点は、スリット部等に目詰まりが発生して
も、背面側からの高圧エアーによる噴射や化学洗浄等に
より簡単にクリーニングが可能であることである。
【0041】 さらに、図6に示すように、ベントホー
ル18に、スリット21から流出したゴムバリ35等か
らなる目詰まり物質38が堆積して目詰まりが発生した
場合に対処するため、ベントホール18の内壁に、金属
製又は樹脂製の中空円筒体39を着脱自在に嵌合してな
るものとすることによって(図6(a))、金型16本
体に接合したベントピース19を取り外すことなしに、
この中空円筒体39を着脱する(例えば、この中空円筒
体39を金型16背面から取り出し(図6(b))、ゴ
ムバリ35等からなる目詰まり物質38を除去した後
(図6(c))嵌め直すか、予め用意しておいた新品の
中空円筒体と交換する(図6(d))だけで、ゴムバリ
35等からなる目詰まり物質38を除去することができ
(図6(e))、クリーニングをさらに簡易化すること
ができる。
【0042】 中空円筒体の材質はとしては特に制限は
ないが、グリーンタイヤ(ゴム)との密着性(付着性)
の悪い材料(例えば、チタン材や、テフロン(登録商
標)樹脂等)が目詰まり除去を行い易いため好ましい。
【0043】 一方、通常ベントピース設置部は、ベン
トホールの存在により他の金型部位に比べて、熱容量が
局部的に小さい状態になっている。このため、グリーン
タイヤの加熱硬化に際して、ベントピース直近部は硬化
が遅れ、ゴムバリの発生を助長し、かつ不完全加硫状態
となり易いこと、また、ゴムバリ先端部同士が接触して
融着状態を発生させ易いこと等から、金型からのタイヤ
脱型時のゴムバリ千切れの発生原因であるアンダーカッ
ト(松葉状となること)を発生させ易く、結果的に目詰
まりの発生を助長することになり易い。このことに対し
ては、中空円筒体の材質としてタイヤ金型母材の材質よ
り高い熱容量の材質を用いることが好ましい。具体的に
は、実用性及び低コストの観点から、銅又は銅合金が好
ましい。なお、銅合金は加硫ゴム材との密着性が高いた
め、ゴムバリが付着すると、剥がし難いため、グリーン
タイヤ(ゴム)との接触面にはメッキ等の表面処理を施
すことが好ましい。
【0044】 第3点は、スリット等が損傷した場合で
あっても、ベントピースのみを交換することで補修、対
応が可能であることである。また、第4点は、ベントピ
ースのみを、タイヤ成形時に汚れが付着し難い材質とし
て、スリット等の目詰まりを抑制することが可能である
ことである。つまり、ベントピースの材質は、金型16
の材質と同じである必要はなく、適宜、金属やセラミッ
ク等を選択して用いることもできる。
【0045】 第5点は、既に使用されている従来のス
ピューが発生するベントホールタイプの金型について
も、僅かな改修で本発明の金型へ転換できることであ
る。つまり、上述した本発明の金型の製造方法において
は、ベントピースを埋設するための凹部(図2(d)中
の凹部17をいう。)を、鋳造過程で既に形成していた
が、金型の鋳造過程は従来と同様にして、機械加工によ
りこの凹部を形成することも可能である。
【0046】 このような機械加工による金型への凹部
の形成は、ベントホールの形成前後いずれの段階で行っ
てもよいが、金型の表面は極めて精巧かつ複雑な曲面で
形成されていることが常であるから、機械加工により、
ベントピースを埋設する凹部を形成することは、研磨等
の後加工の必要性が生ずるといった問題を含んでおり、
更に、ベントピースが薄板状である場合には特に深さ方
向の基準が取り難くなることから、加工が困難となる問
題を含む。従って、上述した図2に示される方法、即
ち、金型を鋳造する工程において既にベントピースを埋
設する凹部を形成する方法を採用することは、金型の形
状精度を維持する点からも好ましい。
【0047】 上述した金型の製造方法においては、ベ
ントホールを機械加工により形成していたが、ベントホ
ールは図7に示すような方法によっても形成することが
できる。即ち、作製した鋳型15に、金型16に形成す
るベントホール18と同一外径を有するピン29を所定
