JP2001223108A - フェライト類微粒子への界面活性剤の吸着方法 - Google Patents

フェライト類微粒子への界面活性剤の吸着方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェライト類微粒子の水性サスペンションに
水溶性界面活性剤を吸着させるに際し、その吸着量を増
大せしめ、ひいては飽和磁化値を高めた磁性流体を形成
させ得るフェライト類微粒子への界面活性剤の吸着方法
を提供する。 【解決手段】 1〜40気圧(0.1〜3.95MPa)の加圧条件下
および100〜300℃の加熱条件下で水溶性界面活性剤の吸
着処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト類微粒
子への界面活性剤の吸着方法に関する。更に詳しくは、
水溶性界面活性剤の吸着量を増大せしめるフェライト類
微粒子への界面活性剤の吸着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】フェライト類微粒子を基油中に分散させ
て磁性流体を製造する際、まずフェライト類微粒子の水
性サスペンションに水溶性界面活性剤を吸着せしめるこ
とが行われる。吸着された水溶性界面活性剤は、その反
発力によりフェライト類微粒子を水またはメタノール水
溶液、エタノール水溶液、アセトン水溶液等の水性媒体
中に良好に分散せしめるという作用を有する。
【0003】一般に、水溶性界面活性剤は、フェライト
類微粒子の水性サスペンションに対し約0.05〜3モル濃
度で用いられ、約80〜95℃に約0.5〜2時間程度加熱する
ことによって吸着処理が行われ、その後行われる低分子
量基油等に対する分散を可能とさせる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フェ
ライト類微粒子の水性サスペンションに水溶性界面活性
剤を吸着させるに際し、その吸着量を増大せしめ、ひい
ては飽和磁化値を高めた磁性流体を形成させ得るフェラ
イト類微粒子への界面活性剤の吸着方法を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
1〜40気圧(0.1〜3.95MPa)の加圧条件下および100〜300
℃の加熱条件下で水溶性界面活性剤の吸着処理を行うこ
とによって達成される。
【0006】
【発明の実施の形態】フェライト類微粒子としては、任
意の方法によって製造されたものが用いられるものの、
純度、粒径の制御、そして何よりも生産性の点において
有利である共沈法によって製造された粒径約50〜300
Å、好ましくは約70〜120Åのものが一般に用いられ
る。共沈法によってフェライト類微粒子を製造する場
合、水または水性媒体中で微粒子が生成するため、フェ
ライト類微粒子は水性サスペンションとして得られる。
ここで、水性媒体として水溶液の形で用いられるメタノ
ール、エタノール、アセトン等の水溶性有機溶媒は、界
面活性剤の溶解度を高める働きをする。
【0007】フェライト類微粒子に吸着される水溶性界
面活性剤としては、微粒子を炭化水素溶媒中に分散させ
る際に通常用いられている次のようなものが用いられ、
好ましくは高級脂肪酸塩またはソルビタンエステルが用
いられる。 オレイン酸ナトリウム、エルカ酸ナトリウムなどの高級
脂肪酸塩 ポリオキシエチレンソルビタンエステルなどのソルビタ
ンエステル オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸 エアロゾル-OTなどのジアルキルスルホこはく酸塩 ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリ
オキシエチレンアルキルアリルエーテル ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシ
エチレンアルキルエーテル ポリオキシエチレンアルキルエステル ドデシル硫酸エステルなどのアルコール硫酸エステル アルキルベンゼンスルホン酸 オレイルリン酸塩などのリン酸塩 ポリオキシエチレンアルキルアミン グリセリンエステル アミノアルコールエステル
【0008】これらの水溶性界面活性剤のフェライト類
微粒子への吸着は、フェライト類微粒子の水性サスペン
ションに約0.05〜1M濃度の水溶性界面活性剤水溶液を添
加し、1〜40気圧(0.1〜3.95MPa)、好ましくは3〜30気圧
(0.3〜2.96MPa)の加圧条件下および100〜300℃、好まし
くは200〜250℃の温度条件下で、攪拌しながら約0.5〜4
