JP2001212608A - 熱間連続圧延機における板厚制御方法 - Google Patents

熱間連続圧延機における板厚制御方法

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JP2001212608A JP2000026079A JP2000026079A JP2001212608A JP 2001212608 A JP2001212608 A JP 2001212608A JP 2000026079 A JP2000026079 A JP 2000026079A JP 2000026079 A JP2000026079 A JP 2000026079A JP 2001212608 A JP2001212608 A JP 2001212608A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱間連続圧延においてSi 添加鋼の圧延荷重
を精度良く容易に予測できるようにし、ロールギャップ
のセットアップ精度を向上させ、製品板厚精度の向上・
歩留りの向上を図る。 【解決手段】熱間連続圧延機の各スタンドにおける材料
温度を予測し、この材料温度予測値から平均変形抵抗K
fmi を算出し、この平均変形抵抗Kfmi と板厚目標値と
に基づいて圧延荷重予測値を算出し、この圧延荷重予測
値とミル剛性とに基づきロールギャップ位置を決定する
セットアップ方法において、Si を0.5%以上含有す
るSi 添加鋼に対して、前記平均変形抵抗Kfmi を求め
るために用いられる転位密度ρの算出式に、Si 含有量
に依存する専用パラメータ(転位密度係数)α1,α2,α
3 を設定し、さらに圧延荷重を算出する際の圧下力関数
に含まれる各スタンドでの摩擦係数をSi 専用として設
定し、これら係数を用いて圧延荷重を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間仕上げ圧延機
などの熱間連続圧延機の板厚制御方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】熱間鋼板は、タンデムに配置された複数
の圧延スタンドを備える熱間連続圧延機を用いて熱間連
続圧延を行うことによって製造される。この時、圧延材
先端部から良好な板厚制御を行うために、圧延材1本毎
に初期ロールギャップおよび初期ロール周速のセットア
ップ(初期設定)を行っている。
【0003】このセットアップの精度向上は、圧延材先
端部の板厚精度の向上を図る上で非常に重要であり、特
に圧延材先端部の板厚精度の向上は、先端部オフゲージ
(目標板厚からの偏差)の減少につながるため、製品の
歩留り向上を図る上でも重要である。また、セットアッ
プ精度が悪いと、その誤差を修正する際に圧延材の通板
性への悪影響も生じ、場合によっては圧延機内での板寄
り,板破断等の事故につながる。
【0004】従来、ロールギャップおよびロール周速の
セットアップは、例えば図1,図2に示すように行われ
ていた。即ち、予め各スタンドの板厚目標値hi が決定
され、この板厚目標値に基づいて得られる先進率からロ
ール周速Vi を決定する。一方、各スタンドにおける材
料温度Ti を予測し、この材料温度予測値から、例えば
下記(2)式に従って平均変形抵抗Kfmi を算出し、こ
の平均変形抵抗Kfmiと前記板厚目標値hi とに基づい
て、例えば下記(1)式に従って圧延荷重予測値Pi を
算出する。この圧延荷重予測値Pi とミル剛性Mi とに
基づき、下記(3)式に従ってロールギャップ位置Si
を決定する。
【0005】
【数1】
【0006】これらの式の中で上記(2)式に示す平均
変形抵抗Kfmおよび圧下力関数Q中に含まれる摩擦係数
μの予測が圧延荷重を算出する際に最も重要であり、特
に熱延鋼板のように多くの特性の異なった鋼種を圧延す
る際には、添加元素(化学成分)別に正確に予測する必
要がある。
【0007】一般に、熱間圧延における多パス圧延で
