JP2001216609A - 薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

薄膜磁気ヘッド及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来における薄膜磁気ヘッドでは、下部コア
層上から盛り上がるコイル層等の存在により、上部コア
層を所定形状に形成できず、特に今後の狭トラック化に
対応することができなかった。 【解決手段】 下部コア層30上に下部磁極層11を形
成し、下部磁極層11と下部コア層30の段差内にコイ
ル層14及びコイル絶縁層16を形成する。コイル層1
4及びコイル絶縁層16は基準平面Dと同一面上に位置
し、下部磁極層11上、コイル層14上、コイル絶縁層
16上のギャップ層12を平坦化して形成できる。従っ
て本発明では、ギャップ層12上に直接上部コア層を形
成でき、しかも前記上部コア層を平坦化面上に形成でき
るから、パターン精度良く所定形状に形成でき、今後の
狭トラック化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コア層間にコイル
層が形成された薄膜磁気ヘッドに係わり、特に上部コア
層の形成を適正に行うことができ、狭トラック化と共
に、オーバーライト特性を向上させることができ、しか
もライトフリンジングの発生を抑制できる薄膜磁気ヘッ
ド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図30は、従来の薄膜磁気ヘッドの構造
を示す縦断面図である。この薄膜磁気ヘッドは、ハード
ディスクなどの記録媒体に対向する浮上式磁気ヘッドの
スライダのトレーリング側端面に設けられており、記録
用のインダクティブヘッドである。
【0003】符号1は、例えばNiFe合金などの磁性
材料で形成された下部コア層である。前記下部コア層1
の上には、例えばAl23(アルミナ)やSiO2など
の非磁性材料で形成されたギャップ層2が設けられてい
る。さらに前記ギャップ層2上には、レジスト材料やそ
の他の有機材料で形成された絶縁層9が形成されてい
る。
【0004】前記絶縁層9上には、Cuなどの電気抵抗
の低い導電性材料によりコイル層4が螺旋状に形成され
ている。なお前記コイル層4は、後述する上部コア層6
の基端部6bの周囲を周回するように形成されている
が、図30では前記コイル層4の一部のみが現れてい
る。
【0005】そして前記コイル層4は、有機材料などの
絶縁層5によって覆われており、前記絶縁層5の上に、
パーマロイなどの磁性材料によってメッキされて上部コ
ア層6が形成されている。上部コア層6の先端部6a
は、記録媒体との対向部において、下部コア層1上に前
記ギャップ層2を介して接合され、ギャップ長Glの磁
気ギャップが形成されている。また上部コア層6の基端
部6bは、ギャップ層2に形成された穴を介して、下部
コア層1に磁気的に接続されている。
【0006】前記上部コア層6の先端部6aのトラック
幅方向(図示X方向)における幅寸法はトラック幅Tw
で形成され、近年の高記録密度化に伴い、前記トラック
幅Twはより小さく形成される必要性がある。
【0007】書込み用のインダクティブヘッドでは、コ
イル層4に記録電流が与えられると、下部コア層1及び
上部コア層6に記録磁界が誘導され、下部コア層1と上
部コア層6の先端部6aとの磁気ギャップ部分からの洩
れ磁界により、ハードディスクなどの記録媒体に磁気信
号が記録される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した薄膜磁気ヘッ
ドの上部コア層6は、フレームメッキ法によって形成さ
れる。前記上部コア層6を形成する際の一工程を表した
のが、図31である。
【0009】図31に示すように、コイル層4を形成
し、前記コイル層4を絶縁層5で覆った後、先端付近に
露出するギャップ層2上から前記絶縁層5上にかけて、
NiFe合金などの磁性材料の下地層7を形成する。
【0010】次に、前記下地層7上にレジスト層8を形
成した後、露光現像によって、上部コア層6の形状パタ
ーンを前記レジスト層8に形成し、前記パターン内から
露出する下地層7上に、磁性材料の層(上部コア層6)
をメッキ形成する。そして、残されたレジスト層8を除
去すると、図30に示す上部コア層6が完成する。
【0011】しかしながら従来の薄膜磁気ヘッドでは、
構造上、上部コア層6を形成する際に次のような問題点
がある。
【0012】図31に示すように、下部コア層上には、
絶縁層9、コイル層4及び絶縁層5の積層により、前記
積層膜が下部コア層1表面から厚さH3で盛り上がり、
従って前記コイル層4等が形成されていない下部コア層
1上、すなわち前記下部コア層1の先端付近上に形成さ
れるレジスト層8の膜厚H1が非常に厚くなり、逆に、
前記絶縁層5上に形成されるレジスト層8の膜厚H2
は、薄く形成される。
【0013】このため前記レジスト層8を露光現像する
際に、焦点深度を合わせにくく、前記レジスト層8に上
部コア層6のパターンを所定形状に形成しづらく、パタ
ーン精度を低下させる原因となっている。
【0014】特に上記したように、上部コア層6の先端
部6aは、その幅寸法がトラック幅Twで形成され、今
後の高記録密度化に伴い、前記トラック幅Twはより小
さく形成されなければならない。
【0015】上記したように、前記上部コア層6の先端
部6aが形成されるべき部分のレジスト層8の膜厚H1
は非常に厚いために、この膜厚H1のレジスト層8部分
にパターンを形成するには、露光現像の際に、深い焦点
深度を必要とするが、前記焦点深度を深くしようとする
と、解像度を悪化させ、所定寸法のトラック幅Twよ
り、前記上部コア層6の先端部6aの幅は広がって形成
されてしまう。
【0016】また下部コア層1上に形成される絶縁層
5,9及びコイル層4の盛り上がりにより、レジスト層
8の膜厚が、均一でないために、露光現像の際に乱反射
が起こり易く、これにより前記上部コア層6を所定形状
に、特に前記上部コア層6の先端部6aの幅寸法を、所
定寸法のトラック幅Twに形成できなくなる。
【0017】上記した問題を解決するため、例えば前記
絶縁層5,9及びコイル層4の形成位置を、ハイト方向
(図示Y方向)にずらして形成し、前記コイル層4等が
形成されていない下部コア層1上の先端付近の長さ寸法
T1を延ばすことにより、前記長さ寸法T1上に形成さ
れるレジスト層8の膜厚を、図31に示す場合に比べ薄
く形成でき、これにより上部コア層6の先端部6aの幅
寸法を、所定のトラック幅Twで形成しようとする方法
がある。
【0018】しかしながら上記の場合であっても、レジ
スト層8の膜厚が不均一になることに変わりはなく、依
然として露光現像の際における乱反射等の影響で、上部
コア層6を所定形状で形成しづらい。
【0019】また、コイル層4をハイト方向(図示Y方
向)にずらして形成すると、上部コア層6の先端部6a
は、長く形成されることになるが、前記先端部6aはト
ラック幅Twの細長形状で形成されるので、前記先端部
6aにて磁気的飽和が起こり易くなり、OW(オーバー
ライト)特性を低下させる原因となる。
【0020】なおオーバーライトとは重ね書きのことで
あり、OW特性は、まず低周波で記録をし、さらに高周
波で重ね書きをし、その状態で低周波での記録信号の残
留出力が、高周波で重ね書きする前の前記低周波での記
録信号の出力からどれほど低下したかで評価する。
【0021】本発明は上記従来の課題を解決するための
ものであり、特に、上部コア層を所定形状に形成するこ
とができると共に、OW特性を向上させ、さらにはライ
トフリンジングの発生を抑制することが可能な薄膜磁気
ヘッド及びその製造方法に関する。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明は、下部コア層
と、記録媒体との対向面で前記下部コア層に非磁性のギ
ャップ層を介して対向する上部コア層と、前記下部コア
層と上部コア層に記録磁界を誘導するコイル層とが設け
られた薄膜磁気ヘッドにおいて、前記下部コア層には、
記録媒体との対向面からハイト方向に所定の長さ寸法に
て下部磁極層が形成され、前記下部磁極層上にギャップ
層が接し、前記下部磁極層と下部コア層との段差内に
は、コイル層及び前記コイル層の各導体部のピッチ間を
埋めるコイル絶縁層が形成され、下部磁極層とギャップ
層との接合面を基準平面としたときに、前記コイル絶縁
層の上面、あるいは前記コイル絶縁層の上面及びコイル
層の上面が、前記基準平面と同一面上に位置し、前記基
準平面のハイト方向後方には平坦化面が広がっており、
前記上部コア層は、記録媒体との対向面に露出する部分
では、前記ギャップ層にトラック幅Twで接することを
特徴とするものである。
【0023】本発明は、上部コア層を所定形状に形成す
べきことを主目的とし、その目的を達成するために、特
にコイル層の形成位置を従来と変えている点に大きな特
徴がある。
【0024】すなわち従来では、前記コイル層はギャッ
プ層上に形成されていたが、この構造では、前記ギャッ
プ層上からコイル層等の盛り上がりを小さく抑えること
はできず、その結果、上部コア層を適切にパターン精度
良く形成することは難しい。
【0025】これに対し本発明者らは、前記コイル層を
ギャップ層下に形成することを見出し、その結果、前記
上部コア層をパターン精度良く形成できるようにしたの
である。
【0026】本発明における薄膜磁気ヘッドの構造上の
特徴は以下の通りである。すなわち本発明では、まず下
部コア層上に、下部磁極層が形成されている。そして前
記下部磁極層と下部コア層間に形成される段差内に、コ
イル層及びコイル絶縁層が形成される。
【0027】さらに本発明では、前記下部磁極層とギャ
ップ層との接合面を基準平面としたときに、前記段差内
に形成されたコイル絶縁層の上面、あるいは前記コイル
絶縁層の上面及びコイル層の上面が、前記基準平面と同
一面上に形成され、前記基準平面からハイト方向後方に
は平坦化面が広がって形成されている。
【0028】ギャップ層は平坦化された下部磁極層上か
らコイル絶縁層上にかけて、あるいは下部磁極層上から
コイル絶縁層上及びコイル層上にかけて形成されるの
で、前記ギャップ層の上面もまた平坦化面となってい
る。
【0029】そして本発明では、このように平坦化され
たギャップ層上に直接、上部コア層を形成することが可
能であるので、従来のように、上部コア層を形成すべき
面に全く凹凸が無く、上部コア層の形成の際に使用され
るレジスト層の膜厚を薄く、しかも露光現像の際に乱反
射等が無く、よって前記上部コア層を、パターン精度良
く形成でき、特に、前記上部コア層の先端部の幅寸法
を、所定寸法のトラック幅Twで高精度に形成すること
が可能である。
【0030】また本発明では、上部コア層を平坦化面上
に形成できることで、トラック幅Twで形成される先端
部の長さを、短く形成することも可能であり、よって前
記上部コア層の先端付近での磁気飽和を抑え、磁束密度
の減衰を抑えることができ、OW特性を向上させること
が可能になっている。
【0031】また本発明では、前記上部コア層と下部磁
極層間に挟まれたギャップ層はトラック幅Twで形成さ
れ、前記下部磁極層には、ギャップ層と接する部分にお
いて、前記トラック幅Twと同じ幅寸法を有する隆起部
が形成されていることが好ましい。またこの場合、前記
隆起部の基端から延びる下部磁極層の両側上面には、上
部コア層から離れるに従って傾斜する傾斜面が形成され
ていることが好ましい。これによりライトフリンジング
の発生を抑制することができる。
【0032】また本発明では、前記下部磁極層は前記下
部コア層と一体形成されていてもよい。
【0033】また本発明では、前記下部コア層には、後
端部上に持上げ層が形成され、前記持上げ層の上面は前
記基準平面と同一面上に位置し、前記持上げ層と上部コ
ア層の基端部とが接して形成されていることが好まし
い。前記持上げ層の形成により下部コア層と上部コア層
間の磁気的な接合を容易に行うことができる。
【0034】なお本発明では、前記下部コア層と持上げ
層とが一体形成されていてもよい。また本発明では、前
記コイル絶縁層は無機絶縁材料で形成されていることが
好ましい。
【0035】また本発明では、前記基準平面と同一面上
は削られた面である。これは後述する製造方法で詳述す
るように、例えばCMP技術を用いて前記基準平面と同
一面上を研磨することにより達成される。
【0036】また本発明では、前記コイル層と下部コア
層との間には、絶縁下地層が形成されていることが好ま