時間程度加熱することによって行われる。これ以上の温
度および圧力が用いられると、界面活性剤の分解および
微粒子の凝集が発生するようになる。
【0009】このような条件下での水溶性界面活性剤の
吸着処理は、吸着量を増大させることにより、微粒子間
凝集に対抗する反発力を高めることができ、その結果と
して微粒子分散濃度の増大、換言すれば最終的に得られ
る磁性流体の飽和磁化値を高めることができる。
【0010】このようにして吸着処理された後、塩酸等
を用いてpHを4〜7に調整し、そこにアセトン、メタノー
ル等の凝集溶媒を加えると、ケーキ状の微粒子が凝集し
てくる。このケーキ状の微粒子は、例えばアセトン-ト
ルエン(1:1)混合溶液で洗浄するなどの操作をくり返し
て適用することにより、余分の水溶性界面活性剤の除去
が行われる。
【0011】得られた水溶性界面活性剤吸着フェライト
類微粒子を低分子量基油中に分散させる場合には、例え
ばテトラリン、ケロシン、デカリン、n-デカン、メシチ
レン、石油エーテル、リグロイン、ナフサ等の分子量が
約100〜300程度の炭化水素系有機溶媒中に、超音波照射
やホモジナイザ等を用いる方法などによって分散処理す
ることが行われる。これらの低分子量基油は、最終的に
得られる磁性流体中のフェライト類微粒子の分散濃度が
約10〜50重量%となるような割合で用いられる。
【0012】また、水溶性界面活性剤吸着フェライト類
微粒子を低蒸気圧基油中に分散させる場合には、一旦低
分子量炭化水素系溶媒(上記低分子量基油)中へ分散処理
した後、そこに高沸点(沸点約150〜350℃)の炭化水素溶
媒、例えばドデシルベンゼン、テトラリン等に、約0.01
〜0.5M、好ましくは約0.1〜0.5Mの濃度で溶解させたN-
ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミ
ドの溶液が添加される。その添加割合は、微粒子の低分
子量溶媒溶液に対し、一般に容積比で約0.5〜5倍、好ま
しくは約1〜2倍であり、両者の混合はそこに超音波照射
を約0.5〜2時間程度適用することにより行われる。
【0013】また、低蒸気圧基油中に溶解させて用いら
れるN-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク
酸イミドとしては、次のようなものが用いられる。 R:炭素数12〜24の炭化水素基 分子量約300〜2000のポリブテニル基 R´:炭素数1〜6のアルキレン基 R´が2個以上くり返されるとき互いに同一または異なり
得る
【0014】その後、ロータリエバポレータなどを用い
て低分子量溶媒の除去が行われ、残渣の高沸点炭化水素
溶媒溶液について、不活性ガス中、約150〜350℃、好ま
しくは約200〜300℃に約0.5〜5時間程度加熱することに
より、N-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハ
ク酸イミドの吸着処理が行われる。
【0015】次いで、アセトンまたはトルエン-アセト
ン、トルエン-メタノール、n-ヘキサン-アセトン、イソ
オクタン-アセトンの各等量混合溶液等を添加して余分
のN-ポリアルキレンポリアミン置換アルケニルコハク酸
イミドを除去した後、低分子量溶媒の添加による溶媒の
置換が行われる。このようにして得られるN-ポリアルキ
レンポリアミン置換アルケニルコハク酸イミド吸着フェ
ライト類微粒子の低分子量溶媒溶液に低蒸気圧基油を加
え、超音波による分散処理を行った後、低分子量溶媒を
減圧留去することにより、磁性流体が製造される。ここ
で一旦低分子量溶媒溶液とするのは、粘度を低下させ、
分散処理を効率良く行うためである。
【0016】低蒸気圧基油としては、25℃において0.1m
mHg以下、好ましくは0.01mmHg以下の蒸気圧を有する液
体、例えば天然油であるホワイトオイル(流動パラフィ
ン)、鉱油、スピンドル油など、あるいは合成油である
高級アルキルベンゼン、高級アルキルナフタレン、ポリ
ブテン(分子量約300〜2000)、ジカルボン酸ジエステル
(ジオクチルアゼレート、ジオクチルアジペート、ジオ
クチルセバケート、ジブチルフタレート、ジヘキシルマ
レエートなど)、ポリオールと炭素数6〜10のカルボン酸
とのポリオールポリエステル(トリメチロールプロパン
トリn-ヘプチルエステル、ペンタエリスリトールテトラ
n-ヘキシルエステル、ペンタエリスリトールテトラ2-エ
チルヘキシルエステルなど)、リン酸トリエステル(リン
酸トリブチルエステル、リン酸トリ2-エチルヘキシルエ
ステル、リン酸トリクレジルエステルなど)、更に酸化
防止剤、耐摩耗剤、油性剤、清浄分散剤などのいわゆる
