JP4667558B2 - 光モジュールを用いた光システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野で用いられる光モジュールを用いた光システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信においては、その伝送容量を飛躍的に増加させる方法として、光波長多重通信の研究開発が盛んに行なわれ、実用化が進みつつある。光波長多重通信は、例えば互いに異なる波長を有する複数の光を多重して伝送させるものであり、このような光波長多重通信のシステムにおいては、伝送される多重光から、光受信側で波長ごとの光を取り出すために、予め定められた波長の光のみを透過する光透過デバイス等を、システム内に設けることが不可欠である。
【0003】
光透過デバイスの一例として、図11に示すような平板光導波路回路(PLC;Planar Lightwave Circuit)のアレイ導波路型回折格子(AWG;Arrayed Waveguide Grating)がある。アレイ導波路型回折格子は、シリコンなどの基板1上に、同図に示すような導波路構成の導波路形成領域10を石英系ガラス等のコア、クラッドにより形成したものである。
【0004】
アレイ導波路型回折格子の導波路構成は、1本または2本以上の並設された光入力導波路2の出射側に、第1のスラブ導波路3が接続され、第1のスラブ導波路3の出射側には複数の並設されたアレイ導波路4が接続され、アレイ導波路4の出射側には第2のスラブ導波路5が接続され、第2のスラブ導波路5の出射側には複数の並設された光出力導波路6が接続されて形成されている。
【0005】
前記アレイ導波路4は、第1のスラブ導波路3から導出された光を伝搬するものであり、互いに異なる長さに形成され、隣り合うアレイ導波路4の長さは互いにΔL異なっている。なお、光入力導波路2や光出力導波路6は、例えばアレイ導波路型回折格子によって分波あるいは合波される互いに異なる波長の信号光の数に対応させて設けられるものであり、アレイ導波路4は、通常、例えば100本といったように多数設けられるが、同図においては、図の簡略化のために、これらの光入力導波路2、アレイ導波路4、光出力導波路6の各々の本数を簡略的に示してある。
【0006】
光入力導波路2には、例えば送信側の光ファイバ(図示せず)が接続されて、波長多重光が導入されるようになっており、光入力導波路2を通って第1のスラブ導波路3に導入された光は、その回折効果によって広がって各アレイ導波路4に入射し、アレイ導波路4を伝搬する。
【0007】
このアレイ導波路4を伝搬した光は、第2のスラブ導波路5に達し、さらに、光出力導波路6に集光されて出力されるが、全てのアレイ導波路4の長さが互いに異なることから、アレイ導波路4を伝搬した後に個々の光の位相にずれが生じ、このずれ量に応じて集束光の波面が傾き、この傾き角度により集光する位置が決まる。
【0008】
そのため、波長の異なった光の集光位置は互いに異なることになり、その位置に光出力導波路6を形成することによって、波長の異なった光(分波光)を各波長ごとに異なる光出力導波路6から出力できる。
【0009】
すなわち、アレイ導波路型回折格子は、光入力導波路2から入力される互いに異なる複数の波長をもった多重光から1つ以上の波長の光を分波して各光出力導波路6から出力する光分波機能を有しており、分波される光の中心波長は、アレイ導波路4の長さの差(ΔL)及び光導波路4の実効屈折率ncに比例する。
【0010】
アレイ導波路型回折格子は、上記のような特性を有するために、アレイ導波路型回折格子を波長多重伝送用の波長多重分波器として用いることができ、例えば図11の(a)に示すように、1本の光入力導波路2から中心波長λ1,λ2,λ3,・・・λn(nは2以上の整数)の波長多重光を入力させると、これらの各波長の光は、第1のスラブ導波路3で広げられ、アレイ導波路4に到達し、第2のスラブ導波路5を通って、前記の如く、波長によって異なる位置に集光され、互いに異なる光出力導波路6に入射し、それぞれの光出力導波路6を通って、光出力導波路6の出射端から出力される。
【0011】
そして、各光出力導波路6の出射端に光出力用の光ファイバ(図示せず)を接続することにより、この光ファイバを介して、前記各波長の光が取り出される。なお、各光出力導波路6や前述の光入力導波路2に光ファイバを接続するときには、例えば光ファイバを1次元アレイ状に配列固定した光ファイバアレイを用意し、この光ファイバアレイを光出力導波路6や光入力導波路2の接続端面側に固定して光ファイバと光出力導波路6及び光入力導波路2を接続する。
【0012】
上記アレイ導波路型回折格子において、各光出力導波路6から出力される光の光透過特性(アレイ導波路型回折格子の透過光強度の波長特性)は、例えば図12に示すようになり、各光透過中心波長(例えばλ1,λ2,λ3,・・・λn)を中心とし、それぞれの対応する光透過中心波長から波長がずれるにしたがって光透過率が小さくなる光透過特性を示す。
【0013】
また、アレイ導波路型回折格子は、光の相反性(可逆性)の原理を利用しているため、光分波器としての機能と共に、光合波器としての機能も有している。すなわち、図11の(b)に示すように、互いに異なる複数の波長の光をそれぞれの波長ごとにそれぞれの光出力導波路6から入射させると、これらの光は、上記と逆の伝搬経路を通り、アレイ導波路4によって合波され、1本の光入力導波路2から出射される。
【0014】
このようなアレイ導波路型回折格子においては、前記の如く、回折格子の波長分解能が回折格子を構成するアレイ導波路4の長さの差(ΔL)に比例するために、ΔLを大きく設計することにより、従来の回折格子では実現できなかった波長間隔の狭い波長多重光の光合分波が可能となり、高密度の光波長多重通信の実現に必要とされている、複数の信号光の光合分波機能、すなわち、波長間隔が1nm以下の複数の光信号を分波または合波する機能を果たすことができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のアレイ導波路回折格子は、元来、石英系ガラス材料を主とするために、この石英系ガラス材料の温度依存性に起因してアレイ導波路回折格子の前記光透過中心波長が温度に依存してシフトする。このシフト量は、各光出力導波路6から出力されるそれぞれの光透過中心波長に対して一律である(すなわち、例えば1つの光出力導波路6から出力される出力波長が長波長側にΔλシフトする場合は、他の光出力導波路6から出力される出力波長もΔλだけ長波長側にシフトするものである)。
