JP2001214563A - 建築構造建材における重力撓み補正方法 - Google Patents

建築構造建材における重力撓み補正方法

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JP2001214563A
JP2001214563A JP2000023975A JP2000023975A JP2001214563A JP 2001214563 A JP2001214563 A JP 2001214563A JP 2000023975 A JP2000023975 A JP 2000023975A JP 2000023975 A JP2000023975 A JP 2000023975A JP 2001214563 A JP2001214563 A JP 2001214563A
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Kazuo Iwane
和郎 岩根
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IWANE KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 梁・スラブ等の建材の撓みによって発生する
曲げモーメントを解消し、建材を支える柱材・壁材等の
鉛直方向部材の負担を軽減する。 【解決手段】 自重・積載荷重等による建材1の撓み方
向とは逆方向に自体を僅かに湾曲状に形成しておき且つ
当該建材1の内部にプレストレスによる緊張力Tを付加
するよう湾曲方向に沿って張力筋材(2)を配する。建
材1は、自体の撓み変形による外側へ向かう引張方向モ
ーメントと、導入プレストレスによる内側に向かう圧縮
方向モーメントとが互いに打ち消し合うように両方向モ
ーメントをバランスさせることで建材1自体の合成モー
メントを限りなくゼロに近くなるように形成する。建材
1には水平筋材を鉛直吊り筋材によって吊り上げる形式
の吊り筋構造体を含むものとする。水平筋材は張力筋材
(2)を兼用可能とする。建材1は屋根構造・床構造・
橋梁構造・ダム構造等に使用されるコンクリート・鉄骨
・木造等により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば屋根構造・
床構造・橋梁構造・ダム構造等のコンクリート・鉄骨・
木造等による建材、例えば梁・スラブ等の横架材等に利
用される建築構造建材における重力撓み補正方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】一般に屋根構造・床構造・橋梁構造・ダ
ム構造等の建築構造物は、自重・積載荷重・地震力・風
圧力等の荷重・外力と、地盤の支持力・梁の支点等の支
持力・反力と、圧縮・引張等の軸方向力・剪断力・曲げ
モーメント等の内力・応力とが夫々釣り合って安定して
いる。例えば等分布荷重wを受ける単純梁ラーメンによ
れば、図12に示すように、長さがlの単純梁の支点
(始点)に生じる垂直反力をVとし、全荷重wxが梁の
中央部に集中して架かるものとすれば、支点から切断点
Sまでの長さをxとしてモーメント反力はwx×x/2
となり、等分布荷重を受ける単純梁の曲げモーメント
は、M=V×x−wx×x/2となる。また従来におけ
る屋根構造・床構造・橋梁構造・ダム構造等において
は、図11に示すように、梁・スラブ等の横架用建材1
01の撓み変形によって発生する曲げモーメントMは当
該横架用建材101を支える柱材・壁材等の鉛直方向部
材103に曲げ応力を発生させるという複雑な力学的構
造となっている。
【0003】具体的に屋根構造における横架用建材10
1として例えばコンクリート製の単純梁によるもので
は、図11に示すように、横架用建材101が下方向に
撓んだ際には曲げ応力すなわちコンクリート中央の中立
軸を境にして湾曲した凹側では圧縮応力が働き、凸側で
は引張応力が働くため、柱材・壁材等の鉛直方向部材1
03による横架用建材101の支持箇所には引張方向モ
ーメントが作用し、当該鉛直方向部材103にとって有
害な曲げの原因となる水平応力Hが発生するものとな
る。このときコンクリート自体は圧縮応力にとっては強
靭であるが引張応力にとっては脆くて大変軟弱である物
性を有している。このためにコンクリート製の単純梁で
は圧縮方向モーメントの方が引張方向モーメントよりも