潤滑添加剤を含んだ潤滑油等が、最終的に得られる磁性
流体中のフェライト類微粒子の分散濃度が約10〜50重量
%となるような割合で用いられる。
【0017】
【発明の効果】フェライト類微粒子の水性サスペンショ
ンに水溶性界面活性剤を吸着させるに際し、加圧加熱条
件下で吸着処理を行うことにより、水溶性界面活性剤の
吸着量の増大が図られ、これにより微粒子間の凝集が抑
制され、微粒子分散濃度を高めることができ、ひいては
飽和磁化値を高めた磁性流体を得ることができる。
【0018】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0019】実施例 FeCl2・4H2O 184gおよびFeCl3・6H2O 500gを溶解さ
せた水溶液1850ml中に、撹拌しながら6N NaOH水溶液をp
Hが11になる迄滴下し、その後80℃で30分間熟成、冷却
し、塩をデカンテーションで除去して、マグネタイトの
水性サスペンション(マグネタイト濃度10重量%)を得
た。
【0020】この水性サスペンション2Lに、0.1モル濃
度のオレイン酸ナトリウム水溶液500mlを添加し、5気
圧、200℃の条件下で、600rpmの回転数で攪拌しなが
ら、2時間加熱して吸着処理を行った。冷却後、1N塩酸
をpHが6になる迄添加して、pHを調整した。そこにアセ
トンを加えて微粒子を凝集させ、ケーキ状の微粒子を得
た。
【0021】得られたケーキ状の微粒子を、アセトン-
トルエン(容積比1:1)混合溶液で洗浄する操作を3回行な
い、余分の界面活性剤を除去した後、一昼夜減圧乾燥を
行って、アセトンおよびトルエンを完全に蒸発させた。
乾燥後の微粒子の熱分析から界面活性剤の吸着量を求め
ると、界面活性剤を含む全重量に対し25%であった。
【0022】この乾燥後の微粒子10gを、低分子量基油
であるケロシン100g中に加え、ホモジナイザで1時間分
散処理した後、遠心分離(15000G、30分間)して沈降物を
除去し、ケロシン分散液が流動性を失わない範囲内でケ
ロシンを減圧除去し、ケロシンを基油とする飽和磁化53
0Gの磁性流体(分散濃度12重量%)を得た。
【0023】また、上記遠心分離後のケロシン分散液50
mlに、ポリブテニルコハク酸イミドテトラエチレンペン
タミン R:分子量約1000のポリブテニル基 10gをドデシルベンゼン50mlに溶解させた溶液を添加
し、超音波照射後減圧下でケロシンを完全に除去した。
【0024】これを250℃で1時間加熱した後、アセトン
を加えて微粒子を凝集させ、ケーキ状の微粒子を得た。
このケーキ状微粒子を、アセトン-トルエン(容積比1:1)
混合溶液で3回洗浄して、余分なポリブテニルコハク酸
イミドテトラエチレンペンタミンを除去した後、ホモジ
ナイザを用いて再びケロシン中に分散させた。
【0025】そこに高級アルキルナフタレン4gを加えた
後、遠心分離して沈降物を除去し、減圧下でケロシンを
完全に除去して、高級アルキルナフタレンを基油とする
飽和磁化500Gの磁性流体(分散濃度11重量%)を得た。
【0026】比較例 実施例において、オレイン酸ナトリウムの吸着処理を大
気圧下、80℃の条件下で2時間攪拌しながら行ないケー
キ状の微粒子を得、同様に洗浄および減圧乾燥を行っ
た。乾燥後の微粒子の熱分析から、界面活性剤の吸着量
はそれを含む全重量の15%であった。
【0027】また、この乾燥後の微粒子を用い、実施例
と同様にしてケロシンまたは高級アルキルナフタレンを
基油とする磁性流体を調製すると、これらの飽和磁化は
それぞれ400Gおよび380Gであった。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト類微粒子の水性サスペンショ
    ンに水溶性界面活性剤を吸着させるに際し、1〜40気圧
    (0.1〜3.95MPa)の加圧条件下および100〜300℃の加熱条
    件下で吸着処理を行うことを特徴とするフェライト類微
    粒子への界面活性剤の吸着方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法で得られた水溶性界
    面活性剤吸着フェライト類微粒子を低分子量基油中に分
    散せしめた磁性流体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法で得られた水溶性界
    面活性剤吸着フェライト類微粒子を低蒸気圧基油中に分
    散せしめた磁性流体。
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