しい。これにより前記コイル層と下部コア層間の絶縁性
耐圧を向上させることができる。
【0037】また本発明では、ギャップ層上には、記録
媒体との対向面からハイト方向後方にかけて所定の長さ
寸法で、且つ記録媒体との対向面に露出する部分ではト
ラック幅Twで形成された上部磁極層が形成され、前記
ギャップ層上であって前記上部磁極層のハイト方向後方
には、前記コイル層と電気的に接続されて前記下部コア
層および上部コア層に記録磁界を誘導する第2のコイル
層と、前記第2のコイル層の各導体部のピッチ間を埋め
る第2のコイル絶縁層が形成され、前記上部コア層は、
前記上部磁極層上に記録媒体との対向面からハイト方向
後方にずらされて接合される形態であってもよい。
【0038】上記の構成は、コイル層が2層積層された
ものであり、これにより、コイル層の幅寸法を小さくで
きるから、下部コア層から上部コア層を経て形成される
磁路長を短くでき、インダクタンスの低減を図り、今後
の高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造する
ことができる。
【0039】また上記の構成では、ギャップ層上に上部
磁極層が形成され、この上部磁極層の記録媒体との対向
面に露出する部分における幅寸法はトラック幅Twで形
成される。前記上部磁極層は、平坦化面のギャップ層上
に直接されるので、パターン精度良く前記上部磁極層を
所定寸法のトラック幅Twで形成することができる。
【0040】また前記上部磁極層上に形成される上部コ
ア層を、ハイト方向にずらして形成し、前記上部コア層
は、記録媒体との対向面に露出しないようになってい
る。
【0041】このため、上部コア層にトラック幅Twの
先端部を形成する必要はなく、前記上部コア層は、上部
磁極層と下部コア層間の磁路を繋ぐ役割を果すのみとな
るから、磁気飽和の抑制の点から、前記上部コア層の幅
寸法を、トラック幅Twに比べて大きく形成することが
好ましい。
【0042】よって、前記上部コア層が形成されるべき
面に多少の盛り上がりがあっても、幅寸法の大きな上部
コア層をパターン精度良く形成でき、前記上部コア層を
所定形状で形成することができる。
【0043】また前記上部磁極層上に形成される上部コ
ア層を、ハイト方向にずらして形成することで、ライト
フリンジングの発生を抑制することも可能である。
【0044】また本発明では、前記上部磁極層は、トラ
ック幅Twで形成された先端部と、前記細長部の基端か
らハイト方向に漸次的に幅寸法が広がる後端部とで構成
され、前記上部コア層は前記後端部上に接合されること
が好ましい。
【0045】さらに本発明では、前記上部磁極層と上部
コア層との接合面を第2の基準平面としたときに、前記
第2のコイル絶縁層の上面、あるいは第2のコイル絶縁
層の上面及び第2のコイル層の上面が前記基準平面と同
一面上に位置し、前記基準平面からハイト方向後方には
平坦化面が広がっている形態であってもよい。
【0046】この場合、前記第2のコイル絶縁層は無機
絶縁材料で形成されていることが好ましい。また、前記
基準平面と同一面上は削られた面である。
【0047】上記の構成により、上部磁極層上から、第
2のコイル絶縁層上、あるいは第2のコイル絶縁層上及
び第2のコイル絶縁層上にかけて形成される上部コア層
を、よりパターン精度良く形成することが可能である。
【0048】さらに本発明では、前記第2のコイル絶縁
層は有機絶縁材料で形成されていてもよい。この場合、
前記第2のコイル絶縁層は、前記第2の基準平面上から
多少盛り上がるため、前記上部コア層を完全な平坦化面
上に形成することはできないが、上記したように、前記
上部コア層はパターン精度が多少低くくても、所定形状
に形成することができるので、第2の基準平面からの盛
り上がりはそれほど問題とはならない。
【0049】また本発明では、下部コア層上に持上げ層
が形成されていない場合には下部コア層上から、前記下
部コア層上に持上げ層が形成されている場合には前記持
上げ層上に、第2の持上げ層が形成され、前記上部コア
層の基端部が前記第2の持上げ層上に接して形成される
ことが好ましい。これにより下部コア層上部コア層間の
磁気的な接続を行いやすくなる。
【0050】また本発明は、下部コア層と、記録媒体と
の対向面で前記下部コア層に非磁性のギャップ層を介し
て対向する上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層
に記録磁界を誘導するコイル層とが設けられた薄膜磁気
ヘッドの製造方法において、(a)下部コア層上に、記
録媒体との対向面からハイト方向に所定の長さ寸法で、
下部磁極層を形成する工程と、(b)前記下部コア層上
に絶縁下地層を形成する工程と、(c)前記絶縁下地層
上に、コイル層及び前記コイル層の各導体部のピッチ間
を埋めるコイル絶縁層を形成する工程と、(d)前記下
部磁極層の上面を基準平面としたときに、前記コイル絶
縁層の上面、あるいはコイル層の上面及コイル絶縁層の
上面が前記基準平面と同一面上となるように、前記コイ
ル絶縁層の上面、あるいは前記コイル層の上面及びコイ
ル絶縁層の上面を削り、前記基準平面からハイト方向後
方に平坦化面を形成する工程と、(e)前記下部磁極層
の上面、及び平坦化面上にギャップ層を形成する工程
と、(f)記録媒体との対向面に露出する部分で幅寸法
がトラック幅Twで形成される上部コア層を、ギャップ
層上にパターン形成する工程と、を有することを特徴と
するものである。上記のように本発明では、(a)工程
にて、下部コア層上に下部磁極層を形成し、(c)工程
にて、前記下部コア層と下部磁極層間に形成された段差
部内に、コイル層及びコイル絶縁層を形成している。
【0051】本発明では、さらに(d)工程にて、例え
ばCMP技術等を使用し、コイル絶縁層の上面、あるい
はコイル層の上面及びコイル絶縁層の上面を基準平面
(下部磁極層の上面)と同一面上で形成し、前記基準平
面からハイト方向後方に広がる平坦化面を形成すること
で、前記基準平面及び平坦化面上にギャップ層を形成で
き、従って、上部コア層を平坦化面のギャップ層上に形
成することが可能である。よって上部コア層を形成する
際に使用されるレジスト層を薄い膜厚で形成でき、しか
も露光現像の際に乱反射等が発生せず、前記上部コア層
をパターン精度良く形成できる。特に前記上部コア層の
先端付近の幅寸法を所定寸法のトラック幅Twで形成す
ることができ、狭トラック化に対応可能な薄膜磁気ヘッ
ドを製造することができる。
【0052】また本発明では、前記(a)工程におい
て、下部コア層のハイト方向後方に磁性材料製の持上げ
層を形成し、前記(d)工程において、前記持上げ層の
上面を前記基準平面と同一面上となるように削り、さら
に前記(f)において、上部コア層の基端部を、前記持
上げ層の上面に接合させることが好ましい。
【0053】前記持上げ層の形成により前記上部コア層
と下部コア層間の磁気的な接続を行い易くすることがで
き、製造工程を容易化することが可能である。
【0054】また本発明では、前記(a)工程におい
て、下部コア層上にフレームメッキ法にて下部磁極層を
形成し、また持上げ層をも形成する場合には、前記持上
げ層を下部磁極層と同時にフレームメッキ法で形成する
ことが好ましい。
【0055】また上記の場合、前記下部磁極層、または
下部磁極層及び持上げ層を形成する前に、下部コア層の
周囲を絶縁層によって埋めた後、前記下部コア層上及び
前記絶縁層上を同一平面状に平坦化することが好まし
い。
【0056】あるいは本発明では、前記(a)工程にお
いて、下部磁極層が形成されるべき下部コア層表面を保
護し、その他の部分の下部コア層表面を削ることによ
り、下部コア層から下部磁極層を突出形成し、また持上
げ層をも形成する場合には、下部磁極層及び持上げ層が
形成されるべき下部コア層表面を保護し、その他の部分
の下部コア層表面を削ることにより、下部コア層から下
部磁極層及び持上げ層を突出形成してもよい。
【0057】上記構成の場合、前記下部磁極層、または
下部磁極層及び持上げ層を形成する前に、下部コア層の
周囲を絶縁層によって埋めた後、前記下部コア層上及び
前記絶縁層上を同一平面状に平坦化することが好まし
い。
【0058】また本発明では、前記(f)工程後、以下
の工程を有することが好ましい。(g)トラック幅Tw
で形成された上部コア層のギャップ層との接合面から両
側に延びるギャップ層を除去する工程と、(h)除去さ
れた前記ギャップ層下に露出する下部磁極層の上面を削
り、前記下部磁極層のギャップ層との接合面の幅寸法を
トラック幅Twと一致させ、前記下部磁極層に上部コア
層方向に延びる隆起部を形成する工程と、(i)前記隆
起部の基端から延びる下部磁極層の両側上面に、上部コ
ア層から離れるに従って傾斜する傾斜面を形成する工
程、上記工程により、狭トラック化とさらには、ライト
フリンジングの発生を抑制できる薄膜磁気ヘッドを製造
することが可能である。
【0059】また本発明では、前記コイル層の各導体部
のピッチ間を埋めるコイル絶縁層を、無機絶縁材料で形
成することが好ましい。これにより前記コイル絶縁層上
面をCMP技術等を用いて適切に研磨加工することがで
きる。
【0060】さらに本発明では、前記(f)工程に代え
て以下の工程を有することが好ましい。(j)ギャップ
層上に記録媒体との対向面からハイト方向後方に所定の
長さで、且つ記録媒体との対向面に露出する部分ではト
ラック幅Twで形成される上部磁極層を形成する工程
と、(k)前記ギャップ層上であって上部磁極層のハイ
ト方向後方に、第2のコイル層と前記第2のコイル層の
各導体部のピッチ間を埋める第2のコイル絶縁層を形成
する工程と、(l)上部コア層を、前記上部磁極層上に
記録媒体との対向面からハイト方向後方にずらして接合
する工程、上記製造工程により、コイル層を2層構造で
形成でき、よってコイル層の幅寸法を小さくでき、下部
コア層から上部コア層を経て形成される磁路長の短磁路
化を実現することができる。
【0061】また本発明では、平坦化されたギャップ層
上に上部磁極層を形成でき、よって前記上部磁極層に、
トラック幅Twで形成される先端部を、所定寸法で高精
度に形成することが可能である。
【0062】また上部コア層を上部磁極層上に、記録媒
体との対向面からハイト方向にずらして形成すること
で、前記上部コア層を、トラック幅Twに比べ大きな幅
寸法で形成することが可能であり、従って、前記上部コ
ア層を形成すべき面に、多少の盛り上がりがあっても、
前記上部コア層を、所定形状に形成しやすくできる。
【0063】また本発明では、前記(j)工程におい
て、前記上部磁極層をトラック幅Twで形成された先端
部と、前記先端部の基端からハイト方向に幅寸法が漸次
的に広がる後端部とで構成し、前記(l)工程におい
て、前記上部コア層を、上部磁極層の後端部上に接合さ
せることが好ましい。
【0064】また本発明では、前記(k)工程におい
て、前記上部磁極層の上面を第2の基準平面としたとき
に、前記第2のコイル絶縁層の上面、あるいは第2のコ
イル層及び第2のコイル絶縁層の上面が、前記第2の基
準平面と同一面上に位置するように、前記第2のコイル
絶縁層の上面、あるいは前記第2のコイル層の上面及び
前記第2のコイル絶縁層の上面を削り、前記第2の基準
平面からハイト方向後方に広がる平坦化面を形成しても
よい。この場合、前記第2のコイル層の各導体部のピッ
チ間を埋める第2のコイル絶縁層を無機絶縁材料で形成
することが好ましい。
【0065】これはCMP技術等を用いることで実現で
き、前記第2のコイル絶縁層の上面、あるいは前記第2
のコイル層の上面及びコイル絶縁層の上面を、第2の基
準平面(上部磁極層の上面)と同一面上で形成すること
で、前記基準平面上に形成される上部コア層を、パター
ン精度良く所定形状に形成することができる。
【0066】また本発明では、前記第2のコイル層の各
導体部のピッチ間を埋める第2のコイル絶縁層を有機絶
縁材料で形成してもよい。
【0067】また本発明では、前記(j)工程におい
て、下部コア層上に持上げ層が形成されている場合には
前記持上げ層上に、前記下部コア層上に持上げ層が形成
されていない場合には前記下部コア層上に、第2の持上
げ層を形成し、前記(l)工程において、上部コア層の
基端部を、前記第2の持上げ層上に接合させることが好
ましい。
【0068】上記工程では、下部コア層上に形成された
持上げ層上、あるいは下部コア層上に、第2の持上げ層
を形成している。これによりコイル層を2層構造にした
場合において、下部コア層と上部コア層間の磁気的な製
