JP2000247052A - 直描型平版印刷用原版 - Google Patents

直描型平版印刷用原版

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JP2000247052A
JP2000247052A JP37104999A JP37104999A JP2000247052A JP 2000247052 A JP2000247052 A JP 2000247052A JP 37104999 A JP37104999 A JP 37104999A JP 37104999 A JP37104999 A JP 37104999A JP 2000247052 A JP2000247052 A JP 2000247052A
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JP37104999A
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Hiroshi Tashiro
宏 田代
Eiichi Kato
栄一 加藤
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地汚れがなく、画像の欠落・歪み等のない鮮
明な画像の印刷物を多数枚印刷可能とする直描型平版印
刷用原版、特に油性インク利用の静電吐出型インクジェ
ット式製版に適した直描型平版印刷用原版を得る。 【解決手段】 耐水性支持体上に、平均粒子径0.01〜5
μmの金属酸化物粒子(但し金属酸化物を構成する金属
原子は、Mg、Ba、Ge、Sn、Zn、Pb、La、Zr、V、Cr、M
o、W、Mn、Co、Ni及びCuから選択される少なくとも1
種)、並びにSiが酸素原子を介して繋がったシロキサ
ン結合含有の樹脂と該樹脂と水素結合を形成し得る基を
含有する有機ポリマーとの複合体を含む結着樹脂を少な
くとも含有する画像受理層を有する直描型平版印刷用原
版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、直描型平版印刷用
原版に関し、更に詳しくは、地汚れのない鮮明な画像の
印刷物を多数枚印刷可能とする平版印刷版を与える平版
印刷用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、軽印刷分野を中心にして使用され
ている平版印刷用原版には、(1)耐水性支持体上に、
親水性の画像受理層を設けた直描型の原版、(2)耐水
性支持体上に、酸化亜鉛を含む画像受理層(親油性)を
設けた原版に直描製版した後、非画像部を、不感脂化処
理液で不感脂化処理して印刷版とするもの、(3)耐水
性支持体上に、光導電性酸化亜鉛を含む光導電層を設け
た電子写真感材を原版とし、画像形成後に非画像部を、
不感脂化処理液により不感脂化処理して印刷版とするも
の、(4)耐水性支持体上に、ハロゲン化銀乳剤層を設
けた銀塩写真型の原版等が挙げられる。
【0003】最近の事務機器の発達とOA化の発展に伴
い、印刷分野において、上記(1)の直描型平版印刷用
原版に電子写真式プリンター、感熱転写プリンター、イ
ンクジェットプリンター等の種々の方法で製版(即ち画
像形成)を行い、印刷版とするための特定の処理をする
ことなく直接に印刷版を作成するオフセット平版印刷方
式が望まれている。
【0004】従来の直描型平版印刷用原版は、紙等の支
持体の両面に裏面層及び中間層を介して画像受理層とな
る表面層が設けられている。裏面層または中間層はPV
Aや澱粉等の水溶性樹脂及び合成樹脂エマルジョン等の
水分散性樹脂と顔料で構成されている。画像受理層は通
常、無機顔料、水溶性樹脂及び耐水化剤で構成される。
【0005】無機顔料としては、カオリン、クレー、タ
ルク、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、酸化亜
鉛、硫酸バリウム、アルミナなどが挙げられる。水溶性
樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)、カル
ボキシPVAのような変性PVA、澱粉及びその誘導
体、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセ
ルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチ
ン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共
重合体、スチレン−マレイン酸共重合合体等の水溶性樹
脂が挙げられる。
【0006】また、耐水化剤としてはグリオキザール、
メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド
樹脂等のアミノプラストの初期縮合物、メチロール化ポ
リアミド樹脂のような変性ポリアミド樹脂、ポリアミド
・ポリアミン・エピクロルヒドリン付加物、ポリアミド
エピクロルヒドリン樹脂、変性ポリアミドポリイミド樹
脂等が挙げられる。その他、さらには、塩化アンモニウ
ム、シランカップリング剤の架橋触媒等が併用できるこ
とも知られている。
【0007】更に、直描型平版印刷用原版の画像受理層
に用いる結着剤として、分解によりカルボキシル基、ヒ
ドロキシル基、チオール基、アミノ基、スルホ基又はホ
スホノ基を生成する官能基を有すると共に、熱/光で硬
化する官能基を含有し予め架橋されている樹脂を用いる
(特開平1−226395号、同1−269593号、
同1−288488号各公報)、上記官能基含有樹脂と
熱/光硬化性樹脂を併用する(特開平1−266546
号、同1−275191号、同1−309068号各公
報)、上記官能基含有樹脂と架橋剤を併用する(特開平
1−267093号、同1−271292号、同1−3
09067号各公報)ことにより、非画像部の親水性向
上、画像受理層の膜強度の向上、更に耐刷性の改良が検
討されている。
【0008】また画像受理層中に、無機顔料及び結着剤
とともに、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基のよ
うな親水性基を含有した1μm以下の微小粒径の樹脂粒
子を含有させる(特開平4−201387号、同4−2
23196号各公報)あるいは、分解により上記の様な
親水性基を生成する官能基を含有する微小径樹脂粒子を
含有させる(特開平4−319491号、同4−353
495号、同5−119545号、同5−58071
号、同5−69684号各公報)ことにより非画像部の
親水性を向上させる事が検討されている。
【0009】しかしながら、この様にして得られた従来
の印刷版は、印刷耐久性を向上するために耐水化剤の添
加量を多くしたり疎水性樹脂を使用したりして疎水性を
増大させると、耐刷性は向上するが親水性が低下して印
刷汚れが発生し、他方親水性を良くすると耐水性が劣化
し耐刷性が低下するという問題があった。特に30℃以
上の高温での使用環境下では、オフセット印刷に使用す
る浸し水に表面層が溶解し、耐刷性の低下及び印刷汚れ
の発生など欠点があった。更に、直描型平版印刷用原版
の場合、油性インキ等を画像部として画像受理層に描画
するものであり、印刷用原版の受理層と油性インキの接
着性が良くなければ、たとえ非画像部の親水性が充分で
上記の如き印刷汚れが発生しなくても、印刷時に画像部
の油性インキが欠落してしまい、結果として耐刷性が低
下してしまうという問題も未だ充分に解決される所まで
至っていない。
【0010】他方、画像受理層として酸化チタンとポリ
ビニルアルコールそして加水分解したテトラメトキシシ
ラン又はテトラエトキシシランを含有する親水層から成
る版(例えば特開平3−42679号、同10−268
583号等)が挙げられる。しかし、実際に製版して印
刷版として印刷してみると、画像の耐刷性が不充分であ
った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の様な従
来の直描型平版印刷用原版の有する問題点を改良するも
のである。本発明の目的は、オフセット印刷版として全
面一様な地汚れはもちろん点状の地汚れも発生させない
優れた直描型平版印刷用原版を提供することである。本
発明の他の目的は、地汚れがなく、画像の欠落・歪み等
のない鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷可能とする印刷
版を与える直描型平版印刷用原版を提供することであ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下の構
成により達成される。 (1) 耐水性支持体上に、平均粒子径0.01〜5μ
mの金属酸化物粒子(但し、金属酸化物を構成する金属
原子は、Mg、Ba、Ge、Sn、Zn、Pb、La、
Zr、V、Cr、Mo、W、Mn、Co、Ni及びCu
から選択される少なくとも1種である)並びにSiが酸
素原子を介して繋がったシロキサン結合含有の樹脂と該
樹脂と水素結合を形成し得る基を含有する有機ポリマー
との複合体を含んでなる結着樹脂を少なくとも含有する
画像受理層を有することを特徴とする直描型平版印刷用
原版。
【0013】(2) 前記画像受理層のシロキサン結合
含有の樹脂が、下記一般式(I)で示される少なくとも
1種のシラン化合物の加水分解重縮合によるポリマーで
あることを特徴とする上記(1)記載の直描型平版印刷
用原版。
【0014】一般式(I) (R0)nSi(Y)4-n 〔一般式(I)中、R0は水素原子、炭化水素基または
ヘテロ環基を表す。Yは水素原子、ハロゲン原子、−O
1、−OCOR2または−N(R3)(R4)を表す
(R1、R2は各々炭化水素基を表し、R3、R4は同じで
も異なってもよく、水素原子または炭化水素基を表
す)。nは0、1または2を表す。但し、Si原子が3
個以上の水素原子と結合する場合を除く。〕
【0015】(3) 前記画像受理層表面の平滑性がベ
ック平滑度で30(秒/10cc)以上であることを特徴と
する上記(1)又は(2)記載の直描型平版印刷用原
版。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。本発明は、耐水性支持体上に、特定の金属原子
からなる金属酸化物の平均粒子径0.01〜5μmの粒
子、Siが酸素原子を介して繋がったシロキサン結合含
有の樹脂と水素結合性を有する特定の極性基を含有する
有機ポリマーとの複合体を少なくとも含有する結合樹脂
を少なくとも含有する親水性表面の画像受理層を設けて
成る直描型平版印刷用原版である。
【0017】本発明の画像受理層に用いる無機粒子は、
金属原子がMg、Ba、Ge、Sn、Zn、Pb、L
a、Zr、V、Cr、Mo、W、Mn、Co、Ni及び
Cuから選ばれる金属酸化物である。上記金属酸化物
は、安定性及び素材安全性に問題のない酸化物粒子であ
ればいずれでもよいが、好ましくはMg、Ge、Sn、
Zn、Pb、Zr、V、Cr、W、Ni又はCuであ
る。また、その粒子の大きさは、平均粒径で0.01〜
5μmであり、0.02〜3μmが好ましい。この範囲
において、画像受理層の表面の好ましい平滑性、画像形
成後の画像強度が得られ、非画像部の印刷インキ汚れ等
を生じない。
【0018】これらの金属酸化物は、従来公知の方法で
製造され、例えば、日本化学会編「実験化学講座9、無
機化合物の合成と精製」丸善(株)刊(1958年)、
化学大辞典編集委員会編「化学大辞典3」890〜94
9頁、共立出版(株)刊(1963年)等に具体的に記
載されている。また、これらの化合物は市販品としても
上市されており(例えば、関東化学(株)製、和光純薬
(株)製)、更に(社)色材協会編「色材ハンドブッ
ク」250頁、朝倉書店刊(1989年)、御園生晃等
著「塗料・顔料」184頁、日刊工業新聞社刊(196
0年)等に記載されている。
【0019】本発明の画像受理層に供される結着樹脂
は、Siが酸素原子を介して繋がったシロキサン結合含
