JP2001207240A - 冷間引き抜き加工後の真直性に優れた鋼材 - Google Patents
冷間引き抜き加工後の真直性に優れた鋼材Info
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Abstract
送り精度を達成するために必要なローラ軸部の真直性
(冷間引き抜き加工後の真直性)を改善した鋼材、およ
びこの様な鋼材を製造するための有用な方法を提供す
る。 【解決手段】 本発明の鋼材は、フェライト結晶粒度が
JIS G 0552による粒度番号で11.0番以下
であり、且つNの含有量が0.01%以下のものであ
り、こうした鋼材を製造するには、800℃以上の温度
で熱間加工を終了した後、800〜600℃の温度範囲
を冷却速度3.0℃/秒以下で冷却すれば良い。
Description
いられる高精度、高速搬送用ローラのうち、印刷機や複
写機で用いられる各種紙送りローラや紙幣送りローラ等
の送給、排紙ローラ軸に使用される線材や棒鋼等の鋼
材、およびその製造方法に関するものであり、殊に冷間
引き抜き加工後の真直性に優れた鋼材、およびこうした
鋼材を製造する為の有用な方法に関するものである。
り化(カラー化)が進められるに伴って、高い紙送り精
度が重要視される様になっており、こうしたことから上
記産業機械で用いられる送給、排紙ローラにも高い精度
が望まれている。
当たっては、まず線状圧延鋼材を冷間引き抜き加工およ
び矯正した棒鋼を、所定に長さに切断してローラ軸部で
ある丸棒が作製されるが、こうした製造方法においてロ
ーラ軸部の紙送り精度を高めるためにこれまで様々な技
術が提案されている。
11−20962号には、金属製丸棒円周面に塑性加工
によって複数のスパイク状突起を形成することで、紙と
のグリップ性を高めて紙送り精度を高めることが開示さ
れている。また特開平10−329971号には、金属
製丸棒表面にアルミナや炭化珪素等の砥粒を固着するこ
とによって紙とのグリップ性を高めて紙送り精度を高め
る技術が提案されている。更に、特開平8−30149
6号には、金属製丸棒表面をゴムで覆うことによって、
紙とのグリップ性を増加させて精度の高い送給性が達成
されることが示されている。
各技術は、いずれもその表面性状を調整するという観点
からなされたものであり、その素材となる丸棒の特性に
ついて検討したものではない。即ち、紙送り精度を高め
るためには、そもそもローラ軸部に用いられる丸棒が真
っ直であること、換言すれば冷間引き抜き加工後の真直
性が高いことが基本的に重要な特性となるのであるが、
こうした観点から検討された技術はこれまで殆ど提案さ
れていないのが実状である。こうした技術として、わず
かに特開平4−168244号には、機械構造用鋼中の
窒素をAlによってAlNとして固定し、固溶窒素を低
減することによって真直性を向上させる技術が提案され
ているのみである。
の下でなされたものであり、その目的は、送給、排紙ロ
ーラで問題となっている高い紙送り精度を達成するため
に必要なローラ軸部の真直性(冷間引き抜き加工後の真
直性)を改善した鋼材、およびこの様な鋼材を製造する
ための有用な方法を提供することにある。
発明の鋼材とは、フェライト結晶粒度がJIS G05
52による粒度番号で11.0番以下であり、且つNの
含有量が0.01%以下である点に要旨を有するもので
ある。
るものであるが、その基本的な化学成分組成としては、
C:0.15%以下(0%を含まない)、Si:0.0
