JP2001207044A - エラストマー組成物 - Google Patents

エラストマー組成物

Info

Publication number
JP2001207044A
JP2001207044A JP2000019623A JP2000019623A JP2001207044A JP 2001207044 A JP2001207044 A JP 2001207044A JP 2000019623 A JP2000019623 A JP 2000019623A JP 2000019623 A JP2000019623 A JP 2000019623A JP 2001207044 A JP2001207044 A JP 2001207044A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propylene
weight
mixture
component
elastomer composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000019623A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Masubuchi
徹夫 増渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2000019623A priority Critical patent/JP2001207044A/ja
Publication of JP2001207044A publication Critical patent/JP2001207044A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品表面の耐傷付き性(耐スクラッチ
性)に優れ、また柔軟性、耐熱性、低温特性、耐候性、
強度、成形加工性に優れるため、自動車、家電、玩具、
雑貨品等に利用できる。表面の耐傷付き性に優れるた
め、塗装工程をなくすことができ、高生産性、低コスト
が実現される。 【解決手段】 次の(a)および(b)成分からなる熱
可塑性エラストマー組成物。 (a)ポリエステル系エラストマー:100重量部 (b) (b−1)ポリプロピレン系重合体(プロピレンを85
重量%以上含む):10〜60重量% (b−2)エチレン−プロピレン系共重合体ゴム(プロ
ピレンを75重量%以下含む):40〜90重量%の混
合物であって、該混合物中のエチレン−プロピレン系共
重合体ゴムの平均分散粒径が2μm以下、該混合物の曲
げ弾性率が20〜700MPa、ショアD硬さが20〜
60、ポリプロピレン混合物:5〜900重量部からな
ることを特徴とするエラストマー組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は成形品表面の耐傷付
き性(耐スクラッチ性)に優れ、また柔軟性、耐熱性、
低温特性、耐候性、強度、成形加工性に優れた各種成形
物の素材として利用できる熱可塑性エラストマー組成物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は加硫ゴムが主流であった自動車部
品、家電部品、医療部品、雑貨用途に、生産性の優れる
熱可塑性エラストマーが多く利用されるようになってき
ている。これらの例としてはエチレン−プロピレン共重
合体とポリプロピレンからなるオレフィン系エラストマ
ー、ポリウレタンエラストマー、軟質ポリ塩化ビニル等
が挙げられる。
【0003】しかしながらこれらの成形材料は、耐スク
ラッチ性、柔軟性、加工性、経済性、リサイクル性の面
でそれぞれ欠点を有しているのが現状である。すなわち
オレフィン系エラストマーは比較的安価で耐候性、耐熱
性に優れるものの柔軟性、耐スクラッチ性に劣る。ま
た、ポリエステル系エラストマーは耐スクラッチ性に優
れるものの、比重が大きくかつ高価であるという欠点を
有している。また軟質塩化ビニルは、比較的安価であり
耐候性、耐スクラッチ性に優れるものの、低温での柔軟
性、リサイクル性に劣るという欠点を有している。
【0004】また、ビニル芳香族化合物−共役ジエン化
合物ブロック共重合体の水素添加誘導体(以下、水添ブ
ロック共重合体と略記する)を用いたエラストマー組成
物についてもいくつかの提案がなされている。例えば特
開昭50−14742号、特開昭52−65551号、
特開昭58−206644号各公報には水添ブロック共
重合体にゴム用軟化剤およびオレフィン系樹脂を配合し
た組成物が開示されている。しかしこれらの組成物もオ
レフィン系エラストマーと同様、耐スクラッチ性の劣る
ものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
技術課題を背景になされたもので、柔軟性、耐候性、耐
熱性、低温特性、強度、成形加工性に優れた熱可塑性エ
ラストマーおよび、該組成物よりなる耐スクラッチ性に
優れ、表面の塗装の不要なエラストマー部材を提供する
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、 (a)ポリエステル系エラストマー:100重量部 (b) (b−1)ポリプロピレン系重合体(プロピレンを85
重量%以上含む):10〜60重量% (b−2)エチレン−プロピレン系共重合体ゴム(プロ
ピレンを75重量%以下含む):40〜90重量% の混合物であって、エチレン−プロピレン系共重合体ゴ
ムの平均分散粒径が2μm以下、該混合物の曲げ弾性率
が20〜700MPa、ショアD硬さが20〜60、メ
ルトフローレートが10〜60g/10分であるポリプ
ロピレン混合物:5〜900重量部からなることを特徴
とするエラストマー組成物に関する。
【0007】以下、本発明に関して詳細に説明する。本
発明の(a)成分であるポリエステル系エラストマー
(以下TPEEと略記)としては、ハードセグメントを
ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルとし、ソ
フトセグメントをそれぞれ、ポリテトラメチレングリコ
ールエーテル(PTMG)、PTMEGT(PTMGと
テレフタル酸との縮合物)等のポリエーテルとするポリ
エステル・ポリエーテル型、ハードセグメントを上記と
同様のポリエステルとし、ソフトセグメントをポリカプ
ロラクトン等の脂肪族ポリエステルとするポリエステル
・ポリエステル型、のいずれでも使用可能である。特
に、これらの内で、より軟質感を得るためにポリエステ
ル・ポリエーテル型のものが望ましい。具体的には、東
洋紡績社製「ペルプレン」、東レ・デュポン社製「ハイ
トレル」等を挙げることが出来る。
【0008】特に本発明で用いるTPEEとして、
(a)短鎖ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸及び
/又はそのエステル形成性誘導体であるジカルボン酸成
分と、(b)短鎖ジオール成分が脂肪族ジオール及び/
又はそのエステル形成性誘導体である短鎖ジオール成分
と、(c)長鎖ジオール成分が下式(1)に示すNと下
式(2)に示すTよりなり、Nの比率が5〜50モル%
であるポリエーテルであって、両末端がアルコール性水
酸基であり、数平均分子量が400〜6,000である
ポリエーテルグリコールとを共重合して得られるブロッ
