JP2001047756A - 直描型平版印刷原版及びそれを用いた平版印刷版の作成方法 - Google Patents

直描型平版印刷原版及びそれを用いた平版印刷版の作成方法

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JP2001047756A
JP2001047756A JP2000162921A JP2000162921A JP2001047756A JP 2001047756 A JP2001047756 A JP 2001047756A JP 2000162921 A JP2000162921 A JP 2000162921A JP 2000162921 A JP2000162921 A JP 2000162921A JP 2001047756 A JP2001047756 A JP 2001047756A
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Application number
JP2000162921A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Tashiro
宏 田代
Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷可能とするイ
ンクジェット記録方式用直描型平版印刷原版を提供す
る。 【解決手段】 耐水性支持体上に画像受理層を有し、画
像受理層上に、油性インクを用いて静電式インクジェッ
ト方式により画像を形成する直描型平版印刷原版におい
て、前記耐水性支持体は、少なくとも画像受理層と反対
側に樹脂被覆層を有し、前記樹脂被覆層は密度が0.9
15〜0.930g/ml、メルトインデックスが1.
0〜30.0g/10分の低密度ポリエチレンを10〜
90質量%および密度が0.940〜0.970g/m
l、メルトインデックスが1.0〜30.0g/10分
の高密度ポリエチレンを10〜90質量%含む混合物よ
りなり、樹脂被覆層表面のベック平滑度が5〜2000
sec/10mlであり、且つ耐水性支持体は、画像受理
層側表面および少なくとも片側の端面に、1010Ω・c
m以下の固有電気抵抗値を有する導電層を有することを
特徴とする直描型平版印刷原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な直描型平版
印刷原版及びそれを用いた平版印刷版の作成方法に関
し、更に詳細には、インクジェット記録用の油性インク
を使用した製版画質および印刷画質が良好な直描型平版
印刷版の作成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近の事務機器の発達とOA化の進展に
伴い、軽印刷分野において、耐水性支持体上に画像受理
層を有する直描型平版印刷原版に種々の方法で製版、即
ち画像形成を行い印刷版を作成するオフセット平版印刷
方式が普及している。
【0003】従来の直描型平版印刷用版材は、耐水性支
持体上に画像受理層を設けたものでであり、このような
直描型平版印刷原版上に油性インクを用いて、タイプラ
イターまたは手書きによって親油性画像を形成するか、
あるいは熱転写プリンターでインクリボンから画像を熱
溶融転写することで親油性画像を形成し、必要に応じて
非画像部の親水化処理等を行い印刷版とする方法が知ら
れている。しかし、このような方法で作成された印刷版
は、画像部の機械的強度が不十分であるため、印刷中に
画像部の欠落を生じてしまう。
【0004】また、上記の直描型平板印刷原版を、イン
クジェットプリンターにより製版することも行われてお
り、このとき分散媒を水とした水性インクも用いられて
いるが、水性インクでは版材上の画像に滲みが生じたり
乾燥が遅いために描画速度が低下するという問題があっ
た。このような問題を軽減するために、分散媒を非水溶
媒とした油性インクを用いる方法が特開昭54−117
203号に開示されている。しかし、この方法はインク
を細いノズルから吐出しているために、吐出部で目詰ま
りを起こしやすい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点に着目してなされたものであり、その目的は、鮮明な
画像の印刷物を多数枚印刷可能とする直描型平版印刷原
版を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(9)の本発明により達成される。 (1)耐水性支持体上に画像受理層を有し、画像受理層
上に、油性インクを用いて静電式インクジェット方式に
より画像を形成する直描型平版印刷原版において、前記
耐水性支持体は、少なくとも画像受理層と反対側に樹脂
被覆層を有し、前記樹脂被覆層は密度が0.915〜
0.930g/ml、メルトインデックスが1.0〜3
0.0g/10分の低密度ポリエチレンを10〜90質
量%および密度が0.940〜0.970g/ml、メ
ルトインデックスが1.0〜30.0g/10分の高密
度ポリエチレンを10〜90質量%含む混合物よりな
り、樹脂被覆層表面のベック平滑度が5〜2000sec
/10mlであり、且つ耐水性支持体は、画像受理層側
表面および少なくとも片側の端面に、10 10Ω・cm以
下の固有電気抵抗値を有する導電層を有することを特徴
とする直描型平版印刷原版。
【0007】(2)前記画像受理層が、無機顔料として
平均粒径が1〜6μmのシリカ粒子と平均粒径が5〜5
0nmの無機顔料超微粒子とを40〜70対60〜30
(質量比)で含有し、下記一般式(I)で示されるシリ
ル官能基で変性された親水性樹脂を少なくとも1種含有
する分散物を成膜してなる事を特徴とする上記(1)に
記載の直描型平版印刷原版。
【0008】 一般式(I) −Si(R)n(OX)3-n {式(I)中、Rは水素原子又は炭素数1〜12の炭化
水素基を示す。Xは炭素数1〜12の脂肪族基を表す。
nは0、1又は2を表す。}
【0009】(3)前記画像受理層が、更にゼラチン及
びゼラチン硬化性化合物を含有する分散物を成膜してな
る事を特徴とする上記(1)又は(2)に記載の直描型
平版印刷原版。
【0010】(4)前記平均粒径5〜50nmの無機顔
料超微粒子が、コロイダルシリカ、チタニアゾル及びア
ルミナゾルから選ばれる少なくとも1種である事を特徴
とする上記(2)又は(3)に記載の直描型平版印刷原
版。
【0011】(5)前記ゼラチン硬化性化合物が、下記
一般式(II)で示される二重結合基を分子中に2個以上
含有する化合物である事を特徴とする上記(3)又は
(4)に記載の直描型平版印刷原版。
【0012】一般式(II) CH2=CH−W− 式(II)中、Wは、一OSO2−、−SO2−、−CON
1−又は−SO2NR 1−を表す(但し、R1は水素原子
又は炭素数1〜8の脂肪族基を表す。)
【0013】(6)前記画像受理層が、平均粒径0.0
1〜5μmで化合物の原子間のPaulingのイオン
結合性率が0.2以上の原子から成る、含水金属化合
物、金属酸化物及び複合酸化物から選ばれた少なくとも
1種の粒子、並びにSiが酸素原子を介して繋がったシ
ロキサン結合含有の樹脂と、該樹脂と水素結合を形成し
得る基を含有する有機ポリマーとの複合体を含んでなる
結着樹脂を少なくとも含有する事を特徴とする上記
(1)記載の直描型平版印刷原版。
【0014】(7)前記シロキサン結合含有の樹脂が、
下記一般式(III)で示される少なくとも1種のシラン
化合物の加水分解重縮合により得られるポリマーである
ことを特徴とする上記(6)に記載の直描型平版印刷原
版。
【0015】 一般式(III) (R0mSi(Y)4-m、 {一般式(III)中、R0は水素原子、炭化水素基又はヘ
テロ環基を表す。Yは水素原子、ハロゲン原子、−OR
2、−OCOR3又は−N(R4)(R5)を表す(R2
3は各々炭化水素基を表し、R4、R5は同じでも異っ
てもよく、水素原子又は炭化水素基を表す)。mは0、
1又は2を表す。但し、Si原子が3個以上の水素原子
と結合する場合を除く。}
【0016】(8)前記画像受理層表面の平滑性がベッ
ク平滑度で30(sec/10ml)以上であることを特
徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の直描型
平版印刷原版。
【0017】(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記
載の直描型平版印刷原版の画像受理層上に、電気抵抗1
9Ω・cm以上且つ誘電率3.5以下の非水溶媒中に
少なくとも常温で固体かつ疎水性の荷電を有する樹脂粒
子を分散した油性インクを用いて静電式インクジェット
方式により画像を形成することを特徴とする直描型平版
印刷版の作成方法。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の直描型平版印刷原版は、耐
水性支持体上に設けられた画像受理層に、油性インクを
静電界によって吐出するインクジェット法で画像を形成
するものであり、本発明に従い得られた平版印刷版は、
鮮明な画像を多数枚印刷することが可能である。
【0019】これに対して特開昭54−117203号
に開示のものは、本発明と同様に油性インクを用いたイ
ンクジェット方式を用いているが、本発明と異なり圧力
によってインクを吐出するものであり、精細な画像が得
られない。また画像受理体としてPS版用のアルミ版を
用いているが、アルミ版は高価であり、ハンドリングに
も大がかりな装置を必要とする。
【0020】まず、本発明に供される、少なくとも片面
をポリエチレン樹脂で被覆した耐水性支持体について説
明する。
【0021】本発明の平版印刷原版に用いられる耐水性
支持体は、導電性を有するものであり、具体的には、少
なくとも耐水性支持体の画像受理層側表面および少なく
とその片側が1010Ω・cm以下の固有電気抵抗値を有
するものである。上記の固有電気抵抗値は、より好まし
くは108Ω・cm以下であり、その値は、限りなく零
であってもよい。
【0022】支持体の画像受理層に隣接する部分に上記
のような導電性を持たせるには、紙、フィルム等の基体
上に、カーボンブラック等の導電性フィラーと結着剤か
らなる層を塗布したり、金属箔を貼り付けたり、金属を
蒸着したりする方法が挙げられる。
【0023】導電性が上記の範囲であれば、帯電したイ
ンク滴が画像受理層上に付着した際にインク滴の電荷が
速やかに接地面を通して消失するために、乱れを生じな
い鮮明な画像が形成される。
【0024】なお、本発明における固有電気抵抗値(体
積固有電気抵抗値または比電気抵抗値とも呼ばれる)の
測定はJIS K−6911に基づきガード電極を設け
た3端子法で行った。
【0025】耐水性支持体は、50〜200μmの厚み
を有する原紙を用いる事が好ましい。この範囲内におい
て、十分な強度とともに良好なハンドリング性が得られ
る。被覆されるポリエチレン樹脂の厚みは5〜50μm
が適当である。この範囲内において、原紙に対する十分
な防水性が得られ、コスト上の問題も少ない。より好ま
しくは10〜30μmである。
【0026】本発明において、耐水性支持体の吸水性
は、耐水性支持体の樹脂で被覆した面がコップ吸水度試
験法で測定したコップ吸水度において0.1g/m
2(45分値)以下である事が好ましく、より好ましく
は、0.05g/m2(45分値)以下である。吸水度
は0であればよいが、通常その下限は0.001g/m
2程度である。また、耐水性支持体の樹脂で被覆してい
ない面は、コップ吸水度で3.0g/m2(45分値)
以下であることが好ましく、より好ましくは2.5g/
2(45分値)以下である。
【0027】耐水性支持体の吸水度が上記範囲内の場合
に、印刷時における湿し水等の支持体への浸透が有効に
抑えられ、版伸び版切れを生ずる事なく良好な耐水性が
得られる点で好ましく、例えば7,000枚以上の耐刷
性を達成する事もできる。
【0028】ここでコップ吸水度試験法で測定したコッ
プ吸水度については、JIS P8140に記載されて
いる。底面が極めて平滑な金属環(内径112.8m
m:面積が100cm2、高さ25mm、厚さ6mm)
と台板との間に試験片を挟み込み充分に締め付けた後、
50mlの蒸留水を環内に満たし、一定時間内の試験片
への吸水質量を測定しg/m2で表したものである。
【0029】上述のような原紙の少なくとも片面に、通
常、押出ラミネート法によってポリエチレンで被覆され
る。このように被覆することにより、画質および耐刷力
に優れた平版印刷版を作ることができる製版材料を得る
ことが可能となる。押出ラミネート法とはポリオレフィ
ンを熔融し、これをフィルムにしてから直ちに原紙に圧
着後、冷却してラミネートする方法であり、種々の装置
が知られている。
【0030】本発明では、ポリエチレンとして低密度ポ
リエチレンと高密度ポリエチレンの混合物を使用するこ
とにより、押出ラミネート時の被覆膜均一性があり、し
かも耐熱性に優れたポリエチレン層が得られる。
【0031】低密度ポリエチレン単独の場合、押出ラミ
ネート時の被覆膜の均一性はあるが、融点が低いため耐
熱性が不足しており、次のような故障を発生させる。即
ち1つは画像受理層を塗布する際、100℃以上の乾燥
温度が必要となりその際ポリエチレン層が軟化してパス
ロールに付着することであり、もう1つは刷版を作成す
る際、インク画像を加熱定着させるプロセスにおいて、
同様にポリエチレン層が軟化して、原紙中の揮発分(水
分)によって生じるポリエチレン層・原紙間のふくらみ
(ブリスター)の発生を促進することである。一方高密
度ポリエチレン単独の場合、上記の故障は解消できるも
のの、押出ラミネート時の被覆膜が不均一となり、原紙
との接着性のバラツキが大きくなるため製品として使用
に堪えなくなる。そこで両者を適当にブレンドすること
により、上記の問題点が一挙に解決できることを見出し
た。
【0032】上記の低密度ポリエチレンとしては、密度
が0.915〜0.930g/ml、メルトインデックス
が1.0〜30g/10分のものが望ましく、高密度ポ
リエチレンとしては密度が0.940〜0.970g/
ml、メルトインデックスが1.0〜30g/10分のも
のが望ましい。ブレンド比率としては、低密度ポリエチ
レンが10質量%未満では押出し被覆膜が不均一で正常
なラミネートが不可能であり、また高密度ポリエチレン
が10質量%未満では充分な耐熱性が得られないことか
ら、低密度ポリエチレン10〜90質量%、高密度ポリ
エチレン90〜10質量%が望ましい。
【0033】原紙と上記ポリエチレン層との接着力を向
上させる為、予め原紙上にエチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン
−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル
酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレ
ン−アクリロニトリル−アクリル酸共重合体、エチレン
−アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体などのポリ
エチレン誘導体を塗布したり、原紙の表面をコロナ放電
処理しておくことが好ましい。別法として、特開昭49
−24126号、同52−36176号、同52−12
1683号、同53−2612号、同54−11133
1号及び特公昭51−25337号の各公報に記載され
ている表面処理を原紙に施すこともできる。
【0034】本発明の耐水性支持体に供される原紙とし
ては、例えば木材パルプ紙、合成パルプ紙、木材パルプ
紙と合成パルプ紙の混抄紙等を用いることができる。
【0035】本発明では、上記の通り耐水性支持体の画
像受理層が塗布される側と反対側の樹脂被覆表面の平滑
性をベック平滑度で5〜2000sec/10ml、好ましく
は50〜1500sec/10ml、さらに好ましくは100〜
500sec/10mlの範囲とする。上記範囲にすることで、
印刷時に印刷版にかかる歪み、例えば印刷中にブランケ
ットと版の摩擦によっておこる版の歪みを押さえること
ができ、結果的に印刷寸法および精度を維持することが
できると考えられる。この理由は、印刷版と印刷機の版
胴との間の摩擦抵抗によると推定される。
【0036】さらに、本発明では、支持体の画像受理層
に隣接する側の表面の平滑性をベック平滑度で300
(sec/10ml)以上に規制することによって、画像再
現性および耐刷性をさらに向上させることができる。こ
のような向上効果は、画像受理層表面の平滑性が同一の
ものを用いても得られるものであり、支持体表面の平滑
性が増すことで画像部と画像受理層との密着性が向上し
たためと考えられる。
【0037】ここで、ベック平滑度とは、ベック平滑度
試験機により測定することができ、高度に平滑に仕上げ
られた中央に穴のある円形のガラス板上に、試験片を一
定圧力(1kg/cm2)で押しつけ、減圧下で一定量
(10ml)の空気が、ガラス面と試験片との間を通過す
るのに要する時間を測定するものである。
【0038】また、本発明に用いられる油性インクは、
好ましくは電気抵抗109Ω・cm以上かつ誘電率3.