位置に固定する(図7(a))。このピン29として
は、金型16を製造する鋳造の際に、溶融金属に溶損・
融着しない材質のものを用いる必要がある。例えば、ア
ルミ鋳造の場合は鋼材のピン、鉄鋼材鋳造の場合はセラ
ミックコーティングした鋼材ピンなどを用いることが好
ましい。
【0048】 鋳型15にピン29を固定した状態で鋳
造を行うことにより、ピン29は、鋳型15から金型1
6側へ取り込まれる(図7(b))。従って、金型16
に鋳包みされたピン29を金型16から抜き取ることで
(図7(c))、ベントホール18を容易に形成するこ
とが可能である(図7(d))。
【0049】 また、金型本体とベントピースとの材質
が異なる場合、直接両者を溶接等によって接合すること
ができない場合がある。例えば、金型本体がアルミニウ
ム合金製で、ベントピースが鋼製の場合には、アルミニ
ウム製金型本体と、ベントピースとを直接溶接すること
ができないことがあった。このことに対しては、金型本
体にベントピース固定用の足場を予め設置しておくこと
が行われているが、これは、足場の設置工数を余分に必
要とするため、効率の面で満足すべき方法ではなかっ
た。
【0050】 このことに対しては、図8(a)〜
(e)に示すように、鋳型15にピン29を挿入して固
定し(図8(a))、固定されたピン29に、金型16
とは異質の材料からなる筒状の固定用部材30を挿通し
て、鋳型15に当接させた状態で金型16の鋳造を行い
(図8(b))、得られた金型16からピン29を抜き
取ることによりベントホール18を形成するとともに、
固定用部材30を金型16内に鋳包み(図8(c)〜
(d))、この固定用部材30にベントピース19を溶
接、固定する(図8(e))ことが好ましい。
【0051】 固定用部材30の形状としては、図8に
示すような円筒状であってもよく、また、図9(a)〜
(c)に示すように、鋳出し座グリ34よりも一回り大
きな板材を金型16本体に鋳包ませる場合(円板状(図
9(a))、四角板状(図9(b)))、鋳出し座グリ
34の寸法に関係なく、固定用部材30を金型16に強
固に固定する場合(ロッキングホール状(図9(c))
等のいずれであってもよい。
【0052】 次に、ベントピースの形状及び固定の形
態について説明する。上述した図3及び図5に記載のベ
ントピースは円板を用いたものであったが、これは、金
型に機械加工によりベントピースを埋設する凹部を形成
する場合には、ドリル等による回転工具を用いれば、円
形状に形成することは容易であることに大きく依存す
る。つまり、円板形状のベントピースは、製造工程面か
らは、コストが嵩まず、好ましい形態である。
【0053】 しかしながら、近年のタイヤにおける溝
形状は、走行性能を考えて複雑化しており、常に円板状
のベントピースを用いることは、タイヤの外観上、好ま
しいものとは言えなくなってきているのが現状である。
そこで、例えば、金型の表面形態に合わせて、多角形等
の角張った形状を有するベントピースを金型に埋設する
ことを考えた場合には、当然にベントピースに相応する
角張った形状を有する凹部を形成しなければならない。
しかしながら、従来の機械加工では、その加工は容易で
はなかった。
【0054】 ところが、上述した図2に記載の金型の
製造方法を用いた場合には、ベントピースの形状を、金
型デザイン、換言すればタイヤの溝デザインに適応させ
て、任意の形状に設定することを容易に行うことができ
る。
【0055】 図10は、金型31のタイヤ成形面に種
々の形状を有するベントピース32A〜32Cを配設し
た例を示す説明図である。ベントピース32A〜32C
が配設されている区画(図10中、点によりハッチング
されている部分)は、金型31の凹面(ベントピースを
配設する凹部とは異なる)である。図2から明らかなよ
うに、このようなベントピース32A〜32Cを配設す
るためには、同形状のベントピース原型をマスターモデ
ルに固定しておけばよい。なお、ベントピース32A〜
32C内に記されている線は、スリット33を示してい
る。
【0056】 さて、上述した任意形状のベントピース
