JP2001229953A - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム

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JP2001229953A JP2000041192A JP2000041192A JP2001229953A JP 2001229953 A JP2001229953 A JP 2001229953A JP 2000041192 A JP2000041192 A JP 2000041192A JP 2000041192 A JP2000041192 A JP 2000041192A JP 2001229953 A JP2001229953 A JP 2001229953A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】起動時間をより短縮化できる燃料電池システム
を提供する。 【解決手段】起電燃料となる水素リッチガスを生成する
改質器11を有する燃料電池システム1であり、システ
ムの起動時には、最初に改質燃料と酸化剤とを改質器1
1へ供給し、部分酸化反応による昇温を開始する。ま
た、改質燃料と酸化剤とを燃焼器22へ供給し、改質器
11の昇温と同時に燃焼器22の昇温も開始する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池システム
に関し、特に起動時間を短縮できる燃料電池システムに
関する。
【0002】
【従来の技術】この種の燃料電池システムは、燃料が有
するエネルギを直接電気エネルギに変換する装置であ
り、電解質膜を挟んで設けられた一対の電極のうちの陰
極(燃料極)側に水素リッチガスを供給するとともに、
他方の陽極(酸化剤極)側に空気などの酸素含有ガスを
供給し、これら一対の電極の電解質膜側の表面で生じる
下記の電気化学反応を利用して電極から電気エネルギを
取り出すものである(たとえば特開平8−106914
号公報参照)。
【0003】
【化1】陰極反応:H2 →2H+ +2e- 陽極反応:2H+ +2e- +(1/2)O2 →H2 O 起電燃料となる水素リッチガスを生成する装置として、
メタノールを水蒸気改質して水素を多量に含む燃料ガス
とする改質器が用いられ、酸素を含有する酸化剤ガスを
生成する装置として、空気を取り入れて圧縮空気とする
圧縮機が用いられる。そして、圧縮機からの圧縮空気を
アフタークーラ等で冷却したのち燃料電池の陽極へ供給
する一方で、燃料タンクから改質器へメタノールガスを
送り、当該改質器にて改質された水素リッチガスを燃料
電池の陰極へ供給する。
【0004】こうした燃料電池システムは、二次電池に
よる電気自動車に比べ、走行可能距離や燃料のインフラ
ストラクチャの整備条件等の点で有利であることから、
車両用駆動電源への採用が検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、燃料電池シ
ステムを車両用駆動電源に採用するには、起動時間の短
縮が解決すべき課題の一つであり、特に水素リッチガス
を如何に早く生成できるかが問題となっている。
【0006】たとえば、特開平11−86893号公報
に開示された燃料電池システムは改質装置の起動時間の
短縮を目的としたもので、システムの始動時において
は、燃料ポンプで送られた改質燃料をバーナーを用いて
燃焼させ、改質燃料を気化させる蒸発器を加熱した後、
排気ガスで改質加熱部を昇温させることが提案されてい
る。このとき、昇温を早くさせるために、バーナーへの
燃料供給を過剰にすることや、排気ガスで改質部を加熱
する加熱部にノズルを介して直接燃料を噴霧し、加熱部
ケース表面に触媒をコートし、ケース表面で燃焼させ、
発生した熱で改質部を外部から加熱昇温することも提案
されている。
【0007】しかしながら、この燃料電池システムで
は、最初にバーナーを起動昇温し、このバーナーからの
燃焼ガスで蒸発器を昇温したのち、改質部を燃焼ガスで
加熱するといった起動手順を採用しているため、すなわ
ちバーナーと蒸発器が昇温したのち改質部を昇温するの
で、改質部が昇温するまでの時間だけ起動時間が長くか
かるという問題があった。
【0008】本発明は、このような従来技術の問題点に
