JP2001226315A - テレフタル酸の製造方法 - Google Patents

テレフタル酸の製造方法

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JP2001226315A
JP2001226315A JP2000033075A JP2000033075A JP2001226315A JP 2001226315 A JP2001226315 A JP 2001226315A JP 2000033075 A JP2000033075 A JP 2000033075A JP 2000033075 A JP2000033075 A JP 2000033075A JP 2001226315 A JP2001226315 A JP 2001226315A
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terephthalic acid
liquid
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solid
acid
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JP2000033075A
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English (en)
Inventor
Naoki Noguchi
直樹 野口
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製品の品質を悪化させず、且つ、テレフタル
酸を製造する際に使用する新水の量を削減する方法を提
供する。 【解決手段】 液体の反応媒体中で分子状酸素によりパ
ラキシレンを酸化し、粗テレフタル酸を含むスラリーと
し、該スラリーから粗テレフタル酸を固体として分離
し、上記のテレフタル酸固体を溶解して溶液を製造し
て、触媒の存在下に水素添加処理し、得られた反応物の
固液分離を行ってテレフタル酸と反応液体とを得、得ら
れた回収反応液体中に含有されるパラトルイル酸、及び
/又は、安息香酸の少なくとも一部を、光触媒反応によ
り減少させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はテレフタル酸を製造
する際の、新水の使用量と水の排出(パージ)量とを削
減して、経済的に有利であり、且つ、排水が少ないので
環境に優しいテレフタル酸を製造する方法に関するもの
である。ここで、「新水」とは、テレフタル酸を製造す
る際に製造工程に新たに供給される水であって、それま
でに該製造の水素添加処理工程での反応に使用されたこ
とのない水を意味し、酸化工程で生成する水を「新水」
として使用することもある。
【0002】
【従来の技術】通常、テレフタル酸は、パラキシレンを
酸化して得た粗テレフタル酸を精製することによって製
造される。粗テレフタル酸の製造方法としては、パラキ
シレンを、反応媒体中にて触媒の共存下に分子状酸素に
よって酸化するのが一般的である。粗テレフタル酸を精
製してテレフタル酸を製造する一般的な方法例として
は、粗テレフタル酸を水スラリー化し、これを加熱溶解
した後に水素添加精製を行って、より純度の高いテレフ
タル酸を得る方法が挙げられる。一般に、テレフタル酸
の製品は、パラキシレンの酸化反応中間体の一つである
4−カルボキシベンズアルデヒド(以下、「4CBA」
という)の含有量、4CBAの水素添加生成物であるパ
ラトルイル酸(以下、「p−TA」という)の含有量、
及び、同製品をアルカリ水溶液に溶解させたときの波長
340nmの光の透過率(以下、「透過率」という)を
指標として、製品の品質の判定、及び、制御を行ってい
る。
【0003】該粗テレフタル酸を水素添加精製してテレ
フタル酸を製造する工程において、水素添加反応後に固
液分離によって固体のテレフタル酸と分離された液体中
には、通常、パラキシレンの酸化反応や粗テレフタル酸
を水素添加反応等の反応中に生成した不純物が多く含有
されている。不純物としては、4CBA、p−TA、安
息香酸(以下、「BA」という)等が挙げられる。従っ
て、一般に、水はリサイクル使用されることなく廃棄さ
れている。
【0004】特開平5−58948号公報には、テレフ
タル酸を製造する際に、水素添加反応後に析出したテレ
フタル酸から水を含む液体を分離し、粗製テレフタル酸
を溶解するために、該液体をそのままリサイクル使用す
ることによって、新水の使用量を減少させる方法が提案
