JP2001212250A - 生体用光照射装置 - Google Patents
生体用光照射装置Info
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Abstract
より照射部位の血流を増加させて治療効果を発揮させる
ことができる生体用光照射装置を提供する。 【解決手段】 生体用光照射装置において、光源1と、
この光源1からの光から単色光を得る分光器3と、前記
単色光を断続するシャッター4と、前記単色光を生体の
一部に照射する手段とを備え、前記単色光が限定された
波長光であり、前記シャッター4によるエネルギーの低
い可視光の点滅により局所の血流を増加させる。
Description
可視光を生体の局所に点滅照射させる装置に関するもの
であり、生体の局所の血流を増加させて各種疾患の治療
効果を上げるものである。
機器に関しては、科学的に立証されたものは極めて少な
く、わずかに新生児ビリルビン血症の治療や、癌組織に
特異的に蓄積される色素を利用したラジカルによる癌破
壊治療などが上げられるに過ぎない。しかしながら、こ
れまでの経験的な観察から可視光による照射が外傷や手
術創などの創傷治癒を促進したり、皮膚結核の治癒を早
めるとされ、所謂、民間療法としてこれらの治療に使用
されてきた。このような方法は、できるだけ太陽光に近
い波長の可視光を使用した。
た従来の疾病の治療機器では、照射された人が疲労を覚
えるために長時間照射することは難しく、またその効果
が経験的で科学的に立証されたものではなかったため
に、医療として正式に認められることは極めて稀であっ
た。
健康、娯楽を目的として光線を照射するための生体用光
照射装置としては、例えば、特開平8−308943号
公報、特開平10−165524号公報等がある。
用を有する波長の光の点滅照射により照射部位の血流を
増加させて治療効果を発揮させることができる生体用光
照射装置を提供することを目的とする。
成するために、 〔1〕生体用光照射装置において、単色光を得る手段
と、前記単色光を断続する手段と、前記単色光を生体の
一部に照射する手段とを備え、前記単色光が限定された
波長光であり、前記単色光を断続する手段によるエネル
ギーの低い可視光の点滅により局所の血流を増加させる
ことを特徴とする。
において、前記波長光が420nm、540nm、57
5nmの各±10%の波長光であることを特徴とする。
において、前記単色光の断続時間が1kHz以下である
ことを特徴とする。
において、前記単色光を得る手段は、光源からの光から
単色光を得る分光器であることを特徴とする。
において、前記単色光を断続する手段はシャッターであ
ることを特徴とする。
において、前記単色光の断続比を変えるようにすること
を特徴とする。
において、前記単色光の断続比であるon−off比が
1:1から1(on):100(off)であることを
特徴とする。
て詳細に説明する。
果に興味を持ち、自身も被験者となって、前腕屈側部皮
膚への可視光の照射が、ドップラー血流計で測定した結
果、照射部位の皮膚の血液量(血液量に相当)を増加さ
せることを確認していた。1996年から3年間行われ
た特定研究を契機として本研究をより科学的なものにす
るべく、ラットを用いた共同研究を開始した。その動物
を用いた実験により、可視光をラットの尾に点滅(点
灯、消灯各3秒間)照射すると点灯時及び消灯時に、そ
れぞれ尾の照射部位の血流量が増加することを示す結果
が得られた。
素(NOS)について研究をしていたが、この現象に、
血管拡張作用を持つ一酸化窒素(NO)が関与する可能
性を考えた。そこで、本研究により点滅する可視光の照
射による血流増加反応に対するNOSの阻害剤(NG −
monomethyl−L−arginine ace
tate、L−NG MMA)の効果を検討したところ、
消灯時の反応には影響を与えなかったが、この阻害剤は
点灯時の血流の増加を効果的に阻害することが明らかと
なった。
を検討したところ、420nm、540nm、及び57
5nm付近に、それぞれ、作用極大点を持つことが明ら
かになった。これらの波長及びその作用強度は、これま
で明らかにされているNOと結合したヘモグロビンやミ
オグロビン(即ち、NO−ヘモグロビン及びNO−ミオ
グロビン)の吸収極大を示す波長と吸収の程度と一致す
ることが明らかとなったので、可視光点灯時の血流増加
は、ヘモグロビンやミオグロビンのようなNOの貯蔵因
子からのNOの遊離による可能性が最も強いと考えられ
る。
S)にもヘム核がありNOとこのヘム核は結合するの
で、NOSが可視光で活性化される可能性はあるが、N
Oと結合したNOSの吸収は420nmではなく、43
6nmに吸収極大を持つので、前者の貯蔵因子からのN
Oの遊離説の方が可能性は高い。なお、ヒトの前腕屈側
部皮膚への可視光の点滅照射もまた、ラットの尾への照
射と同様に点灯時と消灯時にそれぞれ血流の増加を引き
起こすことを確認している。
