JP2001205970A - キャップオフ性能に優れた筆記具 - Google Patents

キャップオフ性能に優れた筆記具

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JP2001205970A
JP2001205970A JP2000016058A JP2000016058A JP2001205970A JP 2001205970 A JP2001205970 A JP 2001205970A JP 2000016058 A JP2000016058 A JP 2000016058A JP 2000016058 A JP2000016058 A JP 2000016058A JP 2001205970 A JP2001205970 A JP 2001205970A
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JP2000016058A
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Takeshi Yadoiwa
武 宿岩
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス等の非吸収面に筆記した際の筆記描線
の乾燥時間が早く、かつ、長期間、ペン先を大気中に放
置しても良好な筆記性能を有するキャップオフ性能に優
れた筆記具を提供する。 【解決手段】 繊維芯又はプラスチック芯からなるペン
先13を有する筆記具10において、上記ペン先13
に、下記一般式(I)で示される高級脂肪酸エステルが
コーティングされていることを特徴とするキャップオフ
性能に優れた筆記具10。 R1COOR2 ………(I) 〔式(I)中のR1は、炭素数13〜21の直鎖アルキ
ル基であり、R2は、炭素数14〜22の直鎖アルキル
基である。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス等の非吸収
面に筆記した際の筆記描線の乾燥時間が速く、かつ、長
期間、ペン先を大気中に放置しても良好な筆記性能を有
するキャップオフ性能に優れた筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、マーキングペン、サインペ
ン、筆ペン等のように繊維芯又はプラスチック芯からな
るペン先にインキを浸透させて筆記するようにした筆記
具が多用されている。しかしながら、キャップを外して
ペン先部分を長時間大気中に放置した場合には、ペン先
部分が乾燥して筆記不良が発生するという問題を有して
いる。
【0003】従来において、キャップオフ性能に優れた
マーキングペン、サインペン、筆ペン等の筆記具として
は、例えば、インキ中に蒸発抑制を可能にする特定のポ
リグリセリンの高級脂肪酸エステル、特定の酸性リン酸
高級アルコールエステル及びこれらの塩、特定の亜リン
酸高級アルコールエステル、並びに、特定のデカグリセ
リンステアリン酸エステル等の添加剤を添加することに
よって実現されている(特公昭62−34352号公
報、特開昭61−261380号公報など)。しかしな
がら、蒸発抑制効果の高い添加剤は、溶媒に対する溶解
度が10重量%以下のものが多く、溶解度が低い点に課
題があり、特に、0℃での溶解度は5重量%以下であ
り、低温で保存したり、低高温の繰り返しによりインキ
中で上記添加剤の沈殿を生じ、インキ流路内で目詰まり
を起こして筆記性を低下させたり、キャップオフ性能が
経時的に劣化してしまうなどの課題がある。また、イン
キ中に蒸発抑制を可能とする添加剤を添加した場合、良
好なキャップオフ性能を発揮する代わりに、ガラス等の
非吸収面に筆記した際には筆記描線の乾燥時間が著しく
低下してしまうなどの課題がある。
【0004】一方、特開平7−242094号公報に
は、筆記具を製造後、最初に筆記されるまでの期間にお
ける筆記部からのインキ溶媒の揮発を効果的に抑制して
未使用状態での筆記不良が発生することを長期にわたっ
て防止するために、多孔芯材による筆記芯の一端部が、
溶媒に染料を溶解してなるインキを吸蔵したインキ吸蔵
体に挿入され、他端部が筆記部に形成された筆記具にお
いて、前記筆記芯の筆記部にインキ溶媒のうち揮発速度
が遅いベンジルアルコールなど高沸点溶媒を予め塗布ま
たは含浸させておくことを特徴とする筆記具の乾燥防止
方法が開示されている。
【0005】しかしながら、この公報に開示の筆記具の
乾燥防止方法は、筆記具の製造後から最初に筆記される
までの期間における乾燥防止を目的とするものであり、
また、インキ溶媒のうち揮発速度が遅いベンジルアルコ
ールなど高沸点溶媒を対象とするものであるので、筆記
