JP2001220549A - 無機質系基材用塗料および塗膜形成方法 - Google Patents

無機質系基材用塗料および塗膜形成方法

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JP2001220549A
JP2001220549A JP2000031828A JP2000031828A JP2001220549A JP 2001220549 A JP2001220549 A JP 2001220549A JP 2000031828 A JP2000031828 A JP 2000031828A JP 2000031828 A JP2000031828 A JP 2000031828A JP 2001220549 A JP2001220549 A JP 2001220549A
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coating
coating film
film thickness
wet
film
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Masaki Fujishiro
正樹 藤城
Masahiro Yasui
正宏 安井
Kenji Watanabe
健児 渡辺
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無機質系基材に、塗膜にクラックが生じること
がなく、所定の膜厚の塗膜が得られる塗料、この塗料を
用いた塗膜形成方法を提供する。 【解決方法】塗料から得られる塗膜のひび割れ追随性が
0.2mm以上であり、この塗料を無機質系基材に50
μm以上の目標乾燥膜厚が得られるように塗布して得ら
れるウエット塗膜が、(a)ウエット塗膜と前記無機質
系基材との色差が20以上、(b)ウエット塗膜と、乾
燥して(前記目標乾燥膜厚−50μm)未満の膜厚とな
るウエット塗膜との色差が2以上、(c)ウエット塗膜
と、このウエット塗膜の1.2倍の膜厚を有するウエッ
ト塗膜との色差が1未満の条件を満たす無機質系基材用
塗料により、所定の乾燥膜厚に対して目標乾燥膜厚を設
定し、先の塗料を用いて塗装を行い、塗装で得られるウ
エット膜の色を観察し、目標乾燥膜厚に達しているかど
うかを判断する塗膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経時的にひび割れ
等の劣化を生じる恐れのある無機質系基材上に塗装され
ても、塗膜のひび割れ追随性が良好で、ほぼ正確に目標
乾燥膜厚を得ることができる塗料、およびこの塗料を使
用した塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】無機質系基材から構成されている大型の
土木構造物、例えば、コンクリート橋、コンクリート橋
脚、高欄、ダムサイト、港湾施設、ビル等は、長期間、
風雨に耐えることができる所定の膜厚の塗膜をその表面
に備えていることが必要とされている。しかし、無機質
系基材には、通常の鋼構造物の膜厚測定に用いられてい
る電磁式膜厚計を使用できない。そこで、塗装時にウエ
ットゲージにより膜厚管理をしたり、乾燥後に、塗膜の
一部に切断面を入れ、塗膜断面の厚みを測定している
が、上記大型の土木構造物等については、これらの方法
を用いて塗膜全域をくまなくチェックすることは事実上
不可能であった。
【0003】このような膜厚制御方法について、塗料面
からのアプローチとして例えば、特開平10−2166
21号公報に、特定顔料組成を含有した膜厚判定塗料が
開示されている。しかし、この塗料は主として船舶や鋼
構造物等基材のような金属系の基材が対象であり、コン
クリート橋、コンクリート橋脚、高欄、ダムサイト、港
湾施設、ビル等のひび割れを生じる恐れのある無機質系
基材に対する塗装に利用するには適さない。
【0004】このように、無機質系基材からなる大型の
構造物現場における塗膜の膜厚制御は、塗装作業者のカ
ンや経験に頼るところが大きく、実質的に行われていな
かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、経時
によるひび割れが生じる無機質系基材に対して塗布した
場合、塗膜にクラックが生じることがなく、所定の膜厚
の塗膜が得られる塗料、およびこの塗料を用いた塗膜形
成方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
に鑑み鋭意研究の結果、本発明に至った。 1.塗料から得られる塗膜のひび割れ追随性が0.2m
m以上であり、この塗料を無機質系基材に50μm以上
の目標乾燥膜厚が得られるように塗布して得られるウエ
ット塗膜が、(a)上記ウエット塗膜と上記無機質系基
材との色差が20以上、(b)上記ウエット塗膜と、乾
燥して(上記目標乾燥膜厚−50μm)未満の膜厚とな
るウエット塗膜との色差が2以上、(c)上記ウエット
塗膜と、上記ウエット塗膜の1.2倍の膜厚を有するウ
エット塗膜との色差が1未満の条件を満たすことを特徴
とする無機質系基材用塗料。 2.上記ウエット塗膜とそれを乾燥して得られた乾燥塗
膜との色差が0である、上記の無機質系基材用塗料。 3.上記(a)における色差が、35以上である上記の
無機質系基材用塗料。 4.上記(b)における色差が3以上である上記の無機
質系基材用塗料。 5.上記塗料の乾燥膜厚120μm、温度20℃におけ
る目標乾燥膜厚を有する塗膜の伸び率が、20〜600
%、抗張力が20〜500kg/cm2である上記の無
機質系基材用塗料。
【0007】6.無機質系基材上に塗料を塗装して、所