【0016】
上記温度依存性は、1つの光出力導波路6からそれぞれ出力される光の透過中心波長をλ、前記アレイ導波路4を形成するコアの等価屈折率をnc、基板(例えばシリコン基板)1の熱膨張係数をαs、アレイ導波路型回折格子の温度変化量をTとしたときに、(数1)により示されるものである。
【0017】
【数1】
【0018】
ここで、従来の一般的なアレイ導波路型回折格子において、(数1)から前記光透過中心波長の温度依存性を求めてみる。従来の一般的なアレイ導波路型回折格子においては、dnc/dT=1×10−5(℃−1)、αs=3.0×10−6(℃−1)、nc=1.451(波長1.55μmにおける値)であるから、これらの値を(数1)に代入する。
【0019】
また、波長λは、各光出力導波路6についてそれぞれ異なるが、各波長λの温度依存性は等しい。そして、現在用いられているアレイ導波路型回折格子は、波長1550nmを中心とする波長帯の波長多重光を分波したり合波したりするために用いられることが多いので、ここでは、λ=1550nmを(数1)に代入する。そうすると、従来の一般的なアレイ導波路型回折格子の前記光透過中心波長の温度依存性は、(数2)に示す値となる。
【0020】
【数2】
【0021】
なお、dλ/dTの単位は、nm/℃である。したがって、上記アレイ導波路型回折格子の使用環境温度が例えば20℃変化したとすると、各光出力導波路6から出力される光透過中心波長は0.30nmシフトすることになる。
【0022】
そこで、従来は、例えば図11に示したように、アレイ導波路型回折格子を収容するパッケージ内にペルチェ素子30やヒータ等の温度調整機構を設け、アレイ導波路型回折格子の温度を一定に保つことにより、前記光透過中心波長の温度によるシフトを抑制していたが、本発明者は、視点を変え、アレイ導波路型回折格子の光透過中心波長シフト特性を積極的に利用することを考えた。
【0023】
すなわち、上記の如く、アレイ導波路型回折格子において、各光出力導波路6から出力されるそれぞれの光透過中心波長のシフト量は一律であることを利用し、アレイ導波路型回折格子を用いて例えば光スイッチやアドドロップモジュール等のような光モジュールを構成すれば、出力光波長の切り換えを的確に行なえる光モジュールや、この光モジュールを用いた様々な光システムを構成できるのではないかと考えた。
【0024】
本発明は、上記考察に基づいてなされたものであり、その目的は、複数の出力ポートから出力される互いに異なる出力光波長の切り換えを一括して的確に行なえる光モジュールを用いた光スイッチの光システムを提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成をもって課題を解決するための手段としている。すなわち、本発明は、1本または2本以上の並設された光入力導波路の出射側に第1のスラブ導波路が接続され、該第1のスラブ導波路の出射側には該第1のスラブ導波路から導出された光を伝搬する互いに異なる長さの複数の並設されたアレイ導波路が接続され、該複数のアレイ導波路の出射側には第2のスラブ導波路が接続され、該第2のスラブ導波路の出射側には複数の並設された光出力導波路が接続されている構成を備えていて、温度調整機構により温度が調整されるアレイ導波路型回折格子を有し、前記光入力導波路の入力端部が光入力部と成し、前記第1と第2のスラブ導波路と前記並設アレイ導波路が光分波部と成し、前記光出力導波路の出力端部が出力ポートと成し、前記第1のスラブ導波路と第2のスラブ導波路の少なくとも一方がスラブ導波路を通る光の経路と交わる切断面で切断分離されて分離スラブ導波路と成し、前記第1と第2のスラブ導波路と光入力導波路とアレイ導波路と光出力導波路を有する導波路形成領域が一方側の分離スラブ導波路を含む第1の導波路形成領域と他方側の分離スラブ導波路を含む第2の導波路形成領域とに分離されており、該第2の導波路形成領域と前記第1の導波路形成領域の少なくとも一方側を前記切断面に沿ってスライド移動させることにより前記出力導波路から出力する出力波長をシフトさせるスライド移動機構を設け、該スライド移動機構を波長シフト手段とし、前記光分波部は前記光入力部から入力される波長多重光を互いに異なる波長の光に分波し、該光分波部で分波した互いに異なる波長の光を異なる出力ポートから出力する構成と成し、これらの全出力ポートから出力する出力光波長を長波長側と短波長側のいずれか一方に予め定められた設定シフト量だけ同時に前記波長シフト手段によりシフトさせて全出力ポートから出力する光波長を一括的に切り換える機能を備え、さらに、複数のそれぞれの出力ポートから出力する各信号波長の間隔は等波長間隔ずつ異にして複数のそれぞれの出力ポートから出力する波長は互いに異なる波長と成し、前記波長シフト手段により前記第2の導波路形成領域と前記第1の導波路形成領域の少なくとも一方側を前記切断面に沿ってスライド移動させて前記複数のそれぞれの出力ポートでの波長が各信号波長からずれたノイズレベルとなる波長へシフトさせて前記全出力ポートからの出力を一括してオフにする出力オフモードの機能を付加したことを特徴とする光モジュール;を有し、該光モジュールの出力オフモードの動作の有無によって出力光波長を一括してオンオフする光スイッチとした構成をもって課題を解決する手段としている。
【0041】
