JP2001221854A - Fm−cwレーダ装置 - Google Patents

Fm−cwレーダ装置

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JP2001221854A JP2000027603A JP2000027603A JP2001221854A JP 2001221854 A JP2001221854 A JP 2001221854A JP 2000027603 A JP2000027603 A JP 2000027603A JP 2000027603 A JP2000027603 A JP 2000027603A JP 2001221854 A JP2001221854 A JP 2001221854A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高性能のレーダ装置を安価で提供する。 【解決手段】 アレイアンテナ1を走査しつつ、ミキシ
ング部4により送信波と受信波とをミキシングしてビー
ト信号を生成する。FPGA11は、1方位における計
測処理が行われる都度、生成されたビート信号をサンプ
リングしてFFT処理を施し、さらにその処理結果から
上位所定数のピークを抽出する。方位毎のFFT処理の
結果およびピークの抽出結果は、順次メモリ12に蓄積
される。全方位に対する計測処理が終了すると、CPU
10は、方位毎に抽出されたピークの中から、ターゲッ
トを代表するピークを特定し、この代表ピークを用い
て、ターゲットの方位および観測地点からターゲットま
での距離を認識する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、静止または移動する
観測地点から所定角度範囲内に電波を走査し、方位毎の
送信波と受信波との差分信号からターゲットを検出する
レーダ装置に関するもので、殊にこの発明は、周波数変
調された送信波を用いてターゲットを高精度に認識する
FM−CWレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車輌の追突防止などの目的に用いられる
FM−CWレーダ装置は、一定の周期で周波数変調を施
した電波を観測地点から各方位に向けて順次送信し、方
位毎に得られる反射波と送信波とをミキシングして得ら
れるビート信号を用いて、検出目標の物体(ターゲッ
ト)の方位や観測地点からターゲットまでの距離を得る
ようにしている。
【0003】図5は、FM−CW式レーダ装置におい
て、観測地点に対するターゲットの相対速度がゼロの場
合の送信波と受信波との関係を示す。図中TXは送信波
の周波数であって、周期TにおいてΔFの幅をもって三
角状に変調するように設定されている。この送信波に対
する受信波は、ターゲットまでの距離Rに応じた時間だ
け位相のずれた信号となり、送信波の周波数が上昇また
は下降している間に送信波および受信波の各周波数T
X,RXを差分することにより、ビート周波数frが得
られる。なお図中、f0は、送信波の中心周波数であ
る。
【0004】同図において、前記送信波の変調周波数を
fm(=1/T)とすると、送信波の単位時間あたりの
周波数の変化量は、つぎの(1)式で表される。 df/dt=ΔF/(T/2)=2ΔF・fm ・・・(1)
【0005】一方、送信波が距離Rだけ離れた対象物に
到達して元の送信点に戻ってくるまでに要する時間Tr
は、光の速度をCとおくと、つぎの(2)式により表さ
れる。 Tr=2R/C ・・・(2)
【0006】よって送信波と受信波との周波数の差(ビ
ート周波数)frは、(3)式のようになる。 fr=(df/dt)・Tr =2ΔF・fm・2R/C =(4ΔF・fm・R)・C ・・・(3)
【0007】観測地点に対しターゲットが相対的に移動
している場合、前記送信波はターゲットの相対速度に応
じたドップラシフトを受けて反射する。このため、受信
波は、図6に示すようにドップラ周波数fdが加わった
状態で変調し、送信波の周波数が上昇する期間のビート
周波数は、前記frよりfdだけ小さくなり、下降する
期間のビート周波数は、frよりfdだけ大きくなる。
【0008】しかしながら送信波の変調周期を十分に短
