JP2001215820A - 樹脂被覆ベルト及びその製造方法 - Google Patents

樹脂被覆ベルト及びその製造方法

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JP2001215820A
JP2001215820A JP2000026641A JP2000026641A JP2001215820A JP 2001215820 A JP2001215820 A JP 2001215820A JP 2000026641 A JP2000026641 A JP 2000026641A JP 2000026641 A JP2000026641 A JP 2000026641A JP 2001215820 A JP2001215820 A JP 2001215820A
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resin
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Hideki Kashiwabara
秀樹 柏原
Yoshitaka Ikeda
吉隆 池田
Toshihiko Takiguchi
敏彦 滝口
Chiaki Kato
千明 加藤
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Original Assignee
Sumitomo Electric Fine Polymer Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属ベルトを基体とする、耐熱性、離型性、
表面平滑性、耐久性などに優れた樹脂被覆ベルトとその
製造方法を提供すること。 【解決手段】 金属ベルト基体上に、直接または少なく
とも1層のゴム層を介して、耐熱性樹脂層が形成された
樹脂被覆ベルトにおいて、該金属ベルト基体が、硫黄含
有量が0.2重量%以下の無端状電鋳ニッケルベルト基
体であることを特徴とする樹脂被覆ベルト、及びその製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂被覆ベルトに
関し、さらに詳しくは、金属ベルト基体上に、直接また
はゴム層を介して、耐熱性樹脂層が形成された樹脂被覆
ベルト及びその製造方法に関する。本発明の樹脂被覆ベ
ルトは、電子写真複写機や静電記録装置などの画像形成
装置において、例えば、定着ベルト、転写ベルト、搬送
ベルトなどとして好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】電子写真方式や静電記録方式の複写機、
ファクシミリ、レーザービームプリンターなどの画像形
成装置においては、一般に、感光体表面を一様かつ均
一に帯電する帯電工程、像露光を行って感光体上に静
電潜像を形成する露光工程、静電潜像にトナー(現像
剤)を付着させてトナー像(可視像)を形成する現像工
程、感光体上のトナー像を転写紙やOHPシートなど
の転写材上に転写する転写工程、転写材上の未定着ト
ナー像を定着する定着工程などの一連の工程によって、
画像を形成している。
【0003】このような画像形成装置において、装置の
各部には、例えば、定着ローラ、加圧ローラ、搬送ロー
ラ、帯電ローラ、転写ローラなどの各種ローラ部材が配
置されており、各工程での機能を分担している。これら
のローラ部材には、耐熱性、離型性(オフセット防止
性)、表面平滑性、耐久性などに優れていることが要求
されており、これらに加えて、適度の弾力性が要求され
る場合もある。従来、例えば、定着ローラとしては、ア
ルミニウムなどの芯金上に、直接またはゴム層を介し
て、フッ素樹脂層などの離型層を形成した構造のものが
用いられてきたが、最近では、ポリイミド樹脂などの耐
熱性樹脂やニッケルなどの金属をベルト基体として用い
た無端状(エンドレス)の定着ベルトが開発されてい
る。ベルト部材としては、この他に、転写ベルト、帯電
ベルト、搬送ベルトなどがある。このようなベルト部材
は、通常、耐熱性樹脂や金属からなる無端状ベルト基体
の上に、直接またはゴム層を介して、フッ素樹脂層など
の離型層が形成された構造を有している。
【0004】上記の如きベルト部材の金属ベルト基体と
して、無端状電鋳ニッケルベルトが知られている。導電
性を付与した対象物(電型)に電気メッキを施し、その
型を精密に複製する操作を電鋳という。電鋳では、メッ
キ膜は対象物から剥離されて用いられる。無端状電鋳ニ
ッケルベルトは、例えば、ステンレス製の円筒状電型を
陰極とし、その表面にニッケルメッキ浴を用いてニッケ
ルメッキ膜を形成し、次いで、ニッケルメッキ膜を脱型
することにより、製造することができる。しかしなが
ら、無端状電鋳ニッケルベルトは、熱伝導性に優れてい
るものの、表面にフッ素樹脂層などの離型層を形成する
際の加熱処理により強度が低下する。したがって、この
ような無端状電鋳ニッケルベルトをベルト基体とする定
着ベルトなどのベルト部材は、耐熱性や耐久性が十分で
はないという問題があった。
【0005】定着ベルトの耐久性を向上させるために、
特許第2706432号公報には、マンガン0.05〜
0.6重量%を含むニッケル・マンガン合金からなるマ
イクロビッカース硬度が450〜650の無端状電鋳シ
ートを基体とする電子写真装置用定着ベルトが提案され
ている。しかしながら、ニッケル・マンガン合金からな
る無端状ベルト基体は、マンガンを含むことによって、
該ベルト基体内のビッカース硬度のバラツキが大きくな
っており、その結果、定着ベルトの回転時に、強度のバ
ラツキにより、弱い部分から破壊する現象が発生する。
したがって、該公報に記載の定着ベルトは、耐熱性や耐
久性の向上効果は未だ十分ではない。
【0006】また、該公報には、ゴム層と離型層とを有
する定着ベルトの製造方法として、ニッケル・マンガン
合金からなる無端状ベルト基体の外周面にプライマーを
塗布した後、シリコーンゴム層を設けて、200℃で1
20分間の熱処理を行い、次いで、該シリコーンゴム層
の上に、フッ素ゴムとフッ素樹脂との混合物層を設け
て、280℃で30分間焼き付ける方法が開示されてい
る(実施例)。しかし、このような製造方法では、フッ
素ゴムとフッ素樹脂との混合物層の焼成温度がシリコー
ンゴムの耐熱温度を超えるため、シリコーンゴム層が劣
化しやすい。さらに、この製造方法では、実際には、シ
リコーンゴム層を形成した後、該シリコーンゴム層の表
面を研磨して形状を整える必要があり、フッ素ゴムとフ
ッ素樹脂との混合物層の焼き付け後にも、該混合物層を
研磨して表面平滑性を高める必要がある。このように、
金属ベルト基体上に、ゴム層と離型層(例えば、フッ素
樹脂層など)を順次形成する方法では、ゴム層が劣化し
やすく、ベルト部材の耐久性に問題が生じる。
【0007】従来、ローラ部材の製造方法として、芯金
上にシリコーンゴムなどのゴム層を形成し、該ゴム層の
上にフッ素樹脂チューブを被せ、加熱収縮させて被覆す
る方法が知られている。この方法を金属ベルト基体を用
いたベルト部材の製造方法に適用すれば、ゴム層を劣化
させることなく、耐熱性と離型性に優れたフッ素樹脂被
覆層を形成することができる。しかし、この方法は、フ
ッ素樹脂チューブの加熱収縮時にシワが発生しやすいこ
と、フッ素樹脂被覆層の厚みを薄くすることができない
ことなどの問題がある。
【0008】したがって、金属ベルト基体を用いた定着
ベルトなどの従来のベルト部材は、金属ベルト基体の材
質に由来する耐久性や耐熱性などが不足する問題と、金
属ベルト基体上へのゴム層と離型層(例えば、フッ素樹
脂層など)の形成方法に由来する耐久性の低下の問題が
ある。また、従来の製造方法では、ゴム層やフッ素樹脂
層などの研磨工程が必須であり、製造工程を簡素化する
ことが難しい。さらには、ゴム層とフッ素樹脂層との密
着性が十分ではなく、その改良が求められていることも
指摘される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、金属
ベルトを基体とする、耐熱性、離型性、表面平滑性、耐
久性などに優れた樹脂被覆ベルトを提供することにあ
る。
【0010】本発明の他の目的は、金属ベルト基材上に
ゴム層と耐熱性樹脂層とが順次形成された樹脂被覆ベル
トの製造方法において、ゴム層の劣化を引き起こすこ
とがなく、耐熱性樹脂層の破れやシワの発生などの問
題を引き起こすことがなく、フッ素樹脂などの耐熱性
樹脂層の厚みを薄くすることが可能で、ゴム層と耐熱
性樹脂層との密着性を向上させることも可能で、研磨
工程を省略することができ、柔軟で硬度のバラツキが
ないゴム層を形成することができる、樹脂被覆ベルトの
製造方法を提供することにある。
【0011】本発明者らは、前記目的を達成するために
鋭意研究した結果、金属ベルト基体上に、直接または少
なくとも1層のゴム層を介して、フッ素樹脂などの耐熱
性樹脂層が形成された樹脂被覆ベルトにおいて、該金属
ベルト基体として、硫黄含有量が0.2重量%以下、好
ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重
量%以下の無端状電鋳ニッケルベルト基体を用いること
により、耐熱性、離型性、耐久性等が顕著に改善された
樹脂被覆ベルトの得られることを見出した。
【0012】本発明で金属ベルト基体として使用する無
端状電鋳ニッケルベルトは、耐熱性と耐久性の観点か
ら、硫黄含有量が0.1重量%以下、ビッカース硬度
(HV)が300以上、かつ、ビッカース硬度のバラツ
キが60以内であることが好ましく、硫黄含有量が0.
