JP2001225547A - 記録用シート及びその製造方法 - Google Patents

記録用シート及びその製造方法

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JP2001225547A
JP2001225547A JP2000039981A JP2000039981A JP2001225547A JP 2001225547 A JP2001225547 A JP 2001225547A JP 2000039981 A JP2000039981 A JP 2000039981A JP 2000039981 A JP2000039981 A JP 2000039981A JP 2001225547 A JP2001225547 A JP 2001225547A
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JP
Japan
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porous layer
recording sheet
polymer
substrate
hydrophilic polymer
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JP2000039981A
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English (en)
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Katsuhiko Sumida
克彦 隅田
Masaya Omura
雅也 大村
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/50Recording sheets characterised by the coating used to improve ink, dye or pigment receptivity, e.g. for ink-jet or thermal dye transfer recording
    • B41M5/52Macromolecular coatings
    • B41M5/5227Macromolecular coatings characterised by organic non-macromolecular additives, e.g. UV-absorbers, plasticisers, surfactants
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク吸収性、耐ブロッキング性、表面光
沢、記録画像の耐水性、耐候性、鮮明性、色再現性に優
れた記録用シートを得る。 【解決手段】 基材の少なくとも一方の面に、親水性重
合体、親水性重合体の良溶媒、親水性重合体の貧溶媒、
及び20℃における水100gに対する溶解性が0.0
1〜2g/100ml程度の有機酸を含む樹脂溶液を塗
布した後、相転換法により多孔質層を形成する。親水性
重合体は、セルロース誘導体、ビニル系重合体及びポリ
スルホン系重合体から選択された少なくとも一種であっ
てよい。多孔質層の平均孔径は、0.005〜10μm
程度である。多孔質層と基材とは、剥離可能であってよ
く、多孔質層と基材との層間接着強度が1〜500g/
15mm程度である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は記録用シート及びそ
の製造方法に関する。さらに詳しくはインクジェット記
録方式におけるインクの吸収性、耐ブロッキング性、記
録画像の耐水性、耐候性、色再現性に優れ、かつ表面光
沢、記録画像の鮮明性に優れた記録用シート及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、フルカラー
化が容易であり、低騒音で印字品質が良好で、かつ経済
性にも優れるので、近年急速に普及しつつあり、オフィ
スや一般家庭用のプリンターやサインディスプレイ用の
広幅プリンターに使用されている。インクジェット記録
においては、インク噴射ノズルの詰まりを防ぐために、
乾燥性の低いインクが要求され、さらに安全性、記録適
性の点から、主に水性インクが一般的に使用されてい
る。インクは噴射ヘッドから記録用シートに向けて小滴
で噴射され、記録用シートは速やかにインクを吸収して
画像を記録することが要求される。
【0003】例えば、インク吸収性の低い記録用シート
では、記録終了後も長時間インクが乾燥定着せずにシー
ト表面に残っているため、記録装置の送りロールに触れ
たり、作業者が触れたり、重ね合わせたりすると、乾燥
定着していないインクで記録部分が汚れる。また、高密
度画像部では、多量に供給されたインクが吸収されず、
各色のインクが混合して、記録した画像や文字の質が低
下したり、記録用シート表面で流れ出す。
【0004】これらの問題を解決するために、従来から
いくつかの提案がなされてきた。例えば、特開昭59−
174381号公報、特開昭60−224578号公報
には、支持体上に澱粉、水溶性セルロース誘導体、ポリ
ビニルアルコール等の親水性重合体をインク受容層とし
て使用することが提案されているが、この記録用シート
では、インク吸収性を満足しても、シート自体の耐水性
が悪く、インク受容層や記録部が水に溶け出したり、表
面がべとついてシートを重ね合わせた時にブロッキング
が生じる。
【0005】また、特公平3−72460号公報には、
インク透過性表面層とインク吸収性下地層との組み合わ
せからなり、インクを下地層で吸収し表面層で耐ブロッ
キングを改善する方法が提案されている。しかし、イン
クが表面層を通過して下地層に吸収されるために、イン
クが記録用シートに深く浸透し、記録部分の色濃度を高
めることが困難であるうえに、表面層と下地層とが層間
剥離し易く、下地層の耐水性も低い。
【0006】また、インク吸収層として多孔質層を設
け、毛細管現象によりインクを吸収させることも提案さ
れている。例えば、特開昭58−110287号公報、
特開平5−51470号公報には、シリカなどの微粒子
を凝集し、粒子同士の間隙で構成されている空孔を有す
る多孔質層を支持体上に設けた記録用シートが提案され
ている。これらの記録用シートは、インク吸収性は向上
するが、粒子の光散乱により透明性や表面光沢が低く、
透明性が要求されるOHP(オーバーヘッドプロジェク