ク共重合体を用いることにより、本発明のエラストマー
組成物の低温特性、ゴム弾性、柔軟性、ソフト感がさら
に優れるので好ましい。
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】T: −CH2CH2CH2CH2O−
(2)
【0011】このポリエーテルエステルブロック共重合
体の重合に用いる(a)成分、即ち、芳香族ジカルボン
酸及びそのエステル形成性誘導体としては、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジ
カルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ジフ
ェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン
ジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸及びこれらのエ
ステル形成性誘導体等が挙げられる。
【0012】また、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ド
デカンジ酸、ダイマー酸等の脂環式、脂肪族のジカルボ
ン酸及びこれらのエステル形成性誘導体を用いてもよ
い。これらは単独、もしくは2種以上組み合わせて使用
しても構わない。好適にはテレフタル酸、イソフタル
酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸が用いられる。
【0013】また、(b)成分、即ち、脂肪族ジオール
及びそのエステル形成性誘導体としては通常、分子量が
300以下のジオールが用いられる。例えば、エチレン
グリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブ
タンジオール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレ
ングリコール及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げ
られる。
【0014】また、1,1−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロ
デカンジメタノール等の脂環式ジオール、及びこれらの
エステル形成性誘導体;キシリレングリコール、ビス
(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4(2−ヒ
ドロキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−
(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン
等、及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
好適には、エチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル及びこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0015】上記の芳香族ジカルボン酸及び/又はこれ
らのエステル形成性誘導体と脂肪族ジオール及び/又は
これらのエステル形成性誘導体との組合せによりポリエ
ーテルエステルブロック共重合体のハードセグメント即
ち短鎖ポリエステルが構成されるが、好ましい組合せは
テレフタル酸またはテレフタル酸ジエステルとエチレン
グリコール若しくは1,4−ブタンジオールとの組合せ
(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート)である。さらに好ましくはポリブチレンテレフ
タレートがハードセグメントに使用されることが良い。
【0016】この理由はポリブチレンテレフタレートは
結晶化速度が大きく成型性が優れること、ポリエーテル
エステルブロック共重合体にした場合もゴム弾性、機械
的性質、耐熱性、耐化学薬品性等の物性バランスがよく
備わっていること等による。この組合せに他のジカルボ
ン酸及びそのエステル形成性誘導体を15モル%以内、
または他のジオール及びそのエステル形成性誘導体を1
5モル%以内加えて使用することも出来る。
【0017】ポリエーテルエステルブロック共重合体の
(c)成分、即ち、長鎖ポリエステルを構成するポリエ
ーテルグリコールはNとTよりなり、Nの比率が5〜5
0モル%、好ましくは10〜20モル%であるポリエー
テルであって、両末端がアルコール性水酸基であるポリ
エーテルグリコールである。
【0018】ポリエーテルエステルブロック共重合体の
製造に用いられるポリエーテルグリコールは3,3−ジ
メチルオキセタン(3,3−DMO)の単独カチオン重
合、3,3−DMOとネオペンチルグリコール(NP
G)とのカチオン共重合、3,3−DMOとテトラヒド
ロフラン(THF)のカチオン共重合、3,3−DMO
とNPGとTHFのカチオン三元共重合またはネオペン
チルグリコールとテトラヒドロフランを原料として、ア
ルコール性水酸基の存在下で活性を示す触媒の存在下、
純テトラメチレングリコールの解重合が進行する反応条
件下において製造することが出来る。
【0019】このポリエーテルグリコール中のNが5モ
ル%に満たない共重合組成ではこれをポリエーテルエス
テルブロック共重合体にした場合、特に低温性能に満足
な物性が得られない場合があるために好ましくない。ま
た、ポリエーテルグリコール中のNが50モル%を越え
ると、TPEEのガラス転移温度が上がり、低温特性が
悪化するので好ましくない。
【0020】ポリエーテルエステルブロック共重合体の
製造に用いられる好ましいポリエーテルグリコールの製
造方法は、アルコール性水酸基の存在化で活性を示す触
媒の存在下、多量のネオペンチルグリコールを仕込み、
純テトラメチレングリコールの解重合が進む高い温度
と、低いTHF濃度、即ち高いポリマー濃度での反応条
件で行われる。アルコール性水酸基の存在下で活性を示
す触媒としては、特開昭60−20366号公報にヘテ
ロポリ酸が、特開昭61−120830号公報にヘテロ
ポリ酸の塩が記述されているがこれらを用いることが出
来る。この際、触媒に対する水またはジオールのモル比
が10以下であるという要件は本発明のポリエーテルグ
リコールを与える反応条件では不要である。
【0021】なお、アルコール性水酸基の存在下で活性
を示す触媒は特にヘテロポリ酸に限定されるものではな
く、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸なども用
いられる。本発明に使用されるポリエーテルエステルブ
ロック共重合体の製造に用いられる好ましいポリエーテ
ルグリコールを与える特殊な反応条件方法に於てネオペ
ンチルグリコールの共重合比率を高めることができる理
由は、触媒に対するジオールのモル比が30であっても
重合を進めることが出来るので、多量のネオペンチルグ
リコールを仕込むことが出来ることによる。また、TH
Fのみが連なるポリマー分子鎖の形成が純ポリ(テトラ
メチレンオキシ)グリコールの解重合条件で重合を進め
るために抑制されている。
【0022】ポリエーテルエステルブロック共重合体に
用いられるポリエーテルグリコールを好ましく製造する