鑑みてなされたものであり、起動時間をより短縮化でき
る燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】(1) 上記目的を達成
するために、請求項1記載の燃料電池システムは、起電
燃料となる水素含有ガスを生成する改質器を有する燃料
電池システムにおいて、システムの起動時には、最初に
改質燃料と酸化剤とを前記改質器へ供給し、部分酸化反
応による昇温を開始することを特徴とする。
【0010】この請求項1記載の発明では、起動時の最
初に改質器に改質燃料と酸化剤とを供給する。改質器の
改質触媒は、触媒温度が常温であっても改質燃料と酸化
剤とを供給すると、発熱反応である部分酸化反応を開始
する(下記化学反応式参照)。これにより改質器は自己
加熱され、昇温が開始される。なおこのとき、供給する
酸化剤の割合を定常作動時の燃料に対する割合よりも多
く供給することで、発熱量をより高めることができる。
【0011】
【化2】部分酸化反応 :CH3 OH+1/2O2→2
H2 +CO2 +189.5kJ/mol このとき発生する改質ガスには、多くの水素、一酸化炭
素、未反応の改質燃料(例えばメタノール)等の可燃ガ
スが含まれている。この可燃ガスは、改質器自体を昇温
させるとともに、下流側に配置された一酸化炭素除去器
を加熱し、さらに燃焼器へ流入する。この燃焼器は燃焼
触媒を有するので、触媒温度が常温であっても可燃ガス
である改質ガスを燃焼させることができ、これにより改
質器の起動と同時に燃焼器の起動を開始することができ
る。
【0012】このような起動手順により、改質器と燃焼
器の燃焼による昇温を同時に開始することが可能とな
り、改質システム全体を短時間で昇温および起動するこ
とができ、その結果、燃料電池システムの起動時間の短
縮化を図ることができる。
【0013】(2)上記発明においては特に限定されな
いが、請求項2記載の燃料電池システムは、燃焼器をさ
らに有し、システムの起動時には改質燃料と酸化剤とを
前記燃焼器へ供給し、前記改質器の昇温と同時に燃焼器
の昇温を開始することを特徴とする。
【0014】この請求項2記載の発明では、排水素等の
燃焼器に改質燃料と酸化剤とを供給して燃焼を開始する
ので、上記改質器で発生した改質ガスの熱エネルギーに
燃焼による熱エネルギーが加算される。これにより、燃
焼器の昇温がより一層早くなるばかりでなく、燃焼器の
下流に設けられる蒸発器等をも早く昇温することができ
るので、改質システム全体を短時間で昇温および起動す
ることができ、その結果、燃料電池システムの起動時間
の短縮化を図ることができる。
【0015】(3)上記発明においては特に限定されな
いが、請求項3記載の燃料電池システムは、前記改質器
へ供給すべき改質燃料を加熱する第1のヒータと、前記
改質器へ供給すべき酸化剤を加熱する第2のヒータとの
少なくとも何れか一方を有し、これら第1のヒータおよ
び/または第2のヒータにより気化されたガスを最初に
改質器へ供給して昇温を開始することを特徴とする。
【0016】この請求項3記載の発明では、改質器に供
給すべき改質燃料と酸化剤とを加熱するヒータを有する
ので、起動時において改質器の触媒温度が常温であって
も、改質燃料および/または酸化剤の温度を高めること
により、上述した発熱反応である部分酸化反応の反応速
度をより早くすることができる。また、改質燃料および
/または酸化剤の気化熱をヒータから供給でき、改質器
で生じる部分酸化反応の熱が気化熱として奪われること
がないので、改質器の昇温時間がさらに短縮され、改質
システム全体を短時間で昇温および起動することがで
き、その結果、燃料電池システムの起動時間の短縮化を
図ることができる。
【0017】(4)上記発明においては特に限定されな
いが、請求項4記載の燃料電池システムは、前記改質器
の入口に触媒が担持された第3のヒータを設け、当該第
3のヒータが昇温したのち、改質燃料および酸化剤を供
給することを特徴とする。
【0018】この請求項4記載の発明では、改質触媒を
担持した第3のヒータを改質器の先頭部分に設けている
ので、この第3のヒータに通電すればヒータ部分に担持
された触媒の温度がごく短時間で昇温する。これによ
り、上述した発熱反応である部分酸化反応速度を著しく
早くすることができ、改質器の昇温時間がさらに短縮さ
れ、改質システム全体を短時間で昇温および起動するこ