1重量%以下、ビッカース硬度が350以上、かつ、ビ
ッカース硬度のバラツキが50以内であることがより好
ましく、さらには、硫黄含有量が0.05重量%以下、
ビッカース硬度が400以上、かつ、ビッカース硬度の
バラツキが30以内であることが特に好ましい。
【0013】このような無端状電鋳ニッケルベルトを金
属ベルト基体とし、中間にゴム層を有する樹脂被覆ベル
トは、円筒状金型の内面に耐熱性樹脂材料を塗布して、
耐熱性樹脂層を形成し、次いで、円筒状金型の軸心に支
持体に固定した金属ベルト基体を挿入した後、金属ベル
ト基体の外面と耐熱性樹脂層の内面との間の隙間に、ゴ
ム材料を注入し、加硫することにより、ゴム層を劣化さ
せることなく、製造することができる。耐熱性樹脂層と
ゴム層との間の密着性を向上させるなどの目的で、所望
により、両層の間に中間ゴム層を配置することができ
る。耐熱性樹脂層は、フッ素樹脂粉体、ポリイミド樹脂
などの広範な耐熱性樹脂を用いて形成することができ
る。本発明は、これらの知見に基づいて、完成するに至
ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、金属ベルト基体(A) 上に、直接または少なくとも1
層のゴム層(B) を介して、耐熱性樹脂層(C) が形成され
た樹脂被覆ベルトにおいて、該金属ベルト基体(A) が、
硫黄含有量が0.2重量%以下の無端状電鋳ニッケルベ
ルト基体であることを特徴とする樹脂被覆ベルトが提供
される。
【0015】本発明によれば、金属ベルト基体(A) 上
に、少なくとも1層のゴム層(B) を介して、耐熱性樹脂
層(C) が形成された樹脂被覆ベルトの製造方法におい
て、該金属ベルト基体(A) として、硫黄含有量が0.2
重量%以下の無端状電鋳ニッケルベルト基体を用い、か
つ、下記の工程: (1) 円筒状金型の内面に耐熱性樹脂材料を塗布して、耐
熱性樹脂層(C) を形成する工程、(2) 所望により、該耐
熱性樹脂層(C) 上に、フッ素樹脂を含有する耐熱性ゴム
材料を塗布して、耐熱性ゴム層(B2)を形成する工程、
(3) 円筒状金型の中空内に金属ベルト基体(A) を挿入す
る工程、及び(4) 金属ベルト基体(A) の外面と耐熱性樹
脂層(C) または耐熱性ゴム層(B2)の内面との間の隙間に
ゴム材料を注入し、加硫して、ゴム層(B1)を形成する工
程により各層を形成することを特徴とする樹脂被覆ベル
トの製造方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】1.樹脂被覆ベルトの構成 本発明の樹脂被覆ベルトの層構成について、図面を参照
しながら説明する。図1は、本発明の樹脂被覆ベルトの
層構成の一例を示す断面図であり、金属ベルト基体1の
上に、耐熱性樹脂層3が形成された層構成を有してい
る。図2は、本発明の樹脂被覆ベルトの層構成の他の一
例を示す断面図であり、金属ベルト基体1の上に、ゴム
層2が形成され、該ゴム層2の上に、耐熱性樹脂層3が
形成された層構成を有している。図3は、本発明の樹脂
被覆ベルトの層構成の他の一例を示す断面図であり、金
属ベルト基体1の上に、第1ゴム層2、第2ゴム層
2′、及び耐熱性樹脂層3がこの順に形成された層構成
を有している。ただし、これらの図面は、層構成を示す
ものであって、各層を形成する順番を示すものではな
い。後で詳細に説明するように、円筒状金型を用いて、
先ず、最外層の耐熱性樹脂層を形成し、次いで、中間の
ゴム層を形成することも可能である。
【0017】本発明で使用する金属ベルト基体は、無端
状電鋳ニッケルベルトであり、その厚みは、通常、10
〜1000μm、好ましくは15〜500μm、より好
ましくは20〜80μm程度である。熱安定性、可撓
性、機械的強度のバランスを考慮して、無端状電鋳ニッ
ケルベルト基体の厚みを選択することが望ましい。
【0018】ゴム層は、1層または2層、あるいは所望
により3層以上とすることができるが、通常は、1層ま
たは2層である。ゴム層が1層の場合には、柔軟性と耐
熱性とのバランスを考慮して、使用するゴム材料を選択
することが望ましい。ゴム層が2層の場合には、フッ素
樹脂などの耐熱性樹脂層と接触する側の第1ゴム層をフ
ッ素樹脂を含有する耐熱性ゴム材料などで形成して両者
の密着性を向上させ、第2ゴム層により柔軟性を付与す
るように、各ゴム材料を選択することが望ましい。ゴム
層の厚み(合計)は、通常、100μm〜5mm、好ま
しくは0.1〜3mmである。ゴム層が2層またはそれ
以上の場合、各層の厚みは、任意に定めることができる
が、柔軟性の観点からは、柔軟性を有するゴム層の厚み
を30〜70%程度とすることが望ましい。
【0019】耐熱性樹脂層3は、フッ素樹脂、ポリイミ
ド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、その他の耐熱性樹脂な
どにより形成されるが、その厚みは、通常、0.1〜1
50μm、好ましくは1〜100μm、より好ましくは
10〜50μmである。樹脂被覆ベルト全体の長さ、外
径などは、ベルト部材の用途に適合するように、適宜定
めることができる。
【0020】2.無端状電鋳ニッケルベルト基体 本発明では、金属ベルト基体として、硫黄含有量が0.