定の乾燥膜厚を有する塗膜を得る塗膜形成方法におい
て、上記所定の乾燥膜厚に対して目標乾燥膜厚を設定
し、上記目標乾燥膜厚に適合した塗料として上記の塗料
を用いて塗装を行い、上記塗装で得られるウエット膜の
色を観察し、上記目標乾燥膜厚に達しているかどうかを
判断することを特徴とする塗膜形成方法。 7.上記塗装で得られるウエット膜の色相が、マンセル
の100色相環上で上記無機質系基材を0として、左回
りを0〜+50、右回りを0〜−50で表示したとき、
+20〜+50または−50〜−20である上記の塗膜
形成方法。 8.上記塗料の色相範囲が、上記表示において+40〜
+50または−40〜−50である上記の塗膜形成方
法。 9.上記の塗膜形成方法により得られた塗膜上に、塗料
を塗装して、所定の乾燥膜厚を有する塗膜を得る複層塗
膜形成方法において、上記所定の乾燥膜厚に対して目標
乾燥膜厚を設定し、上記目標乾燥膜厚に適合した塗料と
して、塗料から得られる塗膜のひび割れ追随性が0.2
mm以上であり、この塗料を無機質系基材に50μm以
上の目標乾燥膜厚が得られるように塗布して得られるウ
エット塗膜が、(a)上記ウエット塗膜と上記塗膜形成
方法により得られた塗膜との色差が20以上、(b)上
記ウエット塗膜と、乾燥して(上記目標乾燥膜厚−50
μm)未満の膜厚となるウエット塗膜との色差が2以
上、(c)上記ウエット塗膜と、上記ウエット塗膜の
1.2倍の膜厚を有するウエット塗膜との色差が1未満
である条件を満たす塗料を用いて塗装を行い、上記塗装
で得られるウエット膜の色を観察し、上記目標乾燥膜厚
に達しているかどうかを判断することを特徴とする複層
塗膜形成方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0009】無機質系基材用塗料 本発明の無機質系基材用塗料は、塗料から得られる乾燥
塗膜のひび割れ追随性が、0.2mm以上であり、この
塗料を無機質系基材に50μm以上の目標乾燥膜厚が得
られるように塗布して得られるウエット塗膜が、(a)
上記ウエット塗膜と上記無機質系基材との色差が20以
上、(b)上記ウエット塗膜と、乾燥して(上記目標乾
燥膜厚−50μm)未満の膜厚となるウエット塗膜との
色差が2以上、(c)上記ウエット塗膜と、上記ウエッ
ト塗膜の1.2倍の膜厚を有するウエット塗膜との色差
が1未満の条件を満たすことを特徴とする。
【0010】上記塗料から得られる塗膜のひび割れ追随
性が0.2mm未満であると、無機質系基材のひび割れ
に追随することができず、塗膜にクラック等の欠陥を生
じる。好ましくは0.2〜20mm、より好ましくは
0.2〜5mmである。ひび割れ追随性は、「表面被覆
材のひび割れ追従性試験方法」(日本土木学会の補修材
料性能試験方法(JSCE−K532−1997))に
より、ひび割れ追従性として測定することができる。本
発明におけるひび割れ追従性は、測定温度20℃におけ
るものである。
【0011】上記塗料から得られる塗膜のひび割れ追随
性は、上記無機質系基材用塗料により形成される塗膜の
伸び率範囲を、20〜600%とすることができる材料
を選択することにより得られる。特に樹脂の選択、例え
ばエポキシ樹脂に石油樹脂、ウレタンまたはダイマー酸
等で変性させた変性エポキシ樹脂、或いはエポキシ樹脂
に石油樹脂等を混合したエポキシ樹脂、モノマーの選択
によりガラス転移温度を低くしたアクリル樹脂、ポリエ
ステル樹脂また高分子化された硬化剤等を選択すること
により柔軟な塗膜を得ることによって、上記範囲に設定
することができる。
【0012】本発明の無機質系基材用塗料は、無機質系
基材に50μm以上の目標乾燥膜厚が得られるように塗
布して得られるウエット塗膜が以下の2つの条件を満た
すことを特徴とするものである。なお、上記目標乾燥膜
厚とは、必要とされる所定の乾燥膜厚に対して設定され
るものであり、通常、必要とされる所定の膜厚の100
〜120%に設定される。上記目標乾燥膜厚は、50μ
m以上であるが、例えば、所定の乾燥膜厚が50μmの
場合、50〜60μmとすることができる。(a)上記
ウエット塗膜と上記無機質系基材との色差が20以上、
(b)上記ウエット塗膜と、(上記目標乾燥膜厚−50
μm)未満の乾燥膜厚の塗膜との色差が2以上、(c)
上記ウエット塗膜と、上記ウエット塗膜の1.2倍の膜
厚を有するウエット塗膜との色差が1未満条件(a)に
おける色差が20未満であると、ウエット塗膜の膜厚の
増加につれて、色差が変化する様子を目視で確認するの
が困難である。色差の変化を目視で確認するのをさらに
容易にするには、無機質系基材用塗料自身と基材との色
差を35以上とするのが好ましい。
【0013】なお、上記ウエット塗膜と上記無機質系基
材との色差は、基材に本発明の無機質系基材用塗料を直
接塗装する場合には、上記ウエット塗膜と上記無機質系
基材そのもの色差を意味し、無機質系基材上にパテ、水
系樹脂セメントまたは、無機質系基材用塗料を使用して
下地塗膜が形成されている場合には、上記ウエット塗膜
とこの下地塗膜との色差を意味する。
【0014】一方、条件(b)における色差は、目標乾
燥膜厚に対して50μm以上不足していることに基づく
ものであるから、色差が識別可能な2以上なければ、目
標乾燥膜厚に達したか否かをチェックできない。しか
し、そのときの色差が大きすぎると、目標乾燥膜厚の塗
膜でも基材の被覆が不十分になり、色むらが著しくなる
恐れがある。そのため、この色差の上限値は10である
のが好ましく、より好ましい上限値は5である。
【0015】さらに、3つ目の条件(c)における色差
は、目標乾燥膜厚以上についてのものである。この色差
は、塗装完了を示す条件であるから、その時点で目標乾
