JP2001219668A - 平版印刷用版下シート - Google Patents

平版印刷用版下シート

Info

Publication number
JP2001219668A
JP2001219668A JP2000035333A JP2000035333A JP2001219668A JP 2001219668 A JP2001219668 A JP 2001219668A JP 2000035333 A JP2000035333 A JP 2000035333A JP 2000035333 A JP2000035333 A JP 2000035333A JP 2001219668 A JP2001219668 A JP 2001219668A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
metal
lithographic printing
resin
plate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000035333A
Other languages
English (en)
Inventor
Kiyosuke Kasai
清資 笠井
Eiichi Kato
栄一 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000035333A priority Critical patent/JP2001219668A/ja
Publication of JP2001219668A publication Critical patent/JP2001219668A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 印刷機の版胴上における平版印刷版の版伸
び、位置ずれを確実に防止し、これにより金属以外の材
料を支持体とする平版印刷版を、多色、多数枚の印刷に
も適用可能とし、厳しい使用条件下でも優れた耐久性を
有する平版印刷版用版下シートを得る。 【解決手段】 初期弾性率が350kgf/mm2以上
の支持体の少なくとも片面に、粒径1〜100μmの粒
子、並びに金属原子が酸素原子または窒素原子を介して
繋がった結合含有樹脂と、該樹脂と水素結合を形成し得
る基を含有する有機ポリマーとの複合体を含有する結着
樹脂から主としてなる凹凸形状を有する平版印刷用版下
シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印刷機の版胴上に
おける平版印刷版の位置ずれを防止するための、平版印
刷版用版下シートに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷用印刷機においては、
平版印刷版を版胴に巻き付けて機械的に固定し、印刷を
行う。従来、平版印刷版の支持体としては、金属、プラ
スチックフィルム、紙等の材料からなるものが用いられ
ている。金属以外の材料を支持体とする平版印刷版は、
金属を支持体とする平版印刷版に比較して、取り扱い適
性に優れる反面、寸法安定性に欠ける。平版印刷では一
般に、版胴とブランケット胴の周速が異なり、版を引き
伸ばすような力が印刷中にかかり続ける。そのために、
金属以外の材料を支持体とする平版印刷版では、印刷
中、版が伸びたり、位置ずれを起こし、精密な位置精度
が要求されるフルカラー印刷は困難とされていた。
【0003】そこで、解決手段として、版を版胴上にス
プレー糊を用いて固定する方法(特開昭56−1125
8号)や粘着材を用いて固定する方法(特公平7−42
5号、特開昭61−104853号等)が提案されてい
るが、一度版胴に固定してしまうと、後に必要になる位
置合わせの微調整が困難になり、実際にこのような方法
は有効ではない。
【0004】さらに、金属以外の材料を支持体とする平
版印刷版では、支持体が軟らかいために版胴の先端での
位置合わせ、くわえの固定が難しいという問題も生じ
る。その解決策として、位置合わせを容易にする、多点
ピンを設けた位置合わせ方法(特開平10−24555
号)が提案されているが、版が軟らかいことに起因する
問題には、本質的に対応できない。
【0005】初期弾性率が300kgf/mm2以下の
シート材を用いることによって高速印刷時の位置精度や
寸法精度を改良し、更に化学的又は物理的に表面処理し
たり、微粒子をシート状素材の表面に固着して微細な凹
凸面(マット面)を設けることによって版胴と刷版の間
の摩擦抵抗を減少させて刷版の自在な滑動を確保し、見
当調節の実行を円滑にする版掛け方法(特開平11−2
0130号)が提案されている。しかし、この技術によ
り位置合わせやくわえの固定が可能になっても、版伸び
や位置ずれを充分に抑制することは出来ないことがわか
った。
【0006】一方、シート状基体の表面に特定の微少突
起を分布形成した、凹凸表面を有する版下シート(特開
平11−59012号)が提案されている。この版下シ
ートは平版印刷版裏面に食い込むことで平版印刷版の版
伸びを抑制し、さらには、表面の凹凸の効果で、微妙な
位置合わせが可能になるが、この版下シートであって
も、版下シートを繰り返し使用したり、高い印圧で印刷
した場合に、版下シート表面の凹凸が破壊されやすく、
厳しい使用条件下での耐久性に問題を有している。特に
繰り返し使用が要求される版下シートでは、この問題は
大きい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、金属以外
の材料を支持体とする平版印刷版でフルカラー印刷を行
う場合、版のび防止、版の位置合わせ、繰り返し使用で
の耐久性等をすべて満足する技術がなく、このような平
版印刷版でのフルカラー印刷は極少部数印刷に限られる
という問題があった。
【0008】従って本発明の目的は、印刷機の版胴上に
おける平版印刷版の版伸び、位置ずれを確実に防止する
ことができ、これにより例えば金属以外の材料を支持体
とする平版印刷版を、多色、多数枚の印刷にも適用可能
とするとともに、厳しい使用条件下での耐久性を満足す
ることができる平版印刷版用版下シートを提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、以下の
(1)〜(3)の構成により達成されることが見出され
た。
【0010】(1)初期弾性率が350kgf/mm2
以上の支持体の少なくとも片面に凹凸形状を有する平版
印刷用版下シートにおいて、該凹凸形状が、粒径1〜1
00μmの粒子、並びに金属原子が酸素原子または窒素
原子を介して繋がった結合含有樹脂と該樹脂と水素結合
を形成し得る基を含有する有機ポリマーとの複合体を含
有する結着樹脂から主として成ることを特徴とする平版
印刷用版下シート。
【0011】(2)前記金属原子が酸素原子を介して繋
がった結合含有の樹脂が、下記一般式(I)で示される
少なくとも1種の金属化合物の加水分解重縮合により得
られるポリマーであることを特徴とする上記(1)記載
の平版印刷版用版下シート。一般式(I) (R0n
M(Y)x-n(一般式(I)中、R0は水素原子、炭化水
素基またはヘテロ環基を表し、Yは反応性基を表し、M
は3〜6価の金属を表し、xは金属Mの価数を表し、n
は0、1、2、3又は4を表す。但しx−nは2以上で
ある。)
