JP2001225740A - 助勢型マスタシリンダおよびブレーキ制御装置 - Google Patents

助勢型マスタシリンダおよびブレーキ制御装置

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JP2001225740A
JP2001225740A JP2000040006A JP2000040006A JP2001225740A JP 2001225740 A JP2001225740 A JP 2001225740A JP 2000040006 A JP2000040006 A JP 2000040006A JP 2000040006 A JP2000040006 A JP 2000040006A JP 2001225740 A JP2001225740 A JP 2001225740A
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Japan
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pressure
assisting
chamber
master cylinder
piston
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JP2000040006A
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Hiroshi Isono
宏 磯野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 操作感覚の良い助勢型マスタシリンダ,ブレ
ーキ制御装置を提供する。 【解決手段】 ブースタ20のプッシュロッド40は、
助勢室102と低圧室34とを仕切る端壁64を液密か
つ摺動可能に貫通して助勢室102に突出し、第一加圧
ピストン90の凹部120の底面に離間可能に当接して
いる。ブレーキペダル18を踏み込まなくても、助勢室
102への液圧の供給によりマスタシリンダ圧を発生さ
せ、トラクション制御等を行う。この制御中、プッシュ
ロッド40に助勢圧が作用し、ブレーキペダル18を空
操作感少なく踏み込める。また、緊急制動時に助勢室1
02に液圧を供給する際、一挙に液圧を供給し、第一加
圧ピストン90が急進して踏力が減少するが、緊急制動
助勢圧はプッシュロッド40の第一加圧ピストン90か
らの離間時の助勢圧より大きく、離間後は反力が増大し
て踏力が減少から増大に転じ、運転者の違和感が少なく
て済む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、助勢型マスタシリ
ンダおよびブレーキ制御装置に関するものであり、特
に、操作感覚の向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】助勢型マスタシリンダは、加圧ピストン
を機械的な入力と液圧とによって前進させ、加圧室に液
圧を発生させるものであり、例えば、未だ、公開されて
いないが、本出願人に係る特願平11−184816号
の明細書に記載されている。この明細書に記載の助勢型
マスタシリンダは、車両用液圧ブレーキシステムに設け
られており、シリンダハウジングに加圧ピストンが液密
かつ摺動可能に嵌合され、それにより加圧ピストンの前
方に加圧室、後方に助勢室がそれぞれ形成されている。
加圧ピストンには、中空円筒状のピストンロッドが一体
的に設けられるとともに、助勢室の加圧ピストンに対向
する端壁を液密かつ摺動可能に貫通してシリンダハウジ
ングの外へ延び出させられ、バキュームブースタの出力
ロッドの先端部が軸方向に相対移動可能に嵌合されてい
る。
【0003】ブレーキペダルが踏み込まれれば、出力ロ
ッドが前進させられ、バキュームブースタにより倍力さ
れた力がピストンロッドから加圧ピストンに加えられて
加圧室に液圧が発生させられる。ブレーキペダルが踏み
込まれた状態で助勢室に液圧が供給されれば、その液圧
によっても加圧ピストンが前進させられ、加圧室には、
ブレーキペダルの踏込みにより加圧ピストンに加えられ
る力のみによって得られる液圧より高い液圧が発生させ
られる。踏力が助勢されるのである。また、ブレーキペ
ダルが踏み込まれていなくても、助勢室に液圧を供給
し、加圧ピストンを前進させて加圧室に液圧を発生させ
ることによりブレーキを作動させることができ、トラク
ション制御,ビークルスタビリティ制御,アダクティブ
・クルーズ・コントロール(以下、ACC制御と称す
る)等、ブレーキペダルの踏込みによらずにブレーキを
作動させる自動ブレーキ制御を行うことができる。トラ
クション制御は、車両の加速時における車輪のスリップ
を適正状態に制御する制御であり、ビークルスタビリテ
ィ制御は、車両の走行状態を監視し、その走行状態が適
正状態となるようにブレーキシリンダの液圧を制御する
制御であり、ACC制御は、前方を走行する車両との車
間距離が設定距離以下になったとき、ブレーキを作動さ
せ、制動を行う制御である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】しかしながら、上記明細書に記載の助勢型マスタシ
リンダにおいては、ブレーキペダルが踏み込まれていな
い状態において助勢室に液圧が供給され、加圧室に液圧
が発生させられれば、出力ロッドは停止したままであ
り、加圧ピストンのみが前進させられて出力ロッドから
離間するため、加圧室に液圧が発生させられてもブレー
キペダルに反力が加えられない。そのため、ブレーキ作
動中にブレーキペダルが踏み込まれれば、出力ロッドが
加圧ピストンに当接するまで運転者の踏込み感覚が空操
作感覚となり、違和感を感ずる。また、例えば、助勢室
への液圧の供給により緊急制動制御を行う場合、踏力が
減少する傾向がある。緊急制動制御は、ブレーキペダル
の踏力に対して得られるブレーキ作動力より大きいブレ
ーキ作動力を生じさせ、車両を緊急に制動する制御であ
り、例えば、予め設定された一定量の液圧を助勢室に供
給し、加圧ピストンに作用させることによりブレーキ作
動力が付加される。しかし、例えば、助勢室への液圧の
供給が一挙に為され、ブレーキシリンダ圧を一挙に目標
圧まで増大させようとすれば、加圧ピストンが急に前進
させられるのに対し、運転者が追従できず、出力ロッド
に加えられる反力が減少して踏力が減少するのであり、
ブレーキペダルのストロークが大きい割りに踏力が小さ
く、運転者が違和感を感ずる。このようにブレーキペダ
ルの踏込操作の途中から助勢室への液圧供給が開始され
れば、反力の変化状態が変わり、多かれ少なかれ、運転
者が違和感を感ずる。さらに、加圧ピストンは、ピスト
ンロッドが一体的に設けられるため、加工が容易でな
く、コストが高く、また、シリンダハウジングに加圧室
に加えて助勢室を設けるため、構造が複雑となり、その
点においてもコストが高くなる。
【0005】本発明は、以上の事情を背景とし、助勢型
マスタシリンダがブレーキペダルを介して運転者に与え
る違和感の軽減,コスト低減の少なくとも1つの効果を
得ることを課題としてなされたものであり、本発明によ
って、下記各態様の助勢型マスタシリンダおよびブレー
キ制御装置が得られる。各態様は請求項と同様に、項に
区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号
を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明
の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術
的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のも
のに限定されると解釈されるべきではない。また、一つ
の項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の
事項を常に一緒に採用しなければならないわけではな
い。一部の事項のみを選択して採用することも可能なの
である。 (1)シリンダハウジングに加圧ピストンが液密かつ摺
動可能に嵌合されることにより、加圧ピストンの前方に
加圧室、後方に助勢室がそれぞれ形成され、前記加圧ピ
ストンに機械的に伝達される入力と、助勢室に供給され
る液圧とにより加圧ピストンが前進させられて、加圧室
内の作動液を加圧する助勢型マスタシリンダにおいて、
前記助勢室の前記加圧ピストンに対向する端壁を液密に
貫通させたプッシュロッドを、前記加圧ピストンに離間
可能に当接させることにより前記入力が加圧ピストンに
伝達されるようにした助勢型マスタシリンダ(請求項
1)。プッシュロッドが前進させられず、プッシュロッ
ドにより加圧ピストンに入力が伝達されない状態におい
て助勢室に液圧が供給されれば、加圧ピストンのみが前
進させられ、プッシュロッドは加圧ピストンから離間す
るが、プッシュロッドには、助勢室に供給される液圧が
後退方向、すなわち加圧ピストンに当接した状態で加圧
ピストンから反力が与えられる場合と同じ方向に作用す
る。そのため、助勢室に液圧が供給されている状態にお
いてブレーキペダルが踏み込まれても、助勢室の液圧で
ある助勢圧に基づいてプッシュロッドに反力が付与され
るため、空操作感がなくなり、あるいは軽減される。ま
た、ブレーキペダルの踏込途中に助勢室へ液圧が供給さ
れる場合に運転者が感ずる違和感が軽減される。例え
ば、緊急制動時に助勢室の液圧が一挙に上昇させられる
場合に運転者が感ずる違和感が軽減される。緊急制動制
御を行うべく、ブレーキシリンダの液圧を増大させるた
めに、助勢室の液圧が一挙に上昇させられると加圧ピス
トンが急進するのに対し、運転者によるブレーキペダル
の踏込みが遅れ気味となり、反力が不足して踏力が減少
する。しかし、助勢圧が増大してプッシュロッドが加圧
ピストンから離間し、プッシュロッドに助勢圧のみが作
用する状態になった後は、助勢圧の増大に伴って反力が
増大し、踏力が減少から増大に転じ、運転者の違和感が
軽減されるのである。さらに、加圧ピストンにピストン
ロッドを一体的に設けなくてよいため、加工コストを低
減させ得る。加圧ピストンとピストンロッドとを一体に
形成する場合には、両者を同心度高く加工することが必
要であることは勿論、シリンダハウジングのこれらと嵌
合される部分も同心度高く加工することが必要となっ
て、高い加工精度が必要となり、加工コストが上昇する
ことを避け得ないのであるが、加圧ピストンとピストン
ロッドとを別体に製造する場合には、加工公差範囲を広
くすることができ、加工コストを低減し得るのである。
特に、加圧ピストンの助勢室側の受圧面積と加圧室側の
受圧面積とが等しいものとすれば、加圧ピストンの加工
性が向上し、加工コストを一層低減させることができ
る。 (2)前記シリンダハウジングにバキュームブースタの
ハウジングが固定されており、前記端壁がバキュームブ
ースタの低圧室と前記助勢室とを仕切る隔壁を構成し、
前記プッシュロッドが前記バキュームブースタの出力部
材を構成する (1)項に記載の助勢型マスタシリンダ。本
態様によれば、ブレーキペダルの踏力はバキュームブー
スタにより倍力されて加圧ピストンに入力される。助勢
室の端壁が、低圧室の端壁を兼ね、低圧室と助勢室とを
仕切る隔壁を構成し、プッシュロッドがバキュームブー
スタの出力部材を構成しているため、構成部材が少なく
て済み、助勢型マスタシリンダを簡易に構成し得るとと
もに、コストを低減させ得る。また、プッシュロッドと
端壁との間の液密をシール部材により保つのであれば、
そのシール部材により、助勢室からの作動液の漏れも、
低圧室からの負圧の漏れも防止され、液密と気密とを別
々のシール部材を用いて保つ場合に比較して、シール部
材が少なくて済み、コストを低減させることができる。 (3)前記端壁が、前記シリンダハウジングの本体であ
るハウジング本体とは別体に構成され、前記バキューム
ブースタのハウジングのマスタシリンダ側の部分に形成
された開口の周縁部と前記ハウジング本体との間に挟ま
れており、それら開口周縁部,端壁およびハウジング本
体が共通のボルトにより結合された (2)項に記載の助勢
型マスタシリンダ。本態様によれば、端壁をハウジング
本体にボルトによって固定し、シリンダハウジングをバ
キュームブースタのハウジングに別のボルトによって固
定する場合に比較してボルトが少なくて済むとともに、
開口周縁部,端壁およびハウジング本体の結合のための
構成を簡単にし得、コストを低減させ得る。 (4)前記ボルトが、前記開口周縁部から前記シリンダ
ハウング側へ突設されたスタッドボルトであり、そのス
タッドボルトが前記端壁と、前記ハウジング本体に設け
られた半径方向外向きのフランジとを貫通させられ、先
端の雄ねじ部にナットが螺合されることにより、前記開
口周縁部,端壁およびハウジング本体が結合された (3)