上記本発明の光システムを構成する光モジュールにおいて、複数の出力ポートからは、それぞれ互いに異なる波長の光が出力されるが、これらの全出力ポートから出力する出力光波長は、波長シフト手段によって、長波長側と短波長側のいずれか一方に予め定められた設定シフト量だけ同時にシフトさせられる。したがって、この設定シフト量を適宜設定することにより、本発明を構成する光モジュールを光スイッチの光システムに好適な光モジュールとすることができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態例の説明において、従来例と同一名称部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。図1には、本発明に係る光モジュールの第1実施形態例が、接続相手側の光ファイバ配列具との接続状態で平面図により模式的に示されている。
【0043】
同図に示すように、本実施形態例の光モジュール40はアレイ導波路型回折格子を有しており、光入力導波路2の入力端部が光モジュール40の光入力部17と成している。また、該光入力部17から入力された波長多重光を互いに異なる波長の光に分波する光分波部として、第1と第2のスラブ導波路3,5と複数の並設アレイ導波路4が機能し、複数の光出力導波路6の出力端部が、アレイ導波路4で分波した互いに異なる波長の光をそれぞれ出力する複数の出力ポートa〜pと成している。
【0044】
本実施形態例の特徴的なことは、全出力導波路6から出力する出力光波長(全出力ポートa〜pから出力する出力光波長)を、長波長側と短波長側のいずれか一方に予め定められた設定シフト量だけ同時にシフトさせる波長シフト手段を設けたことである。
【0045】
すなわち、本実施形態例において、アレイ導波路型回折格子は、第1のスラブ導波路3がスラブ導波路を通る光の経路と交わる切断面8で切断分離されており、この切断面8に沿って分離スラブ導波路3a側を含む第1の導波路形成領域10a側を他方側の分離スラブ導波路3bを含む第2の導波路形成領域10bに対して前記切断面8に沿ってスライド移動させるスライド移動機構を有しており、このスライド移動機構が前記波長シフト手段と成している。
【0046】
具体的には、上記第1のスラブ導波路3の切断面8での切断に伴い、導波路形成領域10およびその下側の基板1が第1のスラブ導波路3の切断に対応させて2つに切断分離されており、分離スラブ導波路3bとアレイ導波路4と第2のスラブ導波路5と光出力導波路6が形成されている導波路形成領域10bおよびその下の基板1は、コバール等の、シリコン基板と線膨張係数がほぼ等しい材料により形成されたベース9に固定されている。
【0047】
一方、分離スラブ導波路3aが形成されている側の導波路形成領域10aおよびその下の基板1は、ベース9の表面に沿って図の矢印A方向および矢印B方向にスライド移動自在に配置されている。なお、導波路形成部10aには、導波路形成部10a側をベース9側に押し付けることにより、導波路形成領域10aがXY平面に直交するZ方向に移動することを防ぐ押し付けばね(図示せず)が設けられている。
【0048】
導波路形成領域10aの一端側にはステッピングモータ15が設けられており、ステッピングモータ15の駆動シャフト16の先端が導波路形成領域10aの端面32に当接している。そして、本実施形態例において、ステッピングモータ15は、電力によるスライド駆動手段であり、ステッピングモータ15とステッピングモータ15に接続された制御装置(図示せず)とを有して上記スライド移動機構が構成されている。なお、ステッピングモータ15は、電力を第1の導波路形成領域10aの切断面8に沿ったスライド移動力に変換して第1の導波路形成領域10aをスライド移動させる。
【0049】
また、互いに対向する第1の導波路形成領域10aの端面と第2の導波路形成領域10bの端面との間(図のCの部分)に空隙が設けられており、この空隙は5μmと成している。上記対向する第1と第2の導波路形成部10a、10bの端面には、石英系ガラスと屈折率の整合したマッチンググリースが塗布されている。なお、前記空隙を1μm以上30μm以下にすると、導波路形成領域10aの切断面8に沿っての移動が行ないやすい。
【0050】
また、本実施形態例において、前記導波路構成における各パラメータは、以下のように構成されている。すなわち、第1のスラブ導波路3の焦点距離と第2のスラブ導波路5の焦点距離は等しく、その値は9mmであり、アレイ導波路4の光路長差ΔLは65.2μm、隣り合うアレイ導波路4同士の間隔は15μm、回折次数mは61である。第1のスラブ導波路3の等価屈折率および第2のスラブ導波路5の等価屈折率は共にnsで、25℃において、その値は、1.453、アレイ導波路4の等価屈折率ncは1.451、アレイ導波路の群屈折率ngは1.475である。なお、これらの屈折率の値は、波長1.55μmの光に対しての値である。
【0051】
上記アレイ導波路型回折格子は、波長間隔約0.8nmで16波長の波長合分波を行なうものであり、例えば波長約1535nm〜約1546.9nmの範囲で波長間隔約0.8nmの中心波長を有する波長多重光を光入力導波路2から入力したときに、互いに異なる波長に分波して、それぞれの波長の光をそれぞれの光出力導波路6の出力端部(各出力ポートa〜p)から出力する機能を有している。
【0052】
なお、第1のスラブ導波路3を切断していない状態で、各光出力導波路6の出力端部から出力される出力波長の中心波長をλ1、λ2、λ3、・・・、λ16とすると、λ1=1535nm、λ2=1535.793nm、・・・・・、λ16=1546.9nmとなる。
【0053】
光入力部17には、光ファイバ配列具21が接続されており、光ファイバ配列具21に配列された光ファイバ23と光入力導波路2とが位置合わせされている。光出力導波路6の出力端には、光ファイバ配列具22が接続されており、光ファイバ配列具22に配列された複数の光ファイバ24がそれぞれ各光出力導波路6に位置合わせされている。
【0054】
また、図1には図示されていないが、本実施形態例の光モジュールは、図1に示す構成を筐体内に収容しており、この筐体内にはペルチェ素子30およびサーミスタ31が設けられている。そして、ペルチェ素子30によって筐体内の温度を一定に保ち、アレイ導波路型回折格子の温度を約45℃に保つ構成と成している。