【0012】(3)前記支持体の凹凸形状の中心線平均
粗さRaが2〜20μmである上記(1)又は(2)記
載の平版印刷用版下シート。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の平版印刷用版下シート
は、支持体が350kgf/mm2以上の初期弾性率を
有すること及び支持体の片面に、粒径1〜100μmの
粒子並びに特定の樹脂複合体から主としてなる凹凸形状
を有することが特徴である。
【0014】以下に、本発明の版下シートについて詳し
く説明する。版下シートの支持体は、350kgf/m
2以上の初期弾性率を有するシート状のものであれば
よく、例えば金属板、樹脂シート、金属−樹脂複合シー
ト等が用いられ、好ましくはアルミニウム板、亜鉛板、
チタン板、ステンレス等の金属板、銅−アルミニウム
板、銅−ステンレス板、クロム−銅板等のパイメタル
板、クロム−銅−アルミニウム、クロム−鉛−鉄板、ク
ロム−銅−ステンレス板等のトライメタル板、PETシ
ート、PEシート、PPシート、ポリエステルシート、
ポリイミドシート、ポリアミドシート、アクリル樹脂シ
ート等の樹脂シート、アルミニウム−PETシート、ア
ルミニウム−PEシート、アルミニウム−ポリエステル
シート、チタン−PETシート、チタン−PEシート等
の金属−樹脂複合シートで、より好ましくはアルミニウ
ム板、ステンレス等の金属板、PETシート、PEシー
ト等の樹脂シート、アルミニウム−PETシート、アル
ミニウム−ポリエステルシート等の金属−樹脂複合シー
トが挙げられる。支持体の厚さは50〜250μm程度
が適当である。初期弾性率の測定は、JIS K712
7に従って行うことができる。
【0015】本発明の版下シート表面に凹凸形状を形成
するのに用いる粒子は、粒径1〜100μmの粒子であ
る。好ましくは平均粒径1〜80μmであり、より好ま
しくは平均粒径1〜50μmである。本発明の粒子の素
材は特に限定されず、無機材料、有機材料、有機無機複
合材料等よりなる粒子である。平版印刷版の支持体の裏
面より硬度の大きな粒子が好ましく用いられる。
【0016】無機粒子としては、例えば金属粉体、金属
酸化物、金属窒化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属
炭化物及びこれらの複合金属化合物等が挙げられ、好ま
しくはガラス、SiO2、TiO2、ZnO、Fe23
ZrO2、SnO2等の酸化物及びZnS、CuS等の硫
化物である。
【0017】有機粒子としては、例えば合成樹脂粒子、
天然高分子粒子等が挙げられ、好ましくはアクリル樹
脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキ
サイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミ
ン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリイミド、カルボキシメチルセ
ルロース、ゼラチン、デンプン、キチン、キトサン等で
あり、より好ましくはアクリル樹脂、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレン等の合成樹脂粒子である。
【0018】有機無機複合粒子としては、例えば、上記
の無機粒子及び有機粒子を形成する材料の少なくとも2
種以上の複合物等が挙げられ、好ましくは、ガラス、S
iO 2、TiO2、ZnO、Fe23、ZrO2、SnO2
等の酸化物及び/又はZnS、CuS等の硫化物とアク
リル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレ
ンイミン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレア、
ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、カルボキシメ
チルセルロース、ゼラチン、デンプン、キチン、キトサ
ン等の複合物等であり、より好ましくは、SiO2、T
iO2、ZnO、Fe23、ZrO2、SnO2等の酸化
物と水素結合性の官能基を有するアクリル樹脂、ポリエ
チレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエ
チレンイミン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステ
ル、ポリアミド、ポリイミド、カルボキシメチルセルロ
ース、ゼラチン、デンプン、キチン、キトサン等の複合
物等である。
【0019】本発明では、このような凹凸形状を形成す
る粒子を分散、結着する結着樹脂として、金属原子が酸
素原子または窒素原子を介して繋がった結合含有の樹脂
(以下、金属含有樹脂とも称する)と、該樹脂と水素結
合を形成し得る基を含有する有機ポリマーとの複合体を
用いる。「金属含有樹脂と有機ポリマーとの複合体」と
は、ゾル状物質及びゲル状物質を含む意味に用いる。
【0020】金属含有樹脂は、「酸素原子(窒素原子)
−金属原子−酸素原子(窒素原子)」から成る結合を主
として含有するポリマーを示す。
【0021】本発明の金属含有樹脂の中で、酸素原子−
金属原子−酸素原子の結合を有する樹脂は、下記一般式
(I)で示される金属化合物の加水分解重縮合によって
得られるポリマーであることが好ましい。ここで、加水
分解重縮合とは、反応性基が酸性ないし塩基性条件下で
加水分解、縮合を繰り返し、重合していく反応である。
【0022】一般式(I) (R0)nM(Y)x-n 〔一般式(I)中、R0は水素原子、炭化水素基または
ヘテロ環基を表し、Yは反応性基を表し、Mは3〜6価
の金属を表し、xは金属Mの価数を表し、nは0、1、
2、3又は4を表す。但しx−nは2以上である。〕
【0023】次に、一般式(I)で示される金属化合物
について詳しく説明する。一般式(I)中のR0は、好
ましくは、炭素数1〜12の置換されてもよい直鎖状も
しくは分岐状のアルキル基{例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシ
ル基等;これらの基に置換され得る基としては、ハロゲ
ン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子)、ヒドロキ
シ基、チオール基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ
基、エポキシ基、−OR′基(R′は炭化水素基、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキ
シル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、プロペニ
ル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、2−
ヒドロキシエチル基、3−クロロプロピル基、2−シア
ノエチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、2−ブ
ロモエチル基、2−(2−メトキシエチル)オキシエチ
ル基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−カルボキ