5以下の非水溶媒を分散媒とし、少なくとも常温(15
℃〜35℃)で固体かつ疎水性の樹脂粒子が分散された
ものである。このような分散媒を用いることによって、
油性インクの電気抵抗が適正に制御されて電界によるイ
ンクの吐出が適正となり画質が向上する。また、上記の
ような樹脂を用いることによって画像受理層との親和性
が増し、良好な画質が得られるとともに耐刷性が向上す
る。
【0039】導電性層の形成は、導電性フィラーと結着
剤を含む層を耐水性支持体の少なくとも片面、更に少な
くとも片側の端面(片端)に塗布することにより達成さ
れる。塗布される導電性層の厚さは、0.5μm〜20
μmが好ましい。尚、ここで耐水性支持体の片端とは、
下記で塗布される画像受理層の面に対して垂直な面を言
う。更に好ましくは耐水性支持体を版材として用いたと
きに、版材製版方向に向かって左右の垂直な面である。
【0040】本発明では、耐水性支持体の少なくとも片
端に上記導電性層を設けることにより、本発明に従い画
像受理層の反対側がポリエチレン樹脂層(絶縁性層)で
被覆されていても、レーザープリンターやインクジェッ
ト等で描画するときに、導電層のアース(接地)が容易
に行われ、画像トナーの描画性(濃度、鮮明さ)が増
し、耐刷性が向上する。従って、上記導電性層は、耐水
性支持体の片面で充分に有効である。但し、両端に施す
ことにより、より効果的にアースが可能となり、描画画
質及び印刷耐性が更に向上する。
【0041】導電性フィラーとしては、粒子状のカーボ
ンブラック、グラファイト、例えば銀、銅、ニッケルな
どの金属粉、酸化スズ粉末、フレーク状のアルミまたは
ニッケル、繊維状の炭素、真鍮、アルミ、銅、ステンレ
スなどが挙げられる。
【0042】一方、結着剤として使用される樹脂として
は、各種の樹脂を適宜選択して用いることができる。具
体的には、疎水性樹脂としては、例えばアクリル系樹
脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブ
タジエン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、ウレタン
系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が
挙げられ、親水性樹脂としては例えばポリビニルアルコ
ール系樹脂、セルロール系誘導体、でんぷんおよびその
誘導体、ポリアクリルアミド系樹脂、スチレン無水マレ
イン酸系共重合体等が挙げられる。
【0043】導電性層を形成する他の方法として、導電
性の薄膜をラミネートすることがあげられる。導電性薄
膜としては、例えば金属箔、導電性プラスチックフィル
ムなどを用いることができる。さらに具体的には、金属
箔ラミネート材としてアルミ箔、導電性プラスチックフ
ィルムのラミネート材としては、カーボンブラックを混
入したポリエチレン樹脂などがあげられる。アルミ箔と
しては、硬質および軟質のどちらでも良く、厚みは0.
5μm〜20μmが好ましい。
【0044】カーボンブラックを混入したポリエチレン
樹脂のラミネートは押し出しラミネート法が好ましい。
押し出しラミネート法とは、ポリオレフィンを熱溶融
し、これをフィルムにしてから直ちに原紙に圧着後、冷
却してラミネートする方法であり、種々の装置が知られ
ている。ラミネート層の厚みは、10μm〜30μmが
好ましい。また、本発明のポリエチレン被覆層にカーボ
ンブラックを混入して、導電性層を兼ねてもよい。
【0045】以上のようにして固有電気抵抗が1010Ω
・cm以下の導電性を有する耐水性支持体を得ることが
できる。
【0046】また、画像受理層直下に中間層を設けても
よい。中間層としては、中間層直下の層と画像受理層の
どちらにも密着性が良いものであればよい。設けられる
中間層の厚さは0.5〜10μmの範囲が適当である。
中間層の形成材料としては、各種の樹脂又は該樹脂と無
機粒子の分散物であってもよく適宜選択して用いられ
る。
【0047】具体的には、無機顔料としては、カオリ
ン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チ
タン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、アルミナ、水酸化鉄、
水酸化アルミ、含水酸化チタン、含水酸化亜鉛などが挙
げられる。
【0048】一方、上記樹脂としては各種の樹脂が適宜
選択して用いられる。具体的には、オレフィン重合体お
よび共重合体(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリイソブチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エ
チレン−アクリレート共重合体、エチレン−メタクリレ
ート共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等)、
塩化ビニル重合体および共重合体(例えば、ポリ塩化ビ
ニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等)、塩化ビニ
リデン共重合体、アルカン酸ビニル重合体および共重合
体、アルカン酸アリル重合体および共重合体、スチレン
およびその誘導体の重合体ならびに共重合体(例えばブ
タジエン−スチレン共重合体、イソプレン−スチレン共
重合体、スチレン−メタクリレート共重合体、スチレン
−アクリレート共重合体等)、アクリロニトリル共重合
体、メタクリロニトリル共重合体、アルキルビニルエー
テル共重合体、アクリル酸エステル重合体および共重合
体、メタクリル酸エステル重合体および共重合体、イタ
コン酸ジエステル重合体および共重合体、無水マレイン
酸共重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリルアミ
ド共重合体、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ケトン樹脂、ポエステル樹脂、シリコン
樹脂、アミド樹脂、水酸基およびカルボキシル基変性ポ
リエスエテル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタ
ール樹脂、ウレタン樹脂、ロジン系樹脂、水素添加ロジ
ン樹脂、石油樹脂、水素添加石油樹脂、マレイン酸樹
脂、テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂、クロマン−
インデン樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合
体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒素原子
を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環として
例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオフェン
環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン環、ベ
ンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジオキセ
タン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0049】天然及び半合成の高分子としては、セルロ
ース、セルロース誘導体(セルロースエステル類;硝酸
セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロース、プロピ
オン酸セルロース、コハク酸セルロース、酪酸セルロー
ス、酢酸コハク酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢
酸フタル酸セルロース等、セルロースエーテル類;メチ
ルセルロース、エチルセルロース、シアノエチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロ
ース等)、デンプン、デンプン誘導体(酸化デンプン、
エステル化デンプン類;硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、コハク酸等のエステル化体、エーテ
ル化デンプン類;メチル化、エチル化、シアノエチル
化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシメチル化等の誘
導体)、アルギン酸、ペクチン、カラギーナン、タマリ
ンドガム、天然ガム類(アラビアガム、グアーガム、ロ
ーカストビーンガム、トランガントガム、キサンタンガ
ム等)、ブルラン、デキストラン、カゼイン、ゼラチ
ン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0050】合成高分子としては、例えばポリビニルア
ルコール、ポリアルキレングリコール(ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、(エチレングリ
コール/プロピレングリコール)共重合体等)、アリル
アルコール共重合体、水酸基を少なくとも1種含有のア
クリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合
体もしくは共重合体(エステル置換基として、例えば2
−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、
2,3−ジヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2
−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル基、3−ヒド
ロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピル基、
ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、
等)、アクリルアミド又はメタクリルアミドのN−置換
体の重合体もしくは共重合体(N−置換基として、例え
ば、モノメチロール基、2−ヒドロキシエチル基、3−
ヒドロキシプロピル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチ
ル)エチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシ
ペンチル基、等)等が挙げられる。
【0051】上記中間層中の無機粒子と樹脂との配合比
は1/99(質量%)〜90/10(質量%)が好まし
く、更に好ましくは5/95〜70/30(質量%)で
ある。
【0052】また上記中間層面の平滑性は、ベック平滑
度で好ましくは、100sec/100ml以上、さらに好まし
くは500sec/10ml以上が好ましい。この範囲の平滑性
にすることにより中間層上に塗布する層の塗工性、さら
には、膜の密着性が良好になる。
【0053】また、耐水性、膜強度をより向上させるた
めに架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、通常架
橋剤として用いられる化合物を挙げることができる。具
体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブッ
ク」大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子デ
ータハンドブック、基礎編」培風館(1986年)等に
記載されている化合物を用いることができる。
【0054】例えば、塩化アンモニウム、金属イオン、
有機過酸化物、ポリイソシアナート系化合物(例えばト
ルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシ
アナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポ
リメチレンフェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジ
イソシアナート、イソホロンジイソシアナート、高分子
ポリイソシアナート等)、ポリオール系化合物(例え
ば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプロピレング
リコール、ポリオキシエチレングリコール、1,1,1
−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン系化合物
(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシプロピル
化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、変性脂肪
族ポリアミン類等)、ポリエポキシ基含有化合物及びエ
ポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著「新エポキシ樹脂」昭
晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」
日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物
類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著
「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年
刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)クリレー
ト系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編
「オリゴマー」講談杜(1976年刊)、大森英三「機
能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)
等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0055】この耐水性支持体上に画像受理層を設け
る。設けられる画像受理層の厚さは5〜30μmの範囲
が適当である。
【0056】本発明の画像受理層はその表面の平滑性が
ベック平滑度で30(sec/10ml)以上が好ましい。更
には、製版で用いる電子写真式プリンターにおいて、用
いるトナーが乾式トナーと液体トナーで適切な範囲は、
以下の態様が好ましい。
【0057】乾式トナーを用いる電子写真式プリンター
では、本発明の原版の画像受理層表面は、30〜200
(sec/10ml)が好ましく、より好ましくは50〜15
0(sec/10ml)である。この範囲内において、トナー
画像を原版に転写し定着するプロセスにおいて、飛散ト
ナーの非画像部への付着(即ち、地汚れ)及び画像部の
トナー付着が均一且つ充分になされ、細線・細文字の再
現性やベタ画像部の均一性が良好となる。
【0058】他方、液体トナーを用いる電子写真式プリ
ンターでは、画像受理層表面は30(sec/10ml)以上
で、より高い程よく、150〜3000(sec/10m
l)、より好ましくは200〜2500(sec/10ml)で
ある。
【0059】また、インクジェット式プリンター、感熱
転写型プリンターでは、上記液体トナー利用の電子写真
式プリンターの場合と同様の範囲が好ましい。この範囲
において、細線・細文字、網画像等の高精細なトナー画
像部が忠実に画像受理層上に転写・形成され、且つ画像
受理層表面とトナー画像部の密着も充分になされ、画像
部強度が保持できる。
【0060】ここでベック平滑度は、ベック平滑度試験
機により測定することができ、高度に平滑に仕上げられ
た中央に穴のある円形のガラス板上に、試験片を一定圧
力(1kg/cm2)で押しつけ、減圧下で一定量(10m
l)の空気が、ガラス面と試験片との間を通過するのに
要する時間を測定するものである。
【0061】画像受理層としては、無機顔料と結着剤か
らなる親水性層、あるいは不感脂化処理によって親水化
が可能になる層を用いることができる。
【0062】本発明に用いられる画像受理層の一つの態
様として、特定の無機顔料と特定のシリル官能性基で変
性された親水性樹脂とを主成分として含有する分散物を
成膜してなるものがある。
【0063】無機顔料としては、平均粒径1〜6μmの
シリカ粒子と平均粒径5〜50nmの無機顔料超微粒子
を併用して用いることが好ましい。
【0064】上記シリカ粒子は、好ましくは平均粒径
1.0〜4.5μmである。シリカ粒子は、二酸化ケイ
素を主成分(99%以上)とする、結晶構造を持たない
無定形のシリカ合成シリカ微粉末である。具体的には、
加賀美敏郎、林瑛監修「高純度シリカの応用技術」第4
章及び第5章、(株)シーエムシー(1991年)等に
記載されている。
【0065】合成シリカ微粉末は、多孔性で細孔容積が
調整された平均粒径1〜6μmのサイズのものである
が、細孔径及び細孔容積、更には、吸油量、表面シラノ
ール基密度等は特に限定されるものではない。これらの
合成シリカ微粉末は、市販品として、容易に入手でき
る。
【0066】平均粒径5〜50nmの無機顔料超微粒子
として従来公知の化合物が挙げられる。好ましくはシリ
カゾル、チタニアゾル、アルミナゾル、酸化チタン、含
水酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、
酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化ジルコニウム等である。
より好ましくは、シリカゾル、チタニアゾル及びアルミ
ナゾルのうちの少なくとも1種である。
【0067】シリカゾルは、表面に多くの水酸基を持
ち、内部はシロキサン配合(−Si−O−Si)を構成
している、粒子径1〜100nmのシリカ超微粒子が、
水又は極性溶媒中に分散したものであり、コロイダルシ
リカとも称されているものである。具体的には、前記の
成書「高純度シリカの応用技術」第3章に記載されてい
る。
【0068】アルミナゾルは、5nm〜200nmのコ
ロイドの大きさをもつアルミナ水和物(べーマイト系)
で、水中の陰イオン(例えばフッ素イオン、塩素イオン
等のハロゲン原子イオン、酢酸イオン等のカルボン酸ア
ニオン等)を安定剤として分散されたものである。チタ
ニアゾルは5nm〜500nmのコロイドの大きさをも
つTiO2もしくはTi(O)(OH)2またはこの混合
物を称するものを表す。
【0069】上記コロイド状微粒子で平均粒径が5〜5
0nmのものが本発明に好ましく用いられる。好ましく
は平均粒径が5〜40nmのものである。これら無機顔
料超微粒子は、いずれも市販品として容易に入手でき
る。
【0070】また、シリカ粒子と無機顔料超微粒子の存
在割合は好ましくは40〜70対60〜30の質量比で
あり、より好ましくは45〜60対55〜40質量比で
ある。
【0071】無機顔料として用いるシリカ粒子及び無機
顔料超微粒子の各々の粒径及び使用割合を前記範囲内に
調整することにより、画像受理層の膜強度が充分に保持
され、各種プリンターで製版し画像形成した場合に、非
画像部へのトナー又はインクの付着汚れが実用上問題と
ならない程に抑制され、且つ細線、細文字、微小な網点
等の高精細な画像が、欠落・歪み・滲み等のない鮮明な
ものとなり、好ましい。更に、印刷版として印刷する
と、非画像部は印刷インクの付着汚れが生じない極めて
親水性に優れたものであり、同時に画像部はトナー又は
インクとの密着性が良好で、多数枚印刷しても画像の欠
落を生じないという優れた効果を発現する。
【0072】本発明の画像受理層には、親水性樹脂とし
て、前記一般式(I)で示されるシリル官能性基で変性
された親水性樹脂を少なくとも含有することが好まし
い。上記親水性樹脂層を用いることで本発明の画像受理
層の表面が充分に親水性となると同時に、画像の密着性
が極めて良好で、印刷版として耐刷性が飛躍的に向上す
る。
【0073】式(I)においてRが示す好ましい炭化水
素基としては、炭素数1〜12の置換されてもよいアル
キル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、2−ヒドロキシ
エチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノエチル
基、2−エトキシエチル基、3,6−ジオキソヘプチル
基、3−スルホプロピル基、2−カルボキシエチル基、
2−メトキシカルボニルエチル基、3−クロロプロピル
基、3−ブロモプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロ
ピル基、トリフロロエチル基等)、炭素数3〜12の置
換されてもよいアルケニル基(例えばプロペニル基、ブ
テニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル
基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等)、炭素
数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例えば、
ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、
クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル
基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチル
ベンジル基、ジメトキシベンジル基、カルボキシベンジ
ル基等)、
【0074】炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基
(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シ
クロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基
等)、炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(例
えばフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、
プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェ
ニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェニル基、エ
トキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デシルオキシ
フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、
ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセチルフェニ
ル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボ
ニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、アセ
トアミドフェニル基、プロピオアミドフェニル基、カル
ボキシフェニル基、スルホフェニル基、カルボキシメチ
ルフェニル基等)等が挙げられる。
【0075】式(I)におけるXは、炭素数1〜12の
脂肪族基を表す。好ましくは炭素数1〜8の置換されて
もよいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル
基、オクテル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシ
エチル基、3−メトキシプロピル基、3,6−ジオキサ
ペプチル基、2−オキソブチル基等)、炭素数3〜8の
置換されてもよいアルケニル基(例えばプロピル基、ブ
テニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル
基、オクテニル基等)、炭素数7〜12の置換されても
よいアラルキル基(例えばベンジル基、フェネチル基、
3−フェニルプロピル基、クロロベンジル基、ブロモベ
ンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メト
キシベンジル基、ジメチルベンジル基、ジメトキシベン
ジル基等)、炭素数5〜8の置換されてもよい脂環式基
(例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロ
ヘプチル基、シクロオクチル基等)が挙げられる。Xの
より好ましい脂肪族基としては、炭素数1〜4の置換さ
れてもよいアルキル基が挙げられる。
【0076】nは0、1又は2を表す。好ましくは0又
は1を表す。
【0077】一般式(I)で示されるシリル官能性基を
含有する有機ポリマーは公知の方法で合成することがで
きる。例えば、「反応性ポリマーの合成と応用」(株)
シーエムシー刊(1989年)、特公昭46−30711
号、特開昭5−32931号等に記載の方法に従って、
ポリマー中の水酸基をシリル官能性基に変性することに
より容易に得られる。水酸基含有樹脂としては、天然高
分子、半合成高分子、合成高分子のいずれでもよく、具
体的には、経営開発センター出版部編「水溶性高分子・
水分散型樹脂総合技術資料集」経営開発センター出版部
刊(1981年)、長友新治「新・水溶性ポリマーの応用と
市場」(株)シーエムシー刊(1988年)、「機能性セル
ロースの開発」(株)シーエムシー刊(1985年)、小竹
無二雄監修「大有機化学第19巻:天然高分子化合物I」
朝倉書店(1960年)等に記載のものが挙げられる。
【0078】例えば、天然及び半合成の高分子として
は、セルロース、セルロース誘導体(セルロースエステ
ル類;硝酸セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、コハク酸セルロース、酪
酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸酪酸セル
ロース、酢酸フタル酸セルロース等、セルロースエーテ
ル類;メチルセルロース、エチルセルロース、シアノエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシ
エチルセルロース等)、デンプン、デンプン誘導体(酸
化デンプン、エステル化デンプン類;硝酸、硫酸、リン
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸等のエステル
化体、エーテル化デンプン類;メチル化、エチル化、シ
アノエチル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシメチ
ル化等の誘導体)、アルギン酸、ペクチン、カラギーナ
ン、タマリンドガム、天然ガム類(アラビアガム、グア
ーガム、ローカストビーンガム、トランガントガム、キ
サンタンガム等)、プルラン、デキストラン、カゼイ
ン、ゼラチン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0079】合成高分子としては、例えばポリビニルア
ルコール、ポリアルキレングリコール〔ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、(エチレングリ
コール/プロピレングリコール)共重合体等〕、アリル
アルコール共重合体、アクリル酸共重合体、メタクリル
酸共重合体、水酸基を少なくとも1種含有するアクリル
酸エステルもしくはメタクリル酸エステルの重合体また
は共重合体〔エステル置換基として、例えば2−ヒドロ
キシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジ
ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2−ヒドロキ
シメチル−2−メチルプロピル基、3−ヒドロキシ−
2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピル基、ポリオキ
シエチレン基、ポリオキシプロピレン基等〕、水酸基を
少なくとも1種含有するアクリルアミドもしくはメタク
リルアミドのN−置換体の重合体又は共重合体〔N−置
換基として、例えばモノメチロール基、2−ヒドロキシ
エチル基、3−ヒドロキシプロピル基、1,1−ビス
(ヒドロキシメチル)エチル基、2,3,4,5,6−
ペンタヒドロキシペンチル基等〕等が挙げられる。但
し、合成高分子としては、繰り返し単位の側鎖置換基中
に少なくとも1個の水酸基を含有するものであれば、特
に限定されるものではない。
【0080】これら親水性樹脂の質量平均分子量は、好
ましくは103〜106、より好ましくは5×103〜4
×105である。親水性樹脂におけるシリル官能性基の
含有量は、シリル官能性基を有する単位成分として、通
常0.01〜50mol%、好ましくは0.1〜20mol
%、更に好ましくは0.2〜15mol%である。親水性
樹脂が多糖、蛋白質の場合には、単位成分はその構成単
糖、アミノ酸を指す。但し、これら単位成分はシリル官
能性基を複数有していてもよい。
【0081】該官能性基は、重合体の繰り返し単位中の
側鎖または重合体主鎖の末端に直接結合してもよいし、
連結基を介して結合してもよい。かかる連結基として
は、いずれの結合基でもよいが、例えば具体的に挙げる
とすれば、−O−、−CR11 12−〔ここで、R11及び
12は同じでも異ってもよく、各々水素原子、ハロゲン
原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、−OH
基、シアノ基、アルキル基(メチル基、エチル基、2−
クロロエチル基、2−ヒドロキシエチル基、プロピル
基、ブチル基、等)、アラルキル基(ベンジル基、フェ
ネチル基等)、フェニル基等を表す〕、−S−、−NR
13−〔ここでR13は水素原子又は炭化水素基{炭化水素
基として具体的には炭素数1〜8の炭化水素基(例えば
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、2−メトキシエチル基、2−クロロエチル基、2−
シアノエチル基、ベンジル基、メチルベンジル基、フェ
ネチル基、フェニル基、トリル基、クロロフェニル基、
メトキシフェニル基等)が挙げられる}を表す〕、−C
O−、−COO−、−OCO−、−CONR13−、−S
2NR13−、−SO2−、−NHCONH−、−NHC
OO−、−NHSO2−、−CONHCOO−、−CO
NHCONH−、等の結合基の単独又はこれらの2以上
の組合せにより構成された連結基等が挙げられる。
【0082】本発明に供される上記の一般式(I)で示
されるシリル官能性基を含有する親水性樹脂は、単独で
用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの
親水性樹脂は、塗膜を形成後の加熱乾燥の工程で[−S
i(R)n(OX)3-n ]基の縮合反応により容易に式
(I′)
【0083】
【化1】
【0084】で示されるシロキサン結合を形成し樹脂間
の橋架けが起こり、膜を硬化して画像受理層の膜強度が
充分に保持される。詳細は不明だが、本発明の画像受理
層の表面は充分に親水性であると同時に、画像の密着性
が極めて良好で、印刷版として、耐刷性が飛躍的に向上
する。
【0085】本発明の画像受理層は、更にゼラチン及び
ゼラチン硬化性化合物を含有した分散物を成膜して成る
ことが好ましい。
【0086】本発明に供されるゼラチンとは、誘導タン
パク質の一種であり、コラーゲンから製造されるゼラチ
ンと称されるものであれば特に限定されるものではな
い。好ましくは、淡色、透明、無味、無臭の外観を示す
ものである。更には、写真乳剤用ゼラチンが、水溶液と
した場合の粘度、ゲルのゼリー強度等の物性が一定の範
囲内にあることからより好ましい。
【0087】画像受理層の結着樹脂として、ゼラチンを
併用することにより、画像受理層用分散混合物の分散が
容易となり、無機粒子の均一な分散がより促進され、膜
の強度が向上し、且つ、膜表面の平滑性が微細な凹凸の
形状に制御され、画像部の密着向上及び非画像部の親水
性向上が更に図られる。一般式(I)で示されるシリル
官能基で変成された親水性樹脂とゼラチンの比は、好ま
しくは90対10〜10対90(質量比)、より好まし
くは70対30〜30対70(質量比)である。
【0088】また、画像受理層は、ゼラチン硬化性化合
物を併用することにより層が硬化されて、耐水性が更に
良好なものとなる。
【0089】ゼラチン硬化性化合物としては、従来公知
の化合物を用いることができる。例えば、T.H.James「T
he theory of the Photographic Process」第2章
セクションIII、Macmillan Publishing Co.Inc.(19
77年刊)、リサーチ・ディスクロージャー誌No.17643、
p.26(1970年12月発行)等に記載されている。好ましく
は、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポ
アルデヒド等のジアルデヒド類、ジケトン類(例えば、
2,3−ブタンジオン、2,5−ヘキサンジオン、3−
ヘキセン−2,5−ジオン、1,2−ジクロペンタンジ
オン等)、電子吸引基を隣接結合した二重結合を2個以
上有する活性オレフィン化合物等が挙げられる。
【0090】ゼラチン硬化性化合物は更に好ましくは、
前記一般式(II)で示される二重結合基を分子中に2個
以上含有する化合物である。式(II)において、好まし
くはR1は、水素原子又は炭素数1〜6の置換されても
よいアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル
基、ブチル基、メチロール基、2−クロロエチル基、2
−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2
−カルボキシエチル基、3−メトキシプロピル基等)を
表す。式(II)中のWは、好ましくは−SO2−を表
す。
【0091】具体的には、例えば、レゾルシノールビス
(ビニルスルホナート)、4,6−ビス(ビニルスルホ
ニル)−m−キシレン、ビス(ビニルスルホニルアルキ
ル)エーテルあるいはアミン、1,3,5−トリス(ビ
ニルスルホニル)ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,
3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジ
ン、ジアクリルアミド、1,3−ビス(アクリロイル)
尿素、N,N’−ビスマレイイミド類等が挙げられる。
