JP7397752B2 - コンクリート部材構造 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1には、梁部材の端部の塑性ヒンジの形成が想定される範囲を繊維補強セメント系材料で形成する構成が開示されている。
また、特許文献2には、スパンが短い短スパン梁の中央部又は全部を繊維補強セメント系材料により形成する構成が開示されている。
また、特許文献3には、柱と梁とが接合される柱梁仕口部を繊維補強コンクリートにより形成する構成が開示されている。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明は、コンクリート鉛直部材と、当該コンクリート鉛直部材を支持する基盤部と、を備えるコンクリート部材構造であって、前記コンクリート鉛直部材は、少なくとも鉛直脚部が繊維補強コンクリートにより形成され、前記鉛直脚部及び前記基盤部には、これらを跨ぐように第1の鉛直鋼材が埋設されていることを特徴とする。
このような構成によれば、少なくとも鉛直脚部を繊維補強コンクリートにより形成することで、コンクリート鉛直部材の損傷が低減され、かつ繊維によるコンクリートの引張特性改善効果により、コンクリート鉛直部材の鉛直脚部におけるコンクリートの引張特性が改善されて、曲げ耐力が向上する。
ここで、鉛直脚部とその下方の基盤部との間に打継面がある場合は、繊維コンクリートを形成する繊維は基盤部内には混入されておらず、コンクリート鉛直部材の曲げ耐力は接合面の曲げ耐力に支配され、繊維コンクリートにより向上された鉛直脚部の曲げ耐力が十分に発揮されない。
これに対し、上記の構成においては、鉛直脚部と基盤部にはこれらを跨ぐように第1の鉛直鋼材が埋設されている。この第1の鉛直鋼材により、コンクリート鉛直部材にひび割れや破壊が集中する危険断面位置が、コンクリート鉛直部材と基盤部との接合面から、鉛直脚部よりも上方に移動する。
また、第1の鉛直鋼材により、鉛直脚部において曲げ耐力に寄与する鋼材量が増加し、これによってもコンクリート鉛直部材の曲げ強度を増大させることができる。さらに、第1の鉛直鋼材が、鉛直脚部と基盤部とを跨ぐように埋設されているため、鉛直脚部と基盤部との接合面における曲げ耐力を向上させることができる。加えて、第1の鉛直鋼材を基盤部に定着させることで、第1の鉛直鋼材が、コンクリート鉛直部材が抜け出すような変形を生じるのを抑えることができる。
上記のような効果が相乗し、鉛直脚部に生じる引張力によるひび割れや破壊を抑制可能となる。
このような構成によれば、コンクリート鉛直部材の曲げ耐力を決定する危険断面位置が、鉛直部材と基盤部との接合面である鉛直脚部の基盤部側の表面から、鉛直脚部と鉛直中間部との接合面に移動される。このため、鉛直脚部に生じる引張力によるコンクリートのひび割れや破壊が抑制可能となる。
このような構成によれば、繊維補強コンクリートにより形成された鉛直脚部の高さを、第1の鉛直鋼材の必要定着長さを上回るようにすることで、第1の鉛直鋼材が確実に繊維補強コンクリートで形成される鉛直脚部に定着され、鉛直脚部と第1の鉛直鋼材との一体性を高めることができる。これにより、コンクリート鉛直部材とコンクリート鉛直部材を支持する基盤部とを備えるコンクリート部材構造において、第1の鉛直鋼材をコンクリート鉛直部材の曲げ耐力の増加に、より有効に寄与させることができる。
コンクリート部材構造の第1の特徴は、繊維補強コンクリートで形成されたコンクリート鉛直部材と、当該コンクリート鉛直部材を支持する基盤部との接合部において、当該接合部を跨ぐ鉛直鋼材を主筋より多く配置する、または主筋強度より高強度または大断面の鋼材を用いてコンクリート鉛直部材と基盤部を接合させる点である。コンクリート部材構造の第2の特徴は、コンクリート鉛直部材と基盤部の接合面の曲げ耐力がコンクリート鉛直部材の曲げ耐力を上回ることにより、繊維コンクリートによってコンクリート鉛直部材の曲げ耐力が向上される点である。