5%以下(0%を含む)、Mn:0.3〜2%、P:
0.2%以下(0%を含む)、S:0.08〜0.5
%、Al:0.05%以下(0%を含む)を夫々含有す
るものが挙げられ、これによって鋼材に被削性を具備す
ることができる。
b:0.4%以下(0%を含まない)、Bi:0.4%
以下(0%を含まない)、Te:0.2%以下(0%を
含まない)、Se:0.3%以下(0%を含まない)、
Sn:0.4%以下(0%を含まない)およびIn:
0.4%以下(0%を含まない)よりなる群から選択さ
れる1種以上を含有することも有効である。
は、800℃以上の温度で熱間加工を終了した後、80
0〜600℃の温度範囲を冷却速度3.0℃/秒以下で
冷却する様にすれば良い。
び矯正して得られた磨き棒鋼に曲がりが生じる主な原因
は、冷間加工後の磨き棒鋼表層部に残存する残留応力に
起因していると考えられた。そこで本発明者らは、上記
の様な残留応力を低減するという観点から検討した。そ
の結果、残留応力を低減する為には鋼材の加工硬化率を
小さくすることが有効であり、その為にはフェライト結
晶粒径を適正値にすると共に、窒素含有量を低減すれば
良いことを見出し、本発明を完成した。
材には、コイル状に巻かれた線材を使用するので、コイ
ル状に丸まった圧延鋼材内側表層部は、圧延鋼材中心部
(軸心部)に比べて縮んでいる。例えば図1に示す様
に、中心線長さをS、内側表層部の縮んでいる長さをε
とすると(即ち、内側表層部の長さはS−ε)、外側表
層部は長さεだけ伸びていることになる(即ち、外側表
層部の長さはS+ε)。そして、こうした状態の圧延鋼
材を延ばして冷間引き抜き加工し、塑性変形してLだけ
伸びた棒鋼が得られたとしても、もともと内側表層部と
外側表層部には、下記(1)式で示される量の伸びの差
(2ε)が存在することになる(図2)。 (S+ε+L)−(S−ε+L)=2ε ……(1)
性回復した引き抜き棒鋼の表層部には、上記した伸びの
差(2ε)に起因する残留応力が生じる為に、引き抜き
棒鋼に曲がりが発生するのである。そして、この様な引
き抜き棒鋼を矯正機にかけて磨き棒鋼にして曲がり量を
低減したとしても、鋼材の真直性を改善するための根本
的な解決手段にはなり得ないのである。
ための手段としては、応力−歪み曲線の塑性変形領域の
傾きdε/dσを小さくし、2εに起因する応力をでき
るだけ低く抑えることが肝要である。言い換えれば、加
工硬化率をできるだけ小さくすることが必要である。そ
してその為には、まずフェライト結晶粒径を大きくする
こと(フェライト結晶粒度番号を小さくすること)が重
要であり、またその第2の手段として加工硬化率増大を
引き起こす成分である窒素を鋼材中から極力抑制するこ
とが重要であることを見出したのである。
イト結晶粒度をJIS G 0552による粒度番号で
11.0番以下、Nの含有量を0.01%以下に規定し
たものであるが、これらの範囲限定理由は下記の通りで
ある。
2による粒度番号で11.0番以下 フェライト結晶粒度(フェライト粒径)は、加工硬化率
を低下させるのに有効なパラメータであり、フェライト
結晶粒度番号が11.0番を超えると加工硬化率が高く
なり過ぎて、冷間引き抜き加工並びに矯正後磨き棒鋼の
曲がり量が大きくなってしまう。尚、フェライト結晶粒
度番号の好ましい上限値は、9.8番である。
合格率の関係を示したグラフである。ここで真直性合格
率とは、曲がり量50μm以下の鋼材の割合を合格とし
てパーセントで表したものである。この図3から明らか
