JP2001215348A - アレイ導波路型回折格子 - Google Patents

アレイ導波路型回折格子

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JP2001215348A
JP2001215348A JP2000026142A JP2000026142A JP2001215348A JP 2001215348 A JP2001215348 A JP 2001215348A JP 2000026142 A JP2000026142 A JP 2000026142A JP 2000026142 A JP2000026142 A JP 2000026142A JP 2001215348 A JP2001215348 A JP 2001215348A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光透過中心波長が使用環境温度に依存しない
アレイ導波路型回折格子を提供する。 【解決手段】 光入力導波路2と、第1のスラブ導波路
3と、互いに異なる長さの複数の並設したアレイ導波路
4と、第2のスラブ導波路5と、複数の並設した光出力
導波路6とを順に接続してなる導波路形成領域10を基
板1上に形成する。第1のスラブ導波路3を通る光の経
路と交わる切断面8で第1のスラブ導波路3を分離スラ
ブ導波路3a,3bに切断分離する。切断面8は、前記
光の経路の長手方向中心よりもアレイ導波路4側の位置
において光の経路と交わる面とする。分離スラブ導波路
3bを固定し、使用環境温度変化に応じた高熱膨張係数
部材7の膨張収縮を利用して分離スラブ導波路3a側を
前記切断面8に沿って矢印A,B方向にスライド移動さ
せ、アレイ導波路型回折格子の各光透過中心波長の温度
依存変動を低減する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば波長多重光
通信において光合分波器として用いられるアレイ導波路
型回折格子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光通信においては、その伝送容量
を飛躍的に増加させる方法として、光波長多重通信の研
究開発が盛んに行なわれ、実用化が進みつつある。光波
長多重通信は、例えば互いに異なる波長を有する複数の
光を多重して伝送させるものであり、このような光波長
多重通信のシステムにおいては、伝送される多重光か
ら、光受信側で波長ごとの光を取り出すために、予め定
められた波長の光のみを透過する光透過デバイス等を、
システム内に設けることが不可欠である。
【0003】光透過デバイスの一例として、図9に示す
ような平板光導波路回路(PLC;Planar Li
ghtwave Circuit)のアレイ導波路型回
折格子(AWG;Arrayed Waveguide
Grating)がある。アレイ導波路型回折格子
は、シリコンなどの基板1上に、同図に示すような導波
路構成を石英系ガラス等のコアにより形成したものであ
る。
【0004】アレイ導波路型回折格子の導波路構成は、
1本以上の並設された光入力導波路2の出射側に、第1
のスラブ導波路3が接続され、第1のスラブ導波路3の
出射側には複数の並設されたアレイ導波路4が接続さ
れ、アレイ導波路4の出射側には第2のスラブ導波路5
が接続され、第2のスラブ導波路5の出射側には複数の
並設された光出力導波路6が接続されて形成されてい
る。
【0005】前記アレイ導波路4は、第1のスラブ導波
路3から導出された光を伝搬するものであり、互いに異
なる長さに形成され、隣り合うアレイ導波路4の長さは
互いにΔL異なっている。なお、光入力導波路2や光出
力導波路6は、例えばアレイ導波路型回折格子によって
分波あるいは合波される互いに異なる波長の信号光の数
に対応させて設けられるものであり、アレイ導波路4
は、通常、例えば100本といったように多数設けられ
るが、同図においては、図の簡略化のために、これらの
光入力導波路2、アレイ導波路4、光出力導波路6の各
々の本数を簡略的に示してある。
【0006】光入力導波路2には、例えば送信側の光フ
ァイバ(図示せず)が接続されて、波長多重光が導入さ
れるようになっており、光入力導波路2を通って第1の
スラブ導波路3に導入された光は、その回折効果によっ
て広がって各アレイ導波路4に入射し、アレイ導波路4
を伝搬する。
【0007】このアレイ導波路4を伝搬した光は、第2
のスラブ導波路5に達し、さらに、光出力導波路6に集
光されて出力されるが、全てのアレイ導波路4の長さが
互いに異なることから、アレイ導波路4を伝搬した後に
個々の光の位相にずれが生じ、このずれ量に応じて集束
光の波面が傾き、この傾き角度により集光する位置が決
まる。
【0008】そのため、波長の異なった光の集光位置は
互いに異なることになり、その位置に光出力導波路6を
形成することによって、波長の異なった光(分波光)を
各波長ごとに異なる光出力導波路6から出力できる。
【0009】すなわち、アレイ導波路型回折格子は、光
入力導波路2から入力される互いに異なる複数の波長を
もった多重光から1つ以上の波長の光を分波して各光出
力導波路6から出力する光分波機能を有しており、分波
される光の中心波長は、アレイ導波路4の長さの差(Δ
L)及びアレイ導波路4の実効屈折率nに比例する。
【0010】アレイ導波路型回折格子は、上記のような
特性を有するために、アレイ導波路型回折格子を波長多
重伝送用の波長多重分波器として用いることができ、例
えば図10に示すように、1本の光入力導波路2から波
長λ1,λ2,λ3,・・・λn(nは2以上の整数)
の波長多重光を入力させると、これらの各波長の光は、
第1のスラブ導波路3で広げられ、アレイ導波路4に到
達し、第2のスラブ導波路5を通って、前記の如く、波
長によって異なる位置に集光され、互いに異なる光出力
導波路6に入射し、それぞれの光出力導波路6を通っ