燥膜厚の塗膜の色調に対して色差ができるだけ小さくな
ければならない。本発明の無機質系基材用塗料から得ら
れる乾燥塗膜は、所定の膜厚以上を有している必要があ
る。すなわち、得られる乾燥膜厚が目標乾燥膜厚よりも
若干大きいことは問題ではなく、むしろ好ましい場合も
ある。上記ウエット塗膜と、上記ウエット塗膜の1.2
倍の膜厚を有するウエット塗膜との色差が1未満であ
り、好ましい色差は0.5 未満である。目標乾燥膜厚
が得られるウエット膜厚の1.2倍までをこのように規
定することにより、所定の膜厚以上に塗装を行うことが
容易にできるようになる。
【0016】なお、上記色差は、例えば、SMカラーコ
ンピュータ(型式SM−7CH、スガ試験機社製)等の
色彩計を用いて測定することにより決定することができ
る。
【0017】また上記無機質系基材用塗料は、上記ウエ
ット塗膜とそれを乾燥して得られた乾燥塗膜との色差が
0であることが好ましい。
【0018】上記無機質系基材用塗料は、乾燥膜厚12
0μm、温度20℃における目標乾燥膜厚の伸び率が、
20〜600%、抗張力が20〜500kg/cm2
あることが好ましい。伸び率をこの範囲にするために
は、上記ひび割れ追随性の場合と同じ手法により得られ
る。伸び率が20%未満では、ひび割れ追従性を本発明
の範囲にならない懸念があり、無機質系基材のひび割れ
追従することができず、形成された塗膜にクラック等の
欠陥を生じる懸念があり、600%を超えると形成され
た塗膜の抗張力が低下し、早期の塗膜欠陥を生じる懸念
がある。伸び率については、ひび割れ追従性と大きな関
係があり、本範囲を外れると低温時また長期の曝露後に
伸び率の低下につながり、結果としてひび割れ追従性
が、低下する懸念がある。好ましい伸び率は、100〜
400%、より好ましくは150〜300%である。
【0019】抗張力を本範囲にするためには、伸び率を
この範囲にするためには、上記ひび割れ追随性の場合と
同じ手法により得られる。抗張力が、20kg/cm2
未満では、形成された塗膜が脆く、早期に塗膜欠陥が発
生する懸念があり、400kg/cm2を超えると形成
された塗膜の伸び率が低下し、ひび割れ追従性を本発明
の範囲にならない懸念があり、無機質系基材のひび割れ
追従することができず、形成された塗膜にクラック等の
欠陥を生じる懸念がある。好ましくは20〜400kg
/cm2、より好ましくは30〜300kg/cm2であ
る。伸び率は、20℃で7日間乾燥させた乾燥膜厚20
0μmにおけるJIS A 6910に準拠して測定す
ることができる。
【0020】上記無機質系基材用塗料に含まれるバイン
ダー樹脂としては、形成塗膜のひび割れ追随性が0.2
mm以上となる塗膜が得られるものであって、例えば、
(1)エポキシ樹脂、(2)コールタール、ピッチまた
は石油樹脂により変性されたエポキシ樹脂、(3)アク
リル樹脂、(4)ポリエステル樹脂、(5)アルキド樹
脂、(6)塩化ビニル樹脂、(7)塩素化オレフィン樹
脂、(8)塩化ゴム類、(9)酢酸ビニル樹脂、(1
0)ウレタン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一
種のバインダー樹脂を挙げることができる。
【0021】上記(1)エポキシ樹脂としては従来から
使用されている固形または液状のもので良く、例えばビ
スフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA、ビス
フェノールF、ビスフェノールBまたはそれらのハロゲ
ン置換体等のビスフェノール化合物とエピハロヒドリン
との縮合単位を主体とする樹脂)が挙げられる。特にビ
スフェノールAのジグリシジルエーテル、ビスフェノー
ルFのジグリシジルエーテル、フェノールノボラックエ
ポキシ樹脂、ビスフェノール化合物類のアルキレンオキ
サイド付加物等が好ましい。また特開昭63−3056
9号に記載のカルボン酸変性エポキシ樹脂、特開昭63
−30568号に記載のアミン変性エポキシ樹脂、特開
昭61−91217号に記載の燐酸変性エポキシ樹脂等
を使用することもできる。さらにエポキシポリオール樹
脂を使用することもできる。
【0022】上記(2) 変性エポキシ樹脂としては、
エポキシ樹脂をコールタール、ピッチまたは石油樹脂に
より変性したものを挙げることができる。
【0023】上記変性に用いるコールタールまたはピッ
チとしては、遊離炭素の他に有機溶剤に可溶な多環芳香
族系高分子物質を多量に含有するものが好ましい。コー
ルタールまたはピッチの軟化点としては、50〜150
℃が好ましい。軟化点が50℃未満であると、塗膜が
粘着性を帯び、また150 ℃を超えると変性エポキシ
樹脂が固形化する。このような条件を満たすものとし
て、例えばα−ビチューメン、β−ビチューメン、γ−
ビチューメン等を挙げることができる。
【0024】また、石油樹脂としては、石油のクッキン
グで副生するジオレフィン、モノオレフィンを単離せず
に重合したもので、C5系石油樹脂やC9系石油樹脂等を
挙げることができる。
【0025】上記変性は、エポキシ樹脂の場合には、エ
ポキシ樹脂とコールタール、ピッチ、アクリル樹脂、ウ
レタン樹脂または石油樹脂とを常温で混合する方法、ま
たはそれらを80〜150 ℃で反応させ、エポキシ基
の一部を開環させる方法により行うことができる。上記
変性エポキシ樹脂中のコールタール、ピッチ、アクリル
樹脂、ウレタン樹脂または石油樹脂の量は、一般にエポ
キシ樹脂100 重量部に対して、固形分基準で10〜
500 重量部であればよい。
【0026】上記(3)アクリル樹脂としては、アクリ
ル系モノマーと他のエチレン性不飽和モノマーとの共重
