JP2001213679A - 稲作用肥料 - Google Patents
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- C05B—PHOSPHATIC FERTILISERS
- C05B17/00—Other phosphatic fertilisers, e.g. soft rock phosphates, bone meal
Abstract
で、長期にわたってケイ酸分を溶出し、かつ溶出性の高
いケイ酸分を多量に含有する稲作用肥料を提供するこ
と。 【解決手段】イオン交換法で測定したときに、1ヶ月以
内のケイ酸分溶出量が16質量%以上である稲作用肥料
であり、主成分がMgO、SiO2、CaO、P2O5か
らなる非晶質の無機粉体であって、該無機粉体がMgO
を1〜20質量%、SiO2を30〜50質量%含有
し、しかもD90が0.6〜3.0mm、D50が37μm
以上である粒度分布を有する無機粉体を主成分とする、
或いは、D90が0.1〜1.0mm、D50が37μm以
上である粒度分布を有する無機粉体を主成分とすること
を特徴とする稲作用肥料であり、或いは、当該稲作肥料
中に含まれるケイ酸分の60%以上が2.5ヶ月以内に
溶出することを特徴とする稲作用肥料。
Description
性のよいケイ酸分を多く含む稲作用肥料に関する。
からケイカル(ケイ酸カルシウム)、並びにケイ酸カリ
(ケイ酸カリウム)肥料が用いられている。ケイカルは
スラグを原料として製造され、SiO2、CaO、Al2
O3を主成分とする、主としてアルカリ分とケイ酸を補
給するための土壌改質剤である。しかしケイカルは塩酸
可溶性ケイ酸分が30質量%を越えるものの、実際の土
壌のpHに近いpH=5〜7程度の領域では、ケイ酸の
溶出量が極端に減少し、ケイ酸分の供給源としては非常
に効率の悪い資材である。
0m2当たり200kgと大量に施肥しなくてはなら
ず、それに要する労力が農家の大きな負担になってい
る。ケイカルは肥料の三要素のいずれをも含まない資材
であるため、他の肥料と混合して使用するのが一般的で
あり、例えばようりん40kgをケイカル200kgと
混合して散布するのが広く用いられている処方である。
ようりんは、それに含まれるケイ酸分の中性に近いpH
域での溶出性が高い事が知られており、燐酸質肥料であ
ると同時にケイ酸質の供給源となっていることが認めら
れている。
ケイカルに比べると高いと言われているが、ようりんに
比べるとpH=5〜7では劣っており十分とは言えな
い。ケイ酸カリ肥料も、ケイカルの場合と同様に、よう
りんと混合して施肥されることが多く、ここでもようり
んがケイ酸質の供給源としての役割を果たしている。
いことを改善するために各種の試みがなされ、中でもケ
イ酸カリ肥料の溶出性が比較的高いことに着目してカリ
成分を加える方法に基づいた、例えばケイ燐酸カリを主
成分とする新規肥料組成物(特公平1−24759号公
報参照)や緩効性熔成ケイ酸カリ苦土肥料の製造法(特
公平2−23514号公報参照)が開示されている。
しやすくし、ケイ酸質の溶出性を改善するが、その反
面、カリ原料が高価であるため得られた製品も高価にな
る、十分に高いケイ酸溶出性を確保するにはカリ含有量
を高くしなければらなず不経済である、更に、カリウム
が強アルカリであるため製造設備の炉材を浸食する、カ
リを加えると溶融物の粘度が上昇するため操業しにく
く、それを下げようとして温度を上げるとカリが揮散す
る等の欠点を有している。
性が高く、植物による吸収性が高い事が知られている。
市販されているようりんに含まれるSiO2は20〜2
5質量%程度であるが、ケイ酸含有量を増やすとその溶
出性が低下する事が知られている。すなわち、溶成燐肥
の一般的な原料配合にケイ石を加えて加熱溶融・急冷し
て、2%クエン酸水溶液へのケイ酸の溶出性を測定した
試験例(工業化学雑誌第60巻1109頁1957年)
によれば、2%クエン酸水溶液(初期pHが約2)への
ケイ酸溶出量は30質量%程度で頭打ちになると記載さ
れている。
Hが4の酢酸ソーダ緩衝液を用いた可溶性ケイ酸の評価