造を行いやすくなり、製造方法を容易化することが可能
である。
【0069】
【発明の実施の形態】図1は、本発明における第1実施
形態の薄膜磁気ヘッドの構造を、記録媒体との対向面か
ら見た部分正面図、図2は、本発明における他の実施形
態の薄膜磁気ヘッドの構造を示す部分正面図、図3は、
図1に示す3−3線を矢印方向から見た薄膜磁気ヘッド
の部分縦断面図、図4は、図1に示す薄膜磁気ヘッドの
部分平面図、図5は、図2に示す薄膜磁気ヘッドの部分
平面図である。
【0070】図1ないし図5に示す薄膜磁気ヘッドは、
記録用のインダクティブヘッドであるが、本発明では、
このインダクティブヘッドの下に、磁気抵抗効果を利用
した再生用ヘッド(MRヘッド)が積層された、いわゆ
る複合型薄膜磁気ヘッドであってもよい。
【0071】図1に示す符号30は、例えばパーマロイ
などの磁性材料で形成された下部コア層である。なお前
記下部コア層30の下側に再生用ヘッドが積層される場
合、前記下部コア層30とは別個に、磁気抵抗効果素子
をノイズから保護するシールド層を設けてもよいし、あ
るいは、前記シールド層を設けず、前記下部コア層30
を、前記再生用ヘッドの上部シールド層として機能させ
てもよい。
【0072】図1に示すように前記下部コア層30の上
には、下部磁極層11が形成されている。前記下部磁極
層11は下部コア層30と同様に、記録媒体との対向面
に露出形成され、前記下部磁極層11の下面は前記下部
コア層30と磁気的に接続された状態になっている。
【0073】前記下部磁極層11は、下部コア層30と
同じ材質で形成されてもよいが、異なる材質で形成され
ても良い。ただし記録密度を向上させるためには、前記
下部磁極層11は下部コア層30に比べて高い飽和磁束
密度を有する磁性材料で形成されることが好ましい。
【0074】図1に示すように前記下部磁極層11は、
トラック幅方向(図示X方向)における幅寸法がT2で
形成されている。この幅寸法T2は、少なくとも上部コ
ア層13の幅寸法(=トラック幅Tw)に比べて大きく
形成される必要がある。
【0075】また図1に示すように、前記下部磁極層1
1の高さ寸法はH4で形成されるが、この高さ寸法H4
は、あまり小さすぎると、後述するコイル層14の高さ
寸法を稼ぐことができなくなり、前記コイル抵抗値の低
減を図るために、コイル層14の幅寸法T3(図3参
照)を広げなければならず、長磁路長化を招く結果とな
る。
【0076】また前記下部磁極層11の高さ寸法H4
が、あまり大きくなりすぎても、前記下部磁極層11を
形成しづらくなり、また前記下部磁極層11の部分で磁
気飽和に達し易くなり、今後の高記録密度化に対応でき
ないという問題がある。
【0077】前記下部磁極層11の幅寸法T2は、下部
コア層30の幅寸法以下であれば良く、具体的には、5
μm〜100μmの範囲内、高さ寸法H4は、具体的に
は、1μm〜5μmの範囲内であることが好ましい。
【0078】また前記下部磁極層11は図3に示すよう
に、ハイト方向(図示Y方向)に長さ寸法L2で形成さ
れ、前記下部磁極層11は、下部コア層30上に矩形状
にて形成されることがわかる。この実施例においては前
記下部磁極層11の長さ寸法L2がギャップデプスGd
として規制され、前記ギャップデプスGdは、薄膜磁気
ヘッドの電磁変換に多大な影響を与えることから、予め
所定の長さに設定される。
【0079】本発明では図3に示すように、前記下部磁
極層11と下部コア層30との段差内には、コイル層1
4が形成されている。
【0080】また図3に示すように前記下部コア層30
とコイル層14との間には、絶縁下地層15が形成され
ており、前記下部コア層30とコイル層14間の電気的
な絶縁が図られている。図3に示す前記絶縁下地層15
は、無機絶縁材料で形成されている。
【0081】前記無機絶縁材料には、AlO、Al
23、SiO2、Ta25、TiO、AlN、AlSi
N、TiN、SiN、Si34、NiO、WO、W
3、BN、CrN、SiONのうち少なくとも1種以
上が選択される。
【0082】前記絶縁下地層15に無機絶縁材料を使用
する場合には、後で製造方法で説明するように、スパッ
タ法等の既存の方法で形成可能である。
【0083】ただし前記絶縁下地層15が無機絶縁材料
で形成される場合には、前記絶縁下地層15にピンホー
ル等の欠陥が発生しやすいために、前記絶縁下地層15
を、無機絶縁材料で形成された絶縁下地層と、有機絶縁
材料で形成された絶縁下地層の2層構造とするか、ある
いは有機絶縁材料の絶縁下地層の一層で形成する方が好
ましい。有機絶縁材料を使用することで、絶縁性耐圧を
向上させることが可能である。なお前記有機絶縁材料に
は、例えばレジストやポリイミド等の周知な材質を使用
することができる。
【0084】また図3に示すように、前記コイル層14
の各導体部のピッチ間には、コイル絶縁層16が埋めら
れており、前記コイル絶縁層16は、図1に示すよう
に、記録媒体との対向面において、前記下部磁極層11
の両側に露出して形成されている。
【0085】ところで図3に示すように、本発明では、
前記コイル層14の上面及びコイル絶縁層16の上面
が、前記下部磁極層11とギャップ層12との接合面を
基準平面Dとしたときに、前記基準平面Dと同一面上に
位置していることがわかる。
【0086】従って本発明では、前記基準平面Dからハ
イト方向(図示Y方向)後方には平坦化面が広がって形
成されている。
【0087】このように前記基準平面Dと同じ面上に、
コイル層14の上面及びコイル絶縁層16の上面を揃え
るには、後述するように、例えばCMP技術等を用い、
前記コイル層14の上面及びコイル絶縁層16の上面
を、前記基準平面Dに合わせるべく研磨加工すればよ
く、これにより前記平坦化面は削られた面となってい
る。
【0088】なお図3に示す実施例では、前記コイル層
14の上面が前記基準平面Dと同一面上に位置している
が、これにより前記下部磁極層11と下部コア層30間
に形成される段差内で、前記コイル層14の高さ寸法も
最大に大きくすることができ、よって前記コイル層14
の幅寸法T3を最小にすることができ、下部コア層30
から上部コア層13を経て形成される磁路長の短磁路化
を図ることができる。
【0089】ただし本発明では、前記コイル層14の上
面が、前記基準平面Dよりも高さが低く形成されてもよ
い。この場合、前記コイル層14の上面は、コイル絶縁
層16により覆われ、前記コイル絶縁層16の上面のみ
が前記基準平面Dと同一面上に揃えられることになる。
【0090】また本発明では、前記コイル絶縁層16
は、無機絶縁材料で形成されることが好ましい。上記し
たCMP技術等を用いて研磨加工する際に、前記コイル
絶縁層16が無機絶縁材料で形成されていると、前記コ
イル絶縁層16の上面を適切にしかも容易に研磨するこ
とができるからである。
【0091】一方、前記コイル絶縁層16が有機絶縁材
料で形成されていると、有機絶縁材料独特のねばりによ
り、前記コイル絶縁層16の上面を適切に削ることがで
きなくなり好ましくない。
【0092】ただしコイル絶縁層16が無機絶縁材料で
形成されると、前記コイル絶縁層16をスパッタ等で形
成する際に、コイル層14の各導体部のピッチ間に無機
絶縁材料が侵入しにくく、前記コイル絶縁層16に空洞
部等の欠陥が形成される虞がある。よって、基準平面D
よりも下側の位置で有機絶縁材料を、前記コイル層14
の各導体部のピッチ間に埋めた後、前記有機絶縁材料層
の上に、無機絶縁材料製のコイル絶縁層16を形成する
ことが上記欠陥が発生せず好ましい。
【0093】本発明では、上記したように、基準平面D
と同一面上にコイル絶縁層16の上面及びコイル層14
の上面を位置させているので、前記基準平面Dのハイト
方向後方には平坦化面が広がっている。
【0094】そして本発明では図3に示すように、平坦
化された下部磁極層11上、コイル層14上、およびコ
イル絶縁層16上に、ギャップ層12が形成されるの
で、前記ギャップ層12の表面もまた平坦化された面と
なっている。
【0095】なお前記ギャップ層12は、無機絶縁材料
で形成され、前記無機絶縁材料は、具体的には、Al2
3、SiO2、SiON、AlN、AlSiNのうち1
種または2種以上から選択されることが好ましい。
【0096】本発明の薄膜磁気ヘッドの構成によれば、
ギャップ層12の下側に、コイル層14が既に形成され
ているため、図30に示す従来の薄膜磁気ヘッドのよう
に、ギャップ層12の上にコイル層14の形成は行われ
ない。
【0097】よって本発明では、平坦化されたギャップ
層12の上に、上部コア層13を形成することが可能で
ある。
【0098】前記上部コア層13は、いわゆるフレーム
メッキ法で形成される。フレームメッキ法では、まず上
部コア層13が形成される面上にレジスト層を形成し、
前記レジスト層に上部コア層13のパターンを露光現像
で形成する。そして前記パターン内に磁性材料の層をメ
ッキ成長させ、前記レジスト層を除去して、上部コア層
13を形成する。
【0099】上記のように本発明では、上部コア層13
が形成されるべき面、すなわちギャップ層12上面は、
平坦化面となっているので、前記ギャップ層12上にレ
ジスト層を均一な膜厚で形成でき、しかも前記レジスト
層を薄い膜厚で形成できるので、露光現像の際に乱反射
等が起こりにくく、また解像度良く、上部コア層13の
パターンを形成でき、よって高精度に上部コア層13を
形成することができる。
【0100】ただし上部コア層13とコイル層14間の
電気的な絶縁を適正に保つために、前記ギャップ層12
上あるいは下に膜厚の薄い無機絶縁材料製あるいは有機
絶縁材料製の絶縁下地層を形成することができる。ただ
し前記絶縁下地層は、記録媒体との対向面にまで延びて
露出形成されてはいけない。ギャップ長が大きくなるか
らである。前記絶縁下地層は、コイル層14が形成され
ている、その上のギャップ層12上にのみ部分的に形成
されることが好ましい。
【0101】ところで本発明では図1に示すように、記
録媒体との対向面に露出する部分において、前記上部コ
ア層13の幅寸法はトラック幅Twで形成される。
【0102】また前記上部コア層13の形状は、上から
見ると図4に示すようになっており、前記上部コア層1
3は、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方
向)にかけてトラック幅Twで形成される先端部Eと、
この先端部Eからハイト方向にかけて漸次的に幅寸法が
広がる後端部Fとで構成される。
【0103】上部コア層13の後端部Fは、幅寸法が大
きく形成されるので、パターン精度がそれほど高くなく
ても、ほぼ所定形状で前記後端部Fをパターン形成する
ことができるし、仮に所定形状と多少異なった形状で形
成されても磁気的な特性に、さほどの影響を与えない。
【0104】これに対し、トラック幅Twで形成される
先端部Eは、非常に幅寸法が狭く形成され、具体的に
は、0.5μm〜1.0μmの範囲内であることが好ま
しい。なお狙い寸法に対しては、±0.1μmの誤差の
範囲内であることが好ましい。
【0105】上部コア層の形状において、前記先端部E
の形状は、最も高精度に形成されなければならない部分
であり、今後の高記録密度化に伴って、前記先端部Eの
幅寸法(=トラック幅Tw)はますます小さく形成され
るものと予想される。
【0106】このように非常に小さい幅寸法を有する先
端部Eを形成するには、露光現像の際のパターン精度を
向上させて、高精度に前記先端部Eをパターン形成する
必要がある。
【0107】本発明では上記したように、上部コア層1
3を平坦化面となるギャップ層12上に形成することが
できるから、上部コア層13の形成の際に使用されるレ
ジスト層の膜厚を薄く形成でき、しかもその膜厚は均一
であるから、解像度を向上させることができ、さらに露
光現像の際に乱反射等が起こらず、従って前記上部コア
層13を所定形状に形成でき、特に最も高精度に形成さ
れるべき、トラック幅Twで形成される先端部Eを、所
定の寸法値内で形成することが可能である。
【0108】また本発明では、上記のようにパターン精
度良く上部コア層13を形成することができるので、前
記先端部Eのハイト方向への長さ寸法L3を短く形成す
ることもできる。前記長さ寸法L3を短く形成できるこ
とで、磁束の飽和を緩和でき、OW(オーバーライト)
特性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することが可能にな
る。
【0109】なお前記長さ寸法L3は、具体的には1.