有の樹脂(以下、シロキサンポリマーと略称する)と、
該シロキサン結合含有の樹脂と水素結合を形成し得る基
を含有する有機ポリマーとの複合体から成る樹脂である
ことを特徴とする。「シロキサンポリマーと有機ポリマ
ーとの複合体」とは、ゾル状物質及びゲル状物質を含む
意味に用いる。
【0020】シロキサンポリマーは「酸素原子−ケイ素
原子−酸素原子」から成る結合を主として含有するポリ
マーを示す。好ましくは、該ポリマーの主鎖中の置換基
及び/又は主鎖の末端にヒドロキシル基を有する。更に
必要に応じて炭化水素基を含有する。これにより、併用
する無機粒子や有機ポリマーとの組み合わせに応じて、
均一膜の形成、画像部の密着等を調整することができ
る。
【0021】本発明のシロキサンポリマーは、上記一般
式(I)で示されるシラン化合物の加水分解重縮合によ
って得られるポリマーであることが好ましい。ここで、
加水分解重縮合とは、加水分解性基が酸性ないし塩基性
条件下で加水分解、縮合を繰り返し、重合していく反応
であり、これによりヒドロキシル基が生成される。上記
シラン化合物は、1種又は2種以上混合して使用するこ
とができる。
【0022】次に、一般式(I)で示されるシラン化合
物について詳しく説明する。一般式(I)中のR0は、
好ましくは、水素原子、炭素数1〜12の置換されても
よい直鎖状もしくは分岐状のアルキル基{例えば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシ
ル基、ドデシル基等;これらの基に置換され得る基とし
ては、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原
子)、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、スル
ホ基、シアノ基、エポキシ基、−OR′基(R′は炭化
水素基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル
基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテ
ニル基、2−ヒドロキシエチル基、3−クロロプロピル
基、2−シアノエチル基、N,N−ジメチルアミノエチ
ル基、2−ブロモエチル基、2−(2−メトキシエチ
ル)オキシエチル基、2−メトキシカルボニルエチル
基、3−カルボキシプロピル基、ベンジル基等を示
す)、−OCOR′基、−COOR′基、−COR′
基、−N(R″)(R″)(R″は、水素原子又は前記
R′と同一の内容を表し、各々同じでも異なってもよ
い)、−NHCONHR′基、−NHCOOR′基、−
Si(R′)3基、−CONHR″基、−NHCOR′基
等が挙げられる。これらの置換基はアルキル基中に複数
置換されてもよい}、
【0023】炭素数2〜12の置換されてもよい直鎖状
又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペ
ニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オ
クテニル基、デセニル基、ドデセニル基等、これらの基
に置換される基としては、前記アルキル基に置換される
基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてい
てもよい)、炭素数7〜14の置換されてもよいアラル
キル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェ
ニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチ
ル基等;これらの基に置換される基としては、前記アル
キル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、
又複数置換されてもよい)、炭素数5〜10の置換され
てもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロ
ヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロ
ペンチルエチル基、ノルボニル基、アダマンチル基等、
これらの基に置換される基としては、前記アルキル基の
置換基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換され
てもよい)、炭素数6〜12の置換されてもよいアリー
ル基(例えばフェニル基、ナフチル基で、置換基として
は前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが
挙げられ、また複数置換されてもよい)、
【0024】又は、窒素原子、酸素原子及びイオウ原子
から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する縮環して
もよいヘテロ環基(例えばヘテロ環としては、ピラン
環、フラン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール
環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペ
リジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾ
オキサゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等
で、置換基を含有してもよい。置換基としては、前記ア
ルキル基中の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又
複数置換されてもよい)を表す。
【0025】Yは、好ましくはハロゲン原子(フッ素原
子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す)、−O
1基、−OCOR2基又は−N(R3)(R4)基を表す。
【0026】−OR1基において、R1は炭素数1〜10
の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プ
ロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル
基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒドロキシエチル
基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル
基、2−(メトキシエチルオキシ)エチル基、2−
(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メトキシプ
ロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオキシプロ
ピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル基、シク
ロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシクロヘキシ
ル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネ
チル基、ジメトキシベンジル基、メチルベンジル基、ブ
ロモベンジル基等が挙げられる)を表す。
【0027】−OCOR2基において、R2は、R1と同
一の内容の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されても
よい芳香族基(芳香族基としては、前記R0中のアリー
ル基で例示したと同様のものが挙げられる)を表す。−
N(R3)(R4)基において、R3及びR4は、互いに同じ
でも異なってもよく、各々、水素原子又は炭素数1〜1
0の置換されてもよい脂肪族基(例えば、前記の−OR
1基のR1と同様の内容のものが挙げられる)を表す。よ
り好ましくは、R3とR4の炭素数の総和が16ケ以内で
ある。
【0028】一般式(I)で示されるシラン化合物の具
体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限定
されるものではない。
【0029】メチルトリクロルシラン、メチルトリブロ
ムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチル
トリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エ
チルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシ
ラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルト
リクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−
プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキ
シシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n
−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリ
クロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘ
キシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシ
シラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−
ヘキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロ
ルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルト
リメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n
−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt
−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラ
ン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデ
シルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキ
シシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラ
ン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニ
ルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ
t−ブトキシシラン、
【0030】テトラクロルシラン、テトラブロムシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジ
メトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、
ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラ
ン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシ
シラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチル
ジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェ
ニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキ
シシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリブロムヒド
ロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポキシ
ヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニル
トリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシ
ラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフ
ルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエト
キシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、
【0031】γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリt−ブトキシンラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラ
ン、等が挙げられる。
【0032】本発明の画像受理層に用いる−般式(I)
で示されるシラン化合物とともに、Ti、Zn、Sn、
Zr、Al等のゾル−ゲル法で成膜可能な金属化合物を
併用することができる。用いられる金属化合物として、
例えば、Ti(OR5)4(R5はメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等。以下
同様)、TiCl4、Zn(OR5)2、Zn(CH3CO
CHCOCH3)2、Sn(OR5)4、Sn(CH3COC
HCOCH3)4、Sn(OCOR5)4、SnCl4、Zr
(OR5)4、Zr(CH3COCHCOCH3)4、Al
(OR5)3等が挙げられる。
【0033】次に、本発明に供される有機ポリマーにつ
いて説明する。本発明に用いられる有機ポリマーは、
「シロキサン結合含有の樹脂と水素結合を形成し得る
基」を有する。このような基としては、好ましくは、ア
ミド結合(カルボン酸アミド結合及びスルホンアミド結
合を含む)、ウレタン結合及びウレイド結合から選ばれ
る少なくとも一種の結合及び水酸基を挙げることができ
る。
【0034】有機ポリマーは、繰り返し単位成分とし
て、上記シロキサン結合含有の樹脂と水素結合を形成し
得る基(以下単に本発明の特定の結合基ともいう)を少
なくとも1種ポリマーの主鎖及び/又は側鎖に含有する
ものが挙げられる。好ましくは、繰り返し単位成分とし
て、−N(R11)CO−、−N(R11)SO2−、−N
HCONH−及び−NHCOO−から選ばれる少なくと
も1種の結合がポリマーの主鎖及び/又は側鎖に存在す
る成分、及び/又は−OH基を含有する成分が挙げられ
る。上記アミド結合中のR11は、水素原子又は有機残基
を表し、有機残基としては、一般式(I)中のR0にお
ける炭化水素基及びヘテロ環基と同一の内容のものが挙
げられる。
【0035】ポリマー主鎖に本発明の特定の結合基を含
有するポリマーとしては、−N(R 11)CO−結合また
は−N(R11)SO2−結合を有するアミド樹脂、−N
HCON−結合を有するウレイド樹脂、−NHCOO−
結合を含有するウレタン樹脂等が挙げられる。
【0036】アミド樹脂製造に供されるジアミン類とジ
カルボン酸類又はジスルホン酸類、ウレイド樹脂に用い
られるジイソシアナート類、ウレタン樹脂に用いられる
ジオール類としては、例えば高分子学会編「高分子デー
タハンドブック−基礎編−」第I章(株)培風舘刊(1
986年)、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブッ
ク」大成社刊(1981年)等に記載されている化合物
を用いることができる。
【0037】また、他のアミド結合を有するポリマーと
して、下記一般式(II)で示される繰り返し単位含有の
ポリマー、ポリアルキレンイミンのN−アシル化体また
はポリビニルピロリドンとその誘導体が挙げられる。
【0038】
【化1】
【0039】式(II)中、Z1は−CO−、−SO2−又
は−CS−を表す。R20は式(I)中のR0と同一の内
容のものを表す。r1は水素原子又は炭素数1〜6のア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基等)を表す。r1は同
じでも異なってもよい。pは2又は3の整数を表す。
【0040】一般式(II)で示される繰り返し単位を含
有するポリマーのうち、Z1が−CO−を表し、pが2
を表すポリマーは、置換基を有していてもよいオキサゾ
リンを触媒の存在下で開環重合することにより得られ
る。触媒としては、例えば、硫酸ジメチル、p−トルエ
ンスルホン酸アルキルエステルなどの硫酸エステルやス
ルホン酸エステル;ヨウ化アルキル(例えばヨウ化メチ
ル)などのハロゲン化アルキル;フリーデルクラフツ触
媒のうち金属フッ素化物;硫酸、ヨウ化水素、p−トル
エンスルホン酸などの酸や、これらの酸とオキザゾリン
との塩であるオキサゾリニウム塩などが使用できる。な
お、このポリマーは単独重合体であってもよく、共重合
体であってもよい。また、他のポリマーにこのポリマー
がグラフトした共重合体であってもよい。
【0041】オキサゾリンの具体例としては、例えば、
2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2
−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキ
サゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−
ブチル−2−オキサゾリン、2−ジクロロメチル−2−
オキサゾリン、2−トリクロロメチル−2−オキサゾリ
ン、2−ペンタフルオロエチル−2−オキサゾリン、2
−フェニル−2−オキサゾリン、2−メトキシカルボニ
ルエチル−2−オキサゾリン、2−(4−メチルフェニ
ル)−2−オキサゾリン、2−(4−クロロフェニル)
−2−オキサゾリンなどが挙げられる。好ましいオキサ
ゾリンには、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキ
サゾリン、2−エチル−2−オキサゾリンなどが含まれ
る。このようなオキサゾリンのポリマーは一種又は二種
以上使用できる。
【0042】一般式(II)で示される繰り返し単位を有
する他のポリマーについても、オキサゾリンの代わりに
チアゾリン、4,5−ジヒドロ−1,3−オキサジン又
は4,5−ジヒドロ−1,3−チアジンを用いて同様に
得ることができる。
【0043】ポリアルキレンイミンのN−アシル化体と
しては、カルボン酸ハライド類との高分子反応で得られ
る−N(CO−R20)−を含むカルボン酸アミド体、又
はスルホニルハライド類との高分子反応で得られる−N
(SO2−R20)−を含むスルホンアミド体(ここで、
20は上記式(II)におけるR20と同義である)が挙げ
られる。
【0044】また、ポリマーの側鎖に本発明の特定の結
合基を含有するポリマーとしては、少なくとも該特定の
結合基から選ばれた結合基の少なくとも1種を含有する
成分を主成分として含有するものが挙げられる。このよ
うな成分としては、例えば、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、クロトンアミド、ビニル酢酸アミドあるいは
以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は、これらに
限定されるものではない。
【0045】
【化2】
【0046】
【化3】
【0047】一方、水酸基含有の有機ポリマーとして
は、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成高分
子のいずれでもよく、具体的には小竹無二雄監修「大有
機化学19、天然高分子化合物I」朝倉書店刊(196
0年)、経営開発センター出版部編「水溶性高分子・水
分散型樹脂総合技術資料集」経営開発センター出版部刊
(1981年)、長友新治「新・水溶性ポリマーの応用
と市場」(株)シーエムシー刊(1988年)、「機能
性セルロースの開発」(株)シーエムシー刊(1985
年)等に記載のものが挙げられる。
【0048】例えば、天然及び半合成の高分子として
は、セルロース、セルロース誘導体(セルロースエステ
ル類;硝酸セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、コハク酸セルロース、酪
酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸酪酸セル
ロース、酢酸フタル酸セルロース等、セルロースエーテ
ル類;メチルセルロース、エチルセルロース、シアノエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシ
エチルセルロース等)、デンプン、デンプン誘導体(酸
化デンプン、エステル化デンプン類;硝酸、硫酸、リン
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸等のエステル
化体、エーテル化デンプン類;メチル化、エチル化、シ
アノエチル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシメチ
ル化等の誘導体)、アルギン酸、ペクチン、カラギーナ
ン、タマリンドガム、天然ガム類(アラビアガム、グア
ーガム、ローカストビーンガム、トラカガントガム、キ
サンタンガム等)、プルラン、デキストラン、カゼイ
ン、ゼラチン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0049】合成高分子としては、例えばポリビニルア
ルコール、ポリアルキレングリコール(ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、(エチレングリ
コール/プロピレングリコール)共重合体等)、アリル
アルコール共重合体、水酸基を少なくとも1種含有のア
クリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合
体もしくは共重合体(エステル置換基として、例えば2
−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、
2,3−ジヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2
−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル基、3−ヒド
ロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピル基、
ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、
等)、アクリルアミド又はメタクリルアミドのN−置換
体の重合体もしくは共重合体(N−置換基として、例え
ば、モノメチロール基、2−ヒドロキシエチル基、3−
ヒドロキシプロピル基、1,1−ビス(ヒドロキシメチ
ル)エチル基、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシ
ペンチル基、等)等が挙げられる。但し、合成高分子と
しては、繰り返し単位の側鎖置換基中に少なくとも1個
の水酸基を含有するものであれば、特に限定されるもの
ではない。
【0050】本発明の画像受理層に供される有機ポリマ
ーの重量平均分子量は、好ましくは103〜106、より
好ましくは5×103〜4×105である。
【0051】本発明のシロキサンポリマーと有機ポリマ
ーの複合体において、シロキサンポリマーと有機ポリマ
ーの割合は広い範囲で選択できるが、好ましくはシロキ