2重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ま
しくは0.05重量%以下の無端状電鋳ニッケルベルト
を使用する。無端状電鋳ニッケルベルトは、例えば、ス
ルファミン酸ニッケル〔Ni(SO3 NH22 〕を主
成分とするメッキ浴(電解浴)を用いて電鋳法により形
成されるが、このメッキ浴の中には、平滑化や光沢化、
ピット防止、結晶微細化、残留応力の低減などを目的と
して、光沢剤やピット防止剤などの各種添加剤が加えら
れている。光沢剤の中には、例えば、N−C≡Sなどの
構造を有する有機物質がある。電鋳法によりニッケル・
マンガン合金を形成する場合には、例えば、スルファミ
ン酸マンガンが加えられる。したがって、電鋳法により
形成された無端状ニッケルベルトには、通常、原料に由
来する硫黄が0.5重量%以上の割合で含有されてい
る。
【0021】樹脂被覆ベルトの金属ベルト基体として、
硫黄含有量が0.2重量%以下、好ましくは0.1重量
%以下、より好ましくは0.05重量%以下の無端状電
鋳ニッケルベルトを用いることにより、連続加熱条件下
で硫黄がニッケルの結晶粒界に析出して強度低下を引き
起こすことがなく、耐熱性、耐久性に優れた樹脂被覆ベ
ルトが得られる。この樹脂被覆ベルトは、連続加熱条件
下で用いられる定着ベルトなどの用途に好適である。
【0022】また、硫黄含有量が0.2重量%以下、好
ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重
量%以下の無端状電鋳ニッケルベルトは、場所による硬
度のバラツキを小さくすることができ、それによって、
加熱・回転時に、弱い部分に応力が集中して割れること
がない。この無端状電鋳ニッケルベルトは、ビッカース
硬度(VH)を好ましくは300以上、より好ましくは
350以上、特に好ましくは400以上とすることによ
り、必要な強度を付与することができる。ビッカース硬
度の上限は、通常、800、好ましくは700程度であ
る。本発明で使用する無端状電鋳ニッケルベルトのビッ
カース硬度のバラツキは、好ましくは60以内、より好
ましくは50以内、特に好ましくは30以内である。
【0023】ビッカース硬度(VH)は、圧子として対
面角136°のダイヤモンドの正四角錐を用いた押し込
み硬さの一種である。一定の荷重で圧子を試料に押し込
んだときに生じる四角形のくぼみの対角線の長さを測定
すると、対角線の長さからくぼみの表面積が求められ
る。荷重を表面積で割った値がビッカース硬度であり、
単位をつけずに数値のみで表す。実際には、ビッカース
硬さ試験機を用いて、荷重100gf、荷重保持時間1
5秒の条件でビッカース硬度を測定した。
【0024】無端状電鋳ニッケルベルトのビッカース硬
度のバラツキの測定法は、ベルトの長手方向を10等分
し、各位置で周方向に0度、90度、180度、270
度の4点において、n=3、合計120点の硬度を測定
し、これより求めた標準偏差(σ)の3倍(3σ)を算
出するものであり、この3σ値をバラツキと呼ぶ。
【0025】樹脂被覆ベルトは、無端状(エンドレス)
ベルトであることが必要であり、そのため、電鋳ニッケ
ルベルトは、無端状に形成させる。電型として、例え
ば、ステンレス製の円筒を用い、これを陰極として、ニ
ッケルを電析できるニッケルメッキ浴を用いて、電鋳法
によりニッケルメッキ膜を形成する。ニッケルメッキ膜
の剥離を容易にするため、予め電型の表面に酸化膜、化
合物膜、黒鉛粉塗布膜などの剥離膜を形成しておくこと
が望ましい。電鋳法により電気メッキを施した後は、端
部を切り剥して、電型の円筒の表面に形成されたニッケ
ルメッキ膜を抜き出す。この円筒状のニッケルメッキ膜
が無端状電鋳ニッケルベルトとして用いられる。
【0026】ニッケルメッキ浴としては、例えば、スル
ファミン酸ニッケル浴など公知のニッケルメッキ浴を用
いることができる。ニッケルメッキ浴には、光沢剤、ピ
ット防止剤、pH調整剤などの各種添加剤を加えること
ができる。ただし、本発明では、硫黄を含有しない光沢
剤を用いるなどして、形成される無端状電鋳ニッケルベ
ルト中の硫黄含有量を0.2重量%以下、好ましくは
0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下
に低減させる。
【0027】無端状電鋳ニッケルベルト基体の厚み、長
さ、内径などは、通常のものが採用され、特に限定され
ないが、厚みは、20〜80μm程度であることが特に
好ましい。また、転写ベルトの用途に用いる場合、該ベ
ルト基体の長さは、転写紙などの転写材の大きさに応じ
て適宜定めらる。本発明の樹脂被覆ベルトは、無端状電
鋳ニッケルベルト基体を用いているため、定着ベルトと
して使用する場合、ヒーターによる加熱方式以外に、電
磁誘導加熱方式を採用することができる。
【0028】3.耐熱性樹脂 本発明で使用する耐熱性樹脂とは、連続使用の耐熱性が
好ましくは150℃以上、定着ベルトなどの高温雰囲気
下で使用される場合を想定すると、より好ましくは20
0℃以上の高度に耐熱性を有する合成樹脂である。すな
わち、本発明で使用する耐熱性樹脂は、樹脂層の形態
で、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃
以上の温度に連続的に曝されても、溶融、軟化、変形、
分解などを実質的に起こさないものである。
【0029】このような耐熱性樹脂としては、例えば、
フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、
ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、
ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリベンズイミダゾ
ール樹脂、ポリベンズオキサゾール樹脂、ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂、ビスマレイミド樹脂などを挙げるこ
とができる。
【0030】本発明で使用するフッ素樹脂としては、例
えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テト
ラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエー
テル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘ
キサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン
/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリ
クロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン
/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTF
E)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などを挙げる