0μm〜5.0μmの範囲内であることが好ましい。
【0110】なお本発明では、図3に示すように、下部
コア層30と上部コア層13間におけるハイト方向後方
には持上げ層17が形成されている。前記持上げ層17
は下部コア層30及び/または上部コア層13と同じ材
質の磁性材料で形成されてもよいし、あるいは異なる材
質で形成されてもよい。
【0111】前記持上げ層17の形成により、前記持上
げ層17上に上部コア層13の基端部13aを接合すれ
ば、上部コア層13−持上げ層17−下部コア層30を
経る磁路長を形成でき、製造方法を容易化することがで
きる。
【0112】また図3に示すように前記持上げ層17
は、基準平面Dと同一面上で形成されることが好まし
く、これは、コイル層14及びコイル絶縁層16を基準
平面Dに合わせて研磨加工する際に、前記持上げ層17
の上面も同時に削ることで達成することが可能である。
【0113】なお本発明では、前記持上げ層17が形成
されていなくてもよい。この場合は、コイル絶縁層16
に下部コア層30上面にまで繋がる穴部を形成し、前記
穴部内に上部コア層13の基端部13aを形成して前記
基端部13aを下部コア層30上に接合することで、上
部コア層13から下部コア層30を経て形成される磁路
長を形成することが可能である。
【0114】次に本発明では、図2に示すような形状の
薄膜磁気ヘッドを形成することも可能である。
【0115】図2に示すように、下部磁極層11と上部
コア層13との間に挟まれるギャップ層12は、トラッ
ク幅Twで形成され、さらに下部コア層30上に形成さ
れた下部磁極層11は、ギャップ層12との接合面で
は、トラック幅Twで形成される。
【0116】さらに下部磁極層11には、前記ギャップ
層12との接合面から、下部コア層30方向に延びる隆
起部11bが形成されている。この構成により、ライト
フリンジングの発生を適切に抑制することができる。
【0117】また本発明では、前記隆起部11bの基端
から下部磁極層11の両側上面には、上部コア層13か
ら離れる方向に傾斜する傾斜面11a,11aが形成さ
れており、これにより、さらにライトフリンジングの発
生を適切に抑制することができる。
【0118】また本発明では図1及び図2に示すよう
に、記録媒体との対向面に露出する上部コア層13は、
トラック幅Twで、ギャップ層12との接合面から図示
Z方向に、ストレート形状で形成されているので、前記
上部コア層13の部分においてもライトフリンジングは
発生しにくい構造となっている。
【0119】また図2に示す構造では、図1に示す構造
の薄膜磁気ヘッドに比べて、上部コア層13の幅寸法で
規制されるトラック幅Twを、より小さく形成すること
ができ、今後の狭ギャップ化に対応可能な薄膜磁気ヘッ
ドを製造することができる。
【0120】図5は図2に示す薄膜磁気ヘッドの部分平
面図であるが、図5に示すように、上部コア層13の先
端部Eの両側には、下部磁極層10及びコイル絶縁層1
6が露出し、上部コア層13の後端部Fの両側にはギャ
ップ層12が広がっていることがわかる。
【0121】一方、図1に示す薄膜磁気ヘッドの平面図
である図4では、上部コア層13の両側には全面的にギ
ャップ層12が広がっていることがわかる。
【0122】この違いは、図1及び図2に示す正面図の
形状に起因するものであるが、図5に示すように、上部
コア層13の先端部Eの両側では、ギャップ層12が削
り取られ、前記ギャップ層12は図2に示すように、ト
ラック幅Twで形成された上部コア層13と下部磁極層
11の隆起部11b間にのみ残される。このため、図5
に示すように、先端部Eの両側にはギャップ層12が形
成されていないのである。
【0123】そしてギャップ層12が除去されたことに
より露出する下部磁極層11及びコイル絶縁層16の上
面が図2に示すように傾斜面上に削られている。
【0124】なお図2に示す薄膜磁気ヘッドの縦断面図
は、図3と同一である。図6は、他の薄膜磁気ヘッドの
形態を示す部分縦断面図であり、図7は図6に示す薄膜
磁気ヘッドの部分平面図である。
【0125】この薄膜磁気ヘッドでは、コイルが2層構
造となっている。すなわち図6に示す薄膜磁気ヘッドで
は、ギャップ層12の下側の構造は図3に示す薄膜磁気
ヘッドとほとんど変わりがない。
【0126】ただ、図6に示す薄膜磁気ヘッドでは、コ
イル層14と下部コア層30間の絶縁性耐圧を向上させ
るべく、無機絶縁材料で形成された絶縁下地層15のみ
ならず、前記絶縁下地層15上にレジスト等の有機絶縁
材料で形成された絶縁下地層18も形成されている。形
成パターンは、絶縁下地層18が下で、その上に絶縁下
地層15が形成されていてもよい。
【0127】図6に示すようにギャップ層12上には、
記録媒体との対向面からハイト方向にかけて所定の長さ
寸法L4の上部磁極層19が形成されている。前記上部
磁極層19は記録媒体との対向面では、トラック幅Tw
で露出形成されている。
【0128】前記上部磁極層19は上部コア層13と同
じ材質でも異なる材質で形成されてもどちらでもよい。
【0129】このように記録媒体との対向面からハイト
方向(図示Y方向)にかけて所定の長さ寸法L4にて上
部磁極層19を形成する理由は、第2のコイル層20を
形成すべき段差を、ギャップ層12との間で形成するた
めである。
【0130】図6に示すように、ギャップ層12と上部
磁極層19との間で形成される段差内には、第2のコイ
ル層20が形成されている。そして前記第2のコイル層
20の各導体部のピッチ間には、第2のコイル絶縁層2
1が形成されている。
【0131】ところでこの実施例では、上部磁極層19
と上部コア層13との接合面を第2の基準平面Gとした
とき、前記コイル層20の上面及び第2のコイル絶縁層
21の上面は前記第2の基準平面Gと同一面上に形成さ
れている。これはCMP技術等を用い、前記コイル層2
0及び第2のコイル絶縁層21を研磨加工することで達
成することができる。
【0132】これにより、ギャップ層12と上部磁極層
19との段差内で、前記第2のコイル層20を最大に高
くして形成することができ、よって前記第2のコイル層
20の幅寸法T5を短くすることができ、上部コア層1
3から下部コア層30を経て形成される磁路長を短く形
成することが可能になる。
【0133】なお前記第2のコイル層20は、前記第2
の基準平面Gよりも高さが低く形成されていてもよい。
この場合、前記第2のコイル層20上面は第2のコイル
絶縁層21に覆われ、前記基準平面Gよりもハイト方向
(図示Y方向)後方には、第2のコイル絶縁層21によ
る平坦化面が広がって形成される。
【0134】またこの場合、前記第2のコイル絶縁層2
1は無機絶縁材料で形成されることが好ましい。これは
前記第2のコイル絶縁層21をCMP技術等を用い研磨
加工するためで、前記第2のコイル絶縁層21が有機絶
縁材料で形成されると、前記有機絶縁材料独特のねばり
により、前記第2のコイル絶縁層21を削りにくくな
り、好ましくない。
【0135】ただしコイルを2層構造とした場合、2層
目となる第2のコイル層20を覆う第2のコイル絶縁層
21は、必ずしも第2の基準平面Gと同一面上に形成さ
れなければならないわけではない。
【0136】図8は、図6に示す薄膜磁気ヘッドを変形
した部分縦断面図である。図8に示す薄膜磁気ヘッドで
は、ギャップ層12上に、上部磁極層19が形成され、
前記上部磁極層19のハイト方向(図示Y方向)後方で
あってギャップ層12上に第2のコイル層20が形成さ
れている。
【0137】前記第2のコイル層20の高さは、上部磁
極層19と上部コア層13との接合面を第2の基準平面
Gとしたときに、前記基準平面Gと同じ高さであっても
よいが、前記基準平面Gよりも高く形成されても、低く
形成されてもよい。
【0138】この実施例では前記基準平面Gよりも第2
のコイル層20の高さを高く形成できるので、前記第2
のコイル層20の幅寸法T6を、図6における第2のコ
イル層20の幅寸法T5に比べて、より小さく形成で
き、上部コア層13から下部コア層30を経て形成され
る磁路長の短磁路化を促進させることができる。
【0139】この実施例では、前記第2のコイル層20
を覆う第2のコイル絶縁層24は、レジストやポリイミ
ド等の有機絶縁材料で形成されている。
【0140】図8に示すように、前記第2のコイル絶縁
層24は、上部磁極層19と上部コア層13との接合面
を第2の基準平面Gとしたときに、前記第2の基準平面
Gよりも高さ寸法H5だけ盛り上がっていることがわか
る。
【0141】そして前記第2のコイル絶縁層24上に上
部コア層13が形成されるが、このように上部コア層1
3は盛り上がりのある表面上にパターン形成されること
になるために、完全な平坦面上にパターン形成する場合
に比べ、パターン精度は低下する。
【0142】しかしながら、上部コア層13の形成は、
図3に示す場合のように、コイル層を一層構造で形成し
た場合に比べ高精度に行う必要性は低い。その理由は、
前記上部コア層13の平面形状にある。
【0143】図7に示すように、上部磁極層19はその
先端部Eが、トラック幅Twで記録媒体との対向面に露
出形成され、しかも記録媒体からハイト方向(図示Y方
向)後方に、長さ寸法L5で形成されている。さらにト
ラック幅Twで形成された前記先端部Eの基端からハイ
ト方向(図示Y方向)後方には、漸次的に幅寸法が広が
る後端部Fが形成されている。
【0144】このように上部磁極層19には、トラック
幅Twで形成される先端部Eが形成されるので、前記先
端部Eはパターン精度良く形成される必要性があること
から、図6及び図8の実施例共に、前記上部磁極層19
は、平坦化面のギャップ層12上にパターン形成されて
いる。これにより前記上部磁極層19を、高精度にパタ
ーン形成することができ、特に先端部Eを所定のトラッ
ク幅Tw寸法内で形成することが可能になる。
【0145】しかしながら、前記上部磁極層19上に形
成される上部コア層13は、記録媒体との対向面からハ
イト方向にずれて形成され、前記上部コア層13は記録
媒体との対向面に露出形成されていない。
【0146】そして前記上部コア層13は、上部磁極層
19の基端部付近に接合されて、上部磁極層19と下部
コア層30間の磁路を繋げる役割を担うのみであるた
め、できる限り磁気的ボリュームを確保する方が、高記
録密度化に対応できることから、前記上部コア層13
は、前端部から後端部にかけて非常に大きい幅寸法で形
成されるのである。
【0147】従って上部コア層13が形成されるべき表
面に多少の盛り上がりがあっても、幅寸法の大きい前記
上部コア層13のパターン形成にさほどの支障を与える
ことなく、前記上部コア層13を所定形状に形成するこ
とができるのである。
【0148】また図6に示す実施例の場合では、第2の
コイル層20及び第2のコイル絶縁層21が第2の基準
平面Gと同一面上で形成されるが、実際には、前記第2
のコイル層20と上部コア層13間の電気的な絶縁を保
つ必要があるために、前記第2のコイル層20及び第2
のコイル絶縁層21上には、絶縁層22を形成する必要
がある。前記絶縁層22は、有機絶縁材料で形成されて
も無機絶縁材料で形成されてもどちらでもよいし、また
前記有機絶縁材料と無機絶縁材料の積層構造であっても
よいが、図6では、前記絶縁層22は有機絶縁材料で形
成されている。
【0149】このため、図6に示す実施例の場合も、上
部コア層13が形成されるべき表面には多少盛り上がり
が発生しているが、その高さは非常に小さく、前記上部
コア層13のパターン形成にほとんど影響を与えるもの
ではない。
【0150】上記したように前記上部コア層13は、上
部磁極層19上にハイト方向後方にずれて接合されてい
る。
【0151】さらに図6及び図8に示すように、上部コ
ア層13の基端部13aでは、下部コア層30上に形成
された持上げ層17上に、第2の持上げ層23が形成さ
れ、この第2の持上げ層23上面に前記上部コア層13
の基端部13aが接合された状態になっている。従って
磁路長は、図6及び図8共に、上部磁極層19−上部コ
ア層13−第2の持上げ層23−持上げ層17−下部コ
ア層30を経て形成されることになる。
【0152】ただし前記第2の持上げ層23は形成され
ていなくてもかまわない。この場合、前記上部コア層1
3の基端部13aは、下部コア層30上に形成された持
上げ層17上に直接接合されることになる。
【0153】また下部コア層30上に持上げ層17も形
成されていない場合には、前記上部コア層13の基端部
13aは、下部コア層30上にまで延び前記下部コア層
30上に直接接合されることになる。
【0154】さらに、前記下部コア層30上に持上げ層
17が形成されていない場合に、前記下部コア層30上
から第2の持上げ層23を形成して、前記第2の持上げ
層23上に上部コア層13の基端部13aを接合するこ
とも可能である。
【0155】図6及び図8に示す実施例共に、持上げ層
17及び第2の持上げ層23を形成した理由は、下部コ
ア層30と上部コア層13間の磁気的な接合を容易にし
かも確実に行うようにするためであり、持上げ層17及
び第2の持上げ層23を形成する方が、薄膜磁気ヘッド
の製造を容易化できる点からしても好ましい。
【0156】図9は本発明における他の薄膜磁気ヘッド
の構造を示す部分正面図、図10は、図9に示す10−
10線から切断した薄膜磁気ヘッドを矢印方向から見た
部分縦断面図、図11は、他の形態を示す薄膜磁気ヘッ
ドの部分縦断面図である。
【0157】この実施例では図9に示すように下部コア
層30と下部磁極層11とが一体形成されている。
【0158】図9に示すように前記下部磁極層11のト
ラック幅方向(図示X方向)の両側には、記録媒体との
対向面にコイル絶縁層16が露出形成され、さらに前記
下部磁極層11及びコイル絶縁層16上には、ギャップ
層12が形成されている。そして前記ギャップ層12上
には上部コア層13が形成されている。
【0159】図9に示すように記録媒体との対向面に露
出する前記上部コア層13の幅寸法はトラック幅Twで
形成されている。また下部磁極層11の幅寸法は、前記
トラック幅Twよりも大きい幅寸法T2で形成されてい
る。前記下部磁極層11の幅寸法T2が、上部コア層1
3の幅寸法(=トラック幅Tw)よりも大きく形成され
るのは、後述するように薄膜磁気ヘッドの製造を容易化