く設定すれば、前記ドップラ周波数fdによるビート周
波数の変動を誤差の範囲として無視することができる。
したがって送信波の周波数が上昇または下降している間
の任意の時点において、上記送信波の周波数TXと受信
波の周波数RXとの差分をビート周波数frとおき、そ
の値を上記(3)式にあてはめることにより、ターゲッ
トまでの距離Rを算出することができる。
【0009】従来のFM−CW式レーダ装置では、上記
の原理に鑑み、周波数変調が施された電波を走査しつ
つ、方位毎に得られたビート信号を高速フーリエ変換
(以下「FFT」と略す)し、ビート信号に含まれる周
波数のスペクトル分布を抽出する。この分布における各
周波数は、観測地点からの距離に相当するもので、観測
地点から所定距離離れた地点にターゲットが存在する場
合、その距離に対応する周波数のパワーが特に高くなる
ようなスペクトル分布が得られることになる。
【0010】各方位におけるFFT処理の結果は、順次
メモリ内に蓄積される。そして1サイクル分の走査が終
了すると、メモリ内に蓄積された方位毎のFFT処理の
結果に対し、スペクトルの平滑化処理や距離に起因する
パワー値の補正処理などが施された後、これら補正処理
後のデータの中から所定数のピークが抽出される。これ
らピークは、それぞれ個々のターゲットの位置を代表す
るもので、各ピークの表す方位はターゲットの方位とし
て、各ピークの表す距離は観測地点からのターゲットま
での距離として、それぞれ認識されることになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記のFM−CW式レ
ーダ装置は、方位毎のFFT処理により得られる多数の
データを用いた演算処理により、ターゲットまでの距離
を高精度で検出することができる。ただし車輌の衝突防
止などの目的を達成する実用的なレーダ装置を提供する
には、できるだけ広い視野を設定して、密な走査を行う
ことが求められる。
【0012】たとえば視野角を±25度として1度おき
の走査を行う場合、1往復の走査を1サイクルとする
と、計51回の計測が行われることになる。また方位毎
にそれぞれ観測地点から100mまでの範囲を1mおき
に観測するには、毎時のFFT処理により100件のデ
ータを抽出する必要があるから、1サイクル分の走査が
行われる間に5100件ものデータが抽出されることに
なる。
【0013】いま1サイクルの走査に要する時間が10
0msであって、データの取込みに50msを要するも
のとすると、上記の設定では、50msの時間内に51
00件のデータを処理する必要がある。しかしながら現
行の演算器でこのような高度な演算能力を具備するもの
は高価であり、性能のよいレーダ装置を安価で提供する
のは不可能である。
【0014】この発明は上記問題点に着目してなされた
もので、走査が行われている間に、ターゲットを代表す
るピークの候補を抽出する処理を、方位毎に分散させて
行うことにより、ハード構成を変更することなく多量の
データを効率良く処理して、高性能のレーダ装置を安価
で提供することを、目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明のFM−CWレ
ーダ装置は、電波を走査しつつ、方位毎に送信波と受信
波との差分によりビート信号を生成する計測手段、前記
計測手段により1方位分の計測処理が行われる都度、得
られたビート信号にFFT処理を施すとともに、その処
理結果からピークとなる所定数のデータを抽出するデー
タ処理手段、前記走査範囲に対する走査が終了した時点
で、前記データ処理手段により抽出された方位毎のピー
クの中からターゲットを代表するピークを特定するピー
ク特定手段、前記ピーク特定手段による特定結果を用い
てターゲットを認識する認識手段、の各手段を具備す
る。
【0016】前記計測手段は、電波の送受信用のアンテ
ナ、このアンテナの方位を変更するための走査手段、ア
ンテナに送信用の電波を供給するための発信器、ビート
信号を生成するためのミキシング回路などにより構成さ
れる。なおアンテナの走査手段は、モータやその駆動回
路などにより構成されるが、これに代えて送信波の位相
を電気的に遅延させる電子走査式の回路を用いることも
可能である。
【0017】データ処理手段、ピーク特定手段、認識手