項に記載の助勢型マスタシリンダ。バキュームブースタ
とマスタシリンダとを結合するためのスタッドボルトを
利用して、端壁をハウジング本体およびバキュームブー
スタのハウジングに固定することができ、よりコストを
低減させることができる。 (5)前記加圧ピストンの後端面から前方へ延びる凹部
が形成され、前記プッシュロッドがその凹部に挿通さ
れ、凹部の底面に当接させられた (1)項ないし (4)項の
いずれか1つに記載の助勢型マスタシリンダ。凹部によ
り、プッシュロッドの加圧ピストンに対する半径方向の
相対移動が許容されるとともに、加圧ピストンに力を伝
達する状態から外れることが防止される。 (6) (1)項ないし (5)項のいずれか1つに記載の助勢
型マスタシリンダと、ブレーキペダルと、そのブレーキ
ペダルの踏力を前記プッシュロッドに伝達する伝達装置
と、前記ブレーキペダルの踏力を検出する踏力検出装置
と、前記ブレーキシリンダの液圧を、前記加圧ピストン
に前記伝達装置により加えられる入力に応じた液圧より
設定値だけ大きくする必要が生じたことを検出する液圧
付加要検出装置と、その液圧付加要検出装置により液圧
の付加が必要であることが検出されたのに応じて、前記
助勢室の液圧を、前記踏力検出装置により検出された踏
力の増大に応じた勾配で前記設定値まで増大させる助勢
圧制御装置とを含むブレーキ制御装置。上記液圧付加要
検出装置の一例は、緊急制動を検出する緊急制動検出装
置であり、上記助勢圧制御装置の一例は、緊急制動検出
装置による緊急制動の検出に応じて、踏力検出装置によ
り検出された踏力の増大に応じた勾配で前記助勢室の液
圧である助勢圧を予め定められた大きさまで増加させる
緊急制動時助勢圧制御装置である。緊急制動時に、助勢
圧を予め定められた大きさまで増加させる場合に、踏力
に基づいて増加させれば、助勢室の液圧を踏力の増加と
は無関係に一挙に増加させる場合のように、運転者によ
るブレーキペダルの踏込みが遅れ気味となって踏力が減
少することはなく、緊急制動制御時に運転者が違和感を
感ずることが少なくなる。助勢圧が到達する液圧は予め
定められているが、その液圧に到達するまでの助勢圧の
増大勾配は、踏力の増大勾配が大きいほど大きく、緊急
制動の度合いが大きいほど、迅速にマスタシリンダ圧が
増大させられる。液圧付加要の検出および助勢圧制御
は、 (8)項において説明するように、通常制動時に行わ
れるようにしてもよい。設定値は、一定でもよく、場合
に応じて異なる値としてもよい。例えば、緊急制動制御
時であれば、緊急制動の度合いが大きいほど設定値を大
きくしてもよい。 (7)シリンダハウジングに加圧ピストンが液密かつ摺
動可能に嵌合されることにより、加圧ピストンの前方に
加圧室、後方に助勢室がそれぞれ形成され、前記加圧ピ
ストンに機械的に伝達される入力と、助勢室に供給され
る液圧とにより加圧ピストンが前進させられて、加圧室
内の作動液を加圧する助勢型マスタシリンダと、ブレー
キペダルと、そのブレーキペダルの踏力を前記加圧ピス
トンに伝達する伝達装置と、前記ブレーキペダルの踏力
を検出する踏力検出装置と、前記ブレーキシリンダの液
圧を、前記加圧ピストンに前記伝達装置により加えられ
る入力に応じた液圧より設定値だけ大きくする必要が生
じたことを検出する液圧付加要検出装置と、その液圧付
加要検出装置により液圧の付加が必要であることが検出
されたのに応じて、前記助勢室の液圧を、前記踏力検出
装置により検出された踏力の増大に応じた勾配で前記設
定値まで増大させる助勢圧制御装置とを含むブレーキ制
御装置。本態様の助勢型マスタシリンダは、 (1)項ない
し (5)項に記載の助勢型マスタシリンダでもよく、前記
特願平11−184816号の明細書に記載の助勢型マ
スタシリンダと同様に、加圧ピストンに機械的に力を伝
達する入力部材に助勢室の液圧が作用しない助勢型マス
タシリンダでもよい。本態様によれば、例えば、 (6)項
と同様の作用,効果が得られる。 (8)ブレーキペダルと、そのブレーキペダルの踏力を
伝達する伝達装置と、シリンダハウジングに加圧ピスト
ンが液密かつ摺動可能に嵌合されることにより、加圧ピ
ストンの前方に加圧室が形成され、前記加圧ピストンに
前記伝達装置により加えられる入力に基づいて加圧ピス
トンが加圧室内の作動液を加圧するマスタシリンダと、
前記加圧室内の作動液の液圧を、前記伝達装置により前
記加圧ピストンに加えられる入力に基づいて前記加圧室
に発生する液圧より高めてブレーキシリンダに供給する
ことにより、ブレーキシリンダにより発生させられる制
動力を増大させる制動力助勢装置と、その制動力助勢装
置が、前記ブレーキペダルの踏込操作の途中から作動を
開始する場合に、その作動開始に起因する前記ブレーキ
ペダルの踏力の変動を軽減する踏力変動軽減手段とを含
むブレーキ制御装置(請求項2)。マスタシリンダは、
請求項1に記載の助勢型マスタシリンダでもよく、前記
特願平11−184816号の明細書に記載の助勢型マ
スタシリンダでもよく、助勢型マスタシリンダではない
マスタシリンダ、すなわち助勢室を有さず、加圧ピスト
ンに伝達装置により加えられる入力のみによって加圧室
に液圧が発生させられるマスタシリンダでもよい。制動
力助勢装置には、例えば、加圧ピストンの背後に形成さ
れる助勢室に動力液圧源から助勢圧が供給される装置
や、加圧室からポンプにより作動液が汲み出され、加圧
されてブレーキシリンダに供給される装置がある。踏力
変動軽減手段には、例えば、請求項1に記載の助勢型マ
スタシリンダにおける加圧ピストンとプッシュロッドと
の離間可能な当接、 (7)項の従来一挙に増大させられて
いたブレーキシリンダ圧を、踏力の増大に応じて目標圧
まで増大させる制御手段、制動力助勢装置の作動開始当
初は、それ以降に比較してブレーキシリンダ圧の増大勾
配を小さくする(折れ線的に変化させられても、曲線的
に変化させられてもよい)制御手段、制動力助勢装置の
作動中に周期的にブレーキシリンダ圧の増大勾配の小さ
い時期を生じさせる制御手段等がある。制動力助勢装置
の作動開始当初であっても、作動中であっても、ブレー
キシリンダ圧の増大勾配が小さい時期を設ければ、制動
力助勢装置の作動開始に伴う踏力の減少や踏力増加勾配
の減少を小さくすることができ、踏力増大勾配の減少が
小さくなり、運転者が感ずる違和感を減少させ得、ある
いは制動力助勢装置の制御に対する悪影響を減少させ得
る。ブレーキシリンダ圧は、踏力に基づいて制御しても
よく、踏力とマスタシリンダ圧とが実質的に等しく、1
対1に対応していると見なしてよい場合であれば、マス
タシリンダ圧に基づいて制御してもよい。その場合、マ
スタシリンダ圧に基づいて制御することは、踏力に基づ
いて制御することであるからである。これは、 (6)項,
(7)項および (9)項に記載のブレーキ制御装置において
も同じである。制動力助勢装置は、前述のように、緊急
制動制御のために使用可能であるが、通常制動時に使用
されるようにしてもよい。緊急制動ではないが、入力に
応じた液圧によって得られる減速度より高い減速度を生
じさせることが望ましい場合に制動力助勢装置を作動さ
せるのである。例えば、摩擦ブレーキにおいて、水の付
着や過熱により摩擦材の摩擦係数が異常に小さくなるウ
ォータフェードやヒートフェードが発生した場合に、ブ
レーキシリンダの液圧を通常より大きくして、摩擦力の
不足を補うのである。この場合、ブレーキシリンダの液
圧を付加する必要があることの検出は、例えば、踏力検
出装置により検出される踏力が設定値を超えたことや、
実際に発生している減速度が踏力の割に小さいこと等に
基づいて行われる。また、何らかの理由で、通常より大
きい減速度を発生させることが望ましい場合にも、制動
力助勢装置を使用可能である。この場合、高減速度要検
出手段により高い減速度を発生させる必要があることが
検出され、その検出に応じて制動力助勢装置が作動を開
始させられる。いずれにしても、ブレーキペダルの踏込
操作の途中から制動力助勢装置が作動を開始させられれ
ば、ブレーキペダルの踏力の増加状態が変動し、運転者
に違和感を感じさせるのであるが、本発明に従って踏力
変動軽減手段を設ければ、違和感を軽減し得る。なお、
制動力助勢装置の制御がブレーキペダル等ブレーキ操作
部材の操作力,操作ストローク,踏力の変化速度,スト
ロークの変化速度の少なくとも1つに基づいて行われる
場合には、制動力助勢装置の作動開始に起因してその少
なくとも1つが変動すれば、その変動が制動力助勢装置
自体の制御に悪影響を及ぼす。甚だしい場合には、制動
力助勢の必要がなくなった判断されて、制動力助勢装置
の作動が停止させられてしまうこともある。それを回避
するために、制動力助勢装置の作動開始条件と作動終了
条件との間にヒステリシスを持たせることも提案されて
いるが、このヒステリシスはあまり大きくない方がよ
い。そこで本発明に従って踏力変動軽減手段を設けれ
ば、ヒステリシスを小さくすることが可能となる。 (9)ブレーキペダルと、そのブレーキペダルの踏力を
伝達する伝達装置と、前記ブレーキペダルの踏力を検出
する踏力検出装置と、シリンダハウジングに加圧ピスト
ンが液密かつ摺動可能に嵌合されることにより、加圧ピ
ストンの前方に加圧室が形成され、前記加圧ピストンに
前記伝達装置により加えられる入力に基づいて加圧ピス
トンが加圧室内の作動液を加圧するマスタシリンダと、
前記加圧室内の作動液の液圧を、前記伝達装置により前
記加圧ピストンに加えられる入力に基づいて前記加圧室
に発生する液圧より高めてブレーキシリンダに供給する
ことにより、ブレーキシリンダにより発生させられる制
動力を増大させる制動力助勢装置と、前記ブレーキシリ
ンダの液圧を、前記加圧ピストンに前記伝達装置により
加えられる入力に応じた液圧より設定値だけ大きくする
必要が生じた場合に、前記制動力助勢装置を作動させる
ことにより、前記踏力検出装置により検出された踏力の
増大に応じた勾配で前記ブレーキシリンダの液圧を前記
設定値だけ増大させる助勢装置制御装置とを含むブレー
キ制御装置。本態様によれば、踏力の増加に応じた勾配
でブレーキシリンダの液圧が設定値だけ増大させられる
ため、運転者が感ずる違和感が少なくて済む。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。本実施形態の車両用液圧ブレ
ーキシステムは、図1に示すように、左,右の前輪1
0,12と左,右の後輪14,16とを備えた四輪自動
車に搭載されている。本実施形態では、左,右前輪1
0,12が駆動輪、左,右後輪14,16が非駆動輪と
されている。本液圧ブレーキシステムは、ブレーキ操作
部材としてブレーキペダル18を備えており、そのブレ
ーキペダル18は、流体圧倍力装置たるバキュームブー
スタ20(以下、ブースタ20と略称する)を介して、
助勢型マスタシリンダ22(以下、マスタシリンダ22
と略称する)に連結されている。マスタシリンダ22
は、本実施形態ではタンデム型とされている。
【0007】ブースタ20は、図2に示すように、中空
のハウジング30を備えている。ハウジング30内の空
間は、パワーピストン32によりマスタシリンダ22の
側の低圧室34とブレーキペダル18の側の変圧室36
とに仕切られている。低圧室34は、負圧源としてのエ
ンジンの吸気側、例えばインテークマニホルド(図示省
略)であって、本実施形態では、スロットルバルブと複
数のインテークバルブ側へエアを供給するために分岐さ
せられた部分との間の部分に接続されている。低圧室3
4の圧力は負圧であり、本実施形態においては、低圧室
34の負圧がブースタ負圧である。
【0008】パワーピストン32は、マスタシリンダ2
2の側において、ゴム製のリアクションディスク38を
介してプッシュロッド40と連携させられており、リタ
ーンスプリング41により後退方向に付勢されている。
リターンスプリング41の付勢によるパワーピストン3
2の後退限度は、パワーピストン32がハウジング30
に当接することにより規定される。プッシュロッド40
は、後述するように、パワーピストン32の作動力をマ
スタシリンダ22の第一加圧ピストンに伝達する。
【0009】低圧室34と変圧室36との間に切換弁4
2が設けられている。切換弁42は、オペレーティング
ロッド44とパワーピストン32との相対移動に基づい
て作動するものであり、コントロールバルブ46,エア
バルブ48,バキュームバルブ50およびコントロール
バルブスプリング52を備えている。エアバルブ48
は、コントロールバルブ46と共同して変圧室36の大
気に対する連通・遮断を制御するものであり、オペレー
ティングロッド44と連携させられている。エアバルブ
48は、オペレーティングロッド44により前記リアク
ションディスク38に押しつけられる入力ピストン54
と一体に形成されているのである。オペレーティングロ
ッド44のエアバルブ48側とは反対側の端部は、図1
に示すように、前記ブレーキペダル18に回動可能に連
