JP2001220429A - 一液性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

一液性エポキシ樹脂組成物

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JP2001220429A JP2000346570A JP2000346570A JP2001220429A JP 2001220429 A JP2001220429 A JP 2001220429A JP 2000346570 A JP2000346570 A JP 2000346570A JP 2000346570 A JP2000346570 A JP 2000346570A JP 2001220429 A JP2001220429 A JP 2001220429A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の技術では不可能であった数μm以下の
ような非常に狭い間隔の隙間でも流入し完全硬化する一
液性エポキシ樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 液状芳香族系多官能エポキシ樹脂または
/および液状水添芳香族系多官能エポキシ樹脂(成分
A)、固体エポキシ樹脂硬化剤(成分B)、固体エポキ
シ樹脂アミンアダクトまたは/および固体脂肪族ポリア
ミン変性体(成分C)、および固体芳香族系尿素化合物
または/および固体脂環族系尿素化合物(成分D)から
なる一液性エポキシ樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一液性エポキシ樹脂
組成物に関し、詳しくは、数μm以下のような極めて狭
い間隔の隙間においても流入し完全硬化する一液性エポ
キシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂組成物を形態的に分類する
と一液性と二液性に大別される。一液性エポキシ樹脂組
成物は基本成分からいえば、エポキシ樹脂、硬化剤およ
び硬化促進剤があらかじめ混合されており、そのまま用
途に応じて使用することができるが、二液性エポキシ樹
脂組成物はエポキシ樹脂と硬化剤/硬化促進剤の混合物
あるいはエポキシ樹脂/硬化促進剤の混合物と硬化剤の
二成分に分離されており使用直前に両者を混合して使用
される。
【0003】本発明は上記分類の一液性エポキシ樹脂組
成物に関するものである。エポキシ樹脂を一液性とする
にはいくつかの方法がある。融点が高く、室温付近では
液状のエポキシ樹脂組成物と相溶性のない硬化剤を微粒
子として分散させる方法が一般的である。この場合、分
散させた硬化剤は加熱により溶解または分解させ本来の
硬化剤としての反応を開始させることができる。それ
故、一液性エポキシ樹脂組成物は硬化反応に加熱を要す
る。
【0004】このような硬化剤としては、まずルイス酸
塩やブレンステッド酸塩があり、加熱により活性化して
カチオン機構によりエポキシ樹脂を自己重合硬化させ
る。三弗化硼素・ピペラジン塩、芳香族スルホニウム塩
などが代表例であるが、塩残基が残存するため硬化物の
電気特性、耐水性などが不良である。
【0005】別の硬化剤としては第三級アミン塩やイミ
ダゾール塩があり、加熱により溶解または分解して活性
化しアニオン機構によりエポキシ樹脂を自己重合硬化さ
せる。ベンジルジメチルアミン塩、2−メチルイミダゾ
ール塩などが代表例であるが、硬化物は一般に架橋密度
が大きくなり硬いが脆くなる傾向がある。
【0006】さらに、ジ、トリおよびテトラカルボン酸
無水物、ジシアンジアミドやジカルボン酸ジヒドラジド
があり、加熱により溶解してエポキシ基との架橋反応機
構により架橋重合硬化する。ヘキサヒドロ無水フタル
酸、ジシアンジアミド、オクタデカメチレン−1,18-ジ
カルボン酸ジヒトラジドなどが代表例である。その硬化
物の機械物性と電気特性が良好であり、更に一液性エポ
キシ樹脂組成物での可使時間との関係から最も一般的に
使用されている硬化剤である。このような架橋反応型硬
化剤の中でも一液性エポキシ樹脂組成物に最も多く使用
されているのは保存安定性に優れたジシアンジアミドと
ジカルボン酸ジヒドラジドである。カルボン酸無水物は
固形のエポキシ樹脂と組み合わせて粉体塗料用固状エポ
キシ樹脂組成物としてあるいは液状のエポキシ樹脂と組
合せてプリプレグ用、注型用エポキシ樹脂組成物として
一般に使用されている。
【0007】実用的には上記した一液性エポキシ樹脂組
成物の硬化温度の低下や硬化時間の短縮のために第三級
アミンやイミダゾールに代表されるような硬化促進剤を
添加するのが一般的である。更に、用途に応じた各種の
添加剤や配合剤も併用されている。
【0008】ジシアンジアミドで代表される架橋反応型
硬化剤を配合した一液性エポキシ樹脂組成物は従来から
電気、電子部品、音響部品、カメラ部品、精密機構部
品、自動車部品、構造物、複合材料などに代表される用
途で接着剤、封止剤、注型剤、被覆剤、結合剤などとし
て使用されてきた。中でもその電気特性や耐熱性の良好
なことから電気、電子部品の生産にとっては必須の材料
であり、接着剤、封止剤、注型剤などとして使用されて
いる。
【0009】ところが近年になって、電気、電子部品の
小型化、軽量化や高密度化に対する市場からの要請が強
まり、各種部品の接着部分や封止部分における隙間間隔
が非常に狭くなってきた。従来では数10μmの間隔があ