具体的には、第1実施形態では、壁柱と基盤部とを備えるコンクリート部材構造として、壁柱の柱脚部に配置する第1の鉛直鋼材を、柱脚部、柱中間部及び柱頭部に配置する第2の鉛直鋼材に比べて、大断面で、高強度鋼材にするとともに、柱脚部を鋼繊維補強コンクリートで形成した。
第1変形例は、壁柱ではない、通常の柱に関し、柱脚部をせん断補強筋が配筋されていない鋼繊維補強コンクリートで形成するとともに、柱脚部に第1の鉛直鋼材を配筋し、柱脚部、柱中間部及び柱頭部に第2の鉛直鋼材を配筋するコンクリート部材構造である。第2変形例は、柱脚部をせん断補強筋が設けられた鋼繊維補強コンクリートで形成するとともに、柱脚部に第1の鉛直鋼材としてH型鋼を配置したコンクリート部材構造である。
また、他の変形例1は、柱脚部を鋼繊維補強コンクリートで形成し、柱脚部に配筋する第1の鉛直鋼材を、柱脚部、柱中間部及び柱頭部に配筋する第2の鉛直鋼材に比べて、多く配筋する場合である。他の変形例2は、柱脚部及び柱中間部を鋼繊維補強コンクリートで形成する場合である。
(実施形態)
本発明の実施形態に係るコンクリート鉛直部材と基盤部とを備えるコンクリート部材構造の構成について、建物の一例を図1に示す。
図1に示されるように、建物1の躯体は、基礎構造たる基盤部10と、上部構造20と、を備えている。
基盤部10は、壁柱22と柱21を支持するスラブまたは基礎構造であり、建物1の荷重及び地震時等に建物1に作用する外力を地盤Gに伝える。この基盤部10は、直接基礎、杭基礎等、適宜の形式の基礎構造によって、地盤G中に強固に支持されている。上部構造20は、基盤部10の上方に設けられている。上部構造20は、上部構造20の外周部に沿って設けられた複数の柱21と、上部構造20の内部側に設けられた壁柱22と、互いに隣接する柱21と壁柱22との間に架設された梁23と、を主として備えている。
図2に示すように、壁柱22は、上下方向Dvに連続して設けられたコンクリート柱30である。本実施形態においては、コンクリート鉛直部材は、壁柱22であるこのコンクリート柱30であり、コンクリート部材構造2は、コンクリート柱30と基盤部10を備えてこれらが接合された、コンクリート柱構造である。
コンクリート柱30は、柱脚部(鉛直脚部)31と、柱中間部(鉛直中間部)32と、柱頭部33と、を有している。柱脚部31は、コンクリート柱30の上下方向Dvの下端部に位置し、基盤部10上に接合されている。柱中間部32は、コンクリート柱30の上下方向Dvの中間部に位置し、柱脚部31上に接合されている。柱頭部33は、コンクリート柱30の上下方向Dvの上端部に位置し、柱中間部32上に設けられている。
柱中間部32、及び柱頭部33は、JIS規格で規定されたセメントを用いたコンクリートであるポルトランドセメント系のコンクリートCp、いわゆる普通コンクリートによって形成されている。柱中間部32には、第2の鉛直鋼材42が埋設されている。第2の鉛直鋼材42は、柱脚部31及び柱中間部32を跨ぐように埋設され、本実施形態においては、第2の鉛直鋼材42の下端は、柱脚部31中に埋設されている。第2の鉛直鋼材42の上端は、柱中間部32内に位置している。第2の鉛直鋼材42としては、例えば、高強度鉄筋、太径鉄筋、普通強度鉄筋、同径鉄筋等を用いることができる。
図3に示すように、柱脚部31において、コンクリート柱30の幅方向の両端部に、それぞれ、第1の鉛直鋼材41が1本ずつ配置されている。各第1の鉛直鋼材41の四方には、第2の鉛直鋼材42が配置されている。これら複数本の第2の鉛直鋼材42の周囲には、当該第2の鉛直鋼材42を囲むようにせん断補強筋43が設けられている。