合体等よりなる樹脂が挙げられる。上記共重合に使用し
得るアクリル系モノマーとしては、アクリル酸またはメ
タクリル酸のメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、
i−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ラウリ
ル、フェニル、ベンジル、2−ヒドロキシエチル、2−
ヒドロキシプロピル等のエステル類、プラクセルFM−
1(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルとポリカプロラ
クトンとの付加物、ダイセル化学工業社製)、アクリル
アミド、およびN−メチロールアクリルアミド等があ
り、これらと共重合可能な他のエチレン性不飽和モノマ
ーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、イタコン
酸、マレイン酸、酢酸ビニル等がある。
【0027】上記(4)ポリエステル樹脂としては、飽
和ポリエステル樹脂や不飽和ポリエステル樹脂が挙げら
れ、例えば、多塩基酸と多価アルコールを加熱縮合して
得られた縮合物が挙げられる。多塩基酸としては、飽和
多塩基酸、不飽和多塩基酸が挙げられ、飽和多塩基酸と
しては、例えば、無水フタル酸、テレフタル酸、コハク
酸等が挙げられ、不飽和多塩基酸としては、例えば、マ
レイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、二価アルコール、三
価アルコール等が挙げられ、二価アルコールとしては、
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール等
が挙げられ、三価アルコールとしては、例えば、グリセ
リン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
【0028】上記(5)アルキド樹脂としては、上記多
塩基酸と多価アルコールにさらに油脂・油脂脂肪酸(大
豆油、アマニ油、ステアリン酸等)、天然樹脂(ロジ
ン、コハク等)等の変性剤を反応させて変性させて得ら
れた樹脂が挙げられる。
【0029】上記(6)塩化ビニル樹脂としては、塩化
ビニルを主成分とし、さらに必要に応じて酢酸ビニル、
マレイン酸、(メタ)アクリル酸、アクリルエステル
類、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマ
ー、スチレン、アクリロニトリル等を(共)重合してな
る樹脂が挙げられる。
【0030】上記(7)塩素化オレフィン樹脂として
は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン
を塩素化して得られる樹脂が挙げられ、なかでも塩素含
有率20〜40%のポリプロピレンが好ましい。塩素含
有率が20%未満になると他の樹脂との相溶性が悪くな
り、40%を超えると接着性が低下する。
【0031】上記(8)塩化ゴム類としては、天然ゴム
ラテックスまたは合成ポリイソプレンゴムラテックス等
のゴムラテックスを水媒体中で塩素化することによって
得られる樹脂が挙げられる。
【0032】さらに上記(9)酢酸ビニル樹脂として
は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共
重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共
重合体等が挙げられる。
【0033】さらに上記(10)ウレタン樹脂として
は、各種ポリオールと以下のポリイソシアネート化合物
系架橋剤とを組合せたものが挙げられる。
【0034】上記無機質系基材用塗料は以下の架橋剤を
含んでいる。架橋剤としては、アミン系、ポリアミド
系、ポリイソシアネート系化合物またはアミノ樹脂系の
ものが挙げられる。上記エポキシ樹脂または変性エポキ
シ樹脂用の架橋剤としては、アミン系、ポリアミド系ま
たはポリイソシアネート化合物系の架橋剤が好ましい。
これら架橋剤は、2種以上組合せて使用することができ
る。
【0035】上記アミン系架橋剤としては、ジエチレン
トリアミン、トリエチレンテトラミン、エチルアミノプ
ロピルアミン等の鎖状脂肪族ポリアミン、環状脂肪族ポ
リアミン、脂肪族ポリアミンアダクト、ケチミン、変性
脂肪族ポリアミン、ポリアミドアミン、芳香族アミン、
芳香族変性アミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香
族ポリアミン、芳香族変性ポリアミン等が挙げられる。
【0036】上記ポリアミド系架橋剤としては、ポリカ
ルボン酸とポリアミンとの重縮合で得られた脂肪族ポリ
アミドまたはこれに芳香族環を導入した芳香族ポリアミ
ド、脂肪族ポリアミドアダクト、芳香族ポリアミドアダ
クト等が挙げられる。
【0037】上記ポリイソシアネート化合物系架橋剤と
しては、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)
等の脂肪族多官能イソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート(IPDI)等の脂環族多官能イソシアネー
ト、およびジフェニルメタン-4,4'-ジイソシアネート
(MDI)や水添MDI等のポリイソシアネート化合
物、またはこれらのポリイソシアネート化合物の官能基
を部分的または完全にブロックしたものが挙げられる。
【0038】上記アミノ樹脂系架橋剤としては、メラミ
ン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられ、メラ