した後の筆記部の乾燥防止を果たすものではなく、本発
明とはその目的、作用及びその構成(技術思想)が異な
るものである。また、上記筆記具の乾燥防止方法に用い
るベンジルアルコールなどは、常温で液体であり、溶媒
とは任意に混合するものであり、長期間放置すると溶液
の拡散によりインキ吸蔵体中に取り込まれて効果が殆ど
なくなる点に課題があり、また、一度の筆記でベンジル
アルコールなどが流出してしまうため、インキがなくな
るまで効果を示すものでないものである。
【0006】従って、繊維芯又はプラスチック芯からな
るペン先を有するマーキングペン、サインペン、筆ペン
等の筆記具にあっては、低温での保存性が良く、キャッ
プオフ性能が経時的に劣化せず、筆記描線の乾燥時間が
速い筆記具が要望されており、しかも、キャップの装着
忘れなどにより、ペン先などを長期間、大気中に放置し
た場合にも筆記カスレなどが生じず、優れた筆記性能が
得られる筆記具が望まれているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであ
り、ガラス等の非吸収面に筆記した際の筆記描線の乾燥
時間が速く、かつ、低温での保存性が良好であり、イン
キ流路内で目詰まりなどもなく、長時間、大気中にペン
先を放置しておいても良好な筆記性能を実現するキャッ
プオフ性能に優れた筆記具を提供することを目的とす
る。
【0008】
〔式(I)中のR1は、炭素数13〜21の直鎖アルキル基であり、R2は、炭素数14〜22の直鎖アルキル基である。〕
(2) コーティング量がペン先に対して、重量比で0.0
1〜20重量%である上記(1)記載のキャップオフ性能
に優れた筆記具。 (3) 上記(1)又は(2)記載の筆記具が、インキを直接貯溜
する軸体となるインキタンク部を有すると共に、一時的
にインキを保溜するコレクター部材を有し、インキタン
ク部からペン先へのインキの導出が直接又は中継芯を介
して行われる直液筆記具からなるキャップオフ性能に優
れた筆記具。 (4) 上記(4)又は(5)記載の筆記具が、軸体内にインキを
吸蔵したインキ吸蔵体を有し、該インキ吸蔵体からペン
先へのインキ導出が直接又は中継芯を介して行われる筆
記具からなるキャップオフ性能に優れた筆記具。
【0009】
〔式(I)中のR1は、炭素数13〜21の直鎖アルキル基であり、R2は、炭素数14〜22の直鎖アルキル基である。〕
【0010】本発明に用いる上記一般式(I)で示され
る高級脂肪酸エステルは、ペン先にコーティングしてキ
ャップオフ性を付与するため、常温(25℃)において
固体の性状を有するものである。本発明に用いる高級脂
肪酸エステルは、上記一般式(I)で示される構造であ
れば、いかなる方法にて製造されたものでも構わない
が、具体的な例としては、全炭素数14〜22の直鎖の
高級脂肪酸と全炭素数14〜22の直鎖の高級アルコー
ルとから得られる高級脂肪酸エステルを挙げることがで
きる。上記直鎖の高級脂肪酸としては、例えば、ミリス
チン酸(全炭素数14)、パルミチン酸(全炭素数1
6)、ステアリン酸(全炭素数18)、アラキン酸(全
炭素数20)、ベヘン酸(全炭素数22)が挙げられ、
また、直鎖の高級アルコールとしては、例えば、ミリス
チルアルコール(全炭素数14)、セチルアルコール
(全炭素数16)、ステアリルアルコール(全炭素数1
8)、エイコサニルアルコール(全炭素数20)、ドコ
サニルアルコール(全炭素数22)が挙げられる。
【0011】これらの直鎖高級脂肪酸と直鎖高級アルコ
ールから得られる、上記一般式(I)で示される高級脂
肪酸エステルとしては、例えば、ミリスチン酸ミリスチ
ル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ステリアル、ミ
リスチン酸エイコサニル、ミリスチン酸ドコサニル、パ
ルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチ
ン酸ステリアル、パルミチン酸エイコサニル、パルミチ
ン酸ドコサニル、ステアリン酸ミリスチル、ステアリン
酸セチル、ステアリン酸ステリアル、ステアリン酸エイ
コサニル、ステアリン酸ドコサニル、アラキン酸ミリス
チル、アラキン酸セチル、アラキン酸ステリアル、アラ
キン酸エイコサニル、アラキン酸ドコサニル、ベヘン酸
ミリスチル、ベヘン酸セチル、ベヘン酸ステリアル、ベ
ヘン酸エイコサニル、ベヘン酸ドコサニルなどを挙げる
ことができ、これらは単独で用いても、2種以上適宜組
み合わせて用いても良い。本発明では、上記一般式
(I)で示される高級脂肪酸エステルにおいて、上記式
(I)中のR1の炭素数が13未満の場合及びR2の炭素
数が14未満場合は、融点が低いために固体状の皮膜を