の配設方法を更に応用すれば、図11(a)に示すよう
に、金型41の凹面42のみならず、凸部(骨部)43
の側面にもベントピース44を配設することが可能であ
る。図11(a)においては、金型41の凹面42と凸
部43とのコーナー部にL字型のベントピース44が埋
設されており、ベントピース44の折り曲げ部分におい
て、凹面42及び凸部43の側面の両面にベントホール
(図示せず)に連通するスリット46が形成されてい
る。
【0057】 なお、図11(b)、(c)は、図11
(a)中の面Aにおける断面の例であるが、金型41に
形成されるベントホール45は、ベントピース44のス
リット46に連通する形態であれば、その形態は限定さ
れない。図11(b)の形態は、金型41の表面側、即
ちベントピースを埋設する側からしかベントホールの形
成が困難である場合に好適に採用され、一方、図11
(c)の形態は、金型41の背面側からベントホールを
形成する場合に好適な形態である。
【0058】 ところで、図11の各図に示したベント
ピースの配設方法を用いた場合には、更に、図12
(a)に示すように、ベントピース44の金型41の凹
面42上に当たる部分においてはスリットを形成せず
に、凸部43の側面に当たる部分のみにスリット46を
形成することも可能となる。このようなベントピース4
7を用いた場合には、成形されるタイヤの表面にスリッ
ト等の痕跡が残らないために、外観上及び初期性能上、
より好ましい製品を得ることができることとなる。
【0059】 同様に、図12(b)に示すように、凸
部43が交錯する形態を有する金型49においては、凸
部43と凹面42の3面からなるコーナー部に、同様に
3面からなるベントピース48を埋設すればよく、ベン
トピース48において、凹面42に埋設されることとな
る部分においては、スリット等を形成しないこととすれ
ばよい。
【0060】 次に、上述した通りに金型に配設される
ベントピースの具体的な配設、固定の形態について説明
する。図2に示したベントピース原型12をマスターモ
デル10に固定する方法を用いた場合には、得られる金
型16に形成された凹部17は、ベントピース19とほ
ぼ同じ大きさを有するため、前述したように、ベントピ
ース19は、叩き込みによる方法、樹脂接着剤を用いる
方法、溶接による方法等を用いて凹部17へ配設するこ
とができる。
【0061】 しかし、ベントピース原型12又はベン
トピース19の形状の微小なばらつきによって、ベント
ピース19が凹部17に嵌合されずに、すぐに外れてし
まう場合、或いは樹脂系接着剤をできるだけ使用しない
ようにすることが好ましい場合も想定される。このよう
な場合には、ベントピース19の固定をより確実かつ強
固に行う方法として、例えば、図13に示されるよう
に、ベントピース19を埋設する凹部17の周囲に突起
部51を形成しておき、ベントピース19を嵌合した後
に、突起部51を機械的に潰す方法を用いることができ
る。このような突起部51は、マスターモデルの所定位
置に、窪み(凹部)を設けておけば、簡単に鋳造工程で
金型に形成することができる。
【0062】 突起部51の形状には制限はないが、潰
されたときに、凹部17とベントピース19との間に隙
間が生じないような形状とすることが好ましい。突起部
51を潰したときに、その跡に微小な不定形の凸部52
が形成される場合には、スクレイパー53を用いて凸部
52を削り取り、金型16表面を均一に馴らすことで、
金型16の平坦性を容易に確保することできる。
【0063】 なお、ベントピースの金型への固定方法
としては、図14に示すように、ベントピース19の外
周部にかかるように、共材ピン61を打ち込むことによ
っても行うことができる。共材ピン61の代わりに皿ネ
ジを用いることもでき、ベントピース19固定後に皿ネ
ジの皿上にある+型や−型のドライバ用窪みに充填材を
充填し、表面を平坦にすればよい。
【0064】
【実施例】 次に本発明の実施例について説明するが、
本発明が以下の実施例に限定されるものでないことはい
うまでもない。
【0065】(実施例1)図15は作製した金型71の