ミン樹脂としては、アルコキシアルキル化メラミン樹脂
を挙げられる。アルコキシ基として、メトキシ基、エト
キシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基が挙げられ、
アルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基が
挙げられる。
【0039】本発明の無機質系基材用塗料におけるバイ
ンダー樹脂と架橋剤との比率は、バインダー樹脂100
固形分重量部当たり架橋剤を5〜200 固形分重量部
とするのが好ましい。架橋剤の配合比率が5重量部未満
では得られる塗膜の架橋密度が低いため、塗膜の硬度、
耐候性、耐食性、耐熱性、耐水性等が不十分である。一
方200 重量部を超えると塗膜が脆くなる。好ましい
架橋剤/バインダー樹脂の重量比は20/100 〜6
0/100 である。
【0040】上記無機質系基材用塗料は、顔料を含んで
いる。この顔料としては着色顔料、体質顔料および防錆
顔料が挙げられる。上述したように本発明の無機質系基
材用塗料は、色差すなわち色相、彩度および明度の差に
よって所定の膜厚が得られているかどうかの判定に用い
られる。色相、彩度および明度は、主として塗料中の着
色顔料で決まるが、体質顔料および防錆顔料もこれらに
影響を与えることがあり、所望の色差を発現するには、
着色顔料、体質顔料および防錆顔料を含めて配合を決定
する必要がある。
【0041】上記着色顔料としては、カーボンブラッ
ク、二酸化チタン、鉛白、黒鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛、
酸化クロム、黄色ニッケルチタン、黄色クロムチタン、
黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、フタロシアニン
ブルー、フタロシアニングリーン、ウルトラマリンブル
ー、キナクリドン類、アゾ系赤・黄色顔料等が挙げられ
る。二酸化チタンは無機質系基材用塗料の色相および明
度に大きな影響を与えるとともに、塗膜を淡色にするの
で、単独でまたは他の着色顔料と組合せて使用するのが
好ましい。
【0042】上記体質顔料としては、タルク、クレー、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケ
イ酸、ケイ酸塩、酸化アルミニウム水和物、硫酸カルシ
ウム等が挙げられる。なかでもタルクが好ましい。
【0043】上記防錆顔料については、通常、無機質系
基材に対して防錆性は必要とされないため、必要でない
と考えられる。しかし無機質系基材に隣接し、鋼材等の
防錆性を必要とする基材が配置された塗装物の場合に
は、防錆顔料を配合しておけば、共通の塗料を使用でき
るため、塗装作業性の点からは好ましい。防錆顔料とし
ては、例えば燐酸亜鉛、四三酸化鉛、塩基性硫酸鉛、亜
酸化鉛、シアナミド鉛、シアナミドカルシウム亜鉛、モ
リブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、塩基性ク
ロム酸鉛、クロム酸亜鉛、クロム酸ストロンチウム、ク
ロム酸バリウム等の化合物が挙げられる。
【0044】上記無機質系基材用塗料は、比較的小さな
下地隠蔽性を有することが必要であるので、その中の着
色顔料の添加量を少なくする。具体的には、塗料固形分
に対する着色顔料の添加量を0.01〜3容量%とする
ことが好ましい。着色顔料の添加量が0.01容量%未
満であると、下地隠蔽力が小さすぎて50μm程度の膜
厚にしても基材との色差がほとんど出ず、膜厚の判定が
できない恐れがある。また着色顔料の添加量が3容量%
を超えると、下地隠蔽力が大きすぎて目標の膜厚に達す
る前に塗膜の色差がなくなる恐れがある。ただし、着色
顔料として二酸化チタンを単独でまたは他の着色顔料と
組合せて使用する場合は、着色顔料の含有量を0.1
〜3容量%とするのが好ましい。
【0045】また体質顔料は塗料固形分に対して0〜5
9.99容量%とするのが好ましい。体質顔料が59.
99 容量%を超えると、造膜性が低下する。
【0046】また防錆顔料は塗料固形分に対して0〜1
0容量%とするのが好ましい。防錆顔料が10容量%を
超えても、防錆力には影響せず、その分体質顔料の配合
量が減り、むやみに塗料コストが高くなるだけで意味が
ない。なお体質顔料および/または防錆顔料を添加する
場合、着色顔料の割合は全顔料100 容量%当たり0.
3 〜7容量%とするのが好ましい。
【0047】上記無機質系基材用塗料の顔料全体として
の含有量は、塗料固形分に対して、着色顔料、体質顔料
および防錆顔料の総量を10〜60容量%の範囲内にす
ることが好ましい。さらに好ましい顔料の含有量は15
〜45容量%である。バインダー樹脂も種類によっては
若干の色を有するので、その場合には、バインダー樹脂
の色に応じて顔料の含有量を調整する場合もある。
【0048】上記無機質系基材用塗料は、バインダー樹
脂、架橋剤および顔料の他に、以下のような有機溶剤、
添加剤等を含有してもよい。
【0049】上記有機溶剤としては、塗料において広く
使用されている有機溶媒またはその混合物を使用するこ
とができる。好ましい例としては、例えばトルエンまた
はキシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、ヘプタ
ン等の脂肪族炭化水素、主として脂肪族炭化水素よりな
り若干の芳香族炭化水素を有する種々の沸点範囲の石油
留分、酢酸ブチル、アセチレングリコールジアセテー
ト、2−エトキシエチルアセテート等のエステル類、メ
チルイソブチルケトン等のケトン類、およびブチルアル