とができ、その結果、燃料電池システムの起動時間の短
縮化を図ることができる。
【0019】(5)上記発明においては特に限定されな
いが、請求項5記載の燃料電池システムは、選択酸化反
応による一酸化炭素除去器をさらに有し、前記改質器が
着火したのち、前記一酸化炭素除去器へ酸化剤を供給
し、酸化反応による自己発熱を行ない昇温させることを
特徴とする。
【0020】一酸化炭素除去器は一酸化炭素を選択的に
酸化する触媒を有するので、酸化剤を供給すると酸化反
応が生じる。この一酸化炭素の選択的な反応は特定の温
度領域でのみ生じ、他の温度領域においてこの触媒は酸
化触媒として機能する。
【0021】そこで、請求項5記載の発明では、水素ガ
ス、改質燃料ガスおよび一酸化炭素を燃焼させることで
一酸化炭素除去器が自己発熱し、一酸化炭素除去器を短
時間で昇温および起動することができ、その結果、燃料
電池システムの起動時間の短縮化を図ることができる。
【0022】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、部分酸化
反応の自己発熱により改質システム全体を短時間で昇温
および起動することができ、その結果、燃料電池システ
ムの起動時間の短縮化を図ることができる。
【0023】これに加えて、請求項2記載の発明によれ
ば、燃焼器の昇温がより一層早くなるばかりでなく、燃
焼器の下流に設けられる蒸発器等をも早く昇温すること
ができるので、改質システム全体を短時間で昇温および
起動することができ、その結果、燃料電池システムの起
動時間の短縮化を図ることができる。
【0024】また、請求項3記載の発明によれば、起動
時において改質器の触媒温度が常温であっても、改質燃
料および/または酸化剤の温度を高めることにより、上
述した発熱反応である部分酸化反応の反応速度をより早
くすることができる。また、改質燃料および/または酸
化剤の気化熱をヒータから供給でき、改質器で生じる部
分酸化反応の熱が気化熱として奪われることがないの
で、改質器の昇温時間がさらに短縮され、改質システム
全体を短時間で昇温および起動することができ、その結
果、燃料電池システムの起動時間の短縮化を図ることが
できる。
【0025】さらに請求項4記載の発明によれば、発熱
反応である部分酸化反応速度を著しく早くすることがで
き、改質器の昇温時間がさらに短縮され、改質システム
全体を短時間で昇温および起動することができ、その結
果、燃料電池システムの起動時間の短縮化を図ることが
できる。
【0026】また、請求項5記載の発明によれば、水素
ガス、改質燃料ガスおよび一酸化炭素を燃焼させること
で一酸化炭素除去器が自己発熱し、一酸化炭素除去器を
短時間で昇温および起動することができ、その結果、燃
料電池システムの起動時間の短縮化を図ることができ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。第1実施形態 図1は本発明の燃料電池システムの要部を示すブロック
図である。本実施形態の燃料電池システム1は、図外の
燃料電池スタックの陰極(燃料極)側へ供給すべき水素
リッチガスを生成するための改質器11と、同じく燃料
電池スタックの陽極(酸化剤)側へ供給すべき空気を生
成するためのコンプレッサ12とを有する。
【0028】改質器11は、メタノールなどの炭化水素
と空気などの酸化剤と水蒸気とを触媒の存在下において
反応させ、水素リッチガスを得るものであり、改質燃料
であるメタノールは燃料タンク13からポンプ14によ
り改質器11へ供給される。なお図示はしないが、メタ
ノール液は噴射ノズルにより微粒化された状態で改質触
媒へ供給される。一方、酸化剤である空気はコンプレッ
サ12から改質器11へ供給され、水蒸気は、水が収容
されたタンク16から蒸発器19にて気化されたのち改
質器11へ供給される。なお、符号15はメタノールの
供給量を調節するための流量調節弁、符号18は水蒸気
の供給量を調節するための流量調節弁、符号32は空気
の供給量を調節するための流量調節弁である。
【0029】改質器11の下流側には、燃料電池スタッ
クの被毒防止のため、改質器11で生成された改質ガス
中に含まれた一酸化炭素を許容範囲まで低減する一酸化
炭素除去器20が設けられており、コンプレッサ12か
らの空気を供給し、触媒の存在下において改質ガスに含