段は、コンピュータを主体とする制御回路により構成さ
れる。好ましくは、電波を走査する間に動作するデータ
処理手段については、FPGA(プログラマブルゲート
アレイ)など、コンピュータ本体とは独立の機構が設け
られる。なおピーク特定手段における処理は、少なくと
も走査範囲に対し、一端から他端までの片道分の走査が
終了した時点で実行されるが、これに限らず、一往復分
の走査が終了した時点としてもよい。
【0018】請求項2の発明では、前記ピーク特定手段
は、前記データ処理手段により抽出された方位毎のピー
クを、それぞれFFT処理によりそのピークに隣接する
位置で抽出されたデータと比較し、比較対象のデータよ
りも高い値をとるピークを、前記ターゲットを代表する
ピークとして特定するようにしている。
【0019】請求項3の発明では、前記認識手段は、前
記ピーク特定手段により特定されたピークおよび前記F
FT処理によりこのピークの近傍で抽出されたデータに
ついて、方位および距離のそれぞれにおける加重平均演
算を行って、その演算結果からターゲットの方位および
ターゲットまでの距離を認識するように構成される。
【0020】
【作用】請求項1の発明によれば、電波を走査している
間に、方位毎にビート信号が生成される都度、FFT処
理を行うとともに、このFFT処理により抽出されたデ
ータの中から所定数のピークを抽出しておく。そして走
査範囲に対する走査が終了した時点で、前記抽出された
ピークの中からターゲットを代表するピークを特定す
る。このように走査を行いながら方位毎に代表となるピ
ークの候補を絞り込んでおくので、走査が終了した時点
での演算にかかる負担が軽減され、高性能の演算器を用
いなくとも十分に対応することができる。
【0021】請求項2の発明によれば、前記ピーク特定
手段は、方位毎に絞り込んだデータの中から、隣接位置
で抽出されたデータよりも高い値をとるものをターゲッ
トを代表するピークとして特定する。このピークは、方
位毎のFFT処理の結果から得られる山状のスペクトル
分布の頂点に相当するもので、このピークを特定するこ
とにより、FFT処理により得られた多数のデータの中
からターゲットの方位や距離を最も良く反映したデータ
が抽出されることになる。
【0022】請求項3の発明によれば、ターゲットを代
表するピークおよびその近傍で抽出されたデータについ
て、方位および距離のそれぞれにおける加重平均処理を
行い、方位の平均値がターゲットの方位として、距離の
平均値がターゲットまでの距離として、それぞれ認識さ
れる。前記ピークおよびその近傍のデータは、電波の走
査間隔およびFFT処理のサンプリング間隔に応じた離
散的なデータから抽出されたものであるが、これらのデ
ータの加重平均をとることにより、ターゲットの方位や
ターゲットまでの距離を、前記離散データの間隔よりも
細かい単位で抽出することが可能となる。
【0023】
【実施例】図1は、この発明の一実施例にかかるFW−
CW方式レーダ装置の構成例を示す。この装置は、車輌
において前方車輌などの物体への衝突を防止するための
システムに組み込まれるもので、CPU10を主体に、
FPGA11(プログラマブルゲートアレイ),メモリ
12から成る制御部13を有するほか、アレイアンテナ
1,アンテナ走査部2,ミリ波発生部3,ミキシング部
4,サーキュレータ5,位相器6,フィルタ7,アンプ
8,A/D変換器9などを具備する。
【0024】前記アレイアンテナ1は、送受信用のアン
テナ素子(図示せず)を複数個配列して成る。複数のア
ンテナ素子で1つのアンテナを構成することによって、
高利得かつ指向性の強いアンテナが形成される。アンテ
ナ走査部2は、所定視野内において前記アレイアンテナ
1の方位を所定角度ずつ変化させるためのもので、モー
タやその駆動回路などにより構成される。ただしアンテ
ナ走査部2は、機械的な走査を行うものに限らず、各ア
ンテナ素子に供給されるミリ波の位相の遅延量を所定量
だけ可変できる電子走査式のアンテナを用いても良い。
【0025】ミリ波発生部3は、前記アレイアンテナ1
の各アンテナ素子に送信用のミリ波を供給するためのも
ので、ガンダイオードのような発振素子を有する発振器
(VCO)やアンプ(いずれも図示せず)を有する。前