な様に、フェライト結晶粒度番号が11.0以下で合格
率90%を達成しており、9.8番以下でほぼ100%
の合格率が得られていることが分かる。
の曲がり量と鋼中の固溶N量[N]の関係について調べ
たところ、鋼中の固溶[N]が多いほど磨き棒鋼の曲が
り量が大きくなることが判明したのである。鋼中の固溶
[N]の多量な存在は、鋼材の加工硬化を増大させるの
で、コイル状に巻かれた鋼材を冷間引き抜き加工する
と、表面加工によって鋼表層部円周方向各部位で大きく
異なった残留応力が生じ、冷間引き抜き加工後に矯正加
工を施しても曲がりが多く残留する要因となると考えら
れる。この様な磨き棒鋼の曲がりを残存させないために
は、鋼中に含まれる固溶[N]は極力低減させる必要が
ある。本発明ではこうした観点から、鋼中のN含有量を
0.01%以下と規定した。尚、N含有量は好ましくは
0.008%以下とするのが良く、この範囲とすること
によって本発明の効果が最大限に達成される。
(合格率の評価は上記の通り)の関係を示したグラフで
ある。この図4から明らかな様に、N含有量が0.01
%以下で合格率90%を達成しており、0.008%以
下でほぼ100%の合格率が得られていることが分か
る。
るものであるが、その基本的な成分であるC,Si,M
n,P,S,Alの好ましい範囲およびその理由は下記
の通りである。
面粗さ)を良好にするのに有効な元素である。しかしな
がら、過剰に含有させると硬くなり過ぎて、工具寿命が
悪くなるので、0.15%以下にするのが良い。尚C含
有量のより好ましい下限は0.05%であり、より好ま
しい上限は0.10%である。
剰になるとフェライトを固溶強化するため加工硬化し、
真直性に悪影響を及ぼすことになる。またSi含有量が
過剰であると、溶解時の鋼中酸素濃度が低下してMnS
中の酸素濃度が低下して、MnSの形態が被削性に不利
なものとなり、仕上げ面粗さが粗くなる。こうした観点
から、Si含有量は0.05%以下に抑制することが好
ましい。尚Si含有量のより好ましい上限は0.03%
であり、更に好ましくは0.01%以下とするのが良
い。
0.3%未満であるとFeSが生成して圧延中に液相が
生じるので、割れが生じ易くなる。こうした観点からM
n含有量は0.3%以上とすることが好ましいが、切り
屑分断性に寄与するMnSを形成する以上にMnを加え
ると、フェライト固溶によって加工硬化を引き起こし、
真直性に悪影響を及ぼすため、S量に合わせて2%以下
にするのが良い。尚Mn含有量のより好ましい下限は
0.5%であり、より好ましい上限は1.5%である。
き抜き加工並びに矯正した磨き棒鋼表面に残留応力が生
じ易くなる。また、鋼材の硬さを高めて工具寿命を短く
することから、できるだけ少ない方が好ましい。P含有
量が0.2%以下では真直性に対する実質的な悪影響が
表れないので、P含有量は少なくとも0.2%以下にす
るのが良い。尚P含有量のより好ましい上限は、0.1
%であり、この範囲ではPによる工具寿命への悪影響は
殆ど現れない。
満では、仕上げ面粗さが粗くなる。S含有量は0.15
%以上であることがより好ましいが、S含有量が過剰に
なって0.5%を超えると、表面疵が多くなってしま
う。尚S含有量のより好ましい上限は、0.4%であ
る。
が、このAlNはピンチ効果として転位の移動を妨げる
ので、上記固溶[N]よりは小さいとは言え、冷間引き
抜き加工および矯正加工を施しても曲がり量に影響を及
ぼすことがある。こうした観点から、その含有量は0.
05%以下とするのが良い。また、Alの含有量が0.