結されている。コントロールバルブ46は、パワーピス
トン52,入力ピストン54に対して相対移動可能に設
けられ、コントロールバルブスプリング52により、オ
ペレーティングロッド44に対してエアバルブ48に着
座する向きに付勢されている。バキュームバルブ50
は、コントロールバルブ46と共同して変圧室36の低
圧室34に対する連通・遮断を制御するものであり、パ
ワーピストン32と一体的に移動可能に設けられてい
る。
【0010】このように構成されたブースタ20におい
ては、非作動状態では、コントロールバルブ46が、エ
アバルブ48に着座する一方、バキュームバルブ50か
ら離間し、それにより、変圧室36が大気から遮断され
て低圧室34に連通させられる。したがって、この状態
では、低圧室34も変圧室36も共に等しい高さの負圧
(大気圧以下の圧力)となる。それに対して、作動状態
では、オペレーティングロッド44がパワーピストン3
2に対して相対的に前進し、コントロールバルブ46が
バキュームバルブ50に着座して変圧室36が低圧室3
4から遮断される。その後、オペレーティングロッド4
4がパワーピストン32に対してさらに前進させられれ
ば、エアバルブ48がコントロールバルブ46から離間
し、それにより、変圧室36が大気に連通させられる。
この状態では、変圧室36の負圧が減少して(大気圧に
接近して)低圧室34と変圧室36との間に差圧が発生
し、その差圧によってパワーピストン32が作動させら
れる。このパワーピストン32の作動力はプッシュロッ
ド40を介してマスタシリンダ22の第一加圧ピストン
に伝達され、第一加圧ピストンからの反力がリアクショ
ンディスク38によりパワーピストン32と入力ピスト
ン54とに分配され、運転者は入力ピストン54に分配
された反力をオペレーティングロッド44を介して、マ
スタシリンダ22からの反力として知覚することができ
る。オペレーティングロッド44ないし入力ピストン5
4がブースタ20の入力部材であり、プッシュロッド4
0がブースタ20の出力部材を構成している。
【0011】図1に示すように、前記マスタシリンダ2
2のシリンダハウジング60は、ハウジング本体62お
よび端壁64を含む。ハウジング本体62は、複数の部
材、例えば、有底円筒状部材65とスリーブ67とが組
み付けられて成り、これら有底円筒状部材65とスリー
ブ67とは、組付け後は、一体のハウジング本体62と
して機能する。有底円筒状部材65の開口端には、半径
方向外向きのフランジ66が設けられている。ハウジン
グ本体62にフランジ66が設けられているのである。
【0012】端壁64の中央には、円形断面の突部68
が突設されており、図2に示すように、前記ブースタ2
0のハウジング30のマスタシリンダ22側の部分に形
成された開口70に嵌合されている。端壁64は、ハウ
ジング本体62のフランジ66と、ハウジング30の開
口70の周縁部である開口周縁部72との間に挟まれ、
開口周縁部72,端壁64およびハウジング本体62
が、開口周縁部72からシリンダハウジング60側へ突
設された複数のスタッドボルト74により結合されてい
る。スタッドボルト74は、端壁64と、フランジ66
とを貫通させられ、先端の雄ねじ部76にナット78が
螺合されることにより、開口周縁部72,端壁64およ
びハウジング本体62が結合されている。スタッドボル
ト74は、ハウジング本体62,端壁64,開口周縁部
72に共通のボルトであり、シリンダハウジング60に
ブースタ20のハウジング30が固定されている。
【0013】前記ハウジング本体62内には、直径が互
いに異なる2つの円形穴86,88が直列にかつ同心に
設けられており、スリーブ67により構成され、直径が
円形穴86より小さい円形穴88に第一加圧ピストン9
0および第二加圧ピストン92が互いに直列に配列され
ている。これら加圧ピストン90,92は円形穴88に
液密かつ摺動可能に嵌合され、第一加圧ピストン90の
前方に第一加圧室100、後方に助勢室102がそれぞ
れ形成され、第二加圧ピストン92の前方に第二加圧室
104が形成されている。第一,第二加圧ピストン9
0,92の各直径は互いに同じであって、一定であり、
第一加圧ピストン90の第一加圧室100側の受圧面積
と助勢室102側の受圧面積とは等しい。助勢室102
は、ハウジング本体62,第一加圧ピストン90および
端壁64により画定され、端壁64は、ブースタ20の
低圧室34とマスタシリンダ22の助勢室102とを仕
切る隔壁を構成している。第一加圧ピストン90の第二
加圧ピストン92側の部分および第二加圧ピストン92
は、有底円筒状をなし、それらの内部に配設された付勢
手段たる弾性部材としての圧縮コイルスプリング10
6,108により、図示の後退端位置に向かって付勢さ
れている。
【0014】前記ブースタ20のプッシュロッド40
は、前記突部68を通り、端壁64の中心をシール部材
112によりシールされて液密かつ摺動可能に貫通させ
られ、助勢室102内に突出させられている。シール部
材112は、プッシュロッド40と端壁64との間から
助勢室102内の作動液が外部へ漏れることを防止し、
液密を保持するとともに、プッシュロッド40と端壁6
4との間から、ブースタ20の低圧室34の負圧が外部
へ漏れることを防止し、気密を保持している。第一加圧
ピストン90のブースタ20側の部分には、その後端面
から前方へ延びる凹部120が形成され、プッシュロッ
ド40は凹部120に挿通され、図1および図2に示す
ように、凹部120の底面122に離間可能に当接させ
られている。底面122は、部分球面状をなす。端壁6
4を液密に貫通させられ、第一加圧ピストン90に離間
可能に当接させられたプッシュロッド40が、ブースタ
20の出力部材を構成しているのである。
【0015】ブレーキペダル18が踏み込まれれば、プ
ッシュロッド40から第一加圧ピストン90にパワーピ
ストン32の作動力が伝達され、その作動力に基づいて
第一,第二加圧ピストン90,92が圧縮コイルスプリ
ング106,108の付勢力に抗して前進させられ、第
一,第二加圧室100,104内の作動液が加圧され、
第一,第二加圧室100,104にそれぞれ互いに等し
い高さの液圧が発生させられる。また、第一加圧ピスト
ン90がプッシュロッド40に当接することにより、第
一加圧ピストン90の後退限度が規定される。第二加圧
ピストン92の後退限度は、第一加圧ピストン90の後
退限度の規定と、スプリングリテーナ126によるスプ
リング106の初期長さおよび初期荷重の規定との共同
により規定される。
【0016】第一,第二加圧室100,104は、第
一,第二加圧ピストン90,92が後退端位置にある状
態において、シリンダハウジング60に設けられた2個
のリザーバ用ポート130および第一,第二加圧ピスト
ン90,92にそれぞれ設けられた連通路132によ
り、マスタリザーバ134に連通させられる。第一,第
二加圧ピストン90,92が、後退端位置から小距離前
進すれば、2個のリザーバ用ポート130が遮断され、
それにより第一,第二加圧室100,104が第一,第
二加圧ピストン90,92の前進により昇圧可能とな
る。なお、2個のリザーバ用ポート130はそれぞれ、
ハウジング本体62に設けられた一対ずつのプライマリ
カップ136の間に設けられている。第一加圧ピストン
90に対して設けられたプライマリカップ136は、リ
ザーバ134から第一加圧室100,助勢室102への
作動液の流れは許容するが、逆向きの流れは阻止し、第
一加圧室100と助勢室102とを遮断し、第二加圧ピ
ストン92に対して設けられたプライマリカップ136
は、リザーバ134から第一,第二加圧室100,10
4への作動液の流れは許容するが、逆向きの流れは阻止
し、第一,第二加圧室100と104とを遮断する。
【0017】第一加圧室100は、シリンダハウジング
60に設けられたホイールシリンダ用ポート138およ
び主液通路140により、左,右前輪10,12の各回
転をそれぞれ抑制する2個のブレーキ142,144を
作動させるブレーキシリンダたるフロントホイールシリ
ンダ146,148に接続されている。主液通路140
は、基幹通路150および2本の分岐通路152を有
し、各分岐通路152の先端にそれぞれフロントホイー
ルシリンダ146,148が接続されている。
【0018】また、第二加圧室104は、シリンダハウ
ジング60に設けられたホイールシリンダ用ポート15
4および主液通路156により、左,右後輪14,16
の各回転をそれぞれ抑制する2個のブレーキ158,1
60を作動させるブレーキシリンダたるリヤホイールシ
リンダ162,164に接続されている。主液通路15
6は、基幹通路166および2本の分岐通路168を有
し、各分岐通路168の先端にそれぞれリヤホイールシ
リンダ162,164が接続されている。本実施形態の
液圧ブレーキシステムは前後2系統式であるのである。
【0019】本実施形態の液圧ブレーキシステムには、
ホイールシリンダ146,148,162,164の各
々について液圧制御弁装置170が設けられている。液
圧制御弁装置170はそれぞれ、マスタシリンダ22側
からホイールシリンダ146,148,162,164
への作動液の流入を許容することにより、ホイールシリ
ンダ146,148,162,164の液圧であるホイ
ールシリンダ圧を増圧する増圧弁172と、ホイールシ
リンダ146,148,162,164から減圧用リザ
ーバ174への作動液の流出を許容することにより、ホ
イールシリンダ圧を減圧する減圧弁176とを備えてい
る。本実施形態においては、増圧弁172は、常開の電
磁開閉弁により構成され、増圧部を構成しており、減圧
弁176は、常閉の電磁開閉弁によって構成され、減圧
部を構成し、液圧制御弁装置170は電磁弁装置により
構成されている。
【0020】増圧弁172は開状態、減圧弁176は閉
状態とすることにより、ホイールシリンダ圧を増圧する
増圧状態が得られ、増圧弁172も減圧弁176も閉状
態とすることによりホイールシリンダ圧を保持する保持
状態が得られ、増圧弁172は閉状態、減圧弁176は
開状態とすることにより、ホイールシリンダ圧を減圧す
る減圧状態が得られる。ホイールシリンダ146,14
8,162,164から減圧弁176を経て減圧用リザ
ーバ174に排出された作動液は、ポンプモータ178
により駆動されるポンプ180により汲み上げられて主
液通路140,156に戻される。符号182はダンパ
室、符号184はオリフィスであり、それらによりポン
プ180の脈動が軽減される。
【0021】前記助勢室102は、ハウジング本体62
に、シリンダハウジング60の軸線に平行に設けられた
通路188,半径方向に設けられるとともに、通路18
8に開口させられた助勢用ポート190によって常時、
動力液圧源装置192に連通させられている。動力液圧
源装置192は、ポンプの一種であるギヤポンプにより
構成されたポンプ194と、そのポンプ194を駆動す
るポンプモータ196と、圧力制御弁200とを含んで
いる。ポンプ194は、マスタリザーバ134の作動液
を汲み上げて助勢室102に圧送する。ポンプ194の
吐出側には、作動液がポンプ194側へ逆流することを
防止する逆止弁202が設けられている。ポンプ194
はプランジャポンプにより構成してもよい。
【0022】動力液圧源装置192には、さらに、ポン
プ194および圧力制御弁200をバイパスするバイパ
ス通路204が設けられ、バイパス通路204の途中に
は逆止弁206が設けられている。逆止弁206は、マ
スタリザーバ134から助勢室102に向かう作動液の
流れは常時許容する一方、その逆向きの流れは常時阻止
する。ブレーキペダル18が素早く踏み込まれたとき、
マスタリザーバ134内の作動液が逆止弁206を経て
助勢室102に補給され、負圧の発生が防止される。
【0023】図3に圧力制御弁200を拡大して示す。
圧力制御弁200は、助勢室102の液圧を電磁的に制
御する。圧力制御弁200は、図示しないハウジング
と、助勢室102とマスタリザーバ134との間におけ
る作動液の流通状態を制御する弁子210およびそれが
着座すべき弁座212と、それら弁子210および弁座
212の相対移動を制御する磁気力を発生させるソレノ
イド214とを有している。
【0024】ソレノイド214が励磁されない非作用状
態(OFF状態)では、図3(a)に示すように、スプ
リング216の弾性力によって弁子210が弁座212
から離間させられ、それによって助勢室102とマスタ
リザーバ134との間における双方向の作動液の流れが
許容される。その結果、ブレーキ操作が行われて第一加
圧ピストン90が移動させられ、それに伴って助勢室1
02の容積が変化すれば、それに伴い、助勢室102に
対する作動液の流入および流出が許容される。そのため
に圧力制御弁200は常開弁とされている。
【0025】それに対し、ソレノイド214が励磁され