った部品が最近では数μm以下となった部品もある。こ
の数μm以下の間隔部分では毛細管現象により液状エポ
キシ樹脂と硬化剤の分離が発生し、硬化しない液状エポ
キシ樹脂が可動部や接点部など付着してはならない場所
に移動して特性不良を引き起こすという重大な問題が発
生しており、その解決が強く望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記業界の事
情に鑑みてなされたものであり、その目的とすることろ
は数μm以下のような非常に狭い間隔の隙間にでも流入
が可能であり、しかもその隙間で完全硬化が可能な保存
安定性の良好な一液性エポキシ樹脂組成物を提供するこ
とにある。
【0011】
【問題を解決するための手段】本発明は液状芳香族系多
官能エポキシ樹脂または/および液状水添芳香族系多官
能エポキシ樹脂(成分A)、固体エポキシ樹脂硬化剤
(成分B)、固体エポキシ化合物アミンアダクトまたは
/および固体脂肪族ポリアミン変性体(成分C)および
固体芳香族系尿素化合物または/および固体脂環族系尿
素化合物(成分D)からなる一液性エポキシ樹脂組成物
に関する。ここでいう液状とは室温付近において液体状
態であることであり、一方、固体とは室温付近において
固体状態であることを意味する。
【0012】本発明の一液性エポキシ樹脂組成物を構成
する液状芳香族系および水添芳香族系多官能エポキシ樹
脂(成分A)はベンゼン環、ナフタレン環、水添ベンゼ
ン環のような芳香族環または水添芳香族環と2個以上の
末端エポキシ基を有し、室温付近で液状のエポキシ樹脂
を意味している。芳香族環と水添芳香族環にはアルキ
ル、ハロゲンなどの置換基が結合していてもよい。末端
エポキシ基と芳香族環または水添芳香族環とはオキシア
ルキレン、ポリ(オキシアルキレン)、カルボオキシア
ルキレン、カルボポリ(オキシアルキレン)、アミノア
ルキレンなどにより結合されている。また、芳香族環や
水添芳香族環は直接またはアルキレン、オキシアルキレ
ン、ポリ(オキシアルキレン)などで結合されている。
具体的にはビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビ
スフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノール
Aエチレンオキサイド2モル付加物ジグリシジルエーテ
ル、ビスフェノールA−1,2−プロピレンオキサイド
2モル付加物ジグリシジルエーテル、水添ビスフェノー
ルAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグ
リシジルエーテル、オルソフタル酸ジグリシジルエステ
ル、テトラヒドロイソフタル酸ジグリシジルエステル、
N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル
トルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン−3−グリ
シジルエーテル、テトラグリシジルメタキシレンジアミ
ン、1,3−ビス(N,N−ジグリジルアミノメチレ
ン)シクロヘキサン、テトラブロモビスフェノールAジ
グリシジルエーテルなどが例示できる。本発明ではこれ
らのエポキシ樹脂群の中から1種類以上を選び使用され
る。硬化物の耐熱性からいえば、ビスフェノールAジグ
リシジルエーテルと水添ビスフェノールAジグリシジル
エーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルと水
添ビスフェノールFジグリシジルエーテルなどを使用す
るのが好ましい。
【0013】本発明の一液性エポキシ樹脂組成物を構成
する固体エポキシ樹脂硬化剤(成分B)は室温付近で固
体状態である架橋型エポキシ樹脂硬化剤を意味してい
る。ジ、トリおよびテトラカルボン酸無水物、ジカルボ
ン酸ジヒドラジド、ジシアンジアミドなどである。具体
的には、ジ、トリおよびテトラカルボン酸無水物として
は無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリッ
ト酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラブ
ロモ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−お
よび4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチ
レンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレン
テトラヒドロ無水フタル酸、ヘット酸などの芳香族や脂
環族系のポリカルボン酸無水物が例示できる。ジカルボ
ン酸ジヒドラジドとしては脂肪族、芳香族、脂環族また
は複素環族の各種ジカルボン酸ジヒドラジドが使用で
き、好ましくは脂肪族または複素環族のジカルボン酸ジ
ヒドラジド、例えばアジピン酸ジヒドラジド、セバシン
酸ジヒドラジド、ドデカメチレン−1,12−ジカルボ
ン酸ジヒドラジド、オクタデカメチレン−1,18−ジ
カルボン酸ジヒドラジド、7,11−オクタデカジエン
−1,18−ジカルボン酸ジヒドラジド、1,3−ビス
(ヒドラジノカルボエチル)−5−n−プロピルヒダン
トイン、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5