されている。しかしながら、水を含む液体のリサイクル
を、該公報にて提案されている様な方法で実施すると、
リサイクル率を高くした際、該液体中に不純物が多く蓄
積されることは避けられず、その結果、製品の中への該
不純物の混入量が非常に増加する。これにより、透過率
も悪化し、製品テレフタル酸の品質が低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように従来の方法
では、テレフタル酸の製造において、精製工程後に析出
したテレフタル酸から分離される水を含む液体を、リサ
イクルしたとしても、製品の品質を保つためにそのリサ
イクル率を低く設定せざるを得ず、該方法を工業的に適
用した場合の経済的利益は極めて僅かである。本発明者
は鋭意検討を重ねた結果、水素添加反応後に析出したテ
レフタル酸と分離される水を含む液体に、光触媒反応処
理を施すことによって、製品の品質低下を招き得る不純
物の該液体中における含有量を極めて有効に減少させら
れることを見出した。本発明は、製品であるテレフタル
酸の品質を悪化させず、且つ、テレフタル酸を製造する
際に使用する新水の量を削減する方法を提供しようとす
るものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、以下の1.〜5.の工程を有するテレフタル酸の製
造方法に存する。 1.液体の反応媒体中で分子状酸素によりパラキシレン
を酸化し、パラキシレンを粗テレフタル酸を含むスラリ
ーとし、 2.該粗テレフタル酸スラリーから粗テレフタル酸を固
体として分離し、 3.水を含む液体中に該粗テレフタル酸の固体を溶解し
て溶液を製造して、触媒の存在下に水素添加処理し、 4.上記3で得られた反応物の固液分離を行ってテレフ
タル酸と反応液体とを得、 5.上記4の固液分離で得られた回収反応液体中に含有
されるパラトルイル酸、及び/又は、安息香酸の少なく
とも一部を、光触媒反応により減少させる。 本発明の要旨は、より好ましくは、パラトルイル酸、及
び/又は、安息香酸の含有量を減少させた回収反応液体
の少なくとも一部を、粗テレフタル酸の溶解に用いるこ
とを特徴とするテレフタル酸の製造方法に存する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、パラキシレンを液体の反応媒体中、分子状
酸素含有ガスによって液相酸化して粗テレフタル酸スラ
リーを得る。この際、通常、パラキシレンの90重量%
以上、特に95重量%以上をテレフタル酸に酸化するこ
とが望ましい。該液相酸化を行う際の液体の反応媒体と
しては、通常、低級脂肪族カルボン酸が用いられる。特
には酢酸が好ましい。
【0008】以下、酢酸を溶媒として用いた場合を例に
とって説明する。酢酸溶媒の使用量は、通常、パラキシ
レンに対して0.5〜20重量倍、好ましくは1〜10
重量倍である。また、該酢酸溶媒には、若干量、例えば
10重量%以下の水が含有されていてもよい。分子状酸
素含有ガスとしては、空気、不活性ガス希釈された酸
素、酸素富化空気等が用いられるが、設備面及びコスト
面等から、通常、空気の使用が好ましい。
【0009】液相酸化には、通常、触媒を使用する。触
媒は、一般に、コバルト、マンガン及び臭素を含有する
ものであり、これらの具体例としては、コバルト化合物
では、酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト、臭化コバル
ト等が例示される。マンガン化合物では、酢酸マンガ
ン、ナフテン酸マンガン、臭化マンガン等が例示され
る。臭化化合物では、臭化水素、臭化ナトリウム、臭化
コバルト、臭化マンガン、テトラブロモエタン等が例示
される。これらの化合物は併用してもよい。
【0010】触媒の使用量は、コバルト成分の使用量が
コバルト金属換算で酢酸に対し、120〜3,000重
量ppm、好ましくは200〜2,000重量ppmで
ある。マンガン成分の使用量は、コバルトに対する原子
比で0.001〜2倍である。また、マンガン成分の絶
対使用量で示すと、マンガン金属換算で酢酸に対し通常
1〜300重量ppm、好ましくは5〜280重量pp
mである。臭素成分の使用量は、コバルトに対する原子
比で0.1〜5倍、好ましくは0.2〜2倍である。触
媒の使用量が上記範囲以外では、得られるテレフタル酸
の純度あるいは透過率が不充分になったり、酢酸燃焼が
大きくなり、効果が得られない。特に、マンガン成分の
使用量は重要であり、コバルトに対する原子比が0.0
01倍未満では反応活性が大幅に低下する。2倍を越え