絶対的に有利であることが知られており、これを解決す
るために従来のRC構造は、コンクリートによる圧縮力
負担と鉄筋による引張力負担により応力バランスをと
り、断面増大や帯筋、あばら筋等の増加によって座屈や
破壊に対応してきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の如
き鉄筋による張力の合力で横架用建材101自体の座
屈、破壊を防止するだけでは、横架用建材101の撓み
と張力鉄筋の夫々の内側に向かうモーメントが同時に発
生してしまうため、横架用建材101を支えるための柱
材・壁材等の鉛直方向部材103に対しクラックを発生
させてしまう程の諸に強い撓み応力を受けてしまう虞れ
があり、このような曲げモーメントに対する対応策とし
て例えば部材断面の増大・強度確保等のためのコストア
ップが避けられないものとなる等の問題点を有してい
た。しかも従来の鉄筋張力による補正方式は原理的にみ
て鉄筋の撓みによるバネ復元力を利用しているのが実情
であり、張力鉄筋を完全に水平に張設することは不可能
であった。
【0005】そこで本発明は叙上のような従来存した諸
事情に鑑み創出されたもので、例えば梁・スラブ等の建
材の撓みによって発生する曲げモーメントを極力解消さ
せる方向に補正が可能となるようにすることで、建材自
体と共に柱材・壁材等の鉛直方向部材の負担を軽減する
ことができ、当該両部材の断面を小さくできて高強度で
且つ経済性の高い構造を得ることができる建築構造建材
における重力撓み補正方法を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ため、本発明にあっては、自重・積載荷重等による建材
1の撓み方向とは逆方向に自体を僅かに湾曲状に形成さ
せておき且つ当該建材1の内部にプレストレスによる緊
張力Tを付加させるよう湾曲方向に沿って張力筋材
(2)を配することにより建材1の撓み変形によって発
生する曲げモーメントMを軽減する状態に補正させるも
のである。建材1は、自体の撓み変形による外側へ向か
う引張方向モーメントと、プレストレスによる内側に向
かう圧縮方向モーメントとが互いに打ち消し合うように
両方向モーメントをバランスさせることで建材1自体の
合成モーメントを例えば略ゼロに近くなるよう減少させ
た状態に形成することができる。建材1には水平筋材
(12)を鉛直吊り筋材(13)によって吊り上げる形
式の吊り筋構造体11を含むものとしたり、水平筋材
(12)は前記張力筋材(2)を兼用したりすることも
できる。建材1は屋根構造・床構造・橋梁構造・ダム構
造等に使用されるコンクリート・鉄骨・木造等により形
成されるものとすることができる。
【0007】以上のように構成された本発明に係る建築
構造建材における重力撓み補正方法にあって、湾曲型の
建材1は従来の単純梁ラーメン構造に対し、支点に発生
する水平反力Hによるモーメント分だけ部材の曲げモー
メントMを軽減させると共に、プレストレスによる緊張
力Tを導入させた張力筋材(2)は、建材1の凹面側内
部に張力を付与させ、曲げ応力に抵抗させることによっ
て建材1の曲げモーメントMをゼロまたはゼロに近い値
まで補正可能にさせる。したがって、柱材・壁材等の鉛
直方向部材3の負担を荷重によるスラスト方向力と、外
力として例えば地震力・風圧力等の瞬間的に側面から加
わる曲げ応力との負担のみとさせる。また、建材1の撓
みによる水平方向モーメントをプレストレスによる張力
筋材(2)の緊張力Tで打ち消すことで建材1自体の合
成モーメントをバランスさせる。水平筋材(12)を鉛
直吊り筋材(13)によって吊り上げる形式の吊り筋構
造体11は、建材1の全負荷を水平方向張力のみで支え
ることなく負荷を分散させ、長大な張力筋材(2)に与
えるプレストレスによる負担を緩和させる。建材1は、
屋根構造・床構造・橋梁構造・ダム構造等に使用される
コンクリート・鉄骨・木造等により形成されるとによ
り、例えば単純ラーメン架構に適用する以外に、例えば
トラス構造の構成ブロック要素、あるいはアーチ構造・
ドーム構造等の構成ブロック要素として広範囲に利用可
能にさせる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明すると、図1、図2において示される第
1の実施の形態における符号1は、屋根構造・床構造・
橋梁構造・ダム構造等に使用されるコンクリート・鉄骨