05%を超えて過剰になると、多量のAlNが析出する
ことによる加工硬化増加を招くばかりか、溶解時の鋼中
酸素濃度が低下してMnS中の酸素濃度が低下するの
で、MnSの形態が被削性に不利なものとなって、仕上
げ面粗さが粗くなる。尚Al含有量のより好ましい上限
は0.01%であり、更に好ましくは0.005%以下
とするのが良い。
の基本的な化学成分組成は上記の通りであり、残部は実
質的にFeからなるものであるが、必要によって、P
b,Bi,Te,Se,SnおよびInよりなる群から
選択される1種以上を添加することも有効であり、これ
らはいずれも被削性向上に寄与する。これらを添加する
ときの各成分の範囲限定理由は下記の通りである。
剰になって0.4%を超えると熱間加工性が悪くなり、
圧延材の表面疵が多くなってしまう。尚Pb含有量の好
ましい上限は0.3%である。
が、Biを過剰に含有させて0.4%を超えると熱間加
工性が悪くなり、圧延材の表面疵が多くなってしまう。
尚Biの好ましい上限は0.3%である。
し、被削性を向上させる元素であるが、Teの含有量が
0.2%を超えると熱間加工性が低下し、圧延材の表面
疵が生じてしまう。尚Teの好ましい上限は0.15%
である。
し、被削性を向上させる元素であるが、Seの含有量が
0.3%を超えると高温硬度が高くなってかえって被削
性が低下してしまう。尚Seの好ましい上限は0.2%
である。
有量が過剰になって0.4%を超えると熱間加工性が悪
化し、圧延材の表面疵が多くなってしまう。尚Snの好
ましい上限は0.3%である。
有量が過剰になって0.4%を超えると熱間加工性が悪
化し、圧延材の表面疵が多くなってしまう。尚Inの好
ましい上限は0.3%である。
r,Ni,V,Ti,Nb等を含有させることも有効で
あり、これらは高強度化に寄与するが、これらの元素を
含有させるときには真直性および工具寿命の観点から各
々1%以下とすることが好ましい。
にもその特性を阻害しない程度の微量成分を含み得るも
のであり、こうした快削鋼も本発明の技術的範囲に含ま
れるものである。こうした微量成分としては、B,O等
の許容成分や、Cu,Ca,Mg,As,希土類元素等
の不純物、特に不可避的不純物が挙げられる。
は、800℃以上の温度で熱間加工を終了した後、80
0〜600℃の温度範囲を冷却速度3.0℃/秒以下で
冷却する様にすれば良いが、この製造方法における各要
件の規定理由は次の通りである。
終了温度)が800℃未満では、冷却しても所望のフェ
ライト結晶粒を得ることができない。こうしたことから
本発明方法では、少なくとも熱間加工終了温度を800
℃以上となる様に調整する必要があるが、フェライト結
晶粒度番号を9.8番以下とする為には、好ましくは熱
間加工終了温度を850℃以上とするのが良い。
くする為には、熱間加工後に800〜600℃の温度範
囲を冷却速度3.0℃/秒以下で冷却する必要がある。
このときの冷却速度が3.0℃/秒を超えると、フェラ
イト結晶粒が大きくならず、冷間引き抜き加工および矯
正後の磨き棒鋼の曲がり量が大きいままである。こうし
た観点から、上記冷却速度は3.0℃/秒以下となる様
に調整する必要があるが、フェライト結晶粒度番号を
9.8番以下とする為には、上記冷却速度は好ましくは
1.9℃/秒以下とするのが良い。尚、冷却速度3.0
℃/秒以下で冷却する温度範囲を800〜600℃とし
たのは、この温度域に存在するγ/α変態点近傍の冷却
速度がフェライト粒粗大化に大きな影響を与えるからで
ある。
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
鋼を準備し、これらを下記表3,4に夫々示す熱間圧延
仕上げ温度で圧延を終了すると共に、800〜600℃
の温度範囲を各種冷却速度で冷却して9.5mmφの供
試材とした。
粒度番号および真直性について調査した。このときフェ
ライト結晶粒度番号は、各圧延材から任意に10箇所抜
き取ったサンプルの横断面を、表層部から中心方向で直
径の1/4深さ入った領域の粒度をJIS G 055
2に準拠して測定し、その平均値を求めたものである。
る。まず、化学分析によって鋼中N量を測定する。次
に、抽出残渣法によってAlNの量を分析してAlと結
合しているN量を求める。それらの差(−)が固