サンポリマー/有機ポリマーの重量比で10/90〜9
0/10、より好ましくは20/80〜80/20であ
る。この範囲において、画像受理層の膜の強度、印刷時
の湿し水に対する耐水性が良好となる。
【0052】本発明の複合体を含む結着樹脂は、前記シ
ロキサンポリマー中に存在するヒドロキシル基、例えば
前記シラン化合物の加水分解重縮合により生成したシロ
キサンポリマーのヒドロキシル基と、有機ポリマー中の
前記「特定の結合基」とが水素結合作用により均一な有
機、無機ハイブリッドを形成し、相分離することなくミ
クロ的に均質となり、本発明に供されるシロキサンポリ
マーと有機ポリマーとの親和性が保持されているものと
推定される。更にシロキサンポリマーに炭化水素基が存
在する場合には、その炭化水素基に起因して、有機ポリ
マーとの親和性がさらに向上するものと推定される。本
発明の複合体は成膜性に優れている。
【0053】この様な有機・無機ポリマー複合体の樹脂
は、前記シラン化合物を加水分解重縮合し、有機ポリマ
ーと混合することにより製造するか、または有機ポリマ
ーの存在下、前記シラン化合物を加水分解重縮合するこ
とにより容易に製造される。
【0054】好ましくは、有機ポリマーの存在下、前記
シラン化合物をゾル−ゲル法により加水分解重縮合する
ことにより有機・無機ポリマー複合体を得ることができ
る。生成した有機・無機ポリマー複合体において、有機
ポリマーは、シラン化合物の加水分解重縮合により生成
したゲルのマトリックス(すなわち無機金属酸化物の三
次元微細ネットワーク構造体)中に均一に分散してい
る。
【0055】上記好ましい方法としてのゾル−ゲル法
は、従来公知のゾル−ゲル法を用いて行なうことができ
る。具体的には、「ゾル−ゲル法による薄膜コーティン
グ技術」(株)技術情報協会(刊)(1995年)、作
花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社
(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法によ
る機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(19
92年)等の成書に詳細に記載の方法に従って実施でき
る。
【0056】画像受理層用の塗布液は、水系溶媒が好ま
しく、更には塗液調整時の沈殿抑制による均一液化のた
めに水溶性溶媒を併用する。水溶性溶媒としては、アル
コール類(メタノール、エタノール、プロピルアルコー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、エチレ
ングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール
ジメチルエーテル、テトラヒドロピラン、等)、ケトン
類(アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン
等)、エステル類(酢酸メチル、エチレングリコールモ
ノメチルモノアセテート等)、アミド類(ホルムアミ
ド、N−メチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチル
ピロリドン等)等が挙げられ、1種あるいは2種以上を
併用してもよい。
【0057】更に、一般式(I)で示される前記のシラ
ン化合物の加水分解及び重縮合反応を促進するために、
酸性触媒又は塩基性触媒を併用することが好ましい。触
媒は、酸または塩基性化合物をそのままか、あるいは水
またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの
(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒という)を用い
る。そのときの濃度については特に限定しないが、濃度
が濃い場合は加水分解及び重縮合速度が速くなる傾向が
ある。但し、濃度の濃い塩基性触媒を用いると、ゾル溶
液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒の
濃度は1N(水溶液での濃度換算)以下が望ましい。
【0058】酸性触媒または塩基性触媒の種類は特に限
定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合
には、焼結後に触媒結晶粒中にほとんど残留しないよう
な元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触
媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、
亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸
や酢酸などのカルボン酸、構造式RCOOHのRを他元
素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベン
ゼンスルホン酸などのスルホン酸など、塩基性触媒とし
ては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルア
ミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0059】本発明の画像受理層には、上記した成分と
共に、他の構成成分を含有してもよい。他の成分とし
て、本発明の特定の金属酸化物粒子以外の無機顔料粒子
を含有してもよい。例えば、シリカ、アルミナ、カオリ
ン、クレー、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウ
ム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム
等が挙げられる。これら他の無機顔料は、本発明の金属
酸化物粒子100重量部に対して、40重量部を超えな
い範囲で用いる。好ましくは、20重量部以内である。
【0060】画像受理層中の顔料(本発明の金属酸化物
粒子及び必要により用いられる他の無機顔料粒子)/結
着樹脂の割合は、一般に顔料100重量部に対して、結
着樹脂が8〜50重量部の割合であり、好ましくは10
〜30重量部の割合である。この範囲において、本発明
の効果が有効に発現すると共に印刷時における膜強度が
保持され且つ非画像部の高い親水性の維持がなされる。
また、画像部が画像受理層に充分に密着し、印刷枚数が
多くなっても画像の欠損を生じることなく充分な耐刷性
を得ることができる。
【0061】その他、画像受理層には、膜強度をより向
上させるために架橋剤を添加してもよい。架橋剤として
は、通常架橋剤として用いられる化合物を挙げることが
できる。具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハ
ンドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編
「高分子データハンドブック、基礎編」培風館(198
6年)等に記載されている化合物を用いることができ
る。
【0062】例えば、塩化アンモニウム、金属イオン、
有機過酸化物、ポリイソシアナート系化合物(例えばト
ルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシ
アナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポ
リメチレンフェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジ
イソシアナート、イソホロンジイソシアナート、高分子
ポリイソシアナート等)、ポリオール系化合物(例え
ば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプロピレング
リコール、ポリオキシエチレングリコール、1,1,1
−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン系化合物
(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシプロピル
化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、変性脂肪
族ポリアミン類等)、ポリエポキシ基含有化合物及びエ
ポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著「新エポキシ樹脂」昭
晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」
日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物
類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著
「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年
刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)クリレー
ト系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編
「オリゴマー」講談杜(1976年刊)、大森英三「機
能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)
等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0063】本発明の画像受理層は、上記塗布液を耐水
性支持体上に、従来公知の塗布方法のいずれかを用いて
塗布、乾燥することにより成膜される。形成される画像
受理層の膜厚は0.2〜10μmが好ましく、より好ま
しくは0.5〜8μmである。この範囲で均一な厚みの
膜が作成され、且つ膜の強度が充分となる。
【0064】本発明の画像受理層はその表面の平滑性が
ベック平滑度で30(秒/10cc)以上が好ましい。更に
は、製版を電子写真式プリンターで行う場合、用いるト
ナーが乾式トナーと液体トナーで好ましい範囲は以下の
ようになる。
【0065】乾式トナーを用いる電子写真式プリンター
では、本発明の原版の画像受理層表面は、30〜200
(秒/10cc)が好ましく、より好ましくは50〜150
(秒/10cc)である。この範囲において、トナー画像を
原版に転写し定着するプロセスにおいて、飛散トナーの
非画像部への付着(即ち、地汚れ)が防止され、また画
像部のトナー密着が均一且つ充分になされ、細線・細文
字の再現性やべタ画像部の均一性が良好となる。
【0066】他方、液体トナーを用いる電子写真式プリ
ンターでは、画像受理層表面は30(秒/10cc)以上
で、高い程よく、150〜3000(秒/10cc)、より
好ましくは200〜2500(秒/10cc)である。ま
た、インクジェット式プリンター、感熱転写型プリンタ
ーでは、上記液体トナー利用の電子写真式プリンターの
場合と同様の範囲が好ましい。この範囲において、細線
・細文字、網画像等の高精細なトナー画像部が忠実に画
像受理層上に転写・形成され且つ画像受理層表面とトナ
ー画像部の密着も充分になされ、画像部強度が保持でき
る。
【0067】ここでベック平滑度は、ベック平滑度試験
機により測定することができ、高度に平滑に仕上げられ
た中央に穴のある円形のガラス板上に、試験片を一定圧
力(1kg/cm2)で押しつけ、減圧下で一定量(10cc)の
空気が、ガラス面と試験片との間を通過するのに要する
時間を測定するものである。
【0068】更に好ましくは、本発明の画像受理層表面
の形状を凹凸の形成が高く且つ間隔が密な状態とする。
具体的には、ISO−468で定義される表面中心平均
粗さSRaが1.3〜3.5μmの範囲で且つ表面粗さ
の密度を表示する平均波長Sλaが50μm以下の範囲
であることが好ましい。より好ましくは、SRaが1.