・木造等により形成される建材であり、本実施の形態で
は建材1として例えばコンクリート製の湾曲型の屋根建
材構造に使用する例えば梁・スラブ等の横架材を例にし
て説明する。尚、コンクリート製以外の鉄骨製・木造製
等の例えば床構造・橋梁構造・ダム構造等の建材1にお
いても同様に本発明に係る重力撓み補正方法を適用する
ことが可能であることは勿論である。
【0009】湾曲型建材構造は、例えば予めアーチ状に
湾曲形成した成型用型枠内の湾曲凹面側に湾曲方向に沿
って張力筋材として例えば直線状の複数の張力鉄筋2を
配した後に、成型用型枠内にコンクリートを打設する等
の方式により、図1に示すように、自重・積載荷重等に
よる建材1の撓み変位量に相当する程度の大きさだけ撓
み方向とは逆方向に自体を若干湾曲状に形成させ且つ当
該建材1の湾曲方向に沿って凹面側内部に直線状の張力
鉄筋2を配した構造とし、この張力鉄筋2により建材1
内部にプレストレスによる緊張力(張力鉄筋へのプレテ
ンション)Tを付加させることで建材1の自重・積載荷
重等による撓み変形によって発生する曲げモーメントM
を軽減する状態に補正させるものとしてある。このとき
張力鉄筋2にプレストレスによる緊張力Tを与える工法
としては周知のプレテンション工法あるいはポストテン
ション工法のいずれでも良い。また、工場でコンクリー
トの部材を作っておき、現場で組み立て、プレストレス
を導入して安定化させる所謂プレキャストプレストレス
工法を採用しても良い。そして、建材1の下面両端部を
例えばコンクリート・鉄骨・木造等による柱材・壁材等
の鉛直方向部材3の上に支持固定させることで屋根構造
物が形成されるようにしてある。
【0010】尚、湾曲型建材構造は、構造上アーチ型を
有するものとしているが、見かけ上の形状を略水平にす
ることが可能である。また、屋根建材構造を三角屋根形
状としたり曲率の大きなアーチ屋根形状としたりするこ
とにより水平な張力鉄筋2および後述する吊り筋構造体
11の強度を低く設定することが可能となるようにして
ある。
【0011】次に以上のように構成された実施の形態の
重力撓み補正方法による曲げモーメントの構造力学的関
係について説明するに、一般に直線型建材構造として例
えば従来の等分布荷重を受ける単純梁ラーメン構造によ
れば、図12に示すように、長さがlの単純梁の支点
(始点)に生じる垂直反力をVとし、全荷重wxが梁の
切断点位置に集中して架かるものとすれば、支点から切
断点位置Sまでの長さをxとしてモーメント反力はwx
×x/2となり、等分布荷重を受ける単純梁の曲げモー
メントMは、M=V×x−wx×x/2となる。これに
対して本実施の形態におけるような等分布荷重を受ける
湾曲型建材構造の曲げモーメントMは、図2に示すよう
に、長さがlである建材1において、垂直反力をV(柱
の軸方向力)に加えて水平反力Hが支点に発生している
ため、支点位置と支点位置よりも上方に浮いた中央位置
との間の高さをyとすればM=V×x−wx×x/2−
H×yとなる。すなわち、湾曲型建材構造の曲げモーメ
ントMでは、H×yの値だけ常に軽減されている。この
ように同一条件下においては湾曲型建材構造は従来の単
純梁ラーメン構造に対し、支点に発生する水平反力Hに
よるモーメント分だけ部材の曲げモーメントMが軽減さ
れている。
【0012】また、建材1の湾曲方向に沿って凹面側内
部に配し、プレテンションあるいはポストテンション等
のプレストレスによる緊張力Tを導入させた張力鉄筋2
は、建材1の凹面側内部に張力を付与し、曲げ応力に抵
抗させることによって建材1の曲げモーメントMをゼロ
またはゼロに近い値まで補正するものとなる。このこと
により建材1に発生する応力を当該建材1の湾曲方向に
沿ってのスラスト力(梁の軸力)Nのみとすることがで
き、水平方向に応力を生じさせずに済むものとなること
から、柱材・壁材等の鉛直方向部材3に対しても曲げ応
力を生じさせることがなくスラスト方向力のみとするこ
とができる。したがって鉛直方向部材3は荷重によるス
ラスト力Vと共に、外力として例えば地震力・風圧力等
の瞬間的に側面から加わる曲げ応力を負担するだけで良
いこととなり、鉛直方向部材3自体への負担を軽減でき
るものとなる。
【0013】また、図3乃至図6には第2の実施の形態
が示されており、この第2の実施の形態にあっては建材
1に対し、水平筋材を複数の鉛直吊り筋材によって吊り
上げる形式の吊り筋構造体11を前記張力筋材2と併用