必要要件をまとめると3要件有り、第一にアルコール性
水酸基の存在下で活性を示す触媒、例えばヘテロポリ酸
やスルホン酸等を用いること、第二に共重合グリコール
として解重合の伝搬を阻止するグリコール、すなわちN
PGを使用すること、第三に共重合比率が高くなる重縮
合を主反応とするために、純PTMGの解重合が進む温
度、ポリマー濃度で反応を進めることである。
【0023】この重縮合反応を好ましい速度で進めるた
め、反応温度は70℃以上、好ましくは75℃以上の条
件を採ることになる。但し、反応温度を上げすぎると反
応液や触媒の着色が強くなり好ましくない。例えば燐タ
ングステン酸を触媒として用いた場合、通常110℃を
越えると着色がひどくなる。
【0024】先に本発明で使用する触媒を挙げたが、こ
れらのうち好ましい触媒としては、市販されており、高
温度における安定性が良く、反応活性も高い燐タングス
テン酸を挙げることができる。そして、燐タングステン
酸等のヘテロポリ酸を触媒として使用する場合、反応が
進むに従い反応液は触媒濃度が高い触媒層と、触媒を1
%以下の低濃度に含む液層とに分離し、二層の分散状態
で反応が行なわれるようになる。反応終了時に撹拌を止
めて静置すれば、重い触媒層は下に、軽い液層は上に分
かれる。上の液層を取り出し、THF、オリゴマー、溶
存触媒を除去して目的であるポリマーを得る。下に残さ
れた触媒層に新しくNPG、THFを供給し、新しいバ
ッチの反応を開始する。このようにして、触媒を繰り返
し使用しながら本発明の原料となるポリエーテルエステ
エルブロック共重合体を得ることが出来る。
【0025】また、スルフォン酸を触媒として使用する
場合、ナフィオンのように反応液に溶解しない触媒が、
触媒の分離が簡単で好ましい。触媒である燐タングステ
ン酸、或いはスルフォン酸の使用量に対しNPGの仕込
量は、触媒1当量に対し2〜10モルのNPGを仕込む
のが適当である。NPGの量が少ないと反応終了時に採
取すべきポリマー量が少なくなるし、NPGの量が多い
と重縮合反応が遅くポリマーの重合度が上昇するのに長
時間を要するようになる。
【0026】重縮合によって生成する水は、反応系の気
相水分として取り出し、除くことが出来る。気相の組成
は大部分THFであり、気相水分は0.4〜2.0wt
%含まれているのが通常である。従って、水分を除去す
る際にTHFも共に取り出すことになり新しいTHFを
その分多く補給する必要がある。このように反応系の気
相を取り出す必要があるため、反応液は沸騰温度であ
る。沸騰温度、即ち反応温度を所定にコントロールする
にはTHFの濃度をコントロールするのが容易な方法で
ある。具体的な操作として液温を所定に保つようにTH
Fの補給速度をコントロールすることにすれば、気相水
分と共に取り出されたTHF、反応の進行に伴う組成変
化及び重合によるTHFの消費、これら全ての変化に対
応できる基準操作をTHFに関して定め得たことにな
る。
【0027】反応液にあるTHF濃度は、反応圧力と反
応温度、即ち沸騰圧力、温度で変わる。従って、THF
濃度は反応温度を与件として反応圧力によってコントロ
ール出来る。反応液にある水濃度は、反応系の気相の水
濃度と動的平衡にある。従って反応液にある水濃度は、
反応系の気相の水濃度によってコントロール出来る。
【0028】ポリエーテルエステルブロック共重合体の
製造に用いられるポリエーテルグリコールの数平均分子
量は400〜6,000、好ましくは800〜3,00
0、さらに好ましくは1,000〜2,000であるの
ものが使用される。400未満になると重合する最終ポ
リエーテルエステルブロック共重合体のハード/ソフト
セグメント比にもよるが通常は短鎖ポリエステル(ハー
ドセグメント)の平均連鎖長が小さくなり、融点降下が
激しくなって耐熱性に劣るため、ポリエーテルエステル
ブロック共重合体としてそのまま材料に使用する場合、
或いは組成物にした場合共に好ましくない。また、6,
000を越えると、単位重量当りのポリエーテルグリコ
ール中の末端基濃度が低くなり、重合しにくくなるので
好ましくない。
【0029】このポリエーテルエステルブロック共重合
体に占める全ポリエーテルグリコールユニット(ソフト
セグメント)の量は20〜90重量%、好ましくは30
〜70重量%、さらに好ましくは40〜60重量%であ
る。この場合のポリエーテルグリコールユニットの量と
はソフトセグメントの重量比のことであって仕込のポリ
エーテルグリコールの全モノマー中に占める重量比のこ
とではない。
【0030】一般に、ポリエーテルエステルブロック共
重合体のハードセグメントは短鎖エステルであり、ソフ
トセグメントは長鎖エステルからなるが、ポリエーテル
部分の末端はジカルボン酸成分とエステル結合にて連結
し、ハードセグメントと連なっている。ポリエーテル部
分の片末端のエステル結合を構成するユニットも含めた
ものを便宜上ソフトセグメントとした。
【0031】このハード/ソフトセグメントの比率は1
H−NMRにて正確に定量することが可能である。ソフ
トセグメントの量が20重量%より小さいと軟質性に劣
り、特に本発明のステアリングホイールのソフト感が損
なわれるので好ましくない。また、この量が90重量%
を越えると柔らかくなりすぎて、金属芯との追従性に劣
り好ましくない。
【0032】かかるポリエーテルエステルブロック共重
合体は公知の方法で製造できる。例えば、ジカルボン酸
の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコ
ールおよびポリエーテルグリコールを触媒の存在下エス
テル交換反応させ、続いて得られる反応生成物を減圧下
重縮合する方法、あるいはジカルボン酸とグリコール及
びポリエーテルグリコールを触媒の存在下エステル化反
応させ、ついで得られる生成物を重縮合する方法、また
予め短鎖ポリエステル(例えばポリブチレンテレフタレ
ート)を作っておき、これに他のジカルボン酸やジオー
ルもしくはポリエーテルグリコールを加えたり、もしく
は他の共重合ポリエステルを添加してエステル交換によ
りランダム化させる方法など何れの方法をとっても良
い。
【0033】ポリエーテルエステルブロック共重合体を
製造するのに利用するエステル交換反応またはエステル
化反応と重縮合反応に共通の触媒としては、テトラ(イ
ソプロポキシ)チタネート、テトラ(n−ブトキシ)チ
タネートに代表されるテトラアルキルチタネート、これ
らテトラアルキルチタネートとアルキレングリコールと
の反応生成物、テトラアルキルチタネートの部分加水分
解物、チタニウムヘキサアルコキサイドの金属塩、チタ
ンのカルボン酸塩、チタニル化合物等のチタン系触媒が
好ましい。また、モノn−ブチルモノヒドロキシスズオ
キサイド、モノn−ブチルスズトリアセテート、モノn
−ブチルスズモノオクチレート、モノn−ブチルスズモ
ノアセテート等のモノアルキルスズ化合物、ジn−ブチ
ルスズオキサイド、ジn−ブチルスズジアセテート、ジ
フェニルスズオキサイド、ジフェニルスズジアセテー
ト、ジn−ブチルスズジオクチレート等のジアルキル
(またはジアリール)スズ化合物等も用いることができ
る。
【0034】この他、Mg、Pb、Zr、Zn等の金
属、金属酸化物、金属塩触媒が有用である。これらの触
媒は単独で、あるいは2種以上組み合わせて使用しても
良い。
【0035】エステル化あるいは重縮合触媒の添加量は