て、光出力導波路6の出射端から出力される。
【0011】そして、各光出力導波路6の出射端に光出
力用の光ファイバ(図示せず)を接続することにより、
この光ファイバを介して、前記各波長の光が取り出され
る。なお、各光出力導波路6や前述の光入力導波路2に
光ファイバを接続するときには、例えば光ファイバを1
次元アレイ状に配列固定した光ファイバアレイを用意
し、この光ファイバアレイを光出力導波路6や光入力導
波路2の接続端面側に固定して光ファイバと光出力導波
路6及び光入力導波路2を接続する。
【0012】上記アレイ導波路型回折格子において、各
光出力導波路6から出力される光の光透過特性(アレイ
導波路型回折格子の透過光強度の波長特性)は、各光透
過中心波長(例えばλ1,λ2,λ3,・・・λn)を
中心とし、それぞれの対応する光透過中心波長から波長
がずれるにしたがって光透過率が小さくなる光透過特性
を示す。
【0013】また、アレイ導波路型回折格子は、光の相
反性(可逆性)の原理を利用しているため、光分波器と
しての機能と共に、光合波器としての機能も有してい
る。すなわち、図9とは逆に、互いに異なる複数の波長
の光をそれぞれの波長ごとにそれぞれの光出力導波路6
から入射させると、これらの光は、上記と逆の伝搬経路
を通り、アレイ導波路4によって合波され、1本の光入
力導波路2から出射される。
【0014】このようなアレイ導波路型回折格子におい
ては、前記の如く、回折格子の波長分解能が回折格子を
構成するアレイ導波路4の長さの差(ΔL)に比例する
ために、ΔLを大きく設計することにより、従来の回折
格子では実現できなかった波長間隔の狭い波長多重光の
光合分波が可能となり、高密度の光波長多重通信の実現
に必要とされている、複数の信号光の光合分波機能、す
なわち、波長間隔が1nm以下の複数の光信号を分波ま
たは合波する機能を果たすことができる。
【0015】上記のようなアレイ導波路型回折格子を作
製するときには、例えば、まず、火炎加水分解堆積法を
用いて、シリコン基板上にアンダークラッド膜、コア膜
を順に形成し、その後、アレイ導波路回折格子の導波路
構成が描かれたフォトマスクを介してフォトリソグラフ
ィー、反応性イオンエッチング法を用い、コア膜にアレ
イ導波路回折格子パターンを転写する。その後、再度、
火炎加水分解堆積法を用いてオーバークラッド膜を形成
することにより、アレイ導波路回折格子が作製される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のアレ
イ導波路型回折格子は、元来、石英系ガラス材料を主と
するために、この石英系ガラス材料の温度依存性に起因
してアレイ導波路型回折格子の前記光透過中心波長が温
度に依存してシフトする。この温度依存性は、1つの光
出力導波路6からそれぞれ出力される光の透過中心波長
をλ、前記アレイ導波路4を形成するコアの等価屈折率
をnc、基板(例えばシリコン基板)1の熱膨張係数を
αs、アレイ導波路型回折格子の温度変化量をTとした
ときに、(数1)により示されるものである。
【0017】
【数1】
【0018】ここで、従来の一般的なアレイ導波路型回
折格子において、(数1)から前記光透過中心波長の温
度依存性を求めてみる。従来の一般的なアレイ導波路型
回折格子においては、dn/dT=1×10−5(℃
−1)、α=3.0×10 −6(℃−1)、n
1.451(波長1.55μmにおける値)であるか
ら、これらの値を(数1)に代入する。
【0019】また、波長λは、各光出力導波路6につい
てそれぞれ異なるが、各波長λの温度依存性は等しい。
そして、現在用いられているアレイ導波路型回折格子
は、波長1550nmを中心とする波長帯の波長多重光
を分波したり合波したりするために用いられることが多
いので、ここでは、λ=1550nmを(数1)に代入
する。そうすると、従来の一般的なアレイ導波路型回折
格子の前記光透過中心波長の温度依存性は、(数2)に
示す値となる。
【0020】
【数2】
【0021】なお、dλ/dTの単位は、nm/℃であ
る。例えばアレイ導波路型回折格子の使用環境温度が2
0℃変化したとすると、各光出力導波路6から出力され
る光透過中心波長は0.30nmシフトするものであ
り、前記使用環境温度変化が70℃以上になると、前記
光透過中心波長のシフト量が1nm以上になってしま
う。
【0022】アレイ導波路型回折格子は1nm以下の非
常に狭い間隔で波長を分波または合波できることが特徴
であり、この特長を生かして波長多重光通信用に適用さ
れるものであるため、上記のように、使用環境温度変化
によって光透過中心波長が上記シフト量だけ変化するこ
とは致命的である。
【0023】そこで、従来から温度により光透過中心波
長が変化しないように、図9に示したように、サーミス
タ31の検出温度に基づき、アレイ導波路型回折格子の
温度を一定に保つペルチェ素子30等の温度調節手段を
設けたアレイ導波路型回折格子が提案されているが、上
記温度調節手段を用いてアレイ導波路型回折格子の温度
を一定に保つためには、ペルチェ素子等に例えば1Wと
いった通電を常時行なわなければならず、コストがかか
り、しかも、ペルチェ素子やその制御機構を形成する部
品の組立ずれ等に起因して、光透過中心波長シフトを正
確に抑制できないことがあった。
【0024】そこで、上記課題を解決するために、本発
明者は、図7に示すような構成のアレイ導波路型回折格
子を提案した(特願平11−270201号、特願20
00−021533に提案されているものであり、未だ
公開になっていない)。
【0025】同図に示すアレイ導波路回折格子は、基板
1上に石英系ガラスによって形成された導波路形成領域
10を形成している。導波路形成領域10には従来例と
同様に、1本の光入力導波路2、第1のスラブ導波路
3、複数のアレイ導波路4、第2のスラブ導波路5、複
数の光出力導波路6が設けられており、前記アレイ導波