形成しにくくなり、充分なキャップオフ性能を付与する
ことができないため好ましくなく、また、R1の炭素数
が21を越える場合及びR2の炭素数が22を越える場
合は、溶解性が不十分なため充分なキャップオフ性能を
付与することができないため好ましくない。また、上記
式(I)中のR1及びR2が直鎖のアルキル基でない、例
えば、分岐したアルキル基の場合及び上記式(I)の構
造中に不飽和炭化水素基を含む場合は、融点が低いため
に固体状の皮膜を形成しにくくなり、充分なキャップオ
フ性能を付与することができないため好ましくない。
【0012】本発明において、上記一般式(I)で示さ
れる高級脂肪酸エステルのペン先へのコーティング方法
は、繊維芯又はプラスチック芯からなるペン先に本発明
の効果を発揮せしめる必要量のコーティングがなされて
いれば、特に限定されるものではなく、例えば、上記特
性を有する物質を溶解する溶媒に溶解せしめ、これをペ
ン先にディッピング処理又は噴霧処理した後、加温又は
室温にて乾燥させることにより行うことができる。ま
た、溶解度が極端に低い場合には、加温溶解液にディッ
ピングし、冷却によりコーティングすることもできる。
これらのコーティング方法は、手軽で安価な方法として
優れたものである。また、上記特性を有する物質を溶解
する溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチル
アルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルア
ルコール(i−プロピルアルコール)などのアルコール
類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテルなどのグリコール類、アセトン、メ
チルエチルケトンなどのケトン類、酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエー
テルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエー
テルアセテートなどのエステル類、ジメチルエーテル、
ジエチルエーテルなどのエーテル類、ヘキサン、ヘプタ
ン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの
炭化水素類、クロロホルム、メチレンクロライドなどの
塩素化合物などが挙げられる。
【0013】上記一般式(I)で示される高級脂肪酸エ
ステルのペン先へのコーティング量は、ペン先に対し
て、重量比で0.01〜20重量%、好ましくは、0.
1〜10重量%、更に好ましくは、0.3〜5重量%で
ある。コーティング量が0.01重量%未満であると、
本発明の効果を達成することができず、また、20重量
%を越えると、ペン先のインキ流路とペン先の強度(耐
久性)のバランスがとれなくなり、インキが出が難くな
り、カスレを生じたり、筆記が進むにしたがってペン先
の崩れが生じたりするようになり、好ましくない。
【0014】本発明において、使用するペン先の材質、
構造、製法等は、特に限定されるものではなく、例え
ば、天然繊維、獣毛繊維、ポリアセタール系樹脂、アク
リル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、
ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニ
ル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹
脂、ポリフェニレン系樹脂などの1種又は2種以上の組
み合わせからなる平行繊維束、フェルト等の繊維束を加
工又はこれらの繊維束を樹脂加工した繊維芯、上記各種
のプラスチック材の軸方向にインキ溝を形成したプラス
チック芯、上記各種のプラスチック粉末などを融結した
ポーラス体などからなるペン先が挙げられ、その形態も
板状体、繊維集束体、焼結体、発泡体等任意である。使
用する繊維芯からなるペン先の具体的な形状としては、
例えば、第1図(a)〜(n)に示されるものなどが挙
げられる。また、上記各種のプラスチック材の軸方向に
インキ溝を形成した第2図(a)のプラスチック芯から
なるペン先のインキ溝の態様としては、例えば、第2図
(b)〜(j)に示される構成のものなどが挙げられ
る。
【0015】上記特性の物質をペン先にコーティングを
して、目的のキャップオフ性能に優れた筆記具を得るた
めに、ペン先として繊維芯を使用した場合は、好ましく
は、気孔率で30〜75%、スリット径で概ね1〜20
μmのものが望ましく、また、ペン先としてプラスチッ
ク芯を使用した場合は、好ましく、平均スリット径で2