【0092】ゼラチン硬化性化合物の使用量は、ゼラチ
ン100質量部に対して、0.5〜20質量部が好まし
い。より好ましくは、0.8〜10質量部である。この
範囲内において、得られた画像受理層は膜強度が保持さ
れ、優れた耐水性を示すと同時に、画像の受理層の親水
性を疎害しない。
【0093】本発明の画像受理層は、上記無機顔料と親
水性樹脂(ゼラチンも含む)との使用割合は、85〜5
0対15〜50質量比が好ましく、より好ましくは15
〜40対85〜60質量比である。この範囲内におい
て、前記した同様に、膜の強度、非画像部の印刷インク
付着防止、画像部との密着性向上(耐刷性)等の効果が
得られる。なお、上記画像受理層について具体的には特
開平10−359383号に開示されている。
【0094】本発明の画像受理層の他の好ましい態様
は、平均粒径0.01〜5μmで化合物の原子間のPaul
ingのイオン結合性率が0.2以上の原子から成る、含
水金属化合物、金属酸化物及び複合酸化物から選ばれる
少なくとも1種の粒子、並びにSiが酸素原子を介して
繋がったシロキサン結合含有の樹脂と、該樹脂と水素結
合を形成し得る基を含有する有機ポリマーとの複合体を
含んでなる結着樹脂を含有するものである。
【0095】上記含水金属酸化物、金属酸化物、複酸化
物は化合物がPaulingのイオン結合性率で0.2以上、
さらに好ましくは0.3以上の原子からなるものならば
いずれであってもよい。ここでいうPaulingのイオン結
合性率は具体的には、「セラミック材料学」海文堂出版
1990年、「大学院無機化学(上)」講談社1992
年等に記述されている。
【0096】具体的には複酸化物は、2種以上の酸化物
からなる高次化合物のうち、その構造において酸素酸と
しての基イオンの存在が認められないような化合物をい
う(3種以上酸化物からなる複酸化物を特に複合酸化物
と称する場合もある)。この複酸化物は、Mg、A1、
Si、Ti、Zr、V、Sn、Cr、Mo、WおよびN
bから選ばれる金属原子を少なくとも1種含有し、他の
金属原子として上記原子の他に、Li、Ca、Ba、S
r、Bi、Zn、Pb、Co、Mn、Cu、Ni、L
a、Ge等から選ばれる金属原子を1種以上含有する。
好ましくは、構成される金属原子が2種からなる複酸化
物である。
【0097】金属酸化物は、金属原子がMg、Ba、G
e、Sn、Zn、Pb、La、Zr、V、Cr、Mo、
W、Mn、Co、Ni及びCuから選ばれる金属酸化物
である。上記金属酸化物は、安定性及び素材安全性に問
題のない酸化物粒子であればいずれでもよいが、好まし
くはMg、Ge、Sn、Zn、Pb、Zr、V、Cr、
W、Ni又はCuである。
【0098】含水金属酸化物は、金属原子がMg、A
1、Zn、Ti、Ge、Co、Zr、Sn、Fe、C
u、Ni、Pb、Pd、Cd、Cr、Ga、Mn、V、
Ce及びLaから選ばれる含水金属酸化物である。上記
含水金属酸化物は、安定性及び素材安全性に問題のない
含水酸化物粒子であればいずれでもよいが、好ましくは
Mg、Al、Fe、Ti又はZnから選ばれる含水金属
酸化物である。含水金属酸化物は、上記各金属原子の含
水酸化物を示し、M(O)(OH)n、又はMxy・χ
2Oで表記されるものを表す(ここで、上記一般式の
Mは金属原子を表し、n、m、x、y、χはそれぞれ整
数を表す)。
【0099】複酸化物、金属酸化物及び含水金属酸化物
は、それぞれ安定性及び素材安全性に問題のないもので
あればいずれでもよい。また、その粒子の大きさは、平
均粒径で好ましくは0.01〜10μmであり、より好
ましくは0.02〜8μmである。この範囲において、
画像受理層の表面の好ましい平滑性、画像形成後の画像
強度が得られ、非画像部の印刷インキ汚れ等を生じずに
良好な画像が得られる。
【0100】これらの粒子は、従来公知の方法で製造さ
れ、例えば、日本化学会編「実験化学講座9、無機化合
物の合成と精製」丸善(株)刊(1958年)、化学大
辞典編集委員会編「化学大辞典3」890〜949頁、
共立出版(株)刊(1963年)等に具体的に記載され
ている。また、これらの粒子は市販品としても上市され
ており(例えば、関東化学(株)製、和光純薬(株)
製)、更に(社)色材協会編「色材ハンドブック」25
0頁、朝倉書店刊(1989年)、御園生晃等著「塗料
・顔料」184頁、日刊工業新聞社刊(1960年)等
に記載されている。
【0101】画像受理層に供される結着樹脂は、Siが
酸素原子を介して繋がったシロキサン結合含有の樹脂
(以下、シロキサンポリマーと略称する)と、該シロキ
サン結合含有の樹脂と水素結合を形成し得る基を含有す
る有機ポリマーとの複合体から成る樹脂であることを特
徴とする。「シロキサンポリマーと有機ポリマーとの複
合体」とは、ゾル状物質及びゲル状物質を含む意味に用
いる。
【0102】シロキサンポリマーは「酸素原子−ケイ素
原子−酸素原子」から成る結合を主として含有するポリ
マーを示す。好ましくは、該ポリマーの主鎖中の置換基
及び/又は主鎖の末端にヒドロキシル基を有する。更に
必要に応じて炭化水素基を含有する。これにより、併用
する無機粒子や有機ポリマーとの組み合わせに応じて、
均一膜の形成、画像部の密着等を調整することができ
る。
【0103】シロキサンポリマーは、上記一般式(II
I)で示されるシラン化合物の加水分解重縮合によって
得られるポリマーであることが好ましい。ここで、加水
分解重縮合とは、加水分解性基が酸性ないし塩基性条件
下で加水分解、縮合を繰り返し、重合していく反応であ
り、これによりヒドロキシル基が生成される。上記シラ
ン化合物は、1種又は2種以上混合して使用することが
できる。
【0104】次に、一般式(III)で示されるシラン化
合物について詳しく説明する。一般式(III)中のR
0は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜12の置換さ
れてもよい直鎖状もしくは分岐状のアルキル基{例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、ドデシル基等;これらの基に置換され得
る基としては、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、
臭素原子)、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ
基、スルホ基、シアノ基、エポキシ基、−OR′基
(R′は炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチ
ル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニ
ル基、オクテニル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ク
ロロプロピル基、2−シアノエチル基、N,N−ジメチ
ルアミノエチル基、2−ブロモエチル基、2−(2−メ
トキシエチル)オキシエチル基、2−メトキシカルボニ
ルエチル基、3−カルボキシプロピル基、ベンジル基等
を示す)、−OCOR′基、−COOR′基、−CO
R′基、−N(R″)(R″)(R″は、水素原子又は
前記R′と同一の内容を表し、各々同じでも異なっても
よい)、−NHCONHR′基、−NHCOOR′基、
−Si(R′)3基、−CONHR″基、−NHCOR′
基等が挙げられる。これらの置換基はアルキル基中に複
数置換されてもよい}、
【0105】炭素数2〜12の置換されてもよい直鎖状
又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペ
ニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オ
クテニル基、デセニル基、ドデセニル基等、これらの基
に置換される基としては、前記アルキル基に置換される
基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてい
てもよい)、炭素数7〜14の置換されてもよいアラル
キル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェ
ニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチ
ル基等;これらの基に置換される基としては、前記アル
キル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、
又複数置換されてもよい)、炭素数5〜10の置換され
てもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロ
ヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロ
ペンチルエチル基、ノルボニル基、アダマンチル基等、
これらの基に置換される基としては、前記アルキル基の
置換基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換され
てもよい)、炭素数6〜12の置換されてもよいアリー
ル基(例えばフェニル基、ナフチル基で、置換基として
は前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが
挙げられ、また複数置換されてもよい)、
【0106】又は、窒素原子、酸素原子及びイオウ原子
から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する縮環して
もよいヘテロ環基(例えばヘテロ環としては、ピラン
環、フラン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール
環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペ
リジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾ
オキサゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等
で、置換基を含有してもよい。置換基としては、前記ア
ルキル基中の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又
複数置換されてもよい)を表す。
【0107】Yは、好ましくはハロゲン原子(フッ素原
子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す)、−O
2基、−OCOR3基又は−N(R4)(R5)基を表す。
【0108】−OR2基において、R2は炭素数1〜10
の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プ
ロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル
基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒドロキシエチル
基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル
基、2−(メトキシエチルオキシ)エチル基、2−
(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メトキシプ
ロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオキシプロ
ピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル基、シク
ロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシクロヘキシ
ル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネ
チル基、ジメトキシベンジル基、メチルベンジル基、ブ
ロモベンジル基等が挙げられる)を表す。
【0109】−OCOR3基において、R3は、R2と同
一の内容の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されても
よい芳香族基(芳香族基としては、前記R0中のアリー
ル基で例示したと同様のものが挙げられる)を表す。−
N(R4)(R5)基において、R4及びR5は、互いに同じ
でも異なってもよく、各々、水素原子又は炭素数1〜1
0の置換されてもよい脂肪族基(例えば、前記の−OR
2基のR2と同様の内容のものが挙げられる)を表す。よ
り好ましくは、R4とR5の炭素数の総和が16ケ以内で
ある。
【0110】一般式(III)で示されるシラン化合物の
具体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限
定されるものではない。
【0111】メチルトリクロルシラン、メチルトリブロ
ムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチル
トリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エ
チルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシ
ラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルト
リクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−
プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキ
シシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n
−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリ
クロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘ
キシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシ
シラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−
ヘキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロ
ルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルト
リメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n
−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt
−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラ
ン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデ
シルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキ
シシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラ
ン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニ
ルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ
t−ブトキシシラン、
【0112】テトラクロルシラン、テトラブロムシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジ
メトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、
ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラ
ン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシ
シラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチル
ジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェ
ニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキ
シシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリブロムヒド
ロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポキシ
ヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニル
トリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシ
ラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフ
ルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエト
キシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、