路4、光出力導波路6は、それぞれ予め定められた導波
路間隔を介して並設されているが、同図に示すアレイ導
波路回折格子においては、第1のスラブ導波路3が、第
1のスラブ導波路3を通る光の経路と交わる切断面8で
切断分離されている。
【0026】なお、同図では、切断面8は、図のX方向
と成しており、切断面8によって、前記導波路形成領域
10は、導波路形成領域10aと導波路形成領域10b
とに切断分離されている。
【0027】図7に示すアレイ導波路回折格子の特徴的
なことは、前記の如く、第1のスラブ導波路3が第1の
スラブ導波路3を通る光の経路と交わる切断面8で分離
スラブ導波路3a,3bに切断分離されており、この分
離された分離スラブ導波路3a側を前記切断面8に沿っ
てスライド移動させることにより前記光透過中心波長を
シフトさせるようにしたことであり、図7のアレイ導波
路型回折格子には、上記スライド移動を行なうスライド
移動機構が設けられている。
【0028】このスライド移動機構は、アレイ導波路回
折格子の各光透過中心波長の温度依存変動を低減する方
向に、分離スラブ導波路3a側を切断面8に沿ってスラ
イド移動させる機構であり、同図に示す構成において
は、高熱膨張係数部材7、ベース9、係止部材14を設
けて上記スライド移動機構を構成している。
【0029】分離スラブ導波路3bとアレイ導波路4と
第2のスラブ導波路5と光出力導波路6が形成されてい
る側の導波路形成領域10bおよびその下の基板1は、
石英ガラスやInvarロットなどの低熱膨張率の材料
により形成されたベース9に固定されている。
【0030】また、分離スラブ導波路3aと光入力導波
路2が形成されている側の導波路形成領域10aおよび
その下の基板1は、前記ベース9に対してスライド移動
自在に設けられている。導波路形成領域10aの一端側
は接着剤13を介して高熱膨張係数部材7に固定されて
おり、他端側は係止部材14に係止されている。
【0031】高熱膨張係数部材7は、導波路形成領域1
0aの上面に沿って設けられた上板部7aと導波路形成
領域10aの側面に沿って設けられた側板部(図示され
ていない)とを有するL字形状の部材であり、側板部が
固定部11でベース9に固定されている。高熱膨張係数
部材7は、例えば熱膨張係数が2.31×10−5(1
/K)のAl(アルミニウム)により形成されている。
【0032】前記係止部材14は、導波路形成領域10
aの上面に沿って設けられた上板部14aと導波路形成
領域10aの側面に沿って設けられた側板部(図示され
ていない)とを有するL字形状の部材であり、側板部が
固定部12でベース9に固定されている。係止部材14
の上板部の内壁と導波路形成領域10aの上面とは当接
しており、導波路形成領域10aのスライド移動時に、
導波路形成領域10aがベース9に対して上方側(XY
平面に垂直なZ軸方向)に変位しないようになってい
る。また、側板部の内壁と導波路形成領域10aの側面
とは間隔を介しており、導波路形成領域10aのスライ
ド移動が支障なく行なえるようになっている。
【0033】同図に示すアレイ導波路回折格子におい
て、アレイ導波路回折格子の使用環境温度が変化する
と、高熱膨張部材7が導波路形成領域10よりも大きく
膨張または収縮するので、ベースに固定されていない側
の導波路形成領域10aおよびその基板1が、前記切断
面8に沿って、図の矢印A方向または矢印B方向にスラ
イド移動し、それにより、分離スラブ導波路3a及び光
入力導波路2がスライド移動する。
【0034】そして、前記切断面8に沿っての移動は、
アレイ導波路回折格子の各光透過中心波長の温度依存変
動を低減する方向に行われるため、この提案のアレイ導
波路回折格子においては、アレイ導波路回折格子の使用
環境温度変化に伴う各光透過中心波長の温度依存性が補
償される。
【0035】なお、上記提案は、アレイ導波路型回折格
子の線分散特性に着目して成されたものであり、以下、
上記提案における光透過中心波長の温度依存性補償原理
について、図8に基づいて述べる。
【0036】アレイ導波路型回折格子において光入力導
波路2から入射された光は、第1のスラブ導波路(入力
側スラブ導波路)3で回折し、アレイ導波路4を励振す
る。なお、前記の如く、隣接するアレイ導波路4の長さ
は互いにΔLずつ異なっている。そこで、アレイ導波路
4を伝搬した光は、(数3)を満たし、第2のスラブ導
波路(出力側スラブ導波路)5の出力端に集光される。
【0037】
【数3】
【0038】(数3)において、nsは第1のスラブ導
波路3および第2のスラブ導波路5の等価屈折率、nc
はアレイ導波路4の等価屈折率、φは回折角、mは回折
次数、dは隣り合うアレイ導波路4同士の間隔であり、
λは、前記の如く、各光出力導波路6から出力される光
の透過中心波長である。
【0039】ここで、回折角φ=0となるところの光透
過中心波長をλとすると、λは(数4)で表され
る。なお、波長λは、一般に、アレイ導波路型回折格
子の中心波長と呼ばれる。
【0040】
【数4】
【0041】ところで、図8において、回折角φ=0と
なるアレイ導波路型回折格子の集光位置を点Oとする
と、回折角φ=φpを有する光の集光位置(第2のスラ
ブ導波路5の出力端における位置)は、例えば点Pの位
置(点OからX方向にずれた位置)となる。ここで、O
−P間のX方向の距離をxとすると波長λとの間に(数
5)が成立する。
【0042】
【数5】
【0043】(数5)において、Lfは第2のスラブ導
波路5の焦点距離であり、ngはアレイ導波路4の群屈
折率である。なお、アレイ導波路4の群屈折率ngは、
アレイ導波路4の等価屈折率ncにより、(数6)で与
えられる。
【0044】
【数6】
【0045】前記(数5)は、第2のスラブ導波路5の
焦点OからX方向の距離dx離れた位置に光出力導波路
6の入力端を配置形成することにより、dλだけ波長の
異なった光を取り出すことが可能であることを意味す
る。