は、通常の添加元素・温度と共に、パス間での時間要素
(パス間での歪み累積,歪み回復等)も圧延荷重に大き
く影響することが知られている。変形抵抗の算出の際
に、このパス間での歪みを考慮した考えは多数有り、例
えば特開平8−243619号のように、転位密度をパ
ラメータとする変形抵抗の計算式と、各パスでの加工時
における歪み硬化および歪み動的回復に対応させて導出
した計算式と、パス間での転位密度の変化を前パス直後
の転位密度に関する二次多項式で近似した式に基づいて
導出した転位密度残留率の計算式とを用いて変形抵抗を
計算し、この変形抵抗から圧延荷重を計算する方法が提
示されている。この方法によれば、鋼種別に変形抵抗の
係数を算出すれば、ある程度は圧延荷重の予測は可能で
ある。
【0008】他方、これに対して、特開平10−109
106号では、変形抵抗を予め何鋼種か求めておき、そ
れをグループ分けすることによって、それ以外の鋼種に
おいては、その化学成分の含有量毎にメンバーシップ関
数を設定し、その関数から変形抵抗を求める方法が提案
されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
前者の圧延荷重予測方法では、パス間での歪み硬化,動
的回復について、全ての鋼種毎にテストサンプルを用い
て、その影響を調査・定量化するのは、非常に労力がか
かり、実際問題として困難である。しかも、実機での圧
延条件の再現には、圧延でのスピードや温度等の面で困
難が多い。
【0010】前述の後者の圧延荷重予測方法では、何鋼
種か変形抵抗のみ算出し、それをグループ分けして化学
成分毎にメンバーシップ関数を設定するため、前記の従
来方法に比べると簡単であり、効率的だと思われる。し
かし、熱延鋼板の場合、特定の化学成分を添加させてい
る場合も多く、圧延での温度域によって変形抵抗に及ぼ
す各化学成分の影響があり、各スタンドでの歪み速度の
変化を考慮しても、特定材質では変形抵抗予測誤差が生
じやすい。これは、結局、前述の(1)式中の圧下力関
数に誤差が存在するためと考えられる。
【0011】本発明者らは、実機での熱間圧延鋼板の製
造に際し、この中で特に珪素(Si)を0.5%以上添加
したSi 添加鋼での変形抵抗予測誤差が大きいことを経
験上把握していた。Si は、鋼板の成形性向上に効果が
あるため、成形の複雑な部位に用いられる添加元素であ
る。
【0012】このSi 添加鋼は、従来の転位密度の算出
や動的回復等の予測のみでは、歪みの予測と計算圧延荷
重は良く一致する。しかし、例え歪みを予測した計算荷
重を算出しても、各スタンド毎に、計算荷重と実績荷重
とは乖離することが多い。Si 添加鋼については、以上
のような原因から従来より、セットアップ予測誤差のバ
ラツキが大きく、圧延荷重予測精度の向上が製品歩留り
上、かつ圧延時の通板安定上、必要不可欠であった。
【0013】そこで、本発明は、Si 添加鋼の圧延荷重
予測精度を向上させることにあり、それによって、ロー
ルギャップのセットアップ精度を向上させ、製品板厚精
度の向上および歩留りの向上を図ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、複数スタンドがタンデム配置された熱間
連続圧延機において、各スタンドにおける板厚目標値h
i および材料温度予測値Ti に基づいて当該各スタンド
における圧延荷重予測値Pi を求め、この各圧延荷重予
測値Pi に基づいて各スタンドにおける圧延前の初期ロ
ールギャップをセットアップする方法であって、特に添
加元素としてSi を0.5%含有する材料の圧延荷重を
算出する際に、転位密度算出時のSi 含有量に依存する
専用パラメータ(転位密度係数)αを設定し、この専用
パラメータαを用いて圧延荷重を算出することを特徴と
するものである(請求項1)。
【0015】即ち、図1,図2に示すように、各スタン
ドにおける材料温度Ti を予測し、この材料温度予測値
などから平均変形抵抗Kfmi を算出し、この平均変形抵