−イソプロピルヒダントインなどが例示できる。ジシア
ンジアミドは単独化合物である。本発明ではこれらの硬
化剤群の中から1種類を選んで使用される。本発明の一
液性エポキシ樹脂組成物の硬化性や硬化物の物性からい
えば、上記した硬化剤の中の脂肪族および複素環族ジカ
ルボン酸ジヒドラジドおよびジシアンジアミドを使用す
るのが好ましく、特に好ましいのはジシアンジアミド、
長鎖脂肪族ジカルボン酸ジヒドラジドおよび1,3−ビ
ス(ヒドラジノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダ
ントインである。
【0014】本発明の一液性エポキシ樹脂組成物を構成
する固体エポキシ化合物アミンアダクト(成分C)と
は、室温付近で液状の一般エポキシ樹脂には不溶性の固
体であるが、加熱することにより可溶化し本来の機能を
発揮する化合物である。基本的には、エポキシ化合物と
アミン化合物の反応生成物(一般に、エポキシ化合物ア
ミンアダクトと呼称されている)である。詳しくは、単
官能および多官能エポキシ化合物のエポキシ基と付加反
応し得る活性水素を1分子内に1個以上有し、かつ1
級、2級、3級アミノ基の中から選ばれた置換基を少な
くとも1分子内に1個以上有するアミン化合物との反応
生成物(即ち、エポキシ化合物アミンアダクト)であ
る。このようなエポキシ化合物とアミン化合物には、脂
肪族系、脂環族系、芳香族系および複素環系のエポキシ
化合物やアミン化合物が含まれる。したがって、固体エ
ポキシ化合物アミンアダクトの化学構造は一定していな
いが、特開昭56-155222号公報、特開昭57-100127号公
報、特開昭61-228018号公報、特開昭62-285913号公報、
特開昭64-70523号公報、特開平3-139517号公報、特開平
6-49176号公報、特開平6-211969号公報、特開平7-19677
6号公報などに記載のものが例示できる。
【0015】本発明の成分Cとして使用される固体エポ
キシ化合物アミンアダクトとして市販されている代表例
としては、「アミキュアPN-23、PN-31、PN-40、PN-40
J、PN-D、PN-H、MY-24、MY-D、MY-H」(以上、味の素フ
ァインテクノ(株)製品)、「ノバキュアHX-3721、HX-
3742」(以上、旭化成工業(株)製品)、「ハードナー
H-3293S、H-3615S」(以上、エー・シー・アール(株)
製品)、「ANCAMINE 2014AS、2014FG」(以上、パシフ
ィック・アンカー・ケミカル(株)製品)などがある。
【0016】本発明の一液性エポキシ樹脂組成物を構成
する成分Cとして使用できる別の化合物である固体脂肪
族ポリアミン変性体とは、室温付近で液状の一般エポキ
シ樹脂には不溶性の固体であるが、加熱することにより
可溶化し本来の機能を発揮する化合物である。基本的に
は、アミン化合物とイソシアネート化合物との反応生成
物(一般に、脂肪族ポリアミン変性体と呼称されてい
る)である。詳しくは、ジアルキルアミノアルキルアミ
ン化合物、分子内に活性水素を有する窒素原子を1ある
いは2個以上有する環状アミン化合物とジイソシアネー
ト化合物の反応生成物(即ち、脂肪族ポリアミン変性
体)である。このような3成分にさらにエポキシ化合物
を第4成分として反応させて得られる脂肪族ポリアミン
変性体もある。従って、固体脂肪族ポリアミン変性体の
化学構造は一定していないが、特公昭58-55970号公報、
特開昭59-27914号公報、特開昭59-59720号公報、特開平
3-296525号公報などに記載のものが例示できる。
【0017】本発明の成分Cとして使用される固体脂肪
族ポリアミン変性体として市販されている代表例として
は、「フジキュアFXE-1000、FXR-1030、FXB-1050」(以
上、富士化成工業(株)製)などが挙げられる。
【0018】本発明の一液性エポキシ樹脂組成物を構成
する固体芳香族系尿素化合物(成分D)は、室温ではエ
ポキシ樹脂(成分A)に不溶性の固体であるが、約80
℃以上の温度で昇華するもので、ベンゼン環のような芳
香族環に直結した尿素結合を有する化合物を意味してい
る。芳香族環にはアルキル、ハロゲン等の置換基を有し
ていてもよい。具体的にはN−フェニル−N’,N’−
ジメチルウレア、N−(4−クロロフェニル)−N’,
N’−ジメチルウレア、N−(3,4−ジクロロフェニ
ル)−N’,N’−ジメチルウレア、N−(3−クロロ
−4−メチルフェニル)−N’,N’−ジメチルウレ
ア、N−(3−クロロ−4−エチルフェニル)−N’,
N’−ジメチルウレア、N−(3−クロロ−4−メトキ
シフェニル)−N’,N’−ジメチルウレア、N−(4
−メチル−3−ニトロフェニル)−N’,N’−ジメチ
ルウレア、2,4−ビス(N’,N’−ジメチルウレイ
ド)トルエン、メチレン−ビス(p−N’,N’−ジメ
チルウレイドフェニル)などが例示できる。安定性から
いえば、N−フェニル−N’,N’−ジメチルウレア、
N−(3,4−ジクロロフェニル)−N’,N’−ジメ
チルウレア、メチレン−ビス(p−N’,N’−ジメチ
ルウレイドフェニル)などの使用が好ましい。成分Dと
して使用できる別の化合物である固体脂環族系尿素化合
物としてはビス(N’,N’−ジメチルウレイド)イソ
ホロンが例示できる。
【0019】上記したように本発明の一液性エポキシ樹
脂組成物は必須4成分(成分A、B、CおよびD)から
構成されており、固体エポキシ化合物アミンアダクトま