概略の形を示す説明図であり、図15(a)は平面図、
図15(b)は断面図をそれぞれ示している。金型71
は、アルミ合金製で、タイヤの厚み方向には分割されて
いない上下一体型のものであって、径方向に7個に分割
されたパーツから構成されている。
【0066】 金型71の製造方法は、従来の鋳造法と
同じであり、鋳造過程ではベントピースを埋設する凹部
は形成されず、後に機械加工により形成した。即ち、図
16(a)に示すように、ベントホール74はドリルを
用いた機械加工により形成し、ベントホール74の直径
は1.6mmφとした。ここで、ベントホール74にお
いては、金型71表面から3.3mmの深さまでは直径
3mmφに広げられてドリル加工されている。この直径
3mmφの部分には、長さ3mm、内径1.6mmφ、
外径3mmφのスリーブ75が先ず埋設され、次に、ベ
ントピース73が埋設される形態とした。スリーブ75
を用いた理由は、ベントピース73の厚みに相当する
0.3mm深さの凹部の形成が困難であったことによ
る。
【0067】 使用したベントピース73は、図16
(b)に示すように、厚み0.3mm、直径3mmφの
SUS製円板の中心1.6mmφの範囲内に、0.04
mm幅のスリット72が0.35mm間隔で形成された
ものである。ベントピース73におけるスリット72の
形成はレーザ加工により行い、金型71へのベントピー
ス73の埋設には樹脂系接着剤を用いた。なお、図16
(a)、(b)は共に、実寸に沿った図ではなく、あく
まで形態を明らかにするための説明図である。
【0068】 上述のようにして作製した金型を用いて
タイヤを成形したところ、スピューを発生させることな
く、かつ、ベア等の欠陥を発生させることもないことが
確認された。また、スリット72の目詰まりに関して
は、約20000本の成形を行った場合でも問題は発生
せず、ベアの発生は20000本を超えた辺りから、徐
々に、しかも僅かに発生するにとどまった。なお、ベア
の発生が認められた後には、金型71の背面からの洗浄
液噴射によるクリーニングを行うことで、ベアの発生を
解消することができた。
【0069】(実施例2)前述した図2に示す方法、即
ち、マスターモデルの所定位置に、3.05mmφ、厚
さ0.3mmのベントピース原型を接着剤にて固定した
後に鋳造を行う方法により、金型を作製した。鋳造後
に、1.6mmφのベントホールを金型に形成されたベ
ントピース原型跡(凹部)の中央部にドリル加工により
形成し、前述した実施例1において使用したものと同じ
ベントピースをベントピース原型跡の凹部へ固定した。
ベントピースの固定は、叩き込みによる方法により行っ
たが、接着剤も併用した。
【0070】 本実施例では、実施例1の場合のよう
に、スリーブを用いる必要はない。また、ベントホール
の形成にも、複数の径のドリルを使用する必要がない。
従って、本実施例を採用した場合には、先の実施例1と
比較して、ベントホールの形成コストを約30%程度低
減することが可能であった。更に、本実施例で得られた
金型にて製造したタイヤは、実施例1と同様にスピュー
の発生がなく、ベア等の欠陥の発生も確認されなかっ
た。なお、スリットの目詰まりについては、実施例1と
同様の結果が得られた。
【0071】(実施例3)金型の製法として石膏鋳造法
ではなく、セラミック鋳型を用いたショウプロセスを採
用して、球状黒鉛鋳鉄による金型作製を行った。なお、
鋳型材は、エチルシリケートをバインダとしてセラミッ
クパウダー(アルミナ、ジルコニア、ムライトの混合
物)を混練し、焼成したものであり、金型材の球状黒鉛
鋳鉄は、鉄を主成分とし、その他に炭素:3.5%、シ
リコン:1%、マグネシウム:0.4%を含有する。
【0072】 マスターモデルの所定位置に、先に図1
0に示したように、金型デザインを考慮して、平面形状
が三角形や正方形、台形といった多角形の各種ベントピ
ース原型を固定し、これらベントピースを埋設する凹部
が形成された金型を作製した。各種ベントピースの中央
部には、実施例1と同形状を有するスリットが形成され
ており、また、ベントホールは回転工具を用いた機械加