するためである。
【0160】また図9の点線で示すように、下部磁極層
11と上部コア層13間に挟まれるギャップ層12は、
トラック幅Twで形成され、さらに下部磁極層11のギ
ャップ層12との接合面の幅寸法は、トラック幅Twで
形成され、前記ギャップ層12との接合面から下部コア
層30方向にかけて、下部磁極層11には隆起部11b
が形成されている。
【0161】また前記隆起部11bの基端から延びる前
記下部磁極層11の両側上面には、上部コア層13から
離れる方向に傾斜する傾斜面11a,11aが形成され
ている。
【0162】図10に示すように、下部磁極層11と下
部コア層30間に形成される段差内にコイル層14及び
コイル絶縁層16が形成され、前記下部磁極層11とギ
ャップ層12との接合面を基準平面Dとしたときに、前
記コイル層14及びコイル絶縁層16の上面は、前記基
準平面Dと同一面上に位置している。
【0163】また図10に示すように、下部コア層30
の後端部上に形成される持上げ層17もまた前記下部コ
ア層30と一体形成されている。
【0164】図10に示すように、下部磁極層11上か
ら、コイル層14上さらにはコイル絶縁層16上にかけ
てギャップ層12が形成され、平坦化面の前記ギャップ
層12上に直接上部コア層13がパターン形成されてい
る。図10に示すように前記上部コア層13の基端部1
3aは前記下部コア層30と一体形成された持上げ層1
7上に接合されている。
【0165】図11に示す実施例もまた、下部コア層3
0、下部磁極層11、および持上げ層17が一体形成さ
れている。
【0166】この実施例では図6に示す薄膜磁気ヘッド
と同様のコイル層が二層形成された形態であり、図11
に示すように、ギャップ層12上には、記録媒体との対
向面からハイト方向にかけて所定の長さ寸法にて上部磁
極層19が形成されている。
【0167】前記上部磁極層19は、記録媒体との対向
面付近では、トラック幅方向(図示X方向)における幅
寸法がトラック幅Twで形成されている。
【0168】図11に示すように前記上部磁極層19と
ギャップ層12間の段差内には第2のコイル層20と第
2のコイル絶縁層21が形成されており、前記上部磁極
層19と上部コア層13との接合面を基準平面Gとした
場合に、前記第2のコイル層20の上面及び第2のコイ
ル絶縁層21の上面は、前記基準平面Gと同一面上に位
置している。
【0169】図11に示すように、下部コア層30と一
体形成された持上げ層17上には、第2の持上げ層23
が形成されている。
【0170】そして前記コイル層20上及び第2のコイ
ル絶縁層21上には絶縁層22が形成され、さらに上部
磁極層19上から前記絶縁層22上、さらには第2の持
上げ層23上にかけて上部コア層13がパターン形成さ
れている。
【0171】図11に示すように前記上部コア層13
は、上部磁極層19上にハイト方向後方にずれて接合さ
れており、前記上部コア層13の前面は、記録媒体との
対向面には露出形成されない。そして前記上部コア層1
3は、図7に示すのと同様、その幅寸法がトラック幅T
wよりも大きく形成されている。
【0172】以上詳述したように本発明では、いずれの
実施例においてもギャップ層12下にコイル層14が形
成されている。
【0173】具体的には、下部コア層30上に、下部磁
極層11が形成され、前記下部コア層30と下部磁極層
11間の段差内にコイル層14及びコイル絶縁層16が
形成されている。
【0174】前記コイル絶縁層16の上面、あるいは前
記コイル層14及びコイル絶縁層16の上面は、前記下
部磁極層11とギャップ層12との接合面を基準平面D
としたときに、前記基準平面Dと同一面上で形成されて
おり、前記基準平面Dのハイト方向後方には平坦化面が
広がって形成されている。
【0175】よって本発明では、前記下部磁極層11、
コイル層14及びコイル絶縁層16上に形成されるギャ
ップ層12もまた平坦化されて形成されることになる。
【0176】上記のように本発明ではギャップ層12下
に既にコイル層14が形成されているので、前記ギャッ
プ層12上に形成すべき層は、上部コア層13のみであ
り、よって本発明では、前記上部コア層13をギャップ
層12上に直接形成することが可能である。
【0177】そして本発明では、前記ギャップ層12は
平坦化されて形成されているので、前記ギャップ層上に
形成される上部コア層13をパターン精度良く形成する
ことが可能になる。
【0178】特に本発明では、上部コア層13の記録媒
体との対向面付近のトラック幅Twで形成される先端部
Eを、高精度で形成することができ、今後の高記録密度
化に対応可能な狭トラック化を実現することができる。
【0179】また本発明では、前記トラック幅Twで形
成された先端部Eの長さを、従来に比べ短く形成するこ
とができ、磁気的ボリュームの大きい後端部をより記録
媒体との対向面方向に近づけて形成することができるこ
とで、前記先端部Eでの磁気飽和を抑え、従って磁束の
減衰を抑えることができ、OW特性を向上させることが
可能になっている。
【0180】また本発明では、上記したように、コイル
層を2層構造で形成する場合、トラック幅Twの先端部
Eを有する上部磁極層19上に、上部コア層13をハイ
ト方向にずらして形成し、よって、上部コア層13の前
面は記録媒体との対向面に露出形成されない。
【0181】従って前記上部コア層13にトラック幅T
wの先端部Eを形成する必要は無くなり、よって磁気的
ボリュームを稼ぐために、上部コア層13の前端部から
後端部にかけての幅寸法を大きく形成することができ、
前記上部コア層が形成されるべき面に、多少の盛り上が
りがあっても、前記上部コア層を所定形状にパターン形
成することができる。
【0182】また幅寸法の大きい前記上部コア層13を
ハイト方向後方にずらして形成することで、ライトフリ
ンジングの発生を適正に抑制できるという利点もある。
【0183】例えば図7に示す上部磁極層19の先端部
E上に、上部コア層13を重ね合わせた場合、先端部E
上には、トラック幅Twよりも幅寸法の大きい上部コア
層13が存在することから、前記上部コア層13と先端
部Eとの間でライトフリンジングが発生し好ましくな
い。
【0184】一方本発明では、図7に示すように、上部
コア層13を上部磁極層19の先端部E上ではなく、幅
寸法がトラック幅Twよりも漸次的に広がる後端部F上
に形成し、また前記後端部Fにおける幅寸法と、上部コ
ア層13の幅寸法はほぼ一致しているので、前記上部コ
ア層13から上部磁極層19にかけて磁束が通る際に、
磁束の減衰を起さず、今後の高記録密度化に対応可能な
薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0185】また本発明では、下部コア層30上に形成
される下部磁極層11、あるいは前記下部コア層30と
一体形成される下部磁極層11には、ギャップ層12と
の接合面をトラック幅Twで形成し、前記接合面から下
部コア層30方向に延びる隆起部11bを下部磁極層1
1に形成し、さらに前記隆起部11bの基端から延びる
下部磁極層11の両側上面に、上部コア層13から離れ
る方向に傾斜する傾斜面11a、11aを形成すること
で、ライトフリンジングの発生を抑制している。またこ
の実施形態では、さらなる狭トラック化に対応可能な薄
膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0186】また本発明では、コイル層を2層構造で形
成することで、前記コイル層の幅寸法をより小さく形成
することができ、前記下部コア層30から上部コア層1
3を経て形成される磁路長を短くでき、インダクタンス
の低下を図り、今後の高記録密度化に対向可能な薄膜磁
気ヘッドを製造することができる。
【0187】また本発明では、下部コア層30の後端部
上に、持上げ層17、あるいは前記持上げ層17上に第
2の持上げ層23を形成することで、上部コア層13と
下部コア層30との磁気的な接合を行い易くなり、製造
方法を容易化できて好ましい。
【0188】図12ないし図19は、図3に示す薄膜磁
気ヘッドの製造方法を示す一連の工程図である。なお図
12ないし図19に示す工程図は、薄膜磁気ヘッドを部
分縦断面図で示している。
【0189】図12に示す工程では、下部コア層30上
にレジスト層51を塗布した後、前記レジスト層51に
下部磁極層11及び持上げ層17が形成されるべき領域
にパターン51a,51aを形成し、前記パターン51
a,51a内に磁性材料をメッキ形成する。これは、い
わゆるフレームメッキ法と呼ばれる製法である。これに
より前記下部コア層30上に下部磁極層11及び持上げ
層17をメッキ形成することができる。その状態は図1
3に示されている。なお、下部コア層30上にメッキ下
地層を形成してもよいし、形成しなくてもよい。
【0190】また本発明では前記下部コア層30を形成
後、前記下部コア層30の周囲に絶縁層を形成し、さら
に下部コア層30及び絶縁層表面を、例えばCMP技術
を用いて、研磨加工することで、前記下部コア層30及
び絶縁層表面を同一平面状に平坦化することができる。
これにより前記下部コア層30上にパターン精度良くレ
ジスト層51を形成でき、また後の工程において前記下
部コア層30上にコイル層をパターン精度良く形成する
ことができる。
【0191】なお図13に示すように、記録媒体との対
向面からハイト方向(図示Y方向)後方に所定の長さ寸
法L2を有する下部磁極層11を形成する。前記長さ寸
法L2は、ギャップデプスGdとして規制されるので、
前記長さ寸法L2は、ある所定の寸法内に高精度に形成
される必要性がある。
【0192】また前記下部磁極層11のトラック幅方向
(図示X方向)における幅寸法は、T2で形成され(図
1参照)、この幅寸法T2は、トラック幅Twよりも大
きく形成される。このようにトラック幅Twよりも大き
い幅寸法で形成する理由は、上部コア層13を形成する
際に、トラック幅Twで形成される上部コア層13の先
端部Eを、ギャップ層12を介して下部磁極層11に適
切に対向させるためである。
【0193】なお前記下部磁極層11及び持上げ層17
の高さ寸法は、同じ高さ寸法で形成されても、異なる高
さ寸法で形成されてもどちらでもよい。
【0194】また前記下部コア層30上に下部磁極層1
1及び持上げ層17を形成する方法は図12に示す製造
工程に限らず、例えば図14に示す製造工程によっても
形成することができる。
【0195】すなわち、下部コア層30を形成後、下部
磁極層11及び持上げ層52が形成されるべき前記下部
コア層30の表面に保護層となるレジスト層52,52
を形成し、前記レジスト層52が形成されていない前記
下部コア層30表面を例えばエッチングで図に示す点線
の位置まで削ることにより、下部コア層30表面から突
出する下部磁極層11及び持上げ層17を形成すること
ができる。
【0196】なおこの工程を用いる場合は、最初、下部
磁極層11及び持上げ層17の高さ分だけ下部コア層3
0の膜厚を厚く形成しておく必要性がある。
【0197】また本発明では前記下部コア層30を形成
後、前記下部コア層30の周囲に絶縁層を形成し、さら
に下部コア層30及び絶縁層表面を、例えばCMP技術
を用いて研磨加工し、前記下部コア層30及び絶縁層表
面を同一平面状に平坦化することが好ましい。
【0198】次に図15に示すように、前記下部磁極層
11上から下部コア層30上、さらには持上げ層17上
にかけて絶縁下地層15を形成する。この実施例では前
記絶縁下地層15は無機絶縁材料で形成される。
【0199】ただし前記絶縁下地層15が無機絶縁材料
で形成された場合には、前記絶縁下地層15にピンホー
ル等の欠陥が発生しやすいので、前記絶縁下地層15上
あるいはその下に有機絶縁材料で形成された絶縁下地層
を形成しておくことが好ましい。
【0200】また前記有機絶縁材料で形成された絶縁下
地層を一層のみ形成してもかまわない。
【0201】図15に示すように前記絶縁下地層15上
にコイル層14をパターン形成する。このコイル層14
の高さ寸法は、前記上部磁極層11の上面を基準平面と
したときに前記基準平面とほぼ同じくらいか、あるいは
前記基準平面よりも高いことが好ましいが、低くてもか
まわない。
【0202】次に図16に示す工程では、前記絶縁下地
層15上に形成されたコイル層14の各導体部のピッチ
間をコイル絶縁層16によって埋める。前記コイル絶縁
層16はスパッタ法等の既存の方法で形成され、図16
に示すように前記コイル絶縁層16は、前記コイル層1
4の各導体部のピッチ間のみならず、下部磁極層11の
上、持上げ層17上にも形成され、前記コイル層14が
前記コイル絶縁層16によって完全に覆われた状態にさ
れる。
【0203】この実施例においては、前記コイル絶縁層
16は無機絶縁材料で形成される。前記無機絶縁材料で
コイル絶縁層16を形成する理由は、次工程で説明する
CMP技術を用いた研磨加工の際に、前記コイル絶縁層
16の上面を削りやすいからであるが、前記コイル絶縁
層16を無機絶縁材料で形成すると以下に説明する不具
合が発生する可能性がある。
【0204】すなわち、前記コイル絶縁層16はスパッ
タ法等で形成されるので、前記コイル絶縁層16がコイ
ル層14の各導体部のピッチ間に適切に侵入せず、前記
各導体部のピッチ間に前記コイル絶縁層16によって埋
められない空洞部が形成される場合がある。
【0205】磁気ヘッドの駆動時の高温な環境下では、
形成された前記空洞部から薄膜磁気ヘッドの内部構造に
変形をもたらす危険性があり好ましくない。
【0206】このような不具合を無くす方法としては、
例えば予め前記コイル層14の各導体部のピッチ間を、
次工程で説明する研磨工程の際の、研磨ライン(A−A
線)より低い位置にまで有機絶縁材料で埋めておき、前
記有機絶縁材料層上にコイル絶縁層16を形成する方法
がある。
【0207】これにより前記コイル層14の各導体部の
ピッチ間には空洞部の形成は無くなり、高温下での磁気
ヘッド駆動においても内部構造に変形をもたらすことが
なくなる。
【0208】次に図16に示すように、前記コイル絶縁
層16上面をA−A線まで、例えばCMP技術を用いて
研磨して削っていく。この研磨作業により、前記コイル
絶縁層16のみならず、下部磁極層11の上面及び持上