第1の鉛直鋼材41は、第2の鉛直鋼材42に比べて、高強度及び/または大断面の鋼材である。第1の鉛直鋼材41は、例えば、図4に示すように、円筒状の鋼管41aと、鋼管41aの外周面に設けられた複数のスタッドボルト41bと、を備えている。複数のスタッドボルト41bは、鋼管41aに、上下方向Dvに間隔を空けて設けられている。また、複数のスタッドボルト41bは、鋼管41aの周方向に間隔を空けて設けられている。各スタッドボルト41bは、鋼管41aの外周面に溶接されている。このように、第1の鉛直鋼材41に中空の鋼管41aとスタッドボルト41bを備えることで、繊維補強コンクリートCmとの付着面積が大きく確保される。
ここで必要定着長さHは、例えば、下式(1)で表される。
下式(2)は、長期荷重時の修正係数k、下式(3)は短期荷重時の修正係数kを示す。
図5~図10では、本発明によるコンクリート鉛直部材と基盤部とを備えるコンクリート部材構造について、中低層建物に採用された場合を対象として、大地震時の建物の応答性状に関する検証解析を行い、作用効果を確認した。
図5に、本発明のコンクリート部材構造を採用した試設計モデルを示す。試設計モデルは、建物各階の横断面が一様な長手方向に36.0m、短手方向に17.5mで、高さ24.5mの地上7階建てのRC造建物である。本検証解析におけるコンクリート部材構造は、試設計モデルの建物中央部に配置するコ型形状の壁柱であるコンクリート鉛直部材と、基盤部(スラブ)とが接合された構造である。
解析は、建物の試設計モデルを対象として、壁柱に鋼繊維補強コンクリートを用いない従来技術のコンクリート鉛直構造を採用したケース1と、鉛直脚部のみに鋼繊維補強コンクリートを用いたケース2と、本発明による、鉛直脚部に鋼繊維補強コンクリートを用い、かつ鉛直脚部と基盤部を跨がるように第1の鉛直鋼材を埋設させたコンクリート鉛直構造を採用したケース3について、比較検討を行った。鉛直脚部と基盤部に跨って埋設される第1の鉛直鋼材は、抜け出し性状を反映させた弾性ばねでモデル化した。
具体的には、コンクリート鉛直構造の鉛直脚部と、鉛直脚部と基盤部に配置される第1の鉛直鋼材を材料非線形モデルでモデル化し、かつ他の鉛直中間部等を弾性体としてモデル化した試設計モデルに対して、水平荷重を漸増的に外部荷重として増加させながら、図8に示す壁柱を有する建物において、全体降伏機構が形成される大変形領域に至るまで2次元有限要素解析を行った。
図6は、鉛直脚部のコンクリートの非線形材料モデルとして、鋼繊維補強コンクリート(SFRC)を用いた場合と、普通コンクリート(RC)を用いた場合における圧縮応力~圧縮ひずみ関係である。また、図7は、鉛直脚部に、鋼繊維補強コンクリートを用いた場合と、普通コンクリートを用いた場合における引張応力~引張ひずみ関係である。鋼繊維補強コンクリートの場合、最大圧縮強度または最大引張強度に達した後は、コンクリートの材料特性に基づき、普通コンクリートに比べて、緩やかな応力低下性状を反映するようにモデル化を行った。コンクリート鉛直部材と基盤部とを備えるコンクリート部材構造では、ケース1~3の全てにおいて、コンクリート鉛直部材の頭部及び鉛直中間部には剛体の材料モデルを適用した。
図10に、図5に示す試設計モデルにおいて、鉛直脚部を普通コンクリートで形成させるケース1と、鉛直脚部を鋼繊維補強コンクリートで形成し、かつ鉛直脚部と基盤部に跨るように第1の鉛直鋼材を配置したケース3について、建物1階の柱脚部での水平荷重Qと、水平変位δの関係を比較した。