35〜2.5μm、Sλaが45μm以下の範囲であ
る。この事により、電子写真製版後の非画像部への飛散
トナーの付着及び付着トナーの定着時の太りが抑制され
るものと推定される。
【0069】次に、本発明に供せられる耐水性支持体に
ついて説明する。耐水性支持体としては、アルミニウム
板、亜鉛板、銅−アルミニウム板、銅−ステンレス板、
クロム−銅板等のバイメタル板、クロム−銅−アルミニ
ウム板、クロム−鉛−鉄板、クロム−銅−ステンレス板
等のトライメタル板で、その厚さが0.1〜3mm、特に
0.1〜1mmのものが挙げられる。また、厚みが80μ
m〜200μmの耐水性処理を施した紙、プラスチック
フィルムあるいは金属箔をラミネートした紙またはプラ
スチックフィルム等が挙げられる。
【0070】本発明に供せられる支持体は高平滑な表面
を有することが好ましい。即ち、画像受理層に隣接する
側の表面の平滑性が、ベック平滑度で300(秒/10c
c)以上、より好ましくは900〜3000(秒/10c
c)に調製されていることが好ましく、より好ましくは
1000〜3000(秒/10cc)であることが好まし
い。支持体の画像受理層に隣接する側の表面の平滑性を
ベック平滑度で300(秒/10cc)以上に規制すること
によって、画像再現性及び耐刷性をさらに向上させるこ
とができる。このような向上効果は、画像受理層表面の
平滑性が同じであっても得られるものであり、支持体表
面の平滑性が増すことで画像部と画像受理層との密着性
が向上したためと考えられる。
【0071】このように規制された耐水性支持体の高平
滑な表面とは、画像受理層が直接塗布される面のことを
いい、例えば、支持体上に後述する導電層、アンダー
層、オーバーコート層を設ける場合には、その導電層、
アンダー層、オーバーコート層の表面のことをいう。こ
れにより支持体の表面の凹凸の影響を受けることなく上
記のように表面状熊が調整された画像受理層が充分に保
持され、より一層の画質向上が可能となる。
【0072】上記平滑度の範囲に設定する方法として
は、種々従来公知の方法を用いることができる。具体的
には、基体表面を樹脂により、溶融接着する方法、高平
滑の熱ローラーによるカレンダー強化法等の方法によ
り、支持体の表面のベック平滑度を調整する方法等を挙
げることができる。
【0073】本発明の直描型平版印刷用原版は耐水性支
持体上に設けられた画像受理層に、電子写真記録方式で
トナー画像を形成する、あるいは静電界を利用して油性
インクを吐出する静電吐出型インクジェット法で画像を
形成するために用いられる平版印刷用原版としても好ま
しく用いることができ、画像形成により得られた平版印
刷版は、鮮明な画像を多数枚印刷することが可能であ
る。
【0074】電子写真記録方式による画像形成は、通
常、電子写真プロセスで、被転写材上へのトナー画像の
転写は、静電転写により行なわれている。印刷用原版と
しての耐水性支持体は導電性であることが好ましく、特
にその体積固有抵抗値が104〜1013Ω・cmが好まし
く、より好ましくは107〜1012Ω・cmである。これ
により転写画像の滲み・歪みや非画像部へのトナー付着
汚れ等が実用上問題のない程度に抑制され、良好な画像
が得られる。
【0075】また、静電吐出型インクジェット記録方式
による画像形成でも、上記耐水性支持体は、導電性を有
するものであることが好ましく、少なくともその画像受
理層の直下の部分が1010Ω・cm以下の固有電気抵抗値
を有するものであることが好ましく、耐水性支持体全体
が1010Ω・cm以下であることがより好ましい。上記の
固有電気抵抗値は、さら好ましくは、108Ω・cm以下
であり、その値は、限りなく零であってもよい。導電性
が上記の範囲内において、帯電したインク滴が画像受理
層上に付着した際に該インク滴の電荷が速やかに接地面
を通して消失するために、乱れを生じない鮮明な画像が
形成される。なお、固有電気抵抗値(体積固有電気抵抗
値または比電気抵抗値とも呼ばれる)の測定はJIS
K−6911に基づきガード電極を設けた3端子法で行
った。
【0076】支持体の画像受理層の直下の部分に上記の
ような導電性を持たせるには、紙、フィルム等の基体上
に、カーボンブラック等の導電性フィラーと結着剤から
なる層を塗布したり、金属箔を貼り付けたり、金属を蒸
着したりする方法が挙げられる。
【0077】一方、支持体全体が導電性を有するものと
しては、例えば塩化ナトリウムなどを含浸させた導電性
紙、カーボンブラック等の導電性フィラーを混入させた
プラスチックフィルム、アルミニウムなどの金属板等が
挙げられる。
【0078】本発明に好ましく用いることのできる導電
性を有する耐水性支持体について詳述する。支持体全体
が導電性を有するものは、例えば基体に塩化ナトリウム
などを含浸させた導電性原紙を用い、その両面に耐水性
を有する導電性層を設けることにより得られる。基体と
して用いられる原紙としては、例えば木材パルプ紙、合
成パルプ紙、木材パルプ紙と合成パルプ紙の混抄紙をそ
のまま用いることができる。また、原紙の厚さとしては
80μm〜200μmが好ましい。
【0079】導電性層の形成は、導電性フィラーと結着
剤を含む層を上記導電性紙の両面に塗布することにより
達成される。塗布される導電性層の厚さは、5μm〜2
0μmが好ましい。導電性フィラーとしては、粒子状の
カーボンブラック、グラファイト、例えば銀、銅、ニッ
ケル、真鍮、アルミニウム、鋼、ステンレスなどの金属
粉、酸化スズ粉末、フレーク状のアルミニウムまたはニ
ッケル、繊維状の炭素などが挙げられる。
【0080】結着剤として使用される樹脂としては、各
種の樹脂が適宜選択して用いられる。具体的には、疎水
性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系
樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、
スチレン−アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩化ビニ
リデン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等が挙げられ、親水性
樹脂としては例えばポリビニルアルコール系樹脂、セル
ロール系誘導体、でんぷんおよびその誘導体、ポリアク
リルアミド系樹脂、スチレン無水マレイン酸系共重合体
等が挙げられる。
【0081】導電性層を形成する他の方法として、導電
性の薄膜をラミネートすることがあげられる。導電性薄
膜としては、例えば金属箔、導電性プラスチックフィル
ムなどを用いることができる。さらに具体的には、金属
箔ラミネート材としてアルミ箔、導電性プラスチックフ
ィルムのラミネート材としては、カーボンブラックを混
入したポリエチレン樹脂などがあげられる。アルミ箔と
しては、硬質および軟質のどちらでも良く、厚みは5μ
m〜20μmが好ましい。
【0082】カーボンブラックを混入したポリエチレン
樹脂のラミネートには押し出しラミネート法が好まし
い。押し出しラミネート法とは、ポリオレフィンを熱溶
融し、これをフィルムにしてから直ちに原紙に圧着後、
冷却してラミネートする方法であり、種々の装置が知ら
れている。ラミネート層の厚みは、10μm〜30μm
が好ましい。支持体全体が導電性を有するものとして、
基体として導電性を有するプラスチックフィルムや金属
板を用いる場合は、耐水性が満たされていればそのまま
で使用できる。
【0083】導電性を有するプラスチックフィルムとし
ては、例えば炭素繊維やカーボンブラック等の導電性フ
ィラーを混入させたポリプロピレン、ポリエステルフィ
ルムなどが、また金属板としては、アルミニウムなどが
使用できる。基体の厚みは80μm〜200μmが好ま
しい。80μm未満では印刷版としての強度が不足し、
200μmを超えると描画装置内での搬送性などのハン
ドリング性が低下する。
【0084】次に、導電性を有する層を設ける構成につ
いて説明する。耐水性基体として、厚みが80μm〜2
00μmの耐水性処理を施した紙、プラスチックフィル
ムあるいは金属箔をラミネートした紙またはプラスチッ
クフィルム等を用いることができる。基体上に導電性層
を形成する方法としては、上記の支持体全体が導電性を
有する場合で述べた方法が使用できる。すなわち基体の
一つの面に導電性フィラーと結着剤を含む層を厚さ5μ
m〜20μmで塗布する。または金属箔、あるいは導電
性を有するプラスチックフィルムをラミネートすること
により得られる。
【0085】上記以外の方法としては、例えばプラスチ
ックフィルムにアルミ、スズ、パラジウム、金などの金
属蒸着膜を設けても良い。以上のようにして導電性を有
する耐水性支持体を得ることができる。
【0086】また、本発明では上記のように画像受理層
とは反対の支持体面にカール防止を目的としてバックコ
ート層(裏面層)を設けることができるが、バックコー
ト層は、その平滑度が150〜700(秒/10cc)の範
囲であることが好ましい。これにより、印刷版をオフセ
ット印刷機に給版する場合に、ズレやスベリを生じるこ
となく印刷版が正確に印刷機にセットされる。
【0087】アンダー層またはバックコート層を設けた
耐水性支持体の膜厚としては、90〜130μmの範
囲、好ましくは100〜120μmの範囲である。
【0088】本発明の平版印刷用原版に、感熱転写記録
方式、電子写真記録方式あるいはインクジェット記録方
式等で画像形成を行ない製版が行われる。
【0089】電子写真記録方法としては、従来公知の記
録方式のいずれをも用いることができる。例えば電子写
真学会編「電子写真技術の基礎と応用」(株)コロナ社
刊、(1988年)、江田研一、電子写真学会誌27
113(1988)、川本晃生、同33,149(19
94)、川本晃生、同32,196(1993)等に記
載の方法あるいは市販のPPC複写機等が挙げられる。
デジタル情報に基づいて露光するレーザー光によるスキ
ャニング露光方式及び液体現像剤を用いる現像方式の組
合せが、高精細な画像を形成できることから有効なプロ
セスである。その一例を以下に示す。
【0090】まず、感光材料をフラットベット上にレジ
スターピン方式による位置決めを行った後背面よりエア
ーサクションにより吸引して固定する。次いで、例えば
上記「電子写真技術の基礎と応用」212頁以降に記載
の帯電デバイスにより感光材料を帯電する。コロトロン
又はスコトロン方式が一般的である。この時感光材料の
帯電電位検出手段からの情報に基づき、常に所定の範囲
の表面電位となるようフィードバックをかけ、帯電条件
をコントロールすることも好ましい。その後例えば同じ
く上記引用資料の254頁以降に記載の方式を用いてレ
ーザー光源による走査露光を行う。
【0091】次いで液体現像剤を用いてトナー画像の形
成を行う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料
は、そこからはずして同上引用資料の275頁以降に示