0〜40μmのものが望ましい。 なお、上記気孔率及
びスリット径は、上記特性の物質をペン先にコーティン
グすることにより、本発明の目的を達成できるものであ
れば、上記数値範囲に限定されるものではない。なお、
上記スリット径は、下記式により算出したものである。 スリット径=気孔率×糸の半径/(1−気孔率)
【0016】本発明の筆記具に用いるインキとしては、
通常、マーキングペン、サインペン、筆ペンなどに用い
るインキ成分であれば、特に限定されるものではなく、
例えば、着色剤、有機溶剤、該有機溶剤に可溶な樹脂、
その他筆記具用添加剤などを使用することができる。着
色剤としては、油溶性染料及び顔料等があり、油溶性染
料としては、有機溶剤に可溶な一般の油溶性染料であれ
ばほとんど使用可能である。例えば、染料としては、オ
ラゾールエロー2GLN、オラゾールレッド3GL、オ
ラゾールブルー2GLN、ネオンザポンブルーFLE、
スピリットブラックSP、パリファストレッド130
8、オイルブルーBA、オイルエロー185、オイルレ
ッドTR71、オイルブラックS、Victoria Blue、Rho
damine 6JHSA、Flex Yellow 105等、また、顔料として
は、特に限定されることなく、例えば、アゾ系顔料、縮
合ポリアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、金属錯塩顔
料、チオインジゴ顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等の
有機顔料及びカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔
料が挙げられ、更に、表面を樹脂コーティングで加工し
た加工顔料、例えば、マイクロリスAタイプ各種、AS
ブラック、ASブルー、IKレッド等も使用することが
できる。これらの染料及び/又は顔料は、単独又は2種
以上混合して使用することもでき、その使用量は着色剤
の種類や他のインキ成分により異なるが、インキ全量に
対して、1〜30重量%、好ましくは、2〜15重量%
が望ましい。
【0017】有機溶剤としては、エチルアルコ−ル、プ
ロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル等の低級ア
ルコールや、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の
低級脂肪族ケトンや、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級
脂肪酸の低級アルコールエステルや、ヘキサン、ヘプタ
ン等の脂肪酸炭化水素や、シクロヘキサン、エチルシク
ロヘキサン等の脂環族炭化水素やグリコールのアルキル
アルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル
等のグリコールエーテル等が挙げられ、これらは単独又
は2種以上混合して使用することが可能であり、その使
用量は、インキ全量に対して、50〜90重量%、好ま
しくは、70〜85重量%が望ましい。樹脂は、被膜形
成剤、被塗布面への付着剤、インキの粘度調整剤、更
に、着色剤の分散剤として使用するものであり、従来よ
り使用されている各種の天然樹脂、合成樹脂が使用で
き、例えば、ロジン、エステルガム、マレイン酸変成ロ
ジン、フェノール変成ロジン等のロジン系樹脂、エチル
セルローズ、ニトロセルローズ等のセルローズ系樹脂、
ポリビニルブチラール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
樹脂等のビニル系樹脂、石油系樹脂、ケトン系樹脂、ア
クリル系樹脂、アルデヒドと尿素の縮合物、マレイン酸
樹脂等が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して
使用することが可能であり、その使用量は、インキ全量
に対して、0.1〜30重量%、好ましくは、1〜20
重量%が望ましい。その他の筆記具用添加剤としては、
例えば、アニオン系、ノニオン系、カチオン系などの界
面活性剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、潤滑剤、pH調製
剤、粘度調整剤、沈降防止剤、溶解助剤、筆記板用マー
キングインキに用いられる各種剥離剤などが挙げられ
る。
【0018】本発明の筆記具の構造は、通常、マーキン
グペン、サインペン、筆ペンなどに用いる繊維芯又はプ
ラスチック芯からなるペン先を有する構造等であれば、
特に限定されるものではなく、筆記具用キャップを有す
る筆記具又は筆記具用キャップを有しない筆記具にも適