本発明のコンクリート鉛直構造のケース3は、従来技術のケース1に比べて、主筋の降伏荷重は大きく、曲げ耐力も増加している。また、ケース3の解析結果は、ケース1より曲げ剛性が高く、かつQ~δ曲線で囲まれる包絡線も大きく、優れた曲げ特性を有することが認められる。
本実施形態におけるコンクリート部材構造2は、コンクリート柱(コンクリート鉛直部材)30と、コンクリート柱30を支持する基盤部10と、を備えるコンクリート部材構造2であって、コンクリート柱30は、少なくとも柱脚部(鉛直脚部)31が繊維補強コンクリートCmにより形成され、柱脚部31及び基盤部10には、これらを跨ぐように第1の鉛直鋼材41が埋設されている。
上記の構成によれば、下記のような作用効果が得られる。
(1)コンクリート部材構造2は、少なくとも柱脚部31を繊維補強コンクリートにより形成することで、コンクリート柱30の損傷が低減され、かつ繊維(特に本実施形態においては鋼繊維)によるコンクリートの引張特性改善効果により、コンクリート柱30の柱脚部31におけるコンクリートの引張特性が改善されて、曲げ耐力が向上する。
(2)柱脚部31と基盤部10にはこれらを跨ぐように第1の鉛直鋼材41が埋設されていることで、コンクリート柱30にひび割れや破壊が集中する危険断面位置が、コンクリート柱30と基盤部10との接合面から、柱脚部31よりも上方に移動する。
(3)第1の鉛直鋼材41により、柱脚部31において曲げ耐力に寄与する鋼材量が増加し、これによってもコンクリート柱30の曲げ強度を増大させることができる。さらに、第1の鉛直鋼材41が、柱脚部31と基盤部10とを跨ぐように埋設されているため、柱脚部31と基盤部10との接合面における曲げ耐力を向上させることができる。加えて、第1の鉛直鋼材41を基盤部10に定着させることで、第1の鉛直鋼材41が、コンクリート柱30が抜け出すような変形を生じるのを抑えることができる。
上記の構成によれば、上記(1)~(3)に加えて下記のような作用効果が得られる。
(4)柱脚部31に配置する第1の鉛直鋼材41を、柱脚部31と柱中間部32とを跨ぐように埋設する第2の鉛直鋼材42に比べて、高強度または大断面の鋼材とすることで、コンクリート柱30の曲げ耐力を決定する危険断面位置が、コンクリート柱30と基盤部10との接合面である柱脚部31の基盤部10側の表面から、柱脚部31と柱中間部32との接合面に移動される。このため、柱脚部31に生じる引張力によるコンクリートのひび割れや破壊を抑制可能である。
上記の構成によれば、上記(1)~(4)に加えて下記のような作用効果が得られる。
(5)繊維補強コンクリートCmにより形成された柱脚部31の高さZを、第1の鉛直鋼材の必要定着長さHを上回るようにすることで、第1の鉛直鋼材41を確実に繊維補強コンクリートCmで形成される柱脚部31に定着され、柱脚部31と第1の鉛直鋼材41との一体性を高めることができる。これにより、コンクリート柱30とコンクリート柱30を支持する基盤部10とを備えるコンクリート部材構造2において、第1の鉛直鋼材41をコンクリート柱30の曲げ耐力の増加に、より有効に寄与させることができる。
なお、本発明のコンクリート部材構造は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、壁柱22としてのコンクリート柱(コンクリート鉛直部材)30を例示したが、これに限らない。
図11は、本発明の実施形態に係るコンクリート部材構造の第1変形例において、建物の柱を構成するコンクリート柱を示す縦断面図である。図12は、図11のII-II部分の断面図である。