ター)シートや高表面光沢が要求される写真等の高画質
画像には不適である。特開平10−278417号公報
には、支持体上に設けたインク吸収層の上に、さらに多
孔質層を設けた記録用シートが提案されているが、この
記録用シートも高画質画像用途においては充分ではない
場合がある。
【0007】さらに、特開昭61−86251号公報に
は、インク吸収層に多孔性プラスチック薄膜層を積層す
る記録用シートが提案されているが、多孔性プラスチッ
ク薄膜がポリエチレンやポリプロピレン等の疎水性プラ
スチックで形成されているために、水系インクが主に使
用されるインクジェット記録ではインク透過性が充分で
はなく、また、多孔性プラスチック薄膜が熱圧着法で積
層されるために、孔がつぶれたり、変形する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、インクの吸収性、耐ブロッキング性に優れるととも
に、表面光沢、記録画像の鮮明性を大きく向上できる記
録用シート及びその製造方法を提供することにある。
【0009】また、本発明の他の目的は、記録画像の耐
水性、耐候性、色再現性が優れる記録用シート及びその
製造方法を提供することにある。
【0010】また、本発明の更に他の目的は、インク受
像層と基材との間に適度な層間接着強度を形成するとと
もに、優れた剥離性を有する記録用シート及びその製造
方法を提供することにある。
【0011】さらに、本発明の別の目的は、鮮明性及び
色再現性を大きく向上できる記録画像の形成方法を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討の結果、基材上に特定の有機
酸を含有する親水性重合体で構成された多孔質層を設け
ると、記録用シートのインクの吸収性、耐ブロッキング
性を大幅に改善できるとともに、表面光沢、記録画像の
鮮明性等を大幅に改善できることを見出し、本発明を完
成した。
【0013】すなわち、本発明の記録用シートは、基材
の少なくとも一方の面に、親水性重合体で構成された多
孔質層を有するシートであって、前記多孔質層が、20
℃における水100gに対する溶解性が0.01〜2g
程度の有機酸を含有する。前記有機酸の割合は、前記親
水性重合体100重量部に対して2〜100重量部程度
である。前記親水性重合体は、セルロース誘導体、ビニ
ル系重合体及びポリスルホン系重合体から選択された少
なくとも一種であってよい。前記多孔質層は、相転換法
によるミクロ相分離構造を有してよく、多孔質層の平均
孔径が0.005〜10μm程度である。多孔質層と基
材とは剥離可能でよく、多孔質層と基材との層間接着強
度が1〜500g/15mmでよい。また、画像形成後
の記録用シートにおいて、非画像部における多孔質層と
基材との層間接着強度をFnとし、画像部における多孔
質層と基材との層間接着強度をFpとしたとき、下記式
(1)を満足してよい。
【0014】 |Fp−Fn|<150g/15mm (1) 本発明には、基材シートの少なくとも片面に、基材シー
トの少なくとも一方の面に、親水性重合体、親水性重合
体の良溶媒、親水性重合体の貧溶媒、及び20℃におけ
る水100gに対する溶解性が0.01〜2g程度の有
機酸を含む樹脂溶液を塗布した後、相転換法により多孔
質層を形成する記録用シートの製造方法も含まれる。ま
た、基材シートの少なくとも一方の面に、親水性重合
体、親水性重合体の良溶媒、及び親水性重合体の貧溶媒
を含む樹脂溶液を塗布した後、相転換法により多孔質層
を形成し、次いで20℃における水100gに対する溶
解性が0.01〜2g程度の有機酸を含む溶液を塗布
し、脱溶媒する記録用シートの製造方法も含まれる。
【0015】また、本発明には、前記記録用シートの多
孔質層上に画像を記録した後、多孔質層を基材から剥離
する記録画像の形成方法や、前記記録用シートの多孔質
層上に画像を記録した後、カバーシートを多孔質層上に
積層して一体化し、さらにそのカバーシート及び多孔質
層を基材から剥離する記録画像の形成方法も含まれる。
【0016】
【発明の実施の形態】[基材]基材の材質は特に制限は
なく、例えば、紙、塗工紙、合成紙、不織布、又はプラ
スチックフィルムもしくはシート等が挙げられるが、強
度、実用上の点から、紙、塗工紙、プラスチックフィル
ムもしくはシートが好ましく使用できる。
【0017】紙、塗工紙としては、上質紙、ケント紙、
アート紙等が例示できる。
【0018】合成紙、プラスチックフィルムもしくはシ
ートを構成するポリマーとしては、オレフィン系重合体
(例えば、ポリプロピレン等)、ハロゲン系重合体(例
えば、ポリ塩化ビニルなど)、スチレン系樹脂(例え
ば、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン、ABS樹脂
等)、セルロース系樹脂(セルロース誘導体)(例え
ば、セルロースアセテートなど)、ポリエステル系樹脂
(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチ
レンナフタレート等)、ポリカーボネート樹脂(例え
ば、ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリ
アミド系樹脂(例えば、ナイロン6などの脂肪族ポリア
ミドなど)等が例示できる。さらに、これらの共重合
体、ブレンド物、架橋物も使用することができる。これ
らのうち、機械的強度、作業性等の点から、ポリエステ
ル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレートなどのポリ
アルキレンアリレート系樹脂が好ましく使用できる。こ
れらの樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて単層フィ
ルム又は積層フィルムとして使用できる。
【0019】プラスチックフィルムもしくはシートには
必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、滑材、顔料、紫
外線吸収剤等を添加してもよい。また、多孔質層との接
着性を向上させるため、コロナ放電処理やアンダーコー
ト処理等も行うこともできる。
【0020】基材の厚みは、通常、インクジェットプリ
ンターに挿入して画像を形成することを考慮すると、例
えば、20〜200μm程度、好ましくは50〜170
μm程度、さらに好ましくは80〜150μm程度であ
る。
【0021】[多孔質層]多孔質層を構成する重合体と
しては、インクに対して高い濡れ性を有する多孔質層を
形成できる限り、特に制限されず、種々の樹脂(熱可塑