【0113】γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリt−ブトキシンラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラ
ン、等が挙げられる。
【0114】画像受理層に用いる−般式(III)で示さ
れるシラン化合物とともに、Ti、Zn、Sn、Zr、
Al等のゾル−ゲル法で成膜可能な金属化合物を併用す
ることができる。用いられる金属化合物として、例え
ば、Ti(OR6)4(R6はメチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等。以下同
様)、TiCl4、Zn(OR6)2、Zn(CH3COC
HCOCH3)2、Sn(OR6)4、Sn(CH3COCH
COCH3)4、Sn(OCOR6)4、SnCl4、Zr
(OR6)4、Zr(CH3COCHCOCH3)4、Al
(OR6)3等が挙げられる。
【0115】次に、上記有機ポリマーについて説明す
る。有機ポリマーは、「シロキサン結合含有の樹脂と水
素結合を形成し得る基」を有する。このような基として
は、好ましくは、アミド結合(カルボン酸アミド結合及
びスルホンアミド結合を含む)、ウレタン結合及びウレ
イド結合から選ばれる少なくとも一種の結合及び水酸基
を挙げることができる。
【0116】有機ポリマーは、繰り返し単位成分とし
て、上記シロキサン結合含有の樹脂と水素結合を形成し
得る基(以下単に本発明の特定の結合基ともいう)を少
なくとも1種ポリマーの主鎖及び/又は側鎖に含有する
ものが挙げられる。好ましくは、繰り返し単位成分とし
て、−N(R11)CO−、−N(R11)SO2−、−N
HCONH−及び−NHCOO−から選ばれる少なくと
も1種の結合がポリマーの主鎖及び/又は側鎖に存在す
る成分、及び/又は−OH基を含有する成分が挙げられ
る。上記アミド結合中のR11は、水素原子又は有機残基
を表し、有機残基としては、一般式(I)中のR0にお
ける炭化水素基及びヘテロ環基と同一の内容のものが挙
げられる。
【0117】ポリマー主鎖に本発明の特定の結合基を含
有するポリマーとしては、−N(R 11)CO−結合また
は−N(R11)SO2−結合を有するアミド樹脂、−N
HCON−結合を有するウレイド樹脂、−NHCOO−
結合を含有するウレタン樹脂等が挙げられる。
【0118】アミド樹脂製造に供されるジアミン類とジ
カルボン酸類又はジスルホン酸類、ウレイド樹脂に用い
られるジイソシアナート類、ウレタン樹脂に用いられる
ジオール類としては、例えば高分子学会編「高分子デー
タハンドブック−基礎編−」第I章(株)培風舘刊(1
986年)、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブッ
ク」大成社刊(1981年)等に記載されている化合物
を用いることができる。
【0119】また、他のアミド結合を有するポリマーと
して、下記一般式(IV)で示される繰り返し単位含有の
ポリマー、ポリアルキレンイミンのN−アシル化体また
はポリビニルピロリドンとその誘導体が挙げられる。
【0120】
【化2】
【0121】式(IV)中、Z1は−CO−、−SO2−又
は−CS−を表す。R20は式(III)中のR0と同一の内
容のものを表す。r1は水素原子又は炭素数1〜6のア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基等)を表す。r1は同
じでも異なってもよい。pは2又は3の整数を表す。
【0122】一般式(IV)で示される繰り返し単位を含
有するポリマーのうち、Z1が−CO−を表し、pが2
を表すポリマーは、置換基を有していてもよいオキサゾ
リンを触媒の存在下で開環重合することにより得られ
る。触媒としては、例えば、硫酸ジメチル、p−トルエ
ンスルホン酸アルキルエステルなどの硫酸エステルやス
ルホン酸エステル;ヨウ化アルキル(例えばヨウ化メチ
ル)などのハロゲン化アルキル;フリーデルクラフツ触
媒のうち金属フッ素化物;硫酸、ヨウ化水素、p−トル
エンスルホン酸などの酸や、これらの酸とオキザゾリン
との塩であるオキサゾリニウム塩などが使用できる。な
お、このポリマーは単独重合体であってもよく、共重合
体であってもよい。また、他のポリマーにこのポリマー
がグラフトした共重合体であってもよい。
【0123】オキサゾリンの具体例としては、例えば、
2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2
−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキ
サゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−
ブチル−2−オキサゾリン、2−ジクロロメチル−2−
オキサゾリン、2−トリクロロメチル−2−オキサゾリ
ン、2−ペンタフルオロエチル−2−オキサゾリン、2
−フェニル−2−オキサゾリン、2−メトキシカルボニ
ルエチル−2−オキサゾリン、2−(4−メチルフェニ
ル)−2−オキサゾリン、2−(4−クロロフェニル)
−2−オキサゾリンなどが挙げられる。好ましいオキサ
ゾリンには、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキ
サゾリン、2−エチル−2−オキサゾリンなどが含まれ
る。このようなオキサゾリンのポリマーは一種又は二種
以上使用できる。
【0124】一般式(IV)で示される繰り返し単位を有
する他のポリマーについても、オキサゾリンの代わりに
チアゾリン、4,5−ジヒドロ−1,3−オキサジン又
は4,5−ジヒドロ−1,3−チアジンを用いて同様に
得ることができる。
【0125】ポリアルキレンイミンのN−アシル化体と
しては、カルボン酸ハライド類との高分子反応で得られ
る−N(CO−R20)−を含むカルボン酸アミド体、又
はスルホニルハライド類との高分子反応で得られる−N
(SO2−R20)−を含むスルホンアミド体(ここで、
20は上記式(IV)におけるR20と同義である)が挙げ
られる。
【0126】また、ポリマーの側鎖に本発明の特定の結
合基を含有するポリマーとしては、少なくとも該特定の
結合基から選ばれた結合基の少なくとも1種を含有する
成分を主成分として含有するものが挙げられる。このよ
うな成分としては、例えば、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、クロトンアミド、ビニル酢酸アミドあるいは
以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は、これらに
限定されるものではない。
【0127】
【化3】
【0128】
【化4】
【0129】一方、水酸基含有の有機ポリマーとして
は、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成高分
子のいずれでもよく、具体的には小竹無二雄監修「大有
機化学19、天然高分子化合物I」朝倉書店刊(196
0年)、経営開発センター出版部編「水溶性高分子・水
分散型樹脂総合技術資料集」経営開発センター出版部刊
(1981年)、長友新治「新・水溶性ポリマーの応用
と市場」(株)シーエムシー刊(1988年)、「機能
性セルロースの開発」(株)シーエムシー刊(1985
年)等に記載のものが挙げられる。
【0130】例えば、天然及び半合成の高分子として
は、セルロース、セルロース誘導体(セルロースエステ
ル類;硝酸セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、コハク酸セルロース、酪
酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸酪酸セル
ロース、酢酸フタル酸セルロース等、セルロースエーテ
ル類;メチルセルロース、エチルセルロース、シアノエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシ
エチルセルロース等)、デンプン、デンプン誘導体(酸
化デンプン、エステル化デンプン類;硝酸、硫酸、リン
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸等のエステル
化体、エーテル化デンプン類;メチル化、エチル化、シ
アノエチル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシメチ
ル化等の誘導体)、アルギン酸、ペクチン、カラギーナ
ン、タマリンドガム、天然ガム類(アラビアガム、グア
ーガム、ローカストビーンガム、トラカガントガム、キ
サンタンガム等)、プルラン、デキストラン、カゼイ
ン、ゼラチン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0131】合成高分子としては、例えばポリビニルア
ルコール、ポリアルキレングリコール(ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、(エチレングリ
コール/プロピレングリコール)共重合体等)、アリル
アルコール共重合体、水酸基を少なくとも1種含有のア
クリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合
体もしくは共重合体(エステル置換基として、例えば2
−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、
2,3−ジヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2
−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル基、3−ヒド
ロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピル基、
ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、
等)、アクリルアミド又はメタクリルアミドのN−置換
体の重合体もしくは共重合体(N−置換基として、例え
ば、モノメチロール基、2−ヒドロキシエチル基、3−
ヒドロキシプロピル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチ
ル)エチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシ
ペンチル基、等)等が挙げられる。但し、合成高分子と
しては、繰り返し単位の側鎖置換基中に少なくとも1個
の水酸基を含有するものであれば、特に限定されるもの
ではない。
【0132】画像受理層に供される有機ポリマーの質量
平均分子量は、好ましくは103〜106、より好ましく
は5×103〜4×105である。
【0133】シロキサンポリマーと有機ポリマーの複合
体において、シロキサンポリマーと有機ポリマーの割合
は広い範囲で選択できるが、好ましくはシロキサンポリ
マー/有機ポリマーの質量比で10/90〜90/1
0、より好ましくは20/80〜80/20である。こ
の範囲において、画像受理層の膜の強度、印刷時の湿し
水に対する耐水性が良好となる。
【0134】上記の複合体を含む結着樹脂は、前記シロ
キサンポリマー中に存在するヒドロキシル基、例えば前
記シラン化合物の加水分解重縮合により生成したシロキ
サンポリマーのヒドロキシル基と、有機ポリマー中の前
記「特定の結合基」とが水素結合作用により均一な有
機、無機ハイブリッドを形成し、相分離することなくミ
クロ的に均質となり、本発明に供されるシロキサンポリ
マーと有機ポリマーとの親和性が保持されているものと
推定される。更にシロキサンポリマーに炭化水素基が存
在する場合には、その炭化水素基に起因して、有機ポリ
マーとの親和性がさらに向上するものと推定される。ま
た、複合体は成膜性に優れている。
【0135】この様な有機・無機ポリマー複合体の樹脂
は、前記シラン化合物を加水分解重縮合し、有機ポリマ
ーと混合することにより製造するか、または有機ポリマ
ーの存在下、前記シラン化合物を加水分解重縮合するこ
とにより容易に製造される。
【0136】好ましくは、有機ポリマーの存在下、前記
シラン化合物をゾル−ゲル法により加水分解重縮合する
ことにより有機・無機ポリマー複合体を得ることができ
る。生成した有機・無機ポリマー複合体において、有機
ポリマーは、シラン化合物の加水分解重縮合により生成
したゲルのマトリックス(すなわち無機金属酸化物の三
次元微細ネットワーク構造体)中に均一に分散してい
る。
【0137】上記好ましい方法としてのゾル−ゲル法
は、従来公知のゾル−ゲル法を用いて行なうことができ
る。具体的には、「ゾル−ゲル法による薄膜コーティン
グ技術」(株)技術情報協会(刊)(1995年)、作
花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社
(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法によ
る機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(19
92年)等の成書に詳細に記載の方法に従って実施でき
る。
【0138】画像受理層用の塗布液は、水系溶媒が好ま
しく、更には塗液調整時の沈殿抑制による均一液化のた
めに水溶性溶媒を併用する。水溶性溶媒としては、アル
コール類(メタノール、エタノール、プロピルアルコー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、エチレ
ングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール
ジメチルエーテル、テトラヒドロピラン、等)、ケトン
類(アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン
等)、エステル類(酢酸メチル、エチレングリコールモ
ノメチルモノアセテート等)、アミド類(ホルムアミ
ド、N−メチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチル
ピロリドン等)等が挙げられ、1種あるいは2種以上を
併用してもよい。
【0139】更に、一般式(III)で示される前記のシ
ラン化合物の加水分解及び重縮合反応を促進するため
に、酸性触媒又は塩基性触媒を併用することが好まし
い。触媒は、酸または塩基性化合物をそのままか、ある
いは水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態の
もの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒という)を
用いる。そのときの濃度については特に限定しないが、
濃度が濃い場合は加水分解及び重縮合速度が速くなる傾
向がある。但し、濃度の濃い塩基性触媒を用いると、ゾ
ル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触
媒の濃度は1N(水溶液での濃度換算)以下が望まし
い。
【0140】酸性触媒または塩基性触媒の種類は特に限
定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合
には、焼結後に触媒結晶粒中にほとんど残留しないよう
な元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触
媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、
亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸
や酢酸などのカルボン酸、構造式RCOOHのRを他元
素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベン
ゼンスルホン酸などのスルホン酸など、塩基性触媒とし
ては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルア
ミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0141】画像受理層には、上記した成分と共に、他
の構成成分を含有してもよい。
【0142】画像受理層には、膜強度をより向上させる
ために架橋剤を添加してもよい。架橋剤としては、通常
架橋剤として用いられる化合物を挙げることができる。
具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブッ
ク」大成社刊(1981年)、高分子学会編「高分子デ
ータハンドブック、基礎編」培風館(1986年)等に
記載されている化合物を用いることができる。
【0143】例えば、塩化アンモニウム、金属イオン、
有機過酸化物、ポリイソシアナート系化合物(例えばト
ルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシ
アナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポ
リメチレンフェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジ
イソシアナート、イソホロンジイソシアナート、高分子
ポリイソシアナート等)、ポリオール系化合物(例え
ば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプロピレング
リコール、ポリオキシエチレングリコール、1,1,1
−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン系化合物
(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシプロピル
化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、変性脂肪
族ポリアミン類等)、ポリエポキシ基含有化合物及びエ
ポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著「新エポキシ樹脂」昭
晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」
日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物
類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著
「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年
刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)クリレー
ト系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編
「オリゴマー」講談杜(1976年刊)、大森英三「機
能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)
等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0144】本発明の画像受理層は、調製された塗布液
を耐水性支持体上に、従来公知の塗布方法のいずれかを
用いて、塗布、乾燥することにより成膜される。形成さ
れる画像受理層の膜厚は0.2〜10μmが好ましく、
より好ましくは0.5〜8μmである。この範囲で均一
な厚みの膜が作成され、且つ膜の強度が充分となる。
【0145】一方、不感脂化処理によって親水化が可能
となる画像受理層としては、たとえば酸化亜鉛と疎水性
結着剤を用いる層が挙げられる。
【0146】本発明に供される酸化亜鉛は、例えば日本
顔料技術協会編「新版顔料便覧」319頁、(株)誠文
堂、(1968年刊)に記載のように、酸化亜鉛、亜鉛
華、湿式亜鉛華または活性亜鉛華として市販されている
もののいずれでもよい。即ち、酸化亜鉛は、出発原料お
よび製造方法により、乾式法としてフランス法(間接
法)、アメリカ法(直接法)および湿式法と呼ばれるも
のがあり、例えば、正同化学(株)、堺化学(株)、白
水化学(株)、本荘ケミカル(株)、東邦亜鉛(株)、
三井金属工業(株)等の各社から市販されているものが
挙げられる。
【0147】また疎水性結着剤として用いる樹脂とし
て、具体的には、スチレン共重合体、メタクリレート共
重合体、アクリレート共重合体、酢酸ビニル共重合体、
ポリビニルブチラール、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、
エポキシエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタ
ン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いても
よいし2種以上を併用してもよい。
【0148】画像受理層における樹脂の含有量は、樹脂
/酸化亜鉛の質量比で示して9/91〜20/80とす
ることが好ましい。
【0149】酸化亜鉛の不感脂化は、従来よりこの種の
不感脂化処理液として、フェロシアン塩、フェリシアン
塩を主成分とするシアン化合物含有処理液、アンミンコ
バルト錯体、フィチン酸およびその誘導体、グアニジン
誘導体を主成分としたシアンフリー処理液、亜鉛イオン
とキレートを形成する無機酸あるいは有機酸を主成分と
した処理液、あるいは水溶性ポリマーを含有した処理液
等が知られている。例えば、シアン化合物含有処理液と
して、特公平44−9045号、同46−39403
号、特開昭52−76101号、同57−107889
号、同54−117201号等に記載のものが挙げられ
る。
【0150】次に、本発明に用いられる油性インクにつ
いて説明する。本発明に供される油性インクは、電気抵
抗109Ω・cm以上かつ誘電率3.5以下の非水溶媒
中に、少なくとも常温で固体かつ疎水性の樹脂粒子を分
散してなるものが好ましい。
【0151】本発明に用いる電気抵抗109Ω・cm以
上、かつ誘電率3.5以下の非水溶媒として、好ましく
は直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭化
水素、または芳香族炭化水素、およびこれらの炭化水素
のハロゲン置換体が挙げられる。例えばオクタン、イソ
オクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ド
デカン、インドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタ
ン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メ
シチレン、アイソパーE、アイソパーG、アイソパー
H、アイソパーL(アイソパー:エクソン社の商品
名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾ
ール:シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、ア
ムスコ460溶剤(アムスコ:スピリッツ社の商品名)
等を単独または混合して用いる。なお、このような非水
溶媒の電気抵抗の上限値は1016Ω・cm程度であり、
誘電率の下限値は1.9程度である。用いる非水溶媒の
電気抵抗が上記の範囲内において、インクの電気抵抗が
適正となり、インク中での電界も緩和されず、電界によ
るインクの吐出が良好に行われる。
【0152】上記の非水溶媒中に、分散される樹脂粒子
としては、35℃以下の温度で固体で非水溶媒との親和
性のよい疎水性の樹脂の粒子であればよいが、更にその
ガラス転移点が−5℃〜110℃または軟化点33℃〜
140℃の樹脂が好ましく、より好ましくはガラス転移
点10℃〜100℃または38℃〜120℃であり、さ
らに好ましくはガラス転移点15℃〜80℃または軟化
点38℃〜100℃である。
【0153】このようなガラス転移点または軟化点の樹
脂を用いることによって、印刷原版の画像受理層表面と
樹脂粒子との親和性が増し、また印刷原版上での樹脂粒
子同士の結合が強くなくなるので、画像部と画像受理層
との密着性が向上し、耐刷性が向上する。これに対し、
ガラス転移点または軟化点が低くなっても高くなっても
画像受理層表面と樹脂粒子の親和性が低下したり、樹脂
粒子同士の結合が弱くなる傾向がある。
【0154】上記樹脂粒子に用いられる樹脂の質量平均
分子量(Mw)は、1×103〜1×106であり、好ま
しくは5×103〜8×105、より好ましくは1×10
4〜5×105である。
【0155】このような樹脂として具体的には、オレフ
ィン重合体および共重合体(例えばポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリイソブチレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、エチレン
−メタクリレート共重合体、エチレン−メタクリル酸共
重合体等)、塩化ビニル重合体及び共重合体(例えば、
ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
等)、塩化ビニリデン共重合体、アルカン酸ビニル重合
体および共重合体、アルカン酸アリル重合体および共重
合体、スチレンおよびその誘導体の重合体ならびに共重
合体(例えばブタジエン−スチレン共重合体、イソプレ
ン−スチレン共重合体、スチレン−メタクリレート共重
合体、スチレン−アクリレート共重合体等)、アクリロ
ニトリル共重合体、メタクリロニトリル共重合体、アル
キルビニルエーテル共重合体、アクリル酸エステル重合
体および共重合体、メタクリル酸エステル重合体および
共重合体、イタコン酸ジエステル重合体および共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、フェノール樹脂、アル
キド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基および
カルボキシル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹
脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、ロジン
系樹脂、水素添加ロジン樹脂、石油樹脂、水素添加石油
樹脂、マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、水素添加テルペ
ン樹脂、クロマン−インデン樹脂、環化ゴム−メタクリ
ル酸エステル共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル
共重合体、窒素原子を含有しない複素環を含有する共重
合体(複素環として例えば、フラン環、テトラヒドロフ
ラン環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン
環、ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン
環、1,3−ジオキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙
げられる。
【0156】本発明の油性インクにおける分散された樹
脂粒子の含有量は、インク全体の0.5〜20質量%と
することが好ましい。含有量がこの範囲内において、イ
ンクと印刷原版の画像受理層との親和性が十分となり、
良好な画像が得られるとともに十分な耐刷性が得られ
る。また、均一な分散液が得られ、吐出ヘッドでのイン
クの目詰まりが生じにくく、安定なインク吐出が得られ
る。
【0157】本発明に供される油性インク中には、前記
の分散樹脂粒子とともに、製版後の版を検版する等のた
めに着色成分として色材を含有させることが好ましい。
色材としては、従来から油性インク組成物あるいは静電
写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であ
ればどれでも使用可能である。
【0158】顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わ
ず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用
することができる。具体的には、例えば、カーボンブラ
ック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイ
エロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化ク
ロム、ビリジアン、コバルトグリーン、ウルトラマリン
ブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー;アゾ系顔
料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソ
インドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔
料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオインジゴ系
顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等の従来公
知の顔料を特に限定することなく用いることができる。
【0159】染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、
ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、
カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染
料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロ
ソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロ
シアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染
料が好ましい。
【0160】これらの顔料および染料は、単独で用いて
もよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である
が、インク全体に対して0.01〜20質量%の範囲で
含有されることが望ましい。
【0161】これらの色材は、分散樹脂粒子とは別に色
材自身を分散粒子として非水溶媒中に分散させてもよい
し、分散樹脂粒子中に含有させてもよい。含有させる場
合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂
被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分
散樹脂粒子の表面部を着色して着色粒子とする方法など
が一般的である。
【0162】本発明の非水溶媒中に、分散された樹脂粒
子、更には着色粒子等を含めて、これらの粒子の平均粒
径は0.05μm〜5μmが好ましい。より好ましくは
0.1μm〜1.5μmである。この粒径はCAPA−
500(堀場製作所(株)製商品名)により求めること
ができる。
【0163】本発明の油性インクに用いられる非水系分
散樹脂粒子は、従来公知の機械的粉砕方法または重合造
粒方法によって製造することができる。機械的粉砕方法
としては、必要に応じて、樹脂粒子とする材料を混合
し、溶融、混練を経て従来公知の粉砕機で直接粉砕し
て、微粒子とし、分散ポリマーを併用して、更に湿式分
散機(例えばボールミル、ペイントシェーカー、ケディ
ミル、アイノミル等)で分散する方法、樹脂粒子成分と
なる材料と、分散補助ポリマー(または被覆ポリマー)
を予め混練して混練物とした後粉砕し、次に分散ポリマ
ーを共存させて分散する方法等が挙げられる。具体的に
は、塗料または静電写真用液体現像剤の製造方法を利用
することができ、これらについては、例えば、植木憲二
監訳「塗料の流動と顔料分散」共立出版(1971
年)、ソロモン「塗料の科学」広川書店(1969年)、原
崎勇次「コーティング工学」朝倉書店(1971年)、
原崎勇次「コーティングの基礎科学」槇書店(1977
年)等の成書に記載されている。
【0164】また、重合造粒法としては、従来公知の非
水系分散重合方法が挙げられ、具体的には、室井宗一監
修「超微粒子ポリマーの最新技術」第2章、CMC、出
版(1991年)、中村孝一編「最近の電子写真現像シ
ステムとトナー材料の開発・実用化」第3章、(日本科
学情報(株)1985年刊)、K.E.J.Barrett「Dispers
ion Polymerization in Organic Media」John Wiley
(1975年)等の成書に記載されている。
【0165】通常、分散粒子を非水溶媒中で分散安定化
するために、分散ポリマーを併用する。分散ポリマーは
非水溶媒に可溶性の繰り返し単位を主成分として含有
し、かつ平均分子量が、質量平均分子量Mwで1×10
3〜1×106が好ましく、より好ましくは5×103
5×105の範囲である。
【0166】本発明に供される分散ポリマーの好ましい
可溶性の繰り返し単位として、下記一般式(V)で示さ
れる重合成分が挙げられる。
【0167】
【化5】
【0168】一般式(V)において、X1は−COO
−、−OCO−または−O−を表す。Rは、炭素数10
〜32のアルキル基またはアルケニル基を表し、好まし
くは炭素数10〜22のアルキル基またはアルケニル基
を表し、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、無置換の
ものが好ましいが、置換基を有していてもよい。具体的
には、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデ
シル基、ヘキサデシル基、オタタデシル基、エイコサニ
ル基、ドコサニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリ
デセニル基、ヘキサデセニル基、オタタデセニル基、リ
ノレニル基等が挙げられる。
【0169】a1およびa2は、互いに同じでも異なって
いてもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えば、塩素原
子、臭素原子等)、シアノ基、炭素数1〜3のアルキル
基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、−