たは/および固体脂肪族ポリアミン変性体(成分C)お
よび固体芳香族系尿素化合物または/および固体脂環族
系尿素化合物(成分D)は、それぞれ単独には従来から
知られている液状エポキシ樹脂と固体エポキシ樹脂硬化
剤とからなる一液性エポキシ樹脂組成物に硬化促進剤と
して配合されていることは公知の技術である。固体エポ
キシ化合物アミンアダクトと固体脂肪族ポリアミン変性
体(いずれも成分C)の配合効果については前記した特
許公報に詳しく記述されている。また固体芳香族尿素化
合物と固体脂環系尿素化合物(いずれも成分D)の配合
効果についても米国特許1,293,142に記述されている。
しかしながら、上記した成分Cおよび成分Dのいずれを
単独に配合しても本発明のような非常に狭い隙間での硬
化は不可能であり未硬化のままに終わる。本発明の一液
性エポキシ樹脂組成物は成分Cおよび成分Dのいずれか
を単独に使用せず、両者を必ず併用していることに特異
性があり、そうすることにより、予期せぬ相乗作用効果
が発現され、従来技術では不可能であった数μm以下、
さらには1μm以下のような極めて狭い隙間での完全硬
化が可能となったものである。
【0020】本発明の一液性エポキシ樹脂組成物を構成
する必須成分A〜Dは、成分A100重量部に対して成分
Bが1〜30重量部、成分Cが1〜30重量部、および成分D
が1〜30重量部の範囲で配合する。好ましくは、成分A1
00重量部に対して成分Bが5〜15重量部、成分Cが5〜15
重量部、および成分Dが5〜15重量部である。なお、成
分Aにおける液状芳香族系と液状水添芳香族系多官能エ
ポキシ樹脂はそれぞれ単独でも併用でも使用でき、併用
する場合の比率は任意である。成分Cにおける固体エポ
キシ化合物アミンアダクトと固体脂肪族ポリアミン変性
体はそれぞれ単独でも併用でも使用され、併用する場合
の比率は任意である。また成分Dにおける固体芳香族系
尿素化合物と固体脂環族系尿素化合物はそれぞれ単独で
も併用でも使用され、併用する場合の比率は任意であ
る。
【0021】各成分より選ばれて構成される必須4成分
の組合せは一液性エポキシ樹脂組成物とその硬化物に要
求される品質により適宜選択すればよい。流動性、硬化
性、保存安定性、硬化物の密着性、封止性、力学物性、
電気特性、耐熱性等の観点からは、ビスフェノールAジ
グリシジルエーテルと水添ビスフェノールAジグリシジ
ルエーテルの単独使用または併用(成分A)/ジシアン
ジアミド(成分B)/固体エポキシ化合物アミンアダク
トと固体脂肪族ポリアミン変性体の単独使用または併用
(成分C)/N−(3,4−ジクロロフェニル)−
N’,N’−ジメチルウレア、メチレン−ビス(p−
N’,N’−ジメチルウレイドフェニル)と、N−フェ
ニル−N’,N’−ジメチルウレアの単独使用または併
用(成分D)の組成物を例示できる。
【0022】本発明の必須4成分(成分A、B、Cおよ
びD)よりなる一液性エポキシ樹脂組成物は、従来技術
では不可能であった数μm以下、さらには1μm以下のよ
うな極めて狭い隙間でも完全硬化が可能であるという特
異な硬化性を有し、その硬化物は基材との密着性、封止
性、力学物性、電気特性、耐熱性などに優れている。し
かしながら、特に高い耐熱衝撃性が要求される用途に対
しては、これまで記述してきた4成分からなる本発明の
一液性エポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱衝撃性では必
ずしも十分とはいえない場合もある。このような用途の
場合には、硬化物の耐熱衝撃性を増大させる必要があ
り、そのためには長鎖脂肪族ジカルボン酸ジグリシジル
エステル、長鎖脂肪族グリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリアルキレン(エチレン、プロピレンまたはテト
ラメチレン)グリコールジグリシジルエーテルや主鎖が
ポリサルファイド骨格で両末端にエポキシ基を有するジ
エポキシ化合物(以下、単に「ポリサルファイド変性エ
ポキシ樹脂」という)、好ましくは長鎖脂肪族ジカルボ
ン酸ジグリシジルエステル、ポリサルファイド変性エポ
キシ樹脂から1種類以上を選択し第5成分(成分E)と
して配合すればよい。成分Eは成分Aに相溶する必要が
ある。
【0023】成分Eの1つである長鎖脂肪族ジカルボン
酸ジグリシジルエステルとしては、数平均分子量170〜1
000、好ましくは400〜800を有し、炭素数C8〜C25、好
ましくはC14〜C22の脂肪族ジカルボン酸のジグリシジ
ルエステルであり、その脂肪族基は二重結合を有してい
てもよく、低級アルキル基、水酸基、ニトリル基、ベン
ゼン環などの側鎖を有していてもよい。具体的には、
1,10−デカンジカルボン酸ジグリシジルエステル、
エイコサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、7,1
1−オクタデカジエン−1,18−ジカルボン酸ジグリ
シジルエステル、7−エチル−1,16−ヘキサデカメ
チレンジカルボン酸ジグリシジルエステル、7,12−
ジメチル−7,11−オクタデカジエン−1,18−ジ
カルボン酸ジグリシジルエステルなどが例示できる。
【0024】長鎖脂肪族グリコールジグリシジルエーテ
ルとしては、炭素数C5〜C12、好ましくはC6〜C10
脂肪族グリコールジグリシジルエーテルである。具体的
には、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテ
ル、1,10−デカンジオールジグリシジルエーテルな
どが例示できる。
【0025】ポリアルキレングリコールジグリシジルエ
ーテルとしては、炭素数C2〜C4のアルキレングリコー
ルの2〜10量体、好ましくは3〜7量体のポリアルキレン
グリコールジグリシジルエーテルである。具体的には、
トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラ
-1,2-プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ペ
プタ-1,2-プロピレングリコールジグリシジルエーテル
などが例示できる。
【0026】ポリサルファイド変性エポキシ樹脂の数平
均分子量としては500〜8000が好ましいが、より好まし
くは、数平均分子量1500〜5000である。
【0027】これらの中でも長鎖脂肪族ジカルボン酸ジ
グリシジルエステルとポリサルファイド変性エポキシ樹
脂の使用が特によい効果を与える。
【0028】成分Eを構成する化合物は、既に公知の化
合物であり、市販品としても入手可能である。市販品と
して入手可能なものとしては、例えば、エイコサンジカ
ルボン酸ジグリシジルエステル(商品名:SL-20G)、7
−エチル−1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸
ジグリシジルエステル(商品名:SB-20G)、7,12−
ジメチル−7,11−オクタデカジエン−1,18−ジ
カルボン酸ジグリシジルエステル(商品名:IPU-22G)
(以上、岡村製油(株)製品)やポリサルファイド変性
エポキシ樹脂(商品名:フレップ−10、−50、−60、−
65、東レチオコール(株)製品)などが例示できる。
【0029】成分Eの配合量は、成分Aに対して5〜10
重量%、好ましくは10〜25重量%である。5重量%未満
では熱衝撃特性を十分に向上させることができず、一
方、50重量%を越えると柔軟性が増大し硬度やガラス転
移温度が低下することになる。本発明によれば、成分A
と成分Eを併用した一液性エポキシ樹脂組成物の硬化物
の耐熱衝撃性は成分A単独の場合に比較して10倍以上増
大する。
【0030】本発明の一液性エポキシ樹脂組成物では、
組成物の粘度低下が必要な場合には反応性希釈剤として
のモノエポキシ化合物を少量添加して、その粘度を調整
することができる。そのようなモノエポキシ化合物とし
ては、i−プロピルグリシジルエーテル、n−ブチルグ
リシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2
−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ラウリルグリシ
ジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−クレ
ジルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリ
シジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、ジエチ
レングリコール−t−ブチルエーテルグリシジルエーテ
ル、ジエチレングリコール−2−エチルヘキシルエーテ
ルグリシジルエーテル、ラウリン酸グリシジルエステ
ル、オレイン酸グリシジルエステル、リノール酸グリシ
ジルエステル、7−ヒドロキシオレイン酸グリシジルエ
ステルなどを例示できる。このようなモノエポキシ化合
物を本発明の一液性エポキシ樹脂組成物(成分がA+B
+C+DまたはA+B+C+D+E)に10重量%以下の
量で添加することにより、本発明組成物の硬化性に影響
を及ぼすことなく組成物の粘度を数分の1〜10分の1程
度にまで低下させることができる。
【0031】さらに、本発明の一液性エポキシ樹脂組成
物には必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲内
で、充填剤、着色剤、難燃剤、光安定剤、補強剤、増粘
剤、粘度調整剤、揺変性付与剤などの配合剤や添加剤を
追加混合してもよい。これらの配合剤や添加剤は本発明
に限定される特別なものではなく、従来からの一液性エ
ポキシ樹脂組成物に使用されている一般的なものから任
意に選択して使用することができる。
【0032】本発明の一液性エポキシ樹脂組成物は、上
記成分A〜Dまたは成分A〜Eおよび必要に応じて他の
配合剤や添加剤を、従来からの一液性エポキシ樹脂組成
物の製造に採用されている製造方法に従い混合すること
により製造することができる。
【0033】本発明の一液性エポキシ樹脂組成物を各種
部品などの製造工程に適用するに際しては、既存の設
備、装置、工法などが全て使用でき、硬化条件としては
80〜120℃で30〜60分が適当である。
【0034】
【実施例】実施例および比較例により本発明と従来技術
を具体的に説明する。なお、下記実施例と比較例におけ
る「部」とは「重量部」のことである。
【0035】(実施例1)ビスフェノールAジグリシジ
ルエーテル(成分A)100部、ジシアンジアミド(平均
粒径約10μm)(成分B)5部、固体脂肪族ポリアミン変
性体(富士化成工業(株)製品、FXE-1000、平均粒径約
8μm)(成分C)15部およびメチレン−ビス(p−N’,
N’−ジメチルウレイドフェニル、平均粒径約20μm)
(成分D)5部を分散機とセラミック三本ロールミルを
用いて十分に混合し一液性エポキシ樹脂組成物を(I)