げ層17の上面も一部研磨されていく。
【0209】また前記コイル層14が図15に示す工程
の段階で、前記下部磁極層11と同程度の高さ位置で形
成され、あるいは前記下部磁極層11の高さよりも高い
位置にまで形成されている場合には、前記コイル層14
の上面もA−A線まで削られることになる。
【0210】上記研磨加工後の状態を示したのが図17
である。前工程での研磨加工により、前記下部磁極層1
1の上面を基準平面とした場合に、前記基準平面と同一
面上にコイル絶縁層16の上面が位置し、さらにコイル
層14の上面が図15工程において基準平面よりも高い
位置にまで形成されている場合には、前記コイル層14
上面も前記基準平面と同一面上に揃えられる。
【0211】次に図18に示す工程で、前記下部磁極層
11上面、コイル層14上面、コイル絶縁層16上面、
さらには持上げ層17上面にかけて非磁性のギャップ層
12を形成する。
【0212】そして図18に示すように、前記ギャップ
層12のうち、持上げ層17上に形成されたギャップ層
12をエッチング等の既存の方法により除去する。
【0213】上記したように、下部磁極層11の上面を
基準平面としたときに、前記基準平面と同一面上に、コ
イル層14上面及びコイル絶縁層16上面が位置するの
で、前記下部磁極層11、コイル層14さらにはコイル
絶縁層16上面に形成されるギャップ層12上面もまた
平坦化面となっている。
【0214】そして図19に示す工程で、前記ギャップ
層12上面に上部コア層13を形成する。
【0215】上部コア層13は、例えばフレームメッキ
法で形成される。前記フレームメッキ法は、まず前記ギ
ャップ層12上面にレジスト層を形成し、前記レジスト
層に上部コア層13と同一形状のパターンを露光現像に
より形成する。そして前記パターン内に、磁性材料層を
メッキ成長させ、最後に前記レジスト層を除去して、上
部コア層13を完成させる。
【0216】上部コア層13は、記録媒体との対向面か
らハイト方向後方に所定の長さ寸法にかけてトラック幅
Twで形成されており、前記トラック幅Twは、今後の
高記録密度化に伴い非常に小さく形成される必要性があ
る。
【0217】ところで本発明では、上部コア層13の形
成に使用されるレジスト層を平坦化面のギャップ層12
上に形成できるので、前記レジスト層の膜厚を均一な膜
厚で形成でき、しかも前記レジスト層の膜厚を薄く形成
できる。よって前記レジスト層に露光現像の際に乱反射
等が起こらず、また解像度を向上させることができ、所
定形状の上部コア層13のパターン精度良く形成するこ
とができる。従って本発明によれば、上部コア層13の
形状のうち最も高精度に形成されるべき、トラック幅T
wの先端部Eを、適切に所定のトラック幅Tw寸法内で
形成することができる。
【0218】また本発明では、前記トラック幅Twの先
端部Eの長さ寸法を短く形成することができるから、今
後の高記録密度化においても磁気的飽和を抑制でき、O
W(オーバーライト)特性に優れた薄膜磁気ヘッドを製
造することができる。
【0219】また上記したように、持上げ層17上のギ
ャップ層12はエッチング等で除去され、前記持上げ層
17上面は、露出した状態になっており、図19に示す
ように上部コア層13の基端部13aは持上げ層17上
に接合される。
【0220】これにより前記上部コア層13から持上げ
層17を介して下部コア層30を経る磁路長が形成され
る。持上げ層17の形成により、前記上部コア層13と
下部コア層30間の磁気的な接合を行い易くなり、製造
工程を容易化することができる。
【0221】図20から図22には、本発明の薄膜磁気
ヘッドにおける他の製造方法の工程図が図示されてい
る。
【0222】まず図13に示す工程と同様に、下部コア
層30上に、下部磁極層11と持上げ層17を形成した
後、図20に示すように、前記下部磁極層11上から下
部コア層30上、さらには持上げ層17上にかけて絶縁
下地層15を形成する。そして前記下部コア層30上に
形成された絶縁下地層15上に、コイル絶縁層16をス
パッタ形成する。
【0223】前記コイル絶縁層16は無機絶縁材料で形
成され、また図20に示すように、前記コイル絶縁層1
6は下部磁極層11上面、および持上げ層17上面にも
形成される。
【0224】次に図20に示すように、前記コイル絶縁
層16をB−B線まで、例えばCMP技術を用いて研磨
加工する。なお前記B−B線までの研磨加工は行わなく
てもよい。
【0225】この際、前記下部磁極層11上面及び持上
げ層17上面も同時に削られていき、前記下部磁極層1
1上面を基準平面としたときに、前記基準平面と同一面
上にコイル絶縁層16上面が位置する状態になる。また
前記持上げ層17上面も前記基準平面と同一面上に位置
する。
【0226】次に前記コイル絶縁層16上に、レジスト
層(図示しない)を形成し、前記レジスト層にコイル層
14と同一形状のパターンを露光現像により形成し、前
記パターン内から露出するコイル絶縁層16をエッチン
グで削って、前記パターンと同一形状のコイル形成溝を
コイル絶縁層16に形成する。その状態を示したのが図
21である。
【0227】図21に示すように、前記コイル絶縁層1
6には、コイル層14と同一なパターン形状となるコイ
ル形成溝16aが形成された状態になっている。
【0228】ところで、前記コイル形成溝16aの下に
は、絶縁下地層15が残されているが、前記コイル形成
溝16aの形成の際に、前記絶縁下地層15まで削って
下部コア層30上面が露出した状態にされてはならな
い。
【0229】それは前記コイル形成溝16a内には、次
工程で、コイル層14が形成されるので、前記コイル層
14と下部コア層30間の絶縁性耐圧を良好に保つため
である。
【0230】図22に示すように、前記コイル形成溝1
6a内に導電性材料を充填し、前記コイル形成溝16a
内にコイル層14を形成する。前記コイル層14の形成
は、金属メッキ法や、スパッタ法、あるいはCVD法等
の既存の方法が使用される。
【0231】図22に示すように、コイル層14は、コ
イル形成溝16a内のみならず、下部磁極層11上、持
上げ層17上にも形成され、コイル形成溝16a上で、
コイル層14の各導体部は繋がった状態にされているの
で、前記コイル形成溝16a内にのみコイル層14を収
めるために、図22に示すように、CMP技術等を用い
て前記コイル層14をC−C線まで削っていく。
【0232】この際、下部磁極層11上面、コイル絶縁
層16上面、持上げ層17上面も前記研磨加工により削
られていき、前記下部磁極層11上面を基準平面とした
ときに、前記基準平面と同一面上にコイル絶縁層16、
およびコイル層14の上面が位置した状態になる。
【0233】そして図18、19に示す工程と同様に、
前記下部磁極層11上面、コイル層14上面及びコイル
絶縁層16上面に、ギャップ層12を形成し、さらに前
記ギャップ層12上面に上部コア層13をフレームメッ
キ法等により形成する。
【0234】この製造方法においても、前記下部磁極層
11上面と同一面上に、コイル絶縁層16及びコイル層
14の上面が位置し、前記下部磁極層11上面、コイル
層14上面、さらにはコイル絶縁層16上に形成される
ギャップ層12の上面は、平坦化面となっているので、
前記ギャップ層12上に形成される上部コア層13を、
パターン精度良く形成でき、特に前記上部コア層13の
トラック幅Twで形成される先端部Eを、所定のトラッ
ク幅Tw寸法内で形成することが可能である。
【0235】図23ないし図25は、図6に示す薄膜磁
気ヘッドの製造方法の工程図が図示されている。
【0236】図23に示す工程図では、既に、下部コア
層30と、前記下部コア層30上に、下部磁極層11、
持上げ層17、コイル層14、コイル絶縁層16、およ
びギャップ層12が形成されている。上記各層の製造方
法は、図12ないし図19、あるいは図20ないし図2
2に示す工程で行なわれる。
【0237】図23では、前記ギャップ層12上であっ
て、記録媒体との対向面からハイト方向後方に所定の長
さ寸法で上部磁極層19を形成する。
【0238】前記上部磁極層19の製造方法は、上部コ
ア層13と同様にフレームメッキ法が使用され、まず前
記ギャップ層12上にレジスト層(図示しない)を形成
した後、前記レジスト層に上部磁極層19のパターンを
露光現像により形成し、前記パターン内に磁性材料をメ
ッキ成長させることで、上部磁極層19を形成する。
【0239】前記上部磁極層19の平面形状は、図7に
示す通り、記録媒体との対向面からハイト方向に所定の
長さ寸法を有するトラック幅Twで形成された先端部E
と前記先端部Eの基端からハイト方向に幅寸法が漸次的
に広がる後端部Fとで構成される。
【0240】図23に示すように、前記上部磁極層19
は、平坦化されたギャップ層12上に形成されるから、
前記上部磁極層19の形成に使用されるレジスト層を薄
い膜厚で形成でき、しかも均一な膜厚で形成できる。よ
って、露光現像の際に、乱反射等は発生せず、また解像
度を向上させることができ、前記上部磁極層19をパタ
ーン精度良く形成できる。特にトラック幅Twで形成さ
れる先端部Eを、所定のトラック幅Tw寸法内に高精度
に形成することができる。
【0241】前記上部磁極層19の形成により、図23
に示すように、前記ギャップ層12と上部磁極層19間
には段差が形成される。また図23に示す実施例では、
下部コア層30の後端部上に形成された持上げ層17上
に、第2の持上げ層23を形成している。
【0242】次に図24に示す工程では、前記上部磁極
層19のハイト方向後方であって、ギャップ層12上
に、第2のコイル層20及び第2のコイル絶縁層21を
形成する。
【0243】前記第2のコイル層20及び第2のコイル
絶縁層21の形成方法は、第1層目となるコイル層14
及び前記コイル層14の各導体部のピッチ間を埋めるコ
イル絶縁層16の形成方法と同様であり、具体的には図
15ないし図17に示す工程と同様に、まずギャップ層
12上に第2のコイル層20をパターン形成した後、前
記第2のコイル層20の各導体部のピッチ間を第2のコ
イル絶縁層21によって埋め、次にCMP技術等を用い
て、前記第2のコイル絶縁層21の上面及びコイル層2
0の上面を、上部磁極層19の上面を第2の基準平面と
したときに、前記基準平面と同一面上になるまで削るこ
とで達成することができる。
【0244】あるいは、図20ないし図22に示すよう
に、ギャップ層12上に第2のコイル絶縁層21を形成
し、次に前記第2のコイル絶縁層21にコイル形成溝を
形成した後、前記コイル形成溝内に第2のコイル層20
を埋め、CMP技術等を用いて、前記上部磁極層19の
上面を第2の基準平面としたときに、前記第2の基準平
面と同一面上になるまで、前記第2のコイル層20及び
第2のコイル絶縁層21の上面を削ることで達成するこ
とができる。
【0245】上記した製法を用いた場合には、第2のコ
イル絶縁層21は無機絶縁材料で形成され、前記第2の
コイル絶縁層21の上面は、上部磁極層19の上面(=
第2の基準平面)と同一面上に位置するが、本発明で
は、前記第2のコイル絶縁層21の上面が前記第2の基
準平面よりも多少盛り上がって形成されてもかまわな
い。それは第2のコイル絶縁層21に有機絶縁材料を使
用することで行なわれ、完成した薄膜磁気ヘッドは図8
に示す形態になる。
【0246】まずギャップ層12と上部磁極層19間の
段差内に第2のコイル層20をパターン形成する。この
際の前記第2のコイル層20の高さ寸法は、前記第2の
コイル層20の上面が上部磁極層19の上面と同一高さ
であってもよいし、あるいは前記上部磁極層19の上面
より低く形成されても高く形成されてもかわない。
【0247】次に前記第2のコイル層20の各導体部の
ピッチ間を有機絶縁材料で形成された第2のコイル絶縁
層で埋める。この際、前記第2のコイル層20上面も前
記第2のコイル絶縁層により覆い、上から見た時に前記
第2のコイル層20がコイル絶縁層により完全に覆われ
た状態にされていなくてはならない。
【0248】完成した薄膜磁気ヘッドの形態が図示され
ている図8を見ると、有機絶縁材料で形成された前記第
2のコイル絶縁層24は、上部磁極層19の上面から高
さH5だけ盛り上がって形成されるが、このような盛り
上がりがあっても、次工程で形成される上部コア層13
のパターン形成に支障をきたさない。
【0249】なぜなら前記上部コア層13は、図7に示
すように、上部磁極層19の後端部F付近に接合されて
形成され、前記上部コア層13の幅寸法自体は、前端部
から後端部にかけて一律にトラック幅Twに比べて大き
な寸法で形成されるからである。
【0250】このため前記上部コア層13の形成を、ト
ラック幅Twで形成された先端部の形成の時のように、
高いパターン精度で形成しなくても、前記上部コア層1
3を所定形状で形成し易く、従って図8に示すように、
上部コア層13が形成されるべき表面に多少の盛り上が
りがあってもよいのである。
【0251】図24示すように、第2のコイル層20
が、上部磁極層19上面と同一面上に位置し、前記第2
のコイル層20上面が露出した状態にあっては、前記上
部コア層13を形成する際には、図25に示すように、
第2のコイル絶縁層21及びコイル層20上に絶縁層2
2を形成する。この際、前記絶縁層22は第2の持上げ
層23上に形成されてはならない。前記第2の持上げ層
23上には、次工程で形成される上部コア層13の基端
部13aが接合されるからである。
【0252】前記絶縁層22は、第2のコイル層20
が、上部コア層13が形成されるべき表面に露出してい
なければ形成する必要性はないが、仮に露出していなく
ても第2のコイル層20と上部コア層13間の絶縁性耐
圧を向上させるために、前記絶縁層22を形成する方が
好ましい。
【0253】前記絶縁層22は、無機絶縁材料で形成さ
れてもよいし、有機絶縁材料で形成されてもよいが、絶
縁性耐圧を適切に向上させるには、有機絶縁材料で形成
される方が好ましい。また無機絶縁材料で形成された絶
縁層と有機絶縁材料で形成された絶縁層の積層構造で前
記絶縁層22を構成してもよい。
【0254】図25に示すように、前記上部磁極層19
上から絶縁層22上、さらには第2の持上げ層23上に
かけて上部コア層13をフレームメッキ法等で形成す
る。
【0255】図25に示すように、前記上部コア層13