COO−Z1または−CH2COO−Z1〔Z1は、水素原
子または置換されていてもよい炭素数22以下の炭化水
素基(例えば、アルキル基、アルケニル基、アラルキル
基、脂環式基、アリール基等)を表す〕を表す。
【0170】Z1で表わされる炭化水素基のうち、好ま
しい炭化水素基としては、炭素数1〜22の置換されて
もよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル
基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、
テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エ
イコサニル基、ドコサニル基、2−クロロエチル基、2
−ブロモエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシ
カルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、3−ブロ
モプロピル基等)、炭素数4〜18の置換されてもよい
アルケニル基(例えば、2−メチル−1−プロペニル
基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−
2−ペンテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル
基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル
基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、ヘキ
サデセニル基、オクタデセニル基、リノレル基等)、炭
素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基(例え
ば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル
基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロ
ベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エ
チルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジ
ル基、ジメトキシベンジル基等)、炭素数5〜8の置換
されてもよい脂環式基(例えば、シクロヘキシル基、2
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル
基等)、および炭素数6〜12の置換されてもよい芳香
族基(例えば、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キ
シリル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、オ
クチルフェニル基、ドデシルフェニル基、メトキシフェ
ニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、デ
シルオキシフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフ
ェニル基、ブロモフェニル基、シアノフェニル基、アセ
チルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エト
キシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニ
ル基、アセトアミドフェニル基、プロピオアミドフェニ
ル基、ドデシロイルアミドフェニル基等)が挙げられ
る。
【0171】分散ポリマーにおいて上記一般式(V)で
示される繰り返し単位とともに、他の繰り返し単位を共
重合成分として含有してもよい。他の共重合成分として
は、一般式(V)の繰り返し単位に相当する単量体と共
重合可能な単量体よりなるものであればいずれの化合物
でもよい。分散ポリマーにおける一般式(V)で示され
る重合体成分の存在割合は、好ましくは50質量%以上
であり、より好ましくは60質量%以上である。
【0172】これらの分散ポリマーの具体例としては、
実施例で使用されている分散安定用樹脂(Q−1)等が
挙げられ、また市販品(ソルプレン1205:旭化成
(株)製)を用いることもできる。
【0173】分散ポリマーは、前記の樹脂粒子を乳化物
(ラテックス)等として製造するときには重合に際し予
め添加しておくことが好ましい。分散ポリマーを用いる
ときの添加量はインク全体に対し0.05〜4質量%程
度が好ましい。
【0174】本発明の油性インク中の分散樹脂粒子およ
び着色粒子(あるいは色材粒子)は、好ましくは正荷電
または負荷電の検電性粒子である。これら粒子に検電性
を付与するには、湿式静電写真用現像剤の技術を適宜利
用することで達成可能である。具体的には、前記の「最
近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・実用
化」139〜148頁、電子写真学会編「電子写真技術
の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、1988
年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44
頁(1977年)等に記載の荷電調節剤などの検電材料
および他の添加剤を用いることで行なわれる。
【0175】具体的には、例えば、英国特許第8934
29号、同第934038号、同第1122397号、
米国特許第3900412号、同第4606989号、
特開昭60−179751号、同60−185963
号、特開平2−13965号等に記載されている。
【0176】上述のような荷電調節剤は、担体液体であ
る分散媒1000質量部に対して0.001〜1.0質
量部が好ましい。更に所望により各種添加剤を加えても
よく、それら添加物の総量は、油性インクの電気抵抗に
よってその上限が規制される。即ち、分散粒子を除去し
た状態のインクの電気抵抗が109Ω・cmより低くな
ると良質の連続階調像が得られ難くなるので、各添加物
の添加量を、この限度内でコントロールすることが必要
である。
【0177】次に、前記した平版印刷原版(以下「マス
ター」とも称する)上にインクジェット方式で画像を形
成する方法を説明する。
【0178】インクジェット記録方法としては、従来公
知の記録方式のいずれでもよいが、インク画像の乾燥・
定着性、インクのつまり難さ等から油性インクが好まし
く且つ画像滲みを生じ難い静電式(又は静電吸引式)イ
ンクジェット方式あるいはホットメルトインクを用いた
ソリッドジェット方式が好ましい方式として挙げられ
る。
【0179】静電式インクジェット記録は、国際特許W
O93/11866号、同97/27058号、同97
/27060号等の明細書記載の記録装置が挙げられ、
用いる油性インクは好ましくは電気抵抗109Ω・cm以
上かつ誘電率3.5以下の非水溶煤を分散媒とし、少な
くとも常温(15℃〜35℃)で固体かつ疎水性の樹脂
粒子が分散されたものである。このような分散媒を用い
ることによって、油性インクの電気抵抗が適正に制御さ
れて電界によるインクの吐出が適正となり画質が向上す
る。また、上記のような樹脂を用いることによって画像
受理層との親和性が増し、良好な画質が得られるととも
に耐刷性が向上する。具体的には、特願平9−1486
24号、同9−154509号、同9−351563
号、同9−21011号、同9−21017号、同9−
148623号等に記載のものが挙げられる。
【0180】また、ソリッドジェット記録方式として
は、So1id Inkjet P1atemaker SJ02A(日立工機(株)
製)、MP-1200Pro(Dynic(株)製)等の上市されたプ
リントシステムが挙げられる。
【0181】以下、インクジェット記録方法を用いた方
法を図を用いてより具体的に説明する。図1に示す装置
系は油性インクを使用するインクジェット記録装置1を
有するものである。
【0182】図1のように、まず、マスター2に形成す
べき画像(図形や文章)のパターン情報を、コンピュー
タ3のような情報供給源から、バス4のような伝達手段
を通し、油性インクを使用するインクジェット記録装置
1に供給する。記録装置1のインクジェット記録用ヘッ
ド10は、その内部に油性インクを貯え、記録装置1内
にマスター2が通過すると、前記情報に従い、インクの
微小な液滴をマスター2に吹き付ける。これにより、マ
スター2に前記パターンでインクが付着する。こうして
マスター2に画像を形成し終え、製版マスター(製版印
刷原版)を得る。
【0183】図1の装置系におけるようなインクジェッ
ト記録装置の構成例を図2および図3に示す。図2およ
び図3では図1と共通する部材は共通の符号を用いて示
している。図2はこのようなインクジェット記録装置の
要部を示す概略構成図であり、図3はヘッドの部分断面
図である。
【0184】インクジェット記録装置に備えられている
ヘッド10は、図2、図3に示されるように、上部ユニ
ット101と下部ユニット102とで挟まれたスリット
を有し、その先端は吐出スリット10aとなっており、
スリット内には吐出電極10bが配置され、スリット内
には油性インク11が満たされた状態になっている。
【0185】ヘッド10では、画像のパターン情報のデ
ジタル信号に従って、吐出電極10bに電圧が印加され
る。図2に示されるように、吐出電極10bに対向する
形で対向電極10cが設置されており、対向電極10c
上にはマスター2が設けられている。電圧の印加によ
り、吐出電極10bと、対向電極10cとの間には回路
が形成され、ヘッド10の吐出スリット10aから油性
インク11が吐出され対向電極10cに設けられたマス
ター2上に画像が形成される。
【0186】吐出電極10bの幅は、高画質の画像形
成、例えば印字を行うためにその先端はできるだけ狭い
ことが好ましい。例えば油性インクを図3のヘッド10
に満たし、先端が20μm幅の吐出電極10bを用い、
吐出電極10bと対向電極10cの間隔を1.5mmと
して、この電極間に3kVの電圧を0.1ミリ秒印加す
ることで40μmのドットの印字をマスター2上に形成
することができる。
【0187】更に、本発明に用いることのできる他のイ
ンクジェット記録装置の構成例を図4および図5に示
す。図4は説明のためヘッドの一部分のみを示した概略
図である。記録ヘッド13は図4に示すように、プラス
チック、セラミック、ガラス等の絶縁性材料から作成さ
れたヘッド本体14とメニスカス規制板15、16から
なる。図中、17は吐出部に静電界を形成するために電
圧印加を行う吐出電極である。
【0188】さらにヘッドから規制板15、16を取り
除いた図5によりヘッド本体について詳述する。ヘッド
本体14にはヘッド本体のエッジに垂直に、インクを循
環させるためのインク溝18が複数設けてある。このイ
ンク溝18の形状は均一なインクフローを形成できるよ
うに毛細管力が働く範囲に設定されていればよいが、特
に望ましくは幅は10〜200μm、深さは10〜30
0μmである。インク溝18の内部には吐出電極17が
設けられている。この吐出電極17は、絶縁性材料から
なるヘッド本体14上にアルミニウム、ニッケル、クロ
ム、金、白金などの導電性材料を使って、上述の装置実
施例の場合と同様な公知の方法により形成され、インク
溝18内全面に配置してもよいし、一部分のみに形成し
てもよい。なお吐出電極間は電気的に独立している。
【0189】隣り合う2つのインク溝は1つのセルを形
成し、その中心にある隔壁19の先端部には吐出部2
0、20’を設けている。吐出部20、20’では隔壁
は他の隔壁部分19に比べ薄くなっており、尖鋭化され
ている。なお吐出部は20’の様に先端をわずかに面取
りされていても良い。このようなヘッド本体は絶縁性材
料ブロックの機械加工、エッチング、あるいはモールデ
ィング等公知の方法により作成される。吐出部での隔壁
の厚さは望ましくは5〜100μmであり、尖鋭化され
た先端の曲率半径は5〜50μmの範囲であることが望
ましい。図中には2つのセルのみを示しているが、セル
の間は隔壁21で仕切られ、その先端部22は吐出部2
0,20’よりも引っ込むように面取りされている。こ
のヘッドに対し、図示されないインク供給手段によりI
方向からインク溝を通してインクを流し、吐出部にイン
クを供給する。
【0190】さらに図示されないインク回収手段により
余剰なインクはO方向に回収され、その結果、吐出部に
は常時、新鮮なインクが供給される。Lの様に吐出部付
近のインクに光照射を行った状態で、吐出部に対向する
形で設けられ、その表面に記録媒体を保持した図示され
ない対向電極17に対して吐出電極に画像データに応じ
た信号電圧を印加することにより、吐出部20,20’
からインクが吐出され記録媒体上に画像が形成される。
【0191】以上のようにして、平版印刷原版上に、油
性インクを使用したインクジェット方式で画像形成して
得られた製版マスターを不感脂化処理液で表面処理して
非画像部を不感脂化して印刷版を作成することができ
る。
【0192】
【実施例】以下に実施例を示して、本発明を詳細に説明
するが、本発明の内容がこれらに限定されるものではな
い。まず、インク用樹脂粒子(PL)の製造例について
示す。
【0193】製造例1 樹脂粒子(PL−1)の製造 下記構造の分散安定用樹脂(Q−1)10g、酢酸ビニ
ル100gおよびアイソパーH384gの混合溶液を窒
素気流下攪拌しながら温度70℃に加温した。重合開始
剤として2,2’−アゾビス(イソバレロニトリル)
(略称A.I.V.N.)0.8gを加え、3時間反応
した。開始剤を添加して20分後に白濁を生じ、反応温
度は88℃まで上昇した。更に、この開始剤0.5gを
加え、2時間反応した後、温度を100℃に上げ2時間
攪拌し未反応の酢酸ビニルを留去した。冷却後200メ
ッシュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合
率90%で平均粒径0.23μmの単分散性良好なラテ
ックスであった。粒径はCAPA−5.00(堀場製作
所(株)製)で測定した。
【0194】
【化6】
【0195】上記白色分散物の一部を、遠心分離機(回
転数1×104r.p.m、回転時間60分)にかけ
て、沈降した樹脂粒子分を、捕集・乾燥した。樹脂粒子
分の重量平均分子量(Mw:ポリスチレン換算GPC
値)は2×105、ガラス転移点(Tg)は38℃であ
った。
【0196】比較例1,2、9及び実施例3〜8 秤量100g/m2の上質紙に塩化カルシウムの5%水
溶液を20g/m2塗布したのち、乾燥した。この両面
にエチレン−アクリル酸メチル−アクリル酸共重合体
(モル比65:30:5)の水性ラテックスを乾燥被覆
量が0.2g/m2となる様に塗布・乾燥したのち、密
度0.920g/ml、メルトインデックス5.0g/1
0分の低密度ポリエチレン70質量%、密度0.950
g/ml、メルトインデックス8.0g/10分の高密度
ポリエチレン1.5質量%および導電性カーボン15質
量%を熔融混練したペレットを用いて押出し法により、
原紙の片面に25μmの厚さでラミネートして均一なポ
リエチレン層の厚さを有する本発明の支持体を得た。以
下この支持体を耐水性支持体1と呼ぶ。
【0197】この耐水性支持体1のラミネート面のコッ
プ吸水度は0.01g/m2(45分値)、ベック平滑
度は350sec/10mlであった。
【0198】次いで、基体の樹脂ラミネートしていない
面に下記組成のアンダー層(導電層)用塗料A〜G(表
1に詳細を示した)をワイヤーバーを用いて塗布して、
乾燥塗布量10g/m2のアンダー層を設けた後、アン
ダー層の平滑度は1500(sec/10ml)程度になる
ようにカレンダー処理を行った。このようにして得られ
た耐水性支持体7種を、表1に示すように塗料A〜Gに
対応して、各々支持体サンプルNo.01〜No.07
とした。
【0199】<アンダー層用塗料> ・カーボンブラック(30%水分散液) ・クレー(50%水分散液) ・SBRラテックス(固形分50%、Tg25℃) ・メラミン樹脂(固形分80%、スミレッツレジンSR
−613) 上記の各成分を表1に示す組成で混合し、全体の固形分
濃度が25%となるように水を加えてアンダー層用塗料
A〜Gの塗布液とした。
【0200】
【表1】
【0201】〈アンダー層の固有電気抵抗値の測定〉ア
ンダー層の固有電気抵抗値の測定は、以下のようにして
行った。アンダー層用塗料A〜Gを、充分に脱脂洗浄し
たステンレス板上に各々塗布し、乾燥塗布量10g/m
2の塗膜とした。得られた7種のサンプルについて、そ
の固有電気低抗値をJIS K−6911に基づきガー
ド電極を設けた3端子法で測定した。結果は表2に示し
た。
【0202】
【表2】
【0203】次いで支持体サンプルNo.04と同じ支
持体上に下記組成の塗布液を乾燥後塗布量として3g/
2となるように中間層を設けた支持体サンプルをN
o.08とした。
【0204】 〈中間層用塗料〉 ・カオリン(50%水分散液) 200部 ・メタノールシリカ(固形分20%) 30部 ・アクリルラテックス(固形分50%、AE872(日本合成ゴム(株)) 100部 ・ポリビニルアルコール水溶液(10%) 30部 ・メラミン樹脂(固形分80%、スミレッツレジンSR−613) 5部
【0205】次いで支持体サンプルNo.01〜No.