された湿式現像法を用いることができる。この時の露光
モードは、トナー画像現像モードに対応して行われ、例
えば反転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー
光を照射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ電
荷極性を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加し
て露光部にトナーが電着するようにする。原理の詳細は
同上引用資料の157頁以降に説明がある。
【0092】現像後に余剰の現像液を除くために、同資
料283頁に示されるようなゴムローラ、ギャップロー
ラ、リバースローラ等のスクイーズ、コロナスクイー
ズ、エアスクイーズ等のスクイーズを行う。スクイーズ
前に現像剤の担体液体のみでリンスをすることも好まし
い。次に感光体上に上記の様にして形成されたトナー画
像を被転写材である平版印刷用原版上に転写・定着す
る、または中間転写体を経由して平版印刷用原版に転写
・定着するものである。
【0093】インクジェット記録方法としては、従来公
知の記録方式のいずれでもよいが、インク画像の乾燥・
定着性、インクのつまり難さ等から油性インクが好まし
く且画像滲みを生じ難い静電吐出型インクジェット方式
が好ましい。ホットメルトインクを用いたソリッドジェ
ット方式も好ましく用いられる。
【0094】静電吐出型インクジェット記録は、国際特
許WO93/11866号、同97/27058号、同
97/27060号等に記載の記録装置が用いられる。
用いる油性インクは好ましくは電気抵抗109Ω・cm以
上かつ誘電率3.5以下の非水溶媒を分散媒とし、少な
くとも常温(15℃〜35℃)で固体かつ疎水性の樹脂
粒子が分散されたものである。このような分散媒を用い
ることによって、油性インクの電気抵抗が適正に制御さ
れて電界によるインクの吐出が適正となり画質が向上す
る。また、上記のような樹脂粒子を用いることによって
画像受理層との親和性が増し、良好な画質が得られると
ともに耐刷性が向上する。具体的には、特開平10−2
59366号、同10−316920号、同10−20
4354号、同10−204356号、同10−315
617号、同11−43638号等に記載の油性インク
が挙げられる。
【0095】また、ソリッドジェット方式としては、So
lid Inkjet Platemaker SJ02A(日立工機(株)製)、
MP−1200Pro(Dynic(株)製)等の市販されたプ
リントシステムが挙げられる。
【0096】インクジェット記録方法を用いた製版方法
を図を用いてより具体的に説明する。図1に示す装置系
は油性インクを使用するインクジェット記録装置1を有
するものである。
【0097】図1のように、まず、マスター(平版印刷
用原版)2に形成すべき画像(図形や文章)のパターン
情報を、コンピュータ3のような情報供給源から、バス
4のような伝達手段を通し、油性インクを使用するイン
クジェット記録装置1に供給する。記録装置1のインク
ジェット記録用ヘッド10は、その内部に油性インクを
貯え、記録装置1内にマスター2が通過すると、前記情
報に従い、インクの微小な液滴をマスター2に吹き付け
る。これにより、マスター2に前記パターンでインクが
付着する。こうしてマスター2に画像を形成し、製版マ
スター(製版印刷用原版)を得る。
【0098】図1の装置系に用いられるインクジェット
記録装置の例を図2および図3に示す。図2および図3
では図1と共通する部材は共通の符号を用いて示してい
る。図2はこのようなインクジェット記録装置の要部を
示す概略構成図であり、図3はヘッドの部分断面図であ
る。
【0099】インクジェット記録装置に備えられている
ヘッド10は、図2、図3に示されるように、上部ユニ
ット101と下部ユニット102とで挟まれたスリット
を有し、その先端は吐出スリット10aとなっており、
スリット内には吐出電極10bが配置され、スリット内
には油性インク11が満たされた状態になっている。
【0100】ヘッド10では、画像のパターン情報のデ
ジタル信号に従って、吐出電極10bに電圧が印加され
る。図2に示されるように、吐出電極10bに対向する
形で対向電極10cが設置されており、対向電極10c
上にはマスター2が設けられている。電圧の印加によ
り、吐出電極10bと、対向電極10cとの間には回路
が形成され、ヘッド10の吐出スリット10aから油性
インク11が吐出され対向電極10c上に設けられたマ
スター2上に画像が形成される。
【0101】吐出電極10bの幅は、高画質の画像形成
を行うためにその先端はできるだけ狭いことが好まし
い。例えば油性インクを図3のヘッド10に満たし、先
端が20μm 幅の吐出電極10bを用い、吐出電極10
bと対向電極10cの間隔を1.5mmとして、この電極
間に3KVの電圧を0.1ミリ秒印加することで40μ
m のドットの印字をマスター2上に形成することができ
る。
【0102】更に、他のインクジェット記録装置の構成
例を図4および図5に示す。図4は説明のためヘッドの
一部分のみを示した概略図である。インクジェット記録
ヘッド13は図4に示すように、プラスチック、セラミ
ック、ガラス等の絶縁性材料から作成されたヘッド本体
14とメニスカス規制板15、16からなる。図中、1
7は吐出部に静電界を形成するために電圧印加を行う吐
出電極である。
【0103】さらにヘッドから規制板15、16を取り
除いた図5によりヘッド本体について詳述する。ヘッド
本体14にはヘッド本体のエッジに垂直に、インクを循
環させるためのインク溝18が複数設けてある。このイ
ンク溝18の形状は均一なインクフローを形成できるよ
うに毛細管力が働く範囲に設定されていればよいが、特
に望ましくは幅は10〜200μm、深さは10〜30
0μmである。インク溝18の内部には吐出電極17が
設けられている。この吐出電極17は、絶縁性材料から
なるヘッド本体14上にアルミニウム、ニッケル、クロ
ム、金、白金などの導電性材料を使って、公知の方法に
より形成され、インク溝18内全面に配置してもよい
し、一部分のみに形成してもよい。なお吐出電極間は電
気的に独立している。
【0104】隣り合う2つのインク溝は1つのセルを形
成し、その中心にある隔壁19の先端部には吐出部2
0、20′を設けている。吐出部20、20′では隔壁
は他の隔壁部分19に比べ薄くなっており、尖鋭化され
ている。なお吐出部は20′の様に先端をわずかに面取
りされていても良い。このようなヘッド本体は絶縁性材
料ブロックの機械加工、エッチング、あるいはモールデ
ィング等公知の方法により作成される。吐出部での隔壁
の厚さは望ましくは5〜100μmであり、尖鋭化され
た先端の曲率半径は5〜50μmの範囲であることが望
ましい。図中には2つのセルのみを示しているが、セル
の間は隔壁21で仕切られ、その先端部22は吐出部2
0、20′よりも引っ込むように面取りされている。
【0105】このヘッドに対し、図示されないインク供
給手段によりI方向からインク溝を通してインクを流
し、吐出部にインクを供給する。さらに図示されないイ
ンク回収手段により余剰なインクはO方向に回収され、
その結果、吐出部には常時、新鮮なインクが供給され
る。Lの様に吐出部付近のインクに光照射を行った状態
で、吐出部に対向する形で設けられ、その表面に平版印
刷用原版を保持した図示されない対向電極に対して、吐
出電極に画像データに応じた信号電圧を印加することに
より、吐出部からインクが吐出され平版印刷用原版上に
画像が形成される。
【0106】以上のようにして、平版印刷用原版上に、
油性インクを使用したインクジェット方式で画像形成し
て製版マスターが得られる。
【0107】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定される
ものではない。
【0108】実施例1及び比較例A 酸化亜鉛FINEX−50(堺化学工業(株)製、平均
粒径:40nm)100g、ポリビニルアルコールPV
A117((株)クラレ製)の10wt%水溶液113g
及び水240gをガラスビーズとともにペイントシェー
カー(東洋精機(株)製)で30分間分散した。更にそ
こに予め加水分解したテトラエトキシシランの20wt%
(水/エタノール(1/1)重量比)溶液110gとコ
ロイダルシリカ{スノーテックC(20wt%水分散
液)、日産化学工業(株)製}200gを加え、3分間
分散した後、ガラスビーズを濾別し分散物を得た。
【0109】軽印用電子写真式平版印刷原版として用い
られているELP−2X型マスター(富士写真フイルム
(株)製)の支持体〔アンダー側のベック平滑度:20
00(秒/10cc)〕を用い、上記画像受理層組成物をワ
イヤーバーを用いて、乾燥後の塗布量が8g/m2 にな
るように塗布し、オーブンで100℃、10分間乾燥し
て画像受理層を作成し平版印刷用原版とした。
【0110】<比較例A>上記実施例1において、酸化
亜鉛の代わりに酸化チタン(TiO2 :平均粒径0.3
μm)を用いた他は、実施例1と同様にして平版印刷用
原版を作成した。
【0111】以上の様にして得られた各版の性能結果を
表−Aに示した。
【0112】
【表1】
【0113】表−Aに記載の評価項目は下記の内容に従
って行なった。
【0114】注1)平滑性 平版印刷用原版をベック平滑度試験機(熊谷理工(株)
を用い、空気容量10ccの条件にてその平滑度(秒/10
cc)を測定する。
【0115】注2)水との接触角 平版印刷用原版の表面に、蒸留水2μlを乗せ、室温で
30秒経過後の表面接触角(度)を、表面接触角計(C
A−D、協和界面科学(株)製品名)を用いて測定す
る。
【0116】注3)画像再現性 上記の様にして作成した平版印刷用原版を用いて、パソ
コン出力を描画できるグラフテック社製サーボ・プロタ
ーDA8400を改造し、ベン・プロッター部に図4に
示したインク吐出ヘッドを装着し、500μmの間隔を
おいた対向電極上に設置された平版印刷用原版に下記内
容の油性インク(IK−1)を用いて印字を行ない製版
した。続けて、RICOH FUSERモデル592
(リコー(株)製)を用いて、インク画像面の表面温度
が80℃となる様に調整して1分間加熱し、画像部を充
分に定着した。得られた製版物(即ち印刷版)の複写画
像を光学顕微鏡により、200倍の倍率で目視観察し
た。
【0117】<油性インク(IK−1)の作成>下記構
造の分散安定用樹脂(PS−1)12g、酢酸ビニル1
00g及びアイソパーG321gの混合溶液を窒素気流
下攪拌しながら温度75℃に加温した。重合開始剤とし
て2,2′−アゾビス(イソバレロニトリル)(略称
A.I.V.N.)1.5gを加え3時間反応した。更
に、この開始剤1.0gを加え、3時間反応した後、温
度を100℃に上げ2時間攪拌し、未反応の酢酸ビニル
を留去した。冷却後200メッシュのナイロン布を通
し、得られた白色分散物は重合率93%で平均粒径0.