性樹脂及び熱硬化性樹脂)が使用でき、通常、熱可塑性
樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、以下の樹脂
又は重合体等が例示できる。
【0022】(1)セルロース系樹脂(セルロース誘導
体): セルロースエステル[例えば、セルロースアセテート
(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セル
ロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネー
ト、セルロースアセテートブチレート等の有機酸エステ
ル;硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロー
ス等の無機酸エステル;硝酸酢酸セルロースなどの混酸
エステル等] セルロースエーテル[例えば、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、イソプロピルセルロース、ブチルセルロ
ース、ベンジルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセ
ルロース、シアノエチルセルロース等] (2)ビニル系重合体: オレフィン系重合体[例えばオレフィン類の単独又は共
重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテ
ン、ポリイソブテン、ポリブタジエン、ポリイソプレ
ン、ポリアレン、エチレン−プロピレン共重合体等)、
オレフィン類と共重合性単量体との共重合体(エチレン
−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸
エステル共重合体、変性ポリオレフィン等)] ハロゲン含有ビニル重合体[例えば、ハロゲン含有ビニ
ル単量体の単独又は共重合体(ポリビニルクロライドな
ど)、ハロゲン含有ビニル単量体と共重合性単量体との
共重合体(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
リデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体等)] ビニルエステル系重合体又はその誘導体[例えば、ポリ
酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニル
アルコール共重合体、ポリビニルアセタール系重合体
(ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリ
ビニルブチラール等)] 複素環式ビニル系重合体[ポリビニルピロリドン、ポリ
ビニルピリジン等] 芳香族ビニル系重合体[例えば、スチレン系重合体(ポ
リスチレンなど)、芳香族ビニル単量体と共重合性単量
体との共重合体(スチレン−(メタ)アクリル酸C1-10
アルキルエステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸
共重合体、スチレン−マレイミド共重合体等)] アリルアルコール系重合体(例えば、アリルアルコール
−C1-6アルキルビニルエーテル共重合体) ポリビニルケトン類[例えば、ポリビニルメチルケト
ン、ポリビニルメチルイソブチルケトン、ポリメチルイ
ソプロペニルケトン等] ビニルエーテル系重合体[例えば、ポリメチルビニルエ
ーテル、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合
体等] (メタ)アクリル系重合体[例えば、(メタ)アクリル
系単量体((メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリ
ル酸エステル単量体等)の単独又は共重合体、(メタ)
アクリル系単量体と共重合性単量体(ビニルエステル系
単量体、ビニルピロリドンなどの複素環式ビニル系単量
体、芳香族ビニル単量体、重合性不飽和ジカルボン酸又
はその誘導体などのビニル系単量体)との共重合体] (3)ポリスルホン系重合体:ポリスルホン(例えば、
ポリヘキサメチレンスルホンなど)、スルホン化ポリス
ルホン、ポリエーテルスルホン等、その分子中に結合基
−SO2−を有する重合体 (4)ポリエステル系重合体:ポリアルキレンテレフタ
レート(例えば、1,4−シクロヘキサンジメチレンテ
レフタレート、エチレンテレフタレート、ブチレンテレ
フタレートを含有するホモ又はコポリエステル等)、ポ
リアルキレンナフタレート(例えば、エチレンナフタレ
ート、ブチレンナフタレートを含有するホモ又はコポリ
エステル)等 (5)ポリアミド系重合体:脂肪族ポリアミド(例え
ば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイ
ロン612、ナイロン11、ナイロン12等) (6)ポリカーボネート系重合体:2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)な
どのジヒドロキシ化合物とホスゲン又はジメチルカーボ
ネートなどの炭酸ジエステルとの反応により得られる重
合体 (7)ポリウレタン系重合体:トリレンジイソシアネー
トなどのポリエチレングリコールなどのポリイソシアネ
ートとポリオールとの反応により得られる重合体 (8)エポキシドから誘導される重合体:ポリアルキレ
ングリコール(例えば、ポリエチレングリコールやポリ
プロピレングリコール)やエポキシ樹脂(例えば、ビス
フェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂
等のエーテル系エポキシ樹脂、アミン系エポキシ樹脂) これらの重合体は単独で又は2種以上組み合わせて使用
できる。
【0023】多孔質層を構成する重合体は、層表面及び
孔の表面において、インクに対する濡れ性が高いもので
あれば、特に制限されず、対象となるインクの種類によ
って適宜選択すればよい。しかし、一般的に使用される
インクは水性インクが多く、その場合は、上記重合体の
うち、特に親水性重合体が好ましい。なお、親水性重合
体とは、水に対する接触角が80°未満(好ましくは0
〜60°、特に0〜40°程度)の重合体を意味する。
接触角とは、室温で重合体の表面上に水滴を置いた時、
水滴の広がりが停止した時点で水滴の表面と重合体の表
面との交点において、水滴に対する接線と重合体の表面
との間の角のうち、水滴側の角度を指す。
【0024】このような親水性重合体としては、セルロ