た作用状態(ON状態)では、図3(b)に示すよう
に、ソレノイド214の磁気力によりアーマチュア21
8が吸引され、弁子210が弁座212に着座させられ
る。助勢室102の液圧が小さい間は、圧力制御弁20
0は閉じているが、助勢室102の液圧が増大し、ソレ
ノイド214の磁気力に基づくソレノイド吸引力F1
が、助勢室102の液圧に基づく力F2 とスプリング2
16の弾性力F3 との和より小さくなれば、弁子210
が弁座212から離間し、ポンプ194からの作動液が
マスタリザーバ134に逃がされ、助勢室102の液圧
のそれ以上の増加が阻止される。スプリング216の弾
性力F3 を無視すれば、助勢室102にはソレノイド吸
引力F1 (ソレノイド214への供給電流量)に応じて
リニアに増加する液圧が発生させられることになる。
【0026】本液圧ブレーキシステムは、図4に示す電
子制御ユニット240(以下、ECU240と称する)
を備えている。ECU240はコンピュータ242を備
え、このコンピュータ242は、PU(プロセッシング
ユニット)244,ROM246,RAM248,I/
Oポート250を備えている。I/Oポート250に
は、ブレーキスイッチ252,踏力センサ254,マス
タシリンダ圧センサ258,車輪速センサ260および
ヨーレイトセンサ262を始めとする各種検出器が接続
されるとともに、前記ポンプモータ178,196を始
めとする各種アクチュエータが駆動回路270を介して
接続されている。これら駆動回路270とコンピュータ
242とによりECU240が構成されている。
【0027】ブレーキスイッチ252は、ブレーキ操作
検出装置の一種であり、ブレーキペダル18が踏み込ま
れず、原位置ないし非踏込位置に位置する状態、すなわ
ちブレーキペダル18が車体との間に設けられた図示し
ないリターンスプリングの付勢によりストッパ(図示省
略)に当接させられた状態と、ブレーキペダル18が踏
み込まれてストッパから離間した状態とで出力信号が変
化するように構成されている。ここではブレーキスイッ
チ252はブレーキペダル18が踏み込まれていない状
態でOFF信号、踏み込まれた状態でON信号を発する
ものとする。
【0028】踏力センサ254は、例えば、ロードセル
のように歪みゲージを備えた荷重変換器を含み、踏力に
対応する電気信号を出力するように構成されており、E
CU240はこの電気信号に基づいて踏力を取得する。
マスタシリンダ圧センサ258は、第二加圧室104と
リヤホイールシリンダ162,164とを接続する主液
通路156の基幹通路166に設けられており、マスタ
シリンダ圧に応じたマスタシリンダ圧信号を出力する。
車輪速センサ260は、左,右の各前輪10,12およ
び各後輪14,16の各々について設けられ、各輪の車
輪速に応じた車輪速信号を出力する。
【0029】コンピュータ242のROM246には、
図示しないメインルーチン,図5にフローチャートで表
す緊急制動制御ルーチン,アンチロック制御ルーチン,
トラクション制御ルーチン,ビークルスタビリティ制御
ルーチン,ACC制御ルーチン等が記憶されており、そ
れらルーチンがPU244によりRAM248を使用し
つつ実行されることによって、緊急制動制御等が実行さ
れる。
【0030】次に作動を説明する。エンジンを含む図示
しない車両駆動装置によって車両が駆動されていると
き、路面の摩擦係数に対して駆動力が過大であり、駆動
輪である左,右前輪10,12の駆動スリップが過大に
なれば、トラクション制御が行われる。トラクション制
御時には、動力液圧源装置192において、圧力制御弁
200のソレノイド214が励磁されるとともに、ポン
プモータ196が作動させられ、ポンプ194がマスタ
リザーバ134の作動液を汲み上げて助勢室102に供
給する。助勢室102に供給される液圧は、トラクショ
ン制御を行うのに十分な高さの液圧とされ、その液圧が
得られるようにソレノイド214に電流が供給される。
【0031】トラクション制御時には、また、リヤホイ
ールシリンダ162,164の各々について設けられた
液圧制御弁装置170においては、増圧弁172が閉じ
られ、リヤホイールシリンダ162,164には液圧が
供給されず、非駆動輪である左,右後輪14,16に設
けられたブレーキ158,160が作動しないようにさ
れる。そのため、助勢室102への液圧の供給により、
第一加圧ピストン90が前進させられて第一加圧室10
0のみに液圧が発生させられる。この液圧は、フロント
ホイールシリンダ146,148のうち、駆動スリップ
が過大である前輪に設けられたブレーキのフロントホイ
ールシリンダに供給され、駆動輪の回転が抑制されて駆
動スリップが減少させられる。この際、必要であれば、
ホイールシリンダ圧は液圧制御弁装置170により制御
される。
【0032】このようにトラクション制御時には、ブレ
ーキペダル18が踏み込まれなくても、助勢室102に
液圧を供給することにより車輪の回転が抑制されるので
あるが、プッシュロッド40は第一加圧ピストン90に
離間可能に当接させられているため、助勢室102に液
圧が供給されれば、第一加圧ピストン90のみが前進さ
せられ、プッシュロッド40は第一加圧ピストン90か
ら離間し、原位置ないし後退端位置、すなわちブレーキ
ペダル18が非踏込位置に位置し、パワーピストン32
がリターンスプリング41の付勢により後退端位置に位
置する状態における位置に位置したままである。このプ
ッシュロッド40には、助勢室102の液圧である助勢
圧が後退方向に作用する。ブレーキペダル18の踏込み
により、第一加圧室100に液圧を発生させる際に、プ
ッシュロッド40が第一加圧ピストン90に当接した状
態で第一加圧ピストン90から反力が与えられる場合と
同じ方向に液圧が作用させられるのである。そのため、
トラクション制御中にブレーキペダル18が踏み込まれ
れば、運転者は非踏込位置に位置するブレーキペダル1
8を踏み込むことができるとともに、助勢圧に基づく反
力を受け、空操作感少なく踏み込むことができる。
【0033】ビークルスタビリティ制御,ACC制御を
行う際にも同様に、動力液圧源装置192が作動させら
れ、助勢室102に液圧が供給される。助勢室102に
は、ビークルスタビリティ制御,ACC制御の実行にそ
れぞれ十分な液圧が供給される。ビークルスタビリティ
制御を行う場合、回転を抑制しなくてよい車輪のホイー
ルシリンダについて設けられた液圧制御弁装置170に
おいては、増圧弁172が閉じられ、ホイールシリンダ
に液圧が供給されないようにされる。また、ホイールシ
リンダ圧の制御が必要であれば、液圧制御弁装置170
により制御される。これらの制御中、プッシュロッド4
0は後退端位置に位置したままであるが、助勢圧が作用
するため、制御中にブレーキペダル18が踏み込まれて
も、トラクション制御時と同様に、運転者は空操作感少
なく、ブレーキペダル18を踏み込むことができる。
【0034】車輪の回転を抑制すべく、運転者によりブ
レーキペダル18が踏み込まれれば、オペレーティング
ロッド44が前進させられるとともに、入力ピストン5
4,プッシュロッド40が前進させられ、第一,第二加
圧ピストン90,92が前進させられる。この際、圧力
制御弁200は開いており、リザーバ134から圧力制
御弁200を経て助勢室102に作動液が供給され、助
勢室102に負圧を生じさせることなく、第一加圧ピス
トン90が前進させられる。圧力制御弁200を経ての
作動液の供給が不足すれば、逆止弁206を経てリザー
バ134から助勢室102へ作動液が補給される。第一
加圧ピストン90には、ブースタ20により踏力を倍力
した力が加えられ、運転者のブレーキペダル18の踏込
みが助勢される。第一,第二加圧ピストン90,92の
前進により、第一,第二加圧室100,104に液圧が
発生させられてホイールシリンダ146,148,16
2,164に供給され、ブレーキ146,148,15
8,160が作動させられて車輪の回転が抑制される。
そして、路面の摩擦係数に対して制動力が過大であり、
車輪の制動スリップが過大になれば、アンチロック制御
が行われる。アンチロック制御は、車輪速センサ260
の検出値に基づいて各輪の車輪速および車体の走行速度
を監視しつつ、液圧制御弁装置170を作動させ、ホイ
ールシリンダ圧を増大,保持,減少させることにより行
われる。
【0035】また、緊急制動時には、緊急制動制御が行
われる。緊急制動制御は、運転者によるブレーキ操作に
基づいて得られる制動力より大きい制動力を生じさせる
制動力助勢制御の一種であり、車両が緊急に制動された
とき、助勢室102に液圧を供給することにより、ブレ
ーキペダル18の踏込みによってプッシュロッド40か
ら第一加圧ピストン90に伝達される力のみにより得ら
れるブレーキ作動力より大きいブレーキ作動力を生じさ
せ、車両を迅速に制動する制御である。
【0036】本実施形態において緊急制動は、例えば、
ブースタ20の作動遅れの大きさに基づいて検出され
る。ブースタ20においては、変圧室36への大気の流
入の遅れや負圧が弱い(大気圧に近い)ことにより作動
遅れが生じ、出力(プッシュロッド40が第一加圧ピス
トン90に加える力)が入力(オペレーティングロッド
44に加えられる力)に対して遅れることがある。この
作動遅れは、ブレーキペダル18の踏込みが素早く行わ
れるほど、大きくなるため、作動遅れに基づけば、緊急
制動を早期に検出することができる。ブースタ20に作
動遅れが生ずれば、出力の実際値が、理想出力より小さ
くなるため、両者の差(出力差)から作動遅れを検出
し、両者の差が設定差以上になれば、設定作動遅れ以上
の作動遅れが生じ、緊急制動が行われたとすることがで
きる。
【0037】本実施形態においてブースタ20の出力の
実際値は、マスタシリンダ圧を検出するとにより取得さ
れ、入力の実際値は、ブレーキペダル18の踏力を検出
することにより取得され、緊急制動が行われたか否かの
判定は、踏力が設定踏力に達した状態において、踏力に
対して理想とされる理想マスタシリンダ圧から、実際の
マスタシリンダ圧である実マスタシリンダ圧を差し引い
た値、すなわちマスタシリンダ圧差が設定マスタシリン
ダ圧差以上であるか否かにより行われる。マスタシリン
ダ圧は、第一,第二加圧室100,104に発生させら
れる液圧である。理想マスタシリンダ圧は、ブレーキペ
ダル18の踏力に対して理想とされるマスタシリンダ圧
であって、ブースタ20において入力が遅れなく倍力さ
れた場合に得られる圧力であり、予め取得されてコンピ
ュータ242のROM246に記憶されている。緊急制
動時には、時間に対する踏力の増大勾配が大きく、理想
マスタシリンダ圧の増大勾配が大きいため、ブースタ2
0の作動遅れが大きく、図6に示すように、踏力Fp
設定踏力Fpkに達したとき、マスタシリンダ圧差が大き
くなる。そのため、設定マスタシリンダ圧差は緊急制動
時であれば、マスタシリンダ圧差が設定マスタシリンダ
圧差以上となる大きさに設定されている。なお、ブース
タ20の出力の実際値は、出力自体、すなわちプッシュ
ロッド40が第一加圧ピストン90に加える力を検出す
ることにより取得してもよく、入力の実際値は、入力自
体、すなわち入力ピストン54に加えられる力を検出す
ることにより取得してもよい。ブースタ20の出力は、
ブースタ20、すなわちプッシュロッド40から第一加
圧ピストン90への入力である。
【0038】緊急制動制御を図5に示す緊急制動制御ル
ーチンに基づいて説明する。緊急制動制御ルーチンは、
車両の電源投入と同時に実行され、ステップ1(以下、
S1と記載する。他のステップについても同じ。)にお
いてブレーキスイッチ252がON状態であるか否かの
判定が行われる。ブレーキペダル18が踏み込まれてい
るか否かの判定が行われるのである。ブレーキペダル1
8が踏み込まれておらず、ブレーキスイッチ252の出
力信号がOFFであれば、S1の判定はNOになり、S
2において終了処理が行われてルーチンの実行が終了す
る。終了処理においては、例えば、動力液圧源装置19
2のポンプモータ196の停止,圧力制御弁200のソ
レノイド214への供給電流を0にし、フラグをOFF
にリセットする等の処理が行われる。
【0039】ブレーキペダル18が踏み込まれ、ブレー
キスイッチ252の出力信号がONになれば、S1の判
定はYESになってS3が実行され、ブレーキペダル1
8の踏力Fp が設定踏力Fpkに達したか否かの判定が行
われる。踏力Fp が設定踏力Fpkより小さければ、S3
の判定はNOになってS2が実行され、ルーチンの実行
が終了する。
【0040】踏力Fp が設定踏力Fpk以上になれば、S
3の判定はYESになってS4が実行され、フラグF1
がONにセットされているか否かの判定が行われる。フ
ラグF1 はコンピュータ242のRAM248に設けら
れており、セットにより、緊急制動制御を実行すること