【0055】
ところで、本発明者は、本実施形態例の構成を決定するにあたり、まず、アレイ導波路型回折格子の線分散特性に着目して、アレイ導波路型回折格子の光出力導波路6から出力される出力波長のシフト特性を以下のように考察した。
【0056】
アレイ導波路型回折格子において光入力導波路から入射された光は、第1のスラブ導波路(入力側スラブ導波路)で回折し、アレイ導波路を励振する。なお、前記の如く、隣接するアレイ導波路の長さは互いにΔLずつ異なっている。そこで、アレイ導波路を伝搬した光は、(数3)を満たし、第2のスラブ導波路(出力側スラブ導波路)の出力端に集光される。
【0057】
【数3】
【0058】
(数3)において、nsは第1のスラブ導波路および第2のスラブ導波路の等価屈折率、ncはアレイ導波路の等価屈折率、φは回折角、mは回折次数、dは隣り合うアレイ導波路同士の間隔であり、λは、前記の如く、各光出力導波路から出力される光の透過中心波長である。
【0059】
ここで、回折角φ=0となるところの光透過中心波長をλ0とすると、λ0は(数4)で表される。なお、波長λ0は、一般に、アレイ導波路型回折格子の中心波長と呼ばれる。上記パラメータにおいては、λ0は1550.9nmとなる。
【0060】
【数4】
【0061】
ところで、図2において、回折角φ=0となるアレイ導波路型回折格子の集光位置を点Oとすると、回折角φ=φpを有する光の集光位置(第2のスラブ導波路の出力端における位置)は、例えば点Pの位置(点OからX方向にずれた位置)となる。ここで、O−P間のX方向の距離をxとすると波長λとの間に(数5)が成立する。
【0062】
【数5】
【0063】
(数5)において、Lfは第2のスラブ導波路の焦点距離であり、ngはアレイ導波路の群屈折率である。なお、アレイ導波路の群屈折率ngは、アレイ導波路の等価屈折率ncにより、(数6)で与えられる。
【0064】
【数6】
【0065】
前記(数5)は、第2のスラブ導波路の焦点OからX方向の距離dx離れた位置に光出力導波路の入力端を配置形成することにより、dλだけ波長の異なった光を取り出すことが可能であることを意味する。
【0066】
また、(数5)の関係は、第1のスラブ導波路3に関しても同様に成立する。
すなわち、例えば第1のスラブ導波路3の焦点中心を点O’とし、この点O’からX方向に距離dx’ずれた位置にある点を点P’とすると、この点P’に光を入射した場合に、出力の波長がdλ’ずれることになる。この関係を式により表わすと、(数7)のようになる。
【0067】
【数7】
【0068】
なお、(数7)において、Lf’は第1のスラブ導波路3の焦点距離である。
この(数7)は、第1のスラブ導波路3の焦点O’とX方向の距離dx’離れた位置に光入力導波路2の出力端20を配置形成することにより、前記焦点Oに形成した光出力導波路6においてdλ’だけ波長の異なった光を取り出すことが可能であることを意味する。また、上記作用は、他の光出力導波路6に関しても同様に生じ、各光出力導波路6から出力される出力波長は、それぞれ、各設計出力波長よりdλ’だけ波長の異なった光となる。
【0069】
そこで、本実施形態例においては、第1のスラブ導波路3を、該第1のスラブ導波路3を通る光の経路で切断分離し、分離した第1のスラブ導波路3のうち、光入力導波路2に接続されている分離スラブ導波路3a側(光入力導波路2も含む)を前記切断面8に沿ってスライド移動させることにより、光入力導波路2の出力端20をX方向に移動させ、それにより、前記各光透過中心波長(各出力光波長)をシフトさせる構成とした。
【0070】
また、上記切断面8に沿ってのスライド移動は、前記の如くステッピングモータ15によって行なうものであるため、本実施形態例においては、予め上記(数7)から、光入力導波路2の出力端20の移動量と、各光出力導波路6から出力される各光透過中心波長のシフト量との関係を求めておき、そのデータをステッピングモータ15に接続した前記制御装置に入力してある。上記パラメータにおいては、Δλ=0.04Xとなる(すなわち、光入力導波路2の出力端20の移動量Xを10μmとしたとき、上記各光透過中心波長が0.4nmシフトする)。
【0071】
そして、例えば上記各光透過中心波長を長波長側にシフトさせるときの符号を+、短波長側にシフトさせるときの符号を−として、前記設定シフト量を+0.8nmといった値に設定し、ステッピングモータ15の駆動によって、前記設定シフト量に対応する移動量Xだけ(設定波長が0.8nmのときにはX=20μm)導波路形成部10aを切断面8に沿ってX方向にスライド移動させる。そうすると、各光出力導波路6から出力する出力波長(光透過中心波長)は、全て0.8nmだけ長波長側にシフトする。
【0072】
すなわち、前記波長シフト手段による波長シフトが行われない(ステッピングモータ15による導波路形成領域10aの移動が行なわれない)波長シフトの定位置において、各光出力導波路6の出力端部から出力される出力波長の中心波長λ1、λ2、λ3、・・・、λ15、λ16に対し、前記波長シフト手段により前記波長シフトの定位置からの出力波長シフトを行なったときに各光出力導波路6の出力端部から出力される出力波長の中心波長は、(λ1+0.8)nm、(λ2+0.8)nm、(λ3+0.8)nm、・・・、(λ15+0.8)nm、(λ16+0.8)nmとなる。
【0073】
また、前記波長シフト量(0.8nm)は、各出力ポートa〜pから出力する出力波長間隔とほぼ等しい値(出力波長間隔の1倍)であり、上記の前記波長シフトの定位置からの出力波長シフトを行なったときに各光出力導波路6の出力端部から出力される出力波長の中心波長を書き直すと、λ2、λ3、・・・λ16、(λ16+0.8nm)となる。なお、波長(λ16+0.8)nmの光は入射されないので、上記のように波長シフトの定位置からの出力波長シフトを行なったときの各光出力導波路6からの出力波長の中心波長は、λ2、λ3、・・・λ16となる。
【0074】