用できるものである。本発明では、ガラス等の非吸収面
に筆記した際の筆記描線の乾燥時間が速く、かつ、長時
間、大気中にペン先を放置しておいても良好な筆記性能
を実現するキャップオフ性能に優れた筆記具を達成でき
るものであり、例えば、従来における図3〜図7に示さ
れる筆記具用キャップを有する筆記具などの構造、また
は、簡単なシール機構を備えたマーキングペン、サイン
ペン、筆ペンなどの構造、並びに、図8に示される筆記
具用キャップが不要となるノック式のサインペン、マー
キングペン、筆ペンなどの構造が挙げられる。
【0019】図3は、直液式筆記具であり、該直液式筆
記具10は、インキを中綿等に吸蔵させないで直接貯溜
する軸体となるインキタンク部11を有し、また、イン
キタンク部11の前部には、インキタンク部11内の空
気が温度上昇等によって膨張した場合にインキタンクか
ら押し出されるインキをペン先や空気孔からボタ落ちさ
せないために一時的に保溜するインキ保溜体(コレクタ
ー部材)12が内蔵され、コレクター部材12の先端部
には繊維芯からなるペン先13が設けられた構成となっ
ている。インキタンク部11からペン先13へのインキ
導出は、コレクター部材12の中心孔12aに付設され
たインキ流路を設けた中継芯14を介してインキタンク
部11からインキをペン先13に導出することにより行
われる。なお、図3中の15はホルダー部材であり、1
6はインキタンク部11の後部に固着される後部軸体で
あり、17はキャップである。また、中継芯14を介在
させることなく、ペン先13の後部をインキタンク部1
1内に直接配置してインキの導出を行ってもよい。
【0020】図4の筆記具20は、撹拌ボールとなる硬
球21を内蔵したバルブ弁式筆記具であり、インキを中
綿等に吸蔵させないで直接貯溜する軸体となるインキタ
ンク部22を有し、バルブ弁機構23を介在して繊維芯
からなるペン先24へインキが供給される構成となって
いる。なお、図4中の25はホルダー部材であり、26
は弁機構23とホルダー部材25間に介在し、ペン先2
4の後部を保持する保持部材であり、27はキャップで
ある。
【0021】図5及び図6は、共にインキを中綿等のイ
ンキ吸蔵体に吸蔵させたタイプの筆記具である。該各々
の筆記具30a,30bは、軸体となる軸本体31a,
31b内にインキを中綿等の繊維体に吸蔵したインキ吸
蔵体32a,32bを有し、インキ吸蔵体32a,32
bの前部には繊維芯からなるペン先33a,33bの後
端部34a,34bが当接されることにより、インキ吸
蔵体32a,32bのインキがペン先34a,34bへ
供給される構成となっている。35a,35bは、軸本
体31a,31bの後端部に固着された尾栓であり、3
6a,36bは、キャップである。なお、図5及び図6
の相違点は、軸本体31a,31b、ペン先33a,3
3bの形状及び尾栓35a,35bの構造が若干相違す
るものである。
【0022】図7は、上記図5と同様に、インキを中綿
等のインキ吸蔵体に吸蔵させたサインペンタイプの筆記
具である。該筆記具40は、軸体となる軸本体41内に
インキを中綿等の繊維体に吸蔵したインキ吸蔵体42を
有し、インキ吸蔵体42の前部にはプラスチック芯から
なるペン先43の後端部43aが当接されることによ
り、インキ吸蔵体42のインキがペン先43へ供給され
る構成となっている。44は、軸本体41の後端部に固
着された尾栓であり、45はホルダー部材であり、46
はキャップである。
【0023】図8は、インキを中綿等のインキ吸蔵体に
吸蔵させたサインペンタイプのキャップ不要となるノッ
ク式筆記具である。該筆記具50は、軸体51内にイン
キを中綿等の繊維体に吸蔵したインキ吸蔵体52を有す
る内軸53を備え、インキ吸蔵体52の前部には繊維芯
からなるペン先54の後端部54aが当接されることに
より、インキ吸蔵体52のインキがペン先54へ供給さ
れる構成となっている。55は、軸本体51の後端部に
取り付けられたノック部であり、該ノック部55を前方
へ押し出すことによりペン先54が軸体51外に出て筆
記状態となり、解除釦55aを操作することによりペン
先54が軸体51内に収容される構造となっている。
【0024】このように構成される本発明の筆記具は、
繊維芯又はプラスチック芯からなるペン先に、上記一般
式(I)で示される高級脂肪酸エステルをコーティング
することにより、ペン先の表面部に非常に脆い皮膜を形
成でき、この皮膜によりインキ成分に含まれる揮発成分
となる溶媒などの蒸発が防止され、また、該皮膜は筆記
時の筆圧によって破れ、筆記が可能となるものであり、
しかも、該皮膜の形成は上記コーティング量により若干
相違もあるが、ペン先にコーティングした高級脂肪酸エ