コール等のアルコール類、エチレングリコールモノブチ
ルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。
【0050】上記添加剤としては、常用の紫外線吸収
剤、表面調整剤、粘度調整剤、レベリング剤、顔料分散
剤、可塑剤、消泡剤等が挙げられる。
【0051】塗膜形成方法 本発明の塗膜形成方法は、無機質系基材上に塗料を塗装
して、所定の乾燥膜厚を有する塗膜を得る塗膜形成方法
において、この所定の乾燥膜厚に対して目標乾燥膜厚を
設定し、目標乾燥膜厚に適合した塗料として上記の塗料
を用いて塗装を行い、塗装で得られるウエット膜の色を
観察し、目標乾燥膜厚に達しているかどうかを判断する
ことを特徴とするものである。
【0052】上記無機質系基材としては、例えばコンク
リート橋、コンクリート橋脚、高欄、ダムサイト、港湾
施設等の土木構造物のように足場等の確保が困難な基材
に好適に使用することができる。このほか無機質(窯
業)系サイディング関連の壁材、外装用建材、内装用建
材等にも適用可能である。
【0053】上述したように、これらの無機質系基材に
は、無機質系基材上にパテ、水系樹脂セメントまたは、
無機質系基材用塗料を使用して下地塗膜が形成されてい
てもよい。ここでパテまた水系樹脂セメントとしては、
エポキシ樹脂系のものが無機質系基材との密着性の観点
から好ましく用いられる。また水系樹脂セメントは、塗
り重ねインターバルを短くすることが可能で、塗装作業
性が良好なため、下地塗膜用として好適である。パテお
よび水系樹脂セメントの乾燥膜厚は、100〜300μ
mとするのが、好ましい。
【0054】通常、塗膜の膜厚は乾燥膜厚として、所定
の値が設定されており、本発明の塗膜形成方法では、ま
ず、この所定の乾燥膜厚に対して目標乾燥膜厚を設定す
る。この目標乾燥膜厚は、先の無機質系基材用塗料の説
明で述べたように、通常、必要とされる所定の膜厚の1
00〜120%に設定されるものであり、例えば、所定
の乾燥膜厚が50μmの場合、50〜60μmとするこ
とができる。
【0055】このように目標乾燥膜厚を設定した後、目
標乾燥膜厚に適合した塗料を用意する。この塗料は、先
の無機質系基材用塗料であり、そのときの目標乾燥膜厚
および基材に合わせて選択することができるものであ
る。
【0056】ここで無機質系基材用塗料の色相範囲は、
それぞれの色相が補色に近い関係にあるほど色差が出や
すいので、マンセルの100色相環上で無機質系基材の
色相を0とし、これに対して左回りを0〜+50、右回
りを0〜−50で表示したときに、−20〜−50また
は+50〜+20が好ましい。さらに好ましくは、−4
0〜−50または+50〜+40である。
【0057】上記用意された塗料は、ローラー、刷毛、
スプレー等の一般的によく知られた塗装器具を用いて上
記無機質系基材上に塗装される。上記無機質系基材用塗
料は比較的小さな下地隠蔽性を有しているため、ウエッ
ト塗膜の膜厚増加につれて色が変化するとともに、目標
乾燥膜厚が得られるウエット膜と無機質系基材との色差
が20以上であるため、その色の変化を目視や色差計を
用いて確認することが容易である。
【0058】上記無機質系基材用塗料は、目標乾燥膜厚
が得られるウエット塗膜と(目標乾燥膜厚−50μm)
未満の膜厚におけるウエット塗膜との色差が2以上であ
るため、目標乾燥膜厚より大きく膜厚が不足していれ
ば、その色差を目視で確認することが可能である。よっ
て、塗装がスプレーを用いて行われる場合には、色差の
変化が認められない状態であれば、目標乾燥膜厚に達し
ていることになる。一方、ローラーや刷毛を用いて塗装
する場合には、あらかじめ目標乾燥膜厚が得られるウエ
ット塗膜の色を基準となる見本板のようなものにしてお
くことが好ましい。この基準とウエット塗膜の色を比較
することにより、目標乾燥膜厚に達しているかどうかを
判別することができる。ここで、膜厚が不足している場
合には、重ね塗りを行い、再度、目標乾燥膜厚に達して
いるかどうかを判断する。
【0059】このようにして形成されたウエット膜は、
所定の条件で乾燥されることにより塗膜を得ることがで
きる。
【0060】なお、乾燥膜厚の測定は、無機質系基材の
場合には、塗膜の破断面の厚みを観察する、例えば、P
AINT BORER ERICHSEN社製の膜厚計に
て、また鋼材等の場合には電磁膜厚計で行うことができ
る。
【0061】本発明の塗膜形成方法は、先に挙げた無機
質系基材以外に、無機質系基材に隣接し鋼材等の基材が
配置されたものや鋼材にも適用することができる。
【0062】また、本発明の複層塗膜形成方法は、上記
の塗膜形成方法により得られた塗膜上に、塗料を塗装し
て、所定の乾燥膜厚を有する塗膜を得る複層塗膜形成方
法において、上記所定の乾燥膜厚に対して目標乾燥膜厚
を設定し、上記目標乾燥膜厚に適合した塗料として、塗
料から得られる塗膜のひび割れ追随性が0.2mm以上
であり、この塗料を無機質系基材に50μm以上の目標
乾燥膜厚が得られるように塗布して得られるウエット塗
膜が、(a)上記ウエット塗膜と上記塗膜形成方法によ
り得られた塗膜との色差が20以上、(b)上記ウエッ
ト塗膜と、乾燥して(上記目標乾燥膜厚−50μm)未
満の膜厚となるウエット塗膜との色差が2以上、(c)
上記ウエット塗膜と、上記ウエット塗膜の1.2倍の膜
厚を有するウエット塗膜との色差が1未満である条件を
満たす塗料を用いて塗装を行い、上記塗装で得られるウ
エット膜の色を観察し、上記目標乾燥膜厚に達している
かどうかを判断することを特徴とする。
【0063】このとき、先の塗膜形成方法で用いた塗料
と、この複層塗膜形成方法で用いる塗料は色が異なるも