38μmの単分散性良好なラテックスであった。粒径は
CAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定した。
【0118】
【化4】
【0119】上記白色分散物の一部を遠心分離機(回転
数1×104r.p.m.、回転時間60分)にかけて
沈降した樹脂粒子分を捕集・乾燥した。樹脂粒子分の重
量平均分子量(Mw;ポリスチレン換算GPC値)は2
×105、ガラス転移点(Tg)は38℃であった(樹
脂粒子(PL−1)と称する)。
【0120】一方、ドデシルメタクリレート/アクリル
酸共重合体(共重合比:95/5重量比)10g、ニグ
ロシン10g及びアイソパーG30gをガラスビーズと
ともにペイントシェーカー(東洋精機(株)製)に入
れ、4時間分散し、ニグロシンの微小な分散物を得た。
上記樹脂粒子(PL−1)20g(固形分量として)、
上記ニグロシン分散物7.5g及びドデセン−半マレイ
ン酸オクタデシルアミド共重合体0.06gをアイソパ
ーEの1リットルに希釈することにより黒色油性インク
(IK−1)を作成した。
【0121】注4)耐刷性 平版印刷用原版に、注3)と同様にして画像形成及び定
着を行い平版印刷版を作成した。この印刷版を用い、浸
し水としてPS版用処理剤:EU−3(富士写真フィル
ム(株)製)を水で50倍に希釈した溶液を用い、印刷
機として、オリバー94型((株)桜井製作所製)を用
い、オフセット印刷用墨インクで印刷した。地汚れがな
く、細線・文字等の欠落のない鮮明な画像の印刷物の得
られた枚数を耐刷性として表す。
【0122】表−Aの結果から、実施例1及び比較例A
の画像受理層表面の平滑性はほぼ同じであり、また水と
の接触角はいずれも0度で表面の親水性は良好であっ
た。実際に製版した版は、実施例1では細線、細文字等
に滲みや歪みがなく、ベタ部の濃度の充分であり、更に
製版上のドット画像は真円状で良好であった、これに対
し、比較例Aでは、ドットの形状、細線や細文字等は実
施例1と同等であったが、ベタ部の濃度が薄くなった。
得られた版を実際に印刷したところ、実施例1では非画
像部に印刷インキ付着汚れのない鮮明な画像の印刷物が
1万枚得られたのに対し、比較例Aでは、非画像部の汚
れは生じなかったが、画像部の欠落が1500枚程で生
じた。
【0123】実施例2〜18 実施例1において酸化亜鉛100gの代わりに、下記表
−Bに記載の各化合物(平均粒径:0.03〜2μm)
100gを用いた他は、実施例1と同様にして、各平版
印刷用原版を作成した。得られた各原版の表面のベック
平滑度は250〜300(秒/10cc)で、水との接触角
は、いずれも0度であった。各原版について、実施例1
と同様にして製版し、印刷した。得られた印刷物は非画
像部に地汚れがなく、細線・細文字に滲みや歪みのない
鮮明な画像のものが得られた。これら各版の耐刷性の結
果を表−Bに記した。各版とも5千枚以上の良好な耐刷
性を示した。
【0124】
【表2】
【0125】実施例19 <直描型平版印刷用原版の作成>下記の内容物を、ガラ
スビーズと共にペイントシェーカー(東洋精製(株))
にて室温で30分間分散した後、ガラスビーズを濾別し
て、分散物を得た。
【0126】 酸化第1コバルト(平均粒径:1.7μm) 45g ゼラチンの10wt%水溶液 100g コロイダルシリカ20wt%分散液(スノーテックC) 25g テトラエトキシシラン 30g フッ化アルキルエステル FC−430(3M社製) 0.2g 硬化剤 CH2=CHSO2CH2CONH(CH2)3NHCOCH2SO2CH=CH2 0.5g 1N 塩酸 2g 水/エタノール(1/1)重量比混合溶媒 200g
【0127】ELP−2X型マスターの支持体を用い、
この上に上記組成物をワイヤーバーを用いて乾燥後の塗
布量6g/m2 となる様に塗布し、指触乾燥した後、更
に110℃、30分間加熱して画像受理層を形成し平版
印刷用原版とした。得られた原版の表面のベック平滑度
は、450(秒/10cc)、水との接触角は0度であっ
た。
【0128】<電子写真感光体の作成>X型無金属フタ
ロシアニン(大日本インキ(株)製)2g、下記結着樹
脂(P−1)14.4g、下記結着樹脂(P−2)3.
6g、下記化合物(A)0.15g及びシクロヘキサノ
ン80gの混合物を、500mlのガラス容器にガラスビ
ーズと共に入れ、ペイントシェーカー(東洋精機製作所
製)で60分間分散した後、ガラスビーズを濾別して感
光層分散液とした。次いでこの分散液を脱脂処理を施し
た0.2mm厚のアミルニウム板の上にワイヤーバーで塗
布し、指触乾燥した後、110℃循環式オーブンで20
秒間加熱した。得られた感光層の膜厚は8μmであっ
た。
【0129】
【化5】
【0130】上記の様にして作成した電子写真感光体
を、暗所に、コロナ帯電して表面電位を+450Vに帯
電したのち、あらかじめ原稿からカラースキャナーによ
り読み取り、色分解し、システム特有の幾つかの色再現
に関わる補正を加えた後、デジタル画像データとしてシ
ステム内のハードディスクに記憶させてあった情報をも
とに、露光装置として半導体レーザー描画装置を用いて
788nmの光で、ビームスポット径を15μmとして
ピッチ10μm及びスキャン速度300cm/秒のスピー
ドで露光した(即ち、2500dpi )。この時の感光体
上露光量が25erg/cm2 になるように露光した。
【0131】続いて下記内容の液体現像剤を用いて現像
し、ついでアイソパーG単独浴中でリンスをして非画像
部の汚れを除いてから、感光体表面温度が50℃となる
温風でアイソパーGの残量が(10mg/トナー重量g)
となるように乾燥した。更に続けて、この感光体に、コ
ロナ帯電器で−6KVのプリチャージをかけこの感光体
の画像面を、前記の平版印刷用原版と重ね、電子写真感
光体側からマイナスのコロナ放電をかけ転写した。
【0132】<液体現像剤の作成>ニーダーに下記の組
成の成分を混合し95℃で2時間混練し、混合物を得
た。この混合物をニーダー内で冷却した後、同じニーダ
ー内で粉砕した。この粉砕物1重量部とアイソパーH4
重量部をペイントシェーカーで6時間分散し分散物を得
た。この分散物はトナー固形分が1リットル当たり1g
となる様、アイソパーGで希釈し、同時にマイナス荷電
性を付与する荷電調節剤として塩基性バリウムペトロー
ネを1リットル当たり0.1g含む様にして液体現像剤
を作製した。
【0133】 (混練用組成) エチレン・メタクリル酸共重合体 4重量部 (三井デュポン社製、ニュクレルN−699) カーボンブラック#30(三菱化成(株)製) 1重量部 アイソパーL(エクソン社製) 15重量部
【0134】画像形成された平版印刷用原版を温度10
0℃で30秒間加熱しトナー画像部を完全定着した。得
られた製版物の画像を光学顕微鏡により、200倍の倍
率で観察して評価した。細線・細文字等の滲みや欠落の
ない鮮明な画像であった。
【0135】次に上記の様にして作成した印刷版を、印
刷機として、オリバー94型((株)桜井製作所製)を
用い、湿し水として、SLM−OD(三菱製紙(株)
製)を蒸留水で100倍に希釈した溶液を、湿し水受皿
部に入れ、オフセット印刷用墨インキを用い、印刷紙を
通して印刷を行なった。印刷10枚目の印刷物の印刷画
像を20倍のルーペを用いて目視評価した所、非画像部
の印刷インキ付着による地汚れは見られず、又ベタ画像
部の均一性は良好であった。更に200倍の光学顕微鏡
観察で、細線・細文字の細り・欠落等は認められず良好
な画質であった。更に、これと同様の印刷画質の印刷物
が1万枚以上得られた。
【0136】実施例20 <耐刷性支持体の作成>基体として、坪量100g/m
2 で厚み115μmの耐水性原紙の両面にポリエチレン
をラミネートして片側が15μm他の面が20μmとな
るWP紙を作成した。次いで、ポリエチレンラミネート
層が15μmとなる面上に下記組成のアンダー層用塗料
をワイヤーバーを用いて塗布して、乾燥塗布量10g/
2 のアンダー層を設けた後、アンダー層の平滑度が1
500(秒/10cc)程度になるようにカレンダー処理を
行った。
【0137】<アンダー層用塗料>下記の各成分を混合
し、全体の固形分濃度が25%となるように水を加えて
アンダー層用塗料とした。 ・カーボンブラック(30%水分散液) 7.2部 ・クレー(50%水分散液) 52.8部 ・SBRラテックス(固形分50%、Tg25℃) 36部 ・メラミン樹脂(固形分80%、スミレッツレジンSR−613) 4部