まれた一酸化炭素を選択的に酸化することで二酸化炭素
に変える。符号23は一酸化炭素除去器20に供給され
る空気の供給量を調節するための流量調節弁である。
【0030】一酸化炭素除去器20の下流側の配管には
三方弁21が設けられ、起動時における改質ガスの供給
先と定常運転時における改質ガスの供給先とを切り替え
る。詳細は後述するが、起動時においては一酸化炭素除
去器20からの改質ガスを燃焼器22へ供給し、定常運
転時においては一酸化炭素除去器20からの改質ガスを
燃料電池スタックの陰極へ供給する。
【0031】本実施形態の燃料電池システム1では、燃
料電池スタックで余剰となった水素リッチガスなどを燃
焼し、これにより得られる熱エネルギーを蒸発器19や
改質器11で利用するための燃焼器22を有し、既述し
たように三方弁21の切り替えによって一酸化炭素除去
器20から改質ガスが供給されるとともに、コンプレッ
サ12から酸化剤としての空気が供給される。これによ
り高温の燃焼ガスが発生し、この発生した燃焼ガスを下
流側に設けられた蒸発器19へ供給することで蒸発器1
9を昇温させたのち系外へ排気する。符号24は燃焼器
22に供給される空気の供給量を調節するための流量調
節弁である。
【0032】本実施形態の燃料電池システム1では、改
質器11の入口の温度を検出するための温度センサ2
5、一酸化炭素除去器20の入口の温度を検出するため
の温度センサ26、燃焼器22の入口の温度を検出する
ための温度センサ27、燃焼器22の出口の温度を検出
するための温度センサ28、蒸発器19の出口の温度を
検出するための温度センサ29および改質器11へ供給
される水蒸気の到着確認を行うために当該改質器11へ
の供給管内の温度を検出するための温度センサ30が設
けられ、それぞれの温度センサからの検出信号はコント
ローラ31へ送出される。
【0033】また、既述したコンプレッサ12、ポンプ
14,17、流量調節弁15,18,23,24,3
2、および三方弁21はコントローラ31により制御さ
れる。
【0034】次に動作を説明する。図2は本実施形態の
燃料電池システムの起動手順を示すフローチャートであ
り、まず、ポンプ14およびコンプレッサ12を起動し
たのち、改質器11へ改質燃料と空気とを流量調節弁1
5,32で調量しながら供給する。また、これと同時に
燃焼器22へ燃焼用空気を流量調節器24で調量しなが
ら供給する(S10〜S40)。
【0035】こうして改質燃料と空気とが供給された改
質器11において、改質触媒は常温状態であるものの、
常温においても部分酸化反応が開始され、発熱しながら
改質ガスを発生する。この発生した改質ガスと発熱エネ
ルギーとにより改質触媒は加熱されて昇温し、一層の部
分酸化反応が生じ、相乗的に昇温する。
【0036】なお、ステップ50の着火確認は、改質器
11の入口に設けられた温度センサー25による温度上
昇で確認できる。
【0037】生成した改質ガスは、一酸化炭素除去器2
0を昇温させながら燃焼器22に流入する。なお、既述
したように、燃料電池システム1の起動時には三方弁2
1を燃焼器22側に切り替えておき、一酸化炭素除去器
20から流出するガスの全てを燃焼器22に導く。
【0038】燃焼器22は、ステップ40の操作により
既に空気が供給されているので、内蔵された燃焼触媒が
常温状態であっても、容易に着火して燃焼を開始する。
そして、燃料器22自体を昇温させながら高温の燃焼ガ
スを蒸発器19に供給する。なお、ステップ60の燃焼
器22の着火確認は、燃焼器22の入口に設けられた温
度センサー27により確認することができる。燃焼器2
2で生成した燃焼ガスは蒸発器19を加熱したのち系外
へ排気される。
【0039】こうして改質器11燃焼器22との着火を
確認したのち、発熱量を増加させるため、ステップ70
にて改質器11へ供給する改質燃料と空気とを増量させ
る。
【0040】次いで、ステップ80にて一酸化炭素除去
器20の入口に設けられた温度センサー26が所定温度
以上に昇温したことを確認する。ここで、一酸化炭素除
去器20が所定温度以上に昇温していれば、当該一酸化
炭素除去器20へ空気を供給することにより酸化反応が
可能になるため、この判断後、ステップ90にて、流量
調節弁23で調量しながらコンプレッサ12からの酸化
用空気を一酸化炭素除去器20へ供給する。