を調製した。
【0036】ついで寸法が26mm×76mm×0.9mmでB270磨
きのガラス板2枚を合わせ両端をクリップでとめ、垂直
に取付具に固定した。上記組成物(I)をディスペンサ
ーを用いてガラス板2枚の合わせ部に約0.1g滴下した。
続いてガラス板を加熱炉中に静置し、100℃で1時間加
熱した。
【0037】ガラス板を観察したところ組成物(I)は
ガラス板間に流入していることがわかった。さらにガラ
ス板を剥離し組成物(I)の硬化状態を調べた結果、完
全に硬化していることが判明した。その厚さを粗さ計で
測定したところ0.1μm以下であった。
【0038】(比較例1、2)実施例1における4成分
の内の成分Cと成分Dを併用しないでそれぞれ単独に配
合して固体脂肪族ポリアミン変性体(成分C)10部を配
合した一液性エポキシ樹脂組成物(1)(比較例1)とメ
チレン−ビス(p−N’,N’−ジメチルウレイドフェ
ニル)(成分D)10部を配合した組成物(2)(比較例2)
を実施例1と同じ手順により調製した。
【0039】組成物(1)と(2)を用いて実施例1と
同様にして硬化試験をしたところガラス板間に流入は見
られるものの全く硬化してなく液状のままであることが
判明した。
【0040】(実施例2)ビスフェノールFジグリシジ
ルエーテル(成分A)100部、1,3−ビス(ヒドラジ
ノカルボエチル)−5−イソプロピルヒダントイン(平
均粒径約15μm)(成分B)5部、固体エポキシ化合物ア
ミンアダクト(味の素ファインテクノ(株)製品、PN-2
3、平均粒径約10μm)(成分C)5部およびN−フェニル
−N’,N’−ジメチルウレア(平均粒径約20μm)(成
分D)15部から実施例1と同じ手順により一液性エポキ
シ樹脂組成物(II)を調製した。
【0041】次に実施例1と同様にして2枚のガラス板
間での硬化試験をしたところ、組成物(II)はガラス板
間に流入し完全硬化していることが判明した。その厚さ
は0.1μm以下であった。
【0042】(比較例3、4)実施例2における4成分
の内、成分Cと成分Dを併用しないで、それぞれ単独に
配合して固体エポキシ化合物アミンアダクト(成分C)
10部を配合した一液性エポキシ樹脂組成物(3)(比較例
3)とN−フェニル−N’,N’−ジメチルウレア(成
分D)10部を配合した組成物(4)(比較例4)を実施例
1と同じ手順により調製した。
【0043】組成物(3)と(4)を用いて実施例1と
同様にして硬化試験をしたところ、ガラス板間への流入
は見られるものの全く硬化してなく液状のままであるこ
とが判明した。
【0044】(比較例5、6)実施例1で使用したガラ
ス板2枚の間に25μmと35μm厚のステンレス製スペーサ
ーを相対する2辺に挟み、その両端をガラス板の上から
クリップでとめ、その2辺が垂直になるように取付具を
固定した。比較例3において調製した組成物(3)をデ
ィスペンサーを用いて2枚のガラス板の上部に約0.2g滴
下し続いて加熱炉中に静置し、100℃で1時間加熱し
た。この硬化試験の結果、どちらのスペーサー厚の場合
でも組成物(3)は流入していたが、35μm厚では硬化
したが25μm厚では硬化せず、液状のままであった。
【0045】組成物(4)を用いて同じ硬化試験をした
結果、スペーサー35μm厚では硬化したが25μm厚では硬
化せず液状のままであった。
【0046】(実施例3)ビスフェノールAジグリシジ
ルエーテル(成分A)40部、水添ビスフェノールAジグ
リシジルエーテル(成分A)60部、ジシアンジアミド
(成分B)15部、固体脂肪族ポリアミン変性体(富士化
成工業(株)製品、FXE-1000、前出)(成分C)10部およ
びメチレン−ビス(p−N’,N’−ジメチルウレイド
フェニル、前出)(成分D)5部から実施例1と同じ手
順により一液性エポキシ樹脂組成物(III)を調製し
た。
【0047】次に実施例1と同様にして2枚のガラス板
間での硬化試験をしたところ組成物(III)はガラス板
間に流入し完全硬化していることが判明した。その厚さ
は0.1μm以下であった。
【0048】(比較例7、8)実施例3における4成分
の内、成分Cと成分Dを併用しないで、それぞれ単独に
配合して固体脂肪族ポリアミン変性体(成分C)10部を
配合した一液性エポキシ樹脂組成物(5)(比較例7)と
メチレン−ビス(p−N’,N’−ジメチルウレイドフ
ェニル)(成分D)5部を配合した組成物(6)(比較例
8)を実施例1と同じ手順により調製した。
【0049】組成物(5)と(6)を用いて実施例1と
同様にして硬化試験をしたところ、ガラス板間への流入
は見られるものの全く硬化してなく液状のままであるこ
とが判明した。
【0050】(実施例4)ビスフェノールAジグリシジ
ルエーテル(成分A)100部、ジシアンジアミド(成分
B)5部、固体エポキシ化合物アミンアダクト(味の素
ファインテクノ(株)製品、PN-40J、平均粒径約4μm)
(成分C)10部、メチレン−ビス(p−N’,N’−ジ
メチルウレイドフェニル、前出)(成分D)10部、平均
粒径3μmのガラスビーズ20部、アエロジル(日本アエロ
ジル(株)製品、RY-200)1部および顔料カーボン1部
から実施例1と同じ手順により一液性エポキシ樹脂組成
物(IV)を調製した。
【0051】次に小型リレーケースを用いて硬化試験を
行った。小型リレーケースの外径寸法は29.90mm×12.62
mm×15.00mmで厚さは0.50mmであり、その蓋の寸法は28.
