JP2001229801A - 回路遮断器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 遮断時のアークによる高い圧力を
受けても、隔離バリアが変形し難く、可動接触子の回動
を妨げたり接点の接触圧力を低下させることのない信頼
性の高い回路遮断器を得る。 【解決手段】 固定接点３を有する固定接触子４
と、固定接点３に対向配置された可動接点２を有する可
動接触子１と、可動接触子１および固定接触子４を囲む
ように配置された消弧装置６と、可動接触子１を開閉動
作させる開閉機構部７とを備えた回路遮断器において、
消弧装置６と開閉機構部７との間に合成樹脂成形品の隔
離バリア２４を設け、該隔離バリア２４を開閉機構部７
側に固定した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

【０００２】この発明は、大電流を遮断する時に生じる
アークエネルギーを利用して、遮断性能を向上できる回
路遮断器に関するものである。

【０００３】

【従来の技術】図５、図６は、例えば特開平９−１６１
６４１号公報に示された従来の回路遮断器を示し、図５
は回路遮断器が開路状態時の側断面図、図６は回路遮断
器が閉路状態時の側断面図である。

【０００４】図５および図６において従来の回路遮断器
は、可動接触子１、可動接触子１の一端に固着された可
動接点２、可動接触子１の回動により可動接点２と接離
する固定接点３、固定接点３が固着されている固定接触
子４、固定接触子４の他端に設けられ外部から電線が接
続される電源側端子部５を備える。

【０００５】また、従来の回路遮断器は消弧装置６、可
動接点２および固定接点３の間に発生したアークを冷却
して消弧する消弧板６ａ、消弧板６ａを保持する消弧側
板６ｂ、可動接触子１を回動させる開閉機構部７、開閉
機構部７を手動で操作するためのハンドル８、回路遮断
器に過電流が流れた場合にこれを検出して開閉機構部７
をトリップさせる引き外し装置９を備える。

【０００６】また、従来の回路遮断器は負荷側端子部１
０、部品を収納する筐体を構成するカバー１１とベース
１２、可動接触子１を回動可能に保持するクロスバー１
３を備える。

【０００７】また、従来の回路遮断器は可動接点２およ
び固定接点３の間に発生したアークが開閉機構部７に侵
入し難いように隔離する隔離バリア１４を備える。

【０００８】隔離バリア１４は、図７に示すように可動
接触子１の動きを妨げないようにする切り溝１４ａを設
けたり、図８に示すように可動接触子１に密着する角穴
１４ｂを設けて可動接触子１を前記角穴１４ｂに貫通さ
せ、可動接触子１と共に回動するように構成されてい
る。

【０００９】次に従来の回路遮断器の動作について説明
する。図５において、ハンドル８を操作すると開閉機構
部７が動作してクロスバー１３が回動し、さらに可動接
触子１が回動して可動接点２と固定接点３とが接触して
図６に示す閉路状態となる。電源側端子部５を電源に、
負荷側端子部１０を負荷に接続し、可動接点２と固定接
点３を接触させることで電力が電源から負荷に供給され
る。

【００１０】ここで回路遮断器よりも負荷側の回路に過
電流が流れると、引き外し装置９で検出して開閉機構部
７を動作させ、可動接触子１を回動させることにより可
動接点２と固定接点３が開離し、可動接点２と固定接点
３間にアークが発生する。

【００１１】しかし、短絡事故などにより回路に大きな
短絡電流が流れると、固定接触子４と可動接触子１との
間における電磁反発力が非常に強くなり、可動接点２に
加わっている接触圧力に打ち勝つため、可動接触子１は
引き外し装置９および開閉機構部７の動作を待たずに回
動し、固定接触子４と可動接触子１の開極が起こる。こ
の時発生したアークは消弧装置６の磁気作用により消弧
板６ａの方向に引き伸ばされるとともに、消弧板６ａに
より冷却されることにより消弧され、開閉機構部７の動
作後に遮断が完了する。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】この遮断動作中におい
て、アークの強大なエネルギーは導電部品である可動接
触子１、固定接触子４、可動接点２、固定接点３、消弧
部品である消弧板６ａなどの金属の表面を溶融する。こ
の金属溶融物が遮断器内部、特に開閉機構部７に飛散す
ることを防止するために隔離バリア１４を配置している
が、隔離バリア１４が板状であるため、遮断時のアーク
による高い圧力を瞬間的に受けた場合大きく変形しやす
く、この変形により可動接触子１の回動を妨げたり、可
動接点２と固定接点３との接触圧力を低下させるなど信
頼性を損なうという問題点があった。また隔離バリア１
４の配置方法によっては、組み立て作業性が悪くなり、
隔離バリア１４が脱落しやすいなどの問題点もあった。