図11に示されるように、建物1の柱21を形成するコンクリート柱30Bは、柱脚部31Bと、柱中間部32と、柱頭部33と、を有している。本変形例においては、コンクリート鉛直部材は、このコンクリート柱30Bであり、コンクリート部材構造2Bは、コンクリート柱30Bと基盤部10を備えてこれらが接合された、コンクリート柱構造である。本変形例において、柱脚部(鉛直脚部)31Bは、繊維補強コンクリートCmにより形成されている。本変形例における繊維補強コンクリートCmは、上記実施形態と同様に、鋼繊維補強コンクリートである。柱脚部31Bには、第1の鉛直鋼材41が埋設されている。第1の鉛直鋼材41は、上下方向Dvに延び、柱脚部31B及び基盤部10を跨ぐように設けられている。
柱中間部(鉛直中間部)32、及び柱頭部33は、ポルトランドセメント系のコンクリートCpによって形成されている。柱中間部32には、第2の鉛直鋼材42が埋設されている。第2の鉛直鋼材42は、柱脚部31B及び柱中間部32を跨ぐように埋設されている。
図12に示されるように、第1の鉛直鋼材41は、コンクリート柱30Bの中央部に配置されている。第1の鉛直鋼材41の四方には、第2の鉛直鋼材42が配置されている。
柱中間部32には、第1の鉛直鋼材41の四方に配置された複数本の第2の鉛直鋼材42を取り囲むように、周方向に連続するせん断補強筋43Bが設けられている。この変形例では、柱脚部31Bには、せん断補強筋が設けられていない。
このようなコンクリート柱30Bと基盤部10が接合されたコンクリート部材構造2Bにおいても、上記実施形態と同様、コンクリート柱30Bにおいて損傷が集中しやすい、塑性ヒンジを形成する部位を、柱脚部31Bから上方に移動させることができる。その結果、柱脚部31Bに生じる引張力によるひび割れや破壊を抑制可能となる。
図13は、本発明の実施形態に係るコンクリート部材構造の第2変形例において、建物の柱を構成するコンクリート柱を示す縦断面図である。図14は、図13のコンクリート柱に設けられた第1の鉛直鋼材を示す斜視図である。
図13に示されるように、本変形例におけるコンクリート部材構造2Cにおいては、建物1の柱21を形成するコンクリート柱(コンクリート鉛直部材)30Cは、上記実施形態で示した第1の鉛直鋼材41に代わる、H型鋼を用いた第1の鉛直鋼材41Cを備えている。
第1の鉛直鋼材41Cは、上下方向Dvに延び、柱脚部31C及び基盤部10を跨ぐように設けられている。第1の鉛直鋼材41Cは、第2の鉛直鋼材42に比べて、高強度及び/または大断面の鋼材である。図14に示すように、第1の鉛直鋼材41Cは、例えば、H型鋼41dと、H型鋼41dの両側のフランジに設けられた複数のスタッドボルト41eと、を備えている。第1の鉛直鋼材41Cは、H型鋼41dとスタッドボルト41eを備えることで、繊維補強コンクリートCmとの付着面積が大きく確保される。
第1の鉛直鋼材41Cは、コンクリート柱30Cの中央部に配置されている。第1の鉛直鋼材41Cの四方には、第2の鉛直鋼材42が配置されている。柱脚部31C、及び柱中間部32には、第1の鉛直鋼材41の四方に配置された複数本の第2の鉛直鋼材42を取り囲むように、周方向に連続するせん断補強筋43Cが設けられている。この場合、柱脚部31Cにおけるせん断補強筋43Cの量を、柱中間部32におけるせん断補強筋43Dの量よりも少なくすることができる。
上記の実施形態及び各変形例においては、第1の鉛直鋼材として、円筒状の鋼管やH型鋼材を用いたが、第2の鉛直鋼材42と同様に、普通強度鉄筋や同径鉄筋であってもよく、第2の鉛直鋼材42に比べて、高強度鉄筋、または太径鉄筋を用いてもよい。
また、実施形態及び各変形例においては、第2の鉛直鋼材42は柱脚部31及び柱中間部32に埋設させたが、柱脚部、柱中間部及び柱頭部33に埋設させてもよい。