に説明する。
装置の模式図である。
0WのXeランプ(発光ダイオードでもよい)の光をレ
ンズ2で集光し分光器3に導いて単色光を得る。この単
色光を電磁開閉式の機構的シャッター4、光量調整のた
めのNDフィルター5を通した後、レンズ6と平面鏡7
によってラット8の尻尾の中央部9に照射する。この照
射された尻尾の中央部9にレーザードップラー血流計1
0のプローブ11を負荷をかけないように接触させる。
されるシャッター駆動装置14により、1:1の開閉比
(開3秒、閉3秒)で駆動し、この開閉信号を血流信号
とともに、A/D変換器16でA/D変換してコンピュ
ーター17に取り込む。なお、図1において、12はプ
ローブ11のカウンターバランス、13は狭帯域通過フ
ィルタ、18はライトシールドである。
続的に想定した血流信号を機構的シャッター4の開閉に
同期させて算術平均することによって光照射期間(開)
および非照射期間(閉)における血流の時間変化を導出
することができる。
ターの開閉に同期しない変化は取り除かれる。ラットに
は視覚からの刺激やシャッター開閉音により聴覚刺激を
与えないようにライトシールドなどを使って十分な注意
を払っている。
照射による血流の時間変化の一例を図2(a)及び
(b)に示す。
ー密度を0.198mW/cm2 から1.49mW/c
m2 の範囲で変えている。縦軸はシャッターが開く直前
の血流値を100とした時のパワー密度あたりの血流増
加率である。横軸はmsec単位の時間で矢印がシャッ
ター開もしくは閉の時点を示している。図2(a)は光
照射期間、図2(b)は非照射期間における血流変化で
ある。
達した後、緩やかに減少する。 (2)シャッターが閉じるとやはり血流は増加し、直ち
に極大に達する。その後シャッターが開いたときよりは
素早く減少していく。 (3)パワー密度当たりの血流の増加率は、照射パワー
密度が大きくなると減少してゆく。
くない照射密度で血流増加率の波長依存性を測定した。
その結果を図3に示す。
中での平均値を示している。血流の増加率は410−4
20nmに強いピーク、540−550nm、570−
580nmにそれよりは1ケタ弱いダブレットピークが
見られる。この作用スペクトルは低スピン状態にある6
配位のFe++ヘムの光学吸収スペクトルに著しく似てい
る〔参照文献(1):Perutz,M.et al.
Influenceof Globin Struct
ures on the State ofthe H
eme.,Biochemistry,15,378−
387(1976)、参照文献(2):O’Keef
e,D.H.,Ebel,R.E.,and Pert
erson,J.A.,Studies of the
Oxygen Binding Site of C
ytochrome P−450.J.Biol.Ch
em.,253,3509−3516(1978)〕。
ヘム化合物であるNO−ミオグロビンの吸収スペクトル
のピーク位置と、その吸収係数の相対値を図中の太い実
線の縦棒で示している。
よるものであるが、ヒトにおいてもほぼ同様の結果が得
られている。ヒトにおいてはラットの場合に比べて血流
が極大に達した後の減衰がより緩やかであるのが目立つ
相違点である。
約1mm以内の層に分布する毛細血管内の血流量を測定
する。この血流量の増加はその上流にある抵抗血管であ
る微少動脈の拡張によるものと考えられる。
る物質であるNOがこの光による血流増加現象に関与し
ていることは十分に予想される。
MAによってこの現象が抑制されるかどうかを調べてみ
た。
群(5匹)とPBSのみを投与したコントロール群(5
匹)各々について個々のラット血流変化を測定し、各群
内で平均して得た平均の血流変化波形を、図4(a)お
よび(b)に示す。照射波長は575nmである。
コントロール群、黒丸はL−NG MMA投与群のデータ
である。エラーバーは標準誤差を示している。
く白丸がコントロール群、黒丸がL−NG MMA投与群
のデータを表している。
射中の血流増加反応はL−NG MMAによって抑制され
ることがわかる。一方、照射を停止した後の過渡的な血
流増加反応はL−NG MMAによっては抑制されないこ
とは明らかである。
加反応は低スピン状態にある6配位のFe++ヘム化合物
による光吸収によって引き起こされること、およびNO
が主要な役割を果たしていることが分かる。
グロビンの光吸収によって遊離のNOが血中に放出さ
れ、これが血管壁にたどり着いてグアニル酸シクラーゼ
に作用して血管拡張を引き起こすことが考えられる。N
O−ヘモグロビンはNOのリザーバーとして生体内の循
環血内に常に存在する事が分かってきている〔参考文献
(3):Kosaka,H.,et al.,ESR
spectral transition by ar
teriovenous cycle in nitr
ic oxide hemoglobin of cy
tokine−treated rats.Am.J.