【００１３】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、遮断時のアークの方向を消弧
装置方向に導いて消弧性能を向上させ、アークによる高
い圧力を受けても隔離バリアが変形し難く、可動接触子
の回動を妨げたり、接点の接触圧力を低下させることの
ない信頼性の高い回路遮断器を得ることを目的としてい
る。また隔離バリアの組み立て作業性を向上させるとと
もに隔離バリアが脱落し難い回路遮断器を得ることを目
的としている。

【００１４】

【課題を解決するための手段】第１の発明にかかる回路
遮断器は、固定接点を有する固定接触子と、前記固定接
点と対向配置された可動接点を有する可動接触子と、前
記可動接触子を開閉動作させる開閉機構部とを備えた回
路遮断器において、前記消弧装置と前記開閉機構部間の
前記可動接触子上方の前記開閉機構部側に隔離バリアを
取り付けたものである。

【００１５】第２の発明にかかる回路遮断器は、固定接
点を有する固定接触子と、前記固定接点と対向配置され
た可動接点を有する可動接触子と、前記可動接触子を開
閉動作させる開閉機構部とを備えた回路遮断器におい
て、前記消弧装置と前記開閉機構部との間に合成樹脂か
らなる隔離バリアを設けたものである。

【００１６】また、前記隔離バリアに前記固定接触子お
よび可動接触子の間に発生するアークの流れを前記消弧
装置の方向へ導く案内面を設けてもよい。

【００１７】また、前記隔離バリアに開閉機構部へ装着
するための保持部を有し、該保持部の合成樹脂の弾性力
を利用して取り付けられてもよい。

【００１８】また、前記隔離バリアが前記固定接触子に
向けて延在する一対の側壁を設けていてもよい。

【００１９】

【発明の実施の形態】発明の実施の形態１．図１は本発
明の実施の形態１による回路遮断器の側断面図を示す。
図の状態において回路遮断器は閉路状態を示している。
図１において、構成部品１〜１３は前記した従来の回路
遮断器と同様のものであり、その説明は省略する。

【００２０】図２は本発明の実施の形態１による隔離バ
リア２４を示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は側面図を示
している。本発明の実施の形態１による隔離バリア２４
は合成樹脂、例えばポリアミド系樹脂を材料として成形
加工されており、開閉機構部７を支持するピン１５に装
着するためのＣ字状の保持部２４ａと、アークを開閉機
構部７の方向へ飛散させないように遮蔽する一対の遮蔽
部２４ｂとを有し、該遮蔽部２４ｂが可動接触子１の回
動を妨げないよう設けられた切り溝２４ｃと上部から下
部へ向けて固定接触子３および可動接触子４の間に発生
するアークの流れを消弧装置６の方向へ導く案内面２４
ｄとを有している。

【００２１】Ｃ字状の保持部２４ａの内径Ａはピン１５
の外径とほぼ同じで、Ｃ字状の開口部２４ｅの寸法Ｂは
ピン１５の外径より小さく、ピン１５が内径Ａ部に嵌合
するようになっている。

【００２２】Ｃ字状の開口部２４ｅをピン１５にあてが
って押し込むことで、隔離バリア２４が装着できる。こ
れは隔離バリア２４が合成樹脂成形品であり、その弾力
性によって挿入時に開口部２４ｅが広くなり、所謂スナ
ップインのように嵌められる。さらにこの形状のゆえに
装着後の脱落は起こりにくい。

【００２３】また、隔離バリア２４は消弧装置６側に上
部から下部へ向けて案内面２４ｄを有しており、遮断動
作時に可動接点２と固定接点３間に発生するアークの流
れを、案内面２４ｄによって消弧装置６方向へ導き、消
弧板６ａによって冷却し、消弧装置６により速く消弧さ
せるので遮断性能を向上させることができる。

【００２４】実施の形態２．図３は本発明の実施の形態
２による隔離バリア３４を示し、（Ａ）は正面図、
（Ｂ）は側面図を示している。また図４は図３の隔離バ
リア３４が組み込まれた開閉機構部７の正面図を示す。

【００２５】本発明の実施の形態２による隔離バリア３
４は合成樹脂、例えばポリアミド系樹脂を材料として成
形加工されており、開閉機構部７を支持するピン１５に
装着するためのＣ字状の保持部３４ａと、アークを開閉
機構部７の方向へ飛散させないように遮蔽する一対の遮
蔽部３４ｂとを有し、該遮蔽部３４ｂが可動接触子１の
回動を妨げないよう設けられた切り溝３４ｃと、消弧装
置６側に上部から下部へ向けて固定接触子３および可動
接触子４の間に発生するアークの流れを消弧装置６の方
向へ導く案内面３４ｄとを有している。

【００２６】さらに、案内面３４ｄの両側面および下方
向に可動接点２と固定接点３の接触位置部分を両側から
囲む位置まで延びた一対の側壁３４ｅが形成されてお
り、細隙効果によってアーク柱が拡大するのを防止でき
る。