ステルが再度必要量だけインキ中に溶け出し、次にペン
先が空気中にさらされたとき、インキ溶媒との相互作用
でペン先表面に新たな皮膜を形成し、この皮膜形成→筆
記→皮膜形成→筆記……は何回も繰り返し効果を示すも
のである。従って、本発明の筆記具は、ガラス等の非吸
収面に筆記した際の筆記描線の乾燥時間が速く、かつ、
長時間、大気中にペン先を放置しておいても良好な筆記
性能を実現するキャップオフ性能に優れたものとなり、
また、インキ成分にキャップオフ性能を付与する成分を
含まないので、低温での保存性が良好であり、インキ流
路内で目詰まりなども起こすことがないものとなる(こ
れらの点については、更に実施例等で詳述する)。
【0025】また、本発明の筆記具は、上記実施形態に
限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲
で種々の形態に変更できることはいうまでもない。例え
ば、本発明の筆記具は、上記実施形態のインキを中綿等
に吸蔵させないで直接貯溜する直液筆記具、バルブ機構
を備えた筆記具、インキを中綿等のインキ吸蔵体に吸蔵
させたタイプの筆記具に限定されるものでなく、繊維芯
又はプラスチック芯からなるペン先に上記一般式(I)
で示される高級脂肪酸エステルがコーティングされてい
るものであれば、特に限定されるものではなく、例え
ば、筆ペン、カートリッジ式ペン、化粧品等の塗布具な
どにも適用できるものである。特に、本発明では、長時
間、キャップを取り外した状態で大気中にペン先を放置
しておいても良好な筆記性能を実現するキャップオフ性
能に優れた筆記具を達成できるものであるので、筆記具
用キャップのいらないノック式のマーキングペン、サイ
ンペン、筆ペンなどの構造の筆記具に好適に用いること
ができる。
【0026】
【実施例】次に、本発明を実施例及び比較例に基づき更
に詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
【0027】〔実施例1〜4及び比較例1〜3〕ペン先
として、図9に示すペン先を使用した。このペン先を図
5に組み込んだマーキングペン(インキ量4.5g)を
使用した。ペン先は、アクリル繊維のスライバーからな
る繊維芯であり、重量0.19g、長さ37mm、直径
4.0mm(気孔率約60%)のものを使用した。
【0028】コーティング方法は、各所定量となるパル
ミチン酸セチルを溶媒となるメチレンクロライドに溶解
し、該調製液に上記繊維芯からなるペン先を浸漬せし
め、50℃で1時間加温した後、室温で一晩冷却し、メ
シュ状容器にあけて溶媒を取り除いた。次いで、室温で
1時間、次いで、50℃で3時間、更に室温で3時間乾
燥したペン先をサンプルとし、該ペン先を図5に組み込
んだマーキングペン(インキ量4.5g)を組み立て
た。このマーキングペンについて、下記試験を行った。
なお、コーティング量は、パルミチン酸セチルのペン先
への付着量を処理前後のペン先の重量差でとらえ、処理
前のペン先重量に対する重量%で示した。実施例等に
は、上記処理率で1%、2%及び3%のものを使用し
た。また、インキは、下記表1に示される組成からなる
インキ、を使用した。
【0029】〔比較例3〕使用部材となるペン先、マー
キングペンなどは、上記実施例1〜4及び比較例1〜3
と同じものを使用した。ペン先の処理などは、ベンジル
アルコールに上記繊維芯からなるペン先を浸漬した後、
ベンジルアルコールが乾燥しないように直ちに該ペン先
を図5に組み込んだマーキングペン(インキ量4.5
g)を組み立てた。浸漬量は、ベンジルアルコールの乾
燥やペン先の形状バラツキのためにバラツキがあるが、
約0.2gであった。この組み立てたマーキングペンを
室温で1日放置後、下記試験を行った。
【0030】
【表1】
【0031】上記実施例1〜4及び比較例1〜3で得ら
れたマーキングペンについて、下記評価法により、筆記
性能評価、描線乾燥性テストを行った。これらの結果を
下記表2に示す。
【0032】〔筆記性能評価法〕各マーキングペンのキ
ャップを取り外し、キャップオフ時間の経時的変化(1
時間〜1ケ月)に基づく25℃、湿度65%環境下にお
ける筆記性能を下記評価基準により測定した。 評価基準: ◎:掠れずに書ける ○:書き出しに僅かに掠れる △:一行目が掠れる ▲:二行目が掠れる ×:筆記できない
【0033】〔描線乾燥性テスト〕各マーキングペンを
25℃、湿度65%の環境下でガラス(20×20×
0.5cm)に対し筆記し、筆記描線が完全に乾燥する
までの時間を指触により測定し、下記評価基準で評価し
た。 評価基準: ◎:10秒以下 ○:30秒以下 ×:30秒を越える
【0034】
【表2】