工により形成し、ベントピースの金型への埋設は、パー
カッション溶接により行った。
【0073】 作製した金型を用いて、タイヤ成形を行
ったところ、前述した実施例2の場合と同等の特性が得
られ、かつ、タイヤ製品における外観上の違和感、即
ち、ベントピース埋設跡を極小化することができた。
【0074】 なお、多角形のベントピースを埋設する
凹部を、金型に機械加工により形成するためには、放電
加工を用いる必要があり、多大な工数を要することとな
り、金型の製造コストが極めて高くなるという問題を生
ずる。しかし、上述した本発明に係る方法によれば、金
型の製造コストの上昇を抑えることが容易であり、しか
も、高品質のタイヤ製品を得ることが可能となる。
【0075】
【発明の効果】 以上、本発明によれば、金型製造コス
トが安価なスピュータイプの金型の製造方法とほぼ同等
の製造方法を用いつつも、スピューの発生を抑制して、
外観品質、走行性能に優れたタイヤを安価に製造するこ
とが可能となるという顕著な効果を奏する。また、金型
のメンテナンスも容易であることから、金型の維持コス
トやメンテナンスコストが低減され、延いては、タイヤ
製品の製造コストの低減に寄与する。更に、ベントピー
スが損傷した場合には、ベントピースの交換のみで対応
が可能である点からも、金型寿命が延び、金型製造コス
ト及びタイヤ製造コストの低減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 タイヤ成形用金型の製造に当たって使用され
るマスターモデルの1パーツの一部分を示す斜視図であ
る。
【図2】 マスターモデルを用いた本発明にかかる金型
の製造工程を示した説明図である。
【図3】 本発明のタイヤ成形用金型に好適に用いられ
るベントピースの実施形態を示す平面図及び断面図であ
る。
【図4】 ベントピースのスリットが直線状の密に隣接
したものである場合、タイヤ成形時に、ゴムバリが千切
れ易くなることを示す断面図である。
【図5】 本発明のタイヤ成形用金型に好適に用いられ
るベントピースの他の実施形態を示す平面図である。
【図6】 本発明のタイヤ成形用金型においてクリーニ
ングの簡易化のために好適に用いられる、ベントホール
に着脱自在に嵌合する中空円筒体の使用方法を示す断面
図である。
【図7】 本発明のタイヤ成形用金型の製造方法に好適
に用いられるベントホールの形成方法を示す説明図であ
る。
【図8】 本発明のタイヤ成形用金型の製造方法に好適
に用いられる他のベントホールの形成方法(固定用部材
を用いる方法)を示す説明図である。
【図9】 本発明において好適に用いられる固定用部材
の設置例を示す平面図、断面図及び斜視図である。
【図10】 金型のタイヤ成形面に種々の形状を有する
ベントピースを配設した一形態を示す説明図である。
【図11】 本発明において好適に採用されるベントピ
ースの配設方法の一実施形態を示す説明図である。
【図12】 本発明において好適に採用されるベントピ
ースの配設方法の他の実施形態を示す説明図である。
【図13】 本発明のおけるベントピースの金型への固
定方法の一実施形態を示す説明図である。
【図14】 本発明のおけるベントピースの金型への固
定方法の他の実施形態を示す説明図である。
【図15】 実施例に用いた金型の概略構造を示す説明
図である。
【図16】 実施例に用いた金型のベントホール近傍及
びベントピースの構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1、10…マスターモデル、11…凸部表面、12…ベ
ントピース原型、13…溝部、14…ゴム型、15…鋳
型、16…タイヤ成形用金型(金型)、17…凹部、1
8…ベントホール、19(19A〜19J)…ベントピ
ース、21…スリット、22…孔部、23…溝条、24
…別のベントホール、29…ピン、30…固定用部材、
31…金型、32A〜32C…ベントピース、33…ス
リット、34…鋳出し座グリ、35…ゴムバリ、35a
…先のゴムバリ、35b…後のゴムバリ、36…グリー
ンタイヤ、37…成形品、38…目詰まり物質、39…