を記憶し、リセットにより、緊急制動の検出がまだ行わ
れていないことを記憶する。フラグF1 は、図示しない
メインルーチンの初期設定等においてリセットされ、S
4が初めて実行されるときにはリセットされており、そ
の判定はNOになる。次いでS5が実行され、フラグF
2 がONにセットされているか否かの判定が行われる。
フラグF2 はセットにより、緊急制動制御を行わないこ
とを記憶し、リセットにより、緊急制動の検出がまだ行
われていないことを記憶する。フラグF2 はRAM24
8に設けられ、S5が初めて実行されるときにはOFF
にリセットされており、S5の判定はNOになる。
【0041】次いでS6が実行され、緊急制動の検出が
行われる。この検出は、設定踏力F pkに対して理想とさ
れる理想マスタシリンダ圧(フローチャートでは、P
MCI で表されている)からマスタシリンダ圧センサ25
8により検出される実際のマスタシリンダ圧である実マ
スタシリンダ圧(フローチャートでは、PMCACで表され
ている)を差し引くことにより得られるマスタシリンダ
圧差が、設定圧差(フローチャートではPTHで表されて
いる)以上であるか否かにより行われる。設定踏力Fpk
に対する理想マスタシリンダ圧は予め取得されてROM
246に記憶されている。マスタシリンダ圧差が設定圧
差より小さければ、緊急制動は行われておらず、S6の
判定はNOになってS9が実行され、フラグF2 がリセ
ットされてルーチンの実行は終了する。以後、ブレーキ
スイッチ252がOFF状態になるか、あるいは踏力F
p が設定踏力Fpkより小さくなるまで、S1,S3〜S
5が繰返し実行され、緊急制動制御は行われない。本実
施形態において緊急制動の検出は、ブレーキペダル18
の1回の踏込み操作につき、1回行われるのである。そ
れに対し、緊急制動が行われ、ブースタ20の作動遅れ
が大きく、図6に示すように、マスタシリンダ圧差が大
きく、設定圧差以上であれば、S6の判定はYESにな
ってS7が実行され、フラグF1 がセットされた後、S
8において緊急制動制御が行われる。
【0042】緊急制動制御は、動力液圧源装置192を
作動させ、助勢室102に液圧を供給することにより行
われる。緊急制動制御を図7のグラフに基づいて説明す
る。助勢室102に液圧が供給されない状態では、ブレ
ーキペダル18の踏込みによりプッシュロッド40から
第一加圧ピストン90に伝達される入力であるFi のみ
に基づいてマスタシリンダ圧が発生させられ、入力Fi
とマスタシリンダ圧P m とは、 (1)式で表される関係を
保って変化する。入力Fi は、ブースタ20の出力であ
る。 Pm ・S1 =Fi ・・・ (1)
【0043】緊急制動が検出され、助勢室102に液圧
が供給されれば、助勢室102の液圧である助勢圧は、
第一加圧ピストン90を前進させる向きに作用するとと
もに、プッシュロッド40に第一加圧ピストン90から
離間させる向きに作用する。そのため、助勢圧が増大す
るに従って、プッシュロッド40が第一加圧ピストン9
0を押す力であって、第一加圧室100に液圧を発生さ
せる力(この力を有効入力と称する)が減少し、第一加
圧ピストン90からプッシュロッド40に作用する反力
も減少する。この状態では、 (2)式および (3)式が成立
する。 Pm ・S1 =Ps ・S1 +f・・・ (2) Fi =Ps ・S2 +f・・・ (3) 但し、Ps は助勢圧、 (2)式におけるfは有効入力、
(3)式におけるfは有効入力に対する反力、S1 は、図
2に示すように、第一加圧ピストン90の第一加圧室1
00側および助勢室102側の受圧面積、S2 はプッシ
ュロッド40の受圧面積であって、すべて0以上の値で
ある。
【0044】助勢圧がマスタシリンダ圧より小さい間
は、プッシュロッド40が第一加圧ピストン90に当接
して力を加えているが、助勢圧がマスタシリンダ圧と等
しくなれば、有効入力fおよび有効入力に対する反力f
が0になり、助勢圧がf=0になった瞬間の液圧より増
大すれば、プッシュロッド40が第一加圧ピストン90
から離間する。離間する瞬間の入力Fi に対するマスタ
シリンダ圧は、 (4)式で表される。(4) 式は、 (3)式に
おいてf=0、Pm =Ps とすることにより得られる。 Pm =Fi /S2 ・・・ (4) プッシュロッド40が第一加圧ピストン90から離間す
る時期は、プッシュロッド40の受圧面積S2 を大きく
するほど早く、すなわち小さい助勢圧で離間させること
ができる。
【0045】緊急制動のための助勢圧は予め一定の値に
設定されるのであるが、本実施形態においては、緊急制
動検出時におけるブースタ20の遅れに基づいて、図7
に示すように、緊急制動制御の開始時、すなわち助勢室
102への助勢圧の供給開始時の入力Fieに対して、プ
ッシュロッド40が第一加圧ピストン90から離間する
際のマスタシリンダ圧である離間時マスタシリンダ圧よ
り大きく、緊急制動に十分な大きさに設定される。緊急
制動助勢圧が、緊急制動制御開始入力Fieおよび (4)式
に基づいて得られる離間時マスタシリンダ圧より大きい
液圧に設定されるのである。プッシュロッド40が第一
加圧ピストン90から離間する瞬間およびそれ以降は、
助勢圧とマスタシリンダ圧とは等しく、離間時マスタシ
リンダ圧は離間時助勢圧でもある。緊急制動制御開始入
力Fieは、ブースタ20の作動遅れの大きさによって変
わり、ブースタ20の作動遅れが大きいほど小さくなる
が、離間時助勢圧は、緊急制動制御開始入力Fieが大き
くても、その入力Fieについて得られる離間時マスタシ
リンダ圧より大きく、緊急制動に十分な大きさに設定さ
れている。
【0046】緊急制動制御時には、圧力制御弁200の
ソレノイド214には、緊急制動助勢圧を得るのに必要
な電流が一挙に供給されるとともに、ポンプモータ19
6が起動され、ポンプ194がフル作動させられて助勢
室102に作動液が最大流量で供給される。そのため、
第一加圧ピストン90が急進させられるのに対し、助勢
圧は瞬時には緊急制動制御圧まで増大せず、入力Fi
一旦減少するが、助勢圧が増大してプッシュロッド40
が第一加圧ピストン90から離間した後は、入力Fi
再び増大に転ずる。そのため、前記特願平11−184
816号の明細書に記載の助勢型マスタシリンダのよう
に、助勢室の液圧がブレーキペダルに作用しない助勢型
マスタシリンダに比較して、運転者が感ずる違和感が少
なくて済む。
【0047】特願平11−184816号の明細書に記
載の助勢型マスタシリンダにおいては、緊急制動時に
は、ブレーキペダルの踏込みに基づいて得られるマスタ
シリンダ圧に、助勢室への液圧の供給に基づく液圧が付
加される。付加圧はブースタ20の遅れを考慮して、マ
スタシリンダ圧が理想マスタシリンダ圧より大きくなる
大きさに設定され、ブレーキペダルの踏力に基づくマス
タシリンダ圧と付加圧との和が、本実施形態の緊急制動
助勢圧に相当する。そして、助勢圧を一挙に不可圧まで
増大させようとして、助勢圧が急激に増大させられれ
ば、加圧ピストンが急に前進させられ、運転者がブレー
キペダルを踏み込んで加圧ピストンの前進に追従しよう
としても遅れが生じる上、助勢圧がブレーキペダルに作
用しない。そのため、図8に二点鎖線で示すように入力
i が減少し、その分、助勢圧の増大によるマスタシリ
ンダ圧の増大が削減されるとともに、ブレーキペダルの
ストロークが大きくなるのに入力Fi が減少することと
なって、運転者が違和感を感ずる。助勢圧が付加圧に達
し、助勢圧の供給による加圧ピストンの前進がなくなれ
ば、ブレーキペダルの踏込み遅れがなくなって入力Fi
が増大し、マスタシリンダ圧が増大させられる。図7に
実線で示すように、入力Fi の減少を生ずることなく、
マスタシリンダ圧を増大させたいのであるが、ブレーキ
ペダルの踏込みに遅れがあるためにそのようには増大さ
せ得ないのである。
【0048】それに対し、本実施形態のマスタシリンダ
22においては、プッシュロッド40が第一加圧ピスト
ン90に離間可能に当接させられて、助勢室102の液
圧が作用するようにされているため、助勢圧が一挙に緊
急制動助勢圧になるように助勢室102の液圧が急激に
増大させられるとき、第一加圧ピストン90が急に前進
させられるが、同時にプッシュロッド40に反力が作用
する。しかし、助勢圧は瞬時には緊急制動助勢圧に到達
せず、プッシュロッド40に作用する反力が不足し、ま
た、運転者が第一加圧ピストン90の前進に追従すべ
く、ブレーキペダル18を踏み込もうとしても遅れがあ
るため、図8に実線で示すように入力Fiが一旦減少す
る。しかし、緊急制動助勢圧は、離間時マスタシリンダ
圧を超える大きさとされており、助勢圧が離間時マスタ
シリンダ圧である離間時助勢圧を超えれば、プッシュロ
ッド40が第一加圧ピストン90から離れつつ、反力が
増大し、入力Fi が減少から増大に転ずる。プッシュロ
ッド40が第一加圧ピストン90に当接した状態では、
プッシュロッド40には、助勢圧が作用するとともに、
第一加圧ピストン90からの反力が作用するが、プッシ
ュロッド40が第一加圧ピストン90の急進に追従でき
ず、かつ、助勢圧の増大に遅れがある分、反力が減少
し、入力Fi が減少する。それに対し、助勢圧が離間時
助勢圧を超えれば、プッシュロッド40には助勢圧のみ
が作用する状態となり、以後は助勢圧の増大に伴って反
力が増大して入力Fi が増大し、運転者が感ずる違和感
が少なくて済む。
【0049】助勢圧が緊急制動助勢圧に達した状態にお
いて更に、ブレーキペダル18が踏み込まれれば、プッ
シュロッド40は前進させられ、第一加圧ピストン90
に当接させられる。この際、プッシュロッド40の前進
は、助勢室102の作動液が圧力制御弁200を通って
マスタリザーバ134に排出されることにより許容され
る。プッシュロッド40が第一加圧ピストン90に当接
した後、更にブレーキペダル18が踏み込まれるときに
は、ポンプ194から助勢室102に作動液が緊急制動
助勢圧で補給されつつプッシュロッド40が前進させら
れるとともに、第一加圧ピストン90が前進させられ、
図7に示すように、入力Fi の増大に基づいてマスタシ
リンダ圧が増大させられる。踏力Fp が設定踏力Fpk
上となり、緊急制動が検出されて緊急制動が行われ、助
勢圧が緊急制動助勢圧に達した状態では、助勢室102
は緊急制動助勢圧に保たれており、ブレーキペダル18
の踏込みのみによって得られるマスタシリンダ圧に、緊
急制動助勢圧から、 (1)式および緊急制動制御開始時入
力Fieにより得られるマスタシリンダ圧を引いた液圧が
付加された状態でマスタシリンダ圧が増大させられ、ブ
ースタ20の作動遅れによるブレーキの作動遅れが軽減
されるのみならず、通常時より大きなブレーキ作動力が
得られ、車両を停止させるに要する距離が短縮される。
【0050】ブレーキペダル18の踏力Fp が設定踏力
pkより小さくなるまで、あるいはブレーキペダル18
の踏込みが解除されるまで、S1,S3,S4,S8が
繰り返し実行され、助勢室102に緊急制動時助勢圧が
供給され続ける。そして、ブレーキペダル18の踏力F
p が設定踏力Fpkより小さくなり、あるいはブレーキペ
ダル18の踏込みが解除されれば、S2が実行されて緊
急制動制御が終了させられ、ポンプモータ196の停
止,圧力制御弁200のソレノイド214への電流供給
の停止,フラグのリセット等が行われる。
【0051】以上、説明した運転者が感ずる違和感の減
少効果は、第一加圧ピストンを段付状を為すものとし、
例えば、助勢室102側の受圧面積を第一加圧室100
側の受圧面積より小さくし、その加圧ピストンにプッシ
ュロッドを離間可能に当接させても同様に得ることがで
きる。しかし、本実施形態の助勢型マスタシリンダ22
の第一加圧ピストン90のように、段のない有底円筒状
を為し、助勢室102側の受圧面積と第一加圧室100
側の受圧面積とが等しいものとすれば、加工性が向上
し、コストを低減させることができる上、助勢室には、
第一加圧室に発生させる液圧と同じ高さの液圧を供給す
ればよいため、助勢室102側の受圧面積が第一加圧室
100側の受圧面積より小さい場合のように、所定のマ
スタシリンダ圧を得るために助勢圧を受圧面積比分、マ
スタシリンダ圧より高くしなくてよく、ポンプ194の
吐出保証圧を低く設定することができる。
【0052】また、マスタシリンダ22のシリンダハウ
ジング60を構成するハウジング本体62および端壁6
4は、ブースタ20のハウジング30に、スタッドボル
ト74によって結合されているため、端壁64をハウジ
ング本体62に固定する専用の固定手段が不要であり、
また、端壁64は、ハウジング本体62を構成するスリ
ーブ67を軸方向において位置決めする役割を果たし、
スリーブ67の有底円筒状部材65に対する軸方向の移
動を阻止するストッパが不要であり、これらの点におい
てもコストを低減することができる。