【0046】また、(数5)の関係は、第1のスラブ導
波路3に関しても同様に成立する。すなわち、例えば第
1のスラブ導波路3の焦点中心を点O’とし、この点
O’からX方向に距離dx’ずれた位置にある点を点
P’とすると、この点P’に光を入射した場合に、出力
の波長がdλ’ずれることになる。この関係を式により
表わすと、(数7)のようになる。
【0047】
【数7】
【0048】なお、(数7)において、L’は第1の
スラブ導波路3の焦点距離である。この(数7)は、第
1のスラブ導波路3の焦点O’とX方向の距離dx’離
れた位置に光入力導波路2の出力端を配置形成すること
により、前記焦点Oに形成した光出力導波路に6おいて
dλ’だけ波長の異なった光を取り出すことが可能であ
ることを意味する。
【0049】したがって、アレイ導波路型回折格子の使
用環境温度変動によってアレイ導波路型回折格子の光出
力導波路から出力される光透過中心波長がΔλずれたと
きに、dλ’=Δλとなるように、光入力導波路6の出
力端位置を前記X方向に距離dx’だけずらせば、例え
ば焦点Oに形成した光出力導波路6において、波長ずれ
のない光を取り出すことができ、他の光出力導波路6に
関しても同様の作用が生じるため、前記光透過中心波長
ずれΔλを補正(解消)できることになる。
【0050】前記提案例は、第1のスラブ導波路3と第
2のスラブ導波路5の少なくとも一方がスラブ導波路5
を通る光の経路と交わる切断面8で切断分離したもので
あり、図7に示したように、第1のスラブ導波路3が切
断分離されていると仮定して議論すると、この分離され
た第1のスラブ導波路のうち、例えば光入力導波路2に
接続されている分離スラブ導波路3a側(光入力導波路
2も含む)を、スライド移動機構によって前記切断面に
沿ってスライド移動させれば、前記各光透過中心波長を
シフトさせることが可能となる。
【0051】また、前記スライド移動機構によって、前
記各光透過中心波長の温度依存変動(波長ずれ)Δλが
dλと等しくなるようにして、前記各光透過中心波長の
温度依存変動を低減する方向に分離スラブ導波路3a及
び光入力導波路2を前記切断面8に沿って移動させれ
ば、前記光透過中心波長ずれを解消することが可能とな
る。
【0052】また、温度変化量と光入力導波路2の位置
補正量の関係は以下のようにして導かれる。前記光透過
中心波長の温度依存性(温度による光透過中心波長のず
れ量)は、前記(数2)で表されるので、温度変化量T
を用いて光透過中心波長ずれ量Δλを(数8)により表
わすことができる。
【0053】
【数8】
【0054】(数7)、(数8)から、温度変化量Tと
光入力導波路の位置補正量dx’を求めると、(数9)
が導かれる。
【0055】
【数9】
【0056】したがって、図7に示した構成において、
(数9)により示される位置補正量dx’だけ、前記ス
ライド移動機構によって切断面8に沿って第1のスラブ
導波路3の分離スラブ導波路3a及び光入力導波路2を
スライド移動させることにより、前記光透過中心波長ず
れを解消することが可能となる。
【0057】例えば、従来の一般的なアレイ導波路型回
折格子の導波路構成の各パラメータと(数9)に基づ
き、アレイ導波路型回折格子の使用環境温度の変化量T
と光入力導波路2の位置補正量dx’の関係を求める
と、(数10)に示す関係となる。この場合、アレイ導
波路型回折格子の使用環境温度が10℃変化した際、光
入力導波路2の出力端の位置をX方向に約3.83μm
補正(移動)すれば、温度による中心波長すれが補正で
きる計算になる。
【0058】
【数10】
【0059】なお、前記の如く、アレイ導波路型回折格
子は光の相反性を利用して形成されているものであり、
第2のスラブ導波路5側を切断分離して、分離された分
離スラブ導波路の少なくとも一方側を、スライド移動機
構によって前記切断面に沿って前記各光透過中心波長の
温度依存変動を低減する方向にスライド移動させれば、
同様の効果が得られ、前記各光透過中心波長の温度依存
変動を解消することが可能となる。
【0060】しかしながら、図7に示したような構成の
アレイ導波路回折格子を多数作製し、それぞれのアレイ
導波路型回折格子において、前記スライド移動機構によ
って分離導波路3a側を図7の矢印A,B方向にスライ
ド移動させてアレイ導波路型回折格子の光透過中心波長
の温度依存性低減効果を調べたところ、十分な効果を発
揮できないものが存在することが分かった。
【0061】本発明は上記課題を解決するために成され
たものであり、その目的は、光透過中心波長の温度依存
性を正確に抑制することができる安価なアレイ導波路型
回折格子を提供することにある。
【0062】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次のような構成をもって課題を解決するた
めの手段としている。すなわち、第1の発明は、1本以
上の並設された光入力導波路の出射側に第1のスラブ導
波路が接続され、該第1のスラブ導波路の出射側には該
第1のスラブ導波路から導出された光を伝搬する互いに
異なる長さの複数の並設されたアレイ導波路が接続さ
れ、該複数のアレイ導波路の出射側には第2のスラブ導
波路が接続され、該第2のスラブ導波路の出射側には複
数の並設された光出力導波路が接続されて成る導波路構
成を有し、前記光入力導波路から入力される互いに異な
る複数の波長をもった光から1つ以上の波長の光を分波
して各光出力導波路から出力する光分波機能を有し、前
記各光出力導波路から出力される各光の光透過率が少な
くとも予め定められた波長領域においては分波光の互い
に異なる光透過中心波長を中心としてそれぞれ対応する
光透過中心波長から波長がずれるにしたがって小さくな
るアレイ導波路回折格子において、前記第1のスラブ導
波路と第2のスラブ導波路の少なくとも一方がスラブ導
波路を通る光の経路と交わる切断面で切断分離されてお
り、この分離された分離スラブ導波路の少なくとも一方