るとマンガン成分の沈殿が生じて、これがテレフタル酸
中に混入し、製品であるテレフタル酸の品質が悪化した
り、あるいは酢酸の損失が増大する等の不利益が生じ
る。
【0011】液相酸化の反応温度は、通常140〜21
0℃、好ましくは170〜200℃、特に好ましくは1
75〜195℃の条件下で実施することが望ましい。1
40℃未満では反応速度が低下し、210℃を越えると
酢酸溶媒の燃焼による損失量が増大するので好ましくな
い。反応圧力は、少なくとも反応温度において混合物が
液相を保持できる圧力以上で、通常0.2〜5MPaで
ある。反応は、通常連続的に実施され、その反応時間
(平均滞留時間)は30〜300分である。反応媒体中
の水分濃度は、通常5〜25重量%、好ましくは7〜2
0重量%であり、水分濃度の調節は、通常反応器内で揮
発したガスを抜き出し、該ガスを凝縮して得られる凝縮
性成分の還流液の一部を系外にパージすることで行うこ
とができる。
【0012】本発明で用いる反応器は、通常、攪拌機付
きの槽であるが、必ずしも攪拌機は必要ではなく、気泡
塔タイプのものでも良い。反応器上部に冷却器を、下部
に分子状酸素含有ガス供給口が設けられている。そし
て、下部より供給した分子状酸素含有ガスは、酸化反応
に利用された後、多量の酢酸蒸気を同伴したガス成分と
して反応器より抜き出され、次いで、還流冷却器にて酢
酸を凝縮分離した後、酸化排ガスとして排出される。凝
縮液は水分調節のためにその一部が系外にパージされ、
残りは反応器に還流される。
【0013】本発明において、パラキシレンの酸化反応
を実施する際、特開平9−278709号公報に記載さ
れているように、反応器から抜き出したガスから凝縮性
成分を凝縮除去して得られた酸化排ガスを2つの流れに
分岐させ、一方は系外に排出し、他方は反応器に連続的
に循環供給してもよい。
【0014】本発明において、上記酸化反応の後、直ち
に晶析、及び、固液分離を実施してもよいが、必要に応
じて追加の処理をしてもよい。該追加処理としては、例
えば、上記酸化反応(第1反応帯域)の反応混合物を、
通常140〜190℃の第1反応帯域より低い温度に保
持した第2反応帯域において、パラキシレンを供給する
ことなく追加の酸化(以下、「低温追酸化」という)処
理することが有効である。該低温追酸化に供給する分子
状酸素含有ガスの供給量は、通常第1反応帯域での酸化
反応に供給する量の1/5〜1/10,000程度であ
り、処理時間は、通常、5〜120分である。
【0015】追加の処理の他の方法としては、低温追酸
化処理を施した上記酸化反応混合物を、更に第1反応帯
域より高い温度の反応帯域(第3反応帯域)でパラキシ
レンを供給せずに追酸化する(以下、「高温追酸化」と
いう)ことも有効である。該第3反応帯域の温度は、通
常210℃以上、好ましくは220〜280℃である。
該高温追酸化に供給される分子状酸素含有ガスの量は、
通常、最初の酸化反応の1/5〜1/10,000程度
であり、処理時間は、通常、5〜120分である。
【0016】粗テレフタル酸固体を得るには、例えば、
上記のように、必要に応じて、低温追酸化、又は、引き
続く高温追酸化を施した酸化反応混合物を、晶析処理す
る方法が挙げられる。通常、粗テレフタル酸は晶析処理
後、乾燥した上で水素添加精製工程に送られるが、該乾
燥工程を省略して、直接、水素添加精製工程に送っても
よい。
【0017】これに続く水素添加精製工程としては、様
々な方法が可能である。例として、上記の粗テレフタル
酸に水を含む液体を加えてスラリー化し、これを加熱溶
解した状態で、水素添加触媒の存在下に水素添加処理を
行い、得られた反応物に、晶析、及び、固液分離を施す
ことによってテレフタル酸を製造する方法が挙げられ
る。この際、粗テレフタル酸は、水を含む液体に対し
て、通常、20〜35重量%のスラリーとして水素添加
反応系に供給される。
【0018】水素添加触媒としては、これまでに公知の
任意の触媒を使用することが可能で、例えば、活性炭に
担持させたパラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミ
ウム、イリジウム、白金、鉄、コバルト、ニッケル等が
挙げられる。これらの触媒は併用しても構わない。
【0019】水素添加精製反応の反応条件としては、通
常、反応温度を255〜300℃、反応圧力を1〜12
MPa、水素分圧を0.05〜3MPaとして実施する
のが一般的であるが、これに限定するものではない。
【0020】水素添加反応により精製されたテレフタル