生成ポリマーに対して0.005〜0.5重量%が好ま
しく、特に0.03〜0.2重量%が好ましい。これら
触媒はエステル交換またはエステル化反応開始時に添加
した後、重縮合反応時に再び添加してもしなくても良
い。
【0036】また、ジカルボン酸やグリコールの一部と
してポリカルボン酸や多官能ヒドロキシ化合物、オキシ
酸等が共重合されていても良い。多官能成分は高粘度化
成分として有効に作用し、その共重合し得る範囲は3モ
ル%以下である。かかる多官能成分として用いることが
出来るものには、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロ
メリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ブタン
テトラカルボン酸、グリセリン、ペンタエリスリトール
およびそれらのエステル、酸無水物等を挙げることがで
きる。
【0037】またさらに必要に応じてポリエーテルグリ
コールをそれ以外のポリエーテルグリコールで一部置換
しても良い。かかる置換に用いられるポリエーテルグリ
コールとしては、ポリ(エチレンオキシ)グリコール、
ポリ(プロピレンオキシ)グリコール、ポリ(テトラメ
チレンオキシ)グリコール、ポリ(1,2−プロピレン
オキシ)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオ
キシドのブロック又はランダム共重合体、THFと3−
メチルTHFのランダム共重合体、エチレンオキシドと
THFのブロック又はランダム共重合体、ポリ(2−メ
チル−1,3−プロピレンオキシ)グリコール、ポリ
(プロピレンオキシ)ジイミドジ酸等が挙げられる。
【0038】これら置換に用いられるポリエーテルグリ
コールの好ましい数平均分子量は400〜6,000で
あり、特に1,000〜3,000が好適である。好ま
しい置換ポリエーテルグリコールとしてはポリ(テトラ
メチレンオキシ)グリコールが挙げられる。ポリ(テト
ラメチレンオキシ)グリコールを置換に用いた場合、数
平均分子量(Mn)が1,800を越えると分子量分布
[Mv/Mn:Mnは末端水酸基価より求めた数平均分
子量、Mvは式Mv=anti log(0.493l
og η+3.0646)で規定される粘度平均分子量
である。但しηは40℃の温度における溶融粘度をポア
ズで示したもの]によっては結晶化が起こって低温性能
に好ましくない結果を与える場合がある。
【0039】この分子量分布(Mv/Mn)の値が1.
6以下と狭いものを用いるほうが好ましい。更に好まし
くは1.5以下である。しかし好適には置換のポリエー
テルグリコールは本発明に用いられるポリエーテルグリ
コールの90重量%以下の範囲で用いられる。この値が
90重量%を越えると、本発明に用いられるポリエーテ
ルグリコール中のネオペンチルオキシドユニットの含量
にもよるが一般的に耐水性や低温性能等の物性に満足な
結果が得られない場合があるので用途に応じた選定が必
要である。
【0040】このように重合したポリエーテルエステル
ブロック共重合体の重合度は一般には相対溶液粘度(η
rel)や固有粘度([η])、メルトフローレート
(MFR)にて表現されるが、本発明ではメルトフロー
レート(230℃、2.16kg加重の値、以下MFR
と略記)にて表現される。
【0041】MFRは0.5〜100g/10分、好ま
しくは5〜50g/10分、さらに好ましくは10〜3
0g/10分である。MFRが0.5g/10分未満で
は、射出成形性に劣り、ショートショットとなってしま
うので好ましくない。また、MFRが100g/10分
を越えると、機械物性(破断強度、破断伸び等)や摩耗
性、圧縮永久歪み(C−Set)等に劣るためで好まし
くない。また、本発明のポリエーテルエステルブロック
共重合体のショアD硬さは20〜70、さらに好ましく
は25〜50の範囲に入るようにすれば良く、ソフトセ
グメント量は適宜選択される。ショアD硬さが20未満
では、得られる熱可塑性エラストマー組成物の強度、耐
熱性が不足するので好ましくない。また、ショアDが7
0を越えると、得られる熱可塑性エラストマーの柔軟
性、ソフト感が不足するので好ましくない。
【0042】本発明の(b)成分であるポリプロピレン
混合物は、例えば少なくとも二段以上の逐次重合により
得られるプロピレン共重合体混合物である。第一工程に
おいてプロピレンの単独重合体またはプロピレンとα−
オレフィンの共重合体(プロピレンを85重量%以上含
む)またはエチレンプロピレン共重合体(プロピレンを
85重量%以上含む)を重合により形成して成分(b−
1)を生成し、次の工程以降においてエチレン−プロピ
レン(プロピレンを75重量%以下含む)またはエチレ
ン−プロピレン−α−オレフィン(少量のジエンを含ん
でも良い)共重合体(プロピレンを75重量%以下含
む)を重合により形成して成分(b−2)を生成する。
【0043】第一工程のプロピレンの重合は、得られる
ポリプロピレンのアイソタクチック指数が80%以上、
好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上で
あるような量のエチレンまたはα−オレフィン、例えば
ブテン−1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−
1、ヘキセン−1、およびオクテン−1またはそれらの
組み合わせの存在下で行うことができる。
【0044】第二工程以降のエチレン−プロピレン共重
合体またはエチレン−プロピレン−αオレフィン共重合
体を重合するために使用するモノマーはプロピレンとエ
チレンおよび/またはα−オレフィン(例えばブテン−
1、ペンテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセ
ン−1、およびオクテン−1またはそれらの組み合わ
せ)である。第二工程以降の共重合体の重合は、共役ま
たは共役でないジエン、例えば、ブタジエン、1,4−
ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、およびエチレデ
ン−ノルボルネン−1の存在下で行うことができる。ジ
エンは存在する時には典型的には第二工程以降に使用す
る全モノマーの重量に対して0.5〜10重量%であ
る。
【0045】成分(b)のポリプロピレン組成物中の
(b−1)の量は10〜60重量%、好ましくは15〜
50重量%、(b−2)の量は40〜90重量%、好ま
しくは50〜85重量%である。
【0046】また、成分(b)のポリプロピレン混合物
中に共重合された全エチレン量は15〜60重量%、好
ましくは17〜45重量%、さらに好ましくは20〜3
5重量%である。また(b)のポリプロピレン混合物中
に共重合された全α−オレフィンの量は0〜30重量
%、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜
10重量%である。
【0047】混合物(b)は、示差走査熱量分析法(D
SC)で測定すると、120℃よりも高い温度、好まし
くは140℃よりも高い温度において存在する少なくと
も1個の溶融ピークを示す。さらに、混合物(b)は曲
げ弾性率20〜700MPa、好ましくは50〜300
MPa、さらにこのましくは70〜200MPaであ