ことができる。
【0031】これらのフッ素樹脂は、それぞれ単独で、
あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ
る。樹脂被覆ベルトを定着ベルトや加圧ベルトとして用
いる場合には、これらのフッ素樹脂の中でも、耐熱性の
観点からPTFE及びPFAが好ましい。溶融流動性が
あり、かつ、表面平滑性に優れたフッ素樹脂被膜が得ら
れやすいことから、PFAがより好ましい。フッ素樹脂
は、液状フッ素樹脂塗料として使用することができる
が、成形性や離型性を高める上で、粉体の形状(粉体塗
料)で使用することが好ましい。フッ素樹脂粉体の平均
粒子径は、特に限定されないが、粉体塗装法により均一
な厚みの薄い被膜を形成する上で10μm以下であるこ
とが好ましい。その下限は、通常1μm程度である。特
に、平均粒子径10μm以下のPFA粉体を用いること
が好ましい。
【0032】フッ素樹脂粉体を塗装するには、汎用の各
種粉体塗装法を採用することができるが、それらの中で
も、粉体を帯電させて塗布する静電塗装法(静電粉体吹
き付け法)を用いることが、均一で、よく締まった塗着
粉体層を形成する上で好ましい。後述する円筒状金型を
用いた樹脂被覆ベルトの製造方法においては、円筒状金
型の内面に粉体塗装法によりフッ素樹脂塗膜を形成した
後、常法に従ってフッ素樹脂を焼成する。焼成後のフッ
素樹脂被膜の厚みは、通常、0.1〜150μm、好ま
しくは1〜100μm、より好ましくは5〜40μm程
度である。下層のゴム層の柔軟性を充分に生かすため
に、この厚みを20μm以下にすることができる。
【0033】フッ素樹脂粉体を粉体塗装することによ
り、液状フッ素樹脂塗料の場合のように、塗料中にフッ
素樹脂粒子を分散させるための界面活性剤が配合されて
いることがなく、純粋なフッ素樹脂の被膜が形成でき
る。これによって、焼成後に炭化した不純物がフッ素樹
脂被膜中に残存することがないので、表面平滑性と離型
性に優れたフッ素樹脂層を形成することができる。さら
に、純粋なフッ素樹脂被膜は、円筒状金型の内面からの
脱型が容易であり、樹脂被覆ベルトのフッ素樹脂層に破
れやシワが発生し難い。
【0034】ポリイミド樹脂層を形成する場合には、ポ
リイミドワニスを塗布し、乾燥後、加熱して脱水・閉環
(イミド化)させる。また、耐熱性樹脂が熱可塑性樹脂
の場合には、その溶液を塗布し、乾燥させて、樹脂被膜
を形成する。その他の耐熱性樹脂層の厚みも、フッ素樹
脂層の場合と同様である。
【0035】フッ素樹脂層等の耐熱性樹脂とゴム層との
間の密着力を向上させるために、円筒状金型内面に形成
した耐熱性樹脂被膜の活性化処理を行うことが好まし
い。耐熱性樹脂被膜の活性化処理法としては、UVラン
プ、エキシマランプなどによる紫外線照射、コロナ放
電、プラズマ処理、電子線照射、イオン照射、レーザー
照射などの照射による物理的処理;金属ナトリウムによ
る化学的処理;処理液による湿式エッチング処理;など
が挙げられる。これらの活性化処理によって、例えば、
フッ素樹脂被膜の表面からフッ素原子が引き抜かれた
り、耐熱性樹脂被膜の表面が親水化されたりするので、
ゴム層との間の密着力が高まる。また、耐熱性樹脂層表
面には、ゴム層の材質に適した接着剤を塗布することが
できる。
【0036】4.ゴム材料 ゴム層(B1)に使用されるゴム材料としては、通常、シリ
コーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性に優れたゴムが用
いられる。耐熱性ゴムとは、該ゴムからなる層を有する
樹脂被覆ベルトを例えば定着ベルトや加圧ベルトとして
使用した場合、定着温度での連続使用に耐える程度の耐
熱性を有するものをいう。
【0037】耐熱性ゴムとしては、耐熱性が特に優れて
いる点で、ミラブルもしくは液状のシリコーンゴム、フ
ッ素ゴム、またはこれらの混合物が好ましい。具体的に
は、ジメチルシリコーンゴム、フルオロシリコーンゴ
ム、メチルフェニルシリコーンゴム、ビニルシリコーン
ゴムなどのシリコーンゴム;フッ化ビニリデンゴム、テ
トラフルオロエチレン−プロピレンゴム、テトラフルオ
ロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、
ホスファゼン系フッ素ゴム、フルオロポリエーテルなど
のフッ素ゴム;などが挙げられる。これらの中でも、金
型内に注入しやすい液状シリコーンゴムを用いることが
好ましい。これらのゴムは、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0038】ゴム材料には、所望により、カーボンブラ
ック、マイカ、酸化チタンなどの無機充填材や、天然樹
脂などの有機充填材を配合することができる。充填材の
配合割合は、ゴム100重量部に対して、通常、100
重量部以下、好ましくは80重量部以下である。ゴム材
料には、有機マイクロバルーンを配合することもでき
る。ゴム層の厚みは、用途や設置する機械装置の構造、
目標とする弾性、用いる材料の硬度等を勘案して適宜設
置されるが、通常、100μm〜5mm、好ましくは
0.1〜3mm程度である。
【0039】5.フッ素樹脂を含有する耐熱性ゴム材料 耐熱性樹脂層(C) (特にフッ素樹脂層)とゴム層(B1)と
の間の密着性を高めるために、両者の中間に、フッ素樹
脂を含有する耐熱性ゴム層(B2)を設けることができる。
円筒状金型の内面にフッ素樹脂被膜を形成した後、フッ
素樹脂を含有する耐熱性ゴム材料を塗布し、該フッ素樹
脂の融点以上の温度で加熱処理することにより、耐熱性
ゴム層(B2)を形成する。加熱処理により、耐熱性ゴム層
(B2)をフッ素樹脂層などの耐熱性樹脂層(C) と融着させ
ることができる。
【0040】耐熱性ゴム材料としては、短時間であって
も、フッ素樹脂の融点に相当する高温に耐えられるシリ
コーンゴムやフッ素ゴムが好ましいが、耐熱性の点から
フッ素ゴムが特に好ましい。耐熱性ゴム材料に含有させ
るフッ素樹脂の種類は、特に限定されず、前述の如き各
種フッ素樹脂を使用することができる。耐熱性ゴム材料
に含有させるフッ素樹脂は、低温で溶融するフッ素樹脂
であることができる。低温で溶融するフッ素樹脂は、耐
熱性ゴム材料の加硫(架橋)時の熱処理温度を低くする
ことができるので好ましい。低温で溶融するフッ素樹脂
としては、融点が305℃以下のフッ素樹脂が好まし
く、融点が305℃以下のPFAが特に好ましい。耐熱
性ゴム材料中のフッ素樹脂の含有量は、特に限定されな
いが、最外層のフッ素樹脂被膜との融着性などの点か
ら、耐熱性ゴム材料100重量部に対して、5重量部以
上が好ましく、耐熱性ゴム層(B2)の柔軟性の点から50
重量部以下が好ましい。
【0041】6.耐熱性樹脂被覆ベルトの製造方法 無端状電鋳ニッケルベルトの上にフッ素樹脂などの耐熱
性樹脂層が形成された構成の樹脂被覆ベルトは、無端状
電鋳ニッケルベルトの上に、所望によりプライマー処理
を行った後、耐熱性樹脂層を直接形成する方法により製
造することができる。無端状電鋳ニッケルベルトの上
に、ゴム層を形成し、該ゴム層の上にフッ素樹脂などの
耐熱性樹脂層が形成された構成の樹脂被覆ベルトを製造