抗Kfmi と板厚目標値hi とに基づいて、例えば前述し
た(1)式に従って圧延荷重予測値Pi を算出し、この
圧延荷重予測値Pi とミル剛性Mi とに基づき、前述し
た(3)式に従ってロールギャップ位置Si を決定する
セットアップ方法において、図3に示すように、前記平
均変形抵抗Kfmi を求めるために用いられる転位密度ρ
の算出式(加工時の歪みによる転位密度増加の項b・動
的回復速度の項cおよびスタンド間の残留転位密度の化
学成分係数R0 )に、Si 含有量に依存する専用パラメ
ータα1 ,α2 ,α3 を導入し設定する。
【0016】Si については、熱間圧延時の歪みによる
動的回復の遅れだけでなく、再結晶時の軟化により、パ
ス間時間の短い仕上げスタンド後段ほど、計算荷重に対
して実績荷重が低くなる。この歪み再結晶時の軟化は、
Si 量が0.5%以上で顕著であり、また鋼板の加工性
向上のためには、通常Si 量を0.5%以上添加する場
合が殆どである。よって、本発明では、Si を0.5%
以上含有する被圧延材に最適な圧延荷重予測方法を提示
することとした。
【0017】また、Si 鋼は圧延時の圧下率変化による
歪み速度変化の影響を大きく受けるため、前述のように
圧延荷重を算出する際に上記専用パラメータを用いたと
しても、計算荷重と実績荷重の乖離が発生することに注
目し、本発明では、併せて、圧延荷重を算出する際の圧
下力関数Qpiに含まれる各スタンドでの摩擦係数μをS
i 専用として設定し(請求項2)、前記専用パラメータ
αとこの摩擦係数μを用いて圧延荷重を算出する。摩擦
係数の設定により圧下力関数の誤差が減少し、圧延計算
荷重と実績荷重との偏差を減少させ、安定した製品板厚
を得ることが可能となる。
【0018】図3,図4に、セットアップにおいて平均
変形抵抗Kfmi を計算する際、歪みの累積と動的回復の
減少を考慮して転位密度ρを求める手法の1例をフロー
チャートで示す。図3はSi 専用パラメータαを用いる
本発明の場合、図4はパラメータαを用いない従来法の
場合であり、これらの図において、歪みによる転位密度
の増加と動的回復による減少が圧延材の化学成分に依存
する項(b,c)があるが、これらの係数は代表鋼種圧
延時の実績データにより決定されている。本発明では、
Si を0.5%以上含む鋼種について、その圧延荷重実
績データを基にb,c中のSi に係わるパラメータ(α
1 ,α2 )を調整し、計算荷重が実績荷重に合うように
する。また、パス間(スタンド間)での転位密度の変化
ρS ,ρ r の算出時に考慮すべき化学成分係数R0 に含
まれるα3 についても同様に調整実施する。
【0019】これらα1 ,α2 ,α3 の各係数は固定値
であり、通常のSi 未添加鋼では考慮されていない。図
3における平均変形抵抗Kfmi の算出結果と、実際の圧
延データ(荷重・温度の実績値)からKfmi を逆算した
結果とを比較し、b,cおよびR0 の偏差(計算値/実
績値)からSi の影響項を算出する。係数α1 ,α2
α3 にSi の添加量を掛けて影響項としている。
【0020】具体的なSi 専用の係数としては、通常炭
素鋼(C−Mn鋼)をベースとした値に比べて表1に示
すような数値とする。この表1には、通常炭素鋼とSi
鋼の代表成分と、転位密度算出の際の係数例を示す。
【0021】
【表1】
【0022】以上のようにして求めた転位速度ρを用
い、前述した(1)式に従って圧延荷重計算を実施する
と、圧延各スタンドでの歪み(圧下率に依存)の影響を
受けるため、計算荷重では歪みの変化を表現できるよう
になる。しかし、そのように求めた計算荷重と実績荷重
では乖離が大きいため、本発明では同時に、(1)式の
圧延荷重計算式中の圧下力関数Qpiの誤差を低減させる
べく、固定値として与えられる摩擦係数μについても、
Si 鋼については以下に示す表2のように各スタンド毎
で専用に設定する。
【0023】圧下力関数Qpiでは、各スタンドの入側・
出側厚みより中立点角を求めるが、この際のパラメータ