る。また、混合物(b)のショアD硬さは20〜60,
好ましくは30〜50である。
【0048】また混合物(b)のメルトフローレイト
(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重
に従って測定した値。以下MFRと略記する)は10〜
60g/10分、好ましくは12〜50g/10分、さ
らに好ましくは15〜40g/10分である。MFRが
10g/10分未満ではエラストマー組成物の溶融粘度
が高く、エラストマー組成物の成形加工性(流動性)が
低下し、また成形品の外観が悪化する(フローマークの
発生)ので好ましくない。また、MFRが10g/10
分未満では、エラストマー組成物の耐スクラッチ性も低
下するので好ましくない。一方、MFRが60g/10
分を超えるとエラストマー組成物の強度、耐熱性が低下
するので好ましくない。
【0049】混合物(b)中に分散する、エチレン−プ
ロピレン系共重合体ゴムの平均分散粒径は2μm以下、
好ましくは1.5μm以下である。ゴムの平均分散粒径
が2μmを越えると、エラストマー組成物の耐スクラッ
チ性が極端に低下するので好ましくない。
【0050】成分(b)のポリプロピレン混合物の重合
に使用する触媒は、チーグラー・ナッタ型触媒である。
好ましい触媒は塩化マグネシウム上に担持されたチタン
化合物および電子供与体化合物(内部供与体)を含有す
る固体触媒成分とトリアルキルアルミニウム化合物およ
び電子供与体化合物(外部供与体)との反応生成物であ
る。触媒の調整方法、成分(b)の重合方法としては、
例えば、特開平3−205439号公報、特開平6−2
5367号公報、特開平6−25489号公報等が挙げ
られる。
【0051】本発明の熱可塑性エラストマー組成物中の
成分(b)のポリプロピレン混合物の配合量は、TPE
E成分(a)100重量部に対し、5〜900重量部、
好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは15
〜200重量部である。成分(b)のポリプロピレン混
合物の配合量が900重量部を越えるとゴム弾性が低下
し、また低温特性が悪化するので好ましくない。また、
成分(b)のポリプロピレン混合物の配合量が5重量部
未満では、熱可塑性エラストマー組成物の成形外観が悪
化し(フローマークが発生する)、また高比重となるの
で好ましくない。
【0052】なお、本発明に用いる成分(b)のポリプ
ロピレン混合物としては、Adflex、Hifax
(Montell社製、Catalloy TPOシリ
ーズ)等の名称で容易に入手することができる。
【0053】また、本発明のエラストマー組成物には、
必要に応じてポリオレフィン系樹脂(成分c)を添加す
ることができる。具体的に添加できるポリオレフィン系
樹脂としてはポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等
があげられる。ポリエチレン樹脂としては低密度ポリエ
チレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレ
ン、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重
合体等があげられる。
【0054】エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィン
との共重合体の場合、共重合体中のα−オレフィンとし
てはプロピレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−
1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン
−1等があげられる。また、α−オレフィンの割合は3
0重量%以下のものが用いられる。
【0055】ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン
単独重合体またはプロピレンと炭素数2〜8のα−オレ
フィンとの共重合体である(以下プロピレン系樹脂と略
記する)。プロピレンと炭素数2〜8のα−オレフィン
との共重合体の場合、共重合体中のα−オレフィンとし
てはエチレン、ブテン−1、イソブテン、ペンテン−
1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン
−1等があげられる。また、α−オレフィンの割合は3
0重量%以下のものが用いられる。これらのプロピレン
系樹脂は、従来公知の方法で合成することができ、例え
ばチーグラー・ナッタ型触媒を用いて合成されるプロピ
レン単独重合体、またはランダムあるいはブロックのプ
ロピレンとα−オレフィンとの共重合体があげられる。
【0056】さらに本発明の組成物は必要に応じて可塑
剤の添加を行なっても良い。かかる可塑剤の例としてジ
オクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフ
タレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチル
ヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウン
デシルフタレート、ジイソノニルフタレート等のフタル
酸エステル類:トリクレジルホスフェート、トリエチル
ホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エ
チルヘキシルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフ
ェート、トリス−クロロエチルホスフェート、トリス−
ジクロロプロピルホスフェート等の燐酸エステル類:ト
リメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソデ
シルエステル、トリメリット酸エステル類、ジペンタエ
リスリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメ
チルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、
ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ−2
−エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノケ
ート等の脂肪酸エステル類:ピロメリット酸オクチルエ
ステル等のピロメリット酸エステル:エポキシ化大豆
油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエ
ステル等のエポキシ系可塑剤:アジピン酸エーテルエス
テル、ポリエーテル等のポリエーテル系可塑剤:液状N
BR、液状アクリルゴム、液状ポリブタジエン等の液状
ゴム:非芳香族系パラフィンオイル等を挙げることが出
来る。
【0057】これら可塑剤は単独、あるいは2種以上組
み合わせて使用することが出来る。可塑剤の添加量は要
求される硬度、物性に応じて適宜選択されるが、組成物
100重量部当り0〜50重量部が好ましい。
【0058】また、本エラストマー組成物には無機充填
剤、安定剤、滑剤、着色剤、シリコンオイル、発泡剤、
難燃剤等を添加しても良い。無機充填剤としては、例え