シプロピル基、ベンジル基等を示す)、−OCOR′
基、−COOR′基、−COR′基、−N(R″)
(R″)(R″は、水素原子又は前記R′と同一の内容
を表し、各々同じでも異なってもよい)、−NHCON
HR′基、−NHCOOR′基、−Si(R′)3基、
−CONHR″基、−NHCOR′基等が挙げられる。
これらの置換基はアルキル基中に複数置換されてもよ
い)}、
【0024】炭素数2〜12の置換されてもよい直鎖状
又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペ
ニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オ
クテニル基、デセニル基、ドデセニル基等、これらの基
に置換され得る基としては、前記アルキル基に置換され
得る基と同一の内容のものが挙げられ、また複数置換さ
れていてもよい)、炭素数7〜14の置換されてもよい
アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3
−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチ
ルエチル基等;これらの基に置換され得る基としては、
前記アルキル基に置換され得る基と同一の内容のものが
挙げられ、また複数置換されてもよい)、炭素数5〜1
0の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル
基、2−シクロペンチルエチル基、ノルボニル基、アダ
マンチル基等、これらの基に置換され得る基としては、
前記アルキル基の置換基と同一の内容のものが挙げら
れ、また複数置換されてもよい)、炭素数6〜12の置
換されてもよいアリール基(例えばフェニル基、ナフチ
ル基で、置換基としては前記アルキル基に置換され得る
基と同一の内容のものが挙げられ、また複数置換されて
もよい)、
【0025】又は、窒素原子、酸素原子及びイオウ原子
から選ばれる少なくとも1種の原子を合有する縮環して
もよいヘテロ環基(例えばヘテロ環としては、ピラン
環、フラン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール
環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペ
リジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾ
オキサゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等
で、置換基を含有してもよい。置換基としては、前記ア
ルキル基中の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又
複数置換されてもよい)を表す。
【0026】反応性基Yは、好ましくは、ヒドロキシ
基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又
はヨウ素原子を表す)、−OR1基、−OCOR2基、−
CH(COR3)(COR4)基、−CH(COR3
(COOR4)基又は−N(R5)(R6)基を表す。
【0027】−OR1基において、R1は炭素数1〜10
の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プ
ロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル
基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒドロキシエチル
基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル
基、2−(メトキシエチルオキシ)エチル基、2−
(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メトキシプ
ロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオキシプロ
ピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル基、シク
ロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシクロヘキシ
ル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネ
チル基、ジメトキシベンジル基、メチルベンジル基、ブ
ロモベンジル基等が挙げられる)を表す。
【0028】−OCOR2基において、好ましくはR
2は、R1と同一の内容を表し、好ましくは脂肪族基又は
炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(芳香族基
としては、前記R0中のアリール基で例示したと同様の
ものが挙げられる)を表す。
【0029】−CH(COR3)(COR4)基及び−C
H(COR3)(COOR4)基において、R3は炭素数
1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基等)又はアリール基(例えば、フェ
ニル基、トリル基、キシリル基等)を表し、R4は炭素
数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、
炭素数7〜12のアラルキル基(例えば、ベンジル基、
フェネチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル
基、メトキシベンジル基、カルボキシベンジル基、クロ
ロベンジル基等)又はアリール基(例えば、フェニル
基、トリル基、キシリル基、メシチル基、メトキシフェ
ニル基、クロロフェニル基、カルボキシフェニル基、ジ
エトキシフェニル基等)を表す。
【0030】また−N(R5)(R6)基において、R5
及びR6は、互いに同じでも異なってもよく、各々、好
ましくは水素原子又は炭素数1〜10の置換されてもよ
い脂肪族基(例えば、前記の−OR1基のR1と同様の内
容のものが挙げられる)を表す。より好ましくは、R5
とR6の炭素数の総和が12ヶ以内である。
【0031】金属Mは、好ましくは、遷移金属、希土類
金属、周期表III〜V族の金属が挙げられる。より好ま
しくはAl、Si、Sn、Ge、Ti、Zr等が挙げら
れ、更に好ましくは、Al、Si、Ti、Zr等が挙げ
られる。特にSiが好ましい。
【0032】一般式(I)で示される金属化合物の具体
例としては、以下のものが挙げられるが、これに限定さ
れるものではない。
【0033】メチルトリクロルシラン、メチルトリブロ
ムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチル
トリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エ
チルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシ
ラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルト
リクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−
プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキ
シシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n
−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリ
クロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘ
キシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシ
シラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−
ヘキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロ
ルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルト
リメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n
−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt
−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラ
ン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデ
シルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキ
シシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラ
ン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニ
ルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ
t−ブトキシシラン、
【0034】テトラクロルシラン、テトラブロムシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジ
メトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、
ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラ
ン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシ
シラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチル
ジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェ
ニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキ
シシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリブロムヒド
ロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポキシ
ヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニル
トリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシ
ラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフ
ルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエト
キシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、
【0035】γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリt−ブトキシンラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラ
ン、
【0036】Ti(OR)4(Rはメチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、
TiCl4、Zn(OR)2、Zn(CH3COCHCOC
3) 2、Sn(OR)4、Sn(CH3COCHCOCH3)
4、Sn(OCOR)4、SnCl4、Zr(OR)4、Zr
(CH3COCHCOCH3)4、Al(OR)3。上記金属
化合物は、単独乃至組み合わせて金属含有樹脂の製造に
用いられる。
【0037】窒素原子−金属原子−窒素原子の結合を有
する金属含有樹脂は、例えばポリシラザンが挙げられ
る。
【0038】次に、本発明に供される有機ポリマーにつ
いて説明する。本発明の有機ポリマーは、金属含有樹脂
と水素結合を形成し得る基(以下、特定の結合基ともい
う)を含有する。本発明の有機ポリマーにおいて、特定
の結合基としては、好ましくは、アミド結合(カルボン
酸アミド結合及びスルホンアミド結合を含む)、ウレタ
ン結合及びウレイド結合から選ばれる少なくとも一種の
結合及び水酸基を挙げることができる。
【0039】有機ポリマーは、繰り返し単位成分とし
て、本発明の特定の結合基をポリマーの主鎖及び/又は
側鎖に含有するものが挙げられる。好ましくは、繰り返
し単位成分として、−N(R11)CO−、−N(R11
SO2−、−NHCONH−及び−NHCOO−から選
ばれる少なくとも1種の結合がポリマーの主鎖及び/又
は側鎖に存在する成分、及び/又は−OH基を含有する
成分が挙げられる。上記アミド結合中のR11は、水素原
子又は有機残基を表し、有機残基としては、一般式
(I)中のR0における炭化水素基及びヘテロ環基と同
一の内容のものが挙げられる。
【0040】ポリマー主鎖に本発明の特定の結合基を含
有するポリマーとしては、−N(R 11)CO−結合また
は−N(R11)SO2−結合を有するアミド樹脂、−N
HCONH−結合を有するウレイド樹脂、−NHCOO
−結合を含有するウレタン樹脂が挙げられる。
【0041】アミド樹脂製造に供されるジアミン類とジ
カルボン酸類又はジスルホン酸類、ウレイド樹脂に用い
られるジイソシアナート類、ウレタン樹脂に用いられる
ジオール類としては、例えば高分子学会編「高分子デー
タハンドブック−基礎編−」第I章(株)培風舘刊(1
986年)、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブッ
ク」大成社刊(1981年)等に記載されている化合物
を用いることができる。
【0042】また、他のアミド結合を有するポリマーと
して、下記一般式(II)で示される繰り返し単位含有の
ポリマー、ポリアルキレンイミンのN−アシル化体また
はポリビニルピロリドンとその誘導体が挙げられる。
【0043】
【化1】
【0044】式(II)中、Z1は−CO−、−SO2−又
は−CS−を表す。R20は式(I)中のR0と同一の内