する場合、最初にゴム層を形成し、その上にフッ素樹脂
などの耐熱性樹脂層を形成すると、例えば、フッ素樹脂
の焼成温度がゴムの耐熱温度を超えるため、下層のゴム
層が劣化し、界面での密着性も損なわれる。
【0042】そこで、本発明では、ゴム層を有する樹脂
被覆ベルトの耐久性を向上させるために、金属ベルト基
体(A) として、硫黄含有量が0.2重量%以下、好まし
くは0.1重量%の無端状電鋳ニッケルベルト基体を用
いると共に、下記の一連の工程(1) 〜(4) により樹脂被
覆ベルトを製造することが好ましい。
【0043】(1) 円筒状金型の内面に耐熱性樹脂材料を
塗布して、耐熱性樹脂層(C) を形成する工程、(2) 所望
により、該耐熱性樹脂層(C) 上に、フッ素樹脂を含有す
る耐熱性ゴム材料を塗布して、耐熱性ゴム層(B2)を形成
する工程、(3) 円筒状金型の中空内に金属ベルト基体
(A) を挿入する工程、及び(4) 金属ベルト基体(A) の外
面と耐熱性樹脂層(C) または耐熱性ゴム層(B2)の内面と
の間の隙間にゴム材料を注入し、加硫して、ゴム層(B1)
を形成する工程。
【0044】上記工程(4) の後、樹脂被覆ベルトを円筒
状金型から脱型する。図4は、本発明の樹脂被覆ベルト
の製造工程を示す説明図である。第1工程では、円筒状
金型の内面に耐熱性樹脂材料を塗布して、耐熱性樹脂層
(C) を形成する。すなわち、図4(a)の断面図に示す
ように、円筒状金型4の内面に耐熱性樹脂材料を塗布し
て、耐熱性樹脂層3を形成する。耐熱性樹脂材料とし
て、例えば、フッ素樹脂粉体を使用する場合には、円筒
状金型4の内面にフッ素樹脂粉体を塗装し、焼成して、
フッ素樹脂被膜を形成する。耐熱性樹脂材料として、ポ
リイミドワニスを使用する場合には、円筒状金型4の内
面にポリイミドワニスを塗布し、乾燥させ後、加熱処理
してイミド化させて、ポリイミド樹脂被膜を形成する。
耐熱性樹脂層を形成した後、ゴム層との密着性を高める
ために、必要に応じて、耐熱性樹脂層内面の活性化処理
を行ったり、接着剤の塗布を行うことが好ましい。
【0045】第2工程では、所望により、耐熱性樹脂層
(C) の上に、フッ素樹脂を含有する耐熱性ゴム材料を塗
布し、該フッ素樹脂の融点以上の温度で加熱処理して、
フッ素樹脂を含有する耐熱性ゴム層(B2)を形成する。こ
の第2工程は、図面を省略している。
【0046】第3工程では、円筒状金型の中空内に金属
ベルト基体を挿入する。図4(b)に示すように、円筒
状金型4中空内に、支持体5に差し込んだ金属ベルト基
体1を挿入する。金属ベルト基体1の外面には、ゴムの
材質に適した接着剤を塗布しておいてもよい。円筒状金
型4の中心と金属ベルト基体1の中心(軸心)が一致す
るようにセットする。支持体5としては、例えば、ステ
ンレス製の棒や円筒などの耐熱性に優れた材質からなる
ものを使用する。支持体として、電鋳時に電型として用
いたのと同じステンレス製の円筒を用いてもよい。
【0047】第4工程では、金属ベルト基体1の外面と
耐熱性樹脂層3または耐熱性ゴム層(図示せず)の内面
との間の隙間に、ゴム材料2を注入し、次いで、加硫し
て、ゴム層(B1)を形成する。具体的には、図4(c)に
示すように、耐熱性樹脂層3と金属ベルト基体1との間
の隙間に、未加硫のゴム材料を注入し(矢印)、加硫し
て、加硫ゴム層2を形成する。加硫条件は、使用するゴ
ムの種類に応じて選択される。液状シリコーンゴムの場
合には、熱加硫を行う。ゴム材料の注入には、インジェ
クション、押し出しなどの適当な方法を採用することが
できる。ゴム材料の注入や加硫に際し、通常は、円筒状
金型の一端または両端を密封する。
【0048】図4(d)に示すように、ゴム材料の加硫
後、耐熱性樹脂層及びゴム層とともに、金属ベルト基体
を円筒状金型4から引き抜く。かくして、図4(e)に
示すように、金属ベルト基体1上にゴム層と耐熱性樹脂
層とがこの順に形成された樹脂被覆ベルト6が得られ
る。この後、支持体5を抜き取る。
【0049】ゴム層(B1)と耐熱性樹脂層(C) との間に、
両層の接着性を向上させるために、フッ素樹脂を含有す
る耐熱性ゴム層(B2)を形成する場合には、図4(a)に
示す第1工程の後、第2工程として、耐熱性樹脂層3の
内面に、耐熱性ゴム材料を塗布し、該フッ素樹脂の融点
以上の温度で加熱処理して、耐熱性樹脂層と融着した耐
熱性ゴム層(B2)を形成する。次いで、図4(b)〜
(e)に示す各工程を実施する。この方法では、第1工
程の後、耐熱性樹脂層内面のエッチング処理などの活性
化処理工程を省略しても、耐熱性ゴム層(B2)を介して、
ゴム層(B1)との間の密着性を充分に高めることが可能で
ある。
【0050】本発明で使用する円筒状金型は、鉄、ステ
ンレス、アルミニウムなどの金属製であることが好まし
いが、フッ素樹脂の焼成温度やポリイミド前駆体のポリ
イミド化時の熱処理温度に耐える耐熱性を持つものであ
れば、これらに限定されるものではない。円筒状金型の
内面に良好な離型性を持たせることが、最終工程で、耐
熱性樹脂層及び加硫ゴム層と共に金属ベルト基体を円筒
状金型から脱型するのを容易にする上で好ましい。円筒
状金型内面に離型性を持たせるには、平滑化処理を行う
ことが好ましい。
【0051】円筒状金型内面を平滑化処理するには、例
えば、アルミニウム製の場合には、引き抜き材を使用し
たり、その他の材質であれば、クロムメッキ、ニッケル
メッキなどの表面処理を行う方法がある。平滑化処理に
より、円筒状金型内面の表面粗さ(Rz)を20μm以
下とすることが好ましく、ホーニング処理等により、5
μm以下とすることがより好ましい。円筒状金型内面の
平滑化処理により、脱型が容易になることに加えて、表
面平滑性に優れた耐熱性樹脂層を形成することができ
る。
【0052】円筒状金型の長さは、所定のベルト部材の
樹脂被覆部の長さであり、その内径は、実質的に金属ベ
ルト基体の外径とゴム層と耐熱性樹脂層との厚みの和に
より規定される。円筒状金型の厚みは、フッ素樹脂の焼
成時、ポリイミド前駆体のイミド化時、ゴムの加硫時な
どにおける熱伝導を考慮して、適宜決定されるが、通
常、1〜10mm程度であることが好ましい。ただし、
好ましい厚みは、材質によって選択される。なお、円筒
状金型の外径は、必ずしも円筒状である必要はなく、筒
状の内面を有するものであればよい。
【0053】7.作用 本発明では、硫黄含有量が0.2重量%以下、好ましく
は0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以
下と少ない無端状電鋳ニッケルベルトを金属ベルト基体
として用いることにより、耐久性に優れた樹脂被覆ベル
トを得ることができる。本発明の樹脂被覆ベルトを定着
ベルトなどとして連続加熱条件下で用いても、硫黄がニ
ッケルの結晶粒界に析出して強度低下を引き起こすこと
がないので、耐熱性、耐久性に優れるものと推定され
る。
【0054】硬度のバラツキが好ましくは60以下、よ
り好ましくは50以下、特に好ましくは30以下と小さ
な無端状電鋳ニッケルベルト基体を用いることにより、
樹脂被覆ベルトの加熱・回転時に無端状電鋳ニッケルベ
ルト基体の弱い部分に応力が集中して割れることがな