酸は、晶析、及び、固液分離を施すことによって固形分
として分離するのが一般的である。晶析の条件は、析出
する固形分の収率、同固形分の純度等を勘案して選ばれ
るが、通常、温度を100〜190℃、圧力を0.1〜
1.5MPaとして実施する。好ましくは、晶析を複数
段に亘って行い、その最終段での晶析条件が150〜1
80℃、0.3〜1.4MPaとなるような方法で実施
する。この際、それぞれの晶析槽での滞留時間は5〜2
00分程度である。特に、最終段の晶析槽の温度が上記
の範囲より低くなると、p−TA等の不純物の析出量が
急激に増加するため、固形分として分離されるテレフタ
ル酸の純度が低くなるという不利益が生じやすい。
【0021】一般に、晶析を行った後に固液分離を施す
ことにより、晶析工程で析出したテレフタル酸を、主成
分が水である液体から分離する。固液分離する温度、及
び、圧力条件としては、100〜190℃、0.1〜
1.5MPaで、好ましくは150〜180℃、0.3
〜1.4MPaで、実施される。通常、上記した晶析槽
の条件、晶析工程が多段に亘る場合はその最終晶析槽の
条件とほぼ等しい条件が選ばれる。固液分離を実施する
装置としては、通常、デカンタ遠心分離器・バキューム
ベルトフィルター・ドラムフィルター等の装置が用いら
れるが、これに限定するものではない。また、これらの
装置を2つ以上組み合わせて使用する事も可能である。
【0022】精製工程後に析出した固形分を固液分離に
よって分離して得たテレフタル酸は、そのまま乾燥して
製品としてもよいし、懸洗槽にて新水とスラリー化して
洗浄を施した後、固液分離により分離された固形分を乾
燥して製品としてもよい。該洗浄に使用した水は、固液
分離によって水を含む液体として分離され、不純物の含
有量が充分少ないので、粗テレフタル酸を水素添加精製
する際の反応媒体として、直接そのままリサイクル使用
することができる。また、該液体は、精製工程直後の固
液分離で分離された水を含む液体等のように、該液体よ
り不純物の含有量が多い液体と一緒に、又は、独立に、
後述するような光触媒反応処理を施した上で、粗テレフ
タル酸を水素添加精製する際の反応媒体としてリサイク
ル使用することもできる。
【0023】本発明においては、上記したような、酸化
反応工程、及び、引き続き水素添加精製工程後に、析出
したテレフタル酸と固液分離によって分離される水を含
む液体(以下、「回収反応液体」という)に、光触媒反
応を用いた処理を施すことによって、該液体中のパラト
ルイル酸、及び/又は、安息香酸の含有量を減少させる
ことを特徴とする。本発明において、「パラトルイル
酸、及び/又は、安息香酸の減少」とは、光触媒反応前
後で、パラトルイル酸量、及び/又は、安息香酸量の減
少があることを意味しており、その減少量は、回収反応
液体のリサイクル率、経済性等を勘案して選択される。
該処理を施すことにより、回収反応液体を、水素添加精
製工程中でリサイクル使用しても、該工程内における不
純物の蓄積量を少なく抑えることが可能となり、製品の
品質を高く保ったまま該液体のリサイクル率を上げるこ
とが可能となった。
【0024】上記処理の実施においては、固液分離後に
該液体を、そのまま光触媒反応処理しても良いし、追加
の処理をした後に光触媒反応処理しても良い。追加の処
理としては、例えば、液体の温度を下げることで液体中
の不純物を更に析出させ、その不純物を固液分離する方
法が挙げられる。例えば、蒸気エジェクター等で9.3
kPa(70torr)まで減圧した槽に該液体を送
り、発生した蒸気をコンデンサーで凝縮することで40
〜50℃まで冷却する。この後、析出した不純物を取り
除いた後に光触媒反応処理を実施する。この分離には、
遠心分離器、ブッフナー、ベルトフィルター、バックフ
ィルター等が用いられるが、これに限定するものではな
い。
【0025】回収反応液体の光触媒反応処理は、触媒の
共存下に該液体に光を照射することによって行う。この
際、反応温度を、0〜200℃、好ましくは20〜17
0℃とし、反応圧力を、6.7kPa(50torr)
〜1MPa、好ましくは8.0kPa(60torr)
〜常圧とし、滞留時間を、1〜300分として実施す
る。
【0026】該反応に用いる触媒としては、光を照射す
ることにより活性化される物質であれば特に制限はない
が、例としては金属酸化物等が用いられ、好ましくは二
酸化チタンが用いられる。触媒の形状は特に制限はな
く、粉末、成形したもの、担体へ担持したもの、担体に
コーティングしたもの等、いずれも使用可能である。
【0027】光触媒反応に用いる光の波長は紫外線、可