記発振器は、CPU10またはFPGA11からの制御
信号に応じて発振周波数が三角状に変調するミリ波を発
生させるもので、発生したミリ波は、アンプにより送信
レベルにまで増幅された後に、サーキュレータ5を介し
て各アンテナ素子に与えられ、前記アンテナ走査部2に
より定められた方位に送出される。なお前記ミリ波発生
部3による送信波の変調周期は、前記アンテナ走査部2
によりアレイアンテナ1の方位が変更されるタイミング
に合うように調整されており、一方位毎に所定周期分の
変調がかけられたミリ波が送信される。
【0026】前記アレイアンテナ1の各アンテナ素子よ
り送信されたミリ波は、ターゲット上で反射した後にア
レイアンテナ1へと帰還する。各アンテナ素子が受信し
たミリ波は、サーキュレータ5を介して位相器6に入力
され、ここで受信波間の位相のずれが補正されてからミ
キシング部4へと与えられる。ミキシング部4には、ミ
リ波発生部3により発生させた送信波も入力されてお
り、この送信波と各アンテナ素子による受信波とをミキ
シングさせて、ビート信号を生成する。
【0027】前記フィルタ7は、ミキシング部4により
生成されたビート信号から直流成分や高周波成分を取り
除くためのもので、このフィルタ7によりノイズの除去
されたビート信号は、アンプ8を介してA/D変換器9
に与えられ、ディジタル変換される。FPGA11は、
アレイアンテナ1の方位が変更される毎に、A/D変換
器9からのディジタル用のビート信号を所定のタイミン
グで取り込んでFFT処理を実行するように設計されて
いる。
【0028】この実施例では、観測地点に対するターゲ
ットの相対速度を無視できるように送信波の変調周期を
短く設定し、送信波の周波数が上昇または下降している
間にビート信号をサンプリングすることにより、ターゲ
ットの距離を精度良く反映したビート周波数を得るよう
にしている。前記FFT処理では、観測地点から所定距
離(たとえば100m)の範囲内を所定長さ(たとえば
1m)単位で区切って複数の計測地点を設定し、観測地
点から各計測地点までの距離に対応する周波数毎に前記
ビート信号を切り分ける。したがってFFT処理により
得られるスペクトル分布は、1方位における各計測地点
からの反射波により得られるビート周波数の分布状態を
表すものとなり、ターゲットが存在する計測地点に対応
する周波数成分が特に高いレベルで抽出されることにな
る。なお、観測地点から各計測地点までの距離は、前記
(3)式により、容易に周波数に換算することができ
る。
【0029】さらにこの実施例のFPGA11は、つぎ
の方位に対する計測処理が行われるまでの間に、前記F
FT処理の結果に平滑化処理や補正処理を施し(詳細は
後記する)、さらにその補正後のスペクトル分布から所
定数のピークを抽出するように設計されている。
【0030】方位毎のFFT処理の結果および前記ピー
クの抽出結果は、FPGA11よりCPU10を介して
メモリ12に与えられ、保持される。CPU10は、視
野内の全方位に対する計測処理が終了すると、前記メモ
リ12より方位毎のピークを読み出し、各ピークをそれ
ぞれそのピークに隣接する方位におけるFFT処理の結
果と比較する。そして前後、左右、斜めのいずれの計測
地点よりも高いレベル値をとるピークを、ターゲットの
位置を代表するピーク(以下このピークを「代表ピー
ク」という)として特定する。
【0031】さらにCPU10は、特定された代表ピー
クおよび代表ピークの近傍の計測地点で抽出されたデー
タについて、方位および距離(周波数)の加重平均処理
を実行する。この演算により得られた方位の加重平均値
はターゲットの方位として、また距離の加重平均値は観
測地点からターゲットまでの距離として、それぞれ認識
され、外部のモニタ装置などに出力される。なおこの実
施例では、アレイアンテナ1が視野の一端から他端に振
られるまでの片道分の走査が終了した時点で、代表ピー
クの特定および加重平均処理を実施するものとするが、
これらの処理は、アレイアンテナ1が視野内を一往復し
た時点で行ってもよい。
【0032】図2は、上記FM−CW式レーダ装置にお
ける一連の手順を示す。なお図中のSTは、処理のステ
ップである。まずST1で、CPU10は、アンテナ走
査部2を駆動してアレイアンテナ1の方位を所定方向に