【0041】以上の操作により、改質器11、一酸化炭
素除去器20および燃焼器22の全てにおいて発熱反応
が行われる。
【0042】さらに、発生する改質ガスの量は、ステッ
プ70の改質燃料の供給量の増加にともない増加するた
め、ステップ100にて、燃焼器22の燃焼ガス温度を
温度センサー28で計測し、コンプレッサ12から供給
される空気流量を調整し、所定の温度に制御する。
【0043】このような昇温を続けたのち、蒸発器19
の出口に設けられた温度センサー29により排気ガス温
度を計測し、その計測された温度が所定の温度に達する
と、ステップ110にて蒸発器19の昇温が完了したと
判断する。
【0044】この蒸発器19の昇温確認後、ステップ1
20にて、三方弁33を切り替え、それまで改質器11
に供給していた改質燃料を蒸発器19に供給する。ま
た、ポンプ17を起動して水を蒸発器19に供給する。
この供給と同時に、ステップ130にて流量調節弁32
を介して供給していた改質器11への空気の供給を停止
する。この空気の供給を一時的に停止するのは、改質燃
料の供給を停止しているときに空気によって触媒が酸化
され触媒活性が低下するからである。
【0045】なお、蒸発器19で気化された改質燃料ガ
スは、配管を介して改質器11へ供給されるが、ステッ
プ140における改質燃料ガスの改質器11への到着確
認は、改質器11の入口(配管の出口)に設けられた温
度センサー30の温度上昇により確認する。
【0046】改質燃料ガスと水蒸気の到着を確認した
ら、ステップ150にてコンプレッサ12から流量調節
弁32を介して改質器11へ部分酸化反応用の空気を供
給する。これにより改質器11では、蒸発器19からの
改質燃料ガスおよび水蒸気とコンプレッサ12からの空
気とによって部分酸化反応が再開される。また、燃焼器
22は改質ガスの燃焼を継続するが、改質触媒や燃焼触
媒、および各反応器の昇温が進んでいるので、各々の温
度を温度センサ25〜29で検出し、所定の温度条件を
保つように空気流量を制御する(ステップ160)。こ
のようにして、燃料電池システム1の各要素部品の温度
が所定の温度の達し、起動が終了する。
【0047】本実施形態によれば、改質燃料と空気とを
改質器11に最初に供給することにより、大きな熱容量
を有し、昇温および起動に長時間を要する改質器11と
燃焼器22とを同時に昇温することができる。このた
め、従来技術で述べたような、燃焼器と蒸発器とが昇温
したのちに改質器の昇温を開始するといった構成に比べ
て、昇温時間を大幅に短縮することができる。
【0048】また、改質燃料は、改質触媒で部分酸化に
より可燃性ガスに改質されたのち燃焼器22で燃焼する
ので、2つの触媒で燃焼すると同時に、燃焼器22では
ガス化された改質ガスを燃焼させることができ、有害な
成分を含む排気ガスを排出することなく起動することが
できる。
【0049】第2実施形態 図3は本発明の燃料電池システムの他の実施形態を示す
ブロック図であり、上述した第1実施形態に対して、燃
焼器22および改質器11の着火特性の改善を図ったも
のである。
【0050】すなわち、ポンプ14から流量調節弁15
を介して改質器11に供給される改質燃料は、冷間時の
着火特性を高めるために、ヒータにより加熱される蒸発
器34を有し、また、コンプレッサ12から改質器11
へ供給される空気を同様に加熱するヒーター35を有す
る。そして、気化された改質燃料と予熱された空気との
それぞれを改質器11に供給する。
【0051】さらに、改質器11の改質触媒の先頭部分
の触媒は、ヒータ36の表面に担持されており、このヒ
ータ36を加熱することにより改質触媒の先頭部分の触
媒温度を昇温させ、これにより着火性が向上する。
【0052】また、燃焼器22へ供給される空気も同じ
くヒータ37で予熱され、冷間時においても良好な着火
特性を得ることができる。
【0053】これに加えて、タンク13に収容された改
質燃料の一部が、ポンプ38を用いて燃焼器22へ供給
される。
【0054】次に動作を説明する。図4は本実施形態の
燃料電池システムの起動手順を示すフローチャートであ
り、上述した第1実施形態との相違点は以下の通りであ
る。なお、同じ操作を行うステップには同じ符号を付し
ている。
【0055】すなわち、コンプレッサ12を起動したの