い。無端状電鋳ニッケルベルト基体のビッカース硬度を
300以上、好ましくは350以上、特に好ましくは4
00以上とすることにより、樹脂被覆ベルトに必要な強
度を付与することができる。
【0055】また、円筒状金型の内面に耐熱性樹脂被膜
を形成し、次に、筒壁の軸心に金属ベルト基体を挿入
し、金属ベルト基体外面と耐熱性樹脂被膜内面との間
に、ゴム材料を注入して熱加硫を行うと、耐熱性樹脂被
膜の外面が平滑で離型性に優れたものになり、ゴム層表
面を研削する必要もなく、ゴム層の劣化も生じない。さ
らに、円筒状金型の内面を平滑化処理しておくことによ
り、耐熱性樹脂層の表面を平滑にすることができる。ゴ
ム材料に有機マイクロバルーンを適量配合しておくと、
耐熱性樹脂層の外面がより平滑性に優れたものとなる。
【0056】フッ素樹脂被膜の形成方法として、円筒状
金型の内面にフッ素樹脂粉体を塗装し、焼成して、フッ
素樹脂被膜を形成すると、フッ素樹脂ワニスなどの液状
塗料を用いた場合に比較して、界面活性剤などの不純物
が被膜中に残留せず、離型性に優れた表面が得られる。
従来技術において、PFAチューブをゴム層の上に被せ
て用いる場合には、PFA層の厚みが50μm以上にな
り、ゴム層の柔らかさを充分に生かせなかった。これに
対して、本発明では、フッ素樹脂被膜などの耐熱性樹脂
層の厚みを20μm以下にまで薄くすることができるた
め、ゴム層の柔らかさ充分に生かすことができる。した
がって、本発明の樹脂被覆ベルトは、耐熱性、離型性、
柔軟性などが要求される用途に好適に適用することがで
きる。
【0057】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明
についてより具体的に説明する。なお、ここでは、定着
ベルトとしての実験結果を示すが、本発明の樹脂被覆ベ
ルトは、定着ベルトの用途に限定されるものではない。
物性等の測定法は、次の通りである。
【0058】(1)ビッカース硬度 ビッカース硬さ試験機を用いて、荷重100gf、荷重
保持時間15秒の条件で測定した。 (2)ビッカース硬度のバラツキ ベルトの長手方向を10等分し、各位置で周方向に0
度、90度、180度、270度の4点において、n=
3、合計120点の硬度を測定し、これより求めた標準
偏差(σ)の3倍(3σ)を算出した。 (3)硫黄含有率 ICP発光分析により測定した。
【0059】[実施例1] 1.無端状電鋳ニッケルベルト 外径30mmφ、長さ300mmのステンレス製電型を
陰極とし、下記のスルファミン酸ニッケルメッキ浴を用
いて、下記の電鋳条件で電鋳を行い、硫黄含有率0.1
重量%、ビッカース硬度330、ベルト内硬度バラツキ
60、厚み40μmの無端状電鋳ニッケルベルトを作製
した。 スルファミン酸ニッケルメッキ浴の組成:スルファミ
ン酸ニッケル(300g/リットル)、NiCl2 ・6
2 O(30g/リットル)、H3 BO3 (30g/リ
ットル)、サッカリン(1g/リットル)、クマリン
(1g/リットル)。電鋳の条件:浴温50℃、pH
4.0、電流密度3A/dm2
【0060】2.樹脂被覆ベルト 内径32mmφ、長さ300mmのステンレス製の円筒
状金型の内面をクロムメッキし、その面(表面粗さ20
μm以下)にPFA粉体(デュポン社製、MP−10
2)を粉体塗装し、380℃で30分間熱処理してフッ
素樹脂被膜(30μm)を形成した。フッ素樹脂被膜の
内面に、エッチング処理液(潤工社製、テトラエッチ
液)を塗布し、水洗してエッチング処理を行った。フッ
素樹脂被膜のエッチング処理面に、シリコーン系接着剤
(東レダウコーニング社製、DY39−012)を塗布
して、風乾した。
【0061】外径30mmφのステンレス製支持体に、
内径30mmφ、長さ300mmの無端状電鋳ニッケル
ベルト基体を差し込み、該ニッケルベルト基体の表面
に、前記と同じシリコーン系接着剤を塗布・乾燥させた
後、前述のフッ素樹脂被膜を形成した円筒状金型の中空
内に、両者の軸心が一致するように挿入した。
【0062】円筒状金型内面のフッ素樹脂被膜内面とニ
ッケルベルト基体外面との間の隙間に、液状シリコーン
ゴム(信越化学製、KE1380)を流し込み、160
℃で15分間加熱してゴムを熱加硫し、厚さ1mmのゴ
ム層を形成した。その後、脱型して、フッ素樹脂被覆ベ
ルトを得た。得られたフッ素樹脂被覆ベルトは、表面に
被膜のシワや破れがなく、表面の波打ちや凹凸もなかっ
た。
【0063】3.定着ベルト このようにして得られたフッ素樹脂被覆ベルトを定着ベ
ルトとして、定着ユニットにセットした。定着ベルトに
対向して配置する加圧ローラには、アルミニウム製芯金
に、厚み2mmのシリコーンゴム層と厚み20μmのフ
ッ素樹脂層とをこの順に積層したローラ部材を用いた。
ハロゲンランプヒータで、定着ベルトのフッ素樹脂層の
表面温度が180℃になるように昇温した。
【0064】キャノン製複写機を使用して、シアン、マ
ゼンタ、イエロー、ブラックの4色のカラートナーによ
って、未定着画像が形成されたA4複写紙を1分間に4
枚定着ユニットに通し、ニップ幅3mmで加圧して、1
0万枚連続定着したところ、オフセットのない良好な定
着画像が得られた。フッ素樹脂被覆ベルトは、10万枚
まで熱劣化して破壊することはなかった。しかし、10
万枚定着後には、端部に微細な割れが発生しているのが
観察された。
【0065】[実施例2] 1.無端状電鋳ニッケルベルト 外径30mmφ、長さ300mmのステンレス製電型を
陰極とし、下記のスルファミン酸ニッケルメッキ浴を用
いて、下記の電鋳条件で電鋳を行い、硫黄含有率0.1
重量%、ビッカース硬度350、ベルト内硬度バラツキ
50、厚み40μmの無端状電鋳ニッケルベルトを作製
した。 スルファミン酸ニッケルメッキ浴の組成:スルファミ
ン酸ニッケル(300g/リットル)、H3 BO3 (3
0g/リットル)、サッカリン(1g/リットル)、ク
マリン(1g/リットル)。 電鋳の条件:浴温50℃、pH4.0、電流密度1A
/dm2
【0066】2.樹脂被覆ベルト 実施例1において、金属ベルト基体を上記の無端状電鋳
ニッケルベルトに代えたこと以外は、実施例1と同様に
して、フッ素樹脂被覆ベルトを作製した。 3.定着ベルト このようにして得られたフッ素樹脂被覆ベルトを定着ベ
ルトとして用い、同様に10万枚連続定着したところ、
オフセットのない良好な定着画像が得られた。ベルト
は、10万枚まで熱劣化して破壊することはなかった。
また、10万枚定着後にも一切割れは発生していなかっ
た。
【0067】[実施例3] 1.無端状電鋳ニッケルベルト 外径30mmφ、長さ300mmのステンレス製電型を
陰極とし、下記スルファミン酸ニッケルメッキ浴を用い
て、下記条件で電鋳を行い、硫黄含有率0.05重量
%、ビッカース硬度400、ベルト内硬度バラツキ3
0、厚み40μmの無端状電鋳ニッケルベルトを作製し
た。 スルファミン酸ニッケルメッキ浴の組成:スルファミ
ン酸ニッケル(300g/リットル)、H3 BO3 (3
0g/リットル)、サッカリン(0.5g/リット
ル)、クマリン(0.5g/リットル)。 電鋳の条件:浴温50℃、pH4.0、電流密度0.