ば炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイ
カ、硫酸バリウム、けい酸(ホワイトカーボン)、酸化
チタン、カーボンブラック等が挙げられる。安定剤とし
てはヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定
剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール
系UV吸収剤等が挙げられる。滑剤としてはステアリン
酸、ステアリン酸エステル、ステアリン酸の金属塩等が
挙げられる。
【0059】一般に、本発明のエラストマー組成物を製
造する方法としては、重合体成分をブレンドする為に従
来技術で知られているいかなる方法を使用しても良い。
最も均質なブレンド物を得るためには、通常使われてい
るミキシングロール、ニーダー、バンバリーミキサーお
よび押出機のような各種の混練機を使用して溶融混練す
る方法が望ましい。溶融混練する前に、これらの配合物
をヘンシェルミキサー、タンブラー、リボンブレンダー
のような混合機を用いて予めドライブレンドし、該混合
物を溶融混練することにより均質なエラストマー組成物
が得られる。
【0060】本発明のエラストマー組成物の成形加工法
としては、射出成形、押出成形、圧縮成形等が適応可能
であるが、特に射出成形時の成形性に優れるという特長
を有する。射出成形を行う場合は、通常のプラスチック
の成形機を用いることができ、短時間で射出成形品を得
ることができる。また、本エラストマー組成物は熱安定
性に優れるため、スプルー部およびランナー部のリサイ
クルが可能であるという長所を有する。
【0061】
【発明の実施の形態】実施例および比較例において、各
種の評価方法に用いられた試験法は以下の通りである。 (1)ショアD硬さ[−]:ASTM D2240、D
タイプ、23℃で測定。
【0062】(2)メルトフローレイト(MFR)[g
/10分]:ASTM D1238、230℃、2.1
6kg荷重にて測定した。
【0063】(3)引張強さ[kgf/cm2]:JI
S K6251、3号ダンベル、試料は2mm厚のプレ
スシートを用いた。
【0064】(4)伸び[%]:JIS K6251、
3号ダンベル、試料は2mm厚のプレスシートを用い
た。
【0065】(5)反撥弾性[%]:JIS K625
5、リュプケ振子式、23℃
【0066】(6)脆化温度[℃]:JIS K626
1、ゲーマンねじり試験、t100温度
【0067】(7)耐傷付き性、光沢保持率[%]:射
出成形にて平滑な表面の平板を成形した。平板を水平に
置き、荷重40g/cm2を加えた綿布を置き、200
回往復させた。その摩擦面の光沢度をJISK7105
の方法で測定し(E1)、摩擦前の光沢度(E0)から
の保持率;(E1/E0)×100(%)を求めた。
【0068】(8)シボ落ち試験:射出成形にて表面シ
ボ(梨地、エッジング深さ約20ミクロン)の平板を成
形した。平板を100℃のオーブン中に168時間放置
した。オーブンから取り出した後、目視にて表面状態を
観察し、変化の無いものを○、若干光沢の出たものを
△、光沢の出たものを×とした。
【0069】(9)成形加工性:射出成形機にて、長さ
150mm、幅100mm、厚み2mmの平板を下記の
条件にて成形した。その成形体を目視にてフローマー
ク、艶等の外観を観察し、良好なものを○、やや不良な
ものを△、不良なものを×とした。シリンダー温度C
1:200℃、C2:210℃、C3:210℃、ノズ
ル温度:200℃、射出速度:低速、金型温度:40℃ また、実施例および比較例で使用された各成分は以下の
とおりである。
【0070】成分(a):ポリエーテルエステルブロッ
ク共重合体のソフトセグメントに用いるポリオキシアル
キレングリコールとしては、以下のものを使用した。 (1)ネオペンチルグリコール共重合ポリ(テトラメチ
レンオキシ)グリコール(TとNとの共重合体で両末端
がアルコール性水酸基であるもの):旭化成工業(株)
製、Mn=1480、Mv/Mn=1.73、N含率=
12モル%
【0071】成分(a)−1(TPEE成分−1):1
5リットルの三菱重工業(株)製円錐型リアクター(V
CR)に、ジメチルテレフタレート(三菱化成(株)
製、以下同じ)1520g、1,4−ブタンジオール
(和光純薬(株)製、試薬特級、以下同じ)1060
g、前記(1)のポリオキシアルキレングリコールを3
200g、イルガノックス1010(チバガイギー社
製)15gを仕込み、窒素置換後、窒素雰囲気下で20
0℃まで昇温した。ついでテトライソプロポキシチタネ
ート(東京化成製試薬1級、以下同じ)を1.5g添加
した。そして、200℃に30分間保持した後に230
℃まで昇温し、回転数150rpmで撹拌しながら2時
間かけてエステル交換反応を行った。留出してきたメタ
ノール量は理論量の94%であった。ついで温度を25
0℃にし、回転数50rpmで撹拌しながら30分かけ
て0.5mmHgまで減圧し、その後約3時間かけて、
トルク上昇が起こらなくなるまで縮合反応を行った。
【0072】リアクターの内容物を下部より抜きだした
ところ、ポリエーテルエステルブロック共重合体が透明
な粘調重合体として得られた。これをストランドカッテ
ィングすることでペレット化し、70℃で12時間真空
乾燥した。このペレット100重量部に対し、カーボン
ブラックマスターペレット(ロイヤルブラックRB90
05)を1重量部、Irganox1010を0.1重
量部、ジラウリルチオプロピオネート(DLTP、吉富
製薬(株)製)を0.15重量部、及びTINUVIN
327(チバガイギー社製)を0.1重量部それぞれ2
30℃、押出機で溶融ブレンドすることで熱可塑性エラ
ストマー組成物を得た。この熱可塑性エラストマー組成
物のショアD硬度で32、MFRは23g/10分であ
った。
【0073】成分(a)−2(TPEE成分−2):T
PEE−1の合成で仕込のジメチルテレフタレート20
70g、1,4−ブタンジオール1440g、前記
(1)のポリオキシアルキレングリコールを2750g
仕込んだ以外は同様にして、エステル交換反応と縮合反
応を行った。添加剤の種類及び調合比率も同様に行っ
た。得られた熱可塑性エラストマー組成物のショアD硬
度は40、MFRは21g/10分であった。
【0074】成分(a)−3(TPEE成分−3):T
PEE−1の合成で仕込の前記(1)のポリオキシアル
キレングリコールを2500gとした以外は同様に、エ
ステル交換反応と縮合反応を行った。添加剤の種類及び
調合比率も同様に行った。得られた熱可塑性エラストマ
ー組成物のショアD硬度で45、MFRは20g/10
分であった。
【0075】成分(a)−4(TPEE成分−4):T
PEE−1の合成で仕込のジメチルテレフタレート24
90g、1,4−ブタンジオール1730g、前記
(1)のポリオキシアルキレングリコールを2050g
とした以外は同様に、エステル交換反応と縮合反応を行
った。添加剤の種類及び調合比率も同様に行った。得ら
れた熱可塑性エラストマー組成物のショアD硬度で5
6、MFRは21g/10分であった。
【0076】成分(a)−5(TPEE成分−5):東
洋紡績社製、ペルプレンP40H(ポリエーテル・エス
テル系TPEE、ショアD硬さ;37、MFR;23.