【0053】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、踏力センサ254およびECU240の
踏力センサ254の信号に基づいて踏力を取得する部分
が踏力検出装置を構成し、助勢室104および動力液圧
源装置192が制動力助勢装置を構成し、プッシュロッ
ド40が、第一加圧ピストン90に対向する端壁64を
液密に貫通させられ、助勢型マスタシリンダ22におい
て第一加圧ピストン90にプッシュロッド40を離間可
能に当接させた構成が踏力変動軽減手段を構成し、ブレ
ーキECU240のS6を実行する部分,マスタシリン
ダ圧センサ258等が液圧付加要検出装置たる緊急制動
検出装置を構成し、S8を実行する部分が制動力増大制
御装置たる緊急制動時制動力増大制御装置を構成してい
る。制動力一挙増大型の助勢装置制御装置を構成してい
るとも言える。また、リアクションディスク38,オペ
レーティングロッド44,入力ピストン54およびプッ
シュロッド40が、ブレーキペダル18の踏力を第一加
圧ピストン90に伝達する伝達装置を構成し、そのう
ち、リアクションディスク38,オペレーティングロッ
ド44および入力ピストン54が、ブレーキペダル18
の踏力をプッシュロッド40に伝達する伝達装置を構成
している。
【0054】上記実施形態においては、緊急制動時に助
勢圧が一挙に緊急制動助勢圧に増加させられるようにさ
れていたが、ブレーキペダル18の踏力の増大に応じた
勾配で助勢圧を緊急制動助勢圧まで増大させるようにし
てもよい。その例を図9および図10に基づいて説明す
る。本実施形態の液圧ブレーキシステムの回路構成は、
上記実施形態と同じであり、図示および説明は省略し、
対応する構成要素については、同じ名称および符号を用
いて説明する。
【0055】本実施形態においてECU240のROM
246には、図9に示す緊急制動制御ルーチンが記憶さ
れており、この緊急制動制御ルーチンのS101〜S1
03,S105〜S107,S112は、上記実施形態
の緊急制動制御ルーチンのS1〜S3,S4〜S6,S
9と同様に実行される。本実施形態においては、踏力が
設定踏力に達し、緊急制動が検出されたならば、入力が
緊急制動制御開始入力に達することが待たれ、達したな
らば緊急制動制御が開始され、入力に基づいて制御され
た助勢圧が助勢室102に供給される(S109〜S1
11)。緊急制動制御において助勢室102に供給され
る緊急制動助勢圧は、上記実施形態におけると同様に、
緊急制動に十分であって、プッシュロッド40を第一加
圧ピストン90から離間させる大きさとされている。
【0056】踏力Fp が設定踏力Fpkに達したならば、
S103の判定がYESになってS104が実行され、
フラグF3 がONにセットされているか否かの判定が行
われる。フラグF3 は、セットにより、入力Fi が緊急
制動制御開始入力Fieに達したことを記憶する。フラグ
3 がセットされていなければ、S104の判定はNO
になってS105〜S107が実行され、緊急制動の検
出が行われる。緊急制動が検出されれば、S107の判
定がYESになってS108が実行され、フラグF1
ONにセットされ、S107において求められたマスタ
シリンダ圧差が、RAM248に設けられたマスタシリ
ンダ圧差メモリに記憶されるとともに、ポンプモータ1
96が起動される。圧力制御弁200は常開弁であり、
ソレノイド214に電流が供給されない状態では開いて
おり、ポンプモータ196が起動されても、ポンプ19
4によりリザーバ134から汲み上げられた作動液は、
リザーバ134に戻る。
【0057】次いでS109が実行され、入力Fi が緊
急制動制御開始入力Fieに達したか否かの判定が行われ
る。緊急制動制御開始入力Fieは、図10に示すよう
に、助勢室102に液圧が供給されるとともに、プッシ
ュロッド40が第一加圧ピストン90に当接している状
態での入力Fi に対するマスタシリンダ圧Pm を規定す
る直線と、入力Fi のみによって発生させられるマスタ
シリンダ圧Pm を規定する直線との交点の入力値であ
る。
【0058】本実施形態においては、緊急制動が検出さ
れ、助勢室102に液圧が供給されるとき、助勢圧Ps
は、踏力Fp が増大すれば増大し、踏力Fp の増大に応
じた勾配で増大するように制御され、入力Fi と助勢圧
s との間に (5)式で表される関係が成立するように制
御される。 (5)式で表される助勢圧PS が得られるよう
に、圧力制御弁200のソレノイド214に電流が供給
されるのである。 Ps =A・Fi −B・・・ (5) 但し、A,Bは定数である。
【0059】(5)式が成立するようにソレノイド214
への供給電流量を制御する際、入力Fi を入力検出装置
によって検出し、検出された入力Fi に基づいて助勢圧
Sを制御してもよいが、本実施形態では、入力Fi
検出せず、踏力Fp が検出されている。踏力Fp と入力
i との間には、ブースタ20の作動遅れを無視すれ
ば、 (6)式で表される関係が成立するが、実際には、ブ
ースタ20に作動遅れがあるため、踏力Fp および作動
遅れに基づいて入力Fi が取得され、その入力F i に基
づいてソレノイド214への供給電流量が決定される。 C・FP =Fi ・・・ (6) 但し、本実施形態ではレバー比、すなわちオペレーティ
ングロッド44からブースタ20に入力される踏力の倍
力率は一定であるとし、Cは定数である。
【0060】ブースタ20の作動遅れは、本実施形態に
おいては、マスタシリンダ圧の増加遅れによって取得さ
れる。作動遅れと踏力Fp と入力Fi との関係は予め実
験により調べられ、テーブルとしてROM246に記憶
されており、作動遅れ,踏力Fp およびテーブルに基づ
いて入力Fi が取得され、ソレノイド214への供給電
流量が決定される。作動遅れは、緊急制動検出時に取得
されるマスタシリンダ圧差により得られ、設定踏力Fpk
に基づいて得られる理想マスタシリンダ圧PMC I から、
マスタシリンダ圧センサ258により検出される実マス
タシリンダ圧P MCACを引くことにより得られ、マスタシ
リンダ圧差メモリに記憶されている。また、踏力Fp
設定踏力Fpkに達したときに得られる入力Fi は、緊急
制動制御開始入力Fieより小さくなるようにテーブルが
作成されている。
【0061】そして、助勢室102に助勢圧Ps が供給
され、プッシュロッド40が第一加圧ピストン90に当
接している状態では、前記 (2)式および (3)式が成立
し、入力Fi とマスタシリンダ圧Pm との間には、 (2)
式, (3)式および (5)式に基づいて得られる (7)式で表
される関係が成立する。 Pm =〔{A(S1 −S2 )+1}/S1 〕Fi −B(S1 −S2 )/S1 ・・ ・ (7) 入力Fi のみによってマスタシリンダ圧が発生させられ
る状態では、前記 (1)式が成立し、緊急制動制御開始入
力Fieは、 (7)式および1)式から得られ、上記実施形態
の緊急制動制御開始入力Fieとは異なり、決まった値で
ある。
【0062】入力Fi は、当初は緊急制動制御開始入力
ieより小さく、S109の判定はNOになってルーチ
ンの実行は終了する。入力Fi が緊急制動制御開始入力
ieに達するまで、S101〜S105,S109が繰
り返し実行される。S109の実行時には、踏力検出装
置により検出される踏力Fp が読み込まれ、踏力Fp
S107において取得されたマスタシリンダ圧差および
テーブルを用いて入力Fi が取得される。入力Fi が緊
急制動制御開始入力Fieに達すれば、S109の判定は
YESになってS110が実行され、フラグF3 がON
にセットされた後、S111が実行されて助勢圧制御緊
急制動制御が行われる。この緊急制動制御は、踏力Fp
およびS107において取得された作動遅れからテーブ
ルを用いて入力Fi を取得し、入力Fi に基づいて (5)
式が成立するように圧力制御弁200のソレノイド21
4への供給電流量を決定し、入力Fi の増大に応じた勾
配で助勢圧を増大させることにより行われる。入力Fi
に対する供給電流量の決定は、例えば、テーブルを用い
て行ってもよく、式を用いて行ってもよい。助勢室10
2への助勢圧の供給によりプッシュロッド40に助勢圧
が作用し、マスタシリンダ圧は、勾配{A(S1
2 )+1}/S1 で増大させられる。それにより、プ
ッシュロッド40の有効入力fが減少し、ブレーキペダ
ル18の踏込みに基づいて発生させられるマスタシリン
ダ圧は、図10に二点鎖線で示すように減少する。
【0063】フラグF3 がONにセットされることによ
り、S104の判定がYESになり、S101,S10
3,S104,S111が繰り返し実行される。助勢圧
sは、図10に示すように、入力Fi の増大に応じて
増大し、離間時マスタシリンダ圧(離間時助勢圧)に達
すれば、プッシュロッド40は第一加圧ピストン90か
ら離間させられ、その状態から更にブレーキペダル18
が踏み込まれて踏力が増大すれば、助勢圧が増大させら
れ、やがて緊急制動助勢圧に達する。プッシュロッド4
0が第一加圧ピストン90から離間する際の入力Fi
よび離間時マスタシリンダ圧は、前記 (7)式および前記
(4)式に基づいて得られ、緊急制動助勢圧は、この離間
時マスタシリンダ圧より大きく設定されている。
【0064】プッシュロッド40が第一加圧ピストン9
0から離間した後も、助勢圧PS は入力Fi に応じて制
御され、プッシュロッド40が第一加圧ピストン90か
ら離れつつ、助勢圧は緊急制動助勢圧に達するまで増大
させられる。この間、マスタシリンダ圧は、プッシュロ
ッド40が第一加圧ピストン90に当接している状態よ
り大きい勾配で増大させられる。プッシュロッド40が
第一加圧ピストン90に当接している状態では、有効入
力fの減少に伴ってマスタシリンダ圧が減少し、その
分、マスタシリンダ圧の増大が削減されるが、プッシュ
ロッド40が第一加圧ピストン90から離間した後は、
マスタシリンダ圧の増大が削減されることはなくなるか
らである。助勢圧が緊急制動助勢圧に達すれば、圧力制
御弁200のソレノイド214への供給電流量は一定の
大きさ、すなわち緊急制動助勢圧を生じさせる大きさに
保たれる。助勢圧が緊急制動助勢圧に達したことは、ソ
レノイド214への供給電流量が、予め定められた緊急
制動助勢圧を得るのに必要な量になったことによりわか
る。このように助勢圧が緊急制動助勢圧に達した後は、
助勢圧は増大させられず、助勢室102の液圧は緊急制
動助勢圧に保たれ、前記実施形態におけると同様に、ブ
レーキペダル18が更に踏み込まれれば、プッシュロッ
ド40が第一加圧ピストン90に当接させられるととも
に、ポンプ194から助勢室102に作動液が緊急制動
助勢圧で補給されつつ、プッシュロッド40が前進させ
られて第一加圧ピストン90が前進させられる。そし
て、緊急制動助勢圧から、助勢圧が緊急制動助勢圧に達
したときの入力Fi のみによって得られるマスタシリン
ダ圧を引いた液圧が付加された状態でマスタシリンダ圧
が増大させられる。
【0065】このように入力Fi の増加に基づき、入力
i の増大に応じた勾配で助勢圧を予め定められた大き
さまで増加させれば、助勢圧が一挙に緊急制動助勢圧ま
で増加させられる場合のように、運転者によるブレーキ
ペダル18の踏込みが遅れ気味となって入力Fi が減少
することはなく、緊急制動制御時に運転者が違和感を感
ずることが少なくなる。また、緊急制動助勢圧は予め定
められているが、緊急制動助勢圧に到達するまでの助勢
圧の増大勾配は、踏力(入力)の増大勾配が大きいほど
大きく、緊急制動の度合いが大きいほど、助勢圧が急増
させられ、マスタシリンダ圧が迅速に増大させられる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態において
は、ECU240のS107を実行する部分が液圧付加
要検出装置たる緊急制動検出装置を構成し、S111を
実行する部分が緊急制動時助勢圧制御装置,助勢装置制
御装置ないし踏力変動軽減手段を構成している。
【0066】なお、緊急制動が検出されたならば、入力
が決められた緊急制動制御開始入力に達することを待つ
ことなく、直ちに緊急制動制御を開始するようにしても
よい。例えば、 (5)式においてBを変数とすれば、緊急
制動検出時の入力が緊急制動制御開始入力となり、緊急
制動が検出されたならば、直ちに緊急制動制御が開始さ
れる。緊急制動制御開始入力は一定値ではなくなるので
ある。
【0067】上記各実施形態においては、緊急制動制御
時にプッシュロッド40が第一加圧ピストン90から離
間するようにされていたが、離間させることは不可欠で
はなく、当接させたままとしてもよい。その例を図11
に基づいて説明する。本実施形態の助勢型マスタシリン
ダの構成および液圧ブレーキシステムの回路構成は、上
記各実施形態と実質的に同じであり、図示および説明は
省略し、対応する構成要素については、同じ名称および