【0035】上記表2の結果から明らかなように、本発
明の範囲となる実施例1〜4のペン先に高級脂肪酸エス
テルをコーティングしてなるマーキングペンは、本発明
の範囲外となる比較例1〜3のマーキングペンに較べ、
長期間、ペン先を大気中に晒しても良好な筆記性能を有
すると共に、ガラスの非吸収面に筆記した際の筆記描線
の乾燥時間も速いことが判明した。具体的に比較例をみ
ると、比較例1及び2は、ペン先に高級脂肪酸エステル
をコーティングしていないものであり、これらの場合
は、それぞれキャップオフ1時間後には筆記できないも
のであることが判る。また、比較例3は、ペン先に高沸
点溶媒であるベンジルアルコールを塗布したものであ
り、この場合は、ベンジルアルコールが常温で液体であ
り、インキ溶媒とは任意に混合するものであり、長期間
放置すると溶液の拡散により繊維芯中に取り込まれて効
果が殆どないことが判る。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、ガラス等の非吸収面に
筆記した際の筆記描線の乾燥時間が速く、かつ、長期
間、ペン先を大気中に放置しても良好な筆記性能を有す
るキャップオフ性能に優れた筆記具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(n)は、本発明の繊維芯からなるペ
ン先の構成を説明する説明図である。
【図2】(a)〜(j)は、本発明のプラスチック芯か
らなるペン先の構成を説明する説明図である。
【図3】本発明の筆記具を直液式筆記具に適用した一例
を断面態様で示す説明図である。
【図4】本発明の筆記具をバルブ機構を備えた筆記具に
適用した一例を断面態様で示す説明図である。
【図5】本発明の筆記具をインキを中綿等のインキ吸蔵
体に吸蔵させたタイプの例を断面態様で示す説明図であ
る。
【図6】本発明の筆記具をインキを中綿等のインキ吸蔵
体に吸蔵させたタイプの他例を断面態様で示す説明図で
ある。
【図7】本発明の筆記具をインキを中綿等のインキ吸蔵
体に吸蔵させたタイプの他例を断面態様で示す説明図で
ある。
【図8】本発明の筆記具をノック式の筆記具に適用した
一例を断面態様で示す説明図である。
【図9】本発明の実施例及び比較例に使用したペン先構
成を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 直液式筆記具 11 インキタンク(軸部) 13 ペン先

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維芯又はプラスチック芯からなるペン
    先を有する筆記具において、上記ペン先に、下記一般式
    (I)で示される高級脂肪酸エステルがコーティングさ
    れていることを特徴とするキャップオフ性能に優れた筆
    記具。 R1COOR2 ………(I) 〔式(I)中のR1は、炭素数13〜21の直鎖アルキ
    ル基であり、R2は、炭素数14〜22の直鎖アルキル
    基である。〕
  2. 【請求項2】 コーティング量がペン先に対して、重量
    比で0.01〜20重量%である請求項1記載のキャッ
    プオフ性能に優れた筆記具。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の筆記具が、インキ
    を直接貯溜する軸体となるインキタンク部を有すると共
    に、一時的にインキを保溜するコレクター部材を有し、
    インキタンク部からペン先へのインキの導出が直接又は
    中継芯を介して行われる直液筆記具からなるキャップオ
    フ性能に優れた筆記具。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載の筆記具が、軸体内
    にインキを吸蔵したインキ吸蔵体を有し、該インキ吸蔵
    体からペン先へのインキ導出が直接又は中継芯を介して
    行われる筆記具からなるキャップオフ性能に優れた筆記
    具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003525152A (ja) * 2000-03-02 2003-08-26 コント 筆記ポイントに乾燥遅延剤が備えられた筆記具および同筆記ポイントの製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003525152A (ja) * 2000-03-02 2003-08-26 コント 筆記ポイントに乾燥遅延剤が備えられた筆記具および同筆記ポイントの製造方法
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