して配置させてある。すなわち、張力筋材2と水平(吊
り)鉄筋12とを夫々独立して導入するものとしたので
あり、図5に示すように、張力鉄筋2の上側には、例え
ば両側が緩やかな傾斜を有する略V字型の水平鉄筋12
を配し、この水平鉄筋12から略等間隔毎に鉛直鉄筋1
3の下端を、例えばアーク溶接・ジョイント金具による
連結・針金による縛結等の方式で交差結束し、鉛直鉄筋
13の上端を建材1の湾曲凸側内部に配した通常鉄筋1
4に例えばアーク溶接・ジョイント金具による連結・針
金による縛結等の方式で交差結束してある。また、前記
張力筋材2の両端は建材1の側面から突出させてあり、
建材1の両端を柱材・壁材等の左右の鉛直方向部材3の
上端に対向形成した段部15に夫々掛架させた状態にし
て、ボルト等の定着具16により張力筋材2の両端を柱
材・壁材等の鉛直方向部材3上端に固定してある。
【0014】また本実施の形態の他の例として、図6に
示すように建材1の内部において鉛直鉄筋13が通る被
覆用コンクリート18を残してこの周囲に空洞部17を
設けることにより建材1自体を軽量にすると共に、鉛直
方向部材3の段部15に夫々掛架される建材1両端内部
には略五角形板状のアンカー部19を設け、このアンカ
ー部19に対し、通常鉄筋14、水平鉄筋12、張力鉄
筋2夫々の両端部を溶接あるいはボルト等の定着具16
により固定してある。これにより建材1内部の鉛直鉄筋
13自体に架かる応力は通常鉄筋14、水平鉄筋12、
張力鉄筋2夫々に分散されることとなり、張力鉄筋2へ
の負担の軽減に加えてアンカー部19への集中負荷が軽
減されるようにしてある。
【0015】すなわち図3に示すように、水平鉄筋12
を鉛直鉄筋13によって吊り上げることで水平鉄筋12
自体に緊張力Tを生じさせ、水平鉄筋12または張力鉄
筋2へ導入されるプレストレスの軽減を行ない、且つ図
4に示すように建材1の自重・荷重等による鉛直鉄筋1
3自体に架かる応力を水平鉄筋12へ分解・分散させる
ことによって、張力鉄筋2が負担する応力を軽減させる
のである。
【0016】また、図7乃至図10には第3の実施の形
態が示されており、この第3の実施の形態にあっては第
2の実施の形態における吊り筋構造体11の水平筋材を
前記張力筋材に兼用させた構造としてある。すなわち図
7に示すように、建材1の湾曲凹側内部に両側が緩やか
な傾斜を有する略V字型の張力鉄筋兼水平吊り鉄筋22
を配し、この張力鉄筋兼水平吊り鉄筋22から略等間隔
毎に鉛直鉄筋13の下端を例えばアーク溶接・ジョイン
ト金具による連結・針金による縛結等の方式で交差結束
し、鉛直鉄筋13の上端を建材1の湾曲凸側内部に配し
た通常鉄筋14に例えばアーク溶接・ジョイント金具に
よる連結・針金による縛結等の方式で交差結束してあ
る。また、張力鉄筋兼水平吊り鉄筋22の両端は建材1
の側面から突出させてあり、建材1の両端を柱材・壁材
等の左右の鉛直方向部材3の上端に対向形成した段部1
5に夫々掛架させた状態にして、ボルト等の定着具16
により張力鉄筋兼水平吊り鉄筋22の両端を柱材・壁材
等の鉛直方向部材3上端に固定してある。
【0017】また本実施の形態における吊り筋構造体1
1は、個々の建造物の架設条件によって様々な形態が考
えられる。例えば、図8に示すように、張力鉄筋と水平
吊り鉄筋とを兼用させるものとしたのであり、建材1の
内部において鉛直鉄筋13が通る被覆用コンクリート1
8を残してこの周囲に空洞部17を設けることにより建
材1自体を軽量にすると共に、鉛直方向部材3の段部1
5に夫々掛架される建材1両端内部には略五角形板状の
アンカー部19を設け、このアンカー部19に対し、通
常鉄筋14、張力鉄筋兼水平吊り鉄筋22夫々の両端部
を溶接あるいはボルト等の定着具16により固定してあ
る。これにより建材1内部の鉛直鉄筋13自体に架かる
応力は通常鉄筋14、張力鉄筋兼水平吊り鉄筋22夫々
に分散されることとなり、両鉄筋22、14への負担の
軽減に加えてアンカー部19への集中負荷が軽減される
ようにしてある。
【0018】本実施の形態における吊り筋構造体11の
他の例としては、同様に張力鉄筋と水平吊り鉄筋とを兼
用させるものとしたのであり、図9に示すように、空洞
部17を介して上下に分かれた建材1のうち上側にある
建材1の両端部を厚肉に形成しておき、夫々の建材1内
部に通常鉄筋14を配し、この通常鉄筋14の両端部を
略五角形板状のアンカー部19に固定すると共に、張力