また、厳密に言えば、光入力導波路2の出力端20の位置を変えることによって、光入力導波路2の出力端20からアレイ導波路4の入力端まで、第1のスラブ導波路3内を伝搬する光の焦点距離Lf’が若干変化する。
【0075】
しかしながら、現在用いられているアレイ導波路型回折格子における第1のスラブ導波路3の焦点距離は数mmのオーダーであり、一方、本実施形態例において、アレイ導波路型回折格子の光透過中心波長シフトのために移動する光入力導波路2の出力端20の位置移動量は、数μm〜数10μmのオーダーであり、第1のスラブ導波路3の焦点距離に比べて非常に小さい。そのため、実質的には上記焦点距離の変化は無視してしまっても何も差し支えないと考えられ、本実施形態例において、上記のような波長シフト動作が行なわれる。
【0076】
本実施形態例は、上記作用により、ステッピングモータ15の駆動によって導波路形成部10aを切断面8に沿って、X方向にスライド移動させることによって、上記のように、全出力導波路6から出力する出力光波長を予め定められた設定シフト量だけ同時にシフトさせることができる。
【0077】
なお、設定シフト量は、1つでもよいし複数でもよい。すなわち、例えば前記ステッピングモータ15の制御装置に複数の設定シフト量を与えておき、必要に応じて設定シフト量を可変すれば、全光出力導波路6から出力する出力波長を複数のパターンに切り換えることができる。
【0078】
したがって、本実施形態例によれば、この設定シフト量を適宜設定することにより、光モジュール40を光スイッチやアドドロップモジュール等の光システムに適用可能な光モジュールとすることができる。
【0079】
なお、上記実施形態例の具体例として、以下に示す作製方法により上記光モジュール40を作製し、上記効果を確認することができた。以下、その作製方法を説明する。まず、従来の一般的な作製方法によってアレイ導波路型回折格子を作製し、その後、第1のスラブ導波路3を通る光の経路を横切るように、ダイシングソーを用いて切断面8を形成した(切断面8で第1のスラブ導波路3を含む導波路形成部10aとその下の基板1を切断した)。
【0080】
また、導波路形成部10aの端面と導波路形成部10bの端面には、これらの端面における反射を防ぐために前記マッチンググリースを塗布した。なお、切断面8を、切断や研磨によって、基板1の面に垂直な面に対して約8度斜めに傾いた角度とすると、導波路形成部10aの端面と導波路形成部10bの端面における反射を防ぎやすい。
【0081】
次に、導波路形成部10b側の基板1をエポキシ樹脂等の接着剤を介してベース9に固定した。また、導波路形成部10a側はベース9の上に配置した。なお、基板1の裏面側に、切断面8と直交する方向のV字形溝を形成し、このV溝の形成位置に対応させてベース9の表面側にもV字形溝を形成した。そして、これらのV字形溝同士を対向させることにより形成される菱形形状の溝に例えば光ファイバ等の位置決め部材を嵌合することにより、導波路形成部10aのステッピングモータ15によるスライド移動時に、導波路形成部10aが切断面8に対して斜めに移動したりせず、導波路形成部10aと10bの端面間隔を約5μmに維持できるようにした。
【0082】
なお、前記の如く、導波路形成部10aのスライド移動量は、数μm〜数十μmであるため、上記V字形溝に位置決め部材を嵌合した状態で、スライド移動が支障なく行なわれる。
【0083】
そして、上記構成のアレイ導波路型回折格子を光ファイバ配列具21,23と共に、筐体内に収容し、かつ、筐体内にはペルチェ素子30とサーミスタ31も収容した。
【0084】
図3には、本発明に係る光モジュールの第2実施形態例が平面図により示されている。本第2実施形態例は上記第1実施形態例とほぼ同様に構成されており、本第2実施形態例が上記第1実施形態例と異なる特徴的なことは、スライド移動機構を、導波路形成領域10と線膨張係数が異なる(ここでは導波路形成領域10よりも線膨張係数が大きい)スライド部材と、ペルチェ素子30を備えた温度調整機構とを有する構成としたことである。
【0085】
上記スライド部材は、金属等の高熱膨張係数部材7により形成されており、導波路形成領域10aの一端側が接着剤13を介して高熱膨張係数部材7に固定されている。導波路形成領域10aの他端側は係止部材14に係止されており、この係止部材14を設けることにより、本第2実施形態例では、上記第1実施形態例に設けた導波路形成部10a側をベース9側に押し付ける押し付けばねは省略している。
【0086】
前記係止部材14は、導波路形成部10aの上面に沿って設けられた上板部14aと導波路形成領域10aの側面に沿って設けられた側板部(図示されていない)とを有するL字形状の部材であり、側板部が固定部12でベース9に固定されている。係止部材14の上板部の内壁と導波路形成領域10aの上面とは当接しており、導波路形成領域10aのスライド移動時に、導波路形成領域10aがベース9に対して上方側(XY平面に垂直なZ軸方向)に変位しないようになっている。また、側板部の内壁と導波路形成領域10aの側面とは間隔を介しており、導波路形成領域10aのスライド移動が支障なく行なえるようになっている。
【0087】
本第2実施形態例においては、ペルチェ素子30によって、筐体内の温度を積極的に可変し、それに伴って高熱膨張係数部材7を導波路形成領域10よりも大きく伸縮させることにより、導波路形成領域10aを切断面8に沿って、導波路形成領域10bに対してスライド移動させる。
【0088】
そうすると、このスライド移動によって、上記第1実施形態例と同様に、全出力導波路6から出力する出力光波長を予め定められた設定シフト量だけ同時にシフトさせることができ、同様の効果を奏することができる。
【0089】
図4には、本発明に係る光モジュールを用いた光システムの第1実施形態例の要部構成図が示されている。本実施形態例の光システムは、光モジュール50と光モジュールからの出力光を合波して出力する光合波器60とを有している。
【0090】