設定する。続くST2では、ミリ波発生部3が、CPU
10またはFPGA11による制御信号に基づいて所定
の周期で変調するミリ波を発生させる。そしてミキシン
グ部4において、前記送信波と、この送信波がターゲッ
トに反射してアレイアンテナ1まで還ってきたミリ波と
のミキシングが行われ、ターゲットの捕捉状態を反映し
たビート信号が生成される。
【0033】以下のST3〜ST8の処理は、主として
FPGA11により行われるもので、アレイアンテナ1
の方位が変更されるまでの時間内に実行される。まずS
T3で、FPGA11は所定のタイミングで得られたビ
ート信号にFFT処理を施して、各計測地点に対応する
周波数毎のレベルを抽出する。そして続くST4では、
FFT処理により得られた各データを、それぞれそのデ
ータおよび前後2個のデータによる3データの平均値に
置き換えて、スペクトルを平滑化する。
【0034】前記したように、アレイアンテナ1が向け
られた方位において、所定の地点にターゲットが位置す
る場合、FFT処理を行うと、ターゲットの位置する地
点に対応する周波数のレベルが特に大きくなると考えら
れる。ただし電波は伝送距離が長くなるほど減衰量が大
きくなるので、つぎのST5では、各周波数の抽出レベ
ルから距離による減衰量の影響を除去し、所定のターゲ
ットがいずれの計測位置に存在しても、同様のレベルが
得られるように補正している。一般に所定距離Rだけ離
れた物体に向けてミリ波を送信すると、その物体からの
反射波は、40×log(2R)まで減衰する。したが
ってこの実施例では、各周波数毎のレベル値に前記40
×Log(2R)の逆数を掛けるか、あらかじめ実測デ
ータから求めた補正曲線を用いた補正を行うことによ
り、距離に起因する減衰量が除去された周波数スペクト
ルを取得し、後続の処理を簡単化している。
【0035】上記の平滑化処理および補正処理を経たス
ペクトルにおける各データは、CPU10を介してメモ
リ12内に保存される(ST6)。さらにFPGA11
は、つぎのST7で、補正された各データの中から所定
のしきい値を越えるものを抽出した後、抽出された各デ
ータを、それぞれそのデータの前方および後方に相当す
るデータと比較することにより、ピークとなるデータを
抽出し、さらにこれらピークの中から上位3個を順に抽
出する(ST8)。抽出された各ピークは、方位および
距離(周波数)に対応づけられてメモリ12内に格納さ
れる。なおピークの抽出数は3個に限らず、観測条件に
応じて適宜、変更可能である。
【0036】この後、ST9からST1に戻ってアレイ
アンテナ1の方位が変更され、以下、同様にして、FF
T処理からピークの抽出までの処理が繰り返し実行され
る。そしてFFT処理に平滑化および距離に応じた補正
を施したデータは、順次メモリ12に蓄積され(以下こ
のデータを「蓄積データ」という)、別途、1方位につ
き3個のピークの抽出結果が、メモリ12内に保存され
ていく。こうして全方位に対する終了すると、ST9か
らST10へと進み、CPU10による処理に移行す
る。
【0037】まずST10では、CPU10は、方位毎
に3個ずつ抽出されたピークの中から代表ピークを特定
する。視野内にターゲットが存在する場合、方位毎のF
FT処理によるスペクトル分布をまとめると、図3に示
すように、方位,距離,レベルを軸とする3次元空間内
に、ターゲットを表す山状の分布パターンが形成され
る。代表ピークPは、この山の頂点に相当するデータで
ある。この実施例では、メモリ12内の蓄積データを用
いて、方位毎に抽出されたピークをそれぞれそのピーク
の周囲の計測地点で得られたデータと比較し、比較対象
のすべてのデータよりも高くなるピークを代表ピークで
あると判断している。
【0038】図4は、代表ピークを特定するための具体
的な方法を示す。図中、15は所定の方位で抽出された
ピークであって、このピーク15の抽出された方位およ
びピーク15の抽出地点を、それぞれa,bのポインタ
で表してある。なお(a−1)は、このピークの抽出さ
れた方位aより1ステップ前に処理された方位であり、
(a+1)は方位aより1ステップ後に処理された方位
を示す。また(b−1)、(b+1)はピーク15の抽
出地点より1段階前方および1段階後方の計測地点を示