ース誘導体[例えば、酢酸セルロース(セルロースジア
セテート、セルローストリアセテート等)、セルロース
プロピオネート、硝酸セルロース等のセルロースエステ
ル類、エチルセルロースなどのセルロースエーテル
類]、ビニル系重合体[例えば、(メタ)アクリル系重
合体(ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アク
リル酸エステル、ポリアクリロニトリル、アクリロニト
リル−ビニルピロリドン共重合体(例えば、アクリロニ
トリル含量50〜99.9モル%程度の共重合体)、ポ
リアクリルアミド、ポリ−N−メチルアクリルアミド
等)、ポリビニルピロリドン、ビニルエーテル系重合体
(ポリメチルビニルエーテル、メチルビニルエーテル−
無水マレイン酸共重合体等)、酢酸ビニル系重合体又は
その誘導体(ポリ酢酸ビニル及びその部分ケン化物、ポ
リビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体及
びその部分ケン化物等)等]、ポリスルホン系重合体
(例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等)、
ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン、ポリア
ミド、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられ
る。これらのうち、セルロース誘導体、ビニル系重合
体、ポリスルホン系重合体が特に好ましい。
【0025】また、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ
エチレン、ポリスチレン等は上記定義においては疎水性
である重合体であっても、界面活性剤、湿潤剤等の添加
や塗布、プラズマ処理等の方法により表面に親水性を付
与させることにより、本発明における親水性重合体に含
まれる。
【0026】多孔質層は、20℃における水100gに
対する溶解性が0.01〜2g、好ましくは0.01〜
1.5g程度の有機酸を含有する。この有機酸を含有す
ることにより、画像の鮮明性(印字品質)を改善できる。
【0027】前記有機酸には、芳香族ポリカルボン酸
(フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のC8-12芳香族
ポリカルボン酸又はその酸無水物など)、芳香族スルホ
ン酸(ベンゼンスルホン酸、o−トルエンスルホン酸、
m−トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナ
フタレン−α−スルホン酸、ナフタレン−β−スルホン
酸等のC6-10芳香族ポリカルボン酸等)、脂環族ポリカ
ルボン酸(1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テト
ラヒドロフタル酸等のC8-10脂環族ポリカルボン酸な
ど)、複素環式多価カルボン酸(ピリジンカルボン酸、
ピリジントリカルボン酸、ピリジンテトラカルボン酸
等)、脂肪族ポリカルボン酸(グルタル酸、アジピン
酸、スベリン酸、セバシン酸等のC2-10脂肪酸飽和ポリ
カルボン酸など、イタコン酸などのC4-6脂肪族不飽和
ポリカルボン酸など)等が含まれる。
【0028】前記有機酸は塩としても使用でき、有機酸
のカルボキシル基やスルホン酸基の一部又は全部が塩基
との塩を形成してもよい。有機酸塩には、無機塩基(ア
ンモニア、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属な
ど)との塩、有機塩基(第3級アミンなど)との塩が含
まれる。
【0029】前記有機酸の含有量は、前記親水性重合体
100重量部に対して2〜100重量部、好ましくは5
〜50重量部、さらに好ましくは10〜30重量部程度
の割合である。
【0030】多孔質層と基材との剥離を容易にするため
に、多孔質層が基材に対して離型性を有していてもよ
い。また、多孔質層の離型性を向上させるために、多孔
質層に離型剤を添加してもよい。
【0031】離型剤としては、シリコーン系化合物(例
えば、シリコーンオイル、シリコーン樹脂、ポリオキシ
アルキレン単位を有するポリオルガノシロキサン等)、
高級脂肪酸又はその塩、高級脂肪酸エステル、ワックス
類(例えば、カルナウバワックスなどの植物ロウ、羊毛
ワックスなどの動物ロウ、パラフィンワックスなどのパ
ラフィン類、ポリエチレンワックス等)、フッ素含有化
合物(例えば、フッ素オイル、ポリテトラフルオロエチ
レン等)等が挙げられる。これらの離型剤はエマルジョ
ン形態で使用してもよい。これらの離型剤は単独で又は
2種以上組み合わせて使用できる。
【0032】離型剤の使用量は、例えば、固形分換算
で、多孔質層を構成する重合体100重量部に対して
0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部
(例えば、0.1〜2)程度である。
【0033】また、多孔質層の離型性を向上させるため
に、多孔質層に微粒子を含有させてもよい。微粒子とし
ては、例えば、無機微粒子(ホワイトカーボン、珪酸カ
ルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、ゼオ
ライト、アミノ珪酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成珪
成土、炭酸マグネシウム、アルミナ、シリカ、タルク、
カオリン、デラミカオリン、クレー、酸化亜鉛、重質炭
酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウ
ム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシ
ウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト等の鉱
物質微粒子など)、有機微粒子(ポリスチレン樹脂、ア
クリル系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナ
ミン樹脂等の架橋又は非架橋有機微粒子、微小中空粒子
などの有機質微粒子など)が挙げられる。これらの微粒
子は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。微粒
子の平均粒径は1〜30μm、好ましくは2〜25μm
(例えば、2〜20μm)程度であり、通常、5〜25
μm(例えば、10〜25μm)程度である。