溶[N]量となる。ここで、固溶[N]量と鋼中のN含
有量との関係を実験で調べてみると、図5に示す様に、
それらの間には直線的な対応関係があるが分かった。従
って、磨き棒鋼の曲がりを残存させないための条件とし
て、固溶[N]量の代りに鋼中のN含有量で規定しても
良いことが分かる。尚、上記残渣法でAlN量を分析す
るに当たっては、まず10%のアセチルアセトン系電解
液を用いて鋼材を溶かし、得られた溶液をメッシュサイ
ズ0.2μmのフィルターで吸収濾過して残渣を抽出し
た。この残渣を用いて中和滴定法でAlNを定量した。
合格率によって評価したが、この真直度合格率は次の手
順で算出した。まず9.5mmφの供試材から、8.0
mmφの磨き棒鋼を作製した。このときの矯正は、伸線
に引き続き2ロール矯正機を使用して行なった。次に、
磨き棒鋼を500mm長さに切断後、スパン400mm
のVブロック上に置いて回転させることで、中央部に配
した変位測定用レーザによって磨き棒鋼の曲がりを測定
した。
き棒鋼の回転につれて前記中央部に変位が生じるので、
変位測定用レーザの検出値は一定とならない。そこで、
磨き棒鋼を数回転させる間のその検出値の最大値から最
小値を差し引いた値を磨き棒鋼の変位量として求め、そ
の変位量をここでは曲がり量と定義した。測定本数は各
磨き棒鋼から任意に100本ずつ行ない、曲がり量50
μm以下のものを合格としてその割合とパーセントで求
めた。また得られた圧延材の表面状態と磨き棒鋼被削性
の評価は、下記の様にして行なった。これらの結果を、
下記表3,4に一括して示す。
○、有れば×と評価した。 (磨き棒鋼被削性)下記の切削試験(旋削加工)条件で
切削加工した後、仕上げ面粗さで良否(○、×)を評価
した。 工 具 :P10 切削速度:150m/min 送 り :0.05mm/rev 切り込み:2.0mm
A1〜A6は、N含有量を変えた結果を示したものであ
る。このうちA1〜A4は、N含有量が本発明で規定す
る範囲を満足するものであるので、真直度合格率で92
%以上が得られている。これに対し、N含有量が本発明
で規定する範囲を超えるA5(N:0.0125%)で
は、加工硬化による曲がり量が大きく真直合格率が74
%となっており、また同じくA6(N:0.0151
%)に関しては真直合格率が63%にしかなっていな
い。
えた結果を示したものである。このうち本発明で規定す
るフェライト結晶粒度番号を大きく上回るB1では、真
直度合格率が53%しか得られなかった。これは、結晶
粒径が小さくなり過ぎて、加工硬化が大きくなった為と
考えられる。また、B2,B9〜B11,B16,B1
7,B19およびB20は、本発明で規定するフェライ
ト結晶粒度番号を上回っていたので、真直度合格率は9
0%未満になっていた。
5,B18およびB21では、フェライト結晶粒度番号
が11.0番以下となっており、真直度合格率が90%
以上であり、特にB3〜B5,B12〜B15およびB
18では、フェライト結晶粒度番号が9.8番以下とな
っている為、真直度合格率がほぼ100%近くまで達し
ていた。
示したものである。Siはフェライトの固溶強化を引き
起こす為に、Si含有量が本発明の好ましい上限値であ
る0.05%を超えるC3,C4では、被削性に不利な
MnS形態であったため、仕上げ面粗さが粗くなり被削
性が低下した。またフェライト中への固溶加工硬化を引
き起こしたため、真直度合格率も若干低い値を示した
(各々94%、91%)。
示したものである。このうちD2,D3およびD4は、
Mn含有量が本発明の好ましい範囲内にあるので真直度
合格率が90%以上を達成したが、本発明で規定する上
限を超えるD5では、MnSが多く析出しているので圧
延材表面に疵が多く発生した。また、Mn含有量が本発
明の好ましい下限値を下回るD1は、真直度合格率が9
9%を得たが、圧延時に多量の液相FeSによる表面疵
が発生した。
したものである。本発明の好ましい上限を超えるE3の
ものでは鋼材硬度上昇よる工具寿命低下により、仕上げ
面粗さも劣化した。またフェライト中への固溶加工硬化
を起こしたため、真直度合格92%と若干低い値を示し
た。
示したものである。Al含有量が本発明の好ましい上限
値を超えるF3では、MnSが酸素濃度低下によって被
削性に不利な形態を呈したため、仕上げ面粗さが粗くな