す。
【0039】この実施例では、メモリ12内の蓄積デー
タの中からピーク15の左右,斜め前、斜め後の各計測
地点(a−1,b)(a+1,b)(a−1,b−1)
(a−1,b+1)(a+1,b−1)(a+1,b+
1)における計6個のデータを読み出し、これらのデー
タを順次前記ピーク15と比較する。そしてこれら6個
のデータ全てに対し、ピーク15が高いレベルをとる場
合に、このピーク15が代表ピークであると判断する。
なおピーク15の前後の計測地点(a,b−1)(a,
b+1)に対する比較処理は、既にこのピーク15を抽
出する際(前記ST7,8の処理時)に完了しているの
で、これらの2地点におけるデータは、代表ピークの特
定処理の時点では、処理対象外となる。
【0040】このようにして代表ピークが特定される
と、ST11からST12へと進み、前記ST10で特
定された代表ピークおよびその近傍で抽出されたデータ
を用いた加重平均処理が実行される。ここで処理対象と
するデータは、図3のU,Vに示す範囲、すなわち視野
内におけるスペクトル分布の山の頂部分に相当するデー
タであって、Uの範囲に含まれる各データについて
(4)式を、Vの範囲に含まれる各データについて
(5)式を、それぞれ適用することにより、方位,距離
における加重平均値θG,RGが算出される。
【0041】なお(4)(5)式において、aは方位を
表すポインタ,bは観測地点から計測地点までの距離を
表すポインタであって、いずれも1ずつ変動する。また
x(a,b)は、各ポインタa,bにより表される計測
地点においてFFT処理により抽出されたレベルを、θ
(a)は前記ポインタaに対応する方位角を、r(b)
は前記ポインタbに対応する距離(周波数)を、それぞ
れ示す。また最大ピークはポインタ(a,b)の位置に
あり、この最大ピークを中心としてU,Vの各範囲とも
±p個(p>1)のデータが含まれるものとする。
【0042】
【数1】
【0043】
【数2】
【0044】上記(4)(5)式により得られる加重平
均値θG,RGは、前記スペクトル分布の山の頂部分の重
心位置に相当する。CPU10は、方位の加重平均値θ
Gをターゲットの方位として、距離の加重平均値RGを観
測地点からターゲットまでの距離として、それぞれ外部
に出力する(ST13)。
【0045】このように一連の処理により得られた代表
ピークとその近傍で抽出されたデータとの加重平均処理
により、ターゲットの方位および距離を求めるので、ア
レイアンテナ1の走査間隔およびFFT処理におけるサ
ンプリング間隔よりも細かい単位でターゲットの方位や
距離を特定することができ、単に代表ピークの位置をも
ってターゲットの方位や距離を認識するよりも精度の高
い認識結果を得ることができる。
【0046】以下同様にして、ユーザーによる終了操作
が行われるなどして観測終了となるまで、アレイアンテ
ナ1が繰り返し走査され、全方位に対する走査が終了す
る都度、ターゲットの方位および距離が認識され、その
結果が出力される。なお視野内に複数のターゲットが存
在する場合は、ターゲット毎に代表ピークが抽出され
て、これらピーク毎に加重平均処理が行われ、各ターゲ
ットの方位および距離が求められる。また視野内にター
ゲットが存在しなかったり、ターゲットが観測地点より
はるか遠方に位置する場合は、いずれの方位においても
ピークが抽出されず、その結果、代表ピークを特定でき
ない、という事態が生じるが、この場合は、ST11が
「NO」となり、ST12,13の処理はスキップされ
る。また観測地点の近傍では、1つのターゲットについ
て複数個のピークが抽出される可能性があるので、観測
地点の近傍においては、代表ピーク選別の際に電力比較
する隣接方位のデータの範囲を、左右の一方位ずつでは
なく、左右の数方位ずつに広げるなどして、得られる代
表ピークの数が少なくなるように調整してもよい。
【0047】従来の方法では、走査が行われている間に
は、単に、方位毎にFFT処理を行うだけであるので、
1サイクル分の走査が終了してから、蓄積データを1つ
ずつ近傍のデータと比較して代表ピークであるかどうか
を判断する必要があり、データ量が多くなると対応が不
可能になる虞がある。これに対し上記の処理方法では、