【0138】得られたアンダー層の固有電気抵抗値は、
次の様にして測定した。アンダー層用塗料を、充分に脱
脂洗浄したステンレス板上に塗布し、乾燥塗布量10g
/m2 の塗膜とした。得られたサンプルについて、その
固有電気抵抗値をJIS K-6911 に基づきガード電極を設
けた3端子法で測定し、1×108 Ωcmという値を得
た。
【0139】<直描型平版印刷用原版の作成>下記の組
成物を、ガラスビーズと共にペイントシェーカー(東洋
精製(株))にて室温で20分間分散した後、ガラスビ
ーズを濾別して、分散物を得た。
【0140】 二酸化マンガン(平均粒径:1.5μm) 80g でん粉(PENON ZP-2、日澱化学(株)製)10%水溶液 300g クレー 10g テトラプロポキシシラン 40g メチルトリメトキシシラン 3g アルミナゾル−520:平均粒径10〜20nm 10g (日産化学(株)製) エタノール 110g 1N塩酸 5g 水 150g
【0141】上記の耐水性支持体上に、この分散物をワ
イヤーバーを用いて、乾燥機の塗布量が6g/m2 とな
る様に塗布し、オーブンで100℃、20分間乾燥して
印刷用原版を作製した。得られた原版の表面のベック平
滑度は150(秒/10cc)、水との接触角は0度であっ
た。
【0142】上記の平版印刷用原版を、AM−Straight
Imaging System として市販されている乾式トナーを用
いたレーザープリンター(AMSIS・1200−J Pl
ateSetter−商品名−)を通して製版した。
【0143】得られた製版物の複写画像について20倍
のルーペを用いて目視評価した所、製版画質は良好であ
った。即ち、レーザープリンターからの乾式トナー転写
により得られた本発明の製版物は、細線、細文字の欠落
がなく、ベタ部も均一で、トナー転写のムラは全く認め
られず、且つ非画像部も、トナー飛散による地カブリも
微かで実用上問題のない良好なものであった。
【0144】次に、平版印刷用原版を、上記と同一の操
作で製版した後、全自動印刷機(AM−2850、エー
エム社(株)製)を用いて、湿し水として、PS版用処
理剤:EU−3(富士写真フイルム(株)製)を蒸留水
で50倍に希釈した溶液を、湿し水受皿部に入れ、オフ
セット印刷用墨インキを用い、印刷機に製版物を通して
印刷を行なった。印刷10枚目の印刷物の印刷画像(地
カブリ、画像部のベタ均一性)を20倍のルーペを用い
て目視評価した所、極めて良好なものであった。また、
良好な印刷物が1万枚得られた。
【0145】実施例21〜27 実施例1において、画像受理層用塗布液のPVA117
及びテトラエトキシシランの代わりに、下記表−Cの各
有機ポリマー及びシラン化合物を用いた他は、実施例1
と同様にして平版印刷版用原版を作成した。
【0146】
【表3】
【0147】得られた各原版の表面のベック平滑度はい
ずれも250〜300(秒/10cc)の範囲内で、表面の水
との接触角は0度であった。実施例1と同様にして製
版、印刷版として、印刷を行なった所、得られた印刷物
はいずれも実施例1の印刷物と同様に、非画像部の汚れ
の無い鮮明な画質のものであり、耐刷性1万枚以上と良
好なものであった。
【0148】実施例28 下記内容の組成物をペイントシェーカーで20分間分散
して分散物とした後、ELP−2X用支持体上に乾燥後
の塗布量が6g/m2 となる様にワイヤーバーを用いて
塗布し、指触乾燥した。次いで、100℃で30分間加
熱して、平版印刷用原版を作成した。
【0149】 <画像受理層組成物> 酸化亜鉛FINEX−50 45g シリカ:サイリシア310(富士シリシア化学(株)製) 5g コハク酸変性でん粉PENON−F3(日澱化学(株)製) 30g テトラエトキシシラン 28g ベンジルトリメトキシシラン 2g 1N塩酸 2g 水 300g
【0150】得られた画像受理層のベック平滑度は30
0(秒/10cc)、表面の水との接触角は5度以下であっ
た。
【0151】国際特許WO93/11866号明細書記
載の静電吐出型インクジェット記録装置を用い、油性イ
ンクとして実施例1の油性インク(IK−1)を用い
て、製版した。得られた製版物の画質は、細線・細文字
等の精細な画像に歪み、滲み等が見られない鮮明なもの
であった。次に実施例1と同様にして印刷した所、得ら
れた印刷物は実施例1の印刷物と同様に、非画像部の汚
れのない鮮明な画質のものであり、耐刷性1万枚以上と
良好なものであった。
【0152】
【発明の効果】本発明の直描型平版印刷用原版を用いれ
ば、全面一様な地汚れはもちろん点状の地汚れも発生さ
せない優れた画像を得ることができる。更に、画像の欠
落・歪み等のない鮮明な画像の印刷物を多数枚印刷する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷版用原版への画像形成に用い
ることのできる装置系の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明の平版印刷版用原版への画像形成に用い
ることのできるインクジェット記録装置の要部を示す概
略構成図である。
【図3】本発明の平版印刷版用原版への画像形成に用い
ることのできるインクジェット記録装置のヘッドの部分
断面図である。
【図4】本発明の平版印刷版用原版への画像形成に用い
ることのできる他のインクジェット記録装置のヘッド要
部の概要図である。
【図5】図4で示したインクジェット記録装置のヘッド
の説明用概要図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録装置 2 平版印刷版用原版(マスター) 3 コンピューター 4 バス 10 ヘッド 10a 吐出スリット 10b 吐出電極 10c 対向電極 11 油性インク 101 上部ユニット 102 下部ユニット 13 インクジェット記録ヘッド 14 ヘッド本体 15、16 メニスカス規制板 17 吐出電極 18 インク溝 19 隔壁 20、20′ 吐出部 21 隔壁 22 先端部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐水性支持体上に、平均粒子径0.01
    〜5μmの金属酸化物粒子(但し、金属酸化物を構成す
    る金属原子は、Mg、Ba、Ge、Sn、Zn、Pb、
    La、Zr、V、Cr、Mo、W、Mn、Co、Ni及
    びCuから選択される少なくとも1種である)並びにS
    iが酸素原子を介して繋がったシロキサン結合含有の樹
    脂と該樹脂と水素結合を形成し得る基を含有する有機ポ
    リマーとの複合体を含んでなる結着樹脂を少なくとも含
    有する画像受理層を有することを特徴とする直描型平版
    印刷用原版。
  2. 【請求項2】 前記画像受理層のシロキサン結合含有の
    樹脂が、下記一般式(I)で示される少なくとも1種の
    シラン化合物の加水分解重縮合によるポリマーであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の直描型平版印刷用原版。 一般式(I) (R0)nSi(Y)4-n 〔一般式(I)中、R0は水素原子、炭化水素基または
    ヘテロ環基を表す。Yは水素原子、ハロゲン原子、−O
    1、−OCOR2または−N(R3)(R4)を表す
    (R1、R2は各々炭化水素基を表し、R3、R4は同じで
    も異なってもよく、水素原子または炭化水素基を表
    す)。nは0、1または2を表す。但し、Si原子が3
    個以上の水素原子と結合する場合を除く。〕
  3. 【請求項3】 前記画像受理層表面の平滑性がベック平
    滑度で30(秒/10cc)以上であることを特徴とする請
    求項1又は2記載の直描型平版印刷用原版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2009332164B2 (en) * 2008-12-26 2013-10-24 Nbc Meshtec, Inc. Anti-viral member

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