また、図15にコンクリート部材構造2Dとして示すように、第1の鉛直鋼材41は、第2の鉛直鋼材42と同一断面でありながら、第2の鉛直鋼材42よりも多数の量(本数)が配置されるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、柱中間部32を、ポルトランドセメント系のコンクリートCpによって形成するようにしたが、柱中間部32を、繊維補強コンクリートCmを用いて形成することもできる。
さらに、図16にコンクリート部材構造2Eとして示すように、柱中間部32Dも、繊維補強コンクリートCmを用いて形成し、第2の鉛直鋼材42を省略する構成とすることもできる。
また、上記実施形態では、第2の鉛直部材42は、柱脚部31または柱中間部32に定着されているが、第2の鉛直部材42は、これに加えて、柱脚部31を更に下方に貫通して、更に基盤部10に定着されてもよい。
また、上記実施形態では、第1の鉛直部材41は、下端部が基盤部10に定着され、かつ上端部が柱脚部31を貫通して柱中間部32に定着されているが、これに限られない。第1の鉛直部材41は、第1の鉛直部材41の上端が、必要定着長さHを上回りつつも柱脚部31の上端より下方に位置するように、配置されていてもよい。
また、上記実施形態及び各変形例においては、コンクリート部材構造として、鉛直部材に壁柱や、通常の柱を用いた場合の、コンクリート部材構造の構成とその作用効果について記載しているが、鉛直部材として、これら以外の鉛直部材、例えば壁が用いられてもよい。
また、上記実施形態及び各変形例においては、繊維補強コンクリートCmとして鋼繊維補強コンクリートを使用しているが、繊維補強コンクリートCmにおける繊維は、鋼繊維に限定されず、例えば、合成繊維が用いられてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
10 基盤部(例えば、スラブ、基礎構造、柱梁接合部)
30、30B、30C コンクリート柱(コンクリート鉛直部材)
31、31B、31C 柱脚部(鉛直脚部) Cm 繊維補強コンクリート
32、32D 柱中間部(鉛直中間部) H 必要定着長さ
41、41C 第1の鉛直鋼材 Z 柱脚部の高さ
42 第2の鉛直鋼材
Claims (3)
- コンクリート鉛直部材と、当該コンクリート鉛直部材を支持する基盤部と、を備えるコンクリート部材構造であって、
前記コンクリート鉛直部材は、鉛直脚部のみが繊維補強コンクリートにより形成され、
前記鉛直脚部及び前記基盤部には、これらを跨ぐように第1の鉛直鋼材が埋設され、
前記コンクリート鉛直部材は壁柱であり、
前記第1の鉛直鋼材は、表面に複数のスタッドボルトが設けられた鋼管またはH型鋼であり、前記コンクリート鉛直部材の幅方向の両端部に設けられていることを特徴とするコンクリート部材構造。 - 前記鉛直脚部及び当該鉛直脚部の上方の鉛直中間部には、これらを跨ぐように第2の鉛直鋼材が埋設され、
前記第1の鉛直鋼材の周囲に、複数の前記第2の鉛直鋼材が設けられ、
複数の前記第2の鉛直鋼材を囲むように、せん断補強筋が設けられ、
前記第1の鉛直鋼材は、前記第2の鉛直鋼材に比べて、高強度または大断面の鋼材であるか、または、前記第1の鉛直鋼材は、前記第2の鉛直鋼材と同一断面でありながら、前記第2の鉛直鋼材よりも多数配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート部材構造。 - 前記コンクリート鉛直部材のうち、繊維補強コンクリートにより形成された前記鉛直脚部の高さは、前記第1の鉛直鋼材が前記コンクリート鉛直部材に定着するために必要な必要定着長さを上回ることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート部材構造。
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