光モジュール50は、図7に示すようなアレイ導波路型回折格子を有しており、このアレイ導波路型回折格子は、上記第1実施形態例の光モジュール40に適用されたアレイ導波路型回折格子とほぼ同様に構成されているが、光モジュール50を構成するアレイ導波路型回折格子は、5本の光入力導波路2と17本の光出力導波路6を有しており、切断面8は第1のスラブ導波路3を通る光の経路を斜めに横切る面と成している。
【0091】
また、同図には図示されていないが、光モジュール50も、上記第1実施形態例の光モジュール40と同様の機能を有する波長シフト手段や筐体を有しており、光モジュール50の要部構成および機能は上記第1実施形態例の光モジュール40の要部構成および機能と同様である。
【0092】
さらに、本実施形態例の光システムは、光合波器60としても、図7と同様の構成を有するアレイ導波路型回折格子と、上記波長シフト手段を備えた光モジュールを適用して形成している。アレイ導波路型回折格子は、前記の如く、光の相反性を利用した回路であり、例えば図11の(b)に示したように、光出力導波路6側から互いに異なる波長の光を入射させた場合、これらの波長の光を合波して光入力導波路2から出力する機能を有しているため、光出力導波路6側を光入力側とする光合波器として適用することができる。
【0093】
また、アレイ導波路型回折格子に波長シフト手段を設けると、アレイ導波路型回折格子によって合波する光の波長を設定シフト量ずつ同時にシフトさせることができる。
【0094】
図7に示すように、光モジュール50の5本の光入力導波路2のうち、図の最上部の光入力導波路2の入力端部は、信号伝送される波長多重光とは異なる波長の監視光を入力するための監視光入力部19と成している。
【0095】
また、光モジュール50の複数(17個)の出力ポートa〜qのうち、出力ポートqは、前記波長シフト手段による出力波長シフトが行なわれない波長シフトの定位置では光出力を行なわず、かつ、前記波長シフト手段により前記波長シフトの定位置からの出力波長シフトが行なわれたときに光出力を行なう予備出力ポートと成している。また、出力ポートpは、前記監視光の出力ポートと成している。
【0096】
本実施形態例の光システムは、図4に示すように、光モジュール50の複数(17個)の出力ポートa〜qのうち、出力ポートa(図の下から2番目の出力ポート)にドロップポート26を接続し、出力ポートpを監視光のモニタポート29に接続し、残りの出力ポートb〜oを光合波器60の光入力側(ポートb’〜o’)に接続して形成されている。また、光合波器60の光入力側(ポートa’)には1つのアドポート27が接続されており、光モジュール50の出力ポートqと光合波器60のポートq’とが接続されている。
【0097】
本実施形態例の光システムは以上のように構成されており、このシステムにおいて、図4の(a)に示すように、波長間隔約0.8nmで中心波長λ1(1535nm)〜λ15(1546.2nm)の15波長の多重光を光モジュール50の光入力部17に入力し、監視光入力部19に波長λ17(1547.8nm)の監視光を入力すると、波長多重光は波長ごとに分波されて、各出力ポートa〜oから出力され、監視光は出力ポートpから出力される。
【0098】
そうすると、出力ポートaから出力する波長λ1の光は、ドロップポート26からドロップされ、出力ポートpから出力する波長λ17の光はモニタポート29から出力され、モニタされる。また、各出力ポートb〜oから出力する波長λ2〜λ15の光は、光合波器60により合波されて出力される。なお、光合波器60には、アドポート27から波長λ1の光が入射されるため、この光も光合波器60により合波され、光合波器60の出力側からは、波長λ1〜波長λ15の多重光が出力される。
【0099】
なお、図6の(a)に、このときの光モジュール50からの出力光のうち、波長λ1、λ2、λ15の各光の出力強度と出力ポートq,a,b,n,oの関係を模式的に示した。
【0100】
そして、光モジュール50の波長シフト手段(具体的にはステッピングモータ15)を作動させて、光モジュール50を形成するアレイ導波路型回折格子の導波路形成部10aをスライド移動していくと、上記出力光波長がシフトしていくので、各出力ポートa〜pから出力される光の強度が弱まっていく。この状態は、モニタポート29からのモニタ出力により検出される。
【0101】
そして、導波路形成部10aを、波長シフト手段によるシフトが行われない定位置から図1のX方向に10μmスライド移動させると、各出力ポートa〜pから出力される波長が+0.4nmずつ長波長側に移動した状態となり、図6の(b)に示すように、この各波長においては、光入力部17から入力された光の強度はノイズレベルとなるので、図4の(b)に示すように、各出力ポートa〜pからの光出力がオフする。
【0102】
したがって、光モジュール50において設定波長を0.4nmとすると、全出力ポートa〜qからの出力を一括してオフする出力オフモードの機能を果たすことができる。
【0103】
また、本実施形態例において、光合波器60は光モジュール50と同様に構成されているため、光合波器60も光モジュール50と同様に動作させる(すなわち、波長シフト手段による動作を光モジュール50と同様に行なうと)、合波する光の波長を設定シフト量(この場合+0.4nm)ずつ長波長側にシフトさせることになるため、アドポート27から入射される波長λ1の光は光合波器60の出力側から出力されない。
【0104】
そして、光モジュール50のステッピングモータ15をさらに作動させて、光モジュール50を形成するアレイ導波路型回折格子の導波路形成部10aをスライド移動していき、導波路形成部10aを前記定位置から図1のX方向に20μmスライド移動させると、各出力ポートa〜pから出力される波長が+0.8nmずつ長波長側に移動した状態となる。なお、この状態を模式的に示すと、図6の(c)に示す状態となる。
【0105】
そうすると、図5に示すように、光モジュール50の各出力ポートa〜nから出力する出力波長の中心波長は、λ2、λ3、・・・λ15となり(前記波長多重光の中に中心波長が(λ15+0.8)nmの波長の光はないため、出力ポートoからの出力は行われない)、予備出力ポートqからは、波長λ1の光が出力される。