0)
【0077】成分(a)−6(TPEE成分−6):東
洋紡績社製、ペルプレンS2002(ポリエステル系T
PEE、ショアD硬さ;53、MFR;12g/10
分)
【0078】成分(b):固体触媒の調整;MgCl2
が完全に溶解するまで無水MgCl2および無水エタノ
ール49.5g、ワセリン油100mlおよびシリコン
オイル100mlを120℃にて窒素雰囲気化にて攪拌
した。次いで、この混合物を、ワセリン油150mlお
よびシリコンオイル150mlを予め入れた1500m
lのオートクレーブ中に移した後、120℃、3000
rpmにて3分間攪拌した。この混合物を冷却されたn
−ヘプタン1000ml中、攪拌下にて添加し、MgC
2・3EtOHの球状固体を析出させた(平均粒径3
0〜150μm)。さらに得られた固体を窒素雰囲気下
にて50℃から100℃に昇温しながら乾燥し、EtO
H/MgCl2モル比1.27に調整した。得られた固
体は多孔度0.139cc/g、表面積9.1m2
g、嵩密度0.564g/ccを有した。
【0079】この固体(担体)25gを、TiCl4
25ccを予め入れた攪拌付きオートクレーブ中に、0
℃、窒素雰囲気下にて添加した。さらにこのオートクレ
ーブを1時間かけて100℃に昇温した。昇温課程にお
いて温度が40℃になった時に、ジイソブチルフタレー
トをマグネシウムの1/8倍モル比添加した。100℃
で2時間攪拌後、同温度にて静置し固体を沈殿させた。
上澄み液をサイホンにて吸引し除去した。TiCl4
50mlを新たに添加し120℃にて1時間攪拌後静置
した。上澄み液をサイホンにて吸引除去後、残った固体
を無水ヘキサン200mlを用い60℃にて6回、室温
にて3回洗浄した。真空にて乾燥後、成分(b)の重合
用触媒として使用した。
【0080】成分(b)−1、成分(b)−2を下記方
法により重合した。重合は一つの反応器から次の反応器
へ順次移送する装置を備えた、一連の反応器中で連続的
に行った。22リットルの攪拌付きオートクレーブ中
に、20℃にて液体プロピレンを16リットル、および
前述の固体触媒約0.15gとトリエチルアルミニウム
10%のヘキサン溶液75mlとシクロヘキシルメチル
ジメトキシシラン(CMMS)との混合物よりなる重合
触媒(Al/CMMSモル比7.5)を添加し、20℃
で24分間重合させた。次いでこのプレポリマーを気相
中の第一の反応器に送り、そこでプロピレンの単独重合
を行った。さらにこの重合体を第二反応器へ移し、そこ
でエチレンとプロピレンとの共重合を行った。第一およ
び第二反応器の重合条件および得られた最終生成物の性
状を表1に示した。
【0081】
【表1】
【0082】成分(b)−3:モンテル社製、キャタロ
イAdflex KS−084P、MFR30g/10
分。曲げ弾性率108MPa、ショアD硬さ44、ゴム
の平均分散粒径0.4μm。
【0083】成分(b)−4:モンテル社製、キャタロ
イAdflex KS−359P、MFR12g/10
分。曲げ弾性率83MPa、ショアD硬さ41、ゴムの
平均分散粒径0.6μm。
【0084】成分(b)−5:モンテル社製、キャタロ
イAdflex KS−221P、MFR2.5g/1
0分。曲げ弾性率350MPa、ショアD硬さ53、ゴ
ムの平均分散粒径0.5μm。
【0085】成分(c)−1 JPO製、ショーアロマーMK711(ブロックタイプ
ポリプロピレン)、MFR30g/10分。曲げ弾性率
1400MPa
【0086】実施例1〜8 TPEEとして(a)−1、(a)−2、(a)−3、
(a)−4、(a)−5、(a)−6、を用い、ポリプ
ロピレン混合物として(b)−1を用い、表1、2に示
した各割合にてヘンシェルミキサーでブレンドした後、
45mm径の同方向二軸押出機にて220℃の条件で溶
融混練しエラストマー組成物のペレットを得た。物性お
よび成形成形加工性の結果を表2、表3に示した。
【0087】
【表2】
【0088】
【表3】
【0089】実施例9〜12 TPEEとして(a)−2を用い、ポリプロピレン混合
物として(b)−2、(b)−3、(b)−4、(b)
−5、を用い、表4に示した各割合にてヘンシェルミキ
サーでブレンドした後、45mm径の同方向二軸押出機
にて220℃の条件で溶融混練しエラストマー組成物の
ペレットを得た。物性および成形成形加工性の結果を表
4に示した。
【0090】
【表4】
【0091】実施例13〜14 TPEEとして(a)−2を用い、ポリプロピレン混合
物として(b)−1を用い、ポリオレフィン系樹脂とし
て(c)−1を用い、表5に示した各割合にてヘンシェ
ルミキサーでブレンドした後、45mm径の同方向二軸
押出機にて220℃の条件で溶融混練しエラストマー組
成物のペレットを得た。物性および成形成形加工性の結
果を表5に示した。
【0092】
【表5】
【0093】比較例1〜3 TPEEとして(a)−2を用い、ポリプロピレン混合
物として(b)−1、および比較として押出しブレンド
タイプのTPO(PP/EPDMブレンド)であるSa
ntoprene 203−40(曲げ弾性率80MP
a、ショアD硬さ40、MFR8g/10分、ゴムの分
散粒径9μm)を用い表6に示した各割合にて、実施例
1〜4の方法と同様に混練し評価した。結果を表6に示
した。この結果から本発明の範囲外の組成物はいずれか
の物性が悪いことが明らかである。
【0094】
【表6】
【0095】
【発明の効果】本発明によって得られるエラストマー組
成物は、耐傷付き性、強度、耐熱性、柔軟性、成形加工
性に優れるため、自動車部品、家電部品、玩具、雑貨等
の分野で好適に利用することができるが、特に耐傷付き
性に優れるため製品外観を必要とするインパネ、アーム
レスト、ハンドル(ステアリングホイール)、ホーンパ
ッド等の自動車内装部品やウインドモール、バンパー等
の自動車内、外装部品に好適に使用することができる。
また、成形品表面の耐傷付き性、成形加工性に優れるた
め、従来必要であった塗装工程をなくすことができるの
で、高生産性、低コストが実現される。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB12X BB14X BB15X BB15Y CF03W CF10W CF18W FA08Y FD010 FD020 FD030 FD170 4J029 AA03 AB01 AC03 AE01 BA02 BA03 BA04 BA05 BD03A BD10 BF25 CA02 CB04A CB05A CB06A CB10A CC06A CD03 CH02 DB13 JE182 JE241 KE02 KE03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の(a)および(b)成分からなる熱
    可塑性エラストマー組成物。 (a)ポリエステル系エラストマー:100重量部 (b) (b−1)ポリプロピレン系重合体(プロピレンを85
    重量%以上含む):10〜60重量% (b−2)エチレン−プロピレン系共重合体ゴム(プロ
    ピレンを75重量%以下含む):40〜90重量%の混
    合物であって、該混合物中のエチレン−プロピレン系共
    重合体ゴムの平均分散粒径が2μm以下、該混合物の曲
    げ弾性率が20〜700MPa、ショアD硬さが20〜
    60、ポリプロピレン混合物:5〜900重量部からな
    ることを特徴とするエラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステル系エラストマーが次の
    (a)、(b)及び(c)成分を共重合してなる、ショ
    アD硬さ20〜70のポリエーテルエステルブロック共
    重合体であることを特徴とする請求項1記載のエラスト