【００２７】

【発明の効果】この発明にかかる回路遮断器は、固定接
点を有する固定接触子と、前記固定接点と対向配置され
た可動接点を有する可動接触子と、前記可動接触子を開
閉動作させる開閉機構部とを備えた回路遮断器におい
て、前記消弧装置と前記開閉機構部間の前記可動接触子
上方の前記開閉機構部側に隔離バリアを取り付けたので
可動接触子に対して取り付け位置が固定されるので、ア
ークによる金属溶融物の開閉機構部側への飛散を効率的
に防ぐことができる。

【００２８】この発明にかかる回路遮断器は、固定接点
を有する固定接触子と、前記固定接点と対向配置された
可動接点を有する可動接触子と、前記可動接触子を開閉
動作させる開閉機構部とを備えた回路遮断器において、
前記消弧装置と前記開閉機構部との間に合成樹脂成形品
の隔離バリアを設けたので、隔離バリアの強度が高く遮
断時のアークによる高い圧力を瞬間的に受けても大きく
変形しないので、可動接触子の回動を妨げたり、接点の
接触圧力が低下しなくなり信頼性が向上する。

【００２９】また、この発明にかかる回路遮断器は、前
記隔離バリアにアークの流れを前記消弧装置の方向へ導
く案内面を設けたので、遮断動作時に可動接点と固定接
点間に発生するアークの流れを、この案内面によって消
弧装置方向へ導き、消弧板によって冷却し、消弧装置に
より速く消弧させるので遮断性能を向上させることがで
きる。

【００３０】また、この発明にかかる回路遮断器は、前
記隔離バリアに開閉機構部へ装着するための弾力性を有
するＣ字状の保持部を設けたので、隔離バリアの取り付
けが容易になり、組み立て作業性が向上するとともに、
Ｃ字状形状部分の弾力性によってしっかりと支持される
ので、遮断時に発生するアークの圧力による隔離バリア
の脱落が発生しにくくできる。

【００３１】また、この発明にかかる回路遮断器は、前
記隔離バリアに一対の側壁を設けたので、遮断時に接点
間に発生するアークの流れをより細く絞り込むことがで
き、アークをより速く消弧装置へ導き、速く消弧させる
ことができるので、消弧性能が向上し、遮断性能を向上
させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施の形態１の回路遮断器の側断
面図。

【図２】 この発明の実施の形態１の隔離バリアを示す
正面図と側面図。

【図３】 この発明の実施の形態２の隔離バリアを示す
正面図と側面図。

【図４】 この発明の実施の形態２の隔離バリアが組み
込まれた開閉機構部７を示す正面図。

【図５】 従来の回路遮断器を示す側断面図で開路状態
を示す。

【図６】 従来の回路遮断器を示す側断面図で閉路状態
を示す。

【図７】 従来の回路遮断器の隔離バリアを示す斜視
図。

【図８】 従来の回路遮断器の隔離バリアの別の例を示
す斜視図。

【符号の説明】

１． 可動接触子、 ２． 可動接点、 ３． 固定接
点、 ４．固定接触子 ６．消弧装置、 ７． 開閉機構部、２４． 隔離バリ
ア、 ２４ａ． 保持部、 ２４ｄ． 案内面、３４．
隔離バリア、 ３４ａ． 保持部、 ３４ｄ． 案内
面、３４ｅ． 側壁。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】固定接点を有する固定接触子と、前記固定
   接点と対向配置された可動接点を有する可動接触子と、
   前記固定接触子および前記可動接触子を囲むように配置
   された消弧装置と、前記可動接触子を開閉動作させる開
   閉機構部とを備えた回路遮断器において、前記消弧装置
   と前記開閉機構部間の前記可動接触子上方の前記開閉機
   構部側に隔離バリアを取り付けたことを特徴とする回路
   遮断器。
2. 【請求項２】固定接点を有する固定接触子と、前記固定
   接点と対向配置された可動接点を有する可動接触子と、
   前記固定接触子および前記可動接触子を囲むように配置
   された消弧装置と、前記可動接触子を開閉動作させる開
   閉機構部とを備えた回路遮断器において、前記消弧装置
   と前記開閉機構部との間に合成樹脂からなる隔離バリア
   を設けたことを特徴とする回路遮断器。
3. 【請求項３】前記隔離バリアに、前記固定接触子および
   可動接触子の間に発生するアークの流れを前記消弧装置
   の方向へ導く案内面を設けたことを特徴とする請求項１
   または２記載の回路遮断器。
4. 【請求項４】前記隔離バリアが、前記開閉機構部へ装着
   するための保持部を有し、該保持部の合成樹脂の弾性力
   を利用して取り付けられることを特徴とする請求項２記
   載の回路遮断器。
5. 【請求項５】前記隔離バリアが、前記固定接触子に向け
   て延在する一対の側壁を設けていることを特徴とする請
   求項１または２記載の回路遮断器。