【0034】微粒子の使用量は、例えば、固形分換算
で、多孔質層を構成する重合体100重量部に対して
0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、
さらに好ましくは0.15〜3重量部程度である。
【0035】本発明では、多孔質層と基材とは剥離可能
であり、多孔質層と基材との層間接着強度は用途に応じ
て適宜選択されるが、1〜500g/15mm(例え
ば、2〜500g/15mm)程度、好ましくは1〜2
00g/15mm(例えば、7〜200g/15mm)
程度、さらに好ましくは2〜150g/15mm(例え
ば、2〜140g/15mm)程度であり、通常、3〜
100g/15mm(例えば、10〜60g/15m
m)の範囲から選択できる。
【0036】また、本発明では、画像形成後の記録用シ
ートにおいて、非画像部における多孔質層と基材との層
間接着強度をFnとし、画像部における多孔質層と基材
との層間接着強度をFpとしたとき、下記式(1)を満
足してもよく、好ましくは下記式(2)、さらに好まし
くは下記式(3)を満足してもよい。なお、画像部の形
成条件は後述する実施例のインク吸収性試験における条
件と同様である。
【0037】 |Fp−Fn|<150g/15mm (1) |Fp−Fn|<120g/15mm (2) |Fp−Fn|<90g/15mm (3) 多孔質層の表面及び内部での平均孔径は0.005〜1
0μm程度、好ましくは0.01〜8μm程度、さらに
好ましくは0.01〜5μm(例えば、0.01〜3μ
m)程度の範囲から選択できる。平均孔径が0.005
μm未満では、インクの吸収性が不充分な虞があり、平
均孔径が10μmを超えると耐水性や印字品質が低下し
やすい。
【0038】インク吸収性は多孔質層の空孔率にも影響
される。多孔質層の空孔率は40〜80%程度、好まし
くは42〜75%程度の範囲から選択できる。空孔率が
40%未満では、吸収面の表面積が少ないため、膜のイ
ンクに対する吸収能が低く、80%を超えると、多孔質
層自体の強度が低下する虞がある。
【0039】多孔質層の厚さは、特に制限されず、用途
に応じて選択できるが、例えば1〜100μm程度、好
ましくは3〜50μm(例えば、5〜30μm)程度の
範囲から選択できる。多孔質層の厚さが1μm未満で
は、耐水性が不充分であり、100μmを超えると、透
明性が低下したり、インクの吸収性が低下する虞があ
る。
【0040】さらに、多孔質層は慣用の添加剤、例え
ば、架橋剤、硬化剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、
滑剤、安定剤(抗酸化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、耐
光安定剤等)、染料、顔料、帯電防止剤、アンチブロッ
キング剤、充填剤、ゲル化剤等を含んでいてもよい。
【0041】[製造方法]本発明の記録用シートは、基
材シートの少なくとも片面に、多孔質層を形成すること
により製造することができる。
【0042】多孔質層は、良溶媒と貧溶媒とを用いて高
分子をミクロ相分離させる相分離法、高分子を発泡させ
て孔を形成する発泡法、高分子フィルムを延伸処理する
延伸法、放射線を高分子フィルムに照射して孔を形成す
る放射線照射法、溶媒に可溶な高分子又は無機塩類と前
記溶媒に不溶な高分子とからなるフィルムから、前記溶
媒により可溶な成分を抽出除去して孔を形成する抽出
法、高分子粒子を部分融着したりバインダーなどで固め
て粒子間の間隙を孔として利用する焼結法等により製造
することができる。
【0043】これらの方法のうち、良溶媒と貧溶媒とを
用いて高分子をミクロ相分離させる相分離法が好ましく
使用され、ミクロ層分離法には、例えば、乾式相転換法
(主として重合体、この重合体に対する良溶媒、及びこ
の重合体に対する貧溶媒でかつ前記良溶媒よりも高沸点
である溶媒で構成されている塗布液を塗布後、乾燥する
ことにより多孔質層を得る方法)や、湿式相転換法(少
なくとも前記重合体に対する良溶媒を含む塗布液を流延
又は塗布し、前記重合体に対する貧溶媒に浸漬して、相
分離を生じさせて多孔質層を形成得る方法)等が含まれ
るが、乾式相転換法が量産性に優れているので、特に好
ましく使用される。
【0044】乾式相転換法による多孔質層の製造方法
は、より詳細には、次の通りである。重合体、この重合
体に対する良溶媒、及びこのこの重合体に対する貧溶媒
でかつ前記良溶媒よりも高沸点である溶媒で構成されて
いる塗布液を基材上に塗布し、乾燥を行うと沸点の低い
良溶媒が先に蒸発する。その際に、この良溶媒の蒸発の
進行に伴い、重合体の溶解性は低下し、重合体はミセル
を形成し貧溶媒相と相分離する。さらに、貧溶媒の蒸発
が進むと、ミセル同士が接触して網目構造が形成され、
貧溶媒の蒸発の完了により、多孔質層が形成される。
【0045】良溶媒は、高分子の種類などに応じて選択
でき、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン等のC3-6ジアルキルケトン、シク
ロヘキサノンなど)、エステル類(ギ酸エチルなどのギ
酸C1-4アルキルエステル、酢酸メチル、酢酸エチル、
酢酸ブチル等の酢酸C1-4アルキルエステル、プロピオ
ン酸エチル、乳酸エチル等)、エーテル類(1,4−ジ
オキサン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、
ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキ
シエタン等の環状又は鎖状C4-6エーテル)、セロソル
ブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセ
ロソルブ等のC1-4アルキルロソルブ)、セロソルブア
セテート類(メチルセロソルブアセテート、エチルセロ
ソルブアセテート等のC1-4アルキルセロソルブアセテ
ート)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシ
レン等)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、塩化
エチレン等)、アミド類(ホルムアミド、アセトアミ
ド、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキ
シドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニ
トリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル等)、有機酸
類(ギ酸、酢酸、プロピオン酸等)、有機酸無水物(無
水マレイン酸、無水酢酸等)、及びこれらの混合物等が
例示できる。なお、良溶媒[例えば、低級アルコール類
(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノ
ール等のC1-4アルキルアルコール、ジアセトンアルコ
ール等)、シクロアルカノール(シクロペンタノール、
シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメ
チルシクロヘキサノール等のC1-4アルキル基が置換し
ていてもよいC4-8シクロアルカノール)等]は、樹脂
の種類によっては、貧溶媒となる場合がある。良溶媒
は、ニトロ化合物(ニトロメタン、ニトロエタン、ニト
ロプロパン等ど)などを含んでいてもよい。
【0046】より具体的には、重合体として酢酸セルロ
ースを用いる場合、好ましい良溶媒には、アセトン、メ
チルエチルケトン、酢酸エチル、ジオキサン、ジメトキ
シエタン、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテ
ート、又はこれらの混合物、特にアセトンが好ましい。
【0047】貧溶媒とは、使用する重合体に対する溶解
性がないか、又は溶解性の低い溶媒を意味し、種類は、
上記良溶媒よりも沸点が高ければ、特に制限されない。
貧溶媒としては、例えば、水、エステル類(ギ酸アミ
ル、ギ酸イソアミル等のギ酸C 5-8アルキルエステル、
酢酸アミル、酢酸へキシル、酢酸オクチル、酢酸3−メ
トキシブチル、酢酸3−エトキシブチル、プロピオン酸
ブチル、プロピオン酸3−メトキシブチル等のC1-4
ルコキシル基を有してもよいC2-4脂肪族カルボン酸C
6-10アルキルエステル、安息香酸メチル、安息香酸エチ
ル、安息香酸プロピル等の安息香酸C1-4アルキルエス
テル類)、アルコール類(アミルアルコールなどのC
6-10アルコール類、複素環式アルコール等)、脂肪族多
価アルコール類(エチレングリコール、ジエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン等)、及びこれらの混合物などが例示で
きる。
【0048】より具体的には、重合体として酢酸セルロ
ースを用いる場合、好ましい貧溶媒には、蟻酸アミル、
シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、安息
香酸エチル、又はこれらの混合物、特にシクロヘキサノ
ールが好ましい。
【0049】塗布液中の良溶媒と貧溶媒との割合は、重
合体の均一溶液を形成できる限り特に制限されず、目的
とする多孔質層の空孔比率などによって適宜選択すれば
よいが、通常、良溶媒100重量部に対して、貧溶媒0
〜300重量部程度、好ましくは3〜250重量部程
度、さらに好ましくは5〜250重量部程度の範囲から
選択できる。
【0050】塗布液中の重合体の含有量は、重合体の重
合度などに応じて選択でき、例えば、1〜30重量%、
好ましくは1〜25重量%、特に3〜20重量%(例え
ば、3〜15重量%)程度の範囲から選択できる。
【0051】塗布液中には、本発明の特性を損なわない
範囲で慣用の添加剤、例えば、消泡剤、塗布性改良剤、
増粘剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、
アンチブロッキング剤等を添加してもよい。
【0052】前記重合体、良溶媒及び貧溶媒の混合方法
は、常法により、重合体を良溶媒に添加して溶解し、貧
溶媒を添加して攪拌混合するなどの方法で行うことがで
きる。
【0053】多孔質層の塗布方法は、特に限定されず、
ロールコーティング、エアナイフコーティング、ブレー
ドコーティング、ロッドコーティング、バーコーティン
グ、コンマコーティング法等の公知の方法を適用するこ
とができる。
【0054】多孔質層の乾燥方法は、特に限定されず、
乾式相転換法を用いる場合には、まず、良溶媒が蒸発し
て重合体がミセル化し、続いて貧溶媒の蒸発によりその
重合体のミセル同士が接触して網目構造を形成するよう
に、温度、蒸気圧等を制御する必要がある。
【0055】本発明の記録用シートにおいて、多孔質層
は基材の片面のみに形成されていてもよく、両面に形成
されていてもよい。多孔質層の形成は、基材の上に重合
体を含む塗布液を塗布し、成膜工程で多孔質層の孔を形
成してもよく、また、基材の上に、例えば、乾式相転換
法などで別途調製した多孔質層を積層してもよい。
【0056】本発明の記録用シートは、透明基材を使用
する場合、可視光に対して透明である方が好ましく、例
えば、波長400nmでの光線透過率が、45%以上
(すなわち45〜100%)、好ましくは60〜100
%(例えば、70〜100%)程度の範囲から選択でき
る。尚、用途によっては不透明基材を使用することもあ
る。
【0057】このようにして得られた記録用シートは、
インクが記録用シート表面に到着後、多孔質層に速やか
に確実に吸収保持されることにより、記録用シートの表
面でインクが長時間べたついたまま残留せず、インクの
流れ出しや混合が生じず、良好な画像を記録することが
できる。
【0058】本発明においては、記録用シートの多孔質
層上に画像又は文字を記録した後、多孔質層を基材から
剥離して記録画像を形成できる。本発明の記録画像の形
成方法では、多孔質層が基材から剥離可能であるため、
多孔質層の剥離により、多孔質層に形成された画像の鮮
明性、色再現性及び透明性を改善できる。
【0059】また、記録用シートの多孔質層上に画像又
は文字を記録した後、カバーシートを多孔質層上に積層
して一体化し、さらにそのカバーシート及び多孔質層を
基材から剥離して記録画像を形成してもよい。カバーシ
ートとしては、前記基材フィルム、特に透明性フィルム
が使用できる。本発明の記録画像の形成方法では、多孔
質層が基材から剥離可能であるため、円滑に多孔質層を
転写又は移行することができる。特に、画像部分と非画
像部分との層間接着強度の差が少ないシートでは、剥離
作業性に優れる。また、多孔質層を相対的に耐水性の低
い基材から剥離し、カバーシートとともに用いることで
(例えば、多孔質層を有するカバーシートを多孔質層を
内側にして貼着するなど)、耐水性に対する要求が厳し
い屋外使用にも好適である。
【0060】本発明の記録用シートは、インクの小滴を
吐出させて記録するインクジェット方式の記録用シート