側を前記切断面に沿ってスライド移動させることにより
前記光透過中心波長をシフトさせる構成と成し、前記切
断面はスラブ導波路内を通る光の経路の長手方向中心位
置よりもアレイ導波路側の位置において前記光の経路と
交わる面とした構成をもって課題を解決する手段として
いる。
【0063】また、第2の発明は、上記第1の発明の構
成に加え、前記分離スラブ導波路の少なくとも一方側を
切断面に沿って移動させるスライド移動機構が設けられ
て該スライド移動機構が光透過中心波長をシフトさせる
機構と成しており、該スライド移動機構は各光透過中心
波長の温度依存変動を低減する方向に分離スラブ導波路
をスライド移動させる構成とした構成をもって課題を解
決する手段としている。
【0064】さらに、本第3の発明は、上記第2の発明
の構成に加え、スライド移動機構は、光透過中心波長の
シフトに応じた分離スラブ導波路移動量に対応する熱膨
張係数による伸縮が生じる物質を有している構成をもっ
て課題を解決する手段としている。
【0065】本発明者が、図7に示したような上記提案
のアレイ導波路回折格子の構成を有していながら、光透
過中心波長の温度依存性低減効果を十分に発揮できない
ものが存在する原因を解明するために、アレイ導波路型
回折格子を解体してみたところ、上記温度依存性低減効
果を十分に発揮できないものは、図2に示すように、切
断面8における切断部分で導波路形成領域10aの端面
(切断面8a)と導波路形成領域10bの端面(切断面
8b)との角度θが生じている(切断面8aと切断面8
bとが完全に一致した状態で上記スライド移動が行なわ
れない)ことが分かった。なお、図2には、図の簡略化
のために、アレイ導波路型回折格子の導波路構成のう
ち、光入力導波路2と第1のスラブ導波路3のみが示さ
れている。
【0066】したがって、この角度θを零に近づけるよ
うにすることが重要であるが、角度θは、実際には図2
に示すような大きなものではなく、せいぜい0.5度程
度であり(図2においては説明を分かりやすくするため
にθを大きく示した)、アレイ導波路型回折格子の作製
上の誤差によってこの程度の大きさの角度θが生じてし
まうことは裂けられない。
【0067】そこで、本発明者は、前記切断面8の形成
位置に着目した。その結果、第1のスラブ導波路3内を
通る光の経路の長手方向中心位置よりも光入力導波路2
側の位置において、前記光の経路と交わる切断面8で第
1のスラブ導波路3を切断したときに、上記角度θとの
兼ね合いによって上記アレイ導波路型回折格子における
各光透過中心波長の温度依存変動低減効果を十分に発揮
できないことが分かった。
【0068】そこで、本発明者は、上記角度θと、アレ
イ導波路型回折格子における光透過中心波長シフト量と
の関係を以下のように考察した。
【0069】すなわち、図2に示すように、アレイ導波
路型回折格子における光入力導波路2の出力端20が、
第1のスラブ導波路3の幅方向の中心に形成されている
(W1=W2である)とする。光入力導波路2の出力端
20から第1のスラブ導波路3に入力された光は、アレ
イ導波路4側に向かって広がりながら第1のスラブ導波
路3を伝搬するが、光入力導波路2の出力端20(同図
におけるC)から、第1のスラブ導波路3の出力端にお
ける幅方向の中心位置(W1=W2となる位置)Bに向
かって直進する光の強度が最も大きい。
【0070】そのため、切断面8によって切断された導
波路形成領域10aの端面(切断面8a)と導波路形成
領域10bの端面(切断面8b)との角度θが0の場
合、すなわち、切断面8aと切断面8bの角度ずれが生
じていない理想的な場合には、第1のスラブ導波路3を
伝搬する光の強度中心は、前記位置Bに向かう。
【0071】ここで、導波路形成領域10aの端面(切
断面8a)と導波路形成領域10bの端面(切断面8
b)との角度が、切断面8(8a,8b)の端部Aを支
点として角度θずれた場合を考える。
【0072】なお、分離スラブ導波路3aの長さ(光の
経路方向の長さ)をLf1とし、分離スラブ導波路3b
の長さ(光の経路方向の長さ)をLf2とし、アレイ導
波路型回折格子の端面Eから光入力導波路2の出力端2
0(同図におけるC)までの長さをLとする。また、
切断面8aと切断面8bとの間には屈折率整合剤が塗布
されているので、切断面8a,8bの間の隙間によって
光の反射が生じないものとする。
【0073】切断面8aと切断面8bの角度がθの場
合、図のCの位置から入力された光強度の中心は、第1
のスラブ導波路3内を、図のBの位置から上方側にdx
gだけずれた点に向かって直進するので、この光の焦点
距離Lfg’は、CB間の距離で近似できるものであ
る。なお、同図において、点Aと点C、点Aと点Bをそ
れぞれ接続し、γ=tan−1(Lf1/L)、γ
=tan−1(Lf2/L)を考えると、LAB
(L +Lf2 1/2、LAD=(L +L
f2 1/2・cos(θ+γ)となり、dxg
は、(数11)で表わされる。また、LBD=(L
+Lf2 1/2・sin(θ+γ)となり、前記
焦点距離Lfg’は、(数12)により近似できる。
【0074】
【数11】
【0075】
【数12】
【0076】また、図2において、角度θは大きく示し
てあるが、前記の如く、θは、実際には非常に小さい値
なので、アレイ導波路型回折格子の線分散特性が成り立
つと仮定してもなんら差し障りが無く、したがって、以
下の式(数13)が成り立つ。
【0077】
【数13】
【0078】ここで、ΔLは、アレイ導波路の光路長
差、nは第1のスラブ導波路3の等価屈折率、dは隣
り合うアレイ導波路4同士の間隔、λはアレイ導波路
型回折格子の回折角φ=0となるところの光透過中心波
長(一般に、アレイ導波路型回折格子の中心波長と呼ぶ
ことがある)、nはアレイ導波路4の群屈折率であ
る。また、波長λは、前記(数4)により表わされる
ものであり、アレイ導波路4の群屈折率nは、前記
(数6)により表わされるものである。