鉄筋兼水平吊り鉄筋22の両側を上方へ屈曲させて空洞
部17内を一旦貫挿させてからアンカー部19に固定し
てある。これにより建材1内部の鉛直鉄筋13自体に架
かる負担の軽減に加えてアンカー部19への集中負荷が
軽減されるようにしてある。
【0019】また、図10には第4の実施の形態が示さ
れており、この第10の実施の形態にあっては第2の実
施の形態における吊り筋構造体11の水平筋材を前記張
力筋材に兼用させると共に、建材1自体を薄肉に形成
し、且つ通常鉄筋14を上向きアーチ状に形成し、この
通常鉄筋14の両端部を張力鉄筋兼水平吊り鉄筋22の
両側部と共にアンカー部19に固定した構造としてあ
る。すなわち、建材1の湾曲凹側内部に例えば両側が緩
やかな傾斜を有する略V字型の張力鉄筋兼水平吊り鉄筋
22を配し、この張力鉄筋兼水平吊り鉄筋22から略等
間隔毎に鉛直鉄筋13の下端を例えばアーク溶接・ジョ
イント金具による連結・針金による縛結等の方式で交差
結束し、鉛直鉄筋13の上端を建材1の湾曲凸側内部に
配したアーチ状の通常鉄筋14に例えばアーク溶接・ジ
ョイント金具による連結・針金による縛結等の方式で交
差結束してある。そして、鉛直方向部材3の段部15に
夫々掛架される建材1両端内部には略五角形板状のアン
カー部19を設け、このアンカー部19に対し、通常鉄
筋14、張力鉄筋兼水平吊り鉄筋22夫々の両端部を溶
接あるいはボルト等の定着具16により固定してある。
【0020】尚、本実施の形態における自体の内部にプ
レストレスによる緊張力Tを付加させて成る湾曲型建材
構造の建材1を例えば単純ラーメン架構に適用する以外
に、例えばトラス構造の構成ブロック要素、あるいはア
ーチ構造・ドーム構造等の構成ブロック要素として広範
囲に利用しても良い。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、例
えば梁・スラブ等の建材1の撓みによって発生する曲げ
モーメントMを極力解消させる方向に補正が可能となる
ようにすることで、建材1自体と共に柱材・壁材等の鉛
直方向部材3の負担を軽減することができ、当該両部材
1,3の断面を小さくできて高強度で且つ経済性の高い
構造を得ることができる。さらに、従来方法では現場施
工しかできないのに比して本発明によれば建築部材とし
て工場で製造することも可能となり、コストも削減でき
る。
【0022】すなわちこれは本発明において、自重・積
載荷重等による建材1の撓み方向とは逆方向に自体を僅
かに湾曲状に形成させておき且つ当該建材1の内部にプ
レストレスによる緊張力Tを付加させるよう湾曲方向に
沿って張力筋材(2)を配することにより建材1の撓み
変形によって発生する曲げモーメントMを軽減する状態
に補正させるからであり、これによって建材1の曲げモ
ーメントMをゼロまたはゼロに近い値まで補正可能にさ
せることができ、柱材・壁材等の鉛直方向部材3の負担
を荷重によるスラスト方向力と、外力として例えば地震
力・風圧力等の瞬間的に側面から加わる曲げ応力との負
担のみとさせることができる。特に、従来方式では建材
1の撓み変位によるクラック発生が避けられなかった
が、本発明によれば曲げ応力を抑えることによって建材
1を含む全ての構造材の変形を最小に抑えることができ
るためクラックの発生防止には有効なものとなる。
【0023】建材1は、自体の撓み変形による外側へ向
かう引張方向モーメントと、プレストレスによる内側に
向かう圧縮方向モーメントとが互いに打ち消し合うよう
に両方向モーメントをバランスさせることで建材1自体
の合成モーメントを減少させるように形成されるので、
前記張力筋材(2)を略完全に水平に張設することが可
能となり、建材1の撓みの水平方向モーメントを張力筋
材(2)の緊張力Tで完全に打ち消すことができる。
【0024】建材1には水平筋材(12)を鉛直吊り筋
材(13)によって吊り上げる形式の吊り筋構造体11
を含むものとしたので、建材1の全負荷を水平方向張力
のみで支えることなく負荷を分散させられて、長大な張
力筋材(2)に与えるプレストレスによる負担を緩和さ
せることができ、例えば屋根構造の建材1を長いスパン
にまで延ばすことができる。
【0025】水平筋材(12)は前記張力筋材(2)を
兼用することにより、配筋部材数が少なくて済み、コス
トが削減できる利点がある。
【0026】建材1は屋根構造・床構造・橋梁構造・ダ
ム構造等に使用されるコンクリート・鉄骨・木造等によ