中空円筒体、41…金型、42…凹面、43…凸部(骨
部)、44…ベントピース、45…ベントホール、46
…スリット、47、48…ベントピース、49…金型、
51…突起部、52…凸部、53…スクレイパー、61
…共材ピン、71…金型、72…スリット、73…ベン
トピース、74…ベントホール、75…スリーブ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 30:00 B29L 30:00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金型各部にベントホールが形成されてな
    るタイヤ成形用金型であって、 前記ベントホールを蓋閉するように、ベントピースが前
    記金型各部の表面に埋設され、かつ、前記ベントピース
    に、前記ベントホールに連通する孔部若しくはスリッ
    ト、又は溝条及び前記溝条の底部と連通する別のベント
    ホールが形成されてなることを特徴とするタイヤ成形用
    金型。
  2. 【請求項2】 前記ベントピースに形成されたスリット
    又は溝条が、複数の直線及び/又は曲線を組合わせた形
    状を有してなる請求項1に記載のタイヤ成形用金型。
  3. 【請求項3】 前記スリット及び溝条の幅が、0.01
    mm〜0.05mmの範囲にある請求項1又は2に記載
    のタイヤ成形用金型。
  4. 【請求項4】 前記孔部の直径が0.01mmφ〜0.
    05mmφの範囲にある請求項1に記載のタイヤ成形用
    金型。
  5. 【請求項5】 前記ベントピースの形状が、タイヤ金型
    デザインに準じた任意の形状に設定される請求項1〜4
    のいずれかに記載のタイヤ成形用金型。
  6. 【請求項6】 前記ベントホールの内壁に、金属製又は
    樹脂製の中空円筒体を着脱自在に嵌合してなる請求項1
    〜5のいずれかに記載のタイヤ成形用金型。
  7. 【請求項7】 金型各部にベントホールが形成され、前
    記ベントホールに連通する開口部が形成されたベントピ
    ースが、前記ベントホールを蓋閉するように前記金型各
    部の表面に埋設された、鋳造により作製されるタイヤ成
    形用金型の製造方法であって、 マスターモデルの所定位置に、開口部が形成されていな
    いベントピース原型を配設した状態として、反転型であ
    るゴム型を作製した後、鋳型に反転させ、再び反転させ
    て金型を得、 前記金型に形成された前記ベントピース原型跡にベント
    ホールを形成した後に前記ベントホールを開口部が形成
    されたベントピースにより蓋閉することを特徴とするタ
    イヤ成形用金型の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記鋳型における前記ベントピース原型
    跡にピンを固定した状態において、前記金型の鋳造を行
    い、得られた金型から前記ピンを抜き取ることにより前
    記ベントホールを形成する請求項7に記載のタイヤ成形
    用金型の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記固定されたピンに、前記金型とは異
    質の材料からなる筒状の固定用部材を挿通して、前記鋳
    型に当接させた状態で前記金型の鋳造を行い、得られた
    金型から前記ピンを抜き取ることによりベントホールを
    形成するとともに、前記固定用部材を前記金型内に鋳包
    み、この固定用部材に前記ベントピースを溶接、固定す
    る請求項8に記載のタイヤ成形用金型の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記ベントピースの開口部が、孔若し
    くはスリット、又は溝条及び前記溝条に連通する孔であ
    る請求項7〜9のいずれかに記載のタイヤ成形用金型の
    製造方法。
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