【0079】そこで、第1のスラブ導波路3を通る光の
経路と交わるように形成する切断面8を、光入力導波路
2に近い側に形成した場合とアレイ導波路4に近い側に
形成した場合の両方において、上記(数4)、(数
6)、(数11)、(数12)、(数13)を用いて、
アレイ導波路型回折格子における角度θと前記光透過中
心波長シフト量との関係をそれぞれ算出した。この算出
結果が、図3、4に示されている。
【0080】なお、上記算出結果は、上記第1実施形態
例と同様の、以下のパラメータに基づいて算出した。す
なわち、回折次数mは61、隣り合うアレイ導波路4同
士の長さの差ΔLは65.2μm、アレイ導波路4のピ
ッチdは15μm、アレイ導波路4の等価屈折率n
1.451、アレイ導波路群屈折率nは1.475、
第1、第2のスラブ導波路3,5の等価屈折率nはそ
れぞれ1.453とした。なお、これらの等価屈折率値
は、波長1.55μmの光に対する値であり、25℃に
おける値である。
【0081】また、上記切断面8を光入力導波路2に近
い側に形成した場合(図3に示す算出結果)は、Lf1
=1000μm、Lf2=8000μmとし、上記切断
面8をアレイ導波路4に近い側に形成した場合(図4に
示す算出結果)は、Lf1=8000μm、Lf2=1
000μmとして求めた。
【0082】図3、4から明らかなように、角度θが大
きくなるほど光透過中心波長シフト量も大きくなり、光
透過中心波長シフト量は角度θにほぼ比例している。こ
のことは、前記スライド移動機構によって分離スラブ導
波路3a側を切断面8に沿ってスライド移動させたとき
に、このスライド移動によってシフトさせる適切な光透
過中心波長シフト量(光透過中心波長シフト量の設計
値)に加えて、角度θに対応する大きさだけアレイ導波
路型回折格子の光透過中心波長が余分にシフトすること
を意味する。
【0083】したがって、角度θが大きくなると、設計
通り前記光透過中心波長をシフトさせることができなく
なる。例えば、図3に示すように、切断面8を光入力導
波路2に近い側に形成した場合は、角度θが0.1度の
ときに光透過中心波長シフト量が0.5nmになってい
るので、光透過中心波長が0.5nm余分にシフトして
しまうことになり、アレイ導波路型回折格子によって、
波長多重光を波長0.8nm間隔で分離しようとする場
合には問題である。
【0084】一方、切断面8をアレイ導波路4に近い側
に形成した場合は、図4に示すように、角度θが0.1
度のときに光透過中心波長シフト量が0.1nmになっ
ており、アレイ導波路4に近い側に切断面8を形成する
ことで、角度θに依存する光透過中心波長シフト量を5
分の1程度に小さくできることが分かった。なお、この
光透過中心波長シフト量(設計値からのずれ量)が0.
1nmであることは許容範囲である。
【0085】なお、アレイ導波路型回折格子は光回路の
相反性を利用したものであるため、以上のような結果は
第2のスラブ導波路側においても同様に成り立つ。
【0086】本発明は、上記考察結果に基づいて、第1
のスラブ導波路と第2のスラブ導波路の少なくとも一方
を切断する切断面を、アレイ導波路側に近い側で切断す
る切断面とし、かつ、図7に示したような提案例の構成
と同様のスライド機構を設けてアレイ導波路型回折格子
を構成したために、光透過中心波長の温度依存性を正確
に抑制することができる安価なアレイ導波路型回折格子
とすることが可能となる。
【0087】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。なお、本実施形態例の説明におい
て、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重
複説明は省略する。図1には、本発明に係るアレイ導波
路型回折格子の一実施形態例の概略図が平面図により示
されている。本実施形態例は図7に示した上記提案例と
ほぼ同様に構成されており、本実施形態例が上記提案例
と異なる特徴的なことは、切断面8を、第1のスラブ導
波路3内を通る光の経路の長手方向中心位置よりもアレ
イ導波路4側の位置(アレイ導波路寄りの位置)におい
て前記光の経路と交わる面としたことである。
【0088】すなわち、本実施形態例において、切断面
8は、第1のスラブ導波路3を、光入力導波路2側より
もアレイ導波路4側に近い側で切断する面と成してお
り、具体的には、同図における長さLf1=8000μ
m、Lf2=1000μmと成している。
【0089】前記の如く、図7に示した提案例のアレイ
導波路型回折格子において、各光透過中心波長の温度依
存変動低減効果を十分に発揮できないものは、第1のス
ラブ導波路3内を通る光の経路の長手方向中心位置より
も光入力導波路2側の位置において、前記光の経路と交
わる切断面8で第1のスラブ導波路3を切断し、かつ、
図2に示した、切断面8における切断部分で導波路形成
領域10aの端面(切断面8a)と導波路形成領域10
bの端面(切断面8b)との角度θが比較的大きいこと
が分かった。
【0090】そして、本発明者は、上記角度θと、アレ
イ導波路型回折格子における光透過中心波長シフト量と
の関係を前記のように考察し、この考察結果に基づき、
前記の如く、第1のスラブ導波路3を、光入力導波路2
側よりもアレイ導波路4側に近い側に切断面8を形成し
て本実施形態例のアレイ導波路型回折格子を形成した。
【0091】本実施形態例は以上のように構成されてお
り、本実施形態例のアレイ導波路型回折格子において、
前記角度θを実際に測定したところ、θ=約0.05度
であり、図6に示すように、アレイ導波路型回折格子の
使用環境温度0℃〜80℃において、光透過中心波長が
殆ど変動しないアレイ導波路型回折格子となることが分
かった。
【0092】なお、図5には、本実施形態例のアレイ導
波路型回折格子において、前記角度θを故意に大きくし
て、角度θに対するアレイ導波路型回折格子の光透過中