り形成されるものとしたので、例えば単純ラーメン架構
に適用する以外に、例えばトラス構造の構成ブロック要
素、あるいはアーチ構造・ドーム構造等の構成ブロック
要素として広範囲に利用可能である。例えば従来のアー
チ式橋梁構造において、本発明の重力撓み補正方法を採
用すれば、水平方向モーメントを張力水平柱で打ち消す
ことができ、結果として支柱の材料を減少させても、基
礎部分の水平方向の設計強度を十分に維持させることが
できる。また、屋根構造において屋根を支える壁面構造
は屋根重量を支えるだけの強度設計で済み、したがって
屋根重量による壁面の撓みを極端に減少できる。しかも
壁コンクリート・背筋等の壁面材料を減少させることが
でき、コストも削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施の形態における屋根構造
の概略を示す断面図である。
【図2】同じく曲げモーメントの発生原理を示す説明図
である。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態における吊り筋
構造体のプレストレス軽減状態を示す応力関係図であ
る。
【図4】同じく吊り筋構造体の荷重応力分解状態を示す
応力関係図である。
【図5】同じく吊り筋構造体を有する屋根構造の概略を
示す断面図である。
【図6】同じく他例の屋根構造の概略を示す断面図であ
る。
【図7】本発明に係る第3の実施の形態における張力筋
材兼用型の吊り筋構造体を有する屋根構造の概略を示す
断面図である。
【図8】同じく張力筋材兼用型の吊り筋構造体を有する
他例の屋根構造の概略を示す断面図である。
【図9】同じく張力筋材兼用型の吊り筋構造体を有する
他例の屋根構造の概略を示す断面図である。
【図10】本発明に係る第4の実施の形態における張力
筋材兼用型の吊り筋構造体を有する屋根構造の概略を示
す断面図である。
【図11】従来例における屋根構造の概略を示す断面図
である。
【図12】同じく曲げモーメントの発生原理を示す説明
図である。
【符号の説明】 1…建材 2…張力鉄筋 3…鉛直方向部材 11…吊り筋構造体 12…水平鉄筋 13…鉛直鉄筋 14…通常鉄筋 15…段部 16…定着具 17…空洞部 18…被覆用コ
ンクリート 19…アンカー部 101…横架用建材 103…鉛直方
向部材 M…曲げモーメント T…緊張力 V…垂直反力 H…水平反力 S…切断点位置 N…建材の湾曲方向に沿ってのスラスト力 l…建材・梁の全長 w…荷重 x…支点(始点)から切断点位置に至る長さ y…支点位置と切断点位置との間の高さ
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Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自重・積載荷重等による建材の撓み方向
    とは逆方向に自体を僅かに湾曲状に形成させておき且つ
    当該建材の内部にプレストレスによる緊張力を付加させ
    るよう湾曲方向に沿って張力筋材を配することにより建
    材の撓み変形によって発生する曲げモーメントを軽減す
    る状態に補正させることを特徴とした建築構造建材にお
    ける重力撓み補正方法。
  2. 【請求項2】 建材は、自体の撓み変形による外側へ向
    かう引張方向モーメントと、プレストレスによる内側に
    向かう圧縮方向モーメントとが互いに打ち消し合うよう
    に両方向モーメントをバランスさせることで建材自体の
    合成モーメントを減少させるように形成される請求項1
    記載の建築構造建材における重力撓み補正方法。
  3. 【請求項3】 建材には水平筋材を鉛直吊り筋材によっ
    て吊り上げる形式の吊り筋構造体を含む請求項1または
    2記載の建築構造建材における重力撓み補正方法。
  4. 【請求項4】 水平筋材は前記張力筋材を兼用している
    請求項3記載の建築構造建材における重力撓み補正方
    法。
  5. 【請求項5】 建材は屋根構造・床構造・橋梁構造・ダ
    ム構造等に使用されるコンクリート・鉄骨・木造等によ
    り形成されるものとしてある請求項1乃至4のいずれか
    記載の建築構造建材における重力撓み補正方法。
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