符号を用いて説明する。本実施形態において緊急制動助
勢圧は、離間時マスタシリンダ圧より小さく設定される
が、緊急制動に十分な大きさであることが必要である。
そのため、プッシュロッド40の受圧面積が小さくされ
て入力に対する離間時マスタシリンダ圧の増大勾配が大
きくされ、それにより、緊急制動助勢圧は、離間時マス
タシリンダ圧より小さいが、緊急制動に十分な大きさと
される。図11においてS2 ´は、プッシュロッド40
の受圧面積である。
【0068】本実施形態においても、上記実施形態にお
けると同様に、緊急制動が検出されれば、入力の増大に
応じて助勢圧が増大させられる。助勢圧は緊急制動助勢
圧まで増大させられるが、緊急制動助勢圧が離間時マス
タシリンダ圧より小さく設定されているため、有効入力
fに基づくマスタシリンダ圧は0にならず、プッシュロ
ッド40は第一加圧ピストン90から離間せず、緊急制
動助勢圧に到達後、ブレーキペダル18が更に踏み込ま
れれば、マスタシリンダ圧は直ちに増大させられる。
【0069】以上、プッシュロッド40が第一加圧ピス
トン90に離間可能に当接させられ、プッシュロッド4
0に助勢圧の液圧が作用させられる助勢型マスタシリン
ダ22を例に取って説明したが、請求項2の発明は、加
圧ピストンに機械的に力を伝達する入力部材に助勢室の
液圧が作用しない助勢型マスタシリンダを有するブレー
キ制御装置にも適用することができる。その例を図12
ないし図14に基づいて説明する。
【0070】本実施形態のブレーキ制御装置を備えた液
圧ブレーキシステムの回路構成は、助勢型マスタシリン
ダ300(以下、マスタシリンダ300と略称する)を
除いて、上記各実施形態と同じであり、同じ作用を為す
構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明
を省略する。
【0071】マスタシリンダ300のシリンダハウジン
グ302は、有底円筒状のハウジング本体304と、ハ
ウジング本体304の開口端部に嵌合され、止め輪等の
図示しない固定手段によって固定された閉塞部材306
とを含み、シリンダ本体304において、スタッドボル
ト等の図示しない固定手段により、ブースタ305のハ
ウジング30に固定されている。ブースタ305は、図
13に示すように、プッシュロッド40がハウジング3
0に液密かつ摺動可能に嵌合され、ハウジング30の外
へ突出させられていることを除いて前記ブースタ20と
同様に構成されており、同じ作用を為す構成要素には同
一の符号を付して説明を省略する。プッシュロッド40
は、ブースタ305により倍力された力をマスタシリン
ダ300の第一加圧ピストンに伝達するブースタピスト
ンロッドを構成している。
【0072】シリンダハウジング302内には、直径が
異なる3つの円形穴307,308,309が形成さ
れ、最も小径の円形穴308に第一,第二加圧ピストン
310,312が液密かつ摺動可能に嵌合され、第一加
圧ピストン310の前方に第一加圧室314、後方に助
勢室316が形成され、第二加圧ピストン312の前方
に第二加圧室318が形成されている。
【0073】第一加圧ピストン310の後端面には、中
空円筒状のピストンロッド320が一体的に設けられる
とともに、閉塞部材306を実質的に液密かつ摺動可能
に貫通してシリンダハウジング302外へ突出させら
れ、ブースタ305側に臨まされている。ブースタ30
5のプッシュロッド40の先端部は、ピストンロッド3
20の内部に軸方向に相対移動可能に嵌合されており、
プッシュロッド40からピストンロッド320にパワー
ピストン32の作動力が伝達される。本液圧ブレーキシ
ステムを制御する電子制御ユニット(ECU)330
は、前記ECU240と同様に構成され、図示は省略す
るが、コンピュータには、踏力センサ等が接続され、駆
動回路を介してポンプモータ178等を制御する。ま
た、コンピュータのROMには、図9に示す緊急制動制
御ルーチンと同様の緊急制動制御ルーチンを始めとする
種々のルーチンが記憶されている。
【0074】ブレーキペダル18が踏み込まれれば、オ
ペレーティングロッド44が前進させられ、プッシュロ
ッド40が前進させられるとともに、ピストンロッド3
20が前進させられ、第一,第二加圧ピストン310,
312が圧縮コイルスプリング106,108の付勢力
に抗して前進させられて第一,第二加圧室314,31
8に液圧が発生させられる。そして、緊急制動制御ルー
チンが実行され、緊急制動が検出されれば、助勢室31
6に液圧が供給され、ブレーキペダル18の踏込みのみ
により得られるブレーキ作動力より大きいブレーキ作動
力が得られるようにされる。助勢室316に液圧が供給
されない状態でのマスタシリンダ圧は(8) 式で表され、
助勢室316に液圧が供給される際のマスタシリンダ圧
m ,助勢圧Ps ,入力Fi の関係は、 (9)式で表され
る。助勢圧Ps は、入力Fi に対して(10)式で表される
関係が満たされるように制御され、この助勢圧Ps が得
られるように圧力制御弁200のソレノイド214への
供給電流量が制御される。 Pm =Fi /S11・・・ (8) Pm ={(S11−S12)・Ps }/S11+Fi /S11・・・ (9) PS =a・Fi −b・・・(10) 但し、S11は、第一加圧ピストン310の断面積であっ
て、第一加圧室314側の受圧面積であり、S12は、ピ
ストンロッド320の断面積であり、a,bは定数であ
る。
【0075】また、助勢圧Ps が緊急制動助勢圧に達す
るまでのマスタシリンダ圧Pm は、(9)式および(10)式
に基づいて得られる(11)式で表され、緊急制動制御開始
入力Fieは、 (8)式,(11)式によりそれぞれ規定される
直線の交点の入力値として求められる。 Pm =〔{a(S11−S12)+1}/S11〕Fi −b(S11−S12)/S11・・ ・(11)
【0076】本実施形態においては、図14に示すよう
に、マスタシリンダ圧は、入力Fiが助勢制御開始入力
ieに達するまでは、入力Fi のみにより増大させら
れ、入力Fi が助勢制御開始入力Fieに達し、助勢室3
16への液圧の供給が開始されれば、助勢圧に基づく液
圧がマスタシリンダ圧に付加され、マスタシリンダ圧
は、この付加圧と、入力Fi のみに基づいて発生させら
れる液圧との和となる。そのため、緊急制動助勢圧は、
予め、一定の大きさであって、緊急制動検出時における
ブースタ305の遅れに基づいて、緊急制動時に、実マ
スタシリンダ圧が理想マスタシリンダ圧より大きくな
り、ブースタ305の出力に基づくブレーキ作動力より
大きいブレーキ作動力であって、ブレーキペダル18の
踏力に対応するブレーキ作動力より大きく、緊急制動に
十分なブレーキ作動力が得られる大きさに設定される。
そして、助勢圧が緊急制動助勢圧に達すれば、付加圧は
一定になり、その後、ブレーキペダル18が更に踏み込
まれれば、マスタシリンダ圧は、勾配Fi /S11で増大
させられる。
【0077】本実施形態においても、助勢圧が入力に応
じて制御されるため、助勢室316に液圧が供給される
とき、入力が減少することはなく、運転者が違和感を感
ずることが少なく、操作感良く、緊急制動が行われる。
【0078】本発明は、加圧室からポンプにより作動液
が汲み出され、加圧されてホイールシリンダに供給され
る制動力助勢装置を備えたブレーキ制御装置にも適用す
ることができる。その例を図15に基づいて説明する。
【0079】本実施形態のブレーキ制御装置を含む液圧
ブレーキシステムにおいて、ブレーキペダル400の踏
力は、ブースタ402により倍力され、その倍力された
踏力に応じた液圧が液圧源たるマスタシリンダ404に
発生させられる。ブースタ402はバキュームブースタ
であり、前記ブースタ305と同様に構成されている。
また、マスタシリンダ404は、シリンダハウジングに
第一,第二加圧ピストン406,408が互いに直列
に、液密にかつ摺動可能に嵌合されることにより、第
一,第二加圧ピストン406,408の前方にそれぞ
れ、互いに独立した加圧室が形成されたタンデム型であ
る。このマスタシリンダ404は、前記マスタシリンダ
22とは異なり、助勢室は有さず、ブースタ402の出
力部材であって、前記プッシュロッド40と同様に構成
されたブースタピストンロッド(プッシュロッドと称し
てもよい)は、第一加圧ピストン406に軸方向に相対
移動可能に嵌合され、ブースタ402により倍力された
ブレーキペダル400の踏力は、ブースタピストンロッ
ドから第一加圧ピストン406に伝達され、第一,第二
加圧ピストン406,408の前進により、2つの加圧
室内の作動液が加圧されて液圧が発生させられる。
【0080】マスタシリンダ404の一方の加圧室に発
生させられた液圧は、主液通路410により、左前輪4
12および右後輪414をそれぞれ制動するブレーキ4
16,418のブレーキシリンダたるフロントホイール
シリンダ420,リヤホイールシリンダ422に供給さ
れ、他方の加圧室に発生させられた液圧は、主液通路4
26により、右前輪428および左後輪430をそれぞ
れ制動するブレーキ432,434のブレーキシリンダ
たるフロントホイールシリンダ436,リヤホイールシ
リンダ438に供給される。本実施形態の液圧ブレーキ
システムは、ダイアゴナル2系統式なのである。これら
2つの系統は同様に構成されており、左前輪−右後輪系
統を代表的に説明し、右前輪−左後輪系統については、
その構成要素に左前輪−右後輪系統の構成要素と同じ符
号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0081】上記主液通路410は、基幹通路440と
2本の分岐通路442とを有し、各分岐通路442の先
端にホイールシリンダ420,422が接続されてお
り、これら分岐通路442の途中にはそれぞれ、液圧制
御弁装置444が設けられ、アンチロック制御が行われ
る。これら液圧制御弁装置444はそれぞれ、常開の電
磁開閉弁である増圧弁446および常閉の電磁開閉弁で
ある減圧弁448を有し、これら増圧弁446,減圧弁
448の開,閉の組合わせにより、ホイールシリンダ圧
が増大,減少,保持される。ホイールシリンダ420,
422から減圧弁448を経てリザーバ450に排出さ
れた作動液は、ポンプモータ452により駆動されるポ
ンプ454により汲み上げられて主液通路410に戻さ
れる。
【0082】リザーバ450は、作動液を付勢手段とし
てのスプリングによって圧力下に収容するものであり、
ポンプ通路460により、ポンプ454の吸入側に接続
されている。ポンプ454の吸入側には逆止弁である吸
入弁462、吐出側には逆止弁である吐出弁464がそ
れぞれ設けられている。ポンプ454の吐出側を主液通
路410に接続する補助通路466には、絞りとしての
オリフィス468と固定ダンパ470とがそれぞれ設け
られており、それらにより、ポンプ454の脈動が軽減
される。ポンプ454は、アンチロック制御中、作動液
をリザーバ450から汲み上げて主液通路410に還流
させる。
【0083】前記主液通路410には、補助通路466
との接続点とマスタシリンダ404との間の部分に圧力
制御弁480が設けられており、ホイールシリンダ42
0,422にマスタシリンダ圧より高い液圧を発生さ
せ、制御助勢が行われるようにされている。圧力制御弁
480の構成は、前記圧力制御弁200と同じであり、
詳細な図示および構成の説明を省略し、作用を簡単に説
明する。
【0084】この圧力制御弁480においては、ソレノ
イドが励磁されない非作用状態では、スプリングの弾性
力によって弁子が弁座から離間させられ、それにより、
主液通路410においてマスタシリンダ側とホイールシ
リンダ側との間での双方向の作動液の流れが許容され、
その結果、ブレーキ操作が行われれば、ホイールシリン
ダ圧がマスタシリンダ圧と共に変化させられる。圧力制
御弁480は、常開弁なのである。
【0085】ソレノイドが励磁される作用状態では、弁
子が弁座に着座させられる。ポンプ454の吐出圧、す
なわちホイールシリンダ圧が小さい間は圧力制御弁48
0は閉じており、ポンプ454からの作動液がマスタシ
リンダ404に逃げることが阻止され、ポンプ454の
吐出圧が増加し、ホイールシリンダ420,422にマ
スタシリンダ圧より高い液圧が発生させられる。ポンプ
454の吐出圧、すなわちホイールシリンダ圧が更に増
加すれば、圧力制御弁480が開き、ポンプ454から
の作動液がマスタシリンダ404に逃がされ、その結
果、ポンプ454の吐出圧、すなわちホイールシリンダ
圧がそれ以上増加することが防止される。ホイールシリ
ンダ420,422には、マスタシリンダ404に対し
て、ソレノイドの励磁により弁子を弁座に着座させる力
に基づく差圧分、高い液圧が発生させられることにな
り、差圧は、ソレノイドへの供給電流量の増大に応じて
リニアに増加させられる。また、ポンプ454およびポ