として有用であるが、特に透明性や表面光沢を要求され
るOHPシートや高画質画像用シートに有用である。
【0061】
【発明の効果】本発明では、インクの吸収性、耐ブロッ
キング性に優れるとともに、表面光沢、記録画像の鮮明
性に優れ、かつ記録画像の耐水性、耐候性、色再現性に
も優れる記録用シートを製造できる。さらに、多孔質層
と基材との間に適度な層間接着強度を形成するととも
に、優れた剥離性を有する記録用シートを製造できる。
【0062】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0063】実施例及び比較例で得られた記録用シート
について、インク吸収性、耐水性、画像の解像度、耐ブ
ロッキング性、及び層間接着強度を以下のように評価し
た。
【0064】[インク吸収性]インクジェットプリンタ
ー(グラフテック社製、MasterJet−JC20
08)を使用し、実施例及び比較例で得られた記録用シ
ートに、顔料タイプ水性インク(シアン、イエロー、マ
ゼンタの各々の色)をベタで印字し、記録画像を形成し
た。印字した後、一定時間ごとに印字部上にPPC用コ
ピー用紙を載せ、コピー用紙の上から荷重250g/c
2を10秒間かけた後、コピー用紙を剥がし、インク
の裏移りの程度を目視で判断し、裏移りが認められなく
なるまでの時間を測定した。
【0065】[耐水性−1]実施例及び比較例で得られ
た記録用シートにインク吸収性試験と同じ印字を行い、
25℃にて充分に水を含んだ綿棒で印字部を3往復拭
き、綿棒へのインクの付着具合を、下記の基準に従い目
視で評価した。
【0066】 ◎:綿棒への付着なし。 ○:綿棒へインクが少し付着し、印字部分が薄くなる。 ×:拭いた部分の被覆層が完全に剥離する。
【0067】[耐水性−2]実施例で得られた記録用シ
ートにインク吸収性試験と同じ印字を行い、常温の水に
24時間浸せきした後、外観を下記の基準に従い目視で
評価した。
【0068】 ○:異常なし。 △:画像部が若干溶出。 ×:画像部の大部分が溶出。
【0069】[画像の解像度]インクジェットプリンタ
ー(グラフテック社製、MasterJet−JC20
08)を使用し、実施例及び比較例で得られた記録用シ
ートに、イエローベースのマゼンタライン(幅100μ
m)を印字後、顕微鏡で50倍に拡大してドットの観察
を行い、下記の基準に従い評価した。
【0070】 ◎:ドットの周囲への滲みがほとんどない。 ○:ドットの周囲への滲みが少しあり、実測値が120
μmを超える。 ×:ドットの周囲への滲みがあり、隣接するイエローと
マゼンタのドットの境目が不明瞭である。
【0071】[耐ブロッキング性]実施例及び比較例で
得られた記録用シートを2枚以上重ねて、その上から4
0g/cm2をの荷重をかけて、40℃、90%RH湿
度下で1日保存し、下記の基準に従い評価した。
【0072】 ◎:マッティング、ブロッキングともになし。 ○:マッティングはあるが、ブロッキングなし。 ×:ブロッキングしている。
【0073】[層間接着強度]実施例及び比較例で得ら
れた記録用シートの多孔質層表面にセロハンテープを貼
り付け、15mm幅にサンプルを切り出し、引張試験機
オリエンテック(株)テンシロンUCT−5Tを使用し
て、剥離強度200mm/minで測定した。
【0074】実施例1 インクジェット対応PPC用紙(紀州製紙(株)製、F
Cドリーム)の片面上に、以下に示す樹脂溶液aを塗布
し、70℃で5分間乾燥して、平均孔径が1μmの孔が
高密度に存在する厚さ8μmの多孔質層を形成した。得
られた記録用シートの評価結果を表1に示す。
【0075】[樹脂溶液a]酢酸セルロース(平均酢化
度:55%、平均重合度:170)を10重量%の濃度
で含むアセトン溶液100重量部に対して、フタル酸2
重量部と、シクロヘキサノール100重量部とを添加し
て樹脂溶液aを作製した。
【0076】実施例2 ケント紙(特殊製紙(株)製、ホワイトエクセルケン
ト)の片面上に、以下に示す樹脂溶液bを塗布し、70
℃、90%RHで1.5分間乾燥した後、120℃で3
分間乾燥して、平均孔径が0.3μmの孔が高密度に存
在する厚さ7μmの多孔質層を形成した。得られた記録
用シートの評価結果を表1に示す。
【0077】[樹脂溶液b]アクリロニトリル(AN)
−ビニルピロリドン(VP)共重合体(DUY、AN/
VP=0.98/0.02(モル比)、ダイセル化学工
業(株)製)を10重量%の濃度で含むN,N−ジメチ
ルホルムアミド溶液100重量部に対して、フタル酸2
重量部と、酢酸3−メトキシブチル15重量部とを添加
して樹脂溶液bを作製した。
【0078】実施例3 アート紙(特殊製紙(株)製、Npiダルアート紙)の
片面上に、以下に示す樹脂溶液cを塗布し、60℃、9
5%RHで1.5分間乾燥した後、120℃で3分間乾
燥して、平均孔径が0.6μmの孔が高密度に存在する
厚さ11μmの多孔質層を形成した。得られた記録用シ
ートの評価結果を表1に示す。
【0079】[樹脂溶液c]ポリメチルメタクリレート
(Sacientific Polymer Products社製)を10重量%の
濃度で含むN,N−ジメチルホルムアミド溶液100重
量部に対して、p−トルエンスルホン酸1.2重量部
と、酢酸3−メトキシブチル15重量部とを添加して樹
脂溶液cを作製した。
【0080】比較例1 厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム
(デュポンジャパン社製、メリネックス339)の片面
上に、変性ポリビニルアルコール(日本合成化学社製、
OKS−7158G)の18%水溶液を塗布液として塗
布し、120℃で5分間乾燥して厚さ15μmの受像層
を形成した。得られた記録用シートの評価結果を表1に
示す。
【0081】
【表1】
【0082】実施例4 実施例1で得られた記録用シートにインク吸収性試験と
同じ印字を行った後、層間接着強度(Fp)を測定し
た。先に測定した層間接着強度(Fn)とともに、結果
を表2に示す。なお、シアン、マゼンタ、イエロー部分
ともに同じ傾向であったので、代表してシアン部のデー
タで示した(以下、同様)。
【0083】次に、印字後のシート表面に表面保護シー
ト(桜井(株)製、LAGプロテクトG055AV5
0:粘着剤付き)を多孔質層の上にラミネートした。そ
して、多孔質層と一体になった表面保護シートを記録用
シートから剥離した。剥離時には、ほとんど抵抗を感じ
ずにきれいに多孔質層と基材との層間で剥離した。耐水
性−2試験の結果を表2示す。
【0084】実施例5 実施例2で得られた記録用シートにインク吸収性試験と