08上に、下記組成の分散液を乾燥後塗布量として6g
/m2となるように画像受理層を設けた。
【0206】〈画像受理層用塗布液〉乾式酸化亜鉛10
0g、下記構造の結着樹脂(B−1)3.0g、結着樹
脂(B−2)17.0g、安息香酸0.15gおよびト
ルエン155gの混合物を湿式分散機ホモジナイザー
(日本精機(株)製)を用いて回転数6×103rpm
で3分間分散した。
【0207】
【化7】
【0208】さらに画像受理層を設けたNo.01〜N
o.08の原版の両端に、上記導電層塗料Dを乾燥後塗
布量が1μmになるように塗布したものを平版印刷原版
サンプルNo.1〜No.8、上記画像受理層を設けた
No.08の原版のままのものを平版印刷原版サンプル
No.9とした。
【0209】以上のように作成した平版印刷原版サンプ
ルNo.1〜No.9を用いて、パソコン出力を描画で
きるグラフテック社製サーボ・プロターDA8400を
改造し、ペン・プロッター部に図2に示したインク吐出
ヘッドを装着し、1.5mmの間隔をおいた対向電極上
に設置された平版印刷版用原版に下記内容の油性インク
(IK−1)を用いて印字を行ない製版した。
【0210】〈油性インク(IK−1)の作成〉ドデシ
ルメタクリレート/アクリル酸共重合体(共重合比:9
5/5質量比)を10g、ニグロシン10gおよびシェ
ルゾール71の30gをガラスビーズとともにペイント
シェーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間分散
し、ニグロシンの微小な分散物を得た。上記インク用樹
脂粒子の製造例1で製造した樹脂粒子(PL−1)6g
(固体分量として)、上記ニグロシン分散物を2.5
g、FOC−1400(日産化学(株)製、テトラデシ
ルアルコール)15g、およびオクタデセン−半マレイ
ン酸オクタデシルアミド共重合体0.08gをアイソパ
ーGの1リットルに希釈することにより黒色油性インク
(IK−1)を作成した。
【0211】次に、上記のように製版した後、不感脂化
処理液(ELP−E2:富士写真フイルム(株)製商品
名)を全自動印刷機(AM−2850、エーエム社
(株)製商品名)のエッチャー部に入れ、湿し水とし
て、不感脂化処理液(SICS)を蒸留水で4倍に希釈
した溶液を、湿し水受皿部に入れ、オフセット印刷用墨
インキを用い、印刷機に製版物を通して印刷を行なっ
た。
【0212】このようにして得られた製版物の描画画像
の画質を以下のようにして評価した。結果を表3に示
す。
【0213】
【表3】
【0214】1)製版画質 得られた製版物の描画画像を光学顕微鏡により、200
倍の倍率で観察して評価した。表中には◎、○、△、×
で表示する。 ◎ 描画画像に全く問題がなく、細線や細文字も非常
に良好 ○ 描画画像に問題がなく、細線や細文字も良好 △ 細線や細文字にわずかに欠落や滲みがあり、不良 × 細線や細文字に欠落や滲みがあり、不良
【0215】2)印刷画質 得られた印刷物の画像を上記製版画質と同様の方法で評
価した。
【0216】3)寸度安定性 印刷時の印刷版の歪み(寸度安定性)を印刷機に、菊四
サイズのオリバー52(桜井株式会社製)を用い毎分8
000枚の印刷スピードで5000枚印刷した。刷り出
しから印刷5000枚後の印刷物トンボ間(トンボ−ト
ンボは、印刷方向で300mm)の変位で評価した。変
位が小さいほど印刷寸度安定性が良いことになる。
【0217】4)耐刷性 印刷物の地汚れ又は画像の欠落が目視で判別できるまで
の印刷枚数を調べた。
【0218】表2の固有電気抵抗値を参考にして、表3
の結果について考察する。固有電気抵抗値が1012〜1
11Ω・cmと大きい原版サンプルNo.1〜No.2
は画像が欠けたり、滲んだりする。また滲みの結果とし
て描画画像の樹脂層が薄くなるために耐刷性が低く、一
方固有電気抵抗値が108〜103Ω・cmと小さい原版
サンプルNo.4〜No.8は画像に全く問題がなく、
細線や細文字も非常に良好である。また、寸度安定性お
よび耐刷性も良好であった。原版サンプルNo.9で
は、細線や細文字にわずかに欠落や滲みがあり、実用に
供し得ず、耐刷性も低かった。製版時に、原版サンプル
No.9の画像受理層直下のアンダー層と対向電極を銀
ペーストにより電気的に接続することによりはじめて良
好な画像が得られた。
【0219】実施例10、11、12 (版材サンプルNo.10、No.11、No.12の
作成)下記の各画像受理層分散液をワイヤーバーを用い
て、乾燥後の塗布量が5g/m2になるように塗布し、
オーブンで100℃、10分間乾燥して画像受理層を作
成し、平版印刷版とした以外は、上記版材サンプルN
o.7と同様にして平版印刷版No.10〜No.12
を作成した。
【0220】(版材サンプルNo.10用画像受理層分
散液)酸化亜鉛FINEX−50(堺化学工業(株)
製)(イオン結合性率;0.59)100g、ポリビニ
ルアルコールPVA117((株)クラレ製)の10質
量%水溶液113g及び水240gをガラスビーズとと
もにペイントシェーカー(東洋精機(株)製)で30分
間分散した。更にそこに予め加水分解したテトラエトキ
シシランの20質量%(水/エタノール(1/1)質量
比)溶液110gとコロイダルシリカ(スノーテックR
503(20質量%水分散液)200g、日産化学工業
(株)製)を加え、3分間分散した後、ガラスビーズを
濾別し分散物を得た。
【0221】(版材サンプルNo.11用画像受理層分
散液)酸化亜鉛FINEX−50をチタン酸バリウム
(イオン結合性率;0.82)(BaTiO3;平均粒
径0.6μm)に変更した以外は、上記サンプルNo.
10と同様にして分散物を得た。
【0222】(版材サンプルNo.12用画像受理層分
散液)酸化亜鉛FINEX−50を含水酸化マグネシウ
ム(イオン結合性率;0.73)(スターブラー120
0、神島化学工業(株)製)に変更した以外は、上記サ
ンプルNo.10と同様にして分散物を得た。
【0223】得られた各原版の表面のベック平滑度は、
いずれも300〜400(sec/10ml)の範囲内であ
った。
【0224】上記の版材サンプルNo.10〜No.1
2を用いて、実施例7の版材サンプルNo.7と同様に
して製版を行い、印刷は湿し水をEV−3(富士写真フ
イルム(株))を蒸留水で100倍希釈したものを用
い、モルトン式印刷機リョービ3200MCD印刷機
(リョービ(株))で印刷した。表4に示すように、い
ずれの版材サンプルも製版画像および印刷画質が良好
で、印刷における耐刷枚数も8500枚以上で良好であ
った。
【0225】
【表4】
【0226】実施例13、14、15 上記版材サンプルNo.6、No.7及びNo.08に
おいて、導電層を片端に塗布した以外は実施例6〜8と
同様にして平版印刷版を作成した。上記各サンプルを、
実施例6〜8と同様にして製版を行い、印刷は浸し水を
EU−3(富士写真フイルム(株))を蒸留水で50倍
に希釈したものを用い、モルトン式印刷機リョービ32
00MCD印刷機(リョービ(株))で印刷した。表5
に示すように、いずれの版材サンプルも製版画像及び印
刷画質が良好で、印刷における耐刷枚数も8700枚以
上で良好であった。
【0227】
【表5】
【0228】実施例16〜78 実施例10の版材サンプルNo.10において、酸化亜
鉛FINEX−50、100gの代わりに下記表−A,
B,C,Dの各化合物を用いたほかは、実施例10と同
様にして各平版印刷版を作成した。得られた各版の表面
のベック平滑度は250〜300(sec/100ml)で
あった。各版材について、実施例10と同様にして製版
し、印刷した。得られた印刷物は、非画像部に地汚れが
なく、細線・細文字に滲みや歪みのない鮮明な画像のも
のが得られた。又、版の寸度安定性も各版とも0.12
mm以下で良好であった。これら各版の耐刷性の結果を
表−A,B,C,Dに記した。各版とも7千枚以上の良
好な耐刷性を示した。
【0229】
【表6】
【0230】
【表7】
【0231】
【表8】
【0232】
【表9】
【0233】すなわち、画像受理層の下の支持体アンダ
ー層及び版材両端の導電性が高いほど、製版画質および
印刷画質が良好となることを示している。
【0234】
【発明の効果】本発明によれば、鮮明な画像の印刷物が
得られ、かつ耐刷性に優れた印刷版を作成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷原版を適用できる装置系の一
例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の平版印刷原版を適用できるインクジェ
ット記録装置の要部を示す概略構成図である。
【図3】本発明の平版印刷原版を適用できるインクジェ
ット記録装置のヘッドの部分断面図である。
【図4】本発明の平版印刷原版を適用できる他のインク
ジェット記録装置のヘッド要部の概要図である。
【図5】図4で示したインクジェット記録装置のヘッド
の説明用概略図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録装置 2 平版印刷原版(マスター) 3 コンピューター 4 バス 10 ヘッド 10a 吐出スリット 10b 吐出電極 10c 対向電極 11 油性インク 101 上部ユニット 102 下部ユニット 13 インクジェット記録用ヘッド 14 ヘッド本体 15、16 メニスカス規制板 17 吐出電極 18 インク溝 19 隔壁 20,20’吐出部 21 隔壁 22 先端部
フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FA07 FB01 FD02 HA05 2H084 AA25 AA38 AE05 BB04 BB16 CC05 2H114 AA04 AA15 AA22 AA28 BA10 DA03 DA15 DA25 DA46 DA47 DA48 DA50 DA52 DA59 DA73 DA78 EA03 FA04 FA15 GA34 GA38

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐水性支持体上に画像受理層を有し、画
    像受理層上に、油性インクを用いて静電式インクジェッ
    ト方式により画像を形成する直描型平版印刷原版におい
    て、 前記耐水性支持体は、少なくとも画像受理層と反対側に
    樹脂被覆層を有し、 前記樹脂被覆層は密度が0.915〜0.930g/m
    l、メルトインデックスが1.0〜30.0g/10分
    の低密度ポリエチレンを10〜90質量%および密度が
    0.940〜0.970g/ml、メルトインデックス
    が1.0〜30.0g/10分の高密度ポリエチレンを
    10〜90質量%含む混合物よりなり、 樹脂被覆層表面のベック平滑度が5〜2000sec/1
    0mlであり、 且つ耐水性支持体は、画像受理層側表面および少なくと
    も片側の端面に、10 10Ω・cm以下の固有電気抵抗値
    を有する導電層を有することを特徴とする直描型平版印
    刷原版。
  2. 【請求項2】 前記画像受理層が、無機顔料として平均
    粒径が1〜6μmのシリカ粒子と平均粒径が5〜50n
    mの無機顔料超微粒子とを40〜70対60〜30(質
    量比)で含有し、下記一般式(I)で示されるシリル官
    能基で変性された親水性樹脂を少なくとも1種含有する
    分散物を成膜してなる事を特徴とする請求項1記載の直
    描型平版印刷原版。 一般式(I) −Si(R)n(OX)3-n {式(I)中、Rは水素原子又は炭素数1〜12の炭化
    水素基を示す。Xは炭素数1〜12の脂肪族基を表す。
    nは0、1又は2を表す。}
  3. 【請求項3】 前記画像受理層が、更にゼラチン及びゼ
    ラチン硬化性化合物を含有する分散物を成膜してなる事
    を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の直描型平版
    印刷原版。
  4. 【請求項4】 前記平均粒径5〜50nmの無機顔料超
    微粒子が、コロイダルシリカ、チタニアゾル及びアルミ
    ナゾルから選ばれる少なくとも1種である事を特徴とす
    る請求項2又は3に記載の直描型平版印刷原版。
  5. 【請求項5】 前記ゼラチン硬化性化合物が、下記一般
    式(II)で示される二重結合基を分子中に2個以上含有
    する化合物である事を特徴とする請求項3又は請求項4
    に記載の直描型平版印刷原版。 一般式(II) CH2=CH−W− 式(II)中、Wは、一OSO2−、−SO2−、−CON
    1−又は−SO2NR 1−を表す(但し、R1は水素原子
    又は炭素数1〜8の脂肪族基を表す。)
  6. 【請求項6】 前記画像受理層が、平均粒径0.01〜
    5μmで化合物の原子間のPaulingのイオン結合
    性率が0.2以上の原子から成る、含水金属化合物、金
    属酸化物及び複合酸化物から選ばれた少なくとも1種の
    粒子、並びにSiが酸素原子を介して繋がったシロキサ
    ン結合含有の樹脂と、該樹脂と水素結合を形成し得る基
    を含有する有機ポリマーとの複合体を含んでなる結着樹
    脂を少なくとも含有する事を特徴とする請求項1記載の
    直描型平版印刷原版。
  7. 【請求項7】 前記シロキサン結合含有の樹脂が、下記
    一般式(III)で示される少なくとも1種のシラン化合
    物の加水分解重縮合により得られるポリマーであること
    を特徴とする請求項6に記載の直描型平版印刷原版。 一般式(III) (R0mSi(Y)4-m、 {一般式(III)中、R0は水素原子、炭化水素基又はヘ
    テロ環基を表す。Yは水素原子、ハロゲン原子、−OR
    2、−OCOR3又は−N(R4)(R5)を表す(R2
    3は各々炭化水素基を表し、R4、R5は同じでも異っ
    てもよく、水素原子又は炭化水素基を表す)。mは0、
    1又は2を表す。但し、Si原子が3個以上の水素原子
    と結合する場合を除く。}
  8. 【請求項8】 前記画像受理層表面の平滑性がベック平
    滑度で30(sec/10ml)以上であることを特徴と
    する請求項1〜7のいずれかに記載の直描型平版印刷原
    版。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の直描型
    平版印刷原版の画像受理層上に、電気抵抗109Ω・c
    m以上且つ誘電率3.5以下の非水溶媒中に少なくとも
    常温で固体かつ疎水性の荷電を有する樹脂粒子を分散し
    た油性インクを用いて静電式インクジェット方式により
    画像を形成することを特徴とする直描型平版印刷版の作
    成方法。
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