容のものを表す。r1は水素原子又は炭素数1〜6のア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基等)を表す。r1は同
じでも異なってもよい。pは2又は3の整数を表す。
【0045】一般式(II)で示される繰り返し単位を含有
するポリマーのうち、Z1が−CO−結合を表し、pが
2を表すポリマーは、置換基を有していてもよいオキサ
ゾリンを触媒の存在下で開環重合することにより得られ
る。触媒としては、例えば、硫酸ジメチル、p−トルエ
ンスルホン酸アルキルエステルなどの硫酸エステルやス
ルホン酸エステル;ヨウ化アルキル(例えばヨウ化メチ
ル)などのハロゲン化アルキル;フリーデルクラフツ触
媒のうち金属フッ素化物;硫酸、ヨウ化水素、p−トル
エンスルホン酸などの酸や、これらの酸とオキサゾリン
との塩であるオキサゾリニウム塩などが使用できる。な
お、このポリマーは単独重合体であってもよく、共重合
体であってもよい。また、他のポリマーにこのポリマー
がグラフトした共重合体であってもよい。
【0046】オキサゾリンの具体例としては、例えば、
2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2
−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキ
サゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−
ブチル−2−オキサゾリン、2−ジクロロメチル−2−
オキサゾリン、2−トリクロロメチル−2−オキサゾリ
ン、2−ペンタフルオロエチル−2−オキサゾリン、2
−フェニル−2−オキサゾリン、2−メトキシカルボニ
ルエチル−2−オキサゾリン、2−(4−メチルフェニ
ル)−2−オキサゾリン、2−(4−クロロフェニル)
−2−オキサゾリンなどが挙げられる。好ましいオキサ
ゾリンには、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキ
サゾリン、2−エチル−2−オキサゾリンなどが含まれ
る。このようなオキサゾリンのポリマーは一種又は二種
以上使用できる。
【0047】一般式(II)で示される繰り返し単位を有す
る他のポリマーについても、オキサゾリンの代わりにチ
アゾリン、4,5−ジヒドロ−1,3−オキサジン又は
4,5−ジヒドロ−1,3−チアジンを用いて同様に得
ることができる。
【0048】ポリアルキレンイミンのN−アシル化体と
しては、カルボン酸ハライド類との高分子反応で得られ
る−N(CO−R20)−を含むカルボン酸アミド体、又
はスルホニルハライド類との高分子反応で得られる−N
(SO2−R20)−を含むスルホンアミド体(ここで、
20は上記式(II)におけるR20と同義である)が挙げら
れる。
【0049】また、ポリマーの側鎖に本発明の特定の結
合基を含有するポリマーとしては、少なくとも該特定の
結合基から選ばれた結合基の少なくとも1種を含有する
成分を主成分として含有するものが挙げられる。このよ
うな成分としては、例えば、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、クロトンアミド、ビニル酢酸アミドあるいは
以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は、これらに
限定されるものではない。
【0050】
【化2】
【0051】
【化3】
【0052】一方、水酸基含有の本発明の有機ポリマー
としては、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合
成高分子のいずれでもよく、具体的には小竹無二雄監修
「大有機化学19、天然高分子化合物I」朝倉書店刊
(1960年)、経営開発センター出版部編「水溶性高分
子・水分散型樹脂総合技術資料集」経営開発センター出
版部刊(1981年)、長友新治「新・水溶性ポリマー
の応用と市場」(株)シーエムシー刊(1988年)、
「機能性セルロースの開発」(株)シーエムシー刊(1
985年)等に記載のものが挙げられる。
【0053】例えば、天然及び半合成の高分子として
は、セルロース、セルロース誘導体(セルロースエステ
ル類;硝酸セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、コハク酸セルロース、酪
酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸酪酸セル
ロース、酢酸フタル酸セルロース等、セルロースエーテ
ル類;メチルセルロース、エチルセルロース、シアノエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシ
エチルセルロース等)、デンプン、デンプン誘導体(酸
化デンプン、エステル化デンプン類;硝酸、硫酸、リン
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸等のエステル
化体、エーテル化デンプン類;メチル化、エチル化、シ
アノエチル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシメチ
ル化等の誘導体)、アルギン酸、ペクチン、カラギーナ
ン、タマリンドガム、天然ガム類(アラビアガム、グア
ーガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、キ
サンタンガム等)、プルラン、デキストラン、カゼイ
ン、ゼラチン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0054】合成高分子としては、例えばポリビニルア
ルコール、ポリアルキレングリコール(ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、(エチレングリ
コール/プロピレングリコール)共重合体等)、アリル
アルコール共重合体、水酸基を少なくとも1種含有のア
クリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合
体もしくは共重合体(エステル置換基として、例えば2
−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、
2,3−ジヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2
−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル基、3−ヒド
ロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピル基、
ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、
等)、アクリルアミド又はメタクリルアミドのN−置換
体の重合体もしくは共重合体(N−置換基として、例え
ば、モノメチロール基、2−ヒドロキシエチル基、3−
ヒドロキシプロピル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチ
ル)エチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシ
ペンチル基、等)等が挙げられる。但し、合成高分子と