心波長シフト量を測定した実測結果が、図4に示した光
透過中心波長シフト量の計算値と共に示されており、図
5からも明らかなように、本実施形態例のように、第1
のスラブ導波路3に形成する切断面8をアレイ導波路4
に近い側に形成することにより、たとえ切断面8におけ
る前記角度θが多少大きくても、光透過中心波長を設計
通りシフトすることができ、アレイ導波路型回折格子に
おける光透過中心波長の温度依存性を効率的に低減でき
ることが分かった。
【0093】なお、図5において、○が実測値、特性線
が計算値であり、計算値と実測値はほぼ一致した。
【0094】本実施形態例によれば、アレイ導波路型回
折格子の光透過中心波長の温度依存性を低減できるよう
に図7に示した提案例とほぼ同様の構成とし、ただし、
前記考察に基づき、図1に示すように、第1のスラブ導
波路3を、光入力導波路2側よりもアレイ導波路4側に
近い側に切断面8を形成して本実施形態例のアレイ導波
路型回折格子を形成したので、光透過中心波長の温度依
存性をほぼ設計通り正確に抑制することができるアレイ
導波路型回折格子とすることができる。
【0095】また、本実施形態例によれば、図7に示し
た提案例と同様に、高熱膨張係数部材7、ベース9、係
止部材14を有して構成される簡単な構成のスライド移
動機構を設けることによりアレイ導波路型回折格子の各
光透過中心波長の温度依存性を効率的に低減できるもの
であり、アレイ導波路型回折格子の構成の複雑化を避け
ることができ、作製も容易にできる。
【0096】さらに、本実施形態例によれば、第1のス
ラブ導波路3を切断面8で切断しているために、例えば
アレイ導波路型回折格子を構成するアレイ導波路部の作
製誤差に起因して、前記光透過中心波長がITUグリッ
ド波長等の設定波長からずれている場合には、その分だ
け分離スラブ導波路3aと分離スラブ導波路3bの相対
位置をずらして、光入力導波路2のX方向の位置をずら
すことにより、設定温度において、前記光透過中心波長
をグリッド波長等の設定波長とすることができる。
【0097】なお、本発明は上記実施形態例に限定され
ることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、
上記実施形態例では、長手方向の長さが9000μmの
第1のスラブ導波路3を、図1に示したように、Lf1
=8000μm、Lf2=1000μmとなるように切
断面8を切断したが、Lf1やLf2の長さは特に限定
されるものではなく、適宜設定されるものであり、L
f1>Lf2となるように切断面8を形成することによ
り、上記実施形態例と同様の効果を奏することができ
る。
【0098】また、上記実施形態例では、高熱膨張係数
部材7としてAlの板を用いたが、高熱膨張係数部材7
は必ずしもAlとするとは限らず、Al以外の材料によ
り形成してもよい。
【0099】また、上記実施形態例では、第1のスラブ
導波路3を切断分離したが、アレイ導波路型回折格子は
光の相反性を利用して形成されているものであり、第2
のスラブ導波路5側を切断分離して、分離された分離ス
ラブ導波路の少なくとも一方側を、スライド移動機構に
よって前記切断面に沿って前記各光透過中心波長の温度
依存変動を低減する方向にスライド移動させても、上記
実施形態例と同様の効果が得られ、前記各光透過中心波
長の温度依存変動を解消することができる。
【0100】なお、この場合は、第2のスラブ導波路5
を通る光の経路の長手方向中心位置よりもアレイ導波路
4側の位置において前記光の経路と交わる切断面8で、
第2のスラブ導波路5を切断する(光出力導波路6より
もアレイ導波路4に近い側に切断面8を形成する)こと
になる。
【0101】さらに、第1のスラブ導波路3や第2のス
ラブ導波路5の切断面8は上記実施形態例のようにX軸
とほぼ平行な面とするとは限らず、X軸に対して斜めの
面としてもよく、切断するスラブ導波路を通る光の経路
と交わる切断面で切断分離すればよい。
【0102】さらに、上記実施形態例では、分離スラブ
導波路3a側を切断面8に沿ってスライド移動させるス
ライド移動機構を、高熱膨張係数部材7を設けて形成し
たが、スライド移動機構の構成は特に限定されるもので
はなく、適宜設定されるものである。すなわち、上記ス
ライド移動機構は、第1のスラブ導波路3と第2のスラ
ブ導波路5の少なくとも一方を切断面で切断分離して形
成した分離スラブ導波路の少なくとも一方側を、前記切
断面8に沿ってスライド移動させることにより、アレイ
導波路型回折格子の光透過中心波長をシフトできる機能
を有していればよい。
【0103】特に、上記スライド移動機構は、上記実施
形態例のように、アレイ導波路型回折格子の各光透過中
心波長の温度依存変動を低減する方向にスライド移動さ
せる機能を有していれば望ましく、スライド移動機構を
このように構成することにより、上記実施形態例のよう
に、従来のアレイ導波路型回折格子において問題であっ
た光透過中心波長の温度依存性を解消することができ、
光波長多重通信用などの実用に適した優れたアレイ導波
路型回折格子とすることができる。
【0104】さらに、本発明のアレイ導波路型回折格子
を構成する各導波路2,3,4,5,6の等価屈折率や
本数、大きさなどの詳細な値は特に限定されるものでは
なく、適宜設定されるものである。
【0105】
【発明の効果】第1の発明によれば、第1のスラブ導波
路と第2のスラブ導波路の少なくとも一方を、スラブ導
波路を通る光の経路と交わる切断面で切断分離し、この
分離したスラブ導波路の少なくとも一方を、前記切断面
に沿ってスライド移動させることにより、アレイ導波路
型回折格子の各光透過中心波長をシフトさせることがで
き、しかも、前記切断面を前記光の経路の長手方向中心
位置よりもアレイ導波路側に形成したので、前記分離ス
ラブ導波路同士の角度に依存する光透過中心波長シフト
変位量を小さくすることができるため、ほぼ設計通り光
透過中心波長シフトを行なうことができる。