は、上部磁極層19上に記録媒体との対向面からハイト
方向にずれた位置で接合される。
【0256】図8に示すように前記上部コア層13は、
上部磁極層19のうち、幅寸法がトラック幅Twから漸
次的に広がる後端部F上に接合されることが好ましい。
【0257】このように前記上部コア層13を、上部磁
極層19の後端部F上に接合する理由は、前記上部コア
層13の幅寸法は前端部から後端部にかけて一律に、ト
ラック幅Twに比して大きな幅寸法で形成されるからで
あり、このように幅寸法の大きい上部コア層13が、仮
に前記上部磁極層19のうち、トラック幅Twで形成さ
れた先端部E上に形成された場合には、前記先端部Eと
上部コア層13との間で、トラック幅方向に段差が形成
されてしまい、この部分でライトフリンジングが発生し
やすくなる。
【0258】このため前記上部コア層13は、上部磁極
層19のうちでも、前記上部磁極層19とほぼ同等な幅
寸法を有する後端部F上に接合されることが、ライトフ
リンジングの発生の抑制には好ましい。
【0259】また上記したように、前記上部コア層13
が形成されるべき表面には絶縁層22の存在や、あるい
は第2のコイル絶縁層24の盛り上がり等により、前記
上部コア層13を完全な平坦化面上に形成することがで
きないが、前記上部コア層13は、その幅寸法が前端部
から後端部にかけて非常に大きく形成されるので、完全
な平坦化面上に形成されず、多少の盛り上がりがあって
も、前記上部コア層13を所定形状で形成することは可
能である。
【0260】なお図23ないし図25に示す製造工程で
は、下部コア層30上に持上げ層17が形成されている
が、前記持上げ層17が形成されていない場合には、前
記第2の持上げ層23を下部コア層30上から形成する
ことが好ましい。
【0261】また前記第2の持上げ層23は形成されて
いなくてもよいが、この場合、第2のコイル層20を覆
うコイル絶縁層に穴を空けて、前記穴内に、上部コア層
13の基端部13aを形成して、前記基端部13aを持
上げ層17上、あるいは下部コア層30上に接合させな
ければならない。
【0262】図26ないし図29は、図2に示すように
下部磁極層11に傾斜面11a,11aを形成するため
の製造方法が示されている。図26ないし図29に示す
工程図は、既に上部コア層13までが形成された後の状
態が示されている。なお図26に示す工程図は部分平面
図であり、図27ないし図29に示す工程図は部分正面
図である。
【0263】図26に示す工程では、上部コア層13
上、および前記上部コア層13のトラック幅方向の両側
からはみ出るギャップ層12上にレジスト層40を塗布
形成する。
【0264】前記レジスト層40が形成されるべき部分
は斜線で描かれているが、図26に示すように、前記上
部コア層13のうち、トラック幅Twで形成される先端
部E及びそのトラック幅Twの両側に形成されるギャッ
プ層12の部分には、前記レジスト層40が形成されて
いない。
【0265】また前記レジスト層40の形成されない領
域は、さらに上部コア層13の後端部F上にまで延びて
いてもよいが、この場合、少なくともコイル層14が形
成されている上には、レジスト層40が形成されていな
ければならない。前記コイル層14を、後述するイオン
ミリング等から適切に保護するためである。
【0266】次に図27に示すように、前記レジスト層
40が形成されていない部分のギャップ層12を矢印R
方向(垂直方向)からのみ行なわれる異方性エッチング
により除去する。異方性エッチングとしては、例えばプ
ラズマエッチングを使用する。
【0267】この工程により図27に示す点線部分のギ
ャップ層12が除去され、前記ギャップ層12は、幅寸
法が上部コア層13の先端部Eの幅寸法と同様に、トラ
ック幅Twとして上部コア層13と下部コア層30との
間に残される。
【0268】なおプラズマエッチングは、化学的作用に
より材料を選択的に除去するものであるため、このプラ
ズマエッチングにより、下部コア層30および上部コア
層13は、ダメージを受けることがない。
【0269】前記ギャップ層12が除去された部分で
は、下部磁極層11及びコイル絶縁層16の表面が露出
した状態にされる。
【0270】図28に示す工程では、第1イオンミリン
グにより、ギャップ層12の除去により露出した下部磁
極層11及びコイル絶縁層16の上面を削る。
【0271】前記第1イオンミリングには、中性イオン
化されたAr(アルゴン)ガスが使用される。この第1
イオンミリングでは、矢印S方向および矢印T方向から
イオン照射が行われるが、このイオン照射の角度θ1は
0から30°の範囲内であることが好ましい。つまり、
この工程における第1イオンミリングでは、垂直に近い
方向から、下部磁極層11の上面に対してイオンが照射
される。
【0272】下部磁極層11に、垂直に近い方向(矢印
SおよびT)からイオンが照射されると、物理的作用に
より、前記下部磁極層11のギャップ層12との対向面
の両側部分が、ほぼ矩形状に削られる。これにより、前
記下部磁極層11には、ほぼ直角に段差が形成され、前
記ギャップ層12の下には、上部コア層13先端の幅寸
法(=トラック幅Tw)とほぼ同じ幅寸法よる隆起部1
1bが形成される。
【0273】なお図示されていないが、前記第1イオン
ミリングにより削り取られた下部磁極層11の磁粉が、
上部コア層13、ギャップ層12及び隆起部11bの両
側に付着する。
【0274】このような磁粉の付着は、記録特性を劣化
させることから適切に除去しなければならず、さらにラ
イトフリンジングの抑制に効果的な傾斜面11a,11
aを下部磁極層11に形成すべく、第2次イオンミリン
グを行う。
【0275】第2次イオンミリングでは、第1次イオン
ミリングと同様に中性イオン化されたAr(アルゴン)
ガスが使用される。この第2次イオンミリングでは、図
29に示すように、矢印U方向および矢印V方向からイ
オン照射が行われるが、このイオン照射の角度θ2は4
5°から70°の範囲内であることが好ましい。つま
り、第1次イオンミリング(イオン照射角度θ1は0°
から30°)に比べて、より斜め方向からイオンが照射
される。
【0276】矢印Uおよび矢印V方向からイオンが照射
されると、物理的作用により、隆起部11bの両側の下
部磁極層11上面が、斜めに削り取られ、前記下部磁極
層11に傾斜面11a,11aが形成される。なおこの
際、コイル絶縁層16の上面も削られていき、前記傾斜
面11a,11aと連続する傾斜面16b,16bが形
成される。
【0277】また同時に、第2次イオンミリングでは、
上部コア層13、ギャップ層12、および隆起部11b
の両側面に付着した磁粉が削り取られ、除去される。前
記磁粉が除去されることにより、前記上部コア層13と
下部磁極層11との間において、磁気的な短絡が発生し
ない。
【0278】また本発明では、第1次イオンミリングや
第2次イオンミリングにより、上部コア層13の両側も
削れ、前記上部コア層13の幅寸法で規制されるトラッ
ク幅Twは、より小さくなり今後の高記録密度化におけ
る狭トラック化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造する
ことが可能である。
【0279】このように、下部磁極層11に隆起部11
b及び傾斜面11aの形成は、ライトフリンジングの発
生の抑制に役立つ。
【0280】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、下部コア
層上に、記録媒体からハイト方向後方に所定の長さ寸法
で下部磁極層を形成し、前記下部磁極層と下部コア層間
に形成される段差内に、コイル層及びコイル絶縁層を形
成する。
【0281】そして前記下部磁極層とギャップ層との接
合面を基準平面としたときに、前記コイル絶縁層の上
面、あるいは前記コイル層の上面及びコイル絶縁層の上
面を前記基準平面と同一面上に位置させ、前記基準平面
のハイト方向後方に平坦化面を形成することで、前記基
準平面及び平坦化面上に形成されるギャップ層もまた平
坦化して形成することができる。
【0282】従って本発明では、前記ギャップ層上に形
成される上部コア層を、平坦化された面上に形成するこ
とができ、よって前記上部コア層を形成する際に使用さ
れるレジスト層の膜厚を薄く形成することができ、しか
も均一に形成できるので、露光現像の際に乱反射等が発
生せず、しかも解像度を向上させることができ、前記上
部コア層をパターン精度良く形成することができる。
【0283】特にトラック幅Twで形成される先端部
を、高精度に形成することができ、また前記先端部の長
さ寸法を短く適切に形成できることから、磁気飽和の発
生を抑制でき、OW(オーバーライト)特性に優れた薄
膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0284】さらに本発明では、下部磁極層に、ギャッ
プ層との接合の幅寸法がトラック幅Twで形成された隆
起部及び前記隆起部の基端から延びる下部磁極層の両側
上面に上部コア層から離れる方向に傾斜する傾斜面を形
成することで、ライトフリンジングの発生を適切に抑制
することができる。
【0285】また本発明ではコイル層を2層構造で形成
することができ、これによりコイル層の幅寸法を小さく
して、下部コア層から上部コア層を経て形成される磁路
長を短くでき、インダクタンスの低減を図り、高記録密
度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを形成することができ
る。
【0286】さらにコイル層を2層構造にした場合にお
いて、本発明では、ギャップ層上にトラック幅Twで形
成された先端部を有する上部磁極層を、パターン精度良
く形成することができ、さらに、前記上部磁極層のハイ
ト方向後方であってギャップ層上に第2のコイル層及び
第2のコイル絶縁層を形成することができる。
【0287】そして本発明では、上部コア層を、上部磁
極層上にハイト方向後方にずらして接合することで、前
記上部コア層にトラック幅Twで形成される先端部を形
成する必要は無くなり、従って前記上部コア層の幅寸法
を、トラック幅Twに比べて大きな幅寸法で形成するこ
とができる。
【0288】従って前記上部コア層が形成されるべき面
に多少の盛り上がりがあっても、前記上部コア層を所定
形状にパターン精度良く形成することができ、また上記
のように幅寸法の大きい上部コア層を上部磁極層上にハ
イト方向後方にずらして形成することで、ライトフリン
ジングの発生を抑制することができる。
【0289】また本発明の製造方法によれば、CMP技
術等を用いれば、下部磁極層とギャップ層との接合面を
基準平面としたときに、前記基準平面と同一面上に、コ
イル絶縁層の上面、あるいは前記コイル絶縁層の上面及
びコイル層の上面を容易にしかも確実に位置させること
が可能であり、前記基準平面のハイト方向後方に平坦化
面を形成することができる。
【0290】そして本発明における製造方法によれば、
上部コア層を所定形状にパターン精度良く形成すること
が可能である。
【0291】また本発明では、下部コア層上に持上げ層
を形成することで、上部コア層と下部コア層間の磁気的
な接合を行い易くなり、製造工程を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における薄膜磁気ヘッドの構造を示す部
分正面図、
【図2】本発明における薄膜磁気ヘッドの他の構造を示
す部分正面図、
【図3】図1に示す3−3線から切断した薄膜磁気ヘッ
ドの部分縦断面図、
【図4】図1に示す薄膜磁気ヘッドの部分平面図、
【図5】図2に示す薄膜磁気ヘッドの部分平面図、
【図6】本発明における薄膜磁気ヘッドの他の構造を示
す部分縦断面図、
【図7】図6に示す薄膜磁気ヘッドの部分平面図、
【図8】本発明における薄膜磁気ヘッドの他の構造を示
す部分縦断面図、
【図9】本発明における薄膜磁気ヘッドの他の構造を示
す部分正面図、
【図10】図9に示す10−10線から切断した薄膜磁
気ヘッドの部分縦断面図、
【図11】本発明における薄膜磁気ヘッドの他の構造を
示す部分縦断面図、
【図12】図3に示す薄膜磁気ヘッドの製造工程を示す
一工程図、
【図13】図13に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図14】他の製造工程を示す一工程図、
【図15】図13に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図16】図15に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図17】図16に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図18】図17に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図19】図18に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図20】図3に示す薄膜磁気ヘッドの他の製造方法を
示す一工程図、
【図21】図20に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図22】図21に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図23】図6に示す薄膜磁気ヘッドの製造方法を示す
一工程図、
【図24】図23に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図25】図24に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図26】図2に示す下部磁極層の製造方法を示す一工
程図、
【図27】図26に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図28】図27に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図29】図28に示す工程の次に行なわれる一工程
図、
【図30】従来における薄膜磁気ヘッドの構造を示す部
分縦断面図、