視光線、赤外線のいずれの領域であってもよく、用いら
れる触媒の特性、処理すべき液体中での光の透過率、経
済性等を勘案して選ばれる。光触媒反応に用いる光の発
生源としては、紫外線、可視光線、赤外線等の光の発生
装置を用いてもよいし、太陽光線等の自然光を用いるこ
とも可能である。光の照射は、反応器外部から照射して
もよいし、反応器の内部に光源を設置してもよい。照射
する光の強さは、用いられる触媒の特性、処理すべき液
体中に含まれる不純物量、経済性等を勘案して調整され
る。二酸化チタンを触媒として用いた場合を例にとる
と、より高い触媒活性を発現するためには、紫外線領域
の光を用いることが好ましく、光の発生源としては紫外
線発生器を用いることが好ましい。
【0028】反応器の材質としては、SUS等の金属、
ガラス、石英、アクリル、塩化ビニル、ポリエチレン等
が用いられる。また、反応器の型としては、回分式、固
定床、流動床、CSTR(連続槽型反応器)等が用いら
れるが、これに限定するものではない。
【0029】また、光触媒反応を行う際に、反応器内部
に、分子状酸素含有ガス、好ましくは空気を吹き込むこ
とが、非常に有効である。分子状酸素含有ガスを吹き込
む方式としては、例えば、加圧した該ガスの配管を反応
器の底部に設置して系内に導入する方法や、多孔板や多
孔フィルターを用いて反応器底部でバブリングを行う方
法が挙げられるが、これに限定するものではない。該ガ
スの吹き込み量は、吹き込み方式、気泡による照射光の
散乱、経済性等を勘案して選択される。
【0030】光触媒反応処理を行い、p−TA含有量、
及び/又は、BA含有量を減少させた液体は、様々な用
途に利用することができるが、非常に有効な利用法の一
つとして、粗テレフタル酸を水素添加精製する際の反応
媒体としてリサイクル使用することが挙げられる。この
際、該液体は、粗テレフタル酸の溶解用に連続的に循環
供給することもできるし、一旦、別の場所に備蓄した上
で需要に応じて必要量取り出して使用することも可能で
ある。リサイクル使用する量は、精製工程後に析出した
テレフタル酸から固液分離によって分離される水を含む
液体量全量の、20〜100重量%、好ましくは40〜
90重量%であり、得られた製品中の不純物、特にp−
TAの量を目安に選択される。特に、製品テレフタル酸
中のp−TA含有量が200ppm以下となるのが好ま
しい。
【0031】また、光触媒反応処理した回収反応液体
は、そのままリサイクル使用してもよいし、追加の処理
をした後にリサイクルしてもよい。
【0032】次に図1を参照して、本発明の一態様を説
明する。図1は本発明における、プロセスの例を概略し
たものである。分子状酸素によるパラキシレンの酸化反
応によって得られた粗テレフタル酸(1)は、水を含む
液体(2)と混合され、スラリー状となって水素添加反
応器(3)に供給される。この際、水素はライン(4)
より供給される。水素添加精製した液は、晶析槽(5)
にて晶析され、固液分離器(6)にて固体のテレフタル
酸(7)と液体(8)に分離される。(図1において
は、水素添加精製処理後に3段階で晶析する例を示して
いるが、晶析の段数は、これに限定されるものではな
く、1段以上何段でもよい。) 得られた固体のテレフタル酸(7)は乾燥機(9)で乾
燥後、(10)から製品として得られる。固液分離器
(6)にて分離された液体(8)は冷却槽(11)にて
冷却される。この際に固形分として析出した不純物は固
液分離器(12)にて分離され、(13)から酸化系に
送られる。固液分離器(12)にて分離された液体(1
4)は一部がパージされ(17)、残分が光触媒反応器
(15)に送られる。ここで光触媒反応処理された液体
(16)は、再び水素添加反応の反応媒体として使用す
るために、(2)に供給される。この際、リサイクル率
に応じて少量の新水(18)が補充される。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその趣旨を超えないかぎり実施例に限
定されるものではない。 実施例1 パラキシレンに対して5重量倍の酢酸中で、触媒の存在
下(触媒の各成分濃度は、Coが270ppm、Mnが
170ppm、Brが500ppmである)、モル比に
して3倍量の分子状酸素を含む空気によってパラキシレ
ンを液相酸化した。この際、酸化反応の温度、圧力、滞
留時間は、それぞれ、197℃、1.7MPa、87分
とした。得られた反応混合物に、最初の酸化反応開始時
に仕込んだパラキシレン量に対して0.035倍モルの