法が、植物吸収性との相関性が高いと記載されている
が、実際の土壌のpHはもっと中性に近く、たまたま試
験に使用した組成物のこの方法による溶出性が植物吸収
性と一致したと解釈するべきと思われる。ケイ酸質の溶
出性試験に関しては未だ公定法がなく、様々な方法が提
案されている。
ては、前記したとおりに、2%クエン酸水溶液(pHが
約2)を用いる方法、pHの初期値が4の酢酸ソーダ緩
衝液を用いる方法が知られているが、いずれも溶出時の
pHが低く、土壌のpHに近いpH=5〜7付近でのケ
イ酸の溶出性の評価方法としては不適切である。本発明
者らは、先願の特願平10−205258号明細書の中
で、4質量%クエン酸緩衝液(pHの初期値が5.5)
を用いる方法を提案してきた。しかし、前記方法であっ
ても、肥料のケイ酸分溶出量と実際の植物、ことに稲の
ケイ酸分吸収量との相関は充分に満足できるほどに高い
ものではない。
で高い溶出性を持つSiO2を含む組成を探求した結
果、同じ組成であってもその結晶性によって、溶出性が
大きく変化すること、そして、特定組成を有する非晶質
の組成物が前記高pH域でケイ酸溶出性を示すことを見
い出し、先に特願平10−205258号を出願した。
方法と肥料効果(稲による吸収性)について更に検討を
続けた結果、水溶液のpH調節剤としてのイオン交換樹
脂共存下で測定した(以下イオン交換法と略称する)一
ヶ月後のケイ酸分溶出量が一定値以上のものが、肥料効
果が高いことを見いだし、また、肥料として使用する粉
体の粒度を制御することにより、長期にわたるケイ酸分
溶出性を制御できることを見いだし本発明に至ったもの
である。即ち、本発明者らは、ケイ酸溶出性の評価方法
と肥料効果について更に検討を重ね、以降に示すイオン
交換法による評価方法が、実際の稲のケイ酸分吸収量と
相関することを見いだしたものである。
でのケイ酸分の溶解性評価手法で、以下の手順で行う
(参考文献:加藤直人著「農林水産省・農業環境技術研
究所報告」16巻,9−75頁(1998)、加藤,尾
和共著 Soil Sci.Plant Nutr.,
43巻,2号,351−359頁(1997))。
化ナトリウム水溶液と希塩酸を用いて逆再生しておいた
カルボン酸型イオン交換樹脂(例えばアンバーライトI
RC−50)2gと純水1リットルを入れたポリエチレ
ン瓶に加え、マグネチックスターラーで静かに数分間撹
拌した後、所定日数静置する。所定日数経過したら再度
マグネチックスターラーで静かに数分間撹拌した後、最
低10分間静置し、上澄み液2mlをメスフラスコ20
mlに分取し、塩酸(1+1)1mlを添加後、20m
lに希釈する。これをICP発光分析法(例えば、日本
ジャーレルアッシュICAP−575を使用、測定波長
例:251.612nm、288.158nm他)により
Siを定量し、SiO2に換算する。市販原子吸光分析
用標準原液1000mg/リットルを希釈して得られる
検量線を基づいて定量する。
料から溶出するアルカリ土類金属等のアルカリ性物質が
溶液に溶けて生ずるpHの上昇を、イオン交換樹脂のイ
オン交換能を利用して防止することにある。水田の土壌
は、中性であり、pH緩衝能が高いと言われており、イ
オン交換法を用いると、実際の水田に近い環境下でのケ
イ酸分の溶出性を測定できると考えられる。
え期から出穂期までと言われている。この2〜3ヶ月間
にわたって、含有するケイ酸分が徐々に溶出し、継続的
にケイ酸を供給し続ける肥料が好ましい。従って、イオ
ン交換法で継続的に測定して得た溶出曲線が、初期は勾
配が比較的小さく、日数が経過した後も、勾配があまり
小さくならない肥料が好ましい。初期のケイ酸分含有量
はそれが溶出する限り大きい方が好ましいことは言うま
でもない。
て、稲の肥効試験を行ったところ、前記のイオン交換法
による1ヶ月後のケイ酸溶出量が、稲による肥料由来の
ケイ酸分吸収量と相関を示すことを見いだした。しか
し、ケイ酸分を多く含む市販の各種肥料を前記イオン交
換法で評価したところ、1ヶ月後のケイ酸溶出量が15
質量%を超えるものはなかった。
法による1ヶ月後のケイ酸溶出量が16質量%以上の肥