5A/dm2
【0068】2.樹脂被覆ベルト 実施例1において、金属ベルト基体を上記の無端状電鋳
ニッケルベルトに代えたこと以外は、実施例1と同様に
して、フッ素樹脂被覆ベルトを作製した。 3.定着ベルト このようにして得られたフッ素樹脂被覆ベルトを定着ベ
ルトとして用い、同様に連続定着したところ、20万枚
までオフセットのない良好な定着画像が得られた。ま
た、ベルトは、20万枚まで熱劣化して破壊することは
なかった。
【0069】[比較例1] 1.無端状電鋳ニッケルベルト 外径30mmφ、長さ300mmのステンレス製電型を
陰極とし、下記のワット浴を用いて、下記の電鋳条件で
電鋳を行い、硫黄含有率0.5重量%、ビッカース硬度
330、ベルト内硬度バラツキ60、厚み40μmの無
端状電鋳ニッケルベルトを作製した。 ワット浴の組成:NiSO4 ・7H2 O(240g/
リットル)、NiCl2・6H2 O(45g/リット
ル)、H3 BO3 (30g/リットル)、サッカリン
(2g/リットル)、チオ尿素(2g/リットル)。 電鋳の条件:浴温50℃、pH4.0、電流密度30
A/dm2
【0070】2.樹脂被覆ベルト 内径32mmφ、長さ300mmのステンレス製の円筒
状金型の内面をクロムメッキした。外径30mmφのス
テンレス製支持体に、上記の無端状電鋳ニッケルベルト
基体を差し込み、該ベルト基体表面に、シリコーン系接
着剤を塗布・乾燥させた後、円筒状金型の中空内に、両
者の軸心が一致するように挿入した。この円筒状金型内
面と無端状電鋳ニッケルベルト基体外面との間の隙間
に、液状シリコーンゴム(信越化学製、KE1380)
を流し込み、160℃で15分間熱処理してゴムを熱加
硫し、厚さ1mmのゴム層を形成した後、脱型した。得
られたゴム層の表面を研削して、表面の凹凸を整えた。
研削したゴム層の表面に、PTFE塗料(ダイキン社
製、EK4300)を塗布し、100℃で20分間乾燥
後、380℃で10分間熱処理してフッ素樹脂被膜を形
成した。
【0071】3.定着ベルト このようにして得られたフッ素樹脂被覆ベルトを実施例
1と同様に定着ユニットにセットし、フッ素樹脂表面温
度が180℃になるように昇温した。キャノン製複写機
を使用して4色のカラートナー(C、M、Y、B)によ
って未定着画像を形成したA4複写紙を1分間に4枚定
着ユニットに通し、ニップ幅3mmで加圧して連続定着
したところ、フッ素樹脂層の表面の凹凸が激しく、1枚
目から画像が大きく乱れるとともに、色の濃淡に激しい
バラツキが生じ、良好な画像が得られなかった。また、
定着枚数5000枚でフッ素樹脂被覆ベルトが熱劣化し
てクラックが発生し、1万枚でフッ素樹脂被覆ベルトが
破壊して、通紙ができなくなった。
【0072】[比較例2]比較例1と同様にして、硫黄
含有率0.5重量%、ビッカース硬度330、ベルト内
硬度バラツキ60の無端状電鋳ニッケルベルト基体上に
ゴム層を形成し、得られたゴム層の表面を研削して、表
面の凹凸を整えた。次に、このゴム層の表面にPFA収
縮チューブ(グンゼ社製)を被覆し、熱収縮させた。そ
の結果、元々発泡によるゴム層表面の凹凸が大きいた
め、この凹凸がフッ素樹脂層の表面に反映され、表面に
凹凸が発生した。得られたフッ素樹脂被覆ベルトを、比
較例1と同様に連続定着試験を行ったところ、表面の凹
凸が激しく、1枚目から画像が大きく乱れるとともに、
色の濃淡に激しいバラツキが生じて、良好な画像が得ら
れなかった。また、定着枚数5000枚でフッ素樹脂被
覆ベルトが熱劣化してクラックが発生し、1万枚でフッ
素樹脂被覆ベルトが破壊して、通紙ができなくなった。
【0073】[比較例3]内径32mmφ、長さ300
mmのアルミニウム製の円筒状金型の内面に、PTFE
塗料(ダイキン社製、EK4300)を塗布し、100
℃で20分間乾燥後、380℃で30分間熱処理してフ
ッ素樹脂被膜を形成した。このフッ素樹脂被膜の内面に
テトラエッチ液(潤工業社製)を塗布し、水洗して、エ
ッチング処理を行った。このエッチング処理したフッ素
樹脂被膜の内面に、シリコーン系接着剤(東レダウコー
ニング社製、DY39−012)を塗布して、風乾し
た。外径30mmφのアルミニウム製支持体に、内径3
0mmφ、長さ300mmで硫黄含有率0.5重量%、
ビッカース硬度330、ベルト内硬度バラツキ60の無
端状電鋳ニッケルベルト基体を差し込み、該ベルト基体
の表面に前記と同じシリコーン系接着剤を塗布・乾燥さ
せた後、前述のフッ素樹脂被膜を形成した円筒状金型の
中空内に、両者の軸心が一致するように挿入した。円筒
状金型のフッ素樹脂被膜内面とベルト基体外面との間の
隙間に、液状シリコーンゴム(信越化学製、KE138
0)を流し込み、160℃で15分間熱処理してゴムを
加硫した後、脱型した。得られたフッ素樹脂被覆ベルト
を、比較例1と同様に連続定着試験を行ったところ、1
000枚でオフセットが発生し、5000枚でベルトが
熱劣化してクラックが発生し、1万枚でベルトが破壊し
て通紙できなくなった。
【0074】[比較例4] 1.無端状電鋳ニッケル合金ベルト 外径30mmφ、長さ300mmのステンレス製電型を
陰極とし、下記のワット浴を用いて、下記の電鋳条件で
電鋳を行い、硫黄含有率0.5重量%、ビッカース硬度
400、ベルト内硬度バラツキ80、マンガン含有率2
重量%、厚み40μmの無端状電鋳ニッケル・マンガン
合金ベルトを作製した。 ワット浴の組成:NiSO4 ・7H2 O(240g/
リットル)、MnCl2・6H2 O(30g/リット
ル)、H3 BO3 (30g/リットル)、サッカリン
(2g/リットル)、チオ尿素(2g/リットル)。 電鋳の条件:浴温50℃、pH4.0、電流密度30
A/dm2
【0075】2.樹脂被覆ベルト 内径32mmφ、長さ300mmのステンレス製の円筒
状金型の内面をクロムメッキした。外径30mmφのス
テンレス製支持体に、上記の無端状電鋳ニッケル・マン
ガン合金ベルト基体を差し込み、該ベルト基体表面に、
シリコーン系接着剤を塗布・乾燥させた後、円筒状金型
の中空内に、両者の軸心が一致するように挿入した。こ
の円筒状金型内面と無端状電鋳ニッケル・マンガン合金
ベルト基体外面との間の隙間に、液状シリコーンゴム