88mm×11.60mmで厚さは1.94mmである。従ってケース内
側と蓋との隙間は平均約10μmである。
【0052】マルチニードル方式のディスペンサーを用
いて約0.15gの組成物(IV)を隙間上に滴下した後加熱
炉中に静置し、100℃で1時間加熱した。
【0053】加熱硬化後のリレーケースを解体して調べ
た結果、組成物(IV)は隙間に十分流入し硬化は完全で
あり密着性も優れていた。
【0054】(比較例9、10)実施例4における成分C
と成分Dを併用しないでそれぞれ単独に配合して固体エ
ポキシ化合物アミンアダクト(成分C)10部を配合した
一液性エポキシ樹脂組成物(7)(比較例9)とメチレン
−ビス(p−N’,N’−ジメチルウレイドフェニル)
(成分D)10部を配合した組成物(8)(比較例10)を実
施例1と同じ手順により調製した。
【0055】組成物(7)と(8)を用いて実施例4と
同様にして小型リレーケースでの硬化試験をしたとこ
ろ、ケースと蓋との隙間への流入は見られたものの全く
硬化してなく液状のままであった。
【0056】(実施例5)ビスフェノールAジグリシジ
ルエーテル(成分A)90部と7,12−ジメチル−7,
11−オクタデカジエン−1,18−ジカルボン酸ジグ
リシジルエステル(製品名:IPU-22G、岡村製油(株)
製品、数平均分子量=480)(成分E)10部をエポキシ樹
脂成分とする以外は実施例4と同じ成分B、CとDおよ
び配合剤と添加剤を同量使用して実施例1と同じ手順に
より一液性エポキシ樹脂組成物(V)を調製した。
【0057】次にこの組成物(V)を用いて実施例4と
同様にして小型リレーケースを用いて硬化試験を行っ
た。加熱硬化後の小型リレーケースを解体して調べた結
果、組成物(V)は小型リレーケースの隙間に十分流入
し、硬化は完全であり密着性も優れていた。
【0058】別に、この組成物(V)を用いて硬化試験
と同様にして小型リレーケースを封止した。この封止し
た小型リレーケースの耐熱衝撃性を測定したところ、冷
熱サイクル試験300回に合格した。
【0059】なお、耐熱衝撃性の測定は次のようにして
行った。即ち、封止した小型リレーケースをJIS C2105
に準じて-40℃×30分間⇔80℃×30分間の冷熱サイクル
試験を実施し、10サイクルおきに70℃に保温したフルオ
リナート(FLUORINERT FC3283、住友スリーエム(株)
製品、沸点=123〜133℃)中に1分間浸漬し、小型リレ
ーケースより気泡が発生するようになるまでの冷熱サイ
クル回数を測定し耐熱衝撃性を判定した。
【0060】(実施例6)ビスフェノールAジグリシジ
ルエーテル(成分A)90部とポリサルファイド変性エポ
キシ樹脂(商品名:FLEP-10、東レチオコール(株)製
品、エポキシ当量=360)(成分E)10部をエポキシ樹
脂成分とする以外は実施例4と同じ成分B、CとDおよ
び配合剤と添加剤を同量使用して、実施例1と同じ手順
により一液性エポキシ樹脂組成物(VI)を調製した。
【0061】次にこの組成物(VI)を用いて実施例4と
同様にして小型リレーケースを用いて硬化試験を行っ
た。加熱硬化後の小型リレーケースを解体して調べた結
果、組成物(VI)は小型リレーケースの隙間に十分流入
し、硬化は完全であり密着性も優れていた。
【0062】別に、この組成物(VI)を用いて硬化試験
と同様にして小型リレーケースを封止した。この封止し
た小型リレーケースの耐熱衝撃性を実施例5と同様の手
順で測定したところ、冷熱サイクル試験300回に合格し
た。
【0063】(比較例11)実施例4において調製した一
液性エポキシ樹脂組成物(IV)を用いて実施例4の硬化
試験と同様にして小型リレーケースを封止した。この封
止した小型リレーケースの耐熱衝撃性を実施例5と同様
の手順で測定したところ冷熱サイクル試験の回数は30回
であった。実施例5(組成物(V))および実施例6(組
成物(VI))と比較例11(実施例4の組成物(IV))と比
較すれば、成分Eである長鎖脂肪族ジカルボン酸ジグリ
シジルエステルまたはポリサルファイド変性エポキシ樹
脂の配合により耐熱衝撃性が大幅に増大したことがわか
る。
【0064】(実施例7)実施例1における一液性エポ
キシ樹脂組成物(I)のビスフェノールAジグリシジル
エーテル(成分A)100部に対して、反応性希釈剤であ
るオレイン酸グリシジルエステルとリノール酸グリシジ
ルエステルの混合物(商品名:CR-G、岡村製油(株)製
品)を10重量%添加する以外は実施例1と同一成分を用
い、同じ手順で一液性エポキシ樹脂組成物(VII)を調製
した。
【0065】この組成物(VII)の粘度を測定したところ
9850mPa・sであった。一方、組成物(I)の粘度は30400mP
a・sであり、反応性希釈剤(商品名:CR-G、上記)を添
加することにより粘度が68%も低下した。なお、粘度は
JIS K6833の方法に従い、E型粘度計(東機産業(株)
社製、80U型)を使用してコーンローター角度1°34’、
回転数0.5rpm、温度25℃の条件で測定した。
【0066】次に、組成物(VII)を用いて実施例1と同