    マー組成物。 (a)短鎖ジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸及び
    /又はそのエステル形成性誘導体であるジカルボン酸成
    分 (b)短鎖ジオール成分が脂肪族ジオール及び/又はそ
    のエステル形成性誘導体である短鎖ジオール成分 (c)長鎖ジオール成分が下式(1)に示すネオペンチ
    レンオキシド構造単位(以下Nと略す)と下式(2)に
    示すテトラメチレンオキシド構造単位(以下Tと略す)
    よりなり、Nの比率が5〜50モル%であるポリエーテ
    ルであって、両末端がアルコール性水酸基であり、数平
    均分子量が400〜6,000であるポリエーテルグリ
    コール 【化1】 【化2】 T: −CH2CH2CH2CH2O− (2)
  3. 【請求項3】 ポリプロピレン組成物(b)のメルトフ
    ローレートが10〜60g/10分である請求項1、2
    記載のエラストマー組成物。
  4. 【請求項4】 ポリプロピレン組成物(b)が、少なく
    との2段以上の逐次重合により得られるポリプロピレン
    を主体とした混合物であり、第一工程においてプロピレ
    ンの単独重合体またはプロピレンとα−オレフィンの共
    重合体(プロピレンを85重量%以上含む)またはエチ
    レン−プロピレン共重合体(プロピレンを85重量%以
    上含む)を重合により形成した後、第二工程以降で所望
    により少量のジエンを含むエチレン−プロピレンまたは
    エチレン−プロピレン−α−オレフィン共重合体を重合
    により形成してなることを特徴とする、請求項1、2記
    載のエラストマー組成物。
JP2000019623A 2000-01-28 2000-01-28 エラストマー組成物 Pending JP2001207044A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000019623A JP2001207044A (ja) 2000-01-28 2000-01-28 エラストマー組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000019623A JP2001207044A (ja) 2000-01-28 2000-01-28 エラストマー組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001207044A true JP2001207044A (ja) 2001-07-31

Family

ID=18546290

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000019623A Pending JP2001207044A (ja) 2000-01-28 2000-01-28 エラストマー組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001207044A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009167541A (ja) * 2008-01-11 2009-07-30 Asahi Kasei Fibers Corp ポリエーテルエステル繊維、加工糸、織編物
EP3345756A4 (en) * 2015-09-03 2018-07-11 Posco Lightweight composite metal sheet having excellent vibration damping characteristics, and manufacturing method therefor
CN112852116A (zh) * 2020-12-31 2021-05-28 协讯电子(吉安)有限公司 一种新型耐热耐刮擦无卤阻燃tpe注塑料及其制备方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009167541A (ja) * 2008-01-11 2009-07-30 Asahi Kasei Fibers Corp ポリエーテルエステル繊維、加工糸、織編物
EP3345756A4 (en) * 2015-09-03 2018-07-11 Posco Lightweight composite metal sheet having excellent vibration damping characteristics, and manufacturing method therefor
US10828867B2 (en) 2015-09-03 2020-11-10 Posco Lightweight composite metal sheet having excellent vibration damping characteristics, and manufacturing method therefor
CN112852116A (zh) * 2020-12-31 2021-05-28 协讯电子(吉安)有限公司 一种新型耐热耐刮擦无卤阻燃tpe注塑料及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20010041772A1 (en) Thermoplastic elastomer composition
KR102023230B1 (ko) Eg, chdm 및 tmcd를 함유하는 테레프탈레이트 또는 이소프탈레이트 폴리에스터의 3원 블렌드
JP2001279067A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
WO2006101076A1 (ja) 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及び成形体
JP2001207045A (ja) ポリエステルエラストマー組成物
KR100875253B1 (ko) 폴리에스테르 수지용 개질제 및 이를 이용한 성형품의 제조방법
JP3582887B2 (ja) カレンダー加工用ポリエステルエラストマ組成物
JP2001207037A (ja) ポリエステルエラストマー組成物
JP2001002768A (ja) ポリエステルエラストマ樹脂および樹脂組成物
JP2001207044A (ja) エラストマー組成物
JP3322985B2 (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JP2001207043A (ja) エラストマー状組成物
JP2001207036A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物
JPH0925399A (ja) 樹脂組成物、その製造方法、およびそれからなるホットメルト接着剤
JP2001207046A (ja) 熱可塑性エラストマー
JPS5849576B2 (ja) 成形用組成物
JP2001234041A (ja) エラストマー組成物
JP2001207035A (ja) エラストマー組成物
JP2001207051A (ja) ポリウレタンエラストマー組成物
JP2001354842A (ja) カレンダー成形用ポリエステル組成物
JP5312716B2 (ja) ウレタン系エラストマー
JP2001206181A (ja) エアバッグカバー
JP4417506B2 (ja) ポリエステル樹脂およびポリエステルシート
JPH0543781A (ja) ポリエステルブロツク共重合体組成物
JP3357180B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20040225