【0106】また、第2の発明によれば、第1の発明に
加えて、前記スライド移動機構による切断面に沿っての
移動により、前記各光透過中心波長の温度依存変動を低
減する方向にスライド移動させるものであるから、アレ
イ導波路型回折格子の各光透過中心波長を非常に適切な
量だけシフトさせることができ、前記各光透過中心波長
の温度依存変動(波長ずれ)を解消することができる。
【0107】また、第2の発明によれば、ペルチェ素子
やヒータを用いなくてもアレイ導波路型回折格子の使用
環境温度による光透過中心波長ずれを抑制し、光透過中
心波長の温度無依存化を行うことができるために、ペル
チェ素子やヒータを含む温度調節手段を設ける場合のよ
うに、常時通電を必要とすることもないし、部品の組立
誤差による温度補正誤差が生じることもなく、さらに、
室温以上の温度でアレイ導波路型回折格子を保つことに
よるアレイ導波路型回折格子と光ファイバとの接続損失
増加の虞もない。
【0108】したがって、第2の発明のアレイ導波路型
回折格子は、接続相手側の光ファイバとの接続信頼性が
高く、確実に光透過中心波長の温度依存性を解消でき、
コストが安い優れたアレイ導波路型回折格子とすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアレイ導波路型回折格子の一実施
形態例を平面図により示す要部構成図である。
【図2】アレイ導波路型回折格子の第1のスラブ導波路
を切断したときの導波路形成領域端面角度θに対応する
光透過中心波長シフトを説明する説明図である。
【図3】第1のスラブ導波路を光入力導波路に近い側で
切断したときの、図2に示した角度θとアレイ導波路型
回折格子における光透過中心波長シフト量との関係の算
出結果を示すグラフである。
【図4】第1のスラブ導波路をアレイ導波路に近い側で
切断したときの、図2に示した角度θとアレイ導波路型
回折格子における光透過中心波長シフト量との関係の算
出結果を示すグラフである。
【図5】第1のスラブ導波路をアレイ導波路に近い側で
切断したときの、図2に示した角度θとアレイ導波路型
回折格子における光透過中心波長シフト量との関係の算
出結果と実測値とを比較して示すグラフである。
【図6】上記実施形態例のアレイ導波路型回折格子にお
ける光透過中心波長の温度依存性を示すグラフである。
【図7】従来提案されている第1のスラブ導波路を切断
して形成したアレイ導波路型回折格子の構成を示す説明
図である。
【図8】アレイ導波路型回折格子における光透過中心波
長シフトと光入力導波路および光出力導波路の位置との
関係を示す説明図である。
【図9】ペルチェ素子を設けて構成した従来のアレイ導
波路型回折格子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 光入力導波路 3 第1のスラブ導波路 3a,3b 分離スラブ導波路 4 アレイ導波路 5 第2のスラブ導波路 6 光出力導波路 7 高熱膨張係数部材 8,8a,8b 切断面 9 ベース 10,10a,10b 導波路形成領域 14 係止部材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1本以上の並設された光入力導波路の出
    射側に第1のスラブ導波路が接続され、該第1のスラブ
    導波路の出射側には該第1のスラブ導波路から導出され
    た光を伝搬する互いに異なる長さの複数の並設されたア
    レイ導波路が接続され、該複数のアレイ導波路の出射側
    には第2のスラブ導波路が接続され、該第2のスラブ導
    波路の出射側には複数の並設された光出力導波路が接続
    されて成る導波路構成を有し、前記光入力導波路から入
    力される互いに異なる複数の波長をもった光から1つ以
    上の波長の光を分波して各光出力導波路から出力する光
    分波機能を有し、前記各光出力導波路から出力される各
    光の光透過率が少なくとも予め定められた波長領域にお
    いては分波光の互いに異なる光透過中心波長を中心とし
    てそれぞれ対応する光透過中心波長から波長がずれるに
    したがって小さくなるアレイ導波路回折格子において、
    前記第1のスラブ導波路と第2のスラブ導波路の少なく
    とも一方がスラブ導波路を通る光の経路と交わる切断面
    で切断分離されており、この分離された分離スラブ導波
    路の少なくとも一方側を前記切断面に沿ってスライド移
    動させることにより前記光透過中心波長をシフトさせる
    構成と成し、前記切断面はスラブ導波路内を通る光の経
    路の長手方向中心位置よりもアレイ導波路側の位置にお
    いて前記光の経路と交わる面としたことを特徴とするア
    レイ導波路型回折格子。
  2. 【請求項2】 分離スラブ導波路の少なくとも一方側を
    切断面に沿って移動させるスライド移動機構が設けられ
    て該スライド移動機構が光透過中心波長をシフトさせる
    機構と成しており、該スライド移動機構は各光透過中心
    波長の温度依存変動を低減する方向に分離スラブ導波路
    をスライド移動させる構成としたことを特徴とする請求
    項1記載のアレイ導波路型回折格子。
  3. 【請求項3】 スライド移動機構は、光透過中心波長の
    シフトに応じた分離スラブ導波路移動量に対応する熱膨
    張係数による伸縮が生じる物質を有していることを特徴
    とする請求項2記載のアレイ導波路型回折格子。
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JP2010097231A (ja) * 2010-02-01 2010-04-30 Furukawa Electric Co Ltd:The アレイ導波路回折格子型光合分波器

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