った。また多量のAlN粒の析出により加工硬化を引き
起こたため、真直度合格率も93%と若干低い値を示し
た。
たものであるが、Pb含有量が本発明の好ましい上限値
の0.4%以下であるG1〜G5のものは、真直度合格
率が97%以上を得ることができた。しかしながら、N
含有量が本発明で規定する0.01%を超えるG6
(N:0.0129%)では、真直合格率が70%しか
得られなかった。また、フェライト結晶粒度番号が本発
明で規定する11番を超えるG7(結晶粒度番号:1
2.3番)では、真直度合格率が56%しか得られなか
った。
示したものである。Bi含有量が本発明の好ましい上限
値の0.4%以下であるH1〜H4では、真直度合格率
が99%以上を得ることができた。しかしながら、N含
有量が本発明で規定する0.01%を超えるH5(N:
0.0159%)では、真直度合格率が59%であっ
た。また、フェライト結晶粒度番号が本発明で規定する
11番を超えるH6(結晶粒度:12.4番)では、真
直度合格率が51%しか得られなかった。
i,Te,Se,Sn,In)を含有させた結果を示し
たものである。このうち本発明で規定する範囲内でこれ
らの元素を含有させたJ1,J4,J5,J6,J9,
J10,J11,J14〜J18では、真直度合格率9
0%以上が確保できたが、N含有量が本発明で規定する
0.01%を超えるJ2(N:0.0177%)、J7
(N:0.0182%)およびJ12(N:0.018
9%)では、N固溶による加工硬化率増加によって真直
度合格率が夫々55%,52%および58%であった。
また、フェライト結晶粒度番号が本発明で規定する11
番を超えるJ3(結晶粒度番号:12.4番)、J8
(結晶粒度番号:12.3番)およびJ13(結晶粒度
番号:12.4番)では、真直合格率が夫々52%,5
0%および54%と低い値に留まった。
V等の元素を含有させた結果を示したものであるが、い
ずれも真直度合格率が96%以上の高い値を示してい
た。
給、排紙ローラで問題となっている高い紙送り精度を達
成するために必要なローラ軸部の真直性(冷間引き抜き
加工後の真直性)を改善することのできる鋼材が実現で
きた。
さの差を説明する為の図である。
を示した概略説明図である。
係を示したグラフである。
たグラフである。
フである。
Claims (4)
- 【請求項1】 フェライト結晶粒度がJIS G 05
52による粒度番号で11.0番以下であり、且つNの
含有量が0.01%(質量%の意味、以下同じ)以下で
あることを特徴とする冷間引き抜き加工後の真直性に優
れた鋼材。 - 【請求項2】 C:0.15%以下(0%を含まな
い)、Si:0.05%以下(0%を含む)、Mn:
0.3〜2%、P:0.2%以下(0%を含む)、S:
0.08〜0.5%、Al:0.05%以下(0%を含
む)を夫々含有して被削性を具備せしめたものである請
求項1に記載の鋼材。 - 【請求項3】 更に、Pb:0.4%以下(0%を含ま
ない)、Bi:0.4%以下(0%を含まない)、T
e:0.2%以下(0%を含まない)、Se:0.3%
以下(0%を含まない)、Sn:0.4%以下(0%を
含まない)およびIn:0.4%(0%を含まない)よ
りなる群から選択される1種以上を含有するものである
請求項2に記載の鋼材。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の鋼材を
製造するに当たり、800℃以上の温度で熱間加工を終
了した後、800〜600℃の温度範囲を冷却速度3.
0℃/秒以下で冷却することを特徴とする冷間引き抜き
加工後の真直性に優れた鋼材の製造方法。
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JP2000348751A JP4516203B2 (ja) | 1999-11-16 | 2000-11-15 | 冷間引き抜き加工後の真直性に優れた鋼材 |
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JP32601499 | 1999-11-16 | ||
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