アレイアンテナ1の走査が行われている間に、1方位分
の走査が終了する都度、その方位におけるピークを抽出
することにより、多数のデータの中から代表ピークの候
補となるデータを絞り込んでおくので、全方位に対する
走査が終了した時点では、前記絞り込まれたデータの中
から代表ピークを特定すればよく、代表ピークの特定に
要する処理時間は、従来と比較して大幅に短縮される。
よって従来と同様のハード構成で、より広い視野を密に
走査することが可能となり、コストをかけずに広視野か
つ高精度の処理を行うことが可能となる。
【0048】
【発明の効果】上記したようにこの発明では、電波を走
査する間に、方位毎に、FFT処理により抽出された多
数のデータの中から、ターゲットを代表するピークの候
補を絞り込んでおき、走査範囲に対する走査が終了した
時点で、絞り込んだ候補のみを対象として、ターゲット
を代表するピークの特定処理を行うので、代表となるピ
ークの特定に要する処理時間を大幅に短縮することがで
きる。よって従来と同様のハード構成のまま、より広い
視野を密に走査することが可能となり、コストをかける
ことなく、高性能のレーダー装置を提供することが可能
となる。特に請求項3の発明では、ターゲットを代表す
るピークおよびその近傍のデータの加重平均処理によ
り、電波の走査間隔およびFFT処理におけるサンプリ
ング間隔よりも細かい単位でターゲットの方位や距離を
特定することができ、ターゲットの認識精度をより向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例にかかるFM−CWレーダ
装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記FM−CWレーダ装置における処理手順を
示すフローチャートである。
【図3】方位毎のFFT処理結果をまとめた3次元の分
布パターン、および代表ピークに基づく加重平均処理の
範囲を示す説明図である。
【図4】代表ピークの特定方法を示す説明図である。
【図5】FM−CWレーダ装置の原理を示す説明図であ
る。
【図6】FM−CWレーダ装置の原理を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 アレイアンテナ 2 アンテナ走査部 3 ミリ波発生部 4 ミキシング部 10 CPU 11 FPGA

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数変調された電波を走査してその走
    査範囲内におけるターゲットを検出するFM−CWレー
    ダ装置において、 前記電波を走査しつつ、方位毎に送信波と受信波との差
    分によりビート信号を生成する計測手段と、 前記計測手段により1方位分の計測処理が行われる都
    度、得られたビート信号にFFT処理を施すとともに、
    その処理結果からピークとなる所定数のデータを抽出す
    るデータ処理手段と、 前記走査範囲に対する走査が終了した時点で、前記デー
    タ処理手段により抽出された方位毎のピークの中からタ
    ーゲットを代表するピークを特定するピーク特定手段
    と、 前記ピーク特定手段による特定結果を用いてターゲット
    を認識する認識手段とを具備して成るFM−CWレーダ
    装置。
  2. 【請求項2】 前記ピーク特定手段は、前記データ処理
    手段により抽出された方位毎のピークを、それぞれFF
    T処理によりそのピークに隣接する位置で抽出されたデ
    ータと比較し、比較対象のデータよりも高い値をとるピ
    ークを前記ターゲットを代表するピークとして特定する
    請求項1に記載されたFM−CWレーダ装置。
  3. 【請求項3】 前記認識手段は、前記ピーク特定手段に
    より特定されたピークおよび前記FFT処理によりこの
    ピークの近傍で抽出されたデータについて、方位および
    距離のそれぞれにおける加重平均演算を行って、その演
    算結果からターゲットの方位およびターゲットまでの距
    離を認識する請求項1に記載されたFM−CWレーダ装
    置。
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