Physiol.266,C1400−C1405(1
994)〕このNO−ヘモグロビンの濃度は局所でのN
O産生と消費のバランスで決まっていると考えられる。
従って、光照射によってその局所のNO−ヘモグロビン
が消費されるに従い、遊離のNO濃度の増加も減少し、
血流増加率も減少すると考えられる。照射が停止する
と、再びNO産生が上回ってNO−ヘモグロビンが蓄積
される。L−NG MMAはNO合成酵素(NOS)にお
けるNO合成を阻害するので結果的にNO−ヘモグロビ
ンの濃度が減少し、従って光照射によるNO放出も減少
する。
nm、540nm、575nmの各±10%の波長の可
視光を、生体の局所へ照射、しかも点滅照射することに
より、その局所の血流が増加することをラット、および
ヒトにおいて確認できた。なお、その原因は、その波長
特性から、一酸化窒素と結合したヘモグロビン等から一
酸化窒素が遊離することによるものと考えられる。
ランプのごとき)+分光器+シャッターの構成とした
が、この構成以外によっても特定波長の断続光を得るこ
とはできるので、以下それについて説明する。
ル型の照射装置の構成図、図6は他の照射装置の照射パ
ネルの模式図である。
コントロールおよびon−off変調用マイクロプロセ
ッサー(MP)、21〜23は電源(P1〜P3)、2
4は415nmの波長光のLED(D1)、25は54
0nmの波長光のLED(D2)、26は575nmの
波長光のLED(D3)、27,29は光ファイババン
ドル、28は光を混合する混合器、30は照射治具とし
ての照射器である。
40nm,575nmの3種類のLED31〜33を6
角形の単位(LEDの組)34を1単位として配列し、
その強度、on−off変調を、図5の場合と同じよう
に、マイクロプロセッサー(MP)で行なう。また、照
射部位の面積に合わせて点灯するLEDを上記6角形の
単位34で選択するようにする。
mの3種類のLEDだけでなく、1450nm付近のピ
ークを持つLEDを組み合わせる応用の場合も基本的に
図5及び図6と同じようにできる。
りにタングステンフィラメント豆球と1450nmのバ
ンドパスフィルターを組み合わせるようにしてもよい。
特定波長(例えば、575nm)の光だけを通す狭帯域
フィルターを用いるようにしてもよい。
ィルターを用いた照射装置の構成図である。
鏡41の中心に光源となるランプ(ハロゲン、メタルハ
ライドなど)42を置き、このランプ42から後方に出
た光の熱線成分はそのまま後方に、可視光成分のみをラ
ンプ42の位置に集光させる。このようにセットしたラ
ンプ42の位置から前方に出射する光束をレンズ43に
よって平行光にし、熱線吸収もしくは反射型の熱線カッ
トフィルター44によって可視光のみを前方に透過させ
る。
mのいずれかを中心波長として±10%のバンド幅の光
のみを透過させるバンドパスフィルター45によって上
記3種のいずれかの単色光を得る。このときこのバンド
パスフィルター45をターレット状にして任意に交換で
きるようにしてしてもよい。さらに、シャッター46に
よってこの単色光束を所定の周波数で断続変調しレンズ
47によって一度集光させてからレンズ48によっても
う一度光束に任意の広がりを持たせる。そのシャッター
46は機械式でもよいが液晶を使ってもよい。レンズ4
8は照射面50上での配光を調節するためにレンズ47
に対して可動になっている。
その断続のon−off比を変えるようにすることがで
きる。例えば、そのon−off比を1:1から1(o
n):100(off)の範囲に設定する。その理由
は、血流が小さいところで照射光量が大きくなると血流
中のNOが消費し尽くされてしまってそれ以上長く光を
当てていても効果がなくなってしまうからである。すな
わち、光が切れている間に新しい血流が照射領域に流れ
込んできて再びNOが補給される。照射時間と待ち時間
の兼ね合いは照射部位によって異なる。
置は、限定された波長を用いて、エネルギーの低い可視
光を照射することにより、照射による生体の弊害なく、
有効に局所の血流を増大させることを可能としたもので