効に優れる稲作用肥料を提供することを目的としてい
る。また、少量の施肥で、実際の土壌のpH=5〜7付
近で、長期にわたってケイ酸分を溶出し、かつ溶出性の
高いケイ酸分をSiO2換算で30質量%以上含む稲作
用肥料を提供することを目的とする。
り施用前に燐肥と混合しなくてもよい、ケイ酸を主体と
して、燐、アルカリ分を含む資材を提供することを目的
とする。更に、本発明は、通常のようりん製造設備を用
いて容易に製造することができ、カリを含んでいないの
で前記製造上の問題点を避けることのできるケイ酸質肥
料を提供することを目的とする。
交換法で測定したときに、1ヶ月以内のケイ酸分溶出量
が16質量%以上である稲作用肥料である。
2、CaO、P2O5からなる非晶質の無機粉体であっ
て、該無機粉体がMgOを1〜20質量%、SiO2を
30〜50質量%含有し、しかもD90が0.6〜3.0
mm、D50が37μm以上である粒度分布を有する無機
粉体を主成分とすることを特徴とする稲作用肥料であ
る。
2、CaO、P2O5からなる非晶質の無機粉体であっ
て、該無機粉体がMgOを1〜20質量%、SiO2を
30〜50質量%含有し、しかもD90が0.1〜1.0
mm、D50が37μm以上である粒度分布を有する無機
粉体を主成分とすることを特徴とする稲作用肥料であ
る。
ときに、当該稲作肥料中に含まれるケイ酸分の60%以
上が2.5ヶ月以内に溶出することを特徴とする稲作用
肥料である。
結合材を加えて造粒してなることを特徴とする稲作用肥
料であり、好ましくは、前記結合材が、ポバール、メチ
ルセルロース、リグニン誘導体、でんぷん、蔗糖のいず
れか一種以上を含有することを特徴とする前記の稲作用
肥料である。
たときに、1ヶ月以内のケイ酸分溶出量が16質量%以
上である稲作用肥料である。本発明の稲作用肥料は、前
記機能を有するので、追肥することなく従来よりも稲の
発育を助長することができる。
2、CaO、P2O5からなる非晶質の無機粉体であっ
て、該無機粉体がMgOを1〜20質量%、SiO2を
30〜50質量%含有し、しかもD90が0.6〜3.0
mm、D50が37μm以上である粒度分布を有する無機
粉体を主成分とすることを特徴とする稲作用肥料であ
る。
gO、SiO2、CaO、P2O5から構成され、その合
計量は87質量%以上、好ましくは90質量%以上あれ
ば良い。従来公知のケイ酸溶出性を有するものの多く
は、例えばケイ酸カリ肥料の如くに、カリウムを主成分
として含有するのに対し、本願発明の無機組成物はこれ
を主成分として有していないという特徴がある。これに
より、製品価格が高くなる、製造設備の炉材を浸食す
る、操業しにくい等の欠点を解消することが出来る。
0質量%以上である。これより少ないと、十分なケイ酸
溶出量が確保できず、ケイ酸質資材或いは肥料としての
価値が減少する。50質量%を越えると大幅にケイ酸溶
出性が下がり、中性に近い領域での溶出性が悪くなる。
32〜43質量%が好ましい範囲である。
効果やケイ酸溶出率を増大させる効果があり、また肥料
成分としても有効なので、適当量含有させる必要があ
る。1質量%以下ではこれらの効果が十分ではなく、2
0質量%をこえると施用した植物の肥効成分の吸収性に
拮抗作用を生じ、不都合である。上記バランスから、1
〜20質量%、好ましくは7〜18質量%の範囲がよ
い。
〜16質量%であることが好ましい。P2O5は、1質量
%以下では溶融物の融点が上昇しケイ酸の溶出率が低く
なりやすくなると共に、ケイ酸分とのバランス上リン分
が不足するためリン肥料を混合散布する必要が生じるこ
とがある。一方、16質量%を越えると、ケイ酸の必要
量を散布するとP2O5の適切な施用量を超える場合が生
じることがあり好ましくない。ケイ酸の溶出率を高く
し、リン肥料の混合散布を必要とせず、更に適切なP2
O5の施用量を維持できるということから前記範囲が選
択され、4〜12質量%の範囲が一層好ましい。
算した(CaO+MgO)/(SiO2+P2O5)比が
1.2〜2.5であることが好ましい。前記比が1.2
より小さくなるとケイ酸溶出量が減少する一方、2.5
を超えるとSiO2含有量の低下や融点の上昇とケイ酸
溶出性の低下が起こることがある。1.3〜2.0が好
ましい範囲である。
する前記の成分の他に、微量成分として有効な硼素やマ
ンガンを含有させることもできる。硼素やマンガンの存
在は、後述する製造方法において溶融温度の低下や溶融
物の流動性の増加の効果があるし、得られる無機組成物
の非晶質化を促し、ケイ酸の溶出性を助長する効果もあ
る。また、不可避的に混入する鉄酸化物やアルミニウム
の酸化物などが含まれてもよい。しかし、アルミニウム
については、肥料効果が無く、有効成分の含有量を低下
させ、また、量が多くなるとケイ酸分の溶出性に悪影響
を及ぼすので、Al2O3の量は2質量%以下に抑制する
ことが好ましい。
るために非晶質であることが必須である。非晶質の程度
については、本発明者らの実験的検討結果によれば、N
MR−29Siの半値幅が13ppm以上23ppm以
下を示せば充分である。NMR−29Siの測定方法
は、特願平10−205258号に記載したとおりであ
る。
D90が0.6〜3.0mm、D50が37μm以上であ
る。ここで、粒度分布は、フルイで測定すればよい。例
えば、JIS Z 8801に記載されたフルイを重ね
て、試料を最も上のフルイ上に乗せ、タップ振動機にセ
ットする。一定時間の後、各フルイ上に残った粉体の質
量を測定し、百分率で表し、粒度分布とする。D90、D
50は、累積質量%がそれぞれ90%、50%の時の粒度
を示す。
の大きさにも影響されるが、イオン交換法で測定したと
きに、1ヶ月以内のケイ酸分溶出量が16質量%以上で
あるという本発明の目的を達成できないことがある。ま
た、D50が37μm未満の場合には、前記目的は達成し
やすいものの、粒度が細かいために長期に渡ってケイ酸
分を溶出することを確保できないことがあるし、施肥後
に粉末の微粉部分が雨等により流失されることがある
し、更に、粉砕にコストがかかるので好ましくないから
である。更に、本発明の稲作用肥料は、ケイ酸の溶出量
が時間と共にゆっくり増加する傾向があるので、特に秋
から冬にかけての農閑期に施肥する場合や春のしろかき
の前後に施肥する場合に、特に有効である。
O、SiO2、CaO、P2O5からなる非晶質の無機粉
体であって、該無機粉体がMgOを1〜20質量%、S
iO 2を30〜50質量%含有し、しかもD90が0.1
〜1.0mm、D50が37μm以上である粒度分布を有
する無機粉体を主成分とすることを特徴とする稲作用肥
料であり、前記発明に対して、異なる粒度分布を有して
いることを特徴としている。
mmとすることで、イオン交換法で測定したときに、1
ヶ月以内のケイ酸分溶出量を20質量%以上に高めるこ
とができ、一層好ましいからである。本発明の稲作用肥
料は、イオン交換法の溶出率が2.5ヶ月後で80%以
上に達するので、田植え後の追肥として使用するのに好
適である。また、粒度分布が窒素、カリなどの他の肥料
との混合や造粒に適しているので、容易に所望の組成の
複合肥料とすることもできる。
m、D50で37μm以上の粒度分布を有する前記無機粉
体に、結合材を加えて造粒してなる稲作用肥料である。
結合材を加えて造粒されているので、短期に多量の可溶
性ケイ酸分を提供できる稲作用肥料を作業性良く取り扱
うことができる。
られているものならば用いることができ、例えば、ポバ
ール、メチルセルロース、リグニン誘導体、でんぷん、
蔗糖が挙げられる。本発明に於いては、前記結合材のい
ずれか一種以上を含有していれば良いが、このうち、リ
グニン誘導体はパルプ廃液として、また蔗糖は廃糖蜜と
して安価に入手できるので都合がよい。また、でんぷん
は、コーンスターチなど安定した品質のものが入手で
き、廃糖蜜などより少ない固形分で造粒できるという特
徴を持つので好ましい。
て、2.5ヶ月以内のケイ酸分溶出量が当初含まれてい
たケイ酸分の60%以上である稲作用肥料である。この
機能を有するが故に、少量の施肥であっても追肥するこ
となく長期に渡ってケイ酸可溶分を供給することがで
き、稲の発育促進に寄与することができる。
その一例を以下に記述する。製造方法はこれに限定され
るわけではない。
灰石、フェロニッケル鉱滓、フェロマンガン鉱滓、各種
高炉滓、各種製鋼滓、製リンスラグ、フライアッシュ等
のP 2O5、CaO、MgO、或いはSiO2を含有する
通常の原料類を利用することができる。上記原料の中に
はアルミナ分(Al2O3)を含むものもあるが、Al 2
O3の存在は得られる稲作用肥料のケイ酸溶出率を悪化
させ、またAl2O3含有量が増加すると他の成分の含有
量が実質的に減るので、Al2O3含有量の増大は好まし
くない。Al2O3が含まれていない原料を使用するか、
またはAl2O3が含まれている原料は少量に限定して使
用し、得られる無機組成物中のAl2O3量が2質量%以
下とすることが好ましい。
物が所望組成となるように、即ち、MgOを1〜20質
量%、SiO2を30〜50質量%含有するように、好
ましくはP2O5が1〜16質量%、モル比(CaO+M
gO)/(SiO2+P2O5)が1.2〜2.5となる
ように、更に好ましくはP2O5が4〜12質量%、モル
比(CaO+MgO)/(SiO2+P2O5)が1.3
〜2.0となるように配合し、高温で溶融する。
電気炉、アーク炉、高周波加熱炉等の電気炉、或いは平
炉を初めとするいろいろな燃焼ガス炉等が使用できる。
溶融温度は、組成にもよるが1350℃以上が望まし
い。目標とする組成を有する原料が完全に溶融する温度
より、およそ150℃以上高い温度で溶融すると、溶融
温度から結晶化の進まない温度までの間で十分な冷却速
度がとれるので好ましい。前記溶融炉のうち、後述する
とおりに、溶融液を急冷することができ、非晶質化した
無機粉体を容易に得ることができることから電気炉、並
びに平炉が好ましく選択される。
晶質化を達成し、ケイ酸の溶出性を高めるために必須で
ある。急冷は、一般には、炉から抜き出した溶融液に溶
融液の20〜40倍の質量の水を吹き付ける方法や、多
量の水中に浸漬する方法等を適用することによって行わ
れる。本発明の無機組成物を得る際の冷却方法として
は、溶融温度から100℃までの所要時間は20秒以下
好ましくは10秒以下とすることがよく、特に、原料が
完全に溶融する温度の上下200℃の間を5秒以内とす
る事が望ましいので、このため、ジェット水流を当てて
冷却する方法が好ましい。更に、ジェット水流を用いる
冷却方法は、溶融液より砂状物を直接に得られ、後工程
としての粉砕を省略することもできるという効果も得ら
れる。
により制御でき、この操作のみで、粒度がD90で0.6
〜3.0mm、D50で37μm以上である無機粉体を得
ることもできる。更に、必要に応じて、粉砕して、更に
必要ならば分級操作を組み合わせながら、粒度分布をD
90で0.1〜1.0mm、D50で37μm以上とすれば
良い。
スタンプミル、ローラーミル、ボールミル、ジェットミ
ルなどの各種粉砕機を用いることができる。また、造粒
操作には、ペレタイザー、転動造粒機などの各種造粒機
を用いることができる。
に、混合機と造粒機とを併用して2段階で操作すること
がある。即ち、主原料となる粉体100質量部に対し
て、固形分を40質量%含む廃糖蜜を12質量部添加
し、万能混合機で混合する。これを皿型造粒機に移し、
回転させながら水を噴霧する。取り出された水分を含む
造粒品を乾燥機で乾燥し、1〜4mm程度に造粒された
粒状の肥料を得る。
を更に詳細に説明する。
に対して、蛇紋岩1.5t、フェロニッケル鉱滓0.3
t、ケイ石0.9t、生石灰1.1tを混合粉砕し、平
炉に供給して加熱溶融した。平炉から流れ出る湯にジェ
ット水流をぶつけ、水砕品を得た。これを試料A(実施
例1)とする。
MgO、CaOをそれぞれ9.2質量%、35.0質量
%、16.1質量%、35.3質量%含んでいた。従っ
て、モル比(CaO+MgO)/(SiO2+P2O5)
は1.59である。また、粒度分布を篩いを用いて測定
したところ、2mm以上が0.4質量%、2mm未満〜
1mm以上が9.7質量%、1mm未満が89.9質量
%、44μm以下が3.2質量%であった。
この無機粉体を100質量部と固形分濃度が40%の廃
糖蜜12質量部を混合し、パンケーキ型の造粒機で造粒
した。これを試料B(実施例2)とする。
で、P2O5、SiO2、MgO、CaOをそれぞれ1
0.5質量%、33.7質量%、15.9質量%、3
4.5質量%含んでいた。従って、モル比(CaO+M
gO)/(SiO2+P2O5)は1.59である。ま
た、粒度分布をフルイを用いて測定したところ、500
〜105μmが20.4質量%、105〜44μmが3
5.5質量%、44μm以下が44.1質量%であっ
た。
ャーで粉砕し無機粉体を得た。これを150μmの篩い
を用いて分級し、篩い下を試料C(実施例3)とする。
たところ、149μm未満〜105μm以上が45.4
質量%、105〜44μmが46.8質量%、44μm
以下が7.8質量%であった。この無機粉体は、非晶質
で、P2O5、SiO2、MgO、CaOをそれぞれ1
2.8質量%、32.0質量%、14.1質量%、3
5.7質量%含んでいた。従って、モル比(CaO+M
gO)/(SiO2+P2O 5)は1.58である。
れイオン交換法でケイ酸分の溶出量を測定した。一ヶ月
後と2.5ヶ月後の溶出量測定結果を表1に示す。
ーミルを用いて粉砕し、149μmの篩いで分級した。
この篩い下を試料Dとする。試料Dのイオン交換法で測
定した一ヶ月後のケイ酸分溶出量を表1に示す。
(比較例1)と市販のケイカル粒状品(比較例2)のケ
イ酸分の溶出量を、イオン交換法で測定した。一ヶ月後
と2.5ヶ月後のケイ酸分溶出量を表1に示す。
の肥料について、当該肥料中に含まれるケイ酸分が稲に
吸収される割合を測定するために、稲のポット栽培によ
る肥効試験を行った。試験条件は表2および表3の通り
である。尚、SiO2で3.0g、P2O5で0.94g
になるように、各種肥料および試薬を混合して施肥し
た。なお、使用したケイカルのSiO2含有量は35.
7質量%である。試験結果を表4に示す。
性ケイ酸を多く含み、施肥後1月以内に16質量%以上
もの可溶性ケイ酸を供給できるという従来品にはない特
徴を有し、燐酸分を含んでいるので、従来広く用いられ
ているケイカルに比べて、施肥量を少なくできるし、燐
酸質肥料とケイ酸質肥料との混合が不要であり、農家に
おける省力化に有用である。
吸収性が良いので、作物の病虫害発生が抑えられるこ
と、稲が倒れにくくなること、緩効性であるから肥あた
りを起こさないこと、雨水に流亡せず肥料散布の回数を
減らせること、等の数々の利点を有する特徴を持つ。更
に、その組成中にはカリウム等のアルカリ金属元素を含
有しないので製造しやすい、カリ含有肥料に比べて安価
に製造できるという特徴を有し、産業上有用なものであ
る。
Claims (6)
- 【請求項1】イオン交換法で測定したときに、1ヶ月以
内のケイ酸分溶出量が16質量%以上である稲作用肥
料。 - 【請求項2】主成分がMgO、SiO2、CaO、P2O
5からなる非晶質の無機粉体であって、該無機粉体がM
gOを1〜20質量%、SiO2を30〜50質量%含
有し、しかもD90が0.6〜3.0mm、D50が37μ
m以上である粒度分布を有する無機粉体を主成分とする
ことを特徴とする稲作用肥料。 - 【請求項3】主成分がMgO、SiO2、CaO、P2O
5からなる非晶質の無機粉体であって、該無機粉体がM
gOを1〜20質量%、SiO2を30〜50質量%含
有し、しかもD90が0.1〜1.0mm、D50が37μ
m以上である粒度分布を有する無機粉体を主成分とする
ことを特徴とする稲作用肥料。 - 【請求項4】イオン交換法で測定したときに、当該稲作
肥料中に含まれるケイ酸分の60%以上が2.5ヶ月以
内に溶出することを特徴とする稲作用肥料。 - 【請求項5】請求項3の稲作用肥料に更に結合材を加え
て造粒してなることを特徴とする稲作用肥料。 - 【請求項6】前記結合材が、ポバール、メチルセルロー
ス、リグニン誘導体、でんぷん、蔗糖のいずれか一種以
上を含有することを特徴とする請求項5記載の稲作用肥
料。
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