同じ印字を行った後、層間接着強度(Fp)を測定し
た。先に測定した層間接着強度(Fn)とともに、結果
を表2に示す。
【0085】次に、印字後のシート表面に表面保護シー
ト(桜井(株)製、LAGプロテクトG055AV5
0:粘着剤付き)を多孔質層の上にラミネートした。そ
して、多孔質層と一体になった表面保護シートを記録用
シートから剥離した。剥離時には、ほとんど抵抗を感じ
ずにきれいに多孔質層と基材との層間で剥離した。耐水
性−2試験の結果を表2示す。
【0086】実施例6 実施例3で得られた記録用シートにインク吸収性試験と
同じ印字を行った後、層間接着強度(Fp)を測定し
た。先に測定した層間接着強度(Fn)とともに、結果
を表2に示す。
【0087】次に、印字後のシート表面に表面保護シー
ト(桜井(株)製、LAGプロテクトG055AV5
0:粘着剤付き)を多孔質層の上にラミネートした。そ
して、多孔質層と一体になった表面保護シートを記録用
シートから剥離した。剥離時には、ほとんど抵抗を感じ
ずにきれいに多孔質層と基材との層間で剥離した。耐水
性−2試験の結果を表2示す。
【0088】
【表2】
【0089】表2には実施例1〜3で得られた記録用シ
ートの耐水性−2試験の結果も示したが、これらに比べ
て、実施例5〜8で得られた記録用シートは著しく高い
耐水性を示した。従って、実施例4〜6で得られた記録
用シートはサインディスプレイなど屋外使用に耐える高
い耐水性を実現できる。
【0090】比較例2 厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート合成紙
(東洋紡績(株)製、クリスパーG2323)の片面上
に、変性ポリビニルアルコール(日本合成化学(株)
製、OKS−7158G)を15重量%の濃度で含む水
溶液100重量部にマレイン酸を1.5重量部添加した
塗布液を塗布し、120℃で5分間乾燥して厚さ15μ
mのインク吸収層を設けた。次に、この上に、酢酸セル
ロース(平均酢化度:55%、平均重合度:170)を
10重量%の濃度で含むアセトン溶液100重量部にシ
クロヘキサノール100重量部を添加したドープを塗布
し、80℃、90%RHの雰囲気下で3分間乾燥して、
平均孔径が0.9μmの孔が高密度に存在する厚さ8μ
mの多孔質層を形成した。
【0091】層間接着強度を測定したところ、多孔質層
とインク吸収層との間のFnは70g/15mmであっ
た。
【0092】インクの吸収性を評価したところ、1分以
内で乾燥した。ところが、実施例4と同様に保護フィル
ムをラミネートして剥離しようと試みたが、多孔質層が
凝集破壊して、印刷画像が潰れてしまい、層間接着強度
Fpは測定できなかった。これは、印字後、顔料インク
中の溶媒と変性ポリビニルアルコールの流動体が多孔質
層へ流れ込み、インク吸収層と一体化してしまったため
と推定される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA04 EA13 FC06 2H086 BA05 BA14 BA15 BA26 BA31 BA34 BA41 4D075 CA35 DB31 DC27 4F100 AH02B AJ06B AK01B AK02B AK55B AT00A BA02 DG10A DJ01B EH462 EJ862 GB90 JA20B JB05B JB07 JD14 JK06 JL09 YY00 YY00B

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の少なくとも一方の面に、親水性重
    合体で構成された多孔質層を有するシートであって、前
    記多孔質層が、20℃における水100gに対する溶解
    性が0.01〜2gの有機酸を含有する記録用シート。
  2. 【請求項2】 親水性重合体100重量部に対して2〜
    100重量部の割合で有機酸を含有する請求項1記載の
    記録用シート。
  3. 【請求項3】 親水性重合体が、セルロース誘導体、ビ
    ニル系重合体及びポリスルホン系重合体から選択された
    少なくとも一種である請求項1記載の記録用シート。
  4. 【請求項4】 多孔質層が、相転換法によるミクロ相分
    離構造を有している請求項1記載の記録用シート。
  5. 【請求項5】 多孔質層の平均孔径が0.005〜10
    μmである請求項1記載の記録用シート。
  6. 【請求項6】 多孔質層と基材とが剥離可能である請求
    項1記載の記録用シート。
  7. 【請求項7】 多孔質層と基材との層間接着強度が1〜
    500g/15mmである請求項1記載の記録用シー
    ト。
  8. 【請求項8】 画像形成後の記録用シートにおいて、非
    画像部における多孔質層と基材との層間接着強度をFn
    とし、画像部における多孔質層と基材との層間接着強度
    をFpとしたとき、下記式(1)を満足する請求項1記
    載の記録用シート。 |Fp−Fn|<150g/15mm (1)
  9. 【請求項9】 基材シートの少なくとも一方の面に、親
    水性重合体、親水性重合体の良溶媒、親水性重合体の貧
    溶媒、及び20℃における水100gに対する溶解性が
    0.01〜2gの有機酸を含む樹脂溶液を塗布した後、
    相転換法により多孔質層を形成する記録用シートの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 基材シートの少なくとも一方の面に、
    親水性重合体、親水性重合体の良溶媒、及び親水性重合
    体の貧溶媒を含む樹脂溶液を塗布した後、相転換法によ
    り多孔質層を形成し、次いで20℃における水100g
    に対する溶解性が0.01〜2gの有機酸を含む溶液を
    塗布し、脱溶媒する記録用シートの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の記録用シートの多孔質
    層上に画像を記録した後、多孔質層を基材から剥離する
    記録画像の形成方法。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の記録用シートの多孔質
    層上に画像を記録した後、カバーシートを多孔質層上に
    積層して一体化し、さらにそのカバーシート及び多孔質
    層を基材から剥離する記録画像の形成方法。
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