様にして硬化試験をしたところ、組成物(VII)はガラス
板間に流入し完全に硬化していることが判明した。その
厚さは0.1μm以下であった。
【0067】
【発明の効果】本発明の一液性エポキシ樹脂組成物は保
存安定性が良好なので室温でも保存できる。本発明の一
液性エポキシ樹脂組成物は、流動性が良好であり、数μ
m以下、さらには1μm以下の極めて狭い隙間を有する各
種部品に対して流動性良好なため容易に流入、封入、注
入などができ、更に加熱により速やかに完全硬化する。
その硬化物は密着性、封止性、耐熱性などに優れ、かつ
ガス発生の低い各種製品を提供することができ、特に電
気、電子部品の小型化、軽量化、高密度化の要求を満足
させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邊 裕二 京都府京都市下京区塩小路通堀川東入南不 動堂町801番地 オムロン株式会社内 Fターム(参考) 4J036 AA01 AA04 AA05 AA06 AB01 AB05 AB09 AB18 AC01 AC06 AC11 AD01 AD08 AD09 AD15 AE07 DA01 DA04 DB17 DC05 DC25 DC31 DC35 DC38 DC41 DD04 DD09 JA07 KA01 4M109 AA01 EA03 EB02 EB04 EB18 EC05 EC20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液状芳香族系多官能エポキシ樹脂または
    /および液状水添芳香族系多官能エポキシ樹脂(成分
    A)、固体エポキシ樹脂硬化剤(成分B)、固体エポキ
    シ化合物アミンアダクトまたは/および固体脂肪族ポリ
    アミン変性体(成分C)および固体芳香族系尿素化合物
    または/および固体脂環族系尿素化合物(成分D)から
    なる一液性エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 長鎖脂肪族ジカルボン酸ジグリシジルエ
    ステル、長鎖脂肪族グリコールジグリシジルエーテル、
    ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、およ
    び主鎖がポリサルファイド骨格で両末端にエポキシ基を
    有するポリサルファイド変性エポキシ樹脂からなるグル
    ープから選択される1種類以上の化合物(成分E)をさ
    らに含有する請求項1記載の一液性エポキシ樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 成分Eが、数平均分子量400〜800である
    長鎖脂肪族ジカルボン酸ジグリシジルエステルまたは/
    および数平均分子量1500〜5000であるポリサルファイド
    変性エポキシ樹脂であることを特徴とする、請求項2記
    載の一液性エポキシ樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 固体エポキシ樹脂硬化剤(成分B)がジ
    シアンジアミド、脂肪族系ジカルボン酸ジヒドラジド、
    芳香族系ジカルボン酸ジヒドラジドおよび複素環族系ジ
    カルボン酸ジヒドラジドからなる群より選ばれる1種類
    以上の硬化剤であることを特徴とする請求項1〜3いず
    れかに記載の一液性エポキシ樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 固体芳香族系尿素化合物(成分D)が1
    個以上のN’,N’−ジアルキルウレイド基またはN’
    −シクロアルキルウレイド基を有し、置換基を有してい
    てもよい芳香族化合物および固体脂環族系尿素化合物が
    N’,N’−ジアルキルウレイド基またはN’−シクロ
    アルキルウレイド基を有する脂環族化合物からなる群よ
    り選ばれる1種類以上の化合物であることを特徴とする
    請求項1〜4いずれかに記載の一液性エポキシ樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 さらに、反応性希釈剤としてモノエポキ
    シ化合物を成分Aに対して10重量%以下含有する、請求
    項1〜5いずれかに記載の一液性エポキシ樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 充填剤、着色剤、難燃剤、光安定剤、補
    強剤、増粘剤、粘度調整剤、揺変性付与剤またはそれら
    の混合物を含む、請求項1〜6いずれかに記載の一液性
    エポキシ樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7いずれかに記載の一液性エ
    ポキシ樹脂組成物が硬化構成されていることを特徴とす
    る、可動部を有する電気、電子部品。
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