しては、繰り返し単位の側鎖置換基中に少なくとも1個
の水酸基を含有するものであれば、特に限定されるもの
ではない。
【0055】本発明に供される有機ポリマーの重量平均
分子量は、好ましくは103〜106、より好ましくは5
×103〜4×105である。
【0056】本発明の金属含有樹脂と有機ポリマーとの
複合体において、金属含有樹脂と有機ポリマーの割合は
広い範囲で選択できるが、金属含有樹脂/有機ポリマー
の質量比で10/90〜90/10、より好ましくは2
0/80〜80/20である。
【0057】本発明の複合体を含有する結着樹脂は、例
えば、前記金属化合物の加水分解重縮合により生成した
金属含有樹脂の場合、そのヒドロキシル基と、有機ポリ
マー中の前記特定の結合基とが水素結合作用により均一
な有機、無機ハイブリッドを形成し、相分離することな
くミクロ的に均質となる。金属含有樹脂に炭化水素基が
存在する場合にはその炭化水素基に起因して、有機ポリ
マーとの親和性がさらに向上するものと推定される。本
発明の複合体は、有機無機の両特性を有するため、無機
系あるいは有機系粒子のいずれに対しても強い相互作用
を有し、結着樹脂が粒子に強く吸着する特徴がある。本
発明の複合体は成膜性に優れている。
【0058】本発明の金属含有樹脂と有機ポリマーとの
複合体は、前記金属化合物を加水分解重縮合し、有機ポ
リマーと混合することにより製造するか、または有機ポ
リマーの存在下、前記金属化合物を加水分解重縮合する
ことにより製造される。好ましくは、有機ポリマーの存
在下、前記金属化合物をゾル−ゲル法により加水分解重
縮合することにより本発明の有機・無機ポリマー複合体
を得ることができる。生成した有機・無機ポリマー複合
体において、有機ポリマーは、金属化合物の加水分解重
縮合により生成したゲルのマトリックス(すなわち無機
金属酸化物の三次元微細ネットワーク構造体)中に均一
に分散している。
【0059】上記好ましい方法としてのゾル−ゲル法
は、従来公知のゾル−ゲル法を用いて行なうことができ
る。具体的には、「ゾル−ゲル法による薄膜コーティン
グ技術」(株)技術情報協会(刊)(1995年)、作
花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社
(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法によ
る機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(19
92年)等の成書に詳細に記載の方法に従って実施でき
る。
【0060】塗布液は水系溶媒が好ましく、更には塗液
調整時の沈殿抑制による均一液化のために水溶性溶媒を
併用する。水溶性溶媒としては、アルコール類(メタノ
ール、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリ
コール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル等)、エ
ーテル類(テトラヒドロフラン、エチレングリコールジ
メチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテ
ル、テトラヒドロピラン、等)、ケトン類(アセトン、
メチルエチルケトン、アセチルアセトン等)、エステル
類(酢酸メチル、エチレングリコールモノメチルモノア
セテート等)、アミド類(ホルムアミド、N−メチルホ
ルムアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等)等
が挙げられ、1種あるいは2種以上を併用してもよい。
【0061】更に、一般式(I)で示される前記の金属
化合物の加水分解及び重縮合反応を促進するために、酸
性触媒又は塩基性触媒を併用することが好ましい。触媒
は、酸または塩基性化合物をそのままか、あるいは水ま
たはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以
下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒という)を用いる。
そのときの濃度については特に限定しないが、濃度が濃
い場合は加水分解及び重縮合速度が速くなる傾向があ
る。但し、濃度の濃い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液
中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒の濃
度は1N(mol/L)(水溶液での濃度換算)以下が望ま
しい。
【0062】酸性触媒または塩基性触媒の種類は特に限
定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合
には、焼結後に触媒結晶粒中にほとんど残留しないよう
な元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触
媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、
亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸
や酢酸などのカルボン酸、構造式RCOOHのRを他元
素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベン
ゼンスルホン酸などのスルホン酸など、塩基性触媒とし
ては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルア
ミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0063】結着樹脂の割合は、一般に粒子100重量
部に対して、結着樹脂が8〜50重量部の割合であり、
好ましくは10〜30重量部の割合である。この範囲に
おいて、本発明の効果が有効に発現する。
【0064】粒子と結着樹脂の混合物には、架橋剤を添
加してもよい。架橋剤としては、通常架橋剤として用い
られる化合物を挙げることができる。具体的には、山下
晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブック」大成社刊(1
981年)、高分子学会編「高分子データハンドブッ
ク、基礎編」培風舘(1986年)等に記載されている
化合物を用いることができる。
【0065】例えば、塩化アンモニウム、金属イオン、
有機過酸化物、ポリイソシアナート系化合物(例えばト
ルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシ
アナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポ
リメチレンフェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジ
イソシアナート、イソホロンジイソシアナート、高分子
ポリイソシアナート等)、ポリオール系化合物(例え
ば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプロピレング
リコール、ポリオキシエチレングリコール、1,1,1