のとなる。この複層塗膜形成方法は、先に述べた塗膜形
成方法を参照して行うことができる。この複層塗膜形成
方法は、2層以上の塗膜に適用可能である。
【0064】本発明の塗膜形成方法および複層塗膜形成
方法により得られた塗膜の上に、さらに上塗り塗料を塗
布してもよい。上塗り塗料としては、ひび割れ追随性の
高いタイプのエポキシ樹脂系塗料、塩化ゴム樹脂系塗
料、塩化ビニル樹脂系塗料、アルキッド樹脂系塗料、シ
リコンアルキッド樹脂系塗料、アクリル樹脂系塗料、ウ
レタン樹脂系塗料、フッ素樹脂系塗料、ポリエステル樹
脂系塗料、エポキシアクリル樹脂系塗料等の塗料を用い
ることができる。上塗り塗膜の1コート当たりの乾燥膜
厚は、20〜50μmであることが好ましく、目的によ
っては、複数回塗り重ねてもよい。
【0065】
【実施例】本発明を以下の実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0066】無機質系基材用塗料の調製 表1に示す組成の無機質系基材用塗料1〜10を調製し
た。無機質系基材用塗料1〜6は実施例用であり、無機
質系基材用塗料7〜10は比較例用である。
【0067】ひび割れ追随性:モルタルパネル(厚み:
1cm、4cm×12cmで、無機質系基材用塗料を塗
布する面と反対側の面の中央部にダイヤモンドカッター
により、深さ5mmのカットを短径方向に入れたもの)
に、無機質系基材用塗料1〜10を乾燥膜厚120μm
刷毛塗り後、温度23℃で28日間乾燥後、「表面被覆
材のひび割れ追従性試験方法」(日本土木学会の補修材
料性能試験方法(JSCE−K532−1997))に
準拠し、試験温度23℃および−20℃の2水準にて、
試験速度毎分5±1mmで測定した。測定結果を表1に
示した。伸び率、抗張力の測定 :JIS A 6910に準拠し、
無機質系基材用塗料を0.2mmに塗布し、20℃で7
日間間乾燥および80℃で4日間乾燥した後、ダンベル
状2号形に成形したものを試験片とし、試験温度20℃
で試験速度毎分5±1mmで測定した。測定結果を表1
に示した。
【0068】
【表1】 表1の注: (1)モリブデン酸亜鉛、(2)着色顔料、塗料全体に
対する容量%、(3)固形分20%、溶剤を含んだ容量
%として表示、(4)固形分99%、溶剤を含んだ容量
%として表示、(5)ビスフェノールA型エポキシ樹脂
のワニス(固形分70%、溶剤を含んだ容量%として表
示)、(6)ウレタン変性エポキシ樹脂のワニス(固形
分70%、溶剤を含んだ容量%として表示)、(7)ダ
イマー酸エポキシ樹脂のワニス(固形分70%、溶剤を
含んだ容量%として表示)、(8)ポリアミン樹脂ワニ
ス架橋剤(固形分70%、溶剤を含んだ容量%として表
示)、(9)芳香族炭化水素系溶剤とケトン系溶剤(重
量比1/1)。
【0069】実施例1〜6、比較例1〜4 パネルの種類 パネル1:エポキシパテ(「タフガードEパテ N−
2」、日本ペイント社製)を0.5kg/cm2塗装し
たコンクリートパネル(厚み:5cm、30cm×30
cm)、 パネル2:水系エポキシ樹脂セメント(「タフガードE
Wフィラー」、日本ペイント社製)を1kg/cm2
装したコンクリートパネル(厚み:5cm、30cm×
30cm)、 パネル3:無塗装のコンクリートパネル(厚み:5c
m、30cm×30cm)
【0070】塗膜形成方法 上記各パネルに、所定の乾燥膜厚を120μm、目標乾
燥膜厚を125μmとして、表2に示す仕様にて、それ
ぞれ無機質系基材用塗料1〜10を刷毛塗り塗装し、2
4時間室温で放置した。各無機質系基材用塗料のウエッ
ト膜厚/乾燥膜厚は、80/50μm、120/75μ
m、160/100μm、200/125μm、240
/150μmおよび280/175μmの6通りであっ
た。なおウエット膜厚はいずれの場合も乾燥膜厚の1.
55倍であった。得られた各塗膜について、上記色差計
により基材との色差、および目標乾燥膜厚の塗膜との色
差ΔEを測定し、また塗膜状態(ウエット時および乾燥
時)を目視により観察した。結果を表2に示す。
【0071】
【表2】 表2の注: (1)マンセル記号(色相 明度/彩度)表示、(2)
基材と無機質系基材用塗料との色差、(3)目視判定基
準(ウエット塗膜および乾燥塗膜の両方で確認)、 ×:全体的にスケている △:かなりスケが目立つ □:ややスケている ○:ほぼ隠蔽しているが、僅かにスケがある ◎:完全に隠蔽している (4)無塗装マンセル値はコンクリートパネルの色を示
す。
【0072】実施例11〜16、比較例5 上記実施例および比較例で得た無機質系基材用塗料を異
なる色相の組み合わせで使用し、所定の乾燥膜厚を12
0μm、目標乾燥膜厚を125μmとして、刷毛塗り塗
装法により下塗り塗装および上塗り塗装をし、24時間
室温で放置した。下塗りの乾燥膜厚は120μmであ
り、上塗りの塗装終了時のウエット膜厚/乾燥膜厚は、
80/50μm、120/75μm、160/100μ
m、200/125μm、240/150μmおよび2
80/175μmの6通りであった。得られた各塗膜に
ついて、上記色差計により下塗りとの色差、および目標
乾燥膜厚の塗膜との色差ΔEを測定し、また塗膜状態を
目視により観察した。結果を表3に示す。
【0073】
【表3】 表3の注: (1)乾燥膜厚50〜175μmの無機質系基材用塗
料、(2)マンセル記号(色相 明度/彩度)表示、
(3)下塗りと上塗りとの色差、(4)目視判定基準:
表2の目視判定基準と同じ。
【0074】表1ないし表3の結果から明らかのよう
に、本実施例1〜16は、本発明の塗膜形成方法により
塗膜層を形成したもので、無機質系基材のひび割れに対
して追随性があり、ウエット状態の塗膜において、目標