【0106】
そして、これらの光モジュール50からの出力光のうち、波長λ2の光がドロップポート26からドロップされ、その他の波長λ1、λ3〜λ15の光は光合波器60に入射する。
【0107】
また、このとき、光合波器60も光モジュール50と同様に動作させて導波路形成部10aを図のX方向に20μmスライド移動させると、光合波器60によって合波する光波長も一括して0.8nm長波長側の波長となるため、アドポート27から入力される波長λ2の光を含む波長λ1〜波長λ15の光が光合波器60によって合波されて波長多重出力される。
【0108】
本実施形態例の光システムによれば、例えば波長λ1の信号光に事故などでエラーが生じた場合に、λ2をドロップポート26から出力して用いることができる。また、光モジュール50に予備出力ポートqを形成し、それに対応するポートq’を光合波器60に形成し、これらのポートq、q’を接続しているので、光モジュール50および光合波器を波長シフトの定位置からシフトさせたときにも波長λ1の光の伝送も行なえる。
【0109】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の態様を採り得る。例えば、上記光モジュールの第1実施形態例では、スライド移動機構としてステッピングモータ15を設けたが、ステッピングモータ15の代わりに、圧電素子を設けてスライド移動機構を形成することもできる。この場合は、圧電素子が、電力により前記導波路形成領域10aをスライド移動させるスライド駆動手段として機能する。
【0110】
さらに、上記光モジュールの各実施形態例において、アレイ導波路型回折格子の温度を調整する温度調整機構としてペルチェ素子30を設けたが、ペルチェ素子30の代わりにヒータ素子を設けてもよいし、ペルチェ素子30とヒータ素子の両方を設けてもよい。
【0111】
さらに、本発明の光モジュールにおいて、光入力部の個数や出力ポートの個数や分波波長間隔等の詳細な構成は特に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。
【0112】
さらに、上記光システムの実施形態例は、波長λ1またはλ2の、1つの波長の光をアド/ドロップするシステムとしたが、アド/ドロップする光の波長数を複数にしてもよい。また、予備のポートや監視光のモニタポートは省略することもできる。
【0113】
さらに、上記光システムの実施形態例は、光合波器60として光モジュール50と同様の構成の光モジュールを適用したが、光合波器60として例えばスターカプラなどを適用することもできる。
【0114】
さらに、例えば図8に示すように、上記第1または第2実施形態例の光モジュールと同様の要部構成を有する光モジュール55の出力ポートに、第1のパスポートAと第2のパスポートBを1ポートおきに接続し、波長シフト手段による波長シフトによって予め設定した設定波長光の出力パスポートを可変する(同図の(a)に示すようにパスポートAから出力したり、同図の(b)に示すようにパスポートBから出力したりする)こともできる。
【0115】
また、図8では光モジュールに2つのパスポートとを接続したが、光モジュール55に3以上のパスポートを接続して光システムを構成してもよい。この場合は、第1から第N(Nは3以上の整数)のパスポートを、(N−1)ポートおきに接続し、波長シフト手段による波長シフトによって予め設定した設定波長光の出力パスポートを可変する光システムを構成することができる。
【0116】
さらに、本発明の光システムの別の例として、全出力ポートからの出力を一括してオフする出力オフモードの機能が付加されている光モジュールを用い、該光モジュールの出力オフモードの動作の有無によって出力光波長を一括してオンオフする光スイッチを構成することもできる。
【0117】
なお、出力オフモードの機能は、例えば光モジュール50や光モジュール40において、設定シフト波長を0.4nmにすることによって、光モジュール40,50に付加することができ、同様に、複数の出力ポートから出力する出力波長が等波長間隔ごとに異なる波長の光モジュールにおいて、全出力ポートからの出力を一括して前記等波長間隔でない波長分のみシフトさせることにより付加することができる。
【0118】
さらに、本発明の光システムのさらに別の例として、図9に示すように、光モジュール55の1つの出力ポートにのみ出力用光ファイバを接続し、光入力部17から1つの波長λ1を入力し、波長シフト手段による出力波長シフトが行なわれない波長シフトの定位置で、波長λ1の光出力を行い、かつ、前記波長シフト手段により前記波長シフトの定位置からの出力波長シフトが行なわれたときに光出力を停止する光スイッチを構成することもできる。
【0119】
さらに、本発明の光モジュールを用いて、波長モニタを構成することもできる。この場合、例えば図10に示すように、光モジュール50の出力ポート数に対応したフォトダイオードを1次元アレイ状に配設したPDアレイ36を設けて各出力ポートa〜pにフォトダイオードを接続する。
【0120】
そして、光モジュール50の波長シフト手段によってシフトさせる設定シフト量を、各出力ポートa〜pから出力される出力波長の間隔よりも小さい値(例えば波長間隔の10分の1程度の値)に設定し、波長シフト手段による波長シフトを複数回行ないながら、その都度、各出力ポートa〜pに接続されているフォトダイオードにより対応する出力ポートa〜pから出力される光の強度を測定していくと、全出力ポートa〜pからの出力光強度が波長シフトに対応して段階的に変化していくので、この強度検出によって、各出力ポートa〜pから出力する光の波形を一括して検出することができる。
【0121】
【発明の効果】