ンプモータ452は、アンチロック制御とホイールシリ
ンダへの液圧付加制御とに共用である。
【0086】圧力制御弁480には、バイパス通路48
6が設けられており、そのバイパス通路486の途中に
逆止弁488が設けられている。万が一、ブレーキペダ
ル400の踏込み時に圧力制御弁480内の可動部材に
生ずる流体力によって圧力制御弁480が閉じることが
あっても、マスタシリンダ404からホイールシリンダ
420,422へ向かう作動液の流れが確保されるよう
にするためである。圧力制御弁480にはさらに、それ
に並列にリリーフ弁490も設けられており、ポンプ4
54による吐出圧が過大となることが防止される。
【0087】ポンプ454は、アンチロック制御中,助
勢制御中に作動し、助勢制御の実行中であれば、リザー
バ450から作動液を汲み上げ、その作動液を各ホイー
ルシリンダ420,422に吐出することによって各ホ
イールシリンダ420,422を増圧する。しかし、ア
ンチロック制御が実行されていない場合には、リザーバ
450に汲み上げるべき作動液が存在しないのが普通で
あり、助勢制御の実行を確保するためには、アンチロッ
ク制御の実行の有無を問わず、リザーバ450に作動液
を補給することが必要となる。そのため、本実施形態に
おいては、基幹通路440のうちマスタシリンダ404
と圧力制御弁480との間の部分から延びてリザーバ4
50に至る補給通路494が設けられている。
【0088】補給通路494の途中に流入制御弁496
が設けられている。流入制御弁496は、マスタシリン
ダ404からリザーバ450への作動液の補給が必要で
あるときには開状態となり、マスタシリンダ404から
リザーバ450への作動液の流れを許容し、一方、マス
タシリンダ404からリザーバ450への作動液の補給
が必要ではないときには閉状態となり、マスタシリンダ
404からリザーバ450への作動液の流れを阻止し、
マスタシリンダ404による昇圧を可能とする。本実施
形態においては、流入制御弁496は常閉の電磁開閉弁
とされている。助勢制御が行われるとき、流入制御弁4
96は、アンチロック制御が行われていなければ開か
れ、アンチロック制御が行われていてもリザーバ450
に作動液がなければ開かれ、リザーバ450に作動液が
あれば開かれないようにされる。
【0089】また、ポンプ通路460のうち補給通路4
94との接続点とリザーバ450との接続点との間の部
分に、補給通路494からリザーバ450に向かう作動
液の流れを阻止し、その逆向きの流れを許容する逆止弁
498が設けられている。そのため、主液通路410の
うち、圧力制御弁480より上流側の部分内の高圧の作
動液は、リザーバ450により低圧にされずに、ポンプ
454により汲み上げられ、比較的少ない電気エネルギ
によりホイールシリンダ420,422の液圧を十分に
高くすることができる。
【0090】本液圧ブレーキシステムの電子制御ユニッ
ト500は、前記ECU240と同様にコンピュータを
主体として構成されており、踏力センサ502,マスタ
シリンダ圧センサ504,車輪速センサ506等、制御
に必要な各種検出器が接続されるとともに、駆動回路を
介して増圧弁446等のアクチュエータを制御する。ま
た、コンピュータのROMには、アンチロック制御,助
勢制御のためのルーチン等の各種ルーチンが記憶されて
いる。
【0091】本液圧ブレーキシステムにおいては、ブレ
ーキペダル400の踏込み時に、ホイールシリンダ圧に
液圧を付加し、助勢制御を行うのであれば、ポンプ45
4が作動させられ、マスタシリンダ404の加圧室から
(リザーバ450に作動液があれば、リザーバ450か
ら)作動液を汲み出して加圧してホイールシリンダ圧に
加え、それにより、ブースタ402から第一加圧ピスト
ン406に加えられる力により得られる制動力より大き
い制動力が得られる。本実施形態においては、圧力制御
弁480,ポンプ454等が制動力助勢装置を構成して
いるのである。ホイールシリンダ圧に付加する液圧の大
きさ(ホイールシリンダ圧とマスタシリンダ圧との差圧
であり、助勢圧であり、付加圧である)は、圧力制御弁
480のソレノイドへの供給電流量により決まり、例え
ば、ソレノイドへの供給電流量を踏力の増大に応じて制
御し、踏力の増大に応じた勾配でホイールシリンダ圧を
設定値だけ増大させることにより、運転者が感ずる違和
感を少なくしつつ、制動力が増大させられる。
【0092】なお、プッシュロッドがマスタシリンダの
加圧ピストンに離間可能に当接させられ、プッシュロッ
ドに助勢室の液圧が作用する助勢型マスタシリンダにお
いては、助勢室への液圧の供給によって自動ブレーキ制
御が行われるとき、プッシュロッドへの助勢圧の作用に
より、制御中にブレーキペダルが踏み込まれても、運転
者の空操作感がなくなり、あるいは軽減されるのである
が、この助勢型マスタシリンダにおいて、ブレーキペダ
ル踏込み時における助勢室への助勢圧の供給は、緊急制
動以外の場合に行ってもよい。例えば、ブレーキペダル
の踏込み開始当初から助勢室に助勢圧を供給し、運転者
によるブレーキペダルの踏込みを助勢してもよく、流体
圧倍力装置によって踏力が倍力される場合、流体圧倍力
装置による踏力の助勢が限界に達した後に助勢室に助勢
圧を供給し、流体圧倍力装置に代わって踏力を助勢する
ようにしてもよい。これらの場合、助勢圧は踏力に応じ
て制御される。前者の場合、助勢圧の供給に加えて流体
圧倍力装置により踏力を助勢するようにしてもよく、し
なくてもよい。
【0093】また、上記各実施形態において緊急制動検
出装置は、ブースタの作動遅れに基づくマスタシリンダ
の増加遅れに基づいて緊急制動を検出するように構成さ
れていたが、それに限らず、例えば、ブレーキ操作部材
の操作速度および操作量に基づいて緊急制動を検出する
ようにしてもよい。例えば、操作速度が設定速度以上で
あり、かつ、操作量が設定量以上に達したことにより、
緊急制動が行われたとするのである。
【0094】さらに、上記各実施形態の液圧ブレーキシ
ステムにおいてはバキュームブースタが設けられていた
が、バキュームブースタ等の流体圧倍力装置を設けるこ
とは不可欠ではなく、省略してもよい。
【0095】また、図1ないし図14に示す各実施形態
において液圧ブレーキシステムは、ダイアゴナル2系統
式としてもよく、図15に示す実施形態において液圧ブ
レーキシステムは前後2系統式としてもよい。
【0096】以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細
に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識
に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である助勢型マスタシリンダ
およびブレーキ制御装置を備えた液圧ブレーキシステム
を示す回路図である。
【図2】上記液圧ブレーキシステムを構成するバキュー
ムブースタおよび上記助勢型マスタシリンダの一部を示
す正面断面図である。
【図3】上記液圧ブレーキシステムを構成する動力液圧
源装置の圧力制御弁の構成,作用を説明する図である。
【図4】上記液圧ブレーキシステムの電子制御ユニット
の構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】上記電子制御ユニットを構成するコンピュータ
のROMに記憶された緊急制動制御ルーチンを示すフロ
ーチャートである。
【図6】緊急制動時における理想マスタシリンダ圧と実
マスタシリンダ圧との関係を説明するグラフである。
【図7】緊急制動制御時における入力とマスタシリンダ
圧との関係を説明するグラフである。
【図8】緊急制動制御時に助勢室に液圧が供給された場
合における入力の変化およびマスタシリンダ圧の変化を
従来の助勢型マスタシリンダと比較しつつ説明するグラ
フである。
【図9】本発明の別の実施形態であるブレーキ制御装置
を備えた液圧ブレーキシステムを構成する制御装置のコ
ンピュータのROMに記憶された緊急制動制御ルーチン
を示すフローチャートである。
【図10】図9に示すフローチャートに従って緊急制動
制御が行われる場合における入力とマスタシリンダ圧と
の関係を説明する図である。
【図11】本発明の更に別の実施形態であるブレーキ制
御装置を備えた液圧ブレーキシステムにおいて緊急制動
制御が行われた場合における入力とマスタシリンダ圧と
の関係を説明するグラフである。
【図12】本発明の更に別の実施形態であるブレーキ制
御装置を備えた液圧ブレーキシステムを示す回路図であ
る。
【図13】図12に示す液圧ブレーキシステムを構成す
るバキュームブースタを示す正面断面図である。
【図14】図12に示す液圧ブレーキシステムにおいて
緊急制動制御が行われた場合における入力とマスタシリ
ンダ圧との関係を説明するグラフである。
【図15】本発明の更に別の実施形態であるブレーキ制
御装置を備えた液圧ブレーキシステムを示す回路図であ
る。
【符号の説明】
18:ブレーキペダル 20:バキュームブースタ
22:助勢型マスタシリンダ 30:ハウジング
40:プッシュロッド 44:オペレーティングロ
ッド 54:入力ピストン 60:シリンダハウジ
ング 62:ハウジング本体 64:端壁 6
6:フランジ 70:開口 72:開口周縁部
74:スタッドボルト 76:雄ねじ部 78:ナ
ット 90:第一加圧ピストン 100:第一加圧
室 102:助勢室 112:シール部材 19
2:動力液圧源装置 200:圧力制御弁 24
0:電子制御ユニット 300:助勢型マスタシリン
ダ 302:シリンダハウジング 304:ハウジ
ング本体 305:バキュームブースタ 306:
閉塞部材 310:第一加圧ピストン 314:第
一加圧室 316:助勢室 320:ピストンロッ
ド 330:電子制御ユニット 400:ブレーキ
ペダル 402:バキュームブースタ 404:マ
スタシリンダ454:ポンプ 480:圧力制御弁
500:電子制御ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D046 BB03 BB28 BB29 HH02 HH16 HH21 HH36 LL02 LL06 LL11 LL23 LL29 LL30 LL37 LL50 3D048 BB21 BB25 CC26 CC39 HH15 HH18 HH26 HH32 HH37 HH42 HH66 HH67 HH75 HH77 QQ08 RR01 RR06 RR11 RR25 RR35

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダハウジングに加圧ピストンが液
    密かつ摺動可能に嵌合されることにより、加圧ピストン
    の前方に加圧室、後方に助勢室がそれぞれ形成され、前
    記加圧ピストンに機械的に伝達される入力と、助勢室に
    供給される液圧とにより加圧ピストンが前進させられ
    て、加圧室内の作動液を加圧する助勢型マスタシリンダ
    において、 前記助勢室の前記加圧ピストンに対向する端壁を液密に
    貫通させたプッシュロッドを、前記加圧ピストンに離間
    可能に当接させることにより前記入力が加圧ピストンに
    伝達されるようにしたことを特徴とする助勢型マスタシ
    リンダ。
  2. 【請求項2】 ブレーキペダルと、 そのブレーキペダルの踏力を伝達する伝達装置と、 シリンダハウジングに加圧ピストンが液密かつ摺動可能
    に嵌合されることにより、加圧ピストンの前方に加圧室
    が形成され、前記加圧ピストンに前記伝達装置により加
    えられる入力に基づいて加圧ピストンが加圧室内の作動
    液を加圧するマスタシリンダと、 前記加圧室内の作動液の液圧を、前記伝達装置により前
    記加圧ピストンに加えられる入力に基づいて前記加圧室
    に発生する液圧より高めてブレーキシリンダに供給する
    ことにより、ブレーキシリンダにより発生させられる制
    動力を増大させる制動力助勢装置と、 その制動力助勢装置が、前記ブレーキペダルの踏込操作
    の途中から作動を開始する場合に、その作動開始に起因
    する前記ブレーキペダルの踏力の変動を軽減する踏力変
    動軽減手段とを含むことを特徴とするブレーキ制御装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007055588A (ja) * 2005-07-29 2007-03-08 Toyota Motor Corp 車両用制動装置
JP2009184587A (ja) * 2008-02-08 2009-08-20 Nissin Kogyo Co Ltd 車両用ブレーキ液圧制御装置

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