膜厚を得ることができた。
【0075】一方、比較例1〜2では、ウエット状態の
塗膜において、目標膜厚を得ることができたが、バイン
ダー樹脂の伸び率、抗張力が低く、ひび割れ追随性が得
られず、比較例3〜5では、顔料組成が本発明の範囲を
外れていたため、目標膜厚を得ることができなかった。
【0076】
【発明の効果】本発明の無機質系基材用塗料および塗膜
形成方法によれば、ひび割れが生じやすく、電磁膜厚計
が使えないコンクリート構造体等の無機質系基材に対し
て、形成された塗膜が基材のひび割れに追随し、外観の
塗膜の割れが少ない塗膜を形成することができ、また塗
装作業者は塗装中に塗膜が目標とする膜厚に達したか否
かを目視等により判定することができ、目標乾燥膜厚を
有する塗膜を確実かつ容易に得ることができる。
【0077】また目視判定を塗膜のウエット時に行うこ
とができるので、塗装現場での迅速な判定が可能であ
り、塗装作業の能率化に寄与する。本発明の塗膜形成方
法によれば煩雑な膜厚測定を行う必要がないので、塗装
工程における工数の大幅な低減が図れるとともに、膜厚
不足による無機質系基材の劣化および過剰な膜厚による
塗料の無駄を防止することができる。
【0078】さらに本発明の塗膜形成方法は、特にコン
クリート等の土木構造物等の塗装が著しく困難な部位で
も正確に目標乾燥膜厚を有する均一なひび割れ追随性を
有する塗膜を得ることができるという利点を有する。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AA01 AA82 AC22 AC47 AC92 CB08 DB11 DC03 DC05 4J038 CA131 CB171 CD041 CF021 CG141 DB001 DB421 DD001 DD121 DG031 KA03 KA06 KA08 MA07 MA10 NA01 NA27 PA18 PB05 PC02 PC03 PC04

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塗料から得られる塗膜のひび割れ追随性が
    0.2mm以上であり、この塗料を無機質系基材に50
    μm以上の目標乾燥膜厚が得られるように塗布して得ら
    れるウエット塗膜が、(a)前記ウエット塗膜と前記無
    機質系基材との色差が20以上、(b)前記ウエット塗
    膜と、乾燥して(前記目標乾燥膜厚−50μm)未満の
    膜厚となるウエット塗膜との色差が2以上、(c)前記
    ウエット塗膜と、前記ウエット塗膜の1.2倍の膜厚を
    有するウエット塗膜との色差が1未満、の条件を満たす
    ことを特徴とする無機質系基材用塗料。
  2. 【請求項2】前記ウエット塗膜とそれを乾燥して得られ
    た乾燥塗膜との色差が0である、請求項1記載の無機質
    系基材用塗料。
  3. 【請求項3】前記(a)における色差が、35以上であ
    る請求項1または2記載の無機質系基材用塗料。
  4. 【請求項4】前記(b)における色差が3以上である請
    求項1ないし3いずれか1項記載の無機質系基材用塗
    料。
  5. 【請求項5】前記乾燥膜厚120μm、温度20℃にお
    ける目標乾燥膜厚を有する塗膜の伸び率が、20〜60
    0%、抗張力が20〜500kg/cm2である請求項
    1ないし4いずれか1項記載の無機質系基材用塗料。
  6. 【請求項6】無機質系基材上に塗料を塗装して、所定の
    乾燥膜厚を有する塗膜を得る塗膜形成方法において、前
    記所定の乾燥膜厚に対して目標乾燥膜厚を設定し、前記
    目標乾燥膜厚に適合した塗料として請求項1ないし5い
    ずれか1項記載の塗料を用いて塗装を行い、前記塗装で
    得られるウエット膜の色を観察し、前記目標乾燥膜厚に
    達しているかどうかを判断することを特徴とする塗膜形
    成方法。
  7. 【請求項7】前記塗装で得られるウエット膜の色相が、
    マンセルの100色相環上で前記無機質系基材を0とし
    て、左回りを0〜+50、右回りを0〜−50で表示し
    たとき、+20〜+50または−50〜−20である請
    求項6記載の塗膜形成方法。
  8. 【請求項8】前記塗料の色相が、前記表示において+4
    0〜+50または−40〜−50である請求項7記載の
    塗膜形成方法。
  9. 【請求項9】請求項6ないし8いずれか1項記載の塗膜
    形成方法により得られた塗膜上に、塗料を塗装して、所
    定の乾燥膜厚を有する塗膜を得る複層塗膜形成方法にお
    いて、前記所定の乾燥膜厚に対して目標乾燥膜厚を設定
    し、前記目標乾燥膜厚に適合した塗料として、塗料から
    得られる塗膜のひび割れ追随性が0.2mm以上であ
    り、この塗料を無機質系基材に50μm以上の目標乾燥
    膜厚が得られるように塗布して得られるウエット塗膜
    が、(a)前記ウエット塗膜と前記塗膜形成方法により
    得られた塗膜との色差が20以上、(b)前記ウエット
    塗膜と、乾燥して(前記目標乾燥膜厚−50μm)未満
    の膜厚となるウエット塗膜との色差が2以上(c)前記
    ウエット塗膜と、前記ウエット塗膜の1.2倍の膜厚を
    有するウエット塗膜との色差が1未満である条件を満た
    す塗料を用いて塗装を行い、前記塗装で得られるウエッ
    ト膜の色を観察し、前記目標乾燥膜厚に達しているかど
    うかを判断することを特徴とする複層塗膜形成方法。
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