分子状酸素を含む空気を用いて、低温追酸化処理(温度
=191℃、圧力=1.4MPa、滞留時間=33分)
を施し、得られたスラリーを固液分離して粗テレフタル
酸を得た。該粗テレフタル酸に新水を加えて30重量%
のスラリーとし、0.5重量%の触媒(活性炭に担持さ
せたPd)の存在下、水素添加反応を行った。この際、
反応温度、反応圧力、滞留時間は、それぞれ、290
℃、8.7MPa、9分とした。該精製反応後に固液分
離にて固形分から分離された液体を液体クロマトグラフ
で分析したところ、p−TAの含有量は174ppm、
BAの含有量は166ppmであった。室温15℃の環
境下で、該回収反応液体と、二酸化チタンの粉末とを、
それぞれ表1に示す量ずつビーカーに仕込み、100W
の紫外線発生器(理工科学産業社製UVL−100P)
を液中に入れて紫外線を照射し、孔径が40〜50μm
のボールフィルターを通して毎分約1リットルの空気を
液体中に吹き込んだ。2時間後に液中の不純物量を液体
クロマトグラフで分析した。その結果、p−TA量は3
8ppmに、BA量は39ppmに減少した。
【0034】実施例2 実施例1において、空気を液体中にバブリングしないこ
と以外は全て同様に行った。その結果、p−TA量は1
41ppmに、BA量は150ppmに減少した。
【0035】比較例 実施例1において、紫外線を照射しないこと以外は全て
同様に行った。その結果、p−TA量は169ppm、
BA量は165ppmであった。
【0036】以上の結果を表1にまとめる。紫外線照射
を行わなかった比較例においては、回収反応液体中のp
−TA量、及び、BA量に、本質的変化はみられなかっ
たのに対して、紫外線照射を行った実施例1、及び、2
においては、p−TA、及び、BAのいずれについて
も、含有量が減少し、それぞれの減少量にみあった率で
のリサイクル使用が可能となった。
【0037】
【表1】
【0038】(*)処理前の回収反応液体中のp−TA
含有量:174ppm (**)処理前の回収反応液体中のBA含有量:166
ppm
【0039】
【発明の効果】以上述べた本発明の方法によって、テレ
フタル酸製造に使用する水を含む液体中に含有されるp
−TA、及び、BAの量を減少させることが可能とな
る。これにより、製品の品質を悪化させることなく、テ
レフタル酸の水素添加精製における新水の供給量、及
び、水のパージ量を削減することができ、経済的に有利
で、且つ、環境にも優しい製造方法で、高純度テレフタ
ル酸を製造できる。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するためのプロセス例の概略図で
ある。
【符号の説明】 1:粗テレフタル酸 2:水を含む液体 3:水素添加反応器 4:水素 5:晶析槽 6:固液分離器 7:未乾燥テレフタル酸 8:6で分離された液体 9:乾燥機 10:製品テレフタル酸 11:冷却槽 12:固液分離器 13:11で析出した固形分 14:12で固形分から分離された液体 15:光触媒反応器 16:光触媒反応処理された液体 17:パージされる14の一部 18:リサイクル率に応じた新水の供給

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の1.〜5.の工程を有するテレフタ
    ル酸の製造方法。 1.液体の反応媒体中で分子状酸素によりパラキシレン
    を酸化し、パラキシレンを粗テレフタル酸を含むスラリ
    ーとし、 2.該粗テレフタル酸スラリーから粗テレフタル酸を固
    体として分離し、 3.水を含む液体中に該粗テレフタル酸の固体を溶解し
    て溶液を製造して、触媒の存在下に水素添加処理し、 4.上記3で得られた反応物の固液分離を行ってテレフ
    タル酸と反応液体とを得、 5.上記4の固液分離で得られた回収反応液体中に含有
    されるパラトルイル酸、及び/又は、安息香酸の少なく
    とも一部を、光触媒反応により減少させる。
  2. 【請求項2】請求項1において、5の工程の液体中に分
    子状酸素含有ガスを吹き込むことを特徴とするテレフタ
    ル酸の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2において、パラトルイル
    酸、及び/又は、安息香酸の含有量を減少させた該液体
    の少なくとも一部を、粗テレフタル酸の溶解に用いるこ
    とを特徴とするテレフタル酸の製造方法。
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