ち、ステップ22〜26にて蒸発器34、ヒータ35,
36,37を起動する。これら蒸発器およびヒータの起
動後、ヒータの昇温に要する時間を予め設定した基準通
電時間の経過で、これらのヒータは昇温を終了したと判
断し(ステップ28)、改質器11へ改質燃料の供給を
開始する。
【0056】また、改質器11内に設けられたヒータ3
6は、ステップ50による改質触媒の着火を確認したの
ち、予め設定された時間経過後に、電源をOFFする
(ステップ52)。同様に、改質器11と燃焼器22へ
の供給空気を加熱するヒーター35,37は、ステップ
110による蒸発器22の昇温を確認したのちOFFす
る(ステップ112)。
【0057】本実施形態では、ポンプ38によって改質
燃料を燃焼器22へ直接供給するので、改質器11で生
じた改質ガスの熱エネルギーに、改質燃料の燃焼による
熱エネルギーが加算されるので、より多くの熱量を得る
ことができ、より早い起動を実現することができる。な
お、ポンプ38によって燃焼器22へ直接供給する改質
燃料は、蒸発器19の昇温を確認したのち供給を停止す
る(ステップ130)。
【0058】また、改質燃料や水の気化、空気の予熱お
よび触媒の予熱を行なうことができるので、冬季のよう
な寒冷時においても、改質器11、燃焼器22の着火を
確実に行なうことができるとともに、着火時の反応速度
を向上できるため、排気性能の一層の向上および起動時
間の短縮化を図ることができる。
【0059】なお、以上説明した実施形態は、本発明の
理解を容易にするために記載されたものであって、本発
明を限定するために記載されたものではない。したがっ
て、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技
術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃料電池システムの実施形態を示すブ
ロック図である。
【図2】図1の燃料電池システムの起動手順を示すフロ
ーチャートである。
【図3】本発明の燃料電池システムの他の実施形態を示
すブロック図である。
【図4】図3の燃料電池システムの起動手順を示すフロ
ーチャートである。
【符号の説明】
1…燃料電池システム 11…改質器 12…コンプレッサ 20…一酸化炭素除去器 22…燃焼器 34…蒸発器(第1のヒータ) 35…ヒータ(第2のヒータ) 36…ヒータ(第3のヒータ)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】起電燃料となる水素含有ガスを生成する改
    質器を有する燃料電池システムにおいて、システムの起
    動時には、最初に改質燃料と酸化剤とを前記改質器へ供
    給し、部分酸化反応による昇温を開始することを特徴と
    する燃料電池システム。
  2. 【請求項2】燃焼器をさらに有し、システムの起動時に
    は改質燃料と酸化剤とを前記燃焼器へ供給し、前記改質
    器の昇温と同時に燃焼器の昇温を開始することを特徴と
    する請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 【請求項3】前記改質器へ供給すべき改質燃料を加熱す
    る第1のヒータと、前記改質器へ供給すべき酸化剤を加
    熱する第2のヒータとの少なくとも何れか一方を有し、
    これら第1のヒータおよび/または第2のヒータにより
    気化されたガスを最初に改質器へ供給して昇温を開始す
    ることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池シ
    ステム。
  4. 【請求項4】前記改質器の入口に触媒が担持された第3
    のヒータを設け、当該第3のヒータが昇温したのち、改
    質燃料および酸化剤を供給することを特徴とする請求項
    1〜3記載の燃料電池システム。
  5. 【請求項5】選択酸化反応による一酸化炭素除去器をさ
    らに有し、前記改質器が着火したのち、前記一酸化炭素
    除去器へ酸化剤を供給し、酸化反応による自己発熱を行
    ない昇温させることを特徴とする請求項1〜4記載の燃
    料電池システム。
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