(信越化学製、KE1380)を流し込み、160℃で
15分間熱処理してゴムを熱加硫し、厚さ1mmのゴム
層を形成した後、脱型した。次いで、得られたゴム層の
表面を研削して、表面の凹凸を整えた。研削したゴム層
の表面に、PTFE塗料(ダイキン社製、EK430
0)を塗布し、100℃で20分間乾燥後、380℃で
10分間熱処理してフッ素樹脂被膜を形成した。
【0076】3.定着ベルト このようにして得られたフッ素樹脂被覆ベルトを実施例
1と同様に定着ユニットにセットし、フッ素樹脂表面温
度が180℃になるように昇温した。キャノン製複写機
を使用して4色のカラートナー(C、M、Y、B)によ
って未定着画像を形成したA4複写紙を1分間に4枚定
着ユニットに通し、ニップ幅3mmで加圧して連続定着
したところ、フッ素樹脂層の表面の凹凸が激しく、1枚
目から画像が大きく乱れるとともに、色の濃淡に激しい
バラツキが生じ、良好な画像が得られなかった。また、
定着枚数1万枚でフッ素樹脂被覆ベルトが熱劣化してク
ラックが発生し、2万枚でフッ素樹脂被覆ベルトが破壊
して、通紙ができなくなった。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、金属ベルトを基体とす
る、耐熱性、離型性、表面平滑性、耐久性などに優れた
樹脂被覆ベルトが提供される。また、本発明によれば、
金属ベルト基材上にゴム層と耐熱性樹脂層とが順次形成
された樹脂被覆ベルトの製造方法において、ゴム層の劣
化を引き起こすことがなく、耐熱性樹脂層の破れやシワ
の発生などの問題を引き起こすことがなく、フッ素樹脂
などの耐熱性樹脂層の厚みを薄くすることが可能で、ゴ
ム層と耐熱性樹脂層との密着性を向上させることも可能
で、研磨工程を省略することができ、柔軟で硬度のバラ
ツキがないゴム層を形成することができる、樹脂被覆ベ
ルトの製造方法が提供される。本発明の樹脂被覆ベルト
は、電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置におけ
る定着ベルト、加圧ベルト、転写ベルト、搬送ベルトな
どのベルト部材として好適であり、定着ベルトとして特
に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の樹脂被覆ベルトの層構成の例
を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の樹脂被覆ベルトの層構成の他
の例を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の樹脂被覆ベルトの層構成の他
の例を示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の樹脂被覆ベルトの製造工程の
一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1:金属ベルト基体 2:ゴム層 2′:フッ素樹脂を含有する耐熱性ゴム層 3:耐熱性樹脂層 4:円筒状金型 5:支持体 6:樹脂被覆ベルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 滝口 敏彦 大阪府大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 加藤 千明 大阪府泉南郡熊取町大字野田950番地 住 友電工ファインポリマー株式会社内 Fターム(参考) 2H032 BA09 BA18 BA23 2H033 AA23 BA54 BA55 3F024 AA07 CA08 CB02 CB08 CB11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属ベルト基体(A) 上に、直接または少
    なくとも1層のゴム層(B) を介して、耐熱性樹脂層(C)
    が形成された樹脂被覆ベルトにおいて、該金属ベルト基
    体(A) が、硫黄含有量が0.2重量%以下の無端状電鋳
    ニッケルベルト基体であることを特徴とする樹脂被覆ベ
    ルト。
  2. 【請求項2】 無端状電鋳ニッケルベルト基体の硫黄含
    有量が0.1重量%以下、ビッカース硬度(HV)が3
    00以上、かつ、ビッカース硬度のバラツキが60以内
    である請求項1記載の樹脂被覆ベルト。
  3. 【請求項3】 無端状電鋳ニッケルベルト基体の硫黄含
    有量が0.1重量%以下、ビッカース硬度(HV)が3
    50以上、かつ、ビッカース硬度のバラツキが50以内
    である請求項1記載の樹脂被覆ベルト。
  4. 【請求項4】 無端状電鋳ニッケルベルト基体の硫黄含
    有量が0.05重量%以下、ビッカース硬度(HV)が
    400以上、かつ、ビッカース硬度のバラツキが30以
    内である請求項1記載の樹脂被覆ベルト。
  5. 【請求項5】 耐熱性樹脂層(C) が、フッ素樹脂層であ
    る請求項1ないし4のいずれか1項に記載の樹脂被覆ベ
    ルト。
  6. 【請求項6】 金属ベルト基体(A) 上に、少なくとも1
    層のゴム層(B) を介して、耐熱性樹脂層(C) が形成され
    た樹脂被覆ベルトの製造方法において、該金属ベルト基
    体(A) として、硫黄含有量が0.2重量%以下の無端状
    電鋳ニッケルベルト基体を用い、かつ、下記の工程: (1) 円筒状金型の内面に耐熱性樹脂材料を塗布して、耐
    熱性樹脂層(C) を形成する工程、(2) 所望により、該耐
    熱性樹脂層(C) 上に、フッ素樹脂を含有する耐熱性ゴム
    材料を塗布して、耐熱性ゴム層(B2)を形成する工程、
    (3) 円筒状金型の中空内に金属ベルト基体(A) を挿入す
    る工程、及び(4) 金属ベルト基体(A) の外面と耐熱性樹
    脂層(C) または耐熱性ゴム層(B2)の内面との間の隙間に
    ゴム材料を注入し、加硫して、ゴム層(B1)を形成する工
    程により各層を形成することを特徴とする樹脂被覆ベル
    トの製造方法。
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