【図31】従来における薄膜磁気ヘッドの製造工程を示
す一工程図、
【符号の説明】
11 下部磁極層 12 ギャップ層 13 上部コア層 14 コイル層 15、18 絶縁下地層 16 コイル絶縁層 17 持上げ層 19 上部磁極層 20 第2のコイル層 21、24 第2のコイル絶縁層 23 第2の持上げ層 30 下部コア層 40 レジスト層

Claims (30)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下部コア層と、記録媒体との対向面で前
    記下部コア層に非磁性のギャップ層を介して対向する上
    部コア層と、前記下部コア層と上部コア層に記録磁界を
    誘導するコイル層とが設けられた薄膜磁気ヘッドにおい
    て、 前記下部コア層には、記録媒体との対向面からハイト方
    向に所定の長さ寸法にて下部磁極層が形成され、前記下
    部磁極層上にギャップ層が接し、 前記下部磁極層と下部コア層との段差内には、コイル層
    及び前記コイル層の各導体部のピッチ間を埋めるコイル
    絶縁層が形成され、 下部磁極層とギャップ層との接合面を基準平面としたと
    きに、前記コイル絶縁層の上面、あるいは前記コイル絶
    縁層の上面及びコイル層の上面が、前記基準平面と同一
    面上に位置し、前記基準平面のハイト方向後方には平坦
    化面が広がっており、 前記上部コア層は、記録媒体との対向面に露出する部分
    では、前記ギャップ層にトラック幅Twで接することを
    特徴とする薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記上部コア層と下部磁極層間に挟まれ
    たギャップ層はトラック幅Twで形成され、前記下部磁
    極層には、ギャップ層と接する部分において、前記トラ
    ック幅Twと同じ幅寸法を有する隆起部が形成されてい
    る請求項1記載の薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記隆起部の基端から延びる下部磁極層
    の両側上面には、上部コア層から離れるに従って傾斜す
    る傾斜面が形成されている請求項2記載の薄膜磁気ヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 前記下部磁極層は前記下部コア層と一体
    形成されている請求項1ないし3のいずれかに記載の薄
    膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記下部コア層には、後端部上に持上げ
    層が形成され、前記持上げ層の上面は前記基準平面と同
    一面上に位置し、前記持上げ層と上部コア層の基端部と
    が接して形成されている請求項1ないし4のいずれかに
    記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記下部コア層と持上げ層とが一体形成
    されている請求項5記載の薄膜磁気ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記コイル絶縁層は無機絶縁材料で形成
    されている請求項1ないし6のいずれかに記載の薄膜磁
    気ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記基準平面と同一面上は削られた面で
    ある請求項1ないし7のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッ
    ド。
  9. 【請求項9】 前記コイル層と下部コア層との間には、
    絶縁下地層が形成されている請求項1ないし8のいずれ
    かに記載の薄膜磁気ヘッド。
  10. 【請求項10】 ギャップ層上には、記録媒体との対向
    面からハイト方向後方にかけて所定の長さ寸法で、且つ
    記録媒体との対向面に露出する部分ではトラック幅Tw
    で形成された上部磁極層が形成され、 前記ギャップ層上であって前記上部磁極層のハイト方向
    後方には、前記コイル層と電気的に接続されて前記下部
    コア層および上部コア層に記録磁界を誘導する第2のコ
    イル層と、前記第2のコイル層の各導体部のピッチ間を
    埋める第2のコイル絶縁層が形成され、 前記上部コア層は、前記上部磁極層上に記録媒体との対
    向面からハイト方向後方にずらされて接合される請求項
    1ないし9のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  11. 【請求項11】 前記上部磁極層は、トラック幅Twで
    形成された先端部と、前記細長部の基端からハイト方向
    に漸次的に幅寸法が広がる後端部とで構成され、前記上
    部コア層は前記後端部上に接合される請求項10記載の
    薄膜磁気ヘッド。
  12. 【請求項12】 前記上部磁極層と上部コア層との接合
    面を第2の基準平面としたときに、前記第2のコイル絶
    縁層の上面、あるいは第2のコイル絶縁層の上面及び第
    2のコイル層の上面が前記基準平面と同一面上に位置
    し、前記基準平面からハイト方向後方には平坦化面が広
    がっている請求項10または11に記載の薄膜磁気ヘッ
    ド。
  13. 【請求項13】 前記第2のコイル絶縁層は無機絶縁材
    料で形成されている請求項12記載の薄膜磁気ヘッド。
  14. 【請求項14】 前記基準平面と同一面上は削られた面
    である請求項13記載の薄膜磁気ヘッド。
  15. 【請求項15】 前記第2のコイル絶縁層は有機絶縁材
    料で形成されている請求項10または11に記載の薄膜
    磁気ヘッド。
  16. 【請求項16】 下部コア層上に持上げ層が形成されて
    いない場合には下部コア層上から、前記下部コア層上に
    持上げ層が形成されている場合には前記持上げ層上に、
    第2の持上げ層が形成され、前記上部コア層の基端部が
    前記第2の持上げ層上に接して形成される請求項10な
    いし15のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッド。
  17. 【請求項17】 下部コア層と、記録媒体との対向面で
    前記下部コア層に非磁性のギャップ層を介して対向する
    上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層に記録磁界
    を誘導するコイル層とが設けられた薄膜磁気ヘッドの製
    造方法において、(a)下部コア層上に、記録媒体との
    対向面からハイト方向に所定の長さ寸法で、下部磁極層
    を形成する工程と、(b)前記下部コア層上に絶縁下地
    層を形成する工程と、(c)前記絶縁下地層上に、コイ
    ル層及び前記コイル層の各導体部のピッチ間を埋めるコ
    イル絶縁層を形成する工程と、(d)前記下部磁極層の
    上面を基準平面としたときに、前記コイル絶縁層の上
    面、あるいはコイル層の上面及コイル絶縁層の上面が前
    記基準平面と同一面上となるように、前記コイル絶縁層
    の上面、あるいは前記コイル層の上面及びコイル絶縁層
    の上面を削り、前記基準平面からハイト方向後方に平坦
    化面を形成する工程と、(e)前記下部磁極層の上面、
    及び平坦化面上にギャップ層を形成する工程と、(f)
    記録媒体との対向面に露出する部分で幅寸法がトラック
    幅Twで形成される上部コア層を、ギャップ層上にパタ
    ーン形成する工程と、 を有することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記(a)工程において、下部コア層
    のハイト方向後方に磁性材料製の持上げ層を形成し、前
    記(d)工程において、前記持上げ層の上面を前記基準
    平面と同一面上となるように削り、さらに前記(f)に
    おいて、上部コア層の基端部を、前記持上げ層の上面に
    接合させる請求項17記載の薄膜磁気ヘッドの製造方
    法。
  19. 【請求項19】 前記(a)工程において、下部コア層
    上にフレームメッキ法にて下部磁極層を形成し、また持
    上げ層をも形成する場合には、前記持上げ層を下部磁極
    層と同時にフレームメッキ法で形成する請求項17また
    は18に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  20. 【請求項20】 前記下部磁極層、または下部磁極層及
    び持上げ層を形成する前に、下部コア層の周囲を絶縁層
    によって埋めた後、前記下部コア層上及び前記絶縁層上
    を同一平面状に平坦化する請求項19記載の薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法。
  21. 【請求項21】 前記(a)工程において、下部磁極層
    が形成されるべき下部コア層表面を保護し、その他の部
    分の下部コア層表面を削ることにより、下部コア層から
    下部磁極層を突出形成し、また持上げ層をも形成する場
    合には、下部磁極層及び持上げ層が形成されるべき下部
    コア層表面を保護し、その他の部分の下部コア層表面を
    削ることにより、下部コア層から下部磁極層及び持上げ
    層を突出形成する請求項17または18に記載の薄膜磁
    気ヘッドの製造方法。
  22. 【請求項22】 前記下部磁極層、または下部磁極層及
    び持上げ層を形成する前に、下部コア層の周囲を絶縁層
    によって埋めた後、前記下部コア層上及び前記絶縁層上
    を同一平面状に平坦化する請求項21記載の薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法。
  23. 【請求項23】 前記(f)工程後、以下の工程を有す
    る請求項17ないし22のいずれかに記載の薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法。(g)トラック幅Twで形成された上
    部コア層のギャップ層との接合面から両側に延びるギャ
    ップ層を除去する工程と、(h)除去された前記ギャッ
    プ層下に露出する下部磁極層の上面を削り、前記下部磁
    極層のギャップ層との接合面の幅寸法をトラック幅Tw
    と一致させ、前記下部磁極層に上部コア層方向に延びる
    隆起部を形成する工程と、(i)前記隆起部の基端から
    延びる下部磁極層の両側上面に、上部コア層から離れる
    に従って傾斜する傾斜面を形成する工程、
  24. 【請求項24】 前記コイル層の各導体部のピッチ間を
    埋めるコイル絶縁層を、無機絶縁材料で形成する請求項
    17ないし23のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製
    造方法。
  25. 【請求項25】 前記(f)工程に代えて以下の工程を
    有する請求項17ないし24のいずれかに記載の薄膜磁
    気ヘッドの製造方法。(j)ギャップ層上に記録媒体と
    の対向面からハイト方向後方に所定の長さで、且つ記録
    媒体との対向面に露出する部分ではトラック幅Twで形
    成される上部磁極層を形成する工程と、(k)前記ギャ
    ップ層上であって上部磁極層のハイト方向後方に、第2
    のコイル層と前記第2のコイル層の各導体部のピッチ間
    を埋める第2のコイル絶縁層を形成する工程と、(l)
    上部コア層を、前記上部磁極層上に記録媒体との対向面
    からハイト方向後方にずらして接合する工程、
  26. 【請求項26】 前記(j)工程において、前記上部磁
    極層をトラック幅Twで形成された先端部と、前記先端
    部の基端からハイト方向に幅寸法が漸次的に広がる後端
    部とで構成し、前記(l)工程において、前記上部コア
    層を、上部磁極層の後端部上に接合させる請求項25記
    載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  27. 【請求項27】 前記(k)工程において、前記上部磁
    極層の上面を第2の基準平面としたときに、前記第2の
    コイル絶縁層の上面、あるいは第2のコイル層及び第2
    のコイル絶縁層の上面が、前記第2の基準平面と同一面
    上に位置するように、前記第2のコイル絶縁層の上面、
    あるいは前記第2のコイル層の上面及び前記第2のコイ
    ル絶縁層の上面を削り、前記第2の基準平面からハイト
    方向後方に広がる平坦化面を形成する請求項25または
    26に記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  28. 【請求項28】 前記第2のコイル層の各導体部のピッ
    チ間を埋める第2のコイル絶縁層を無機絶縁材料で形成
    する請求項27記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  29. 【請求項29】 前記第2のコイル層の各導体部のピッ
    チ間を埋める第2のコイル絶縁層を有機絶縁材料で形成
    する請求項25または26に記載の薄膜磁気ヘッドの製
    造方法。
  30. 【請求項30】 前記(j)工程において、下部コア層
    上に持上げ層が形成されている場合には前記持上げ層上
    に、前記下部コア層上に持上げ層が形成されていない場
    合には前記下部コア層上に、第2の持上げ層を形成し、
    前記(l)工程において、上部コア層の基端部を、前記
    第2の持上げ層上に接合させる請求項25ないし29の
    いずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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