−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン系化合物
(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシプロピル
化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、変性脂肪
族ポリアミン類等)、ポリエポキシ基含有化合物及びエ
ポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著「新エポキシ樹脂」昭
晃堂1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」日
刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物
類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著
「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年
刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)クリレー
ト系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編
「オリゴマー」講談社(1976年刊)、大森英三「機
能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)
等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0066】本発明の版下シートの凹凸形状を有する表
面は、その中心線平均粗さRaが好ましくは2〜20μ
m、より好ましくは2〜15μm、更に好ましくは2〜
10μmである。版下シートの支持体表面に凹凸形状を
形成するには、粒子を結着樹脂に分散させた分散物を塗
布、乾燥させる方法、結着樹脂膜を表面に形成した後、
粒子を機械的圧力で結着樹脂膜中に押し込む方法等が挙
げられる。
【0067】本発明の版下シートを版胴に固定するに
は、従来公知の方法が用いられる。例えば、版下シート
の支持体の裏面に、スプレー糊、両面テープ等の接着剤
若しくは粘着剤を付与する方法、あるいは、版下シート
の先端及び後端を版胴に設けた爪部によって係止する方
法等が挙げられる。また、これらを組み合わせた方法を
用いることもできる。
【0068】平版印刷用印刷機による印刷時、平版印刷
版は版胴上に本発明の版下シートを介して装着される。
この際、版下シート表面の凹凸が平版印刷版の裏面に圧
接されることにより、凸部が平版印刷版の裏面に食い込
むように作用する。これにより版下シートは、ブランケ
ット胴及び圧胴による印圧を調整するとともに、加圧に
伴う平版印刷版の版胴上における位置ずれを防止するこ
とができる。
【0069】
【実施例】以下に、本発明を実施例により更に詳述する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0070】実施例1及び比較例1,2 <本発明の平版印刷用版下シートの作成>ポリビニルア
ルコールPVA405(クラレ(株)製)5gを水50
gに攪拌しながら加え、そのまま30分攪拌した。この
溶液にテトラメトキシシラン(信越化学(株)製)3g
を加えて、30分間攪拌後、濃塩酸1mlを加えて、2
時間攪拌し、さらにガラス粒子GB731(東芝ガラス
(株)製、粒径:30μm)4gを加え、ガラスビーズ
とともに、ペイントシェーカー(東洋精機(株)製)に
入れ、10分間分散した後、ガラスビーズを濾別し、分
散物を得た。この分散物を厚さ100μmのポリエチレ
ンテレフタレート(PET)からなる支持体の表面に、
ワイヤーバーにて5g/m2になるように塗布し、11
0℃で3分乾燥し、平版印刷用版下シートを得た(実施
例1)。
【0071】<比較用平版印刷用版下シート1の作成>
ポリビニルアルコールPVA405の8gを水50gに
攪拌しながら加え、そのまま30分攪拌した。この溶液
に、ガラス粒子GB731を4g加え、ガラスビーズと
ともにペイントシェーカーに入れ、10分間分散した
後、ガラスビーズを濾別し、分散物を得た。この分散物
を、上記本発明の平版印刷用版下シートの作成と同様に
して、塗布、乾燥し、比較用平版印刷用版下シート1を
作成した(比較例1)。
【0072】<比較用平版印刷用版下シート2の作成>
水50gにテトラメトキシシラン8gを加え、攪拌後、
濃塩酸2.7mlを加えて2時間攪拌した。この溶液
に、ガラス粒子GB731を4g加え、ガラスビーズと
ともにペイントシェーカーに入れ、10分間分散した
後、ガラスビーズを濾別し、分散物を得た。この分散物
を、上記本発明の平版印刷用版下シートの作成と同様に
して、塗布、乾燥し、比較用平版印刷用版下シート2を
作成した(比較例2)
【0073】<評価>平版印刷版としては、厚さ100
μmのポリエチレンテレフタレート(PET)を支持体
とする銀拡散性感光材料であるアグファゲバルト社製ス
ーパーマスタープラス(総厚130μm)を、専用プレ
ートメーカーSPM415で製版したものを用いた。な
お、電子写真製版によって得られた平版印刷版を用いる
こともできる。
【0074】次に、版下シート及び平版印刷版をそれぞ
れ、幅560mm、長さ400mmにカットするととも
に、平版印刷版の裏面に版下シートの凹凸形状を有する
表面が接するように、平版印刷版と版下シートを重ね
た。重ねた平版印刷版及び版下シートを、サクライ社製
オリバー52片面印刷機の版胴上に装着した。印刷前、
処理液G671c(アグファゲバルト社製)をしみ込ま
せたスポンジで、平版印刷版の表面をスクイズした。印
刷機上の湿し水としては、前記処理液G671cを水で
1:1に希釈したものを用い、インキとしては、大日本
インキ化学工業(株)製New ChampionFグ
ロス85を用いた。1版で2000枚印刷(1回目)を
行い、版を取り替え、同じ版下を用いて10回印刷を繰
り返した。
【0075】印刷開始直後の印刷物に印刷された罫線の
位置と、2000枚印刷後の印刷物に印刷された罫線の
位置とを比較し、印刷開始直後及び2000枚印刷後で
の版胴上における平版印刷版の版ずれを評価した。さら
に、2000枚/版印刷を10回繰り返した後で、版下
シート表面の粒子の剥がれ具合を光学顕微鏡にて観察
し、目視判定を行うことで評価した。その結果を表−1
に示す。
【0076】
【表1】
【0077】各表における評価基準は以下の通りであ
る。 「版ずれ」 50μm未満;○、50μm以上100μm未満;△、
100μm以上;× 「粒子剥がれ」 なし;○、少ない;△、多い;×
【0078】この結果から、実施例1の版下シートを用
いることで、版ずれ及び粒子剥がれを起こすことなく良
好な印刷ができることがわかる。これに対して、比較例
1に示すように有機ポリマーのみを用いる、あるいは比
較例2に示すように金属含有樹脂のみを用いると、版ず
れが発生する。また、繰り返し使用により粒子剥がれが
発生する。これは、粒子との相互作用が弱く、粒子が剥
離するためと考えられる。
【0079】実施例2〜14 実施例1と同様な方法で、結着樹脂のみを以下の表−2
に示す材料に変更した版下シートを作成し、評価を行っ