本発明の光システムを構成する光モジュールによれば、複数の出力ポートからは、それぞれ互いに異なる波長の光が出力されるが、これらの全出力ポートから出力する出力光波長を、波長シフト手段によって、長波長側と短波長側のいずれか一方に予め定められた設定シフト量だけ同時にシフトさせることができる。したがって、この設定シフト量を適宜設定することにより、光モジュールを光スイッチの光システムに好適な光モジュールとすることができる。
【0123】
また、本発明は、複数の出力ポートから出力する出力波長は等波長間隔ごとに異なる波長と成して、出力オフモードの機能を付加した光モジュールとしたので、例えばこの出力オフモードの動作の有無によって光出力動作をオンオフする光スイッチを構成することができる。
【0124】
さらに、本発明の光システムを構成する光モジュールは、アレイ導波路型回折格子を有して構成される光モジュールとしたので、アレイ導波路型回折格子の光分波特性を用いて、上記効果を奏する正確な光モジュールを有する光システムを構成することができる。
【0125】
さらに、本発明の光システムを構成する光モジュールは、アレイ導波路型回折格子の第1のスラブ導波路と第2のスラブ導波路の少なくとも一方をスラブ導波路を通る光の経路と交わる切断面で切断分離し、切断面に沿って導波路形成領域をスライド移動させるスライド移動機構を設け、該スライド移動機構を波長シフト手段とした光モジュールとしたので、スライド移動機構によって、アレイ導波路型回折格子の出力波長をシフトさせて上記効果を奏する優れた光システムの光モジュールを構成することができる。
【0135】
さらに、出力オフモードを備えた光モジュールを有し、該光モジュールの出力オフモードの動作の有無によって出力光波長を一括してオンオフする光スイッチとした本発明の光システムによれば、光スイッチの動作切り換えを非常に的確に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光モジュールの第1実施形態例を示す要部構成図である。
【図2】アレイ導波路型回折格子における光透過中心波長シフトと光入力導波路および光出力導波路の位置との関係を示す説明図である。
【図3】本発明に係る光モジュールの第2実施形態例を示す要部構成図である。
【図4】本発明に係る光モジュールを用いた光システムの一実施形態例をその動作と共に模式的に示す要部構成図である。
【図5】図4に示した光システムにおける波長切り換え後の動作状態を示す説明図である。
【図6】図4に示した光システムに適用されている光モジュールの出力波長と出力ポートとの関係を模式的に示す説明図である。
【図7】図4に示した光システムに適用されている光モジュールを示す要部構成図である。
【図8】本発明に係る光システムの別の実施形態例を示す説明図である。
【図9】本発明に係る光システムのさらに別の実施形態例を示す説明図である。
【図10】本発明に係る光システムのさらにまた別の実施形態例を示す説明図である。
【図11】アレイ導波路型回折格子の構成例をその動作と共に示す説明図である。
【図12】アレイ導波路型回折格子の1つの光出力導波路から出力される光の光透過特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2 光入力導波路
3 第1のスラブ導波路
3a,3b 分離スラブ導波路
4 アレイ導波路
5 第2のスラブ導波路
6 光出力導波路
7 高熱膨張係数部材
8 切断面
9 ベース
10,10a,10b 導波路形成領域
17 光入力部
40,50,51,55 光モジュール
60 光合波器
a〜q 出力ポート
Claims (1)
- 1本または2本以上の並設された光入力導波路の出射側に第1のスラブ導波路が接続され、該第1のスラブ導波路の出射側には該第1のスラブ導波路から導出された光を伝搬する互いに異なる長さの複数の並設されたアレイ導波路が接続され、該複数のアレイ導波路の出射側には第2のスラブ導波路が接続され、該第2のスラブ導波路の出射側には複数の並設された光出力導波路が接続されている構成を備えていて、温度調整機構により温度が調整されるアレイ導波路型回折格子を有し、前記光入力導波路の入力端部が光入力部と成し、前記第1と第2のスラブ導波路と前記並設アレイ導波路が光分波部と成し、前記光出力導波路の出力端部が出力ポートと成し、前記第1のスラブ導波路と第2のスラブ導波路の少なくとも一方がスラブ導波路を通る光の経路と交わる切断面で切断分離されて分離スラブ導波路と成し、前記第1と第2のスラブ導波路と光入力導波路とアレイ導波路と光出力導波路を有する導波路形成領域が一方側の分離スラブ導波路を含む第1の導波路形成領域と他方側の分離スラブ導波路を含む第2の導波路形成領域とに分離されており、該第2の導波路形成領域と前記第1の導波路形成領域の少なくとも一方側を前記切断面に沿ってスライド移動させることにより前記出力導波路から出力する出力波長をシフトさせるスライド移動機構を設け、該スライド移動機構を波長シフト手段とし、前記光分波部は前記光入力部から入力される波長多重光を互いに異なる波長の光に分波し、該光分波部で分波した互いに異なる波長の光を異なる出力ポートから出力する構成と成し、これらの全出力ポートから出力する出力光波長を長波長側と短波長側のいずれか一方に予め定められた設定シフト量だけ同時に前記波長シフト手段によりシフトさせて全出力ポートから出力する光波長を一括的に切り換える機能を備え、さらに、複数のそれぞれの出力ポートから出力する各信号波長の間隔は等波長間隔ずつ異にして複数のそれぞれの出力ポートから出力する波長は互いに異なる波長と成し、前記波長シフト手段により前記第2の導波路形成領域と前記第1の導波路形成領域の少なくとも一方側を前記切断面に沿ってスライド移動させて前記複数のそれぞれの出力ポートでの波長が各信号波長からずれたノイズレベルとなる波長へシフトさせて前記全出力ポートからの出力を一括してオフにする出力オフモードの機能を付加したことを特徴とする光モジュール;を有し、該光モジュールの出力オフモードの動作の有無によって出力光波長を一括してオンオフする光スイッチとしたことを特徴とする光モジュールを用いた光システム。
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