として摩擦係数μを設定する必要がある。摩擦係数μ
は、圧延油・冷却水等の圧延ロール−被圧延材間の状態
によって異なり、実験データを基に決定される。本発明
では、転位密度の調整後に平均変形抵抗Kfmi を算出し
た際と同様な方法で各スタンド毎の荷重偏差(計算荷重
値/実績荷重値)から圧下力関数Qpiの値そのものを合
わせ込むべく摩擦係数μを逆算して求める。
【0024】
【表2】
【0025】上記の転位密度による変形抵抗予測方法・
圧延荷重計算方法によれば、Si 添加鋼専用の転位密度
係数を用いて転位密度を計算し、かつ圧延各スタンドに
おける歪みの変化に応じて荷重を計算することができる
ため、さらに圧下力関数に含まれる摩擦係数を調整する
ため、結果として変形抵抗値・圧延荷重予測値の精度を
向上させることができる。このように、Si 鋼におい
て、他の化学成分を除いた条件で、圧下率等の圧延条件
の変化に対応したセットアップが可能となり、かつセッ
トアップ精度の向上を図ることができる。
【0026】セットアップ精度の向上により、Si 添加
材での圧延材先端部の板厚精度の向上を図ることが可能
となり、また先端部オフゲージ(目標板厚からの偏差)
の減少につながり、製品歩留りの向上を図ることも可能
となる。さらに、セットアップ不良原因の圧延材の通板
性への悪影響も防止でき、圧延中での板寄り・板破断等
の事故防止につなげることもできる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する一実施形
態に基づいて詳細に説明する。この実施形態は、図1に
示すように、7台のスタンドがタンデム配置された熱間
連続仕上げ圧延機1の各スタンドにおける初期ロールギ
ャップおよび初期ロール周速をセットアップ(初期設
定)する例である。
【0028】従来は、セットアップ計算装置2におい
て、図1,図2に示すように、予め決定された各スタン
ドの板厚目標値hi に基づいて得られる先進率からロー
ル周速Vi を決定し、一方、各スタンドにおける材料温
度Ti を予測し、この材料温度予測値から、例えば下記
(2)式に従って平均変形抵抗Kfmi を算出し、この平
均変形抵抗Kfmi と前記板厚目標値hi とに基づいて、
例えば下記(1)式に従って圧延荷重予測値Pi を算出
し、この圧延荷重予測値Pi とミル剛性Mi とに基づ
き、下記(3)式に従ってロールギャップ位置Si を決
定し、ロール開度設定装置3により各スタンドのロール
ギャップを設定している。
【0029】
【数2】
【0030】このような従来法に対して、本発明および
特開平8−243619号では、上記(2)式に代え
て、図3(本発明),図4(特開平8−243619
号)に示す転位密度ρを用いて平均変形抵抗Kfmi を算
出することが行われている。即ち、加工時には、 歪
みεによる増加分と、 下記(4)式に示す動的回復
による減少分と、 動的再結晶ρS0による減少分とか
ら、転位密度ρを求め、この転位密度ρから下記(9)
式に従って変形応力σを求め、この変形応力σから下記
(10)式に従って平均変形抵抗Kfmi を算出する。
【0031】スタンド間では、 下記(11)式に示す
動的再結晶粒の成長による転位密度の変化ρS と、
静的再結晶の発生率Xstと、下記(12)式に示す未再
結晶部の静的回復による転位密度の変化ρr から、残留
転位密度ρN を算出し、この残留転位密度ρN を次スタ
ンドの平均変形抵抗Kfmi の計算に用いる。
【0032】
【数3】
【0033】本発明の図3では、(6)式・(8)式・
(13) 式において、Si に係数α1,α2 ,α3 が付い
ている点が図4と異なる点であり、本発明では、Si を
0.5%以上含有する鋼種に対して、平均変形抵抗Kfm
i の計算値と実測値の偏差などから係数α1 ,α2 ,α
3 (固定値)を決定し、上記(4)〜(13)式を用いて平
均変形抵抗Kfmi を算出し、この平均変形抵抗Kfmi か
ら上記(1)式に従って各スタンドにおける圧延荷重予
測値Pi を算出する。