た。
【0080】
【表2】
【0081】実施例2〜14で得られた版下シートは、
実施例1と同様に、結着樹脂の高い結着性が維持され、
繰り返し使用においても粒子の脱着を防止でき、それに
伴い、版ずれも有効に防止することができた。
【0082】実施例15〜24 実施例1と同様な方法で、粒子のみを以下の表−3に示
す材料に変更した版下シートを作成し、評価を行った。
【0083】
【表3】
【0084】実施例15〜24で得られた版下シート
は、実施例1と同様に、結着樹脂が有機、無機どちらの
粒子にも十分吸着し、高い結着性が維持され、繰り返し
使用においても粒子の脱着を防止でき、それに伴い、版
ずれも有効に防止することができた。
【0085】
【発明の効果】本発明に従い、初期弾性率が350kg
f/mm2以上の平版印刷用版下シート支持体の少なく
とも片面に、粒径1〜100μmの粒子を特定の樹脂複
合体結着樹脂に分散してなる凹凸形状を形成することに
より、粒子と結着樹脂の結合力が向上し、繰り返し使用
においても、粒子の脱落が防止でき、かつ版ずれを有効
に防止することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 初期弾性率が350kgf/mm2以上
    の支持体の少なくとも片面に凹凸形状を有する平版印刷
    用版下シートにおいて、該凹凸形状が、粒径1〜100
    μmの粒子、並びに金属原子が酸素原子または窒素原子
    を介して繋がった結合含有樹脂と該樹脂と水素結合を形
    成し得る基を含有する有機ポリマーとの複合体を含有す
    る結着樹脂から主としてなることを特徴とする平版印刷
    用版下シート。
  2. 【請求項2】 前記金属原子が酸素原子を介して繋がっ
    た結合含有の樹脂が、下記一般式(I)で示される少な
    くとも1種の金属化合物の加水分解重縮合により得られ
    るポリマーであることを特徴とする請求項1記載の平版
    印刷版用版下シート。 一般式(I) (R0nM(Y)x-n (一般式(I)中、R0は水素原子、炭化水素基または
    ヘテロ環基を表し、Yは反応性基を表し、Mは3〜6価
    の金属を表し、xは金属Mの価数を表し、nは0、1、
    2、3又は4を表す。但しx−nは2以上である。)
  3. 【請求項3】 前記支持体の凹凸形状の中心線平均粗さ
    Raが2〜20μmである請求項1又は2記載の平版印
    刷用版下シート。
JP2000035333A 2000-02-14 2000-02-14 平版印刷用版下シート Pending JP2001219668A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000035333A JP2001219668A (ja) 2000-02-14 2000-02-14 平版印刷用版下シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000035333A JP2001219668A (ja) 2000-02-14 2000-02-14 平版印刷用版下シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001219668A true JP2001219668A (ja) 2001-08-14

Family

ID=18559549

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000035333A Pending JP2001219668A (ja) 2000-02-14 2000-02-14 平版印刷用版下シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001219668A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6484634B1 (en) * 1999-09-01 2002-11-26 Fuji Photo Film Co., Ltd. Block copy sheet for lithographic printing plate

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6484634B1 (en) * 1999-09-01 2002-11-26 Fuji Photo Film Co., Ltd. Block copy sheet for lithographic printing plate

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005035003A (ja) 版下シート材料、版掛け方法及び印刷方法
JP2002019322A (ja) 平版印刷方法
US6479203B1 (en) Direct drawing type lithographic printing plate precursor
JP2001219668A (ja) 平版印刷用版下シート
JP2003145715A (ja) 可撓性刷版装着方法および装着装置
US20030087061A1 (en) Lithographic printing plate precursor
JP2001260560A (ja) 平版印刷用版下シート
JP2002127632A (ja) 平版印刷用版下シート
JP2002160468A (ja) 平版印刷用原版
US20010018155A1 (en) Direct drawing type lithographic printing plate precursor
JP2003200554A (ja) 平版印刷版の固定方法及び平版印刷版用印刷機
US6761972B2 (en) Direct drawing type lithographic printing plate precursor
JP2003103757A (ja) 可撓性刷版装着方法および装着装置
US20030061957A1 (en) Direct drawing type lithographic printing plate precursor and production method thereof
US6673435B1 (en) Direct drawing type lithographic printing plate precursor
JP4116755B2 (ja) 平版印刷方法
US6453815B1 (en) Direct drawing type lithographic printing plate precursor
JP3790959B2 (ja) 平版印刷用原版
JP2003054151A (ja) 印刷方法
JP2001047756A (ja) 直描型平版印刷原版及びそれを用いた平版印刷版の作成方法
JPH11245533A (ja) 平版印刷用原版及びそれを用いた平版印刷版の製造方法
JP2002362048A (ja) 直描型平版印刷用原版
JP2005040964A (ja) 印刷版固定シートとそれを用いた版掛け方法および印刷方法
JP2001334770A (ja) 平版印刷用版下シートの製造方法
JP2003054147A (ja) 平版印刷用原版