あり、創傷治癒の促進はもとより、末梢循環不全を起こ
す疾患(動脈硬化性血管閉塞症など)、血流増加により
改善される疾患(肝臓疾患など)等の非観血的治療にも
用いることができる。
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、それらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
よれば、以下のような効果を奏することができる。
滅照射により照射部位の血流を増加させて治療効果を発
揮させることができる。
されるものには、外傷や手術創の創傷治癒の促進以外に
以下のような疾患が考えられる。
患 動脈硬化性血管閉塞症 糖尿病性循環不全 レイノー氏病、バージャー氏病 以上の疾患は、それぞれ、生活習慣病の一つと考えられ
る心筋梗塞の原因となる動脈硬化、糖尿病、及び不明の
原因等による末梢血流不全が原因で起こり、跂行、疼
痛、痙攣、硬直、冷感、壊疽等を来す疾患である。
あっても副作用の強いものしかないのが現状である。末
梢血管の収縮を防ぐために交感神経を外科的に除去した
り、交感神経遮断剤が使われたり、外科的に狭窄部位を
切除したりする療法は行われるが、有効な非観血的な治
療法はない。
や改善促進が期待される疾患 急性及び慢性肝炎などの肝臓疾患 狭心症及び心筋梗塞 肩凝り やや身体の深部にある臓器や組織の疾患であるが、非観
血的な可視光の点滅による治療効果が期待される。
置は、NOを遊離するところにその特徴があり、NOの
増加による治療効果が期待される疾患への応用を目的と
するところにその特色がある。これまで使用されている
太陽光の装置では熱を発生し、その熱が照射された人に
疲労感を与えるために長時間の照射が不可能であった
が、本発明に係る生体用光照射装置では熱をほとんど使
用せず、疲労感を与えることなく長時間著しい血流増加
を引き起こし得るところに、その利点がある。
図である。
られたラットにおける光照射による血流の時間変化の一
例を示す図である。
大きくない照射密度で血流増加率の波長依存性を測定し
た一例を示す図である。
(5匹)とPBSのみを投与したコントロール群(5
匹)各々について個々のラット血流変化を測定し、各群
内で平均して得た平均の血流変化波形を示す図である。
装置の構成図、図6は他の照射装置の照射パネルの模式
図である。
用いた照射装置の構成図である。
Claims (7)
- 【請求項1】 生体用光照射装置において、(a)単色
光を得る手段と、(b)前記単色光を断続する手段と、
(c)前記単色光を生体の一部に照射する手段とを備
え、(d)前記単色光が限定された波長光であり、前記
単色光を断続する手段によるエネルギーの低い可視光の
点滅により局所の血流を増加させることを特徴とする生
体用光照射装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の生体用光照射装置におい
て、前記波長光が420nm、540nm、575nm
の各±10%の波長光であることを特徴とする生体用光
照射装置。 - 【請求項3】 請求項1記載の生体用光照射装置におい
て、前記単色光の断続時間が1kHz以下であることを
特徴とする生体用光照射装置。 - 【請求項4】 請求項1記載の生体用光照射装置におい
て、前記単色光を得る手段は、光源からの光から単色光
を得る分光器であることを特徴とする生体用光照射装
置。 - 【請求項5】 請求項1記載の生体用光照射装置におい
て、前記単色光を断続する手段はシャッターであること
を特徴とする生体用光照射装置。 - 【請求項6】 請求項1記載の生体用光照射装置におい
て、前記単色光の断続比を変えるようにすることを特徴
とする生体用光照射装置。 - 【請求項7】 請求項6記載の生体用光照射装置におい
て、前記単色光の断続比であるon−off比が1:1
から1(on):100(off)であることを特徴と
する生体用光照射装置。
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