【0034】さらに、本発明では、これに加えて、上記
(1)式の圧延荷重計算式中の圧下力関数Qpiの誤差を
低減させるべく、その摩擦係数μ(固定値)について
も、各スタンド毎の計算荷重値と実績荷重値の偏差など
から、各スタンド毎に設定する。
【0035】
【実施例】Si 添加鋼の熱間仕上げ圧延に本発明を適用
して圧延を実施した。そのセットアップ精度向上効果を
図6〜図8に示す。Si 添加鋼の化学成分および転位密
度算出のための成分による係数設定値については、前述
した表1に示す通りである。下記の表3に示すように、
表1の条件で従来のSi について歪み変化を考慮せずに
図4の通常式(通常炭素鋼用の変形抵抗式)で計算して
いた場合をベースとしてケース1(従来法)、転位密度
のみSi 専用の係数を設定した場合をケース2(本発明
I)、転位密度と摩擦係数を同時に設定した場合をケー
ス3(本発明II)とする。
【0036】
【表3】
【0037】この各ケースについてSi を約0.8%添
加した鋼種の圧延を実施した。ここで、被圧延材の仕上
げ入側温度は約1050°C、仕上げ出側温度は約85
0°C、被圧延材の仕上げ入側板厚は約30mm、仕上
げ出側板厚は目標値によって異なるが、約1.6〜5m
m程度である。
【0038】ケース1の場合のSi 添加鋼圧延時の材料
先端での計算荷重と実績荷重の差を各スタンドで示した
のが、図5である。この図5から、Si 添加鋼圧延時
は、前段スタンド(F1〜F3)では実績荷重が高め
に、後段スタンド(F4〜F7)ではスタンド毎での差
異が大きく最終スタンドF7では逆に実績荷重が小さく
なっており、圧延荷重予測精度が良くないことがわか
る。
【0039】ケース2(本発明I)では、転位密度の算
出を正確に行うため、実績荷重データから歪みの累積お
よび動的回復をSi 材専用の転位密度係数により考慮し
た場合であり、図6にケース2における各スタンドでの
材料先端部の計算荷重と実績荷重の差を示す。この図6
から、前段スタンドでの圧延荷重精度が好転しており、
従来に比べて圧延荷重予測精度を向上させることができ
る。しかし、後段スタンドでは常に実績圧延荷重の方が
計算荷重に対して小さくなっている。このため、このま
ま圧延すると、先端部の板厚が薄めとなることが予想さ
れる。
【0040】ケース2での各スタンドでの変形抵抗・圧
延荷重・歪みの関係を図8(a) に示す。この図8(a) か
ら、計算圧延荷重のスタント毎の推移は歪みの推移と類
似しており、荷重変化に対する歪みの変化を表現可能と
なっていることが明らかである。しかし、計算荷重と実
際の圧延荷重実績とは後段スタンドで乖離している。こ
れは、荷重計算の際、圧下力関数中に含まれる摩擦係数
の設定がSi 鋼では各スタンドで異なり、誤差が生じて
いることが原因と推定される。よって、本発明では、こ
の摩擦係数をSi 専用に設定することが望ましいことが
わかる。
【0041】ケース3(本発明II) は、ケース2の転位
密度係数の調整に加えて摩擦係数を同時に設定した場合
であり、図7に各スタンドでの材料先端部での計算荷重
と実績荷重の差を示す。また、図8(b) にケース3での
変形抵抗・圧延荷重・歪みの関係を示す。この結果か
ら、各スタンドとも従来に比較して荷重予測精度が好転
し、また歪みが変化した場合でも計算荷重と実績荷重が
ほぼ一致させることが可能なことがわかる。このよう
に、Si 添加鋼では、転位密度の算出精度向上による歪
みの累積および動的回復効果の考慮のみでなく、摩擦係
数の設定が必要であることが明らかになった。
【0042】下記の表4に、Si 含有量の異なるSi 添
加鋼と、通常の比較材である一般低炭素鋼の比較をまと
めたものを示す。この表4から、Si を0.5%以上含
有するSi 添加鋼においては、転位密度係数を用いた本
発明Iはほぼ良好で、転位密度係数と摩擦係数を同時設
定した本発明IIは最も良好であることがわかる。
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】本発明は、以上のような構成からなるの
で、次のような効果が得られる。 (1)Si を0.5%以上含有する被圧延材の圧延荷重
を算出する際に、転位密度算出時のSi 含有量に依存す
る専用パラメータ(転位密度係数)を設定し、そのパラ
メータを用いて圧延荷重を算出するようにしたため、パ
ラメータを実績荷重に基づいて設定するだけの簡単な作
業で、Si 添加鋼の圧延荷重の予測精度を向上させるこ
とができる。
【0045】(2)さらに、上記転位密度算出専用のパ
ラメータを用いると同時に、各スタンドにおける摩擦係
数をSi 専用として設定することにより、圧下力関数の
誤差を低減することができ、Si 添加鋼の圧延荷重の予
測精度をより向上させることができる。
【0046】(3)圧延荷重予測値の精度が向上するこ
とにより、セットアップ精度の向上を図ることができ、
Si 添加材での圧延材先端部の板厚精度の向上を図るこ
とが可能となり、また先端部オフゲージ(目標板厚から
の偏差)の減少につながり、製品歩留りの向上を図るこ
とも可能となる。さらに、セットアップ不良原因の圧延
材の通板性への悪影響も防止でき、圧延中での板寄り・
板破断等の事故防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱間連続圧延機における仕上げセ
ットアップ計算方法を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る熱間連続圧延機での板厚制御にお
けるロール周速およびロールギャップのセットアップ例
を示すフローチャートである。
【図3】本発明のセットアップで変形抵抗を計算する
際、歪みの累積と動的回復による減少を考慮して転位密
度を求める際のフローチャートである。
【図4】従来のセットアップで変形抵抗を計算する際、
歪みの累積と動的回復による減少を考慮して転位密度を
求める際のフローチャートである。
【図5】従来のケース1(通常炭素鋼用の変形抵抗式を
用いたケース)の場合のSi 添加鋼圧延時の材料先端部
での計算荷重と実績荷重の差を各スタンド毎に示したグ
ラフである。
【図6】本発明のケース2(変形抵抗の算出に転位密度
係数を用いたケース)の場合のSi 添加鋼圧延時の材料
先端部での計算荷重と実績荷重の差を各スタンド毎に示
したグラフである。
【図7】本発明のケース3(転位密度係数と共に摩擦係
数を調整したケース)の場合のSi 添加鋼圧延時の材料
先端部での計算荷重と実績荷重の差を各スタンド毎に示
したグラフである。
【図8】本発明のケース2およびケース3での各スタン
ド毎における変形抵抗・圧延荷重・歪みの関係を示した
グラフである。
【符号の説明】
1…熱間連続仕上げ圧延機 2…セットアップ計算装置 3…ロール開度設定装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数スタンドがタンデム配置された熱間
    連続圧延機において、各スタンドにおける板厚目標値お
    よび材料温度予測値に基づいて当該各スタンドにおける
    圧延荷重予測値を求め、この各圧延荷重予測値に基づい
    て各スタンドにおける圧延前の初期ロールギャップをセ
    ットアップする方法であって、 添加元素としてSi を0.5%含有する材料の圧延荷重
    を算出する際に、転位密度算出時のSi 含有量に依存す
    る専用パラメータを設定し、この専用パラメータを用い
    て圧延荷重を算出することを特徴とする熱間連続圧延機
    における板厚制御方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の板厚制御方法におい
    て、圧延荷重を算出する際の圧下力関数に含まれる各ス
    タンドでの摩擦係数をSi 専用として設定することを特
    